特許第6449887号(P6449887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6449887コロナ点火システムを駆動するためのリアルモード方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6449887
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】コロナ点火システムを駆動するためのリアルモード方法
(51)【国際特許分類】
   F02P 23/04 20060101AFI20181220BHJP
   F02P 3/01 20060101ALI20181220BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   F02P23/04 B
   F02P3/01 A
   H05H1/24
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-538651(P2016-538651)
(86)(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公表番号】特表2017-508907(P2017-508907A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】US2014069974
(87)【国際公開番号】WO2015089378
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年9月5日
(31)【優先権主張番号】61/931,131
(32)【優先日】2014年1月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/568,266
(32)【優先日】2014年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/950,991
(32)【優先日】2014年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/568,330
(32)【優先日】2014年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/915,088
(32)【優先日】2013年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/072,530
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/568,438
(32)【優先日】2014年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/568,219
(32)【優先日】2014年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/090,096
(32)【優先日】2014年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506146389
【氏名又は名称】フェデラル−モーグル・イグニション・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL IGNITION COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バローズ,ジョン・アントニー
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0055455(US,A1)
【文献】 特表2016−514233(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0208393(US,A1)
【文献】 特表2014−517183(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0249163(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02P 1/00− 3/12
F02P 7/00−17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナ点火システムであって、
無線周波数における電流を受取り、無線周波数電界をもたらすコロナ点火器と、
前記コロナ点火器によって受取られた電流に関する情報を含むフィルタリングされていない電流信号を取得する電流センサと、
前記電流センサから前記フィルタリングされていない電流信号を受信し、調整された電流信号を供給する信号フィルタおよび信号調整装置の少なくとも一方とを備え、前記調整された電流信号は、前記フィルタリングされていない電流信号の第1のゼロ交差に後続する第1の時間遅延の終わりにおいて生じる立下りエッジを含み、さらに、
前記調整された電流信号を受信し、前記調整された電流信号の前記立下りエッジに応答して第2の時間遅延を開始し、第1のタイマー信号を供給する第1のタイマーを備え、前記第1のタイマー信号は、前記第2の時間遅延の終わりにおいて立下りエッジを含み、前記第2の時間遅延は、前記第1のゼロ交差に後続する前記フィルタリングされていない電流信号の第2のゼロ交差の前に終わり、さらに、
前記第1のタイマーから前記第1のタイマー信号を受信し、第1の出力信号を供給する第2のタイマーを備え、前記第1のタイマー信号の前記立下りエッジにおける前記第2の時間遅延の終わりにおいて第3の時間遅延が始まり、前記第1の出力信号は、前記第3の時間遅延の初めにおいて立上りエッジを含み、さらに、
前記第1の出力信号を受信し、前記第3の時間遅延の終わりにおいて起動される第1のスイッチを備え、前記第3の時間遅延は、前記フィルタリングされていない電流信号の前記第2のゼロ交差においてまたは前記第2のゼロ交差後に終わり、起動された前記第1のスイッチは、エネルギ源から前記コロナ点火器に電流が流れることを可能にする、コロナ点火システム。
【請求項2】
前記第2のタイマーは、前記第1の出力信号の前記立上りエッジにおいて始まり、前記第1の出力信号の前記立下りエッジにおいて終わる第4の時間遅延を開始し、前記第4の時間遅延の終わりは、前記フィルタリングされていない電流信号の第3のゼロ交差の前に生じ、前記第1のスイッチは、前記第1の出力信号の前記立下りエッジにおいて始まり、前記第3のゼロ交差の前にまたは前記第3のゼロ交差において終わる第5の時間遅延の終わりにおいて停止される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コロナ点火器によって受取られた電流のゼロ交差のうちの1つにおいてまたは隣接して前記第1のスイッチが起動されるかまたは停止されるように、第2の時間遅延および第4の時間遅延を設定するコントローラを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは電圧を受取り、前記コロナ点火器によって受取られたコロナ放電の形成のための電圧のゼロ交差が前記フィルタリングされていない電流信号の前記ゼロ交差と同時ではない場合、前記コントローラは、前記第2の時間遅延および前記第4の時間遅延のうち少なくとも一方を調節する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記タイマーのうちの1つへのイネーブル信号を開始して、前記第1のスイッチを起動し、かつ前記電流センサが電流に関する情報を取得する前に前記エネルギ源から前記コロナ点火器に電流が流れることを可能にする、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記タイマーは、前記コントローラから電気的に独立している、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記調整された電流信号は、前記第1のスイッチに伝達される前に前記コントローラに伝達されることなく、前記電流センサから前記第1のスイッチに伝達される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記調整された電流信号は、前記フィルタリングされていない電流信号の第4のゼロ交差に後続する第6の時間遅延の終わりにおいて生じる立上りエッジを含み、前記第6の時間遅延は前記第1の時間遅延と等しく、
第3のタイマーは、前記調整された電流信号を受信し、前記調整された電流信号の立上りエッジに応答して第7の時間遅延を開始し、第2のタイマー信号を供給し、前記第7の時間遅延は前記第2の時間遅延と等しく、前記第2のタイマー信号は、前記第7の時間遅延の終わりにおいて立上りエッジを含み、前記第7の時間遅延は、前記第4のゼロ交差に後続する前記フィルタリングされていない電流信号の第5のゼロ交差の前に終わり、
第4のタイマーは、前記第3のタイマーから前記第のタイマー信号を受信し、第2の出力信号を供給し、第8の時間遅延は、前記第のタイマー信号の前記立上りエッジにおける前記第7の時間遅延の終わりにおいて始まり、前記第8の時間遅延は前記第3の時間遅延と等しく、前記第2の出力信号は、前記第8の時間遅延の初めにおいて立下りエッジを含み、
第2のスイッチは、前記第2の出力信号を受信し、前記第8の時間遅延の終わりにおいて起動され、前記第8の時間遅延は、前記フィルタリングされていない電流信号の前記第5のゼロ交差においてまたは前記第5のゼロ交差後に終わり、起動された前記第2のスイッチは、前記エネルギ源から前記コロナ点火器に電流が流れることを可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第4のタイマーは、前記第2の出力信号の前記立下りエッジにおいて始まり、前記第2の出力信号の前記立上りエッジにおいて終わる第9の時間遅延を開始し、前記第9の時間遅延は前記第4の時間遅延と等しく、前記第9の時間遅延の終わりは、前記フィルタリングされていない電流信号の第6のゼロ交差の前に生じ、前記第2のスイッチは、前記第2の出力信号の前記立上りエッジにおいて始まり、前記第6のゼロ交差前にまたは前記第6のゼロ交差において終わる第10の時間遅延の終わりにおいて停止され、前記第10の時間遅延は前記第5の時間遅延と等しい、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記フィルタリングされていない電流信号の前記ゼロ交差のうちの1つにおいてまたは隣接して前記スイッチが起動されるかまたは停止されるように前記第7の時間遅延および前記第9の時間遅延を設定するコントローラを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コロナ点火器は電圧を受取り、前記コロナ点火器によって受取られた電圧のゼロ交差が前記フィルタリングされていない電流信号のゼロ交差と同時ではない場合、前記コントローラは、前記第の時間遅延および前記第の時間遅延の少なくとも一方を調節する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1、第3、第5、第6、第8、および第10の時間遅延は、固定され、前記電流センサ、前記信号フィルタおよび/または前記信号調整装置、前記タイマー、ならびに前記スイッチの設計に少なくとも部分的に基づく、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
コロナ放電システムを制御する方法であって、
コロナ点火器に無線周波数でエネルギを供給するステップと、
前記コロナ点火器によって受取られた電流に関する情報を含むフィルタリングされていない電流信号を取得するステップと、
前記フィルタリングされていない電流信号の第1のゼロ交差に後続する第1の時間遅延の終わりにおいて生じる立下りエッジを含む調整された電流信号を供給するステップと、
前記調整された電流信号の前記立下りエッジに応答して第2の時間遅延を開始し、第1のタイマー信号を供給するステップとを備え、前記第1のタイマー信号は、前記第2の時間遅延の終わりにおいて立下りエッジを含み、前記第2の時間遅延は、前記第1のゼロ交差に後続する前記フィルタリングされていない電流信号の第2のゼロ交差の前に終わり、さらに、
第3の時間遅延の初めにおいて立上りエッジを含む出力信号を供給するステップを備え、前記第3の時間遅延は、前記第1のタイマー信号の前記立下りエッジにおける前記第2の時間遅延の終わりにおいて始まり、さらに、
前記第3の時間遅延の終わりにおいて前記第1の出力信号によって第1のスイッチを起動するステップを備え、前記第3の時間遅延は、前記フィルタリングされていない電流信号の前記第2のゼロ交差においてまたは前記第2のゼロ交差後に終わり、起動された前記第1のスイッチは、エネルギ源から前記コロナ点火器に電流が流れることを可能にする、方法。
【請求項14】
前記第1の出力信号の前記立上りエッジにおいて始まり、前記第1の出力信号の立下りエッジにおいて終わる第4の時間遅延を開始することを含み、前記第4の時間遅延の終わりは、前記フィルタリングされていない電流信号の第3のゼロ交差の前に生じ、さらに、前記第1の出力信号の前記立下りエッジにおいて始まり、前記第3のゼロ交差前にまたは前記第3のゼロ交差において終わる第5の時間遅延の終わりにおいて前記第1のスイッチを停止することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コロナ点火器によって受取られた電流のゼロ交差のうちの1つにおいてまたは隣接して前記第1のスイッチが起動されるかまたは停止されるように、第2の時間遅延および第4の時間遅延を設定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記コロナ点火器によって受取られたコロナ放電の形成のための電圧のゼロ交差が前記フィルタリングされていない電流信号の前記ゼロ交差と同時ではない場合、前記第2の時間遅延および前記第4の時間遅延のうち少なくとも一方を調節することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記タイマーのうちの1つへのイネーブル信号を開始して、前記第1のスイッチを起動し、かつ前記電流センサが電流に関する情報を取得する前に前記エネルギ源から前記コロナ点火器に電流が流れることを可能にすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記調整された電流信号は、前記第1のスイッチに伝達される前に前記コントローラに伝達されることなく、前記電流センサから前記第1のスイッチに伝達される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記調整された電流信号は、前記フィルタリングされていない電流信号の第4のゼロ交差に後続する第6の時間遅延の終わりにおいて生じる立上りエッジを含み、前記第6の時間遅延は前記第1の時間遅延と等しく、
前記調整された電流信号の立上りエッジに応答して第7の時間遅延を開始し、第2のタイマー信号を供給し、前記第7の時間遅延は前記第2の時間遅延と等しく、前記第2のタイマー信号は、前記第7の時間遅延の終わりにおいて立上りエッジを含み、前記第7の時間遅延は、前記第4のゼロ交差に後続する前記フィルタリングされていない電流信号の第5のゼロ交差の前に終わり、
第8の時間遅延の初めにおいて立下りエッジを含む第2の出力信号を供給し、前記第8の時間遅延は、前記第2のタイマー信号の前記立上りエッジにおける前記第7の時間遅延の終わりにおいて始まり、前記第8の時間遅延は前記第3の時間遅延と等しく、
前記第8の時間遅延の終わりにおいて前記第2の出力信号によって第2のスイッチを起動し、前記第8の時間遅延は、前記フィルタリングされていない電流信号の前記第5のゼロ交差においてまたは前記第5のゼロ交差後に終わり、起動された前記第2のスイッチは、前記エネルギ源から前記コロナ点火器に電流が流れることを可能にし、
前記第2の出力信号の前記立下りエッジにおいて始まり、前記第2の出力信号の前記立上りエッジにおいて終わる第9の時間遅延を開始し、前記第9の時間遅延は前記第4の時間遅延と等しく、前記第9の時間遅延の終わりは、前記フィルタリングされていない電流信号の第6のゼロ交差の前に生じ、
前記第2の出力信号の前記立上りエッジにおいて始まり、前記第6のゼロ交差前にまたは前記第6のゼロ交差において終わる第10の時間遅延の終わりにおいて前記第2のスイッチを停止し、前記第10の時間遅延は前記第5の時間遅延と等しい、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記コロナ点火器によって受取られた電圧のゼロ交差が前記フィルタリングされていない電流信号の前記ゼロ交差と同時ではない場合、前記第および第の時間遅延のうち少なくとも一方を調節することを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本米国特許出願は、2013年12月12日に提出された米国仮特許出願番号第61/915,088号(代理人番号710240−6793;IA−50129)、2014年1月24日に提出された米国仮特許出願番号第61/931,131号(代理人番号710240−6830;IA−50134)、2014年3月11日に提出された米国仮特許出願番号第61/950,991号(代理人番号712040−6901;IA−50147)、2014年10月30日に提出された米国仮特許出願番号第62/072,530号(代理人番号710240−7346;IA−51029−1)、2014年12月10日に提出された米国仮特許出願番号第62/090,096号(代理人番号710240−7356;IΑ−50359)、2014年12月12日に提出された米国実用新案出願番号第14/568,219号(代理人番号710240−7404;IA−50129およびIA−50129−1)、2014年12月12日に提出された米国実用新案出願番号第14/568,266号(代理人番号710240−7409;IA−50147)、2014年12月12日に提出された米国実用新案出願番号第14/568,330号(代理人番号710240−7410;1A−50359)、および2014年12月12日に提出された米国実用新案出願番号第14/568,438号(代理人番号710240−7411;IA−50134)の恩恵を主張し、各々の内容全体を引用によって本願明細書において援用する。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は概して、コロナ放電点火システムに関し、より特定的には、コロナ点火システムに供給されるエネルギを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
コロナ放電点火システムは、交流電圧および電流を供給し、高電位電極と低電位電極とを高速で連続的に反転させ、コロナ放電の形成を強化し、アーク形成のための機会を最小化する。システムは、中央電極が高い無線周波数電圧電位に充電され、燃焼室において強い無線周波数電界を生成しているコロナ点火器を含む。電界は、燃焼室における燃料および空気の混合物の一部分をイオン化し絶縁破壊を開始させ、混合気の燃焼を容易にする。これは点火事象と称される。電界は、混合気が誘電特性を維持し、非熱的プラズマとも称されるコロナ放電が生じるように制御されることが好ましい。混合気のイオン化された部分は火炎前面を形成し、次いで自律的となり、混合気の残りの部分を燃焼する。電極と、点火器の接地筒壁、ピストン、金属シェル、または他の部分との間で熱プラズマおよび電気アークを生成することになるであろうすべての誘電特性を混合気が失わないように電界が制御されることが好ましい。
【0004】
その上、共振周波数動作によって、コロナ点火器が高い出力および効率を提供することが可能となるため、好ましいコロナ放電点火システムは、コロナ点火器がその共振周波数で駆動されるように動作する。しかしながら、共振周波数と等しくまたは近くなるようにコロナ点火器の駆動周波数を厳密に制御することは困難である。特に、コロナ点火器の設計は絶えず発展し向上しており、共振周波数の変化をもたらすからである。たとえば、共振周波数動作を実現しようとして使用されるある最近開発された方法は、正確な周波数へのロックを実現するために複数のサイクルを必要とし、迅速な周波数変化に厳密に追従することができない。別の方法は、限定された周波数範囲のみにわたる動作を可能にする。第3の方法は、プログラマブルデジタルコントローラまたはプログラマブル混合信号コントローラを利用して好適なタイミングおよび精度でシステムのスイッチを制御するが、この種のコントローラは複雑な仕様を必要とし、高いオーバーヘッドおよびしたがって高コストにつながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
発明の一局面は、費用がかかるコントローラなしに、コロナ点火器の共振周波数においてまたはその近くで動作することが可能であり、かつ共振周波数の変化に迅速に適合することが可能なコロナ点火システムを提供する。当該システムは、無線周波数において電流を受取り、無線周波数電界を供給するコロナ点火器を含む。電流センサは、コロナ点火器によって受取られた電流に関する情報を含むフィルタリングされていない電流信号を取得する。信号フィルタおよび信号調整装置の少なくとも一方は、電流センサからフィルタリングされていない電流信号を受信し、調整された電流信号を供給する。調整された電流信号は、フィルタリングされていない電流信号の第1のゼロ交差に後続する第1の時間遅延の終わりにおいて生じる立下りエッジを含む。第1のタイマーは、調整された電流信号を受信し、調整された電流信号の立下りエッジに応答して第2の時間遅延を開始する。第1のタイマーは第1のタイマー信号も供給し、第1のタイマー信号は、第2の時間遅延の終わりにおいて立下りエッジを含み、第2の時間遅延は、第1のゼロ交差に後続するフィルタリングされていない電流信号の第2のゼロ交差の前に終わる。第2のタイマーは、第1のタイマーから第1のタイマー信号を受信し、第1の出力信号を供給する。第1のタイマー信号の立下りエッジにおける第2の時間遅延の終わりにおいて第3の時間遅延が始まり、第1の出力信号は、第3の時間遅延の初めにおいて立上りエッジを含む。第1のスイッチは、第1の出力信号を受信し、第3の時間遅延の終わりにおいて起動され、第3の時間遅延は、フィルタリングされていない電流信号の第2のゼロ交差においてまたは第2のゼロ交差後に終わる。起動された第1のスイッチは、エネルギ源からコロナ点火器に電流が流れることを可能にする。
【0006】
発明の別の局面は、コロナ放電システムを制御する方法を提供する。当該方法は、コロナ点火器に無線周波数でエネルギを供給するステップと、コロナ点火器によって受取られた電流に関する情報を含むフィルタリングされていない電流信号を取得するステップとを含む。当該方法はさらに、フィルタリングされていない電流信号の第1のゼロ交差に後続する第1の時間遅延の終わりにおいて生じる立下りエッジを含む調整された電流信号を供給するステップと、調整された電流信号の立下りエッジに応答して第2の時間遅延を開始し、第1のタイマー信号を供給するステップとを含み、第1のタイマー信号は、第2の時間遅延の終わりにおいて立下りエッジを含み、第2の時間遅延は、第1のゼロ交差に後続するフィルタリングされていない電流信号の第2のゼロ交差の前に終わり、さらに、第3の時間遅延の初めにおいて立上りエッジを含む出力信号を供給するステップを含み、第3の時間遅延は、第1のタイマー信号の立下りエッジにおける第2の時間遅延の終わりにおいて始まる。当該方法は次いで、第3の時間遅延の終わりにおいて第1の出力信号によって第1のスイッチを起動するステップを含み、第3の時間遅延は、フィルタリングされていない電流信号の第2のゼロ交差においてまたは第2のゼロ交差後に終わり、起動された第1のスイッチは、エネルギ源からコロナ点火器に電流が流れることを可能にする。
【0007】
システムおよび方法は、電流の1回のゼロ交差の検出に基づくスイッチのタイミングの制御を提供し、ゆえに正確な周波数を迅速に自動追跡し、共振周波数の変化に迅速に応答することができる。スイッチを起動するために用いられるタイマーは、広範囲の間隔にわたってプログラムされることができ、広範囲の駆動周波数に対応することが可能となる。その上、タイマーがスイッチを起動することによるタイミング信号の生成は、コントローラの他の機能、たとえば車両との通信、電源の管理などとは無関係である。この分離により、コントローラに対する計算負荷が大幅に低減されることが可能となり、したがって、より少数の、かつ/またはより安価なコントローラの使用が可能となる。したがって本発明は、高解像度制御を可能にしつつ、コロナ点火器の共振周波数に、またはその付近に駆動周波数を維持するための、より費用効率の高いシステムおよび方法を提供する。
【0008】
図面の簡単な説明
本発明の他の利点は、添付の図面に関連して考慮されると以下の詳細な説明を参照することでより良く理解されるようになるため、容易に認識されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】発明の第1の例示的な実施形態に係るコロナ放電点火システムのブロック図である。
図2】例示的な実施形態に係る、図1のシステムのコロナ点火器の入力における電流を例示するフィルタリングされていない電流信号S1、コロナ点火器における電流とよく似ているフィルタリングされた電流信号S2、およびコロナ点火器における電流の位相を示す調整された電流信号S3のグラフを含む図である。
図3】例示的な実施形態に係る、コロナ点火器に供給されるエネルギを制御するために図2の調整された電流信号S3がどのように用いられるかを例示するグラフを含む図である。
図4】発明の第2の例示的な実施形態に係るコロナ放電点火システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の一局面は、システム20のコロナ点火器22の共振周波数とほぼ等しい駆動周波数を正確に維持するための費用効率の高いコロナ点火システム20を提供する。コロナ点火器22に加えて、システム20は、電流センサ24、コントローラ34から電気的に独立した少なくとも2つのカスケード接続されたタイマー26,28,30,32、および少なくとも2つのスイッチ36,38も含む。動作中に、電流センサ24はコロナ点火器22の入力40における電流を測定する。電流に関連した情報を含む調整された電流信号S3は、最終的に一対のタイマー26,28,30,32を起動し、結果としてスイッチ36,38の一方を制御し駆動する。比較のためのシステム20とは異なり、調整された電流信号S3は、スイッチ36または38を駆動する前にコントローラ34によって処理されない。
【0011】
システム20および方法は、電流の1回のゼロ交差の検出に基づくスイッチ36,38のタイミングの制御を提供し、ゆえに正確な周波数を迅速に自動追跡し、共振周波数の変化に迅速に応答することができる。スイッチ36,38を起動するために用いられるタイマー26,28,30,32は、広範囲の間隔にわたってプログラムされることができ、広範囲の駆動周波数に対応することが可能となる。その上、スイッチ36,38を起動するためのタイマー26,28,30,32からの出力信号S5の生成は、コントローラ34の他の機能、たとえば車両との通信、電源の管理などとは無関係である。この分離により、コントローラ34に対する計算負荷が大幅に低減されることが可能となり、したがって、より少数の、かつ/またはより安価なコントローラの使用が可能となる。したがって、高解像度制御を可能にしつつ、コロナ点火器22の共振周波数に、またはその付近に駆動周波数を維持するための、より費用効率の高いシステム20および方法が実現される。
【0012】
図1は、広範囲の駆動周波数、たとえば700kHz〜2MHzに対応するが、システム20の性能を損なうことなくそれほど高価でないコントローラ34を必要とする発明の例示的な実施形態に係るコロナ点火システム20を例示する。図1のシステム20は、変圧器42に、次いでコロナ点火器22にエネルギを供給するためにエネルギ源+V3を含む。コロナ放電44処理を始めるために、コントローラ34は、タイマー26,28,30,32の1つへのイネーブル信号46を開始して、第1のスイッチ36を起動し、電流がエネルギ源+V3から変圧器42を介してコロナ点火器22に流れることを可能にする。
【0013】
コロナ点火器22は無線周波数で電流を受取り、コロナ放電44と称される無線周波数電界を生じさせる。電流センサ24は、コロナ点火器22の入力40とも称される変圧器42の出力においてコロナ点火器22に供給される電流に関する情報を取得する。電流センサ24は、高周波ノイズを含むフィルタリングされていない電流信号S1の形態でこの情報を取得する。
【0014】
一対のカスケード接続されたタイマー26,28,30,32に向けて電流情報を伝達する前に、電流センサ24は、低域フィルタなどの信号フィルタ48および信号調整装置50の少なくとも一方に、フィルタリングされていない電流信号S1を伝達する。信号フィルタ48は、必要であれば高周波ノイズを信号から除去することができる。信号調整装置50は、電流の位相に関する情報を抽出することができる。この時点で、電流センサ24、信号フィルタ48および信号調整装置50による時間遅延によってオフセットされた、入力40における位相(電流流れの方向)に関する情報のみを典型的に含む調整された電流信号S3が供給される。図2は、コロナ点火器22への入力40における電流に関する情報を含む電流信号S1,S2,S3を示すグラフを含む。一実施形態では、調整された電流信号S3は、フィルタリングされていない電流信号S1の第1のゼロ交差X1に後続する第1の時間遅延T1の終わりにおいて生じる立下りエッジFを含む。第1の時間遅延T1は、電流センサ24の時間遅延T1Aおよび信号フィルタ48の時間遅延T1Bによって引起される。T1AおよびT1Bの両方は既知であり、コントローラ34によって補償されることができる。時間遅延T1AおよびT1Bを合せると、第1の時間遅延T1に等しい。第1の時間遅延T1は決定論的であり、既知であり得、したがってコントローラ34によって補償され得る。
【0015】
比較のためのシステム20とは異なり、調整された電流信号S3はコントローラ34に送られて処理されず、かつスイッチ36,38を駆動する信号を生成しない。むしろ電流情報を用いて、一対のカスケード接続されたタイマー26,28,30,32を直接トリガし、その結果スイッチ36,38の一方のタイミングをドライバ52または54を介して制御する。カスケード接続されたタイマー26,28,30,32は、コントローラ34から電気的に独立しており、したがって、タイマー26,28,30,32の解像度は、コントローラ34の処理ユニットのクロック速度とは無関係である。
【0016】
図1図3の例示的な実施形態では、第1のタイマー26は調整された電流信号S3を受信し、調整された電流信号S3の立下りエッジFに応答して第2の時間遅延T2を開始する。第1のタイマー26は、第1のタイマー信号S4も供給し、第1のタイマー信号S4は、第2の時間遅延T2の終わりにおいて立下りエッジFを含む。第2の時間遅延T2は、第1のゼロ交差X1に後続するフィルタリングされていない電流信号S1の第2のゼロ交差X2の前に終わる。第2のタイマー28は第1のタイマー26から第1のタイマー信号S4を受信し、第1の出力信号S5を供給する。第3の時間遅延T3は、第1のタイマー信号S4の立下りエッジFにおける第2の時間遅延T2の終わりにおいて始まり、第1の出力信号S5は、第3の時間遅延T3の初めにおいて立上りエッジを含む。第1のスイッチ36は第1の出力信号S5を受信し、第3の時間遅延T3の終わりにおいて起動される。この例示的な実施形態では、第3の時間遅延T3は、フィルタリングされていない電流信号S1の第2のゼロ交差X2において、または第2のゼロ交差X2後に終わる。起動された第1のスイッチ36は、エネルギ源+V3からコロナ点火器22に電流が流れることを可能にする。
【0017】
図1図3の例示的な実施形態では、第2のタイマー28は、第1の出力信号S5の立上りエッジRにおいて始まり、第1の出力信号S5の立下りエッジFにおいて終わる第4の時間遅延T4も開始する。第4の時間遅延T4の終わりは、フィルタリングされていない電流信号S1の第3のゼロ交差X3の前に生じる。第1のスイッチ36は、第1の出力信号S5の立下りエッジFにおいて始まり、第3のゼロ交差X3の前に、または第3のゼロ交差X3において終わる第5の時間遅延T5の終わりにおいて停止される。
【0018】
請求項1のシステム20では、コントローラ34は、第1のスイッチ36がコロナ点火器22によって受取られた電流のゼロ交差X1,X2,X3のうちの1つにおいてまたは隣接して起動されるかまたは停止されるように、第2の時間遅延T2および第4の時間遅延T4を設定する。調整された電流信号S3は、デジタル入力(DIG IN)を介してコントローラ34によってサンプリングされ、電圧と比較されて、第2の時間遅延T2または第4の時間遅延T4に対する調節が行われるべきかどうかを判定する。電圧センサ56を用いて、コロナ点火器22への入力40における電圧を測定し、次いでフィルタリングされていない電圧信号V1を供給することができる。フィルタリングされていない電圧信号V1は、調整された電圧信号V3を供給するように調整されたフィルタリングされた電圧信号V2を供給するようにフィルタリングされ、調整された電圧信号V3においてコントローラ34に伝達される。コントローラ34は次いで、調整された電圧信号V3を調整された電流信号S3と比較し、フィルタリングされていない電流信号S1のゼロ交差X1,X2,X3が入力40におけるフィルタリングされていない電圧信号V1のゼロ交差と同時ではない場合、時間遅延T2および第4の時間遅延T4の少なくとも一方を調節する。しかしながら、コントローラ34はエラーをチェックし、毎サイクルではなく時々調節を行えばよい。典型的に、調整された電流信号S3は、第1のスイッチ36に伝達される前にコントローラ34に伝達されることなく、電流センサ24から第1のスイッチ36に伝達される。
【0019】
コントローラ34がイネーブル信号46を開始すると、信号S1,S2,S3,S4,S5および時間遅延T1,T2,T3,T4,T5を含む上記の処理が連続的に反復する。当該処理は、第3のタイマー30、第4のタイマー32、第2のドライバ54、および第2のスイッチ38を用い始める。たとえば、例示的な実施形態では、第6の時間遅延が第5の時間遅延T5に続き、調整された電流信号S3は、フィルタリングされていない電流信号S1の第4のゼロ交差に後続する第6の時間遅延の終わりにおいて生じる立上りエッジを含む。第6の時間遅延の持続時間は、第1の時間遅延X1の持続時間と等しい。第3のタイマー30は調整された電流信号S3を受信し、調整された電流信号S3の立上りエッジに応答して第7の時間遅延を開始し、第2のタイマー信号S4を供給する。第7の時間遅延は第2の時間遅延T2と等しい。第2のタイマー信号S4は、第7の時間遅延の終わりにおいて立上りエッジを含み、第7の時間遅延は、第4のゼロ交差に後続するフィルタリングされていない電流信号S1の第5のゼロ交差の前に終わる。第4のタイマー32は第3のタイマー30からタイマー信号S4を受信し、第2の出力信号S5を供給する。第8の時間遅延は、タイマー信号S4の立上りエッジにおける第7の時間遅延の終わりにおいて始まる。第8の時間遅延は第3の時間遅延T3と等しく、第2の出力信号S5は、第8の時間遅延の初めにおいて立下りエッジFを含む。第2のスイッチ38は第2の出力信号S5を受信し、第8の時間遅延の終わりにおいて起動される。第8の時間遅延は、フィルタリングされていない電流信号S1の第5のゼロ交差においてまたはその後に終わり、起動された第2のスイッチ38は、エネルギ源+V3からコロナ点火器22に電流が流れることを可能にする。
【0020】
この例示的な実施形態では、第4のタイマー32は、第2の出力信号S5の立下りエッジFにおいて始まり、第2の出力信号S5の立上りエッジにおいて終わる第9の時間遅延を開始する。第9の時間遅延は第4の時間遅延T4と等しく、第9の時間遅延の終わりは、フィルタリングされていない電流信号S1の第6のゼロ交差の前に生じる。第2のスイッチ38は、第2の出力信号S5の立上りエッジRにおいて始まり、第6のゼロ交差の前または第6のゼロ交差において終わる第10の時間遅延の終わりにおいて停止される。第10の時間遅延は第5の時間遅延T5と等しい。
【0021】
コントローラ34は、ちょうど第3の時間遅延T3および第5の時間遅延T5のように、フィルタリングされていない電流信号S1のゼロ交差の1つにおいてまたは隣接してスイッチが起動されるかまたは停止されるように、第7の時間遅延および第9の時間遅延を設定する。第1、第3、第5、第6、第8、および第10の時間遅延は、固定され、電流センサ24、信号フィルタ48および/または信号調整装置50、タイマー26,28,30,32、ならびにスイッチ36,38の設計に少なくとも部分的に基づく。しかしながら、コロナ点火器22によって受取られる電圧のゼロ交差が、コロナ点火器22によって受取られる電流を表わすフィルタリングされていない電流信号S1のゼロ交差と同時ではない場合、コントローラ34は、第2の時間遅延T2および第4の時間遅延T4の少なくとも一方を調節する。
【0022】
なお、電流センサ24、信号フィルタ48、信号調整装置50、タイマー26,28,30,32、スイッチ36,38、ドライバ52,54、および変圧器42を含む電流制御ループのすべての要素における遅延T1,T2,T3,T4,T5をコントローラ34が十分に補償することができるならば、電圧サンプリングは省略されてもよい。その上、具体的な設置の要件に依存して、ループにおける要素の1つ以上を省略または変更してもよい。たとえば、タイマー26,28,30,32は、別個のドライバ52,54を使用せずにスイッチ36,38を動作させることが可能であり得る。別の例では、タイマー26,28,30,32は、依然として処理ユニットから電気的に独立しつつ、物理的にコントローラ34内に配置される。別の例では、電流センサ24は好適な周波数応答特性を有し、したがって信号フィルタ48は必要とされない。
【0023】
調整された電流信号S3と、調整された電圧信号V3または入力40における電圧との相対的なタイミングを監視することにより、コントローラ34が制御信号のすべてを正確に生成することを必要することなく、システム20の駆動周波数を、コロナ点火器22への入力40における電流の共振周波数にまたはその付近に厳密に維持することが可能となる。より速く、ゆえにより高価なコントローラ34を必要とすることなく必要な精度を実現するために、タイマー26,28,30,32は、コントローラ34とは異なる、典型的にはより速い速度のクロックを用いて駆動され得る。その上、この構造においてスイッチ52,54を用いる場合、デッドタイムが含まれ得る。デッドタイムは、スイッチ52,54の一方から他方に変わる間に生じる短い期間であり、両方のスイッチ52,54を通る電流フローが同時に重なることを回避するために、他方の伝導を可能にする前にスイッチ52,54の一方における伝導を完全に遮断することを可能にする。このデッドタイムは、このスキームではタイマー間隔T4およびT6の調節によって容易に実施され得る。
【0024】
図4は、発明の別の例示的な実施形態に係るコロナ放電44点火システム20を示す。この実施形態では、別個の位相検出器58が、たとえば電圧がゼロと交差する前または後に電流がゼロと交差した場合、調整された電流信号S3と調整された電圧信号との間の位相差を比較してエラーを識別する。その場合、システム20は共振していない。位相検出器58は、識別されたエラーと、デジタル入力を介してコントローラ34に通過される方向信号とを供給する。コントローラ34は次いで、これに応じて第4の時間遅延T4および第6の時間遅延T6を調節して、エラーを訂正する、たとえば処理をスピードアップするかまたは遅くすることができ、したがって電流および電圧が同時にゼロと交差する。位相検出器58は、たとえばフェーズロックループ(PLL)を制御するための回路において一般に用いられるため、位相検出器58の設計は、当該技術で周知のものから選択することができる。この位相検出器58は、調整された電流信号S3の位相を、調整された電圧信号の位相と比較し得る。あるいは、位相検出器58は、調整された電流信号S3の位相を、たとえばタイマー信号または出力信号S5における前述したループ中の任意の他の点から導出される電圧位相と比較することができる。
【0025】
本明細書に記載されるシステム20において採用されることができる共振周波数制御の他の方法は、関連する米国特許出願番号第14/568219号、第14/568266号、および第14/568438号に開示されていることも注記する。これらは、引用によって本願明細書において援用される。その上、これらの出願の各々は、本システム20に組込まれることができる構成要素を有するシステムを開示している。各出願は、本願と同じ発明者を挙げ、本願と同じ日に提出されたものである。
【0026】
上に示されるように、本発明のシステム20は、システム20のコントローラ34から電気的に独立し、コロナ点火器22における電流および電圧の挙動の測定値から導出されるハードウェア信号によって直接トリガされることができるカスケード接続されたタイマー26,28,30,32を含む。これらのタイマー26,28,30,32は次いで、コロナ点火器22に供給された電力の周波数を駆動する回路を制御するスイッチ36,38を直接起動する。コントローラ34は、フィードバック信号を監視し、スイッチ36,38を直接正確に起動する代わりに、タイマー26,28,30,32が適切に構成されることが確実となるようにそれらを管理するだけでよい。したがって、タイマー26,28,30,32の解像度は、コントローラ34の処理ユニットのクロック速度とは無関係である。
【0027】
カスケード接続されたタイマー26,28,30,32は、システム性能を損なうことなく、より遅くより安価な処理ユニットがコントローラ34において用いられることも可能にする。したがって、処理オーバーヘッドが大幅に減少される。厳密な周波数制御を確実にするためのプログラマブルデジタルコントローラまたはプログラマブル混合信号コントローラ34はいくつかの利点を提示するが、周波数制御に必要とされる高精度は、コントローラ34における高解像度要件につながり、多くの場合処理ユニットへの高い計算負荷につながり、速いクロック速度、ゆえにより高い費用を必要とする。その上、タイマー26,28,30,32は、広範囲の駆動周波数が用いられることを可能にする広範囲の間隔にわたってプログラムされることができる。
【0028】
明らかに、本発明の多くの変更および変形が上記の教示に照らして可能であり、具体的に記載された以外のやり方で、請求項の範囲内において実施され得る。
図1
図2
図3
図4