(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6450037
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】受配電設備システムにおける高圧ケーブル地絡検出遮断回路
(51)【国際特許分類】
H02H 3/38 20060101AFI20181220BHJP
H02B 1/04 20060101ALI20181220BHJP
H02B 5/00 20060101ALI20181220BHJP
H02H 7/26 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
H02H3/38 B
H02B1/04 F
H02B5/00 Y
H02H7/26 B
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-20683(P2018-20683)
(22)【出願日】2018年2月8日
【審査請求日】2018年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】597135356
【氏名又は名称】東伸電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075144
【弁理士】
【氏名又は名称】井ノ口 壽
(72)【発明者】
【氏名】此川 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】松岡 賢司
(72)【発明者】
【氏名】林 栄治
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 晴芳
(72)【発明者】
【氏名】根本 聡子
【審査官】
阿部 陽
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−043474(JP,A)
【文献】
特開2007−132665(JP,A)
【文献】
特開2013−104712(JP,A)
【文献】
特開2017−112741(JP,A)
【文献】
特開2011−037542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/32−3/52
H02H 7/22−7/30
H02B 1/00−1/38;1/46−7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤ブロックを設置し、電力会社から供給される高圧電力を受電し、前記基盤ブロックよりクレーンを起動するため、高圧供電ケーブルを引き出し、または冷凍装置電力、一般動力もしくは照明用電力を供給する受配電設備システムにおいて、
前記基盤ブロックに供給する電力会社配電所用接地形計器用変圧器EVT1が設置され、外部入力する高圧ケーブルの、前記基盤ブロック内の中間部に絶縁変圧器を接続可能な接続手段を設け、さらに高圧遮断器を介して延出し、他の基盤ブロックまたはクレーンを起動する高圧ケーブルに接続するように構成すると共に、
前記基盤ブロックに、
零相電圧を検出する零相計器用変圧器ZVTと、
地絡電流回路を形成する接地形計器用変圧器EVTと、
前記零相計器用変圧器ZVTが検出した零相電圧信号が一方の入力端に供給されるAND回路と、
前記接地形計器用変圧器EVTにより形成した地絡電流回路からの零相電流または前記電力会社配電所用接地形計器用変圧器EVT1からの零相電流を検出し、該検出信号を前記AND回路の他方の入力端に供給する零相変流器ZCTと、
前記AND回路の出力により動作し、高圧ケーブルを遮断する継電器と、を有し、
接地形計器用変圧器EVTの1次側および2次側を開放か、接地に切り替える切替器により零相計器用変圧器ZVT使用に切り替えられる場合、前記絶縁変圧器の入出力を切り離し接続すべき接続手段を短絡状態とし、
前記切替器により接地形計器用変圧器EVT使用に切り替えられる場合、前記絶縁変圧器を高圧ケーブル中に接続することを特徴とする高圧ケーブル地絡検出遮断回路。
【請求項2】
請求項1記載の高圧ケーブル地絡検出遮断回路において、
前記接地形計器用変圧器EVTは、前記零相計器用変圧器ZVT使用に切り替えられた場合、VTとして使用することも可能とし、前記接地形計器用変圧器EVT使用に切り替えられた場合、地絡電流回路を形成することを特徴とする高圧ケーブル地絡検出遮断回路。
【請求項3】
請求項1または2記載の高圧ケーブル地絡検出遮断回路において、
前記継電器は、零相電流に方向性を持った地絡方向継電器であり、当該基盤ブロックを経由する高圧回路の後備のみの地絡に反応することを特徴とする高圧ケーブル地絡検出遮断回路。
【請求項4】
請求項1,2または3記載の高圧ケーブル地絡検出遮断回路において、
前記基盤ブロックは、コンテナに収容され、該ブロック収容コンテナを1以上配設したことを特徴とする高圧ケーブル地絡検出遮断回路。
【請求項5】
請求項4記載の高圧ケーブル地絡検出遮断回路において、
複数の前記ブロック収容コンテナは、コンテナターミナルの所定位置に並列的に配設したことを特徴とする高圧ケーブル地絡検出遮断回路。
【請求項6】
請求項4記載の高圧ケーブル地絡検出遮断回路において、
複数の前記ブロック収容コンテナは、コンテナターミナルの所定位置に縦型に積み重ねて設置したことを特徴とする高圧ケーブル地絡検出遮断回路。
【請求項7】
請求項4,5または6記載の高圧ケーブル地絡検出遮断回路において、
前記ブロック収容コンテナにおける高圧フィーダへの高圧ケーブルの配線は、L形カップリングを用いて接続可能にしたことを特徴とする高圧ケーブル地絡検出遮断回路。
【請求項8】
請求項4,5または6記載の高圧ケーブル地絡検出遮断回路において、
複数の前記ブロック収容コンテナには制御・監視ケーブルの低圧、弱電用カップリングを有することを特徴とする高圧ケーブル地絡検出遮断回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岸壁などのコンテナターミナルに設置され、ガントリークレーン(以下、「G/C」と云う)およびリーファーコンテナに搭載される冷凍設備、さらにはコンテナターミナル内の照明塔に所定の電力・電源を供給する受配電設備システム、さらに詳しく云えば、多数の基盤よりなる基盤ブロック単位のものの1以上で受配電設備システムを構成し、高圧電力ケーブルの地絡事故に対し高圧電力ケーブルを遮断して受配電設備を保護する、基盤ブロックに設けられる高圧ケーブル地絡検出遮断回路に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶に搭載されたコンテナはG/C等により岸壁側に降ろされ、コンテナターミナルの所定の場所に運ばれ蔵置される。リーファーコンテナは船舶から降ろされるときに一旦、電源が外され、リーファーエリアに運ばれ、そこに設備されているリーファコンセントに接続されて、電力が供給されるようになっている。G/Cは起動のための高圧ケーブルを接続することが必要である。コンテナパッケージ形受配電設備システムは電力会社より高圧電力を受電し、G/Cに高圧電力を供給し、リーファーコンテナに搭載される冷凍設備、さらにはコンテナターミナル環境の照明塔などにも電力を供給する設備能力が必要である。
【0003】
リーファーエリアには多数のリーファーコンテナを設置するために多数台設置される。コンテナパッケージ形受配電設備システムは、一般に高圧受電引込点の近辺に設置される。しかし、リーファーコンテナが多数設置され、そのエリア毎の高圧電源設備が必要となり、またG/Cが多く存在すると、設置した受配電設備から高圧ケーブルが長くなる。
【0004】
図7A〜
図7Eは、コンテナターミナルの荷役作業現場において受配電設備およびG/Cシステムが増設される流れを説明するための概略図である。
図8A〜
図8Eは、増設される受配電システムの詳細を説明するための図である。
STEP−1を示す
図7Aは、コンテナ船の近くに自走式クレーンがいる状態を示し、コンテナ船が岸壁に横付けされている。照明塔が6基設置されている。ここでは、一般のコンテナを据え置くためのコンテナヤードである。コンテナヤードには複数台のトランスファークレーンがあり、ゲートハウス、管理塔ならびに受電柱を介して受電されるAブロックおよびB−1ブロックが設置されている。
図8Aにおいて、Aブロックの絶縁変圧器の接続部間はシャントされている状態であり、高圧遮断器VCBを介して高圧ケーブルがB−1ブロックに接続されている。管理棟、ヤード照明塔およびヤード照明保安灯にはB−1ブロックから電力が供給されるようになっている。B−1ブロックではAブロックからの高圧ケーブルが高圧遮断器VCBを介して高圧プラグ/レセップに接続され、この高圧プラグ/レセップは使用されていない状態である。
図7Bでは、コンテナ船の近くにG/Cが2基設置され、G/CはB−1ブロックの空きの高圧プラグ/レセップに接続されて高圧電圧が供給される(
図8BのSTEP−2参照)。
【0005】
STEP−3を示す
図7Cは、B−2ブロックが増設されてAブロックに高圧ケーブルで接続された状態を示している。B−2ブロックでは、Aブロックから受電した高圧電力はその一部がTRによって低圧に電圧変換されて低圧プラグ/レセップに接続され、リーファースタンドに供給された状態が示されている。Aブロックから受電した高圧電力の他の一部は高圧遮断器VCBを介して高圧プラグ/レセップに接続されている(
図8C参照)。
STEP−4を示す
図7Dは、さらにC−1ブロックと3台目のG/Cが増設され、このG/CはC−1ブロックからの高圧ケーブルが接続された状態を示している。
図8Dにおいて、Aブロックの高圧プラグ/レセップ間のシャントは外され、絶縁変圧器が挿入されている。そして、C−1ブロックではB−2ブロックから受電した高圧電力はその一部がTRによって低圧に電圧変換されて低圧プラグ/レセップに接続され、リーファースタンドに供給されるようになっている。さらに、B−2ブロックから受電した高圧電力の他の一部はそれぞれ高圧遮断器VCBを介してそれぞれ高圧プラグ/レセップに接続されている。この高圧プラグ/レセップの一方には増設されたG/Cへの高圧ケーブルが接続され、他方は空きとなっている。STEP−3〜STEP−4では、G/Cが増設され、高圧ケーブルの総延長が伸びるため、地絡事故検出に零相計器用変圧器ZVTよる零相電圧検出から接地形計器用変圧器EVTによる零相電流検出を採用している。
【0006】
STEP−5を示す
図7Eは、さらにC−2ブロックが増設され、C−1ブロックに高圧ケーブルで接続された状態を示している。
図8Eにおいて、C−2ブロックでは、C−1ブロックから受電した高圧電力はその一部がTRによって低圧に電圧変換されて低圧プラグ/レセップに接続され、リーファースタンドに供給されるようになっている。さらに、C−1ブロックから受電した高圧電力の他の一部はそれぞれ高圧遮断器VCBを介してそれぞれ高圧プラグ/レセップに接続されている。これら高圧プラグ/レセップ双方とも空きとなっている。このように、
図7A〜
図7Eでは、G/C3台が設置され、受配電設備が増設されることを想定しているが、多くのG/Cが設けられた場合、受配電設備が増設され、引き出される高圧ケーブルの数も多くなり、総延長も長くなることは明らかである。
【0007】
特許文献1は、この種のコンテナターミナルにおいて荷役方法およびその荷役制御システムを開示するものである。通常、リーファーコンテナをクレーンによって船からコンテナターミナル側に下ろす場合、船舶に搭載されているリーファーコンテナから船の管理システムに接続されている電源ケーブルを一旦解放して作業を行う。しかし、電源ケーブルが未だ解放されていない状態をクレーン操作者(オペレータ)が認識することなく吊上作業を行ってしまうとケーブルの切断事故につながることがあった。このケーブル切断事故を防止するため、特許文献1は管理システムからケーブル接続、解放の情報をコンテナターミナル制御システムに送り、さらにクレーン制御装置にクレーンを起動してよいか否かの情報を送ることにより、クレーンのコントロールをオペレータだけの操作だけに委ねるだけでなく、電源ケーブルが解放されていない状態をクレーンのコントロール信号として供給するようにしている。
特許文献1は、コンテナターミナルにおいてクレーンを電気的に制御する荷役制御システムを開示するものであり、コンテナターミナルのいずれかに多数のリーファーコンテナを配置し、配置されたリーファーコンテナに必要な電源を再度接続するための受配電設備システムについての開示はない。
【0008】
ところで、コンテナパッケージ形受配電設備システムのような高圧受電需要家に電力会社が高圧電力を供給する場合、以下に示す条件が義務付けられている。日本国内における電力会社が配電する高圧(6,600V)は、配電系統において非接地方式が採用されている。高圧受電する需要家(例えば、東京電力管内では、50KW〜約2,000KWの契約電力での電気使用を求める場合)は非接地方式による受電設備を設置することになる。
【0009】
その際、電力会社より電力を受ける受電地点以降(需要家側構内)に地絡事故が生じた場合、速やかに電力会社からの配電を切り離し、周辺の他の需要家への波及事故を防ぐ必要がある。そのために架空引込において高圧気中負荷開閉器PAS(柱上設置形:Pole Air Switch )、地中引込において高圧交流ガス負荷開閉器(地中引込形:Underground Gas Switch)の付属装置(SOG動作機能)により遮断することが義務付けられている。
【0010】
しかし、受配電設備よりさらに後備に高圧設備を有する施設の場合、その高圧配電線(以降、2次側配電線と称する)に地絡事故が発生した場合、その事故回路を選択して速やかに遮断し、他の設備への影響を少なくする必要がある。そのために、各2次側配電線に零相変流器ZCTおよび地絡方向継電器を設置し、検出した地絡電流(零相電流)と、さらに地絡した電流から発生した零相電圧を検出し、高圧遮断器を遮断(開放)することで可能になる。
【0011】
零相変流器ZCTによって検出された地絡電流は地絡方向継電器に供給され、同時に地絡により発生した零相電圧は地絡方向継電器のAND回路へ信号が入力され、時限回路を経て高圧遮断器へ遮断信号を与える。AND回路を構成し、時限を与えるのは地絡が継続していることを判別するためである。
【0012】
この零相電圧を検知する機器として零相計器用変圧器ZVTや接地形計器用変圧器EVTが考えられている。電力会社の配電所に設備されている配電線地絡事故零相検出には、その多くは接地形計器用変圧器EVTが使用され、各需要家に設置する地絡零相電圧検出装置は零相計器用変圧器ZVTが使用される。その理由として、接地形計器用変圧器EVTは3巻線から構成される機器であり、1次巻線(Y結線)の中線点を直接接地し、3次巻線のオープンデルタに抵抗体を挿入することにより高抵抗接地形態を構築しているからである。
【0013】
各需要家にこの接地形計器用変圧器EVTが設置されると、配電所からの等価接地抵抗が低くなり、検出感度が低下して地絡検出に支障がでる。そのため、受電点から受配電設備間の引込ケーブルの地絡を検出するSOG(PASやUGSを開放させて波及事故を防止する装置)と、2次側配電線の地絡を検出する地絡方向継電器には電流感度等に差を持たせ、2次側配電線の地絡で受電部のPASやUGSが遮断(開放)しないよう協調を取っている。
【0014】
しかし、需要家に高圧負荷設備が多くある場合、受電設備から後備に敷設する高圧ケーブルのこう長が長くそのケーブルに発生する対地静電容量が多くなり、ケーブルに充電する電流も必然的に多くなる。地絡事故が発生すると、この充電電流が零相電流として流れる。電力を供給する電力会社では、ケーブル充電電流が大きく地絡事故に対する保護協調が取れなくなると判断した需要家には、受電点近傍に配電線と需要家の設備を電気的に絶縁する変圧器の設置を要求する。
【0015】
電力会社との協議により、当該需要家に絶縁変圧器を設置するに至ったとき、それ以降の高圧ケーブル等の地絡時に発生する零相電圧検出には接地形計器用変圧器EVTの設置が必要となる。さらに多くの充電電流が発生することが予想される場合には、接地用変圧器(10A,20A,30A,50A,100A用)が必要となるが、本件の想定する全設備は接地形計器用変圧器EVTの検出感度(およそ380mA程度)内と考えている。
【0016】
需要家での設備拡張が段階的に施工された場合、当初、零相計器用変圧器ZVTでの零相電圧検出をしても、絶縁変圧器の設置が必要となるほど充電電流が増加するに至ったとき、地絡方向継電器も含めて周辺の機器を交換し、その間長時間(絶縁変圧器の設置等を含め2〜3日)の停電が必要となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2011−37542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は受配電設備システムの基盤ブロックに、零相計器用変圧器ZVTおよび接地形計器用変圧器EVTを設け、所定の条件(電力会社の要請や、G/C増設で基盤ブロックの受配電設備内の設備拡張により高圧ケーブルが延長された場合等)に該当したとき、零相計器用変圧器ZVTによる零相電圧検出と外部(高圧電力供給元の電力会社等)の接地形計器用変圧器EVTによる零相電流検出の方式から、零相計器用変圧器ZVTによる零相電圧検出と基盤ブロックの接地形計器用変圧器EVTによる零相電流検出の方式に切替える構成を設けることにより、方式変更に要する時間を短縮し、変更作業を簡単化できる受配電設備システムにおける高圧ケーブル地絡検出遮断回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するために、本発明による高圧ケーブル地絡検出遮断回路は具体的には以下のような構成を有している。
基盤ブロックを構成する受配電盤には零相計器用変圧器ZVTと接地形計器用変圧器EVTの両方を設置する。当初、絶縁変圧器を要しない需要家側構内ケーブル等の充電電流が小さいときは、零相計器用変圧器ZVTによる零相電圧を検出させる。設備拡張に伴い、絶縁変圧器が必要になったときには、接地形計器用変圧器EVTに切り替える。ただし、零相計器用変圧器ZVTは常時地絡電圧を検出する機器として使用し、接地形計器用変圧器EVTは地絡電流の大きくなったとき(絶縁変圧器設置時)に多くの地絡電流を帰還させるための回路として使用する。
【0020】
零相計器用変圧器ZVTの使用時には接地形計器用変圧器EVTの1次巻線(Y結線)の中線点接地を対地から浮かす。接地形計器用変圧器EVTの1次巻線の中性点を浮かせた状態で使用した場合、接地形計器用変圧器EVTの1次側の母線が負荷バランス等により電圧の不衡等が生じ、一般使用時(中性点アース時)とは絶縁強度的に不足するため、接地形計器用変圧器EVTそのものの絶縁強度等を上げた仕様とする。
【0021】
地絡方向継電器は、零相計器用変圧器ZVTの使用に合わせるものとし、接地形計器用変圧器EVTの使用時においても地絡電圧は零相計器用変圧器ZVTからの信号とする(以後、絶縁変圧器の使用がない場合を「零相計器用変圧器ZVT使用時」と、絶縁変圧器の使用がある場合を「接地形計器用変圧器EVT使用時」と云う)。
【0022】
零相計器用変圧器ZVTと接地形計器用変圧器EVTが電源系統に同時に接続されないようインターロック機能を持たせる。零相計器用変圧器ZVTと接地形計器用変圧器EVTの切替回路はキー付きスイッチ等を用いることにより誤動作を防止するようにしてある。設備縮小に伴う場合は、接地形計器用変圧器EVT使用時から零相計器用変圧器ZVT使用時に切り替えも切替器により対応可能となっている。
【0023】
すなわち、前記目的を達成するために、本発明による請求項1記載
の高圧ケーブル地絡検出遮断回路は、基盤ブロックを設置し、電力会社から供給される高圧電力を受電し、前記基盤ブロックより
クレーンを起動するため、高圧供電ケーブルを引き出し、または冷凍装置電力、一般動力もしくは照明用電力を供給する受配電設備システムにおいて、前記基盤ブロックに供給する電力会社配電所用接地形計器用変圧器EVT1が設置され
、外部入力する高圧ケーブルの、前記基盤ブロック内の中間部に絶縁変圧器を接続可能な接続手段を設け、さらに高圧遮断器を介して延出し、他の基盤ブロックまたは
クレーンを起動する高圧ケーブルに接続するように構成すると共に、前記基盤ブロックに、零相電圧を検出する零相計器用変圧器ZVTと、地絡電流回路を形成する接地形計器用変圧器EVTと、前記零相計器用変圧器ZVTが検出した零相電圧信号が一方の入力端に供給されるAND回路と、前記接地形計器用変圧器EVTにより形成した地絡電流回路からの零相電流または前記
電力会社配電所用接地形計器用変圧器EVT1からの零相電流を検出し、該検出信号を前記AND回路の他方の入力端に供給する零相変流器ZCTと、前記AND回路の出力により動作し、高圧ケーブルを遮断する継電器と、を有し、接地形計器用変圧器EVTの1次側および2次側を開放か、接地に切り替える切替器により零相計器用変圧器ZVT使用に切り替えられる場合、前記絶縁変圧器の入出力を切り離し接続すべき接続手段を短絡状態とし、前記切替器により接地形計器用変圧器EVT使用に切り替えられる場合、前記絶縁変圧器を高圧ケーブル中に接続することを特徴とする。
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記接地形計器用変圧器EVTは、前記零相計器用変圧器ZVT使用に切り替えられた場合、VTとして使用することも可能とし、前記接地形計器用変圧器EVT使用に切り替えられた場合、地絡電流回路を形成することを特徴とする。
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1また
は2記載の発明において、前記継電器は、零相電流に方向性を持った地絡方向継電器であり、当該基盤ブロックを経由する高圧回路の後備のみの地絡に反応することを特徴とする。
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1,2または3記載の発明において、前記基盤ブロックは、コンテナに収容され、該ブロック収容コンテナを1以上配設したことを特徴とする。
本発明の請求項5記載の発明は、
請求項4記載の発明において、複数の前記ブロック収容コンテナは、コンテナターミナルの所定位置に並列的に配設したことを特徴とする。
本発明の請求項6記載の発明は、
請求項4記載の発明において、複数の前記ブロック収容コンテナは、コンテナターミナルの所定位置に縦型に積み重ねて設置したことを特徴とする。
本発明の請求項7記載の発明は、
請求項4,5または6記載の発明において、前記ブロック収容コンテナにおける高圧フィーダへの高圧ケーブルの配線は、L形カップリングを用いて接続可能にしたことを特徴とする。
本発明の請求項8記載の発明は、
請求項4,5または6記載の発明において、複数の前記ブロック収容コンテナには制御・監視ケーブルの低圧、弱電用カップリングを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
前述したような構成によれば、受配電設備システムの零相計器用変圧器ZVTと接地形計器用変圧器EVTを、構内高圧ケーブルの長さよりもそこに発生する充電電流の大きさに応じて切り替えて用いることができ、それにより、地絡事故を確実に検出し、波及事故を未然に防止することができる。高圧ケーブルの長さよりもそこに発生する充電電流の大きさに応じた安全な組み込み変更作業を容易にすることができる。地絡検出モード変更(ZVT⇔EVT)による受配電設備システムの停電時間を大幅に短縮し(概ね2〜3時間)使用する需要家の経済活動への影響を大幅に少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】本発明によるコンテナパッケージ形受配電設備システムにおける高圧ケーブル地絡検出遮断回路の実施形態を示す回路図で、零相計器用変圧器ZVT使用時の場合である。
【
図1B】本発明によるコンテナパッケージ形受配電設備システムにおいて零相計器用変圧器ZVT使用時の場合の動作を説明するための流れ図である。
【
図1C】本発明によるコンテナパッケージ形受配電設備システムにおける高圧ケーブル地絡検出遮断回路の実施形態を示す回路図で、接地形計器用変圧器EVT使用時の場合である。
【
図1D】本発明によるコンテナパッケージ形受配電設備システムにおいて接地形計器用変圧器EVT使用時の場合の動作を説明するための流れ図である。
【
図2】本発明によるコンテナパッケージ形受配電設備システムにおける基盤ブロック収容コンテナをコンテナターミナルに平面的に設置した斜視図である。
【
図3】本発明によるコンテナパッケージ形受配電設備システムにおける基盤ブロック収容コンテナをコンテナターミナルに縦に積み重ねて設置した斜視図である。
【
図4】Aブロック収容コンテナ内の基盤ブロックの実施の形態を示すブロック図である。
【
図5A】引込盤、受電盤および絶縁変圧器の詳細を示す回路図である。
【
図5B】引込盤、受電盤、EVT・ZVT盤、き電盤および空調・照明用低圧盤の詳細を示す回路図である。
【
図6】接地形計器用変圧器EVTをVTとして使用する回路構成を説明するための図である。
【
図7A】岸壁のコンテナターミナルの荷役作業現場において受配電設備およびG/Cシステムが増設される流れを説明するための概略図で、コンテナ船の近くの岸壁に自走式クレーンがいる状態を示す。
【
図7B】
図7Aと同等の概略図で、Aブロック,B−1ブロックが設置され、コンテナ船の近くにG/Cが2基設置されている状態を示す。
【
図7C】
図7Bと同等の概略図で、B−2ブロックが増設され、Aブロックに高圧ケーブルで接続された状態を示す。
【
図7D】
図7Cと同等の概略図で、さらにC−1ブロックと3台目のG/Cが増設され、G/CにC−1ブロックからの高圧ケーブルで接続された状態を示す。
【
図7E】
図7Dと同等の概略図で、さらにC−2ブロックが増設され、C−1ブロックに高圧ケーブルで接続された状態を示す。
【
図8A】
図7Aの受配電設備の詳細を説明するための図である。
【
図8B】
図7Bの受配電設備の詳細を説明するための図である。
【
図8C】
図7Cの受配電設備の詳細を説明するための図である。
【
図8D】
図7Dの受配電設備の詳細を説明するための図である。
【
図8E】
図7Eの受配電設備の詳細を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。
図1Aは、本発明によるコンテナパッケージ形受配電設備システムにおける高圧ケーブル地絡検出遮断回路の実施形態を示す回路図で、零相計器用変圧器ZVT使用時の場合である。
図1Bは、本発明によるコンテナパッケージ形受配電設備システムにおいて零相計器用変圧器ZVT使用時の場合の動作を説明するための流れ図である。
2点鎖線内の回路は、絶縁変圧器10が接続された場合を含め高圧ケーブル地絡検出遮断回路の構成である。高圧電力は、電力会社変電所から6,600Vが配電される。電力会社変電所側には接地形計器用変圧器EVT1による電力会社地絡電流検出回路が設けられ、地絡電流が検出される。受電した高圧電力は、高圧遮断器52S1を経由し、絶縁変圧器10を接続するための接続端子間の短絡線を通り、さらに高圧遮断器52S2,52F1を経由し、構内負荷(例えば、他の基盤ブロック)へ供給される。また、高圧遮断器52S2,52F2を経由し、さらに他の構内負荷へも供給される。ブロック並列配置された(
図2参照)システムにおいて、例えば、この高圧ケーブル地絡検出遮断回路が受配電設備ブロックAに設置されていれば、後備の受配電設備ブロックB−1,B−2,C−1,C−2等へ供給される。
【0027】
高圧電力は、高圧遮断器52F1,52F2の手前で分岐され、零相計器用変圧器ZVTおよび接地形計器用変圧器EVTにも供給される。高圧遮断器52F1の後続には高圧ケーブルの過電流を検出するセンサCT1を有する過電流継電器51F1が設けられている。さらに、零相変流器ZCT1が設けられ、その電流検出信号が地絡方向継電器回路67F1に入力される。また、高圧遮断器52F2の後続には高圧ケーブルの過電流を検出するセンサCT2を有する過電流継電器51F2が設けられている。さらに、零相変流器ZCT2が設けられ、その電流検出信号が地絡方向継電器回路67F2に入力される。
零相計器用変圧器ZVTで検出される零相電圧信号は地絡方向継電器回路67F1,67F2の他の入力に接続される。これら電流検出信号と零相電圧信号による2つの信号は地絡方向継電器回路67F1,67F2内でそれぞれ論理積がとられ、AND回路が構成される。AND回路の出力によって地絡方向継電器は作動し、高圧遮断器52F1,52F2を開放動作させる。すなわち、高圧回路を遮断することにより後備への高圧電力の供給を絶つことができる。分岐した高圧電力は接地形計器用変圧器EVTにも供給される。接地形計器用変圧器EVTは継電器接点RyA−a1,RyA−b1のON,OFFの切替操作によってVTとして使用可能であり、接地形計器用変圧器EVTによる地絡電流回路を形成することもできる。
【0028】
次に、
図1Bの流れ図を参照して零相計器用変圧器ZVT使用時と接地形計器用変圧器EVT使用時の切替操作および動作について説明する。この流れ図は、零相計器用変圧器ZVTによる場合の受変電所構内地絡事故検出方式である。キー付切替スイッチCOSを操作し、零相計器用変圧器ZVT使用時を選択する(S701)。すなわち、補助リレーAの不動作(S702)により接点RyA−a1をOFFして回路開放となる(S703)。接点RyA−b1をONして回路短絡となる(S705)。したがって、接地形計器用変圧器EVT1次側スター結線は接地(EA)開放となり(S704)、3次側デルタ結線は接地(ED)短絡となる(S706)。このキー付切替スイッチCOSの切替選択により接地形計器用変圧器EVTはVTとして使用される(S707)。
一方、高圧受電を受け(S708)、S709では構内に地絡事故が発生したか否かを監視する。
図1Aに示す位置に地絡事故が発生すると、零相計器用変圧器ZVTは零相電圧を検出し(S710)、地絡方向継電器回路67F1,67F2に零相電圧を供給する(S711)。また、電力会社配電所用接地形計器用変圧器EVT1による地絡電流回路の地絡電流が流れる(S712)。地絡電流は接地形計器用変圧器EVT1から高圧遮断器52S1,短絡部,52S2,52F2を経由し、零相交流器ZCT2を通り、地絡事故発生点に戻る。なお、零相交流器ZCT1の高圧ケーブルにはわずかであるが地絡電流が流入する。しかし、位相が異なるため、地絡方向継電器67F1は動作しない。
図1Aの点線は、このときの地絡電流の流れる方向およびルートを示す。このような接地形計器用変圧器EVT1による地絡電流閉ループ形成により零相変流器ZCT2が零相電流を検出し(S713)、地絡方向継電器回路67F2の入力に零相電流を供給する(S714)。これら零相電流および零相電圧は、フィルタ回路でノイズが除去され、増幅されて、零相電流、零相電圧それぞれのレベルが検出される(S715、S717)。
【0029】
レベルが検出されると、零相電流および零相電圧は、それぞれ動作電流整定値および動作電圧整定値になったか否かが検出される(S716,S718)。動作電流整定値および動作電圧整定値を超えると、その状態を示す動作表示がなされる(S719,S720)。これにより、地絡方向継電器は駆動され(S721)、高圧遮断器52F2は高圧ケーブルを遮断する(S722)。
【0030】
図1Cは、本発明によるコンテナパッケージ形受配電設備システムにおける高圧ケーブル地絡検出遮断回路の実施形態を示す回路図で、接地形計器用変圧器EVT使用時の場合である。
図1Dは、本発明によるコンテナパッケージ形受配電設備システムにおいて接地形計器用変圧器EVT使用時の場合の動作を説明するための流れ図である。
この回路図では、接点RyA−a1をONし、接点RyA−b1をOFFに設定し、
図1Aに接続されている短絡線が接続端子から切り離され、絶縁変圧器10が挿入された回路構成が形成されている。他の回路部の構成は
図1Aと変わるところはない。
次に、零相計器用変圧器ZVT使用時から接地形計器用変圧器EVT使用時に切り替えたときの動作について説明する。キー付切替スイッチCOSを操作し、接地形計器用変圧器EVT使用を選択する(S801)。すなわち、補助リレーAの動作(S802)により接点RyA−a1をONして回路短絡となる(S803)。接点RyA−b1をOFFして回路開放となる(S805)。したがって、接地形計器用変圧器EVT1次側スター結線は接地(EA)接続となり(S804)、3次側デルタ結線は接地(ED)開放となる(S806)。このキー付切替スイッチCOSの切替選択により接地形計器用変圧器EVTは地絡電流回路を形成する(S807)。
【0031】
一方、高圧受電を受け(S808)、S809では構内に地絡事故が発生したか否かを監視する。
図1Cに示す位置に地絡事故が発生すると、零相計器用変圧器ZVTは零相電圧を検出し(S813)、地絡方向継電器回路67F1,67F2に零相電圧を供給する(S814)。また、基盤ブロックの接地形計器用変圧器EVTによる地絡電流回路の地絡電流が流れる(S810)。
地絡電流は接地形計器用変圧器EVTから高圧遮断器52F2を経由し、零相交流器ZCT2通り、地絡事故発生点、接地形計器用変圧器EVTの1次側の接地点に戻る。なお、零相交流器ZCT1の高圧ケーブルにはわずかであるが地絡電流が流入する。しかし、位相が異なるため地絡方向継電器67F1は動作しない。電力会社配電所用接地形計器用変圧器EVT1には、絶縁変圧器10で絶縁されているため、地絡電流は流れない。
図1Cの点線は、このときの地絡電流の流れる方向およびルートを示す。このような接地形計器用変圧器EVTによる地絡電流閉ループ形成により、零相変流器ZCT2が零相電流を検出し(S811)、地絡方向継電器回路67F2の入力に零相電流を供給する(S812)。これら零相電流および零相電圧は、フィルタ回路でノイズが除去され、増幅されて零相電流、零相電圧それぞれのレベルが検出される(S815,S818)。レベルが検出されると、零相電流および零相電圧は、それぞれ動作電流整定値および動作電圧整定値になったか否かが検出される(S816,S819)。動作電流整定値および動作電圧整定値を超えると、その状態を示す動作表示がなされる(S817,S820)。これにより、地絡方向継電器は駆動され(S821)、高圧遮断器52F2は高圧ケーブルを遮断する(S822)。
【0032】
図2は、本発明によるコンテナパッケージ形受配電設備システムにおける基盤ブロック収容コンテナをコンテナターミナルに平面的に設置した斜視図である。この実施例は、受配電設備ブロックA,B−1,B−2,C−1,C−2をそれぞれA,B−1,B−2,C−1,C−2の各ブロック収容コンテナに収めた例で、5個のブロック収容コンテナがコンテナターミナルに平面状に並べて設置されている。
電力会社からの高圧の受電ケーブル40はAブロック収容コンテナ内の受配電設備ブロックAに接続されている。受配電設備ブロックAは基盤ブロックA−1〜A−6の6個のブロックにより構成されている。絶縁変圧器10は受配電設備ブロックAの外部に配置され、絶縁変圧器10に接続された高圧ケーブル41,42がAブロック収容コンテナ内に引き込まれている。Aブロック収容コンテナ内には温度を一定に保つための空調室内機21および空調室外機22が設けられている。受配電設備ブロックAを経由した高圧ケーブル43,46はそれぞれB−1およびC−1ブロック収容コンテナに引き込まれ受配電設備ブロックB−1およびC−1に接続されている。なお、高圧ケーブルはすべてL形カップリングで接続される。
【0033】
B−1,C−1ブロック収容コンテナ内の受配電設備ブロックB−1,C−1は、それぞれB−1−1〜B−1−6,C−1−1〜C−1−4の各基盤ブロックにより構成されている。B−1ブロック収容コンテナにはヤード照明用に電源を供給するためのL形カップリング31が設けられている。また、C−1ブロック収容コンテナにはNo.1〜10のリーファースタンドに電源を供給するためのL形カップリング33が設けられている。受配電設備ブロックB−1を経由した高圧ケーブル44はB−2ブロック収容コンテナに引き込まれ、受配電設備ブロックB−2に接続されている。また、受配電設備ブロックC−1を経由した高圧ケーブル48はC−2ブロック収容コンテナに引き込まれ、受配電設備ブロックC−2に接続され、さらに受配電設備ブロックC−1からはG/Cへ高圧電圧を供給する高圧ケーブル47が引き出されている。
【0034】
B−2,C−2ブロック収容コンテナ内の受配電設備ブロックB−2,C−2は、それぞれB−2−1〜B−2−6,C−2−1〜C−2−4の各基盤ブロックにより構成されている。B−2ブロック収容コンテナにはNo.1〜12のリーファースタンドに電源を供給するためのL形カップリング32が設けられている。また、C−2ブロック収容コンテナにもNo.1〜10のリーファースタンドに電源を供給するためのL形カップリング34が設けられている。受配電設備ブロックB−2からはG/Cへ高圧電圧を供給する高圧ケーブル45が引き出されている。さらに、受配電設備ブロックC−2からはC−2−1およびC−2−2のG/Cへそれぞれ高圧ケーブル49,50が引き出されている。
B−1,B−2,C−1,C−2ブロック収容コンテナにはブロック収容コンテナA同様、温度を一定に保つための空調室内機21および空調室外機22が設けられている。これらB−2,C−2ブロック収容コンテナの後備に新たにブロック収容コンテナが敷設され、また高圧ケーブルの後長が長くなると、そのケーブルに発生する対地静電容量は多くなり、ケーブルに充電する電流が多くなる。地絡事故が発生した場合には、この充電電流が零相電流として流れる。そこで絶縁変圧器が設置され、それ以降の高圧ケーブルなどの地絡時に接地形計器用変圧器EVTから地絡電流が流れ、この地絡電流の検出を行う。
【0035】
図3は、本発明によるコンテナパッケージ形受配電設備システムにおける基盤ブロック収容コンテナをコンテナターミナルに縦に積み重ねて設置した斜視図である。
図3に示すように、A,B−1,B−2ブロック収容コンテナを縦形に3層に積み重ね、さらにC−1,C−2ブロック収容コンテナを2層に積み重ねて配置したものである。このような配置にすると、ブロック収容コンテナ間の高圧ケーブル61〜67は、
図2と比較すると、ケーブル長さを短くでき、設置面積も小さくて済む。後備にブロック収容コンテナを増設する場合には、さらに積み重ねができ、コンテナターミナルを効率的に使用することができる。
【0036】
図4は、Aブロック収容コンテナ内の基盤ブロックの実施形態を示すブロック図である。
受配電設備ブロックAは引込盤A−1,受電盤A−2,き電盤A−3,EVT・ZVT盤A−4,空調・照明用低電圧盤A−5およびリモートステーション装置A−6により構成されている。絶縁変圧器10に結合している高圧ケーブル41,42は、ケーブルダクト10aを通って受電盤A−2の接続端子である高圧用プラグ/レセップで接続できるようになっている。引込盤A−1は電力会社からの高圧ケーブルを受電する基盤ブロックであり、接続端子である高圧用プラグ/レセップにより、引込盤A−1の受電部40が高圧ケーブルに接続される。き電盤A−3には地絡方向継電器回路67FIなどが設けられ、高圧ケーブルを遮断する高圧遮断器52F1を経由し、零相変流器ZCT1などが設けられた高圧ケーブルが通っている。この高圧ケーブルは接続端子である高圧用プラグ/レセップで、連絡母線に接続され、他の受配電設備ブロックB−1,B−2,C−2へと高圧電力が供給されるようになっている(
図5B参照)。
【0037】
EVT・ZVT盤A−4には高圧ケーブル地絡検出遮断回路の大部分が設けられている。空調・照明用低電圧盤A−5は、照明用、誘導灯、空調用に電力を供給する機能を果たす基盤である。リモートステーション装置A−6は、各ブロック制御用、故障監視用に設けられたものである。
【0038】
図5Aは、Aブロックを構成する引込盤、受電盤および絶縁変圧器の詳細を示す回路図である。
図5Bは、引込盤、受電盤、EVT・ZVT盤、き電盤および空調・照明用低圧盤の詳細を示す回路図である。
電力会社から供給される高電圧6,600Vの受電ケーブルは、コンテナパッケージに設けられた高圧プラグ/レセップRSTに接続され、高電圧6,600Vは引込盤A−1に引き込まれる。高電圧6,600VはVCTを通り、断路器1(DS)を経由し、受電盤A−2に引き込まれる。受電盤A−2では高圧リレー接点(高圧遮断器)2,高圧負荷開閉器を経由し、コンテナパッケージに設けられた高圧プラグ/レセップRST−1に接続される。コンテナパッケージには高圧プラグ/レセップRST−2が設けられ、高圧プラグ/レセップRST−1,RST−2間に零相計器用変圧器ZVT使用時による場合、短絡線が接続される。一方、接地形計器用変圧器EVT使用時に切り替えられた場合、絶縁変圧器10が接続される。このときに絶縁変圧器10の2次側の地絡を検知して高圧開閉器52S1をトリップさせる。
【0039】
絶縁変圧器10は、高電圧6,600Vの入力に対し、高電圧6,600Vを出力する。高圧プラグ/レセップRST−2からき電盤A−3に引き込まれた高電圧6,600Vは、高圧リレー接点(高圧遮断器)3,4を経由し、高圧プラグ/レセップU/W−1に接続されている。高圧プラグ/レセップU/W−1から出力される高電圧6,600Vは連絡母線ケーブルによって受配電設備ブロックB−1等に供給される。き電盤A−3の高圧ケーブルには零相変流器ZCT1が設置され、零相電流が検知される。き電盤A−3には地絡方向継電器回路5が設けられ、高圧リレー接点(高圧リレー接点)4の開閉が制御される。
き電盤A−3に引き込まれた高圧ケーブルは、EVT・ZVT盤A−4にも引き込まれ、高圧リレー接点(高圧遮断器)6を経由し、高圧プラグ/レセップU/W−2に接続されている。高圧プラグ/レセップU/W−2から出力される高電圧6,600Vは連絡母線ケーブルによって受配電設備ブロックB−2等に供給される。高圧リレー接点(高圧遮断器)6を有する高圧ケーブルには零相変流器ZCT2が設置され、零相電流が検知される。また、地絡方向継電器回路7が設けられ、高圧リレー接点(高圧遮断器)6の開閉が制御される。
【0040】
高圧母線に零相計器用変圧器ZVTが接続され、零相計器用変圧器ZVTで検出される零相電圧は、地絡方向継電器回路5および7の一方の入力端にそれぞれ入力される。また、高圧母線に高圧限流ヒューズ8を経由し、接地形計器用変圧器9が接続される。接地形計器用変圧器9の1次巻側のスター結線はスイッチ「a」を経由して接地される。スイッチ「a」は、
図1Aのスイッチ「RyA−a1」に対応する。スイッチ「a」は、零相計器用変圧器ZVT使用時の場合、OFFとなり、VTとして使用される。3次巻側のΔ結線ではスイッチ「b」が抵抗CLRの両端間に接続される。スイッチ「b」は、
図1Aのスイッチ「RyA−b1」に対応する。スイッチ「b」のONにより地絡過電圧回路は形成されない。
【0041】
EVT・ZVT盤A−4に引き込まれた高圧ケーブルは、空調・照明用低電圧盤A−5に引き込まれ、スイッチ11を経由し、庫内動力電灯変圧器12に接続される。庫内動力変圧器12では低電圧210Vに変換される。電圧210Vはスイッチ13を経由して庫内の空調機に供給される。また、スイッチ16を経由して電灯変圧器17に接続され、さらなる低電圧210〜105Vに変換される。スイッチ15を経由して誘導灯に、スイッチ14を経由して照明灯に供給される。
【0042】
図6は、接地形計器用変圧器EVTをVTとして使用する回路構成を説明するための図である。
電力会社の変電所側は商用電源6,600Vを負荷側に供給するようになっている。3相3線R,S,Tは接地形計器用変圧器EVTの1次側の接続端U,V,Wに接続され、スター結線Oはアース無しで使用する。接地形計器用変圧器EVTの2次側はスター結線Oをアース接続し、接地形計器用変圧器EVTの3次側のΔの接続端a,fはアース接続する。このような回路構成になるようにスイッチ設定すると、接地形計器用変圧器EVTの2次側はVTとして使用することができる。接地形計器用変圧器EVTのこのようなスイッチ設定は、
図1Aに示す零相計器用変圧器ZVT使用時による高圧ケーブル地絡検出遮断回路として動作している場合である。また、1次側のスター結線Oを接地し、3次側のΔの接続端a,fをフローにすることにより、接地形計器用変圧器EVT使用時による高圧ケーブル地絡検出遮断回路として動作する。
【0043】
前述したような実施形態は、適用される環境として船舶からコンテナを積み降ろしするコンテナターミナルを対象としたが、コンテナターミナル以外の中小の工業団地用受配電設備環境でも適用可能である。また、基盤ブロックを収容する筐体にコンテナを利用した例を示したが、収容筐体は他の形状の箱形のものを選ぶことも可能である。これら変形例も含めて本発明は特許請求の範囲すべてに及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
コンテナターミナルなどに設置されるコンテナパッケージ形受配電設備における高圧ケーブル地絡検出遮断回路である。
【符号の説明】
【0045】
ZVT 零相計器用変圧器
EVT1,EVT9 接地形計器用変圧器
PAS 高圧気中負荷開閉器
UGS 高圧交流ガス負荷開閉器
SOG ストレージオーバーカレントグランド
ZCT 零相変流器
R 限流抵抗器
DS 高圧開閉器
VCB−1,VCB−2 高圧遮断器
G/C ガントリークレーン
VT 電圧変成器
A,B−1,B−2,C−1,C−2 受配電設備ブロック
A−1 引込盤
A−2 受電盤
A−3 き電盤
A−4 EVT・ZVT盤
A−5 空調・照明用低電圧盤
A−6 リモートステーション装置
1 断路器
2〜4,6 高圧リレー接点(高圧遮断器)
5,7 地絡方向継電器回路
8 高圧限流ヒューズ
10 絶縁変圧器
11 高圧負荷開閉器
13,14〜16 スイッチ
12 庫内動力変圧器
17 電灯変圧器
21 空調室内機
22 空調室外機
40,60 受電ケーブル
41〜50,61〜66,68 高圧ケーブル
【要約】
【課題】受配電設備システムの基盤ブロックに、ZVTおよびEVTを設け、所定の条件に該当したとき、ZVTによる零相電圧検出と電力会社配電所用EVTによる零相電流検出の方式から、ZVTによる零相電圧検出と基盤ブロックのEVTによる零相電流検出の方式に切り替える構成を設けることにより、方式変更に要する時間を短縮し、変更作業を簡単化できる受配電設備システムにおける高圧ケーブル地絡検出遮断回路を提供する。
【解決手段】基盤ブロックに供給される前の高圧ケーブルに電力会社配電所用EVT1を設置し、基盤ブロック内の中間部に絶縁変圧器を接続可能な接続手段を設け、さらに高圧遮断器を介して延出し、他の基盤ブロックまたはG/C等を起動する高圧ケーブルに接続するように構成し、零相電圧を検出するZVTと、地絡電流回路を形成するEVTと、零相電流を検出するZCTと、零相電圧と零相電流との検出信号の論理積を取るAND回路と、継電器とからなる。
【選択図】
図1A