(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端部に容器本体開口部を有した容器本体と前記容器本体開口部に対して着脱可能であり前記容器本体開口部を閉塞可能な蓋体により内部に収納空間が形成された収納容器に前記容器本体あるいは前記蓋体の少なくともどちらか一方に形成された前記収納容器の外部の空間と前記収納空間を連通可能なアクセス開口に取り付けられるガスパージ用フィルタにおいて、
前記収納容器の外部の空間の気体と前記収納空間の気体を通気可能な通気空間を有するフィルタハウジングと、
前記フィルタハウジングの前記収納空間の外側に形成され前記通気空間の一部を形成するノズル部の外周面を覆うように形成されたパッドを有し、
前記フィルタハウジングは熱可塑性樹脂により形成され、
前記パッドは弾性体により形成され、
前記ノズル部の先端部で前記収納空間の外側方向に形成されたノズル先端部と、前記パッドの先端部で前記収納空間の外側方向に形成されたパッド外側先端部とから構成されるガスパージ用フィルタ先端部において、
前記収納容器の内部のガスをパージするためのガスパージ装置のパージポートが前記ガスパージ用フィルタ先端部に当接し、ガスパージが実行される際に、前記ノズル先端部の位置が、前記ガスパージ用フィルタ先端部に当接する前記パッド外側先端部の位置と同一、あるいは前記収納空間の外側方向に突出し、
前記パージポートが前記ガスパージ用フィルタ先端部に当接する前において、
前記パッド外側先端部の位置が、前記ノズル先端部の位置と同一、あるいは前記収納空間の外側方向に突出していることを特徴とするガスパージ用フィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態によるガスパージ用フィルタ80について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るガスパージ用フィルタ80が収納容器1に取り付けられ、基板Wが収納された様子を示す分解斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係るガスパージ用フィルタ80が収納容器1に取り付けられた様子を示す下方斜視図である。
図3(A)は、本発明の第1実施形態に係るガスパージ用フィルタ80を示す上方斜視図である。
図3(B)は、本発明の第1実施形態に係るガスパージ用フィルタ80を示す下方斜視図である。
図4は、本発明の第1実施形態に係るガスパージ用フィルタ80を示す分解斜視図である。
図5は、本発明の第1実施形態に係るガスパージ用フィルタ80を収納容器1に取り付けた部分を示す断面図である。
図6は、
図5におけるガスパージ用フィルタ先端部406の近傍を拡大した断面図である。
【0022】
ここで、説明の便宜上、後述の容器本体2から蓋体3へ向かう方向(
図1における右上から左下へ向かう方向)を前方向と定義し、その反対の方向を後方向と定義し、これらをあわせて前後方向と定義する。また、後述の下壁24から上壁23へと向かう方向(
図1における上方向)を上方向と定義し、その反対の方向を下方向と定義し、これらをあわせて上下方向と定義する。また、後述する第2側壁26から第1側壁25へと向かう方向(
図1における右下から左上へ向かう方向)を左方向と定義し、その反対の方向を右方向と定義し、これらをあわせて左右方向と定義する。
【0023】
また、収納容器1に収納される基板W(
図1参照)は、円盤状のシリコンウェーハ、ガラスウェーハ、サファイアウェーハ等であり、産業に用いられる薄いものである。本実施形態における基板Wは、直径300mm〜450mmのシリコンウェーハである。
【0024】
図1に示すように、収納容器1は、上述のようなシリコンウェーハからなる基板Wを収納して、工場内の工程において搬送する工程内容器として用いられたり、陸運手段・空運手段・海運手段等の輸送手段により基板を輸送するための出荷容器として用いられるものであり、容器本体2と、蓋体3と、側方基板支持部としての基板支持板状部5と、奥側基板支持部(図示せず)と、蓋体側基板支持部としてのフロントリテーナ(図示せず)とを有している。
【0025】
容器本体2は、一端部に容器本体開口部21が形成され、他端部が閉塞された筒状の壁部20を有する。容器本体2内には収納空間27が形成されている。収納空間27は、壁部20により取り囲まれて形成されている。壁部20の部分であって収納空間27を形成している部分には、基板支持板状部5が配置されている。収納空間27には、
図1に示すように、複数の基板Wを収納可能である。
【0026】
基板支持板状部5は、収納空間27内において対をなすように壁部20に設けられている。基板支持板状部5は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていないときに、複数の基板Wの縁部に当接することにより、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wの縁部を支持可能である。基板支持板状部5の奥側には、奥側基板支持部(図示せず)が設けられている。
【0027】
奥側基板支持部(図示せず)は、収納空間27内においてフロントリテーナ(図示せず)と対をなすように壁部20に設けられている。奥側基板支持部(図示せず)は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、複数の基板Wの縁部に当接することにより、複数の基板Wの縁部の後部を支持可能である。
【0028】
蓋体3は、容器本体開口部21を形成する開口周縁部31(
図1等)に対して着脱可能であり、容器本体開口部21を閉塞可能である。フロントリテーナ(図示せず)は、蓋体3の部分であって蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに収納空間27に対向する部分に設けられている。フロントリテーナ(図示せず)は、収納空間27の内部において奥側基板支持部(図示せず)と対をなすように配置されている。
【0029】
フロントリテーナ(図示せず)は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、複数の基板Wの縁部に当接することにより複数の基板Wの縁部の前部を支持可能である。フロントリテーナ(図示せず)は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、奥側基板支持部(図示せず)と協働して複数の基板Wを支持することにより、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wを保持する。
【0030】
収納容器1は、プラスチック材等の樹脂で構成されており、特に説明が無い場合には、その材料の樹脂としては、たとえば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリブチルテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーといった熱可塑性樹脂やこれらのアロイ等が上げられる。これらの成形材料の樹脂には、導電性を付与する場合には、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー等の導電性物質が選択的に添加される。また、剛性を上げるためにガラス繊維や炭素繊維等を添加することも可能である。
【0031】
以下、各部について、詳細に説明する。
図1等に示すように、容器本体2の壁部20は、奥壁22と上壁23と下壁24と第1側壁25と第2側壁26とを有する。奥壁22、上壁23、下壁24、第1側壁25、及び第2側壁26は、上述した材料により構成されており、一体成形されて構成されている。
【0032】
第1側壁25と第2側壁26とは対向しており、上壁23と下壁24とは対向している。上壁23の後端、下壁24の後端、第1側壁25の後端、及び第2側壁26の後端は、全て奥壁22に接続されている。上壁23の前端、下壁24の前端、第1側壁25の前端、及び第2側壁26の前端は、奥壁22に対向する位置関係を有し、略長方形状をした容器本体開口部21を形成する開口周縁部31を構成する。
【0033】
開口周縁部31は、容器本体2の一端部に設けられており、奥壁22は、容器本体2の他端部に位置している。壁部20の外面により形成される容器本体2の外形は箱状である。壁部20の内面、即ち、奥壁22の内面、上壁23の内面、下壁24の内面、第1側壁25の内面、及び第2側壁26の内面は、これらによって取り囲まれた収納空間27を形成している。開口周縁部31に形成された容器本体開口部21は、壁部20により取り囲まれて容器本体2の内部に形成された収納空間27に連通している。収納空間27には、最大で25枚の基板Wを収納可能である。
【0034】
図1に示すように、上壁23及び下壁24の部分であって、開口周縁部31の近傍の部分には、収納空間27の外方へ向かって窪んだラッチ係合凹部40A、40B、41A、41Bが形成されている。ラッチ係合凹部40A、40B、41A、41Bは、上壁23及び下壁24の左右両端部近傍に1つずつ、計4つ形成されている。
【0035】
図1に示すように、上壁23の外面においては、リブ28が、上壁23と一体成形されて設けられている。このリブ28は、容器本体の剛性を高めるために設けられている。
【0036】
また、上壁23の中央部には、トップフランジ29が固定される。トップフランジ29は、AMHS(自動ウェーハ搬送システム)、PGV(ウェーハ基板搬送台車)等において収納容器1を吊り下げる際に、収納容器1において掛けられて吊り下げられる部分となる部材である。
【0037】
図1及び
図2に示すように、下壁24の四隅には、通気路として、アクセス開口である貫通孔45が形成されている。本第一実施形態においては、下壁24の前方の2箇所の貫通孔45は、容器内部の気体を排出するための排気孔であり、後方の2箇所の貫通孔45は、容器内部に気体を給気するための給気孔である。給気孔と排気孔の貫通孔45には、それぞれガスパージ用フィルタ80が配置されている。
【0038】
図3(A)、
図3(B)、
図4、
図5に示すようにガスパージ用フィルタ80は、フィルタハウジング90としての第1ハウジング100と第2ハウジング200、フィルタ体150と、パッド300とを有している。第1ハウジング100は、上部第1ハウジング101と下部第1ハウジング102からなり、上部第1ハウジング101と下部第1ハウジング102の間にフィルタ体150が狭持されている。上部第1ハウジング101と下部第1ハウジング102は、超音波により溶着固定されている。
【0039】
図1や
図2に示すように、本実施形態において、ガスパージ用フィルタ80は、容器本体2の下壁24に、上部第1ハウジング101が収納空間27側になるように配置されている。ガスパージ用フィルタ80は、下壁24以外の壁部、蓋体に取り付けても良い。
【0040】
ガスパージ用フィルタ80の収納空間27側に配置される上部第1ハウジング101には、収納空間側開口120が形成され、ガスパージ用フィルタ80に収納容器1の外部の空間側には、収納空間外側開口121が形成されている。これらの開口はガスパージ用フィルタ80の内部の通気空間110を介して、収納容器1の内部と外部の空間を連通させている。
【0041】
上記構成により、ガスパージ用フィルタ80は、フィルタ体150を通して容器本体2の外部の空間から収納空間27への方向(以下、「収納空間の内側方向」と定義する)、あるいは収納空間27から容器本体2の外部の空間への方向(以下、「収納空間の外側方向」と定義する)に気体を通過可能である。その際、フィルタ体150は、気体に含まれるパーティクル等を通過することを阻止する。
【0042】
図5に示すように、上部第1ハウジング101には、収納空間側開口120に連通した上部通気空間111が設けられている。下部第1ハウジング102には、収納空間の外側方向(
図5では下方向)に向けて突出して形成された略環状筒形状を有するノズル部103が形成されている。ノズル部103の収納空間の外側方向の先端部には、ノズル先端部106か形成されている。さらに、下部第1ハウジング102には、上部通気空間111と接続された下部通気空間112が形成され、ノズル部103の内部に形成されたノズル部通気空間113と接続されている。よって、上部通気空間111と下部通気空間112とノズル部通気空間113により、ガスパージ用フィルタ80の収納空間側開口120と収納空間外側開口121を連通する通気空間110が形成されている。
【0043】
さらに、下部第1ハウジング102には、ノズル部103の半径方向外側に環状に覆うようにネジ部104が形成されている。ノズル部103とネジ部104の間には、後述するパッド300を保持するための空間が形成され、ノズル部103とネジ部104の間には、収納空間の内側方向(
図5における上方向)にパッドが当接するパッド当接部105が設けられている。
【0044】
下部第1ハウジング102のノズル部103の外周面を覆うように略円筒上の弾性体のパッド300が設けられている。この略円筒上のパッド300の収納空間の外側方向にはパッド外側先端部306が、収納空間の内側方向にはパッド当接部105に当接するパッド内側先端部305が形成されている。パッド300を第2ハウジング200で第1ハウジング100に固定するために、パッド外側先端部306よりも収納空間の内側方向に段差であるパッド肩部304が形成されている。また、パッド外側先端部306には、下部第1ハウジング102のノズル部103のノズル先端部106の外周に当接するパッド内径凸部310が形成されている。パッド内径凸部310は、パッド300とノズル部103をシールする。そのため、パッド300のパッド内径凸部310の内径(パッド外側先端部306の内径)は、ノズル先端部106の外径よりも小さく成形している。そのため、パッド300は、その弾性を利用してノズル先端部106にパッド外側先端部306を圧入するようにして組み立てられている。
【0045】
ノズル先端部106とパッド外側先端部306は、ガスパージ用フィルタ先端部406を構成し、ガスパージ装置のパージポート800と当接し、ガスパージが実行される。本第1実施形態では、ガスパージ用フィルタ先端部406がパージポート800と当接する前において、ノズル先端部106とパッド外側先端部306の位置は同一となり、ノズル先端部106とパッド外側先端部306の収納空間の外側方向の表面を同一高さとしている。
【0046】
第2ハウジング200の内径面には、下部第1ハウジング102のネジ部104と係合するネジが設けられている。第2ハウジング200をネジ部104にねじ込むことで、パッド300のパッド肩部304を、第2ハウジング200の第2ハウジング押え部210により押し、パッド300のパッド内側先端部305を下部第1ハウジング102のパッド当接部105に押しつけることで、パッド300は第1ハウジング100に固定される。その際、パッド肩部304の第2ハウジング200の第2ハウジング押え部210が押す方向は、第2ハウジング200が第1ハウジング100にねじ込まれる際の移動方向となり、第2ハウジング200をねじ込む際にパッド300に加わる力(第2ハウジング固定力)は、下部第1ハウジング102のパッド当接部105で受ける構造となっている。このため、パッド300を第1ハウジング100に固定しても、パッド外側先端部306とノズル先端部106の気密性は確保される。
【0047】
さらに、第2ハウジング200は、パッド300を第1ハウジング100に固定するだけでなく、下壁24にガスパージ用フィルタ80を固定する為にも用いられる。ガスパージ用フィルタ80を下壁24に固定する際には、ガスパージ用フィルタ80と下壁24の貫通孔45との間にOリング114を用い、シールする。
【0048】
第1ハウジング100、第2ハウジング200には、アウトガス発生量が少なく、吸水性・吸湿性が少ないシクロオレフィンポリマーを用いた。シクロオレフィンポリマー以外には、所定の吸水率・吸湿率以下で、所定のアウトガス発生量以下の熱可塑性樹脂であればよく、例えば、ポリカーボネートやポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどの樹脂を用いることができる。また、パッド300には、弾性部材としてポリオレフィンエラストマーを用いた。ポリオレフィンエラストマー以外には、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレン等の樹脂やポリエチレンエラストマー等のエラストマー、シリコンゴムやフッ素ゴム等のゴム材を用いることができる。
【0049】
上述のようなガスパージ用フィルタ80において、ガスパージ装置による気体の置換(ガスパージ)は、以下のとおりに行われる。
工場内の工程において収納容器1が工程内容器として用いられているときには、容器本体2において下壁24は下部に位置し上壁23は上部に位置している。この収納容器1のガスパージ用フィルタ80を用いたガスパージの方法は、蓋体3で容器本体2の容器本体開口部21を塞いで行う場合と、収納容器1から蓋体3を外した状態で行う場合の2通りがある。以下、蓋体3で容器本体2を塞いだ状態での説明を行う。
【0050】
容器本体2が蓋体3によりその容器本体開口部が閉じられた状態で、容器本体2の下壁24の貫通孔45に設けられたガスパージ用フィルタ80のガスパージ用フィルタ先端部406に、ガスパージ装置のパージポート800のパージポート先端部802が当接する。第1ハウジング100のノズル部103の開口周辺部には弾性体であるパッド300が設けられている為に、パージポート800が当接した際の、パージポート先端部802とガスパージ用フィルタ先端部406との間の気密性(シール)を確実に行うことができる。その後、パージガスがガスパージ装置より供給され、パージガス流通路801から供給されたパージガスは、通気空間110であるノズル部通気空間113、下部通気空間112、上部通気空間111を通過して、収納容器1の収納空間27に供給される。その際、フィルタ体150を通過することで、不要なパーティクルが収納空間27に入らない。収納容器1の内部の気体は、他のガスパージ用フィルタ80から収納容器1の外部に排出され、ガスパージが実施される。
【0051】
上述したガスパージが行われる際、パージガス流通路801の径がガスパージ用フィルタ80の収納空間外側開口121よりも小さく、パージポートの外形がノズル先端部106の外形よりも大きい為、パージガス流通路801から放出されるパージガスはノズル部通気空間113にすべて供給され、弾性体であるパッド300にはパージガスが全く触れずに、ガスパージが行われる。
【0052】
上記構成の第1実施形態に係るガスパージ用フィルタ80によれば、以下のような効果を得ることができる。
パージポート800とガスパージ用フィルタ80との当接時の気密性を確実に取るためには、弾性体のパッド300が有用である。しかし、パッド300が弾性体であるため、この弾性体のパッド300にパージガスが接触すると、パッド300の含まれる水分や収納物である基板に悪影響を及ぼす物質がパージガス中に含まれ、それが収納容器1の収納空間27に放出されてしまう。そのため、ガスパージの目的である、収納容器1の収納空間内の水分(湿度)の低下を阻害する可能性があるが、本実施形態においては、パージガスが通過する通気空間中に、弾性体が介在することがないので、ガスパージ中にパッド300から放出される水分や基板に悪影響を及ぼす物質を収納容器1内の収納空間27に放出することがなく、収納容器1内の収納空間27を低湿度でクリーンな環境を提供することができる。
【0053】
さらに、パッド外側先端部306の内径を、パッド300が単体(つまり、パッド300をガスパージ用フィルタ80に組み込む前)の状態におけるノズル先端部106の外径よりも小さい構成としたことにより、パッド300とノズル部103の密着性が向上する。よって、第2ハウジング200によりパッド300を第1ハウジング100に取り付けた状態で、下部第1ハウジング102とパッド300とが気密性が確保される。これにより、下部第1ハウジング102とパッド300の隙間301にガスパージ用フィルタ80を洗浄する際の洗浄液の侵入を防ぎ、その後の乾燥時間の短縮をすることができる。
【0054】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態によるガスパージ用フィルタ80Aについて
図7(A)と
図7(B)を参照しながら説明する。
図7(A)は、本発明の第2実施形態に係るガスパージ用フィルタ80Aのガスパージ用フィルタ先端部406Aの近傍を拡大した断面図で、パージポート800と当接する前の状態を示す図である。
図7(B)は、本発明の第2実施形態に係るガスパージ用フィルタ80Aのガスパージ用フィルタ先端部406Aの近傍を拡大した断面図で、パージポート800と当接した状態を示す図である。
【0055】
第2実施形態によるガスパージ用フィルタは、ガスパージ用フィルタ先端部の形状が第1実施形態によるガスパージ用フィルタと異なる実施例である。これ以外の構成については、第1実施形態によるガスパージ用フィルタ80の構成と同様であるため、第1実施形態における各構成と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0056】
図7(A)に示すように、ガスパージ用フィルタ80Aとパージポート800とが当接する前の状態において、パッド外側先端部306Aは、第1ハウジング100のノズル部103のノズル先端部106よりも、収納空間の外側方向に突出している。
【0057】
ガスパージを行う為に、ガスパージ用フィルタ80Aとパージポート800とが当接すると、
図7(B)に示されるように、弾性体であるパッド300Aは、パージポート800に押されパッド外側先端部306Aの一部が変形する(パッド外側先端変形部307A)。この変形により、パージポート800のパージポート先端部802は、ノズル部103と当接する。
【0058】
ノズル部103のノズル先端部106とパージポート800のパージポート先端部802が当接し、パッド外側先端変形部307Aによりパージポート800の外周がシールされる。よって、本実施形態において、パージポート800とガスパージ用フィルタ80Aが当接する前に、ノズル先端部106よりもパッド外側先端部306Aが収納空間の外側方向に突出していても、ガスパージが実施される際には、第1実施形態と同様に、パージガスが弾性体であるパッド300Aと触れることが無く、ガスパージ中にパッド300Aから放出される水分や基板に悪影響を及ぼす物質を収納容器1内の収納空間27に放出することがなく、収納容器1内の収納空間27を低湿度でクリーンな環境を提供することができる。
【0059】
さらに、パッド外側先端部306Aを変形させ、パージポート800をノズル部103に当接させるので、パージポート800とパッド外側先端部306Aとの密着性が向上し、パージポート800からのパージガスをより効率よく収納空間27に放出することができる。
【0060】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態によるガスパージ用フィルタ80Bについて
図8(A)と
図8(B)を参照しながら説明する。
図8(A)は、本発明の第3実施形態に係るガスパージ用フィルタ80Bのガスパージ用フィルタ先端部406Bの近傍を拡大した断面図で、パージポート800と当接する前の状態を示す図である。
図8(B)は、本発明の第3実施形態に係るガスパージ用フィルタ80Bのガスパージ用フィルタ先端部406Bの近傍を拡大した断面図で、パージポート800と当接した状態を示す図である。
【0061】
第3実施形態によるガスパージ用フィルタは、ガスパージ用フィルタ先端部の形状と、パージポート先端部の形状が第1実施形態の場合と異なる実施例である。これ以外の構成については、第1実施形態によるガスパージ用フィルタ80の構成と同様であるため、第1実施形態における各構成と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0062】
図8(A)に示すように、第1ハウジング100のノズル部103のノズル先端部106は、パッド300Bのパッド外側先端部306Bよりも、収納空間の外側方向に突出している。さらに、パージポート先端部802Bは、平坦面ではなく、ノズル部103の外径よりも大きな内径を有するパージポート環状凸部803Bが形成されている。
【0063】
ガスパージを行う為に、ガスパージ用フィルタ80Bとパージポート800Bとが当接すると、
図8(B)に示されるように、パージポート800Bのパージポート環状凸部803Bの内側のパージポート先端部802Bの部分がノズル部103のノズル先端部106に当接する。その際、パージポート環状凸部803Bは、ノズル先端部よりも収納空間の内側に凹んだ弾性体であるパッド300Bのパッド外側先端部306Bの一部に食い込み変形する(パッド外側先端変形部307B)。
【0064】
ノズル部103のノズル先端部106とパージポート800Bのパージポート先端部802Bが当接し、パッド外側先端変形部307Bによりパージポート800Bの外周がシールされる。よって、本実施形態において、パージポート800Bとガスパージ用フィルタ80Bが当接する前に、パッド外側先端部306Bがノズル先端部106よりも収納空間の外側方向に突出していても、ガスパージが実施される際には、第1実施形態と同様に、パージガスが弾性体であるパッド300Bと触れることが無く、ガスパージ中にパッド300Bから放出される水分や基板に悪影響を及ぼす物質を収納容器1内の収納空間27に放出することがなく、収納容器1内の収納空間27において低湿度でクリーンな環境を提供することができる。
【0065】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態によるガスパージ用フィルタ80C、80Dについて
図9から
図11を参照しながら説明する。
図9は、本発明の第4実施形態に係るガスパージ用フィルタ80Cを示す分解斜視図である。
図10は、本発明の第4実施形態に係るガスパージ用フィルタ80Cの給気用のガスパージ用フィルタの断面図である。
図11は、本発明の第4実施形態に係るガスパージ用フィルタ80Dの排気用のガスパージ用フィルタの断面図である。
【0066】
第4実施形態によるガスパージ用フィルタ80C、80Dは、第1実施形態のガスパージ用フィルタに、パージガスの流通方向を一定方向に制御する逆止弁機構である作動部材500Cを追加した場合の実施例である。これ以外の構成については、第1実施形態によるガスパージ用フィルタ80の構成と同様であるため、第1実施形態における各構成と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0067】
図9、
図10のガスパージ用フィルタ80Cは、収納容器1の外部の空間から収納空間27にパージガスを供給するためのガスパージ用フィルタである。
【0068】
第1実施形態における第1フィルタハウジング100Cの通気空間110の途中にパージガスの流通方向を一定方向に制御する逆止弁機構である作動部材500Cを配置している。この作動部材500Cを第1フィルタハウジング100Cに内蔵するために、第1実施形態の下部第1ハウジングのノズル部を削除した下部第1ハウジング102Cに、上記作動部材500Cを内部に保持するための内部ハウジング400Cを設けた。
【0069】
内部ハウジング400Cの収納空間の外側方向には、ノズル先端部106Cが形成され、その外周部を覆うようにパッド300Cが設けられている。パッド300Cには、第1実施形態と同様にパッド肩部304Cが形成されている。パッド300Cを第1ハウジングに固定するために、第2ハウジング200の第2ハウジング押え部210により、パッド300Cのパッド肩部304Cを押し、内部ハウジング400Cとともに下部第1ハウジングの収納空間の内側方向に押しこむ。
【0070】
逆止弁機構である作動部材500Cは、弁体502Cと弁体502Cを一定方向に付勢するためのバネ501Cから構成されている。
図10の実施形態では、内部ハウジング400Cの内部の通気空間110で、収納空間の外側方向に弁体502Cを配置し、弁体502Cを内部ハウジング400Cの内面に付勢するためのバネ501Cを弁体502Cと下部第1ハウジング102Cの間に配置する。
【0071】
パッド300Cのパッド外側先端部306Cと、内部ハウジング400Cのノズル先端部106Cの位置関係は、第1実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0072】
このガスパージ用フィルタ80Cは、第1実施形態のパージ方法と同じ方法で収納空間27にパージガスが供給される。その際、弁体502Cが収納空間の内側方向に移動し、通気空間110を通りパージガスが収納容器1の外部から収納空間27に供給される。パージガスの供給が止まると、弁体502Cがバネ501Cにより通気空間110を閉じる。よって、収納空間27から収納容器1の外部への気体の放出を防ぐ。
【0073】
また、
図11のガスパージ用フィルタ80Dは、収納空間27から収納容器1の外側にパージガスを排出するためのガスパージ用フィルタである。
図9や
図10のガスパージ用フィルタ80Cとの違いは、逆止弁機構である作動部材の弁体502Cとバネ501Cが上下方向に逆になっただけである。
【0074】
ガスパージ用フィルタ80Cから収納空間27に供給されたパージガスが、収納空間27において一定の圧力以上になると、ガスパージ用フィルタ80Dの作動部材500Dの弁体502Cは、収納空間の外側方向に移動し、収納空間27から収納容器1の外部に気体を放出する。その後、一定圧力以下になると、弁体502Cは元の位置に戻り、収納空間27から収納容器1の外部への気体の放出が止まる。
【0075】
上記構成の第4実施形態に係るガスパージ用フィルタによれば、第1実施形態の効果に加え、フィルタ内部に逆止弁機構を内蔵することが可能となり、収納容器1の収納空間27へのパージガスの供給、あるいは収納空間27からの放出をコントロールでき、より効率的なガスパージを行うことができる。