特許第6450147号(P6450147)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6450147ダイカストマシンの金型内モニタリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6450147
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】ダイカストマシンの金型内モニタリング装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/32 20060101AFI20181220BHJP
   B22D 17/22 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   B22D17/32 J
   B22D17/32 B
   B22D17/22 E
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-224279(P2014-224279)
(22)【出願日】2014年11月4日
(65)【公開番号】特開2016-87638(P2016-87638A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】井尻 崇
【審査官】 荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−117955(JP,A)
【文献】 特開2007−222876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/00−17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティ内の圧力を検出する型内圧力センサと、前記キャビティ内に充填された金属溶湯に局部的な加圧力を付与するスクイズピンと、前記スクイズピンの変位を検出するストロークセンサと、前記型内圧力センサにより検出された型内圧力データ及び前記ストロークセンサにより検出された変位データを表示する表示装置と、ダイカストマシン全体の制御を司る制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記表示装置の表示画面に、前記型内圧力データ及び前記変位データを、共通の時間軸に沿って同一のタイミングで表示し、
前記スクイズピンの駆動条件として、前記スクイズピンの前進速度、前記スクイズピンによる加圧力の保持時間、前記スクイズピンが原位置に戻るまでの後退速度及び後退時間のうちの少なくとも一つをユーザに設定させ、
設定された前記駆動条件に従って前記スクイズピンを動作させることを特徴とするダイカストマシンの金型内モニタリング装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記表示装置の表示画面に、前記キャビティ内に金属溶湯を射出・充填する際の射出速度データと射出シリンダ圧力データを、前記型内圧力データ及び前記変位データと共に、共通の時間軸に沿って同一のタイミングで表示することを特徴とする請求項1に記載のダイカストマシンの金型内モニタリング装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記表示装置の表示画面に、前記型内圧力データ及び前記変位データの判定基準値を表示することを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載のダイカストマシンの金型内モニタリング装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記表示装置の表示画面に、予め定められた基準時から前記スクイズピンの起動時までの遅延時間を表示したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のダイカストマシンの金型内モニタリング装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記表示装置の表示画面に、前記キャビティ内に突出された前記スクイズピンが予め設定された原位置まで戻るまでの戻り時間を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のダイカストマシンの金型内モニタリング装置。
【請求項6】
前記制御装置は、予め設定された原位置から前記キャビティ内の所定の位置に至るまでの前記スクイズピンの前進駆動を多段階に制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のダイカストマシンの金型内モニタリング装置。
【請求項7】
前記制御装置に、前記型内圧力データ及び前記変位データを取り込んで、予め記憶された前記型内圧力データ及び前記変位データの判定基準値と対比し、前記型内圧力データ及び前記変位データの適否を自動的に判定する判定部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のダイカストマシンの金型内モニタリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカストマシンの金型内モニタリング装置に係り、特に、スクイズピンの駆動条件の適否をモニタリングする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカストマシンは、型締された金型により形成されるキャビティ内に金属溶湯を充填して、所要形状の鋳造品を連続的に製造する自動機械である。ダイカストマシンによって製造される鋳造品は、キャビティ内に充填された溶融金属が冷却されて凝固する際に体積収縮するため、製品の内部に「ひけ巣」と呼ばれる欠陥が生じやすい。このようなことから、従来の一般的なダイカストマシンには、電動モータや油圧装置により駆動される加圧ピン(スクイズピン)が備えられており、加圧ピンをキャビティ内に突出してキャビティ内に充填された金属溶湯に局部的な加圧力を加えることにより、ひけや巣を押し潰して良品が得られるようにしている。この加圧ピンを突出することにより得られる効果を「スクイズ(2次加圧)効果」という。
【0003】
ところで、所要のスクイズ効果を発揮してひけ巣の発生を抑制又は防止し、健全なダイカスト製品を製造するためには、加圧ピンの突出タイミングや金属溶湯に加える加圧力及び加圧時間等の加圧ピンの駆動条件を適正に設定する必要がある。即ち、加圧ピンの突出タイミングが遅すぎると、金属溶湯の凝固が進んでいるために加圧ピンがキャビティ内の所定の深さまで押し込まれず、好適なスクイズ効果が得られない。また、加圧ピンの突出タイミングが早すぎると、加圧ピンはキャビティ内の所定の深さまで押し込まれるものの、金属溶湯に塑性流動が発生しないので、やはり好適なスクイズ効果が得られない。さらに、加圧ピンの突出タイミングが適正であっても、加圧ピンの加圧力や加圧時間が不適正である場合には、所望のスクイズ効果が得られず、健全なダイカスト製品を安定かつ高能率に製造することができない。
【0004】
このような問題を解決するための手段としては、従来、加圧ピンの変位を時系列的に検出する変位検出器と、加圧ピンの加圧力の変動を時系列に検出する圧力センサと、加圧ピンの変位及び加圧力の変動の時系列データに基づいて、加圧ピンによる加圧動作の良否を判別する判別部とを備え、判別部は加圧ピンの変位及び加圧力の変動の時系列データが予め時系列に設定された判別基準範囲に収まっているかを判断して、加圧ピンによる加圧動作の良否についての判定結果を表示部に出力するものが知られている(例えば特許文献1の要約書参照。)。特許文献1に記載の技術によると、加圧ピンの変位及び加圧力の時系列データに基づいて加圧ピンの動作の良否判定を行うので、加圧ピンの変位量のみに基づいて加圧ピンの動作の良否判定を行う場合に比べて、より高精度に加圧ピンの駆動条件の適否を判断することができる。また、時系列データ及び判別基準範囲を示すデータを表示画面上にグラフ表示するので、オペレータが加圧ピンの動作を視覚的に認識することができ、その良否判定を的確に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−212661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の加圧ピンモニタ装置は、加圧ピンの変位及び加圧力の時系列データのみに基づいて、加圧ピンの駆動条件の適否ひいてはスクイズ効果の良否を判定するので、キャビティ内に充填された金属溶湯の実際の圧力(型内圧力)に即した加圧ピンの駆動制御を行うことができず、この点に改善の余地がある。
【0007】
即ち、スクイズ効果は金属溶湯が充填されたキャビティ内に加圧ピンを押し込むことにより得られるものであり、金属溶湯が充填されたキャビティ内への加圧ピンの押し込み量やキャビティ内の金属溶湯に加えられる加圧力は型内圧力に応じて変化する。従って、型内圧力を考慮しない特許文献1に記載の技術によっては、加圧ピンの駆動条件を容易かつ適正に設定し得ないので、所要のスクイズ効果を安定して得ることが困難であり、健全なダイカスト製品を効率よく鋳造することが難しい。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、スクイズピンの駆動条件を容易かつ適正に設定できて、健全なダイカスト製品を効率よく鋳造可能なダイカストマシンの金型内モニタリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するため、キャビティ内の圧力を検出する型内圧力センサと、前記キャビティ内に充填された金属溶湯に局部的な加圧力を付与するスクイズピンと、前記スクイズピンの変位を検出するストロークセンサと、前記型内圧力センサにより検出された型内圧力データ及び前記ストロークセンサにより検出された変位データを表示する表示装置と、ダイカストマシン全体の制御を司る制御装置を備え、前記制御装置は、前記表示装置の表示画面に、前記型内圧力データ及び前記変位データを、共通の時間軸に沿って同一のタイミングで表示し、前記スクイズピンの駆動条件として、前記スクイズピンの前進速度、前記スクイズピンによる加圧力の保持時間、前記スクイズピンが原位置に戻るまでの後退速度及び後退時間のうちの少なくとも一つをユーザに設定させ、設定された前記駆動条件に従って前記スクイズピンを動作させることを特徴とする。
【0010】
上述したように、健全なダイカスト製品を効率よく鋳造するため、ダイカストマシンに備えられたスクイズピンの駆動条件は、キャビティ内に充填された金属溶湯の凝固状態に即して設定する必要がある。一方、型内圧力は、増圧工程の開始と同時に上昇し、金属溶湯が凝固し始めるタイミングでピークに達し、その後、金属溶湯の凝固が進行するに伴って低下するので、型内圧力を検出することにより、キャビティ内における金属溶湯の凝固状態を明確に把握することができる。従って、表示装置に型内圧力データとスクイズピンの変位データとを共通の時間軸に沿って同一のタイミングで表示すると、オペレータはキャビティ内に充填された金属溶湯の凝固状態に対して、スクイズピンが適正なタイミングで前後進駆動されているか否か、及び、スクイズピンが適正な押し込み量だけキャビティ内に押し込まれているか否かを目視により監視できるので、スクイズピンの駆動条件が適正であるか否かを直感的に認識することができる。よって、スクイズピンの駆動条件の設定を容易かつ適正に行うことができると共に、スクイズピンの駆動条件の設定が不適正である場合には、その再設定を容易に行うことができて、健全なダイカスト製品を効率よく鋳造できる。
【0011】
また本発明は、前記構成のダイカストマシンの金型内モニタリング装置において、前記制御装置は、前記表示装置の表示画面に、前記キャビティ内に金属溶湯を射出・充填する際の射出速度データと射出シリンダ圧力データを、前記型内圧力データ及び前記変位データと共に、共通の時間軸に沿って同一のタイミングで表示することを特徴とする。
【0012】
射出速度データ及び射出シリンダ圧力データも、健全なダイカスト製品が製造されたか否かを判定するための重要なデータとなる。従って、射出速度データ及び射出シリンダ圧力データを型内圧力データ及び変位データと共に表示装置に表示することにより、ダイカストマシンの駆動条件の適否をより的確に判定することができる。
【0013】
また本発明は、前記構成のダイカストマシンの金型内モニタリング装置において、前記制御装置は、前記表示装置の表示画面に、前記型内圧力データ及び前記変位データの判定基準値を表示することを特徴とする。
【0014】
本構成によると、型内圧力データ及び変位データの判定基準値が表示装置に表示されるので、オペレータは、型内圧力センサにより検出された型内圧力データ及びストロークセンサにより検出された変位データが、判定基準値を逸脱したときに、スクイズピンの駆動条件が不適正であると判定できるので、スクイズピンの駆動条件の設定値が適正であるか否かの判断をより容易かつ確実に行うことができる。
【0015】
また本発明は、前記構成のダイカストマシンの金型内モニタリング装置において、前記制御装置は、前記表示装置の表示画面に、予め定められた基準時から前記スクイズピンの起動時までの遅延時間を表示することを特徴とする。
【0016】
キャビティ内の金属溶湯に適正な加圧力を付与するためには、キャビティ内の金属溶湯が凝固し始めた後の所定のタイミングで、スクイズピンが所定の押し込み量だけキャビティ内に押し込まれる必要がある。そして、そのためには、キャビティ内の金属溶湯が凝固し始める以前の所定のタイミングでスクイズピンの前進駆動を開始する必要がある。一般的なダイカストマシンにおいては、スクイズピンの駆動条件として、予め定められた基準時からの遅延時間が設定されている。設定された遅延時間が不適正な場合には、所望のスクイズ効果が得られず、そのことは、表示装置に表示された型内圧力データと変位データの関係から認識できる。従って、表示装置にスクイズピンの遅延時間を表示すると、オペレータは、表示装置に表示された型内圧力データと変位データの関係に基づいて、設定された遅延時間が適正であるのか否かのほか、設定された遅延時間が過小であるのか過大であるのかについても容易に判定できる。よって、表示装置にスクイズピンの遅延時間を表示することにより、設定された遅延時間が不適正であると判定した場合における遅延時間の再設定を容易かつ的確に行うことができる。
【0017】
また本発明は、前記構成のダイカストマシンの金型内モニタリング装置において、前記制御装置は、前記表示装置の表示画面に、前記キャビティ内に突出された前記スクイズピンが予め設定された原位置まで戻るまでの戻り時間を表示することを特徴とする。
【0018】
キャビティ内に突き出されたスクイズピンが、予め設定された戻り時間内に原位置に復帰している場合には、スクイズピンが適正に前進及び後退できているものと判断できる。これに対して、予め設定された戻り時間内に原位置に復帰しない場合には、冷却収縮した金属溶湯によってスクイズピンが齧られ、スクイズピンの円滑な動作が阻害されているものと判断できる。よって、キャビティ内に突出されたスクイズピンが原位置まで戻るまでの戻り時間を表示装置の表示画面に表示することにより、スクイズピンが円滑に動作しているか否かの判断を速やかに行うことができて、健全なダイカスト製品の製造を高能率に行うことができる。また、スクイズピンのメンテナンスや交換時期を予測することができる。
【0019】
また本発明は、前記構成のダイカストマシンの金型内モニタリング装置において、前記制御装置は、予め設定された原位置から前記キャビティ内の所定の位置に至るまでの前記スクイズピンの前進駆動を多段階に制御することを特徴とする。
【0020】
キャビティ内に充填された金属溶湯は、時間の経過とともにその凝固状態が変化する。従って、スクイズピンの駆動は、この金属溶湯の凝固状態の変化に合わせて適切に行わなくてはならない。そこで、スクイズピンの前進駆動を多段階に制御すると、キャビティ内における金属溶湯の凝固状態の変化に合わせてスクイズピンを適切に駆動しやすくなるので、健全なダイカスト製品の製造が可能になる。
【0021】
また本発明は、前記構成のダイカストマシンの金型内モニタリング装置において、前記制御部に、前記型内圧力データ及び前記変位データを取り込んで、予め記憶された前記型内圧力データ及び前記変位データの判定基準値と対比し、前記型内圧力データ及び前記変位データの適否を自動的に判定する判定部を更に備えたことを特徴とする。
【0022】
本構成によると、制御部にスクイズピンの駆動条件の適否を自動的に判定する判定部を備えるので、オペレータの負担を軽減できると共に、スクイズピンの駆動条件の適否判定をより確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、表示装置に型内圧力データとスクイズピンの変位データとを共通の時間軸に沿って同一のタイミングで表示するので、キャビティ内の金属溶湯の凝固状態に即したスクイズピンの起動タイミングや押し込み量等の適否を監視でき、高いスクイズ効果が得られるスクイズピン駆動条件の設定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係るダイカストマシン及び金型内モニタリング装置の要部構成図である。
図2】実施形態に係る制御装置のブロック構成図である。
図3】実施形態に係るスクイズピン駆動条件の設定画面を示す図である。
図4】実施形態に係る金型内モニタリング装置のモニタリング画面を示す図である。
図5】実施形態に係る金型内モニタリング装置のグラフ表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施形態に係る金型内モニタリング装置を、図1図5を用いて説明する。図1に示すように、実施形態に係る金型内モニタリング装置1は、ダイカストマシン2に付設される。
【0026】
まずダイカストマシン2について説明すると、実施形態に係るダイカストマシン2は、図示しない型締装置を用いて型締及び型開される固定金型3と可動金型4を備えている。キャビティ5は、これらの各金型3、4を型締することにより、各金型3、4の突き合わせ面に形成される。固定金型3には、ランナ6を介してキャビティ5と連通する射出スリーブ7が設けられており、射出スリーブ7内には、図示しない射出装置により前後進駆動される射出プランジャ8が備えられている。従って、射出スリーブ7内に一定量の金属溶湯を供給した状態で、射出プランジャ8を所定の速度で前進駆動することにより、キャビティ5内に金属溶湯を射出・充填することができる。また、射出・充填工程に引き続いて射出プランジャ8を所定の圧力で前進駆動し、キャビティ5内の金属溶湯に増圧圧力を付与することにより、凝固収縮分の金属溶湯を補充することができる。
【0027】
固定金型3には、キャビティ5内に充填された金属溶湯の圧力を検出する型内圧力センサ9が備えられる。型内圧力センサ9としては、抵抗線式、整電容量式及び機械式などの公知に属する任意の圧力センサを用いることができる。型内圧力センサ9は、固定金型3又は可動金型4に単独で設置することもできるし、キャビティ5から鋳造品を取り出すために可動金型4に備えられる図示しないエジェクトピンの後端や、後述するスクイズピン10の後端に設置することもできる。エジェクトピン等の後端に設置すると、型内圧力センサ9を設置するための特別なスペースを要しないので、固定金型3又は可動金型4の構成を簡略化できると共に、型内圧力センサ9の損傷を抑制することができる。
【0028】
一方、可動金型4にはスクイズピン10が前後進可能に備えられる。スクイズピン10は、スクイズピン駆動機構11により前後進駆動される。また、スクイズピン10の変位は、ストロークセンサ12により計測される。ストロークセンサ12としては、渦電流式、光学式、超音波式及び接触式などの公知に属する任意の変位計を用いることができる。
【0029】
図1に示すように本例のスクイズピン駆動機構11は油圧式であり、スクイズピン10の一端に油圧シリンダ21のピストン22が連結されている。油圧シリンダ21のロッド室21a及びボトム室21bには、油圧タンク23から延びる油圧配管24が接続されており、当該配管24には、モータ25により駆動されて油圧タンク23から作動油を汲み上げるポンプ26と、ポンプ26から吐出された作動油の圧力を規制するリリーフ弁27と、ポンプ26から吐出された作動油の流量を調整する流量調整弁28と、ポンプ26から吐出される作動油の流れを油圧シリンダ21のロッド室21a側又はボトム室21bに切り換える方向制御弁29が備えられる。なお、ストロークセンサ12は、油圧シリンダ21の端面に取り付けられ、ピストン22に連結される。
【0030】
モータ25及びポンプ26を駆動した状態で、方向制御弁29をC室からA室に切り換えると、ポンプ26から吐出された作動油が油圧シリンダ21のボトム室21bに供給されると共に、ロッド室21a内の作動油が油圧タンク23に排出されて、スクイズピン10が前進駆動される。反対に、モータ25及びポンプ26を駆動した状態で、方向制御弁29をC室からB室に切り換えると、ポンプ26から吐出された作動油が油圧シリンダ21のロッド室21aに供給されると共に、ボトム室21b内の作動油が油圧タンク23に排出されて、スクイズピン10が後進駆動される。方向制御弁29をA室又はB室からC室に戻すと、油圧シリンダ21への作動油の流れが止まり、スクイズピン10の駆動が停止される。リリーフ弁27のリリーフ圧を調整することにより、キャビティ5内に充填された金属溶湯に対するスクイズピン10の加圧力を調整できる。また、流量調整弁28の流量を調整することにより、キャビティ5内に充填された金属溶湯に対するスクイズピン10の前進速度を調整できる。
【0031】
なお、図1の例では油圧式のスクイズピン駆動機構11を備えたが、これに代えて、電動モータの駆動力でスクイズピン10を前後進駆動する電動式のスクイズピン駆動機構を備えることもできる。
【0032】
次に、実施形態に係る金型内モニタリング装置1について説明する。
【0033】
図1に示すように、実施形態に係る金型内モニタリング装置1は、ダイカストマシン全体の制御を司るシステムコントローラ(制御装置)31と、オペレータが各種データの入力操作を行う入力装置32と、各種のデータを各種の表示モードで画像表示する表示装置33とをもって構成されている。なお、図1の例では、制御装置31と入力装置32と表示装置33とが別体に表記されているが、これらを一体に構成することももちろん可能である。また、図1の例では、制御装置31として、ダイカストマシン全体の制御を司るシステムコントローラを用いたが、かかる構成に代えて、当該システムコントローラからの指令を受けて金型内モニタリング装置1の駆動制御を行う下位のコントローラを用いる構成とすることもできる。
【0034】
制御装置31は、図2に示すように、運転条件設定格納部41、運転プロセス制御部42、測定値格納部43、判定基準値格納部44、判定部45及び表示処理部46を備えている。そして、この制御装置31は、型内圧力センサ9及びストロークセンサ12を含むセンサ群34の出力信号、並びに、入力装置32の出力信号を取り込み、モータ25、リリーフ弁27のリリーフ圧設定部、流量調整弁28の流量調整部及び方向制御弁29の方向切換部を含むダイカストマシン2の駆動部、並びに、表示装置33に駆動信号を出力するドライバ群35に制御信号を出力する。図1において、符号aはモータ25の制御信号、符号bはリリーフ弁27の制御信号、符号cは流量調整弁28の制御信号、符号dは方向制御弁29の制御信号、符号eは入力装置32の出力信号、符号fは表示装置33の制御信号を示している。
【0035】
図2に戻って、運転条件設定格納部41には、ダイカストマシンを自動運転モードや手動運転モードで運転するための全てのデータが、書き換え可能に格納される。運転条件設定格納部41に格納されるデータには、表示装置33に表示する画像の素材データも含まれる。運転条件設定格納部41に対する運転条件の設定は、入力装置32を操作することにより行うことができる。
【0036】
測定値格納部43には、型内圧力センサ9から出力される型内圧力測定値及びストロークセンサ12から出力されるスクイズピン10の変位測定値を含む、センサ群34の測定値がリアルタイムで格納される。
【0037】
運転プロセス制御部42は、自動運転モードにおいては、予め用意された各工程の運転制御プログラムと、運転条件設定格納部41に格納された各工程の運転条件の設定値とに基づき、測定値格納部43中の計測情報や各部からの状態確認情報や自身の計時情報を参照しつつ、ドライバ群35を駆動制御して、各工程の運転を連続的に実行させる。
【0038】
判定基準値格納部44には、センサ群34を構成する各センサにより検出される各測定値についての許容値が格納される。判定基準値は、実験等により求められ、入力装置32を操作することによって判定基準値格納部44に格納される。
【0039】
判定部45は、予め用意された各種の判定アルゴリズムを備えており、これに基づいて、測定値格納部43に格納された測定値と、判定基準値格納部44に格納された判定基準値とを比較し、測定値が判定基準値を逸脱したとき、測定値は不適であると判定する。
【0040】
表示処理部46は、予め用意された各種の表示処理プログラムを備えており、入力装置32を操作することにより行われるオペレータからの指令に応じて、運転条件設定格納部41に格納された画像の素材データ、運転条件設定格納部41に格納された所要の測定値及び判定基準値格納部44に格納された所要の判定基準値を読み出し、これらの各データから所要の表示モードの画像データを生成して、これを表示装置33に表示する。
【0041】
以下、図3図5を用いて、表示装置33に表示される画像データの一例を示す。
【0042】
図3図5に示すように、実施形態に係る表示処理部46は、運転条件設定格納部41から所要の素材データを読み出して、表示装置33に「設定」、「グラフ」、「モニタ」、「オプション」、「パラメータ」の各ボタンを表示する。オペレータは、表示装置33に表示されたボタンの中から所望のボタンを選択してタッチ操作することにより、表示装置33に所望の画面を表示できる。
【0043】
図3は、オペレータが「設定」ボタンをタッチ操作することにより表示装置33に表示される設定画面50を示している。設定画面50には、スクイズピン10の選択欄51が設けられており、図3の例では第1選択欄と第2選択欄に○印が表示されて、ダイカストマシン2に備えられた複数のスクイズピン(図1には、1つのスクイズピン10のみを図示している。)の中から、第1のスクイズピンと第2のスクイズピンが選択されたことを示している。また、この設定画面50には、スクイズピンの駆動条件の表記欄52が設けられており、図3の例では第1表記欄と第2表記欄に第1のスクイズピンの駆動条件と第2のスクイズピンの駆動条件とが表示されている。スクイズピンの駆動条件としては、遅延時間と、第1段(1st)〜第3段(3rd)の前進速度、圧力及び前進時間と、キャビティ5内に突出した状態での前進速度、圧力及び保持時間と、原位置に戻るまでの後退速度、圧力及び後退時間が設定されている。なお、遅延時間は、増圧工程に開始時点からの遅延時間又はキャビティ5内の型内圧力が所定値に達した時点(図3の例では、14.8Mpに達した時点)からの遅延時間のいずれかを選択できるようになっており、その選択は、表示装置33に表示された「増圧より」ボタン53又は「圧力より」ボタン54のいずれかを選択的にタッチ操作することにより行うことができる。また、ダイカストマシン2に2以上のスクイズピン10が備えられる場合には、設定画面50の第3欄以降に順次設定する。
【0044】
上述のように、本実施形態においては、運転条件設定格納部41に、スクイズピン10の駆動条件として、スクイズピン10の前進駆動を多段制御するための第1段〜第3段の前進速度、圧力及び前進時間を設定したので、キャビティ5内に充填された金属溶湯の凝固状態に合わせてスクイズピン10の駆動をより厳密に制御することができる。よって、スクイズピン10の前進駆動を1段で制御する場合に比べて、健全なダイカスト製品を製造しやすくなる。また、本実施形態においては、運転条件設定格納部41に、キャビティ5内に突出されたスクイズピン10が予め設定された原位置に戻るまでの後退速度、圧力及び後退時間を設定したので、表示装置33に表示されたスクイズピン10の挙動を監視することにより、スクイズピン10が適正なタイミングで駆動されているか否かを判断することが可能になる。よって、スクイズピン10の齧り等を防止できて、ダイカスト製品の高い製造効率を維持できる。
【0045】
図4は、オペレータが「モニタ」ボタンをタッチ操作することにより表示装置33に表示されるモニタ画面60を示している。モニタ画面60には、モニタ項目の表示欄61が設けられており、当該表示欄61にはモニタ項目として、射出速度、鋳造圧力、型内圧力、第1スクイズピンのストローク、入時間及び戻時間と、第2スクイズピンのストローク、入時間及び戻時間が表示されている。また、モニタ画面60には、各モニタ項目の判定基準値の表示欄62が設けられており、当該表示欄62には判定基準値として、基準値と管理幅とが表示されている。基準値とは、入力装置32を操作することにより設定された各モニタ項目についての設定値であり、管理幅とは、実用上許容される許容値である。さらに、モニタ画面60には、データ表示欄63が設けられており、測定値格納部43から読み出された各モニタ項目についての測定値がリアルタイムで表示される。
【0046】
上述したように、判定部45は、測定値格納部43に格納された測定値と判定基準値格納部44に格納された判定基準値を比較し、測定値が判定基準値を逸脱したとき、測定値は不適であると判定する。表示処理部46は、この判定結果を表示装置33に表示する。図4の例では、5月30日の18時2分3秒に測定された第2スクイズピンのスクイズストロークの測定値と、同日の18時2分58秒に測定された第1スクイズピンのスクイズ戻時間の測定値とに四角形のマークが表示されており、これらの測定値が判定基準値を超えていることが表示されている。なお、カラー表示の表示装置33においては、判定基準値を超える測定値を図形で表示するほか、周囲と異なる色で表示することもできる。これにより、オペレータは、設定されたスクイズピンの駆動条件で成形されなかった製品が生じたことを知ることができる。従って、オペレータは、スクイズピンの駆動条件を含む成形条件を再設定したり、設定されたスクイズピンの駆動条件で成形されなかった製品を排除することによって、良品を製造することができる。
【0047】
図5は、オペレータが「グラフ」ボタンをタッチ操作することにより表示装置33に表示されるグラフ画面70を示している。グラフ画面70には、測定値格納部43から読み出され、表示処理部46にてグラフ化された射出速度データ、鋳造圧力データ、型内圧力データ、第1及び第2のスクイズピンの変位データが、共通の時間軸に沿って同一のタイミングでグラフィック表示されている。また、第1のスクイズピンの変位データについては、判定基準値格納部44から読み出された基準値と管理幅とが表示される。なお、第1のスクイズピンの変位データのみならず、第2のスクイズピンの変位データ、射出速度データ、鋳造圧力データ及び型内圧力データについても、判定基準値格納部44から読み出された基準値と管理幅を表示できるが、図示が不明瞭になるので、図5には図示を省略する。このように、本実施形態では、表示装置33の表示画面に、射出速度データ、鋳造圧力データ、型内圧力データ、第1及び第2のスクイズピンの変位データを共通の時間軸に沿って同一のタイミングでグラフィック表示するので、ダイカストマシンの駆動条件の適否を的確に判定することができる。
【0048】
判定部45により測定値が判定基準値を逸脱したと判定されたとき、表示処理部46はグラフ画面70にその旨を表示することができる。その表示態様としては、判定基準値から逸脱した部分のグラフを周囲と異なる色で表示することなどが考えられる。これにより、オペレータは、設定されたスクイズピンの駆動条件で成形されなかった製品が生じたことを知ることができる。
【0049】
グラフ画面70の横軸は、時間及びスクイズピンのストロークである。従って、オペレータは、グラフ画面を見ることにより、第1及び第2のスクイズピンについての遅延時間を知ることができる。このように、グラフ画面70には、第1及び第2のスクイズピンについての遅延時間が表示されているので、判定部45により測定値が判定基準値を逸脱したと判定されたとき、オペレータは遅延時間の設定をどの程度短縮すれば良いのか、或いは延長すれば良いかの判断を迅速に行うことができ、スクイズピンの駆動条件の再設定を容易に行うことができる。
【0050】
なお、上述の実施形態においては、制御装置31に判定部45を備え、測定値が判定基準値を逸脱したか否かの判定を判定部45が自動的に行う構成としたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、制御装置31に判定部45を備えず、オペレータが図4に示したモニタ画面60又は図5に示したグラフ画面を監視することにより行う構成とすることもできる。
【0051】
また、上述の実施形態においては、制御装置31に判定基準値格納部44を備え、図4に示したモニタ画面60又は図5に示したグラフ画面に、判定基準値格納部44に格納された基準値及び管理幅を表示して、測定値の適否判定を容易化する構成としたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、制御装置31に判定基準値格納部44を備えず、オペレータが図4に示したモニタ画面60の数値又は図5に示したグラフ画面の波形を監視することで測定値の適否判定を行う構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、ダイカストマシンの制御部に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 金型内モニタリング装置
2 ダイカストマシン
9 型内圧力検出センサ
10 スクイズピン
11 スクイズピン駆動機構
12 ストロークセンサ
31 システムコントローラ(制御装置)
32 入力装置
33 表示装置
41 運転条件設定格納部
42 運転プロセス制御部
43 測定値格納部
44 判定基準値格納部
45 判定部
46 表示処理部
図1
図2
図3
図4
図5