【実施例】
【0018】
まず、実施例に係るイベント管理の概念について説明する。
図1は、実施例に係るイベント管理の概念を説明する説明図である。
図1では、商品の割引販売を行なうイベントである割引イベントを店舗Tにおいて実施する場合を示している。
【0019】
図1に示すオーナー端末30は、店舗Tにおいて割引イベントを実施する権限を有するオーナーが使用する端末である。このオーナー端末30は、店舗Tの内部に設けてもよいし、店舗Tの外部に設けてもよい。管理装置20は、店舗Tにおける割引イベントを管理する管理装置であり、例えば店舗Tの外部に設けられる。
【0020】
オーナーはオーナー端末30を操作して割引イベントの設定を行なう。この割引イベントの設定により、割引条件及び割引原資が管理装置20に送信される。割引条件は、割引販売の適用条件を示す。具体的には、割引販売を行なう時間帯、割引対象となる商品、割引の内容などが適用条件に含まれる。割引原資は、割引イベントにおける割引分の総額を示す。すなわち、割引イベントでは、この割引原資の範囲内で割引が行なわれることになる。
【0021】
図1では、14時から15時の間に商品Aを購入すると割引が行なわれることを示している。そして、割引の内容としては、14時から15時の間に商品Aを購入した利用者に対して割引原資を分配することにより、最大で50%の割引が受けられることを示している。この割引の内容では、割引の適用を受ける利用者が少ない程、割引率が高くなる。
【0022】
管理装置20は、割引イベントの設定が行なわれると、割引条件及び割引原資を記憶部に格納し、利用者にイベント通知を行なう。このイベント通知は、割引条件などの情報を含むメッセージを予め登録された利用者端末に対して送信することで行なわれる。
【0023】
イベント通知を受けた利用者は、まず、店舗Tで商品Aを購入する。このとき、利用者は、商品Aの代金を定価で支払う。その後、利用者は、商品Aの購入を管理装置20に通知する。この購入の通知には、イベント通知を受けた利用者端末を識別する識別情報、購入した商品の識別情報及びイベントの識別情報を含む。また、購入の通知は、利用者端末から行ってもよいし、店舗Tに設けた店舗端末から行なってもよい。
【0024】
例えば、利用者端末に送信されたイベント通知を利用者端末のディスプレイに表示し、ディスプレイに表示したイベント通知と商品Aの購入を示すレシートとを店舗端末に読み取らせ、店舗端末から管理装置20に購入通知を送信すればよい。
【0025】
購入通知を受信した管理装置20は、購入通知に示された商品や購入時刻が割引条件を満たすか否かを判定する。そして、割引条件を満たすと判定したならば、割引分の金額を算定し、当該金額に対応する価値を利用者に付与する。この割引分の価値の付与は、利用者の口座に振り込むことで行ってもよいし、所定のポイントに加算することで行ってもよい。
【0026】
このように、本実施例に係るイベント管理システムでは、割引条件及び割引原資を設定し、この割引原資の範囲内で割引を行なう。このため、意図しない総額を割引サービスに費やさねばならない状況が発生することを防ぎ、計画的に割引イベントを実施することができる。そして、割引の総額が過大となることを恐れることなく、大胆なイベントの実施が可能となるため、在庫処分や集客率の向上を効率的に実現することが可能である。
【0027】
加えて、利用者が一旦定価で商品を購入した後、割引分を付与することとしているので、商品Aの販売自体を管理する販売管理システムとは独立して割引イベントを実施可能である。このため、オーナーの裁量で柔軟な割引イベントの実施が可能となるのである。
【0028】
次に、イベント管理システムの構成について説明する。
図2は、イベント管理システムの構成を示す図である。
図2に示すように、イベント管理システムでは、複数の利用者端末10がネットワークNを介して管理装置20に接続される。利用者端末10は、例えばスマートフォンと呼ばれる携帯端末である。ネットワークNは、電話回線網やインターネット等の共用ネットワークである。
【0029】
店舗Tには、オーナー端末30、店舗端末40及びPOS端末50が設置されている。オーナー端末30は、既に説明したように、店舗Tにおいて割引イベントを実施する権限を有するオーナーが使用する端末であり、管理装置20と通信可能に接続されている。
【0030】
店舗端末40は、管理装置に対して購入の通知を送信する端末である。店舗端末40は、撮影機能と画像識別機能を有しており、利用者端末10のディスプレイに表示されたイベント通知やレシート等を撮影してその内容を識別し、購入通知を生成して管理装置20に送信する。
【0031】
POS端末50は、販売時点情報管理(point of sale)システムの端末であり、商品の販売に係る情報を図示しないネットワークを用いて所定の装置に送信する。また、POS端末50は、商品の販売時に商品の識別情報、個数、販売日時、代金、店舗の識別情報などを記載したレシートを発行する。イベント管理システムは、POS端末50が発行するレシートを利用するが、POS端末50との通信接続は必要ではない。
【0032】
なお、
図2では、オーナー端末30及び店舗端末40と管理装置20との間を専用のネットワークにより接続した構成を例示したが、オーナー端末30及び店舗端末40と管理装置20との間をネットワークNにより接続しても良い。また、
図2では、1つの店舗Tを例示したが、管理装置20には複数の店舗Tを接続することができる。
【0033】
次に、
図2に示した管理装置20の内部構成について説明する。
図3は、
図2に示した管理装置20の内部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、管理装置20は、表示部21及び入力部22と接続され、共用ネットワーク通信部23、店舗ネットワーク通信部24、記憶部25及び制御部26を有する。
【0034】
表示部21は、液晶パネルやディスプレイ装置等である。入力部22は、キーボードやマウス等である。共用ネットワーク通信部23は、ネットワークNを介して利用者端末10とデータ通信するためのインタフェース部である。店舗ネットワーク通信部24は、オーナー端末30及び店舗端末40とデータ通信するためのインタフェース部である。
【0035】
記憶部25は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、会員データ25a、オーナーデータ25b、店舗データ25c、イベント設定データ25d及びイベント結果データ25eを記憶する。
【0036】
会員データ25aは、会員登録された利用者と、当該利用者にイベント通知を行なう場合の通知先等を対応付けたデータである。オーナーデータ25bは、オーナーとして登録された人物についてのデータである。店舗データ25cは、割引イベントを実施することのできる店舗についてのデータである。イベント設定データ25dは、オーナー端末30により設定された割引イベントについてのデータである。イベント結果データ25eは、割引イベントの結果、即ち、割引イベントで購入された商品についてのデータである。
【0037】
制御部26は、管理装置20を全体制御する制御部であり、基本データ管理部26a、イベント設定部26b、イベント通知部26c、条件判定部26d、割引金額算定部26e、付与処理部26f及びイベント分析部26gを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、基本データ管理部26a、イベント設定部26b、イベント通知部26c、条件判定部26d、割引金額算定部26e、付与処理部26f及びイベント分析部26gにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0038】
基本データ管理部26aは、会員データ25a、オーナーデータ25b及び店舗データ25cの管理を行なう処理部である。利用者、オーナー及び店舗に関する情報の追加、削除、変更は、基本データ管理部26aにより行なわれる。
【0039】
イベント設定部26bは、オーナー端末30から割引条件及び割引原資を受信した場合に、新規の割引イベントとしてイベント設定データ25dに登録する処理を行なう。イベント通知部26cは、イベント設定部26bにより新規の割引イベントが登録された場合に、利用者に対するイベント通知を行なう処理部である。
【0040】
具体的には、イベント通知部26cは、会員データ25aから通知の対象となる利用者を選択し、割引条件など利用者に通知すべき情報を含むメッセージを生成し、選択した利用者の通知先に対してイベント通知のメッセージを送信する。
【0041】
条件判定部26dは、店舗端末40等から購入通知を受信した場合に、購入通知に示された商品や購入時刻が割引条件を満たすか否かを判定する処理部である。条件判定部26dは、割引条件を満たすと判定した購入通知をイベント結果データ25eに登録する。
【0042】
割引金額算定部26eは、イベント結果データ25eとイベント設定データ25dに設定された割引原資とを用いて割引分の金額を算定する処理部である。付与処理部26fは、割引金額算定部26eにより算定された金額に対応する価値を利用者に付与する処理部である。この割引分の価値の付与は、利用者の口座に振り込むことで行ってもよいし、所定のポイントに加算することで行ってもよい。どのような方法で割引分の価値を付与するかは、例えば、利用者自身の指定により、会員データ25aに登録しておけばよい。
【0043】
イベント分析部26gは、イベント結果データ25eを用いた分析を行なう処理部である。この分析により、割引イベントによる売上の集計、利用者のリピート率の算出などを行なうことができる。さらに複数の割引イベントの結果を用いれば、割引イベントの効果を比較して評価することができる。この割引イベントの評価は、例えば売上の高さ、集客力の大きさなど、割引イベントによる効果の種類毎に行なうことが可能である。
【0044】
次に、管理装置20の記憶部25が記憶するデータの具体例について説明する。
図4は、管理装置20の記憶部25が記憶するデータを説明するための説明図である。
【0045】
図4(a)に示す会員データ25aは、会員IDに、氏名、会員種別、通知先、還元先等を対応付けたデータである。会員IDは、利用者の会員登録時に付与する利用者の識別情報である。氏名は、当該会員の氏名である。会員種別は、会員を所定の基準で分類した結果を示すデータである。会員種別を設けることで、特定の会員種別に属する利用者を対象にして割引イベントを実施する、特定の会員種別である場合に割引分を優遇する等、多様な割引イベントが可能となる。通知先は、当該利用者にイベント通知を行なう場合に用いるものであり、利用者が登録した利用者端末10のメールアドレス等である。還元先は、割引分の価値をどのように付与するかを規定するデータであり、振込先の銀行口座や、ポイントの加算先などが示されることになる。
【0046】
図4(a)では、会員ID「10001」に対し、氏名「AA BB」、会員種別「通常会員」、通知先「yy@zz.jp」、還元先「CC銀行 口座DD」が関連付けられている。
【0047】
図4(b)に示すオーナーデータ25bは、オーナーIDに、氏名、端末アドレス等を対応付けたデータである。オーナーIDは、オーナーの識別情報である。氏名は、当該オーナーの氏名である。端末アドレスは、オーナー端末と通信する際の宛先となるアドレスである。
図4(b)では、オーナーID「20001」に対し、氏名「EE FF」、端末アドレス「111.111.111.1」が関連付けられている。
【0048】
図4(c)に示す店舗データ25cは、店舗IDに、オーナーID、端末アドレス等を対応付けたデータである。店舗IDは、店舗の識別情報である。オーナーIDは当該店舗において割引イベントを実施する権限を有するオーナーのオーナーIDである。端末アドレスは、当該店舗に設置された店舗端末と通信する際の宛先となるアドレスである。
図4(c)では、店舗ID「30001」に対し、オーナーID「20005」、端末アドレス「222.222.222.2」が関連付けられている。
【0049】
図4(d)に示すイベント設定データ25dは、イベントIDに、オーナーID、対象店舗、割引条件及び割引原資を対応付けたデータである。イベントIDは、割引イベントを識別するIDである。このイベントIDは、イベント設定部26bが新規の割引イベントとしてイベント設定データ25dに登録した場合に付与される。オーナーIDは、当該割引イベントの設定を行なったオーナーのオーナーIDである。対象店舗は、当該割引イベントを実施する店舗を示す。割引条件及び割引原資は、当該割引イベントについてオーナーにより設定された割引条件及び割引原資を示す。
【0050】
図4(d)では、イベントID「V0001」に対し、オーナーID「20005」、対象店舗「30001」及び「30002」、割引条件「14時〜15時、商品A、分配(上限50%)」、割引原資「1万円」が対応付けられている。
【0051】
図4(e)に示すイベント結果データ25eは、イベントIDに、会員ID、購入店舗、購入日時、購入商品及び売上を対応付けたデータである。イベントIDは、条件判定部26dにより購入通知が割引条件を満たすと判定された場合に、いずれの割引イベントの割引条件を満たしたかによって定まる。会員IDは、購入通知に示された利用者、即ち、割引対象となる商品を購入した利用者の会員IDである。購入店舗は、購入通知に示された店舗、すなわち、割引対象となる商品が購入された店舗の店舗IDである。同様に、購入日時、購入商品及び売上は、購入通知に示されたものである。
【0052】
次に、イベント通知の具体例について説明する。
図5は、イベント通知の具体例についての説明図である。
図5では、利用者端末10のディスプレイにイベント通知を表示した状態を示している。このイベント通知は、例えばメールにて送信されたものである。
【0053】
図5に示した例では、「14時から15時までの時間帯を条件としたタイムサービスであること」、「割引の対象となるのが商品Aであること」、「割引率は固定ではなく、商品Aの定価の50%を上限とした割引分の価値が付与されること」がテキストとして表示されている。さらに、詳細な情報を表示するための操作ボタンと、二次元コードが表示されている。
【0054】
二次元コードには、利用者端末10のメールアドレスや利用者の会員ID等の利用者端末10又は利用者を識別するための情報と、イベントID等の割引イベントを識別するための情報とが埋め込まれている。店舗端末40は、この二次元コードの読取を行なうことにより、これらの情報を取得することができる。
【0055】
次に、イベント通知から購入通知までの処理について説明する。
図6は、イベント通知から購入通知までの処理についての説明図である。まず、
図6(a)に示すように、管理装置20から利用者端末10にイベント通知が送信される。このイベント通知には、例えば割引条件として「14時〜15時、商品A、分配(上限50%)」が示されている。このイベント通知を受けた利用者は、商品Aの定価100円を支払い、商品Aを受取るととともに、POS50で発行されたレシートを受け取る。
【0056】
その後、
図6(b)に示すように、利用者は利用者端末10のディスプレイにイベント通知を表示させ、レシートとともに店舗端末40に読み取らせる。店舗端末40は、利用者端末10のディスプレイに表示されたイベント通知を撮影すると、イベント通知の二次元コードから利用者端末10又は利用者を識別する情報と、割引イベントを識別する情報とを読み取る。また、店舗端末40は、レシートを撮影すると、店舗、購入された商品、売上、販売日時等を読み取る。そして、店舗端末40は、イベント通知及びレシートからそれぞれ読み取った情報を紐付けることで購入通知を生成し、管理装置20に送信する。
【0057】
次に、割引原資の分配について説明する。
図7は、割引原資の分配についての説明図である。まず、
図7(a)では、割引原資が1万円であり、1000人の利用者が定価100円の商品Aを1つずつ購入した状態を示している。この場合には、割引原資1万円が1000人に分配されるため、各利用者に割引分として10円相当の価値が還元される。すなわち、各利用者は商品Aを10%割引で購入したことになる。
【0058】
図7(b)では、割引原資が1万円であり、500人の利用者が定価100円の商品Aを1つずつ購入した状態を示している。この場合には、割引原資1万円が500人に分配されるため、各利用者に割引分として20円相当の価値が還元される。すなわち、各利用者は商品Aを20%割引で購入したことになる。
【0059】
図7(c)では、割引原資が1万円であり、80人の利用者が定価100円の商品Aを1つずつ購入した状態を示している。この場合には、割引原資1万円が80人に分配される。ここで、割引原資1万円の全てを分配すると、各利用者に125円相当の価値が還元され、商品Aの定価を超えてしまう。そこで、割引率に上限を設定し、過度な還元を防止する。上限を50%とすれば、各利用者に50円相当の価値が還元され、割引原資は6000円残ることになる。
【0060】
次に、管理装置20の処理動作について説明する。
図8は、管理装置20の処理動作を示すフローチャートである。まず、イベント設定部26bは、オーナー端末30からイベント設定を受け付ける(ステップS101)。具体的には、オーナー端末30から割引条件及び割引原資を受信し、新規の割引イベントとしてイベント設定データ25dに登録する。
【0061】
イベント通知部26cは、イベント設定部26bにより登録された新規の割引イベントについて、会員データ25aから通知の対象となる利用者を選択する(ステップS102)。そして、イベント通知部26cは、割引条件など利用者に通知すべき情報を含むメッセージを生成し、選択した利用者の通知先に対してイベント通知のメッセージを送信する(ステップS103)。
【0062】
その後、条件判定部26dは、店舗端末40等から購入通知を受信したか否かを判定する(ステップS104)。購入通知を受信したならば(ステップS104;Yes)、条件判定部26dは、購入通知に示された商品や購入時刻が割引条件を満たすか否かを判定する(ステップS105)。
【0063】
購入通知が割引条件を満たすならば(ステップS106;Yes)、条件判定部26dは、購入通知に示された内容をイベント結果データ25eに登録する(ステップS107)。
【0064】
ステップS107の終了後、購入通知が割引条件を満たさない場合(ステップS106;No)、若しくは購入通知を受信していない場合(ステップS104;No)、条件判定部26dは、イベント期間が終了したか否かを判定する(ステップS108)。
【0065】
イベント期間が終了していない場合(ステップS108;No)、条件判定部26dは、ステップS104に移行し、店舗端末40等から購入通知を受信したか否かを判定する。イベント期間が終了したならば(ステップS108;Yes)、割引金額算定部26eは、イベント結果データ25eとイベント設定データ25dに設定された割引原資とを用いて割引分の金額を算定する(ステップS109)。その後、付与処理部26fは、割引金額算定部26eにより算定された金額に対応する価値を利用者に付与して(ステップS110)、処理を終了する。
【0066】
図8に示した処理動作では、イベント期間の終了後に割引分の算定と付与とを行なっている。期間内に購入された対象商品の数に応じて割引原資を分配する方法を用いる場合等には、イベント期間が終了するまで割引分が確定しないためである。
【0067】
一方で、割引の金額や割引率を固定にする場合には、イベント期間の終了を待つことなく割引分の付与が可能である。このような場合には、購入通知が割引条件を満たす毎に割引分を付与し、割引分の合計が割引原資を逸脱する前に割引イベントを終了すればよい。
【0068】
図9は、購入通知が割引条件を満たす毎に割引分を付与する場合の処理動作を示すフローチャートである。
図9に示す処理動作では、まず、イベント設定部26bは、オーナー端末30からイベント設定を受け付ける(ステップS201)。具体的には、オーナー端末30から割引条件及び割引原資を受信し、新規の割引イベントとしてイベント設定データ25dに登録する。
【0069】
イベント通知部26cは、イベント設定部26bにより登録された新規の割引イベントについて、会員データ25aから通知の対象となる利用者を選択する(ステップS202)。そして、イベント通知部26cは、割引条件など利用者に通知すべき情報を含むメッセージを生成し、選択した利用者の通知先に対してイベント通知のメッセージを送信する(ステップS203)。
【0070】
その後、条件判定部26dは、店舗端末40等から購入通知を受信したか否かを判定する(ステップS204)。購入通知を受信したならば(ステップS204;Yes)、条件判定部26dは、購入通知に示された商品や購入時刻が割引条件を満たすか否かを判定する(ステップS205)。
【0071】
購入通知が割引条件を満たすならば(ステップS206;Yes)、条件判定部26dは、購入通知に示された内容をイベント結果データ25eに登録する(ステップS207)。
【0072】
ステップS207の終了後、割引金額算定部26eは、イベント結果データ25eを用いて割引分の金額を算定する(ステップS208)。その後、付与処理部26fは、割引金額算定部26eにより算定された金額に対応する価値を利用者に付与して(ステップS209)、処理を終了する。
【0073】
ステップS209の終了後、条件判定部26dは、割引原資が十分であるか否かを判定する(ステップS210)。具体的には、これまでの割引分を合計し、次に割引分の付与を行なっても割引原資の範囲内に収まるか否かを判定する。その結果、割引原資が十分でなければ(ステップS210;No)、割引イベントを終了する。このとき、イベント通知を行なった利用者に、割引イベントの終了を通知することとしてもよい。また、以降の購入通知に対し、割引イベントの終了を示す応答を行なうようにしてもよい。
【0074】
割引原資が十分である場合(ステップS210;Yes)、購入通知が割引条件を満たさない場合(ステップS206;No)、若しくは購入通知を受信していない場合(ステップS204;No)、条件判定部26dは、イベント期間が終了したか否かを判定する(ステップS211)。
【0075】
イベント期間が終了していない場合(ステップS211;No)、条件判定部26dは、ステップS204に移行し、店舗端末40等から購入通知を受信したか否かを判定する。そして、イベント期間が終了したならば(ステップS211;Yes)、処理を終了する。
【0076】
これまでの説明では、割引イベントの対象となる商品の購入時にPOS端末50が発行したレシートを受取り、レシートから読み取った情報を用いて購入通知を行なう場合を例に説明を行なった。しかし、割引対象の商品がチケット等で販売される場合には、チケット自体から購入にかかる情報を読み取って購入通知を行なうこともできる。
【0077】
また、イベント設定は必ずしもオーナー端末30から行なう必要はなく、店舗端末40から行なうことができるようにしてもよい。
【0078】
図10は、店舗端末40からイベント設定を行い、割引対象の商品がチケットである場合の変形例についての説明図である。
図10に示す構成では、まず、割引イベントを実施する権限を有するオーナーや店員が店舗内に設置された店舗端末40を操作して割引イベントの設定を行なう。この割引イベントの設定により、割引条件及び割引原資が管理装置20に送信される(1)。
【0079】
管理装置20は、割引イベントの設定が行なわれると、割引条件及び割引原資を記憶部に格納し、利用者端末10にイベント通知を行なう(2)。利用者端末10は、イベント通知を自装置に登録する(3)。
【0080】
その後、利用者は、店舗に設置された券売機60でチケットを購入する(4a)。券売機60は、例えば食券などのチケットを販売する装置である。また、利用者は、チケットの代金を定価で支払う。その後、利用者は、イベント通知を利用者端末10のディスプレイに表示し、ディスプレイに表示したイベント通知とチケットとを店舗端末40に読み取らせる(4b)。
【0081】
店舗端末40は、利用者端末10のディスプレイに表示されたイベント通知を撮影すると、イベント通知の二次元コードから利用者端末10又は利用者を識別する情報と、割引イベントを識別する情報とを読み取る。また、店舗端末40は、チケットを撮影すると、店舗、購入された商品、売上、販売日時等を読み取る。そして、店舗端末40は、イベント通知及びチケットからそれぞれ読み取った情報を紐付けることで購入通知を生成し、管理装置20に送信する(5a)。
【0082】
購入通知を受信した管理装置20は、購入通知に示された商品や購入時刻が割引条件を満たすか否かを判定する(5b)。割引条件を満たすと判定したならば、管理装置20は
割引分の金額を算定し、割引原資から減算する(6)。そして、割引分の金額に対応する価値を利用者に付与することで還元する(7)。この割引分の価値の付与は、利用者の口座に振り込むことで行ってもよいし、所定のポイントに加算することで行ってもよい。
【0083】
次に、購入通知にかかる変形例について説明する。これまでの説明では、店舗端末40が購入通知を生成して送信する場合について説明を行なったが、利用者端末10が購入通知を生成して送信することもできる。
図11は、利用者端末10が購入通知を生成して送信する場合の変形例についての説明図である。
【0084】
まず、
図11(a)に示すように、管理装置20から利用者端末10にイベント通知が送信される。このイベント通知には、例えば割引条件として「14時〜15時、商品A、分配(上限50%)」が示されている。このイベント通知を受けた利用者は、商品Aの定価100円を支払い、商品Aを受取るととともに、POS50で発行されたレシートを受取る。
【0085】
その後、
図11(b)に示すように、利用者は利用者端末10のカメラでレシートを撮影し、店舗、購入された商品、売上、販売日時等を読み取る。利用者端末10は、利用者端末10又は利用者を識別する情報と、受信したイベント通知を識別する情報と、レシートからの情報を紐付けることで購入通知を生成し、管理装置20に送信する。
【0086】
上述してきたように、本実施例に係るイベント管理システムは、割引販売の適用条件と割引販売に供する割引原資とを設定し、利用者に対して割引イベントに関する通知を行ない、利用者による商品の購入実績を取得し、購入実績が適用条件を満たすか否かを判定し、購入実績が適用条件を満たすと判定された場合に、割引原資の範囲内で購入実績に応じた割引分の価値を利用者に還元する。
【0087】
このため、意図しない総額を割引サービスに費やさねばならない状況が発生することを防ぎ、計画的かつ効率的に割引サービスを行うことができる。また、利用者が一旦定価で商品を購入した後、割引分を付与することとしているので、商品の販売自体を管理する販売管理システムとは独立して割引イベントを実施可能である。
【0088】
なお、上記実施例はあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。本発明はその構成及び動作を適宜変形して実施可能である。
【0089】
例えば、会員の情報として住所を登録し、住所に基づいてイベント通知の対象を選択するように構成してもよい。また、店舗装置がレシートやチケットなどを撮影する際に利用者の顔をさらに撮影し、購入通知に関連付けて管理しても良い。このように顔画像を管理すれば、他人が購入した商品についてのレシートや他人の利用者端末を使用するといった不正の検知に用いることができる。
【0090】
また、割引分の算定については、対象商品に加えて関連商品を購入した場合に割引分を優遇する、対象商品を複数購入した場合に割引分を優遇する、特定の支払い方法を利用した場合に割引分を優遇する、等といった差別化をおこなうようにしてもよい。
【0091】
また、割引分の取扱いについては、現金やポイントによる利用者自身への還元に限定されるものではない。割引分の一部又は全てを寄付することができるようにしてもよい。
【0092】
また、来店に対する特典の付与など、他のサービスと組み合わせて用いることもできる。この場合には、イベント通知を受けた利用者は、商品の購入に対する意欲が低くとも来店の動機ができるので、店舗への集客効果が得られる。
【0093】
また、割引イベントは、例えば、雨の日に実施する、客数が所定数以下の場合に実施するなど、天候や店舗の情報に基づいて柔軟な条件設定が可能である。また、割引条件としては、複数の商品を組み合わせて購入する、複数の店舗で購入する、といった条件を設けることもできる。
【0094】
また、割引イベントの設定は、オーナーや店員の操作によるものの他、管理装置20が設定することも可能である。また、同一の割引イベントを複数の店舗で実施する場合には、一括して設定操作を行なうことができるように構成してもよい。