(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6450103
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】パンツ型吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20181220BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20181220BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
A61F13/15 311A
A61F13/15 355B
A61F13/15 100
A61F13/51
A61F13/49 312A
A61F13/49 311Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-143624(P2014-143624)
(22)【出願日】2014年7月11日
(65)【公開番号】特開2016-19567(P2016-19567A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】林 伸匡
(72)【発明者】
【氏名】間篠 智恵子
【審査官】
▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−110536(JP,A)
【文献】
特表2008−515479(JP,A)
【文献】
特開2008−246995(JP,A)
【文献】
特開平08−174744(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0323204(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンツ型吸収性物品の製造方法であって、
前記パンツ型吸収性物品が、
パンツの態様に形成された外装体と、
前記外装体の肌当接面側に位置し、体液を吸収する内装体と、
を備え、
前記外装体が、
腹側部と、
背側部と、
前記腹側部と前記背側部の間を繋ぐように設けられた股下部と、を有し、
前記内装体が、
肌に当接するトップシートと、
前記外装体に当接するバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートの間に積層して設けられた吸収体と、を有し、
前記腹側部及び前記背側部が、第1の不織布、伸縮性フィルム及び第2の不織布を肌当接面側からこの順に一体化して積層して構成される複合シートから形成され、
前記伸縮性フィルムが、開口を有するウレタンフィルムであり、
前記複合シートが、非伸縮状態において、JIS L 1096−A(フラジール法):1990に基づいて測定される、20cm3/cm2・秒以上の通気度を有するとともに、伸縮方向に150%伸長したときに、JIS L 1096−A(フラジール法):1990に基づいて測定される、50cm3/cm2・秒以上の通気度を有し、
前記外装体が、前記腹側部の側縁部と前記背側部の側縁部の接合によって形成された胴周り部において、
前記胴周り部の上縁部を外側に折り返した方向に弾性伸縮部材を設けており、
前記パンツ型吸収性物品の製造方法が、第1の不織布及び第2の不織布の間に、前記伸縮性フィルムを伸長状態で積層し、伸縮方向と直交する方向に線状に延びるパターンで全領域にわたって超音波接着することで、外装体を構成する前記複合シートを形成する工程を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品の製造方法。
【請求項2】
第1の不織布及び第2の不織布が、ポリプロピレンスパンボンド不織布である、請求項1に記載のパンツ型吸収性物品の製造方法。
【請求項3】
前記胴周り部の120%伸長時の伸長荷重が1.5N/50mm幅から2.5N/50mm幅であることを特徴とする請求項1に記載のパンツ型吸収性物品の製造方法。
【請求項4】
前記胴周り部の150%伸長時の伸長荷重が3.5N/50mm幅から7.5N/50mm幅であることを特徴とする請求項3に記載のパンツ型吸収性物品の製造方法。
【請求項5】
前記胴周り部の前記複合シートは、
非伸長時に300μm以上、500μm以下の面粗さSaであって、
伸縮方向に150%伸長したときに、100μm以上、300μm以下の面粗さSaを有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のパンツ型吸収性物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートの間に吸収体とを備える内装体と、この内装体の非肌当接面側に位置する外装体とを備えたパンツ型吸収性物品は、通常、フィットしやすいよう、使用者の腹回りの部位や脚周りの部位等に、ギャザが付設されることが多い。これらのギャザは、例えば、
図5に示すように、弾性部材の糸ゴム110を、伸長状態でパンツ型吸収性物品100を構成する不織布間に接着することや、不織布間に糸ゴム110を接着した部材を準備し、パンツ型吸収性物品100に接着させることにより、形成することができる。これにより、パンツ型吸収性物品100の伸縮性能が向上し、着用時のフィット感を高め、さらには、尿や血液等の体液が外部に漏れ出ることも防止することとなる。
【0003】
パンツ型吸収性物品として、例えば、特許文献1に、ウエスト開口部及び一対の該レッグ開口部それぞれの周縁部に、各周縁部の略全周にわたって連続したギャザを形成する弾性部材を備え、ウエスト開口部の周縁部及びレッグ開口部の周縁部における、腹側部の側縁部と背側部の側縁部との溶着接合部は、溶着接合部の長さ1cm以上が、溶着接合部の幅方向における略中央部に非溶着部を有する間歇接合部とし、良好な装着感や風合いを保持しながら良好なフィット性を目指したものが開示されている。
【0004】
パンツ型吸収性物品は、着用のしやすさや、着用感のフィット性に関しては、ウエスト周りの伸縮特性が重要であるが、従来は糸ゴムの太さ、本数、長さ(伸長率)による締め付け強度の調整が主であった。よって、着用時のフィット性のさらなる向上を目的とした場合、糸ゴムの本数を増やしたギャザを使用することが多く、その場合、糸ゴムを増やすために不織布と接着する為の接着剤も多量に必要となり、結果として、質感が硬く、肌触りの悪いものとなってしまっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−137287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、着用感およびフィット性を改善するパンツ型吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のパンツ型吸収性物品は、パンツの態様に形成された外装体と、前記外装体の肌当接面側に位置し、体液を吸収する内装体と、を備え、前記外装体が、腹側部と、背側部と、前記腹側部と前記背側部の間を繋ぐように設けられた股下部と、前記内装体が、肌に当接するトップシートと、前記外装体に当接するバックシートと、前記トップシートと前記バックシートの間に積層して設けられた吸収体と、を有し、前記腹側部及び前記背側部が、第1の不織布、伸縮性フィルム及び第2の不織布を肌当接面側からこの順に一体化して積層して構成される複合シートから形成され、前記外装体が、前記腹側部の側縁部と前記背側部の側縁部の接合によって形成された胴周り部において、前記胴周り部の上縁部を外側に折り返した方向に弾性伸縮部材を設けることを特徴とする。
【0008】
(2)本発明のパンツ型吸収性物品は、(1)記載のパンツ型吸収性物品であって、前記胴周り部の120%伸長時の伸長荷重が1.5〜2.5N/50mm幅であってもよい。
【0009】
(3)本発明のパンツ型吸収性物品は、(2)記載のパンツ型吸収性物品であって、前記胴周り部の150%伸長時の伸長荷重が3.5〜7.5N/50mm幅であってもよい。
【0010】
(4)本発明のパンツ型吸収性物品は、(1)ないし(3)のいずれか1つに記載のパンツ型吸収性物品であって、前記胴周り部の前記複合シートは、非伸長時に300μm以上、500μm以下の面粗さSaであって、伸縮方向に150%伸長したときに、100μm以上、300μm以下の面粗さSaを有してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の目的は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、着用感およびフィット性を改善するパンツ型吸収性物品を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品を示す概略図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品の展開図である。
【
図5】従来のパンツ型吸収性物品を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1ないし
図4を参照して、本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品およびその製造方法について詳細に説明する。なお、実施形態の説明は、全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。本明細書の説明において、パンツ型吸収性物品1の長手方向は、パンツ型吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後にわたる方向であり、パンツ型吸収性物品1の短手方向は、長手方向に対して横又は直交する方向を意味する。また、本明細書の説明において、体液とは、尿、血液や軟便中の水分などの体内から体外に排出された液体をいう。さらに、パンツ型吸収性物品1の着用時とは、パンツ型吸収性物品1の装着時および装着後の少なくとも一方をいう。また、パンツ型吸収性物品1として、例えば紙おむつを例として説明するが、使い捨てショーツ、失禁用使い捨ておむつ等の他のパンツ型吸収性物品であってもよい。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品を示す概略図であり、
図2は、X−X’線における断面図であり、
図3は、本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品の展開図であり、
図4は、
図3のY−Y’線における断面図である。本発明におけるパンツ型吸収性物品1の一実施形態について、
図1ないし
図4にて説明する。
図1ないし
図4に示すように、パンツ型吸収性物品1は、腹側部11と、背側部12と、腹側部11と背側部12の間に設けられる股下部13と、を有する外装体10と、トップシート21と、バックシート22と、トップシート21とバックシート22の間に設けられる吸収体23とを有し、外装体10の肌当接面側に位置する内装体20と、を備えている。
【0015】
(外装体)
パンツ型吸収性物品1は、内装体20の非肌当接面側に位置し、着用者の腹側(
図3ではA側)に位置する腹側部11、背側(
図3ではB側)に位置する背側部12及びその間を繋ぐように設けられた股下部13に区分されるパンツの態様に形成された外装体10を備えている。
【0016】
外装体10は、腹側部11の側縁部31と背側部12の側縁部32の接合によって胴周り部19が形成され、胴周り部19の上縁部16を外側に折り返した方向に弾性伸縮部材17を設けられている。弾性伸縮部材17は、例えば、糸ゴムと不織布等のシートによって形成される。また、胴周り部19の120%伸長時の伸長荷重が1.5〜2.5N/50mm幅であることが好ましく、150%伸長時の伸長荷重が3.5〜7.5N/50mm幅であるとさらに好ましい。このようにすることで、後述する複合シートと弾性伸縮部材17の二重のサポートが得られ、ウエスト周りのフィット性が向上し、使用者はより快適に使用できる。なお、
図1又は
図2に示すように、胴周り部19は、腹側部11と背側部12の側縁部(31、32)と接着されていても、一体成形となっていてもよい。
【0017】
腹側部11及び背側部12は、第1の不織布14、伸縮性フィルム15及び第2の不織布14を肌当接面側からこの順に熱融着又は超音波接着で一体化して積層して構成される複合シートから形成される。股下部13は、腹側部11及び背側部12と同様の複合シートで構成してもよく、上述した不織布14と同様の素材を用いて、その加工方法も同様の方法によるものを使用することもできる。
【0018】
また、伸縮性フィルム15は、伸縮性を備えたものであればよく、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂等から形成されたフィルムがあげられる。なかでも、コスト及び伸縮性能の観点から、ポリウレタン系樹脂フィルムが好ましい。
【0019】
複合シートは、非伸縮状態において、20cm
3/cm
2・秒以上のJIS L 1096−A(フラジール法):1990に基づいて測定される通気度を有する。通気度が20cm
3/cm
2・秒未満であると、着用時に蒸れ易くなる。通気度は、複合シートを構成する不織布の繊維の糸の太さ、密度、単位面積当たりの重さや、伸縮性シートに備えた開口部の開口面積率等により、自由に変えることができる。
【0020】
また、複合シートは、伸縮方向に150%伸長したときに、50cm
3/cm
2・秒以上のJIS L 1096−A(フラジール法):1990に基づいて測定される通気度を有する。ここで、伸縮方向に150%伸長したとは、非伸縮状態の自然長に対する、伸長した状態の長さの割合である。すなわち、非伸縮状態の自然長10cmの複合シートを伸長方向に対して15cm伸長させた場合、15/10×100=150%伸長したとなる。通気度が50cm
3/cm
2・秒未満であると、伸長された状態で使用する部位、例えば、おしり周りの部位に対して、着用時に蒸れ易くなる。
【0021】
胴周り部19の部分の複合シートは、非伸長時に300μm以上、500μm以下の面粗さSaを有し、伸縮方向に150%伸長したときに、100μm以上、300μm以下の面粗さSaを有することが好ましい。上記範囲にすることにより、平坦になりすぎず、表面が滑らかで、意匠性が良好となる。なお、面粗さSaとは、高さ方向の振幅平均(二次元)パラメータのRaに対し、そのRaを三次元に拡張したパラメータである。
【0022】
パンツ型吸収性物品1は、腹側部11から股下部13を経て背側部12に渡って、左右一対のレッグギャザ18を設けることができる。レッグギャザ18は、弾性部材18a、例えば、糸ゴムと不織布等のシート18bによって形成される。レッグギャザ18を設けることにより、伸縮方向(着用した際の左右方向)のみならず、伸縮方向と交差する方向(着用した際の上下方向)にも伸縮可能となり、股下周りの部位におけるフィット感が向上する。
【0023】
(内装体)
本実施形態の内装体20は、外装体10の肌当接面側に位置し、肌に当接する液透過性のトップシート21と、外装体10に当接する液不透過性のバックシート22と、トップシート21とバックシート22との間に積層して設けられた吸収体23と、立体ギャザ24とを含む体液を吸収する内装体20とを備えている。これにより、吸収体23は、トップシート21とバックシート22の間に挟まれた構造となっている。内装体20は、外装体10の腹側部から背側部の内側にかけて配置されており、外装体10の股下部13で外装体10と固着される。固着方法として、例えば、ホットメルト等の接着剤、熱融着、あるいは超音波接着等により、外装体10と接着している。
【0024】
本実施形態のトップシート21の基材は、体液が吸収体23へと移動するような液透過性を備えていればよく、例えば、サーマルボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、あるいは、これらを積層した複合シートといった材料から形成される。また、トップシート21は、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施すことが好ましい。その加工方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。また、肌への刺激を低減させるために、トップシート21に、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させることも好ましい。さらに、強度および加工性の点から、トップシート21の坪量は、14g/m
2以上40g/m
2以下であることが好ましい。トップシート21の形状としては、特に制限はないが、尿等の液体を吸収体23に誘導するため、吸収体23を覆う形状であればよい。
【0025】
なお、トップシート21の肌当接面側には、股下部の長手方向両側部分、すなわち、長手方向前方部Aから長手方向後方部Bにかけて一対の体液の漏れを防止する立体ギャザ24を設けることが好ましい。立体ギャザ24の幅方向外側の部分は、バックシート22に固定され、幅方向内側の部分は、トップシート21に固定されず、長手方向に沿って糸ゴム等の立体ギャザ用弾性部材24aと不織布等のシート24bによって形成されることで、起立性を有し、使用者の体型に合わせて伸縮自在に変形可能になっている。
【0026】
本実施形態のバックシート22の基材は、吸収体23が保持している体液が漏れないような液不透過性を備えたものであればよく、不織布、樹脂フィルム、あるいはこれらを積層した複合シートといった材料から形成される。不織布は、製法が特に限定されることはなく、例えば、スパンボンドやメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布、及びこれらの複合材料が考えられる。また、樹脂フィルムとして、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等がある。また、装着時の蒸れを防止するために、バックシート22は、透湿性を持たせることが好ましい。透湿性を備えさせるために、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合することや、バックシート22に穿孔のためのエンボス加工を施すことがあげられる。
【0027】
本実施形態の吸収体23の基材は、一般に生理用ナプキンやおむつ、尿パッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シートといった材料から形成される。フラッフパルプとして、例えば、木材パルプ及び合成繊維、ポリマー繊維等の非木材パルプを綿状に解繊したものがある。また、高吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、親水性シートとしては、ティシュ、吸収紙、親水性不織布があげられる。
【0028】
吸収体23は、上記の基材を用いて、単層あるいは複層のシート状で構成される。これらの中でも、木材パルプフラッフのような、フラッフパルプのウェブの親水性繊維マトリックスをSAP粒子と混合して形成したものが好ましい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体23の形状を安定させるために、吸収体23をティシュのような親水性シート(図示せず)に包むことが好ましい。さらに、吸収体23の表面にエンボス加工を施すと、体液の拡散をコントロールすると共に、使用者の体型に応じて吸収体23が容易に変形するので好ましい。
【実施例】
【0029】
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【0030】
(実施例、比較例)
パンツ型吸収性物品として、使い捨ておむつを用いた。トップシートとして30g/m
2のエアスルー不織布、バックシートとして32g/m
2の通気性ポリエチレンフィルムを使用し、トップシートとバックシートの間に、フラッフパルプ12g、ポリアクリル酸系樹脂からなる吸水性ポリマー11gの混合物からなる吸収体を配置して内装体とした。内装体の両側に長手方向に延びる940デシテックスのウレタン系糸ゴムを200%に伸長したものをそれぞれ2本ずつ配置し、足回りギャザとした。2層の20g/m
2ポリプロピレンスパンボンド不織布の間に開口率14%で開口を設けた厚み20μmのウレタンフィルムを250%伸長状態で積層し、伸縮方向と直交する方向に線状に延びるパターンで全領域にわたって超音波接着することで伸縮性及び通気性を持つ積層体(複合シート)を形成して外装体とした。外装体の胴回り端部に940デシテックスのウレタン系糸ゴムを200%伸長したもの6本を配した複合体を配置し、外装体の上端部を30mm外側に糸ゴムを挟むように折り返して胴回りギャザとした。また、比較例について、不織布間に糸ゴムを接着した部材で腹側部及び背側部を構成した市販品を使用した。
【0031】
(面粗さSa)
実施例及び比較例に示されている胴周り部の面粗さSaは、以下の測定法によって行なった。実施例または比較例のパンツ型吸収性物品から腹側部を切り取った測定用試験片を、(株)キーエンス社製「ワンショット3D測定マクロスコープ VR−3100」を使用して非肌当接面側の撮影を行い、画像解析ソフト(VR−H1A)にて、面粗さSa値に対して最大値、最小値、平均値を求めた。なお、面粗さSa値は、値が小さいほど凹凸が少なく平坦さを示す指標である。また、測定条件は、視野面積:24mm×18mm、試験片の状態は、非伸長状態及び伸縮方向に150%伸長状態の2点とし、5回に分けて実験を行った。また、伸縮方向に150%伸長するために、試験片を刺繍枠で固定した。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1に示すように実施例のパンツ型吸収性物品は、比較例に比べて面粗さSa値が低いため腹側部及び背側部の非肌当接面側の感触が下着のように滑らかであり、かつ、シワが目立たず、柔らかそうな外観を呈していた。また、伸縮方向に150%伸長した状態であっても、実施例のパンツ型吸収性物品の外観及び肌触りは良好であり、脱着する際に、指触りの良さを与えることができた。
【0034】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態および実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることは当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0035】
1 パンツ型吸収性物品
10 外装体
11 腹側部
12 背側部
13 股下部
14 不織布
15 伸縮性フィルム
16 上縁部
17 弾性伸縮部材
18 レッグギャザ
19 胴周り部
20 内装体
21 トップシート
22 バックシート
23 吸収体
24 立体ギャザ
31 側縁部(腹側部側)
32 側縁部(背側部側)