特許第6450181号(P6450181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイデバイスの特許一覧

<>
  • 特許6450181-半導体装置 図000002
  • 特許6450181-半導体装置 図000003
  • 特許6450181-半導体装置 図000004
  • 特許6450181-半導体装置 図000005
  • 特許6450181-半導体装置 図000006
  • 特許6450181-半導体装置 図000007
  • 特許6450181-半導体装置 図000008
  • 特許6450181-半導体装置 図000009
  • 特許6450181-半導体装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6450181
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20181220BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20181220BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20181220BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20181220BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   H01L23/12 501P
   H01L23/00 C
   H01L25/08 Y
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-256198(P2014-256198)
(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公開番号】特開2016-119322(P2016-119322A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】507292184
【氏名又は名称】株式会社ジェイデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100094709
【弁理士】
【氏名又は名称】加々美 紀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】池元 義彦
(72)【発明者】
【氏名】澤地 茂典
(72)【発明者】
【氏名】谷口 文彦
(72)【発明者】
【氏名】勝又 章夫
【審査官】 加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−253879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 23/00
H01L 25/065
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属平板と、
前記金属平板の一方の主面に形成された第1絶縁材料層と、
前記第1絶縁材料層の表面に接着層を介して、素子回路面を上にして搭載された、RF回路が形成された素子回路を有する半導体チップと、
前記半導体チップ及びその周辺を封止する第2絶縁材料層と、
前記第2絶縁材料層内に設けられ、一部が前記半導体チップの周辺領域に延出された配線層と、
前記第2絶縁材料層内に設けられ、前記半導体チップの素子回路面の電極と前記配線層とを接続する導電部と、
前記配線層上に形成された外部電極と
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
金属平板と、
前記金属平板の一方の主面に形成された第1絶縁材料層と
半導体チップと
前記半導体チップ及びその周辺を封止する第2絶縁材料層と、
前記第2絶縁材料層内に設けられ、一部が前記半導体チップの周辺領域に延出された配線層と
前記第2絶縁材料層内に設けられ、前記半導体チップの素子回路面の電極と前記配線層とを接続する導電部と、
前記第2絶縁材料層内に設けられ前記配線層に電気接続している金属ビアと、を含む半導体装置であって、
前記半導体チップは複数個からなり、
金属平板に最も近い半導体チップは、RF回路が形成された素子回路を有し、素子回路面を上にして接着層を介して前記第1絶縁材料層の表面に固着されており、
その他の半導体チップは素子回路面と反対側の面を前記金属平板に最も近い半導体チップの前記配線層に向けて前記第2絶縁材料層を形成する絶縁材料を介して積層されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記複数の半導体チップは、半導体チップのRF回路の位置が隣接する半導体チップと重ならないように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1絶縁材料層の厚みが20μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1絶縁材料層が2層以上の絶縁材料層からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記金属平板は前記半導体チップに対向する部分が凹状部を有しており、該凹状部に第1絶縁材料が充填されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に係わり、特に、大型のパネルスケールで薄膜配線工程及び組立工程を行なう、Panel scale Fan-out package 構造を有する半導体装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化および軽薄短小化の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化が進んできており、これらの電子機器に使用される半導体装置は従来にも増して小型化が進んできている。
【0003】
LSIユニットやICモジュールのような半導体装置を製造する方法としては、まず、保持板上に、電気特性試験で良品と判定された半導体チップの複数個を、素子回路面を下にして所定の配列で配置し貼り付けた後、その上に、例えば樹脂シートを配置し加熱・加圧してモールドして複数個の半導体チップを一括して樹脂封止し、次いで、保持板を剥がし、樹脂封止体を所定の形状(例えば円形)に切断・加工した後、樹脂封止体に埋め込まれた半導体チップの素子回路面上に絶縁材料層を形成し、この絶縁材料層に半導体チップの電極パッドの位置に合わせて開口を形成した後、絶縁材料層の上に配線層を形成するとともに、開口内に半導体チップの電極パッドと接続する導電部(ビア部)を形成し、次いで、ソルダーレジスト層の形成、外部電極端子である半田ボールの形成を順に行なった後、半導体チップ1個ごとに切断して個別化して半導体装置を完成する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このようにして得られる従来の半導体装置においては、複数個の半導体チップを一括して樹脂封止する際に、樹脂が硬化により収縮し、かつその収縮量が必ずしも設計通りではないため、半導体チップの配列位置によっては、樹脂硬化後の位置が設計位置からずれることがあり、この位置ずれが生じた半導体チップでは、絶縁材料層の開口に形成されるビア部と半導体チップの電極パッドとに位置ずれが生じるため、接続信頼性が低下するという問題があった。
【0005】
この課題を解決した半導体装置が特許文献2に記載されている。
この装置の基本的な構造を図8に示す。
半導体装置20は、金属から構成される支持板(金属平板)1を備えており、その一方の主面に、半導体チップ2が素子回路面(表側面)を上にして配置され、素子回路面と反対側の面(裏側面)が接着剤3により金属平板1に固着されている。そして、金属平板1の主面全体には、半導体チップ2の素子回路面を覆うようにして絶縁材料層4が一層だけ形成されている。この単層の絶縁材料層4の上には、銅等の導電性金属からなる配線層5が形成されており、その一部は半導体チップ2の周辺領域にまで引き出されている。また、半導体チップ2の素子回路面上に形成された絶縁材料層4には、半導体チップ2の電極パッド(図示せず)と配線層5とを電気的に接続する導電部(ビア部)6が形成されている。この導電部6は、配線層5と一括して形成されて一体化されている。また、配線層5の所定の位置には外部電極である半田ボール7が複数個形成されている。さらに、絶縁材料層4の上、および半田ボール7の接合部を除く配線層5の上には、配線保護層(ソルダーレジスト層)8が形成されている。
この装置は近年、益々要求の高まっている電子部品の高密度化、軽薄短小化に大きく貢献するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−197662号公報
【特許文献2】特開2010−219489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載のものでは製造工程内における半導体装置の反りを低減する為に、支持体としてSUSや42アロイ等からなる厚く硬い金属平板を使用している。
そして、前記の金属平板ところで、近年のLSIでは、その内部搭載素子として、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ等の能動素子のほか、抵抗、コンデンサ、インダクタ等の受動素子を形成することが重要になってきている。
【0008】
しかしながら、金属平板は、LSIチップ上に形成されるRF回路、例えばLNA(Low Noise Amplifier)やVCO(Voltage Controlled Oscillator)で使われるインダクタの特性を悪化させてしまい、デバイスの性能を低下させてしまうという問題がある。金属平板を金属以外の材料にする選択もあるが、放熱特性やPKGの反りが悪化する為、硬い金属を使用しているのが現状である。
本発明は、支持体として金属平板を使用しても金属平板における渦電流の発生を低減し、半導体装置のRF回路のQ値を向上させた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、支持体としての金属平板と半導体チップとの間に絶縁材料を介在させることにより上記課題が解決できることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下に記載する通りのものである。
【0010】
(1)金属平板と、
前記金属平板の一方の主面に形成された第1絶縁材料層と、
前記第1絶縁材料層の表面に接着層を介して、素子回路面を上にして搭載された、RF回路が形成された素子回路を有する半導体チップと、
前記半導体チップ及びその周辺を封止する第2絶縁材料層と、
前記第2絶縁材料層内に設けられ、一部が前記半導体チップの周辺領域に延出された配線層と、
前記第2絶縁材料層内に設けられ、前記半導体チップの素子回路面の電極と前記配線層とを接続する導電部と、
前記配線層上に形成された外部電極と
を備えたことを特徴とする半導体装置。
(2)金属平板と、
前記金属平板の一方の主面に形成された第1絶縁材料層と
半導体チップと
前記半導体チップ及びその周辺を封止する第2絶縁材料層と、
前記第2絶縁材料層内に設けられ、一部が前記半導体チップの周辺領域に延出された配線層と
前記第2絶縁材料層内に設けられ、前記半導体チップの素子回路面の電極と前記配線層とを接続する導電部と、
前記第2絶縁材料層内に設けられ前記配線層に電気接続している金属ビアと、を含む半導体装置であって、
前記半導体チップは複数個からなり、
金属平板に最も近い半導体チップは、RF回路が形成された素子回路を有し、素子回路面を上にして接着層を介して前記第1絶縁材料層の表面に固着されており、
その他の半導体チップは素子回路面と反対側の面を前記金属平板に最も近い半導体チップの前記配線層に向けて前記第2絶縁材料層を形成する絶縁材料を介して積層されていることを特徴とする半導体装置。
(3)前記複数の半導体チップは、半導体チップのRF回路の位置が隣接する半導体チップと重ならないように配置されていることを特徴とする上記(2)に記載の半導体装置。
(4)前記第1絶縁材料層の厚みが20μm以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の半導体装置。
(5)前記第1絶縁材料層が2層以上の絶縁材料層からなることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の半導体装置。
(6)前記金属平板は前記半導体チップに対向する部分が凹状部を有しており、該凹状部に第1絶縁材料が充填されていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体装置は以下に記載する通りの効果を奏することができる。
・金属板を用いた半導体装置のRF回路(インダクタ等)のQ値を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1の半導体装置の断面図である。
図2】本発明の実施形態1の半導体装置の他の態様を示す断面図である。
図3】金属平板と半導体チップとの間にある絶縁材料層の厚みとQ値との関係を示す図である。
図4】本発明の実施形態2の半導体装置の断面図である。
図5】本発明の実施形態3の半導体装置の断面図である。
図6】本発明の実施形態4の半導体装置の断面図である。
図7】本発明の実施形態5の半導体装置の断面図である。
図8】従来の半導体装置の断面図である。
図9】従来の半導体装置におけるRF回路が発生する磁束の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下の記載では実施形態を図面に基づいて説明するが、それらの図面は図解のために供されるものであり、本発明はそれらの図面に示されたものに限定されるものではない。
【0014】
まず、従来の半導体装置を示す図9に基づいて、半導体装置におけるRF回路の性能が低下する原因について説明する。
以下では、半導体基板としてSi基板を使用し、RF回路としてインダクタを使用した場合を例にとって説明する。
半導体装置を動作させるとインダクタ23に電流が流れる。
インダクタ23に電流が流れると図の矢印に示すような磁束(磁界)Mが発生する。
発生した磁束MがSi基板21内に入るとSiは半導体である為、Si基板21内に矢印で示すような第1の渦電流C1が発生し第1の電力損失が起る。
また、同様に金属平板1にも磁束がかかる為、第2の渦電流C2が発生し第2の電力損失が起る。
半導体チップ2が薄いほど、金属平板1がインダクタ23と近くなって金属平板1に渦電流が発生しやすくなり電力損失が大きくなる。大型のパネルスケールで薄膜配線工程及び組立工程を行なうPanel scale Fan-out package 構造を有する半導体装置においては半導体チップ2の厚みは50um厚と薄いため渦電流が発生しやすい。
【0015】
上記のようにインダクタ23が発生する磁束MによってSi基板21及び金属平板1で渦電流C1、C2が発生して電力損失が大きくなり、支持体として金属平板を用いない半導体装置に比べてインダクタの特性を示すQ値を低下させてしまう。
Q値はインダクタの性能指標の一つであり、インダクタにおいて発生する電力損失の程度を表すものである。Q値が大きいほどインダクタの電力損失が少なく高性能なインダクタであるといえる。Q値の向上は高周波の信号を処理する集積回路(RFIC)の性能向上に非常に重要である。特に低消費電力が要求される携帯電話等の機器においてはインダクタのQ値がわずかに改善することによっても、消費電流を大幅に低減することができるため、Q値の高い高性能なインダクタが必要とされる。
【0016】
本発明の半導体装置においては、半導体装置における支持体としての金属平板とこの金属平板によって支持される半導体チップとの間に絶縁材料層を介在させることによって、半導体装置に備えられているインダクタのQ値の低下を防ぐものである。
【0017】
(実施形態1)
図1は本発明に係る半導体装置の実施形態を示す縦断面図である。
図1に示された半導体装置20は、金属平板1、半導体チップ2、絶縁材料層4a、絶縁材料層4b、配線層5、導電部6及び外部電極7を備えている。
半導体チップ2はシリコン基板21、電極22、インダクタ23、パッシベーション膜24を有する。パッシベーション膜24は半導体を不純物の侵入から保護する機能を有し、例えば、酸化シリコン膜(SiO)、窒化シリコン膜(SiN)、ポリイミド膜(PI)から形成されている。
【0018】
金属平板1の一方の主面はその全面に第1絶縁材料層4aが形成されている。
この第1絶縁材料層4aの表面に半導体チップ2の素子回路面と反対側の面が接着剤3によって固着されている。
第1絶縁材料層4aの表面に固着された半導体チップ2の素子回路面上および金属平板1の主面上に連接して第2絶縁材料層4bが形成されている。
半導体チップ2の素子回路面に配置された電極22上の第2絶縁材料層4bには開口が形成されている。この開口内には半導体チップの電極22と接続されるように導電部6が形成されている。この導電部6は、前記第2絶縁材料層4b上に形成され、一部が半導体チップ2の周辺領域に延出された配線層5と電気的に接続されている。
また、配線層5は外部電極7と電気的に接続されている。
そして、絶縁材料層4bの上、および外部電極7の接合部を除く配線層5の上には、配線保護層8が形成されている。配線保護層8は絶縁材料層4bの絶縁材料と同種の材料で形成しても良いし、異種の材料で形成しても良い。
【0019】
図2図1に示した半導体装置において、第1絶縁材料層4aの厚みをより大きくしたものである。
第1絶縁材料層4aの厚みをより大きくすることにより、インダクタ23と金属平板1との距離が遠くなり、インダクタ23が発生する磁束によって金属平板1に発生する渦電流が少なくなり、インダクタのQ値の低下を防ぐことができる。
【0020】
図3(a)は図2に示した半導体装置において、第1絶縁材料層4aの厚みを変化させたときの周波数とQ値との関係を示したグラフであり、図2(b)はその部分拡大図である。なお、従来例は第1絶縁材料層4aを設けなかったものである。
図3に示された結果から、第1絶縁材料層4aを設けることによって、従来のものよりもQ値が向上すること及び第1絶縁材料層4aの厚みが増すにつれてQ値が向上することすなわち電力損失が小さくなることがわかる。第1絶縁材料層4aを設けることによって、インダクタ23と金属平板1との距離が遠くなり、インダクタ23が発生する磁束によって金属平板1に発生する渦電流が少なくなるためインダクタのQ値を低下させることがないためである。
また、図3(b)に示されているように、第1絶縁材料層4aの厚みを20μm以上とすることにより従来例に対し5%以上のQ値の向上効果が得られることがわかる。
【0021】
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2の半導体装置の断面図である。
図4図1に示した半導体装置において、第1絶縁材料層4aを絶縁材料層4a1及び絶縁材料層4a2の2層から構成したものである。また、絶縁材料層を3層以上としてもよい。更に、複数層の絶縁材料層の夫々は同種の材料であっても異種の材料であっても良い。複数層の絶縁材料層を用いることによって第1絶縁材料層の厚みを厚くすることができ、インダクタ23と金属平板1との距離が遠くなり、インダクタ23が発生する磁束によって金属平板1に発生する渦電流が少なくなり、インダクタのQ値の低下を防ぐことができる。
【0022】
(実施形態3)
図5は、本発明の実施形態3の半導体装置の断面図である。
本実施形態の半導体装置の構成は図1に示した半導体装置において金属平板の構造を変更したものである。
図5に示すように金属平板1の半導体チップ2に対向する側の面に凹状部11が形成されている。この凹状部11に第1絶縁材料が充填されると、第1絶縁材料層4aの厚さが凹状部11の深さ分だけ増加し、金属平板1と半導体チップ2との距離が更に遠くなる。このため、本実施形態の半導体装置は図2に示した半導体装置に比べて半導体装置全体の厚みを増やすことなく渦電流の発生をより効果的に抑えることができる。
【0023】
(実施形態4)
図6は、本発明の実施形態4の半導体装置の断面図である。
本実施形態の半導体装置は、2個の半導体チップ2(第1半導体チップ2aおよび第2半導体チップ2b)が 積層・配置された構造を有する。
実施形態1で示したと同様に金属平板1の一方の主面に第1絶縁材料層4aが形成されている。
この第1絶縁材料層4aの表面に第1半導体チップ2aの素子回路面と反対側の面が接着剤3aによって固着されている。
第1絶縁材料層4aの表面に固着された半導体チップ2aの素子回路面上および金属平板1の主面上に連接して第2絶縁材料層4b1が形成され、半導体チップ2aが封止されている。
半導体チップ2aの素子回路面に配置された電極22上の第2絶縁材料層4b1には開口が形成されている。この開口内には半導体チップ2aの電極22と接続されるように導電部6aが形成され、この導電部6aは、前記第2絶縁材料層4b1上に形成され、一部が半導体チップ2の周辺領域に延出された第1配線層5aと電気的に接続されている。
【0024】
また、第2絶縁材料層4b1の表面には第2半導体チップ2bが素子回路面と反対側の面が接着剤3bによって固着されている。
そして、半導体チップ2bの素子回路面上、第2絶縁材料層4b1の表面、及び後述する層間ビア部10の接続部を除く第1の配線層5aの上には、第2絶縁材料層4b2が形成されている。
なお、第2絶縁材料層4b1の材料と第2絶縁材料層4b2の材料とは同種のものでも異種のものでもよい。
【0025】
半導体チップ2bの素子回路面に配置された電極22上の第2絶縁材料層4b2には開口が形成されている。この開口内には半導体チップ2bの電極22と接続されるように導電部6bが形成され、この導電部6bは、前記第2絶縁材料層4b2上に形成され、一部が半導体チップ2bの周辺領域に延出された第2配線層5bと電気的に接続されている。
また、第2の半導体チップ2bの周辺領域においては、第2絶縁材料層4b2に開口が形成され、この開口内に第1配線層5aと第2配線層5bとを電気的に接続する層間ビア部10が形成されている。さらに、第2配線層5bの所定の位置には、半田ボール等の外部電極7が形成されており、第2絶縁材料層4b2の上及び外部電極7の接合部を除く第2配線層5bの上には、配線保護層8が形成されている。
なお、第2絶縁材料層4b1の上および層間ビア部10の接続部を除く第1の配線層5aの上には、層間絶縁保護膜を設けても良い。
【0026】
このように構成される実施形態4においては、図1に示した半導体装置と同様にQ値の向上効果が得られる
また、2個の半導体チップ2a、2bが積層・配置された構造を有しているので、各半導体チップ2の電極と配線層との接続信頼性が高く、電極の微細化への対応が可能な半導体装置を、高い歩留まりで安価に得ることができる。
【0027】
また、本実施形態においても、実施形態3におけると同様に、金属平板1の半導体チップ2に対向する側の面に凹状部11を形成し、この凹状部11に第1絶縁材料が充填してもよい。このようにすることにより第1絶縁材料層4aの厚さを凹状部11の深さ分だけ増加させて、金属平板1と半導体チップ2との距離が更に遠くし、渦電流の発生をより効果的に抑えることができる。
【0028】
なお、実施形態4では2個の半導体チップ2を積層・配置した構造を示したが、3個以上の半導体チップが積層・配置された構造としてもよい。3個以上の半導体チップの積層構造では、第2の配線層5bの上に、前記した第2の半導体チップ2bと第2の絶縁材料層4、第2の配線層5bおよび積層間ビア部10の 積層構造と同様な構造が、半導体チップの数だけ重ねられる。そして、最上層の配線層上に配線保護層が形成されるとともに所定の位置に外部電極7が形成されて、半導体装置が完成する。
【0029】
(実施形態5)
図7は、本発明の実施形態5の半導体装置の断面図である。
前記実施形態4の半導体装置においては第1半導体チップ2aと第2半導体チップ2bとが水平方向に重なった状態で配置されている。しかしながら、このような配置とすると 図6に示したように、第1半導体チップ内に設けられたインダクタ23が発生する磁束によって第2半導体チップ2bのSi基板内に第3の渦電流C3が発生し第3の電力損失が起る。
図7に前記実施形態4における第3の渦電流C3の発生を防ぐことを可能にした実施形態5の半導体装置を示す。
図7に示す半導体装置においては第1半導体チップ2aのインダクタ23の水平位置と第2半導体チップ2bの水平位置とが重ならない配置としたものである。
このように配置することにより第1半導体チップ2aのインダクタ23が発生する磁束は第2半導体チップ2bのSi基板内に第3の渦電流が発生することがない。このため、実施形態3の半導体装置は実施形態2の半導体装置に比べてインダクタのQ値が向上する。
【符号の説明】
【0030】
1 金属平板
2 半導体チップ
2a 第1半導体チップ
2b 第2半導体チップ
21 シリコン基板
22 電極
23 RF回路(インダクタ)
24 パッシベーション膜
3、3a、3b 接着層
4 絶縁材料層
4a 第1絶縁材料層
4b1、4b2 第2絶縁材料層
5 配線層
5a 第1配線層
5b 第2配線層
6、6a、6b 導電部
7 外部電極、半田ボール
8 配線保護層
10 層間ビア部
11 凹状部
20 半導体装置
C1 第1の渦電流
C2 第2の渦電流
C3 第3の渦電流
M 磁束
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9