【実施例】
【0020】
本発明による検出および分類方法は、1つの場合可視−NIR(可視領域を含む0.6μm〜1.1μmさもなければ0.4μm〜1.1μm)検出器22、およびもう1つの場合帯域1またはSWIR(0.9μm〜1.7μm)検出器21を含む、少なくとも2つの焦点面を可能にするように設計された光学部品10を備える、
図1で描写される単一瞳撮像システムを用いて実施される。この光学部品は、好ましくは、観測されるべきシーンのパノラマ画像を各々の検出器上に形成するように設計される。光学部品は、半球状またはより大きい視野のヘッドモジュール11を備え、画像を形成するための光学要素12、ダイクロイックスプリッタ13、ならびに各々のスペクトルチャンネル上の適合光学部品14および15がヘッドモジュール11に続く。反射屈折の組合せ(ガラスでできた鏡およびジオプタ)は例えば、非常に広いスペクトル帯すなわち、可視の、近赤外線(NIR)および帯域1(SWIR)で動作することを可能にするように使用される。2つの検出器に共通の光学部品を使用することによって、これらの検出器から画像に対する視差効果が生じるのを回避することが可能になる。
【0021】
例えばInGaAsに基づいた、SWIRマトリックス検出器21は、通常、400Hzの画像レートで30μmの間隔において320行×256列、または、現在の最先端に対応する、300Hzの画像レートで15μmの間隔において640行×512列のマトリックスフォーマットを有する。この検出器は、通常、640×512フォーマットでピクセルに対して4mrdの空間分解能を有する。より大きいフォーマットを予想することができる。しかしながら、大部分は非常に短い(一般に100ms未満の持続時間)脅威を分類するための画像レートおよび時間応答の必要条件は、200Hz以上の取得レートまたは小さい口径を分類することが望ましい場合1000Hzの取得レートさえ要求する。検出器は、ROIC(「読出し集積回路(Read Out Integrated Circuit)」を表す)と呼ばれる、その読出しおよび多重化回路を統合する。
【0022】
ピクセルは、1つまたは複数の適切なフィルタ、すなわち、
− 約1.064μmの狭帯域および1.4μmを上まわり検出器のカットオフ波長、例えば1.7μmまたはそれ以上までの広帯域を同時に通過させる、ピクセルのマトリックス211全体にわたる単一のフィルタ、
− 例えば2×2タイリング上の、ピクセルに各々適したいくつかの異なるフィルタであって、
○ 爆発の開始識別特性の検出のための副帯域(1.4〜1.7μm)
○ レーザスペクトル線に調整された狭帯域(1.06μm、1.5μm、...)
を含むフィルタ、
などを備える。
【0023】
読出し回路またはROICは、検出器の近接電子装置(またはE−prox)210に接続され、ROICおよび/またはE−proxは、特定の機能、例えば、
− 200Hzを上まわるまたは5ms未満の期間および不感時間のない積分時間の高レート読出しであって、積分時間は画像フレーム取得期間に等しいまたは非常に近い、
− デュアルスロープ、例えばルートまたは対数非線形応答、飽和カウントダウン前のリセット、などのさまざまな方法で達成され得る高ダイナミックレンジ(HDRモード)、
などを統合する。
【0024】
CMOSシリコン検出器は、例えば、可視検出器22として使用される。それは高い空間分解能(例えば1ピクセルに対して1mrd)を有し、25Hzのレートで、またはより一般的には25Hzと100Hzとの間のレートで動作する。s−CMOS(サイエンティフィックCMOS)などの、低雑音および増幅ならびに列方向の並列なアナログ−デジタル変換を有する4Tまたは5TのCMOSマトリックス221(ピクセルに4個または5個のトランジスタを含む)は、このような検出器の例として引用することができる。CMOS検出器221は、検出器の近接電子装置(またはE−prox)220に接続される、検出器の読出しおよび多重化回路(またはROIC)を統合する。ROICと関連付けられた近接電子装置は、日中におよび夜間において最大の性能で取得した画像を利用することを可能にするために、アナログ−デジタル変換および信号の復元(NUC−不均一性補正(Non Uniformity Correction))のすべての動作を遂行する。近接電子装置は、オペレータ用のシーン表示機能を確実にするために表示装置40に接続される。可視画像42は表示されるが、SWIR画像41は必ずしも表示されない。
【0025】
これらの検出器22、21は、2つの検出器によってそれぞれ得られた可視画像42およびSWIR画像41を処理するためのユニット50に接続され、ユニット50は、
図1および、
図2のフローチャートと関連して説明される以下のステップを実施することが可能である。脅威(またはイベント)は、取得された画像上で光学的識別特性によって特徴づけられる。本発明によれば、イベントが検出されてそれから4個の属性が定義され、属性に基づいてこれらの光学的識別特性が分類されることになる。
【0026】
全ての脅威は、スペクトル発光領域のために、スクリーンを見るときまたは直接見るときでさえオペレータにとって目で認識することはしたがって非常に困難である、非常に短い光学的識別特性によって特徴づけられる。したがって、それらは自動的な処理を通して検出されなければならない。
【0027】
識別特性の時間プロファイル、すなわちそれらの持続時間、およびおそらく立上り時間および降下プロファイルは、第1の属性を構成し、それは次の方式で得られる。
【0028】
イベントは、第1に検出手段51によって検出され、その特性のいくつかが次の方式で推定される。SWIR画像41と呼ばれる、観測されるべきシーンの画像は、SWIR検出器によって連続的に取得される。VisNIR画像42と呼ばれる、このシーンの画像は、可視検出器によって同時に取得され、これらのSWIR画像およびVisNIR画像は、検出器を駆動および同期するための電子装置30を用いて互いに時間的に同期され、そして次に分類目的のためにメモリに格納される。この同期は、両方の検出器に対して同じレートで画像を取得することから生じ得るが、前述したようにレートは一般に異なっている。
【0029】
SWIR画像41は、SWIR照度における変動を各々のピクセル(x
i1,y
i1)に対して決定するために互いに比較される。照度e
i1は、脅威の画像が形成されるピクセル上で積分された信号によって与えられる。照度におけるこの変動が所定の閾値または時空間的背景の識別特性に従って適合され得る閾値より大きい場合、それはイベントのSWIR識別特性を表すとみなされる。イベントiは、
図3aに示すように検出される。照度閾値は通常、この段階で望ましい検出確率および誤警報率に応じて、背景の標準偏差における変動の2倍から10倍である。W/m
2単位の照度e
i1は、SWIR検出器、その光学部品15およびその可能なフィルタによって決定されたスペクトル受信帯域でこのように決定される。
【0030】
秒単位での変動の持続時間δt
i、すなわち、照度におけるこの変動がこの閾値より大きい持続時間は、同様に決定される。この持続時間δt
iは、したがって、イベントを分類するための第1の属性を構成する(ステップA)。
【0031】
SWIR領域で遂行されるこのイベント検出に基づいて、同じ視野において同期方式で収集されたフラックスレベルをVisNIR画像42上で測定することが可能になる。次のことが遂行される。
【0032】
手段53は、前記SWIR画像と同期されたVisNIR画像42におけるこのイベントに対応するピクセルの座標(x
i2,y
i2)を決定するために使用される。SWIR画像およびVisNIR画像の寸法が同じとき、可視画像におけるピクセルの座標はSWIR画像のピクセルの座標と同一であり、我々はx
i1=x
i2およびy
i1=y
i2を得る。
図3の例におけるようにVisNIR検出器の空間分解能がSWIR検出器の空間分解能より大きいためVisNIR画像がSWIR画像よりもっと分解される場合、VisNIRピクセルの座標は、検出がなされるSWIRピクセルに対応して決定される。VisNIRピクセルおよびSWIRピクセルに対するこの対応づけ動作は、検出器マトリックスが光学部品に統合された後に工場で遂行され得る。隣接したSWIRピクセルで検出がなされる場合、その重心の位置が決定され、この重心に対応するVisNIRピクセルが位置を特定される。VisNIR帯域でピーク信号を測定することによって、またはイベントによって照らされた隣接したピクセルの寄与を合計することによって、この受信器のスペクトル帯におけるW/m
2単位でのイベントのVisNIR照度e
i2が決定される。VisNIRチャンネルでイベントが検出できない可能性がある。この場合、照度の振幅が雑音または不確実性に対して低すぎるので、照度e
i2およびゼロ、または、決定することができない。
【0033】
このピクセルに対して比率e
i2/e
i1が計算される。SWIR照度に対するVisNIR照度のこの比率によって、属性を計算するための手段54を介して、イベントの(K単位の)温度T
iを推定すること(ステップB)が可能になる。この温度は、光学的識別特性の第2の属性である。この目的で、例えば、その寄与が温度の関数として2つのスペクトル帯、SWIRおよびVisNIR、に対して統合される、プランクの法則を使用して、照度のこれらの比率と対応する黒体または灰色体温度との間の対応づけを確立することを可能にする所定のテーブルが使用される。2つのチャンネルから生じるデジタル信号は、このユニットで測定値を提供するためにW/m
2で較正される。あるいは、検出器は、実験室で較正黒体を観測するときに検出器が供給する信号を測定することによって較正することができる。
【0034】
この温度は、通常、太陽またはその変調または雲によるその散乱、さもなければ鏡、金属製の外形(窓または道標の外形など)による、さもなければ水上での反射によるその反射からなる誤警報の原因を排除するために使用される。実際に、移動式プラットフォーム上で、これらの太陽の反射は、めざす弾薬の時空間的識別特性に非常に近いSWIR領域における時空間的識別特性を生成する傾向がある。黒体温度が約5800Kである、太陽またはその反射は、2000K未満の黒体温度を有する爆発の開始の花火の識別特性と関連付けられたものよりずっと強い短波長(可視および近赤外線)における極端な識別特性を生成することになる。したがって、可視または近赤外線領域における極端な識別特性の検出により、同じ瞬間的な視野をカバーしているピクセル上のSWIRで起こり得る検出を無効化することが可能になる。可視検出器上で収集されたフラックスレベルにより、温度を介して、イベントの検出を有効にするまたは拒絶することが可能になる。すなわち、日中のシーンに対して、温度が閾値(例えば5000K)より大きい場合、このイベントは誤警報であり、そうでない場合、イベントは有効にされる(ステップC)。この有効にされたイベントは、さらに、オペレータの注意のために可視画像上にはめ込むことができる。
【0035】
この温度属性は、有利には、第1の属性(持続時間)と並列に、処理ユニットによって決定される。
【0036】
これらの脅威が発生するすべての軍需品は、その範囲を超えると脅威がもはや効果的でない、致死性または有効性の範囲Pによって特徴づけられる。それらの範囲は、RPGまたは短距離対戦車ロケットに対するクラス100m、および、ミサイルの弾径およびミサイルの装薬に応じた、ミサイルのタイプ、または砲弾射撃に応じて、対戦車ミサイルに対するクラス500mから8kmである。
【0037】
本発明によれば、処理ユニットは、可視画像42の地点(シーン−撮像システムの対象地点)の距離R
iを推定するための手段52を備える。
【0038】
撮像システムは、例えば陸上の、プラットフォーム中に設置される。VisNIR検出器の基準のフレームで高度および方角方向を確認することによって、ならびにプラットフォームに対して、またはより望ましくは(地面に対するプラットフォームの相対位置に関する情報を利用することによって)地面に対して、高さおよび方向づけにおいてその位置を確認することによって、水平な平面の地面を想定することによって、またはより望ましくは、例えば車両のGPS位置によって、および、地平線の輪郭を提供する、可視検出器によって供給される画像から生じるデータによって、もしくは画像のフィールド中のランドマークの場所によって、図示されたデジタル地形モデル(DTM)を利用することによって、それらの地点の見かけ上の高度の関数として地面からの画像の地点の距離を推定することが可能である。プラットフォームが基本的施設に固定されるとき、その設置の間に、陸上のシーンの可視画像のすべての地点をその距離と対にすることが可能である。プラットフォームが移動式であるとき、シーンの特徴的な地点の角速度は、撮像システムの角度分解能のため、良好な精度で連続したVisNIR画像の間で測定することができる。シーン全体の角速度のこのフィールドは、オプティカルフローと呼ばれる。それによって、フィールドの回転および、オプティカルフローがゼロである、(フィールドの逆回転の後の)プラットフォームの速度ベクトルの方向を測定することが可能になる。パノラマ撮像システムの画角の広い有効範囲によって、プラットフォームの速度ベクトルの方向が観察視野の中にありピクセルと一致することを確実にすることが可能になる。プラットフォームの速度、その挙動およびその推進によって供給される情報を確認することによって、または慣性ユニットからの情報、さもなければおそらく、短距離地上オプティカルフロー、シーンの要素の角速度の測定値および、プラットフォームの速度ベクトルに一致するピクセルと角速度が推定されるシーンの要素の画像に関連付けられた方向との間の角度偏移の測定値を利用することによって測定された情報を利用することによって、その距離Rを推定することができる。
【0039】
図3cに示すように、イベントiと関連付けられた距離R
iは、可視画像42上にリアルタイムで表示することができ、イベントiは、例えば、着色されたレチクルなどの所定のシンボルを使用して可視画像上にはめ込まれる。
図3aに示すSWIR画像41は、一般に表示されない。
【0040】
このイベントに対して得られる距離および可視照度に基づいて、手段54は、イベントの強度I
iを(W/srで)計算するために使用され、これが第3の属性である(ステップD)。実際に、SWIR照度の振幅は、1/R
2法則を通して距離Rに、および距離Rに依存する透過係数をもたらすことになる大気減衰T
atmに依存することが思い出される。我々は、
I
i=(1/T
atm)e
iR
i2
を得る。
【0041】
SWIR画像41において、発生源の光学的識別特性は、分解されるか(いくつかのピクセルの上に拡張される)もしくは分解されず(発生源の画像は単一ピクセル上で形成される)、または、中間の状況で、ピクセルのサイズ、光学部品の焦点距離および帯域1での光学部品のMTF(変調伝達関数(Modulation Transfer Function))によって定義された瞬間的な視野に対してほとんど拡張されない。
【0042】
図3または
図4の例で示すように識別特性が空間的に分解されるとき、ピクセル上に見られるピーク信号の振幅に対応する照度e
i1は、積分時間の間に識別特性の輝度によって決定され(ステップE)、手段54によって得られる。この値は、脅威を分類するための第4の属性を構成する。この属性は、分解されない発生源によって供給される照度の場合のように1/R
2法則を通して距離Rに依存しないので、非常にロバストである。この場合、イベントのW/sr/m
2単位での輝度L
iは、関係式
L
i=e
i1/[T
atm(IFOV)
2]
を通してピクセル上で見られるピーク照度によって与えられ、式中IFOVは検出器の瞬間的な視野の立体角である。あるいは、平均輝度は、発生源の画像が形成される隣接したピクセルによって収集された信号e
i1を積分し、分解されたイベントが見られるステラジアン単位の立体角Ωで割ることによって与えることができる。受信した照度は、距離Rに依存する(1/R
2法則)ので、それは脅威を分類するための属性を構成しない。撮像システムがプラットフォーム(タレット、「パンおよびチルト」プラットフォーム)に連接された部材の上に取り付けられている場合、シャシに対するSWIR検出器の動きを知ることによって、SWIR検出器の基準のフレームでまたはプラットフォームの基準のフレームで高度および方角において角特定を可能にすることによって、この識別特性の重心だけが意味を持つ。このイベントはそれから、その持続時間、その温度、その強度およびその輝度の関数として「分解」されて分類される。
【0043】
最終的に、イベントの大きさと、およびその持続時間と関連付けられた、イベントの強度またはその輝度によって、脅威の範囲およびその弾薬の推定に関連し得るイベントの(J単位の)エネルギーE
iを推定すること(ステップF)が可能になる。それらは手段54によって計算される。
【0044】
イベントiが分解されるとき、我々は、E
i=L
iΩR
i24Πδt
iを得る。
【0045】
イベントが分解されないとき、我々は、E
i=I
i4Πδt
iを得る。
【0046】
これらの4個(識別特性が分解されない場合)または5個(識別特性が分解される場合)の属性によって、手段55で脅威をロバストに分類することが可能になる。イベントがその温度に基づいて有効にされているまたは、むしろ、誤警報であるとみなされていないとき、イベントはそれから、その持続時間、その温度、その強度、そのエネルギーおよびおそらくその輝度、ならびに
図5のテーブルに示すような所定のクラスに基づいて分類される。これらのステップはSWIR画像の各々の他のピクセルに対して繰り返される。
【0047】
脅威の分類とイベントの距離およびエネルギーの推定を関連付けることによって、撮像システムまたは観察者が脅威の致死性領域P内に位置しているかどうかを決めること、および、必要かつ可能な場合、リアルタイムで適切な報復に着手することが可能である。報復は、
図1に示すように処理ユニットの手段56によって自動的に、またはオペレータによって手動でトリガすることができる。
【0048】
この検出および分類方法は、具体的には、コンピュータプログラム製品に基づいて実施することができ、このコンピュータプログラムは、方法のステップを行うことを可能にするコード命令を含む。それはコンピュータによって読取り可能な媒体に記録され、SWIR画像と可視画像を同期させるために同様に使用される。媒体は、電子式、磁気式、光学式、電磁式とするか、または赤外線方式の配布媒体とすることができる。このような媒体は例えば、半導体メモリ(ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM))、テープ、磁気または光学式ディスケットまたはディスク(コンパクトディスク−リード・オンリ・メモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク−リード/ライト(CD−R/W)およびDVD)である。