(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1色を表示する第1副画素と、第2色を表示する第2副画素と、第3色を表示する第3副画素と、第4色を表示する第4副画素とを有する画素を複数有する画像表示パネルと、
入力信号の入力値から出力信号を生成して前記画像表示パネルに出力する信号処理部と、を有し、
前記信号処理部は、
前記第1色、前記第2色、前記第3色及び前記第4色で再現される拡大色空間を記憶しており、
前記画像表示パネルに表示させる色の明度の上限値であって色相毎に決定される最大設定明度を、前記拡大色空間における明度の範囲内で、かつ、1フレーム中の前記画素への入力信号の入力値の平均値に基づいて算出されるパネル平均入力値が小さくなるに従って、大きくなるように決定し、
前記画像表示パネルに表示させる色を前記最大設定明度の色に伸長するための入力伸長係数を決定し、
前記第1副画素の入力伸長信号を、前記第1副画素の入力信号及び前記入力伸長係数に基づいて求め、
前記第2副画素の入力伸長信号を、前記第2副画素の入力信号及び前記入力伸長係数に基づいて求め、
前記第3副画素の入力伸長信号を、前記第3副画素の入力信号及び前記入力伸長係数に基づいて求め、
前記第1副画素の出力信号を、前記第1副画素の入力伸長信号に基づいて求めて前記第1副画素に出力し、
前記第2副画素の出力信号を、前記第2副画素の入力伸長信号に基づいて求めて前記第2副画素に出力し、
前記第3副画素の出力信号を、前記第3副画素の入力伸長信号に基づいて求めて前記第3副画素に出力し、
前記第4副画素の出力信号を、前記第1副画素の入力伸長信号、前記第2副画素の入力伸長信号、前記第3副画素の入力伸長信号に基づいて求めて前記第4副画素に出力し、
前記拡大色空間は、前記第1色、前記第2色及び前記第3色で再現される基準色空間よりも、高い明度の色を再現可能な色空間である、
表示装置。
前記信号処理部は、前記第1副画素の入力伸長信号、前記第2副画素の入力伸長信号及び前記第3副画素の入力伸長信号に基づいて表示される色の明度である設定明度が、前記画素への入力信号の入力値の上昇に従って、前記最大設定明度まで上昇するように、前記画素毎に前記入力伸長係数を決定する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(実施形態1)
(表示装置の構成)
図1は、本発明の実施形態1に係る表示装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、実施形態1の表示装置10は、信号処理部20と、画像表示パネル駆動部30と、画像表示パネル40とを有する。信号処理部20は、制御装置11の画像出力部12からの入力信号(RGBデータ)が入力され、入力信号に所定のデータ変換処理を加えて生成した信号を表示装置10の各部に送る。画像表示パネル駆動部30は、信号処理部20からの信号に基づいて画像表示パネル40の駆動を制御する。画像表示パネル40は、画像表示パネル駆動部30からの信号に基づいて画素の自発光体を点灯させて画像を表示する自発光型の画像表示パネルである。
【0011】
(画像表示パネルの構成)
最初に、画像表示パネル40の構成について説明する。
図2は、実施形態1に係る画像表示パネルの画素が含む副画素の点灯駆動回路を示す図である。
図3は、実施形態1に係る画像表示パネルの副画素の配列を示す図である。
図4は、実施形態1に係る画像表示パネルの断面構造を示す図である。
図1に示すように、画像表示パネル40は、画素48が、P
0×Q
0個(行方向にP
0個、列方向にQ
0個)、2次元のマトリクス状(行列状)に配列されている。
【0012】
画素48は、複数の副画素49を含み、
図2に示す副画素49の点灯駆動回路が2次元のマトリクス状(行列状)に配列されている。
図2に示すように、点灯駆動回路は、制御用トランジスタTr1と、駆動用トランジスタTr2と、電荷保持用コンデンサCO1とを含む。制御用トランジスタTr1のゲートが走査線SCLに接続され、ソースが信号線DTLに接続され、ドレインが駆動用トランジスタTr2のゲートに接続されている。電荷保持用コンデンサCO1の一端が駆動用トランジスタTr2のゲートに接続され、他端が駆動用トランジスタTr2のソースに接続されている。駆動用トランジスタTr2のソースが、電源線PCLと接続されており、駆動用トランジスタTr2のドレインが、自発光体である有機発光ダイオードE1のアノードに接続されている。有機発光ダイオードE1のカソードは、例えば基準電位(例えばアース)に接続されている。なお
図2では制御用トランジスタTr1がnチャネル型トランジスタ、駆動用トランジスタTr2がpチャネル型トランジスタの例を示しているが、それぞれのトランジスタの極性はこれに限定されない。必要に応じて、制御用トランジスタTr1及び駆動用トランジスタTr2それぞれの極性を決めればよい。
【0013】
画素48は、
図3に示すように、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bと、第4副画素49Wとを有する。第1副画素49Rは、第1色としての原色の赤色を表示する。第2副画素49Gは、第2色としての原色の緑色を表示する。第3副画素49Bは、第3色としての原色の青色を表示する。第4副画素49Wは、第1色、第2色及び第3色とは異なる第4色としての白色を表示する。ただし、第1色、第2色、第3色は、それぞれ赤色、緑色、青色に限られず、補色などの任意の色を選択することができる。また、第4副画素49Wは、表示する第4色が白色に限られず、任意の色を選択することができる。第4色は、第1色、第2色又は第3色と同色であってもよい。なお、第4副画素49Wは、表示する第4色が、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bよりも明度の高い色を表示することが好ましい。この場合、表示装置10は、消費電力を削減することができる。以下において、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bと、第4副画素49Wとをそれぞれ区別する必要がない場合、副画素49という。
【0014】
図4に示すように、画像表示パネル40は、基板51と、絶縁層52、53と、反射層54と、下部電極55と、自発光層56と、上部電極57と、絶縁層58と、絶縁層59と、色変換層としてのカラーフィルタ61と、遮光層としてのブラックマトリクス62と、基板50とを備えている。基板51は、シリコンなどの半導体基板、ガラス基板、樹脂基板などであって、上述した点灯駆動回路などを形成又は保持している。絶縁層52は、上述した点灯駆動回路などを保護する保護膜であり、シリコン酸化物、シリコン窒化物などを用いることができる。下部電極55は、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bと、第4副画素49Wとにそれぞれ設けられており、上述した有機発光ダイオードE1のアノード(陽極)となる導電体である。下部電極55は、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される透光性電極である。絶縁層53は、バンクと呼ばれ、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bと、第4副画素49Wとを区画する絶縁層である。反射層54は、自発光層56からの光を反射する金属光沢のある材料、例えば銀、アルミニウム、金などで形成されている。自発光層56は、有機材料を含み、不図示のホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を含む。
【0015】
(ホール輸送層)
正孔を発生する層としては、例えば、芳香族アミン化合物と、その化合物に対して電子受容性を示す物質とを含む層を用いることが好ましい。ここで、芳香族アミン化合物とは、アリールアミン骨格を有する物質である。芳香族アミン化合物の中でも特に、トリフェニルアミンを骨格に含み、400以上の分子量を有するものが好ましい。また、トリフェニルアミンを骨格に有する芳香族アミン化合物の中でも特にナフチル基のような縮合芳香環を骨格に含むものが好ましい。トリフェニルアミンと縮合芳香環とを骨格に含む芳香族アミン化合物を用いることによって、発光素子の耐熱性が良くなる。芳香族アミン化合物の具体例としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:α−NPD)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−{4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル}−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)、2,2’,3,3’−テトラキス(4−ジフェニルアミノフェニル)−6,6’−ビスキノキサリン(略称:D−TriPhAQn)、2,3−ビス{4−[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:NPADiBzQn)等が挙げられる。また、芳香族アミン化合物に対して電子受容性を示す物質について特に限定はなく、例えば、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:F4−TCNQ)等を用いることができる。
【0016】
(電子注入層、電子輸送層)
電子輸送性物質について特に限定はなく、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)等の金属錯体の他、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等を用いることができる。また、電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質について特に限定はなく、例えば、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、エルビウム、イッテルビウム等の希土類金属等を用いることができる。また、リチウム酸化物(Li2O)、カルシウム酸化物(CaO)、ナトリウム酸化物(Na2O)、カリウム酸化物(K2O)、マグネシウム酸化物(MgO)等、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の中から選ばれた物質を、電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質として用いても構わない。
【0017】
(発光層)
例えば、赤色系の発光を得たいときには、4−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)やペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]ベンゼン等、600nmから680nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。また緑色系の発光を得たいときは、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6やクマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)等、500nmから550nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。また、青色系の発光を得たいときは、9,10−ビス(2−ナフチル)−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−ガリウム(略称:BGaq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等、420nmから500nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。以上のように、蛍光を発光する物質の他、ビス[2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIr(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(略称:Ir(ppy)3)等の燐光を発光する物質も発光物質として用いることができる。
【0018】
上部電極57は、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される透光性電極である。なお本実施形態では、透光性導電材料の例としてITOを挙げたが、これに限定されない。透光性導電材料として、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)等の別の組成を有する導電材料を用いてもよい。上部電極57は、有機発光ダイオードE1のカソード(陰極)になる。絶縁層58は、上述した上部電極を封止する封止層であり、シリコン酸化物、シリコン窒化物などを用いることができる。絶縁層59は、バンクにより生じる段差を抑制する平坦化層であり、シリコン酸化物、シリコン窒化物などを用いることができる。基板50は、画像表示パネル40全体を保護する透光性の基板であり、例えば、ガラス基板を用いることができる。なお、
図4においては、下部電極55がアノード(陽極)、上部電極57がカソード(陰極)の例を示しているが、これに限定されない。下部電極55がカソード及び上部電極57がアノードであってもよく、その場合は、下部電極55に電気的に接続されている駆動用トランジスタTr2の極性を適宜変えることも可能であり、また、キャリア注入層(ホール注入層及び電子注入層)、キャリア輸送層(ホール輸送層及び電子輸送層)、発光層の積層順を適宜変えることも可能である。
【0019】
画像表示パネル40は、カラー表示パネルであり、自発光層56の発光成分のうち、副画素49と画像観察者との間に、副画素49の色に応じた色の光を通過させるカラーフィルタ61が配置されている。画像表示パネル40は、赤色、緑色、青色、及び白色に対応する色の光を発光することができる。なお、白色に対応する第4副画素49Wと画像観察者との間にカラーフィルタ61が配置されていないようにしてもよい。また、画像表示パネル40は、自発光層56の発光成分がカラーフィルタ61などの色変換層を介さず、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49B、第4副画素49Wの各々の色を発光することもできる。例えば画像表示パネル40は、第4副画素49Wには、色調整用のカラーフィルタ61の代わりに透明な樹脂層が備えられていてもよい。このように画像表示パネル40は、透明な樹脂層を設けることで、第4副画素49Wに大きな段差が生じることを抑制することができる。
【0020】
図5は、実施形態1に係る画像表示パネルの副画素の他の配列を示す図である。画像表示パネル40は、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49B及び第4副画素49Wを含む副画素49を2行2列で組み合わせた画素48がマトリクス状に配置されている。このように、画像表示パネル40は、画素48内の副画素49の配列を、任意に設定してもよい。なお、以上説明したように、画像表示パネル40は、OLED(Organic Light Emitting Diode;有機発光ダイオード)型の画像表示パネルであるが、これに限られず、例えば液晶表示パネルであってもよい。
【0021】
(信号処理部の構成)
次に、信号処理部20について説明する。信号処理部20は、制御装置11から入力される入力信号を処理して出力信号を生成する。信号処理部20は、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bに対する入力信号に対して伸長処理を行い、拡大色空間内で表現可能な色に対応する第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bに対する入力伸長信号を生成する。そして、信号処理部20は、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bに対する入力伸長信号から、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49B及び第4副画素49Wに対する出力信号を生成する。そして、信号処理部20は、生成した出力信号を画像表示パネル駆動部30に出力する。拡大色空間については後述する。なお、実施形態1において、拡大色空間はHSV色空間であるが、これに限られずXYZ色空間、YUV空間その他の座標系でもよい。
【0022】
図6は、実施形態1に係る信号処理部の構成の概要を示すブロック図である。
図6に示すように、信号処理部20は、パネル平均入力値算出部72と、拡大色空間記憶部73と、最大設定明度算出部74と、設定明度算出部76と、α算出部78と、入力伸長信号生成部79と、W変換処理部80と、ガンマ変換部82とを有する。信号処理部20は、画像表示パネル駆動部30と電気的に接続されている。
【0023】
パネル平均入力値算出部72は、制御装置11から、各画素48に対する入力信号が入力される。入力信号は、例えば、赤色(第1色)、緑色(第2色)、青色(第3色)のそれぞれの階調信号値を有し、この階調信号値を組み合わせることで、各画素48に所定の色を表示させる信号である。パネル平均入力値算出部72は、1フレーム中の全画素48の入力信号、すなわち、画像表示パネル40中の全ての画素48であって、1フレームで表示される画像の全ての入力信号が入力される。パネル平均入力値算出部72は、1フレーム中の全画素48の入力信号の階調信号値の平均値であるパネル平均入力値を算出する。パネル平均入力値算出部72は、最大設定明度算出部74に、各画素48の入力信号と、パネル平均入力値を出力する。パネル平均入力値算出部72によるパネル平均入力値の算出処理の詳細については後述する。なお、パネル平均入力値算出部72は、各画素48の入力信号から、入力信号に基づいて色を表示させた場合の色相、彩度、及び明度を算出する。
【0024】
拡大色空間記憶部73は、拡大色空間を記憶している。例えば、拡大色空間記憶部73は、拡大色空間で再現可能な明度の上限値を、彩度毎に記憶している。拡大色空間は、例えば、赤色(第1色)、緑色(第2色)、青色(第3色)及び白色(第4色)で再現され、画像表示パネル40が表示可能な色の範囲を示す色空間である。拡大色空間の詳細については後述する。
【0025】
最大設定明度算出部74は、パネル平均入力値算出部72から、入力信号とパネル平均入力値が入力される。最大設定明度算出部74は、拡大色空間記憶部73から、拡大色空間のデータを読み出す。最大設定明度算出部74は、拡大色空間のデータ及びパネル平均入力値から、1フレーム中の全画素48に対し、表示させる色の明度の上限値である最大設定明度を算出する。最大設定明度算出部74は、最大設定明度を、拡大色空間において再現可能な明度の範囲内で、かつ、パネル平均入力値が小さくなるに従って大きくなるように決定する。最大設定明度算出部74は、算出した最大設定明度の値及び入力信号を、設定明度算出部76に出力する。最大設定明度算出部74による最大設定明度の算出処理の詳細については後述する。
【0026】
設定明度算出部76は、最大設定明度算出部74から、入力信号と最大設定明度が入力される。設定明度算出部76は、入力信号の入力値と最大設定明度の値に基づき、設定明度を算出する。設定明度は、画素48に表示させる色の明度である。設定明度算出部76は、入力信号の信号値と最大設定明度とに基づき設定明度を算出するための算出式を記憶している。設定明度算出部76は、画素48への入力信号の入力値の上昇に従って最大設定明度まで上昇するように、設定明度を算出する。設定明度算出部76は、算出した設定明度と、入力信号とを、α算出部78に出力する。設定明度算出部76による設定明度の算出処理の詳細については後述する。
【0027】
α算出部78は、設定明度算出部76から、入力信号と設定明度とが入力される。α算出部78は、入力信号の入力値に基づいて表示される色の明度と、設定明度とを比較して、入力信号に基づいて表示される色をこの設定明度に対応する色に伸長するための入力伸長係数を算出する。α算出部78は、算出した入力伸長係数と入力信号とを入力伸長信号生成部79に出力する。なお、設定明度は、入力信号の入力値の上昇に従って、最大設定明度まで上昇する。すなわち、入力伸長係数は、入力信号の入力値に基づいて表示される色を、最大設定明度に対応する色に伸長するものであるともいえる。α算出部78による入力伸長係数の算出処理の詳細については後述する。
【0028】
入力伸長信号生成部79は、α算出部78から、入力伸長係数と入力信号とが入力される。入力伸長信号生成部79は、入力伸長係数により入力信号の信号値を伸長して、各画素48の入力伸長信号を生成する。入力伸長信号は、入力信号の入力値に基づいて表示される色を、設定明度に対応する色に伸長した信号値を有する信号である。入力伸長信号生成部79は、入力伸長信号を、W変換処理部80に出力する。入力伸長信号の生成処理の詳細については後述する。
【0029】
W変換処理部80は、入力伸長信号生成部79から、入力伸長信号が入力される。W変換処理部80は、例えば、赤色(第1色)、緑色(第2色)、青色(第3色)のそれぞれの伸長された階調信号値である入力伸長信号値を、赤色(第1色)、緑色(第2色)、青色(第3色)及び白色(第4色)の階調信号値を有する出力信号に変換する。W変換処理部80は、生成した出力信号を、ガンマ変換部82に出力する。W変換処理部80による出力信号の生成処理の詳細については後述する。
【0030】
ガンマ変換部82は、各画素48の出力信号値が入力される。ガンマ変換部82は、各画素48の出力信号値をガンマ変換して、出力信号値に応じた色を表示させるための所定の電位を有した画像出力信号を生成して、画像表示パネル駆動部30に出力する。
【0031】
(画像表示パネル駆動部の構成)
画像表示パネル駆動部30は、画像表示パネル40の制御装置であって、信号出力回路31、走査回路32及び電源回路33を備えている。信号出力回路31は、信号線DTLによって画像表示パネル40と電気的に接続されている。信号出力回路31は、入力された画像出力信号を保持し、順次、画像表示パネル40の各副画素49に出力する。走査回路32は、走査線SCLによって画像表示パネル40と電気的に接続されている。走査回路32は、画像表示パネル40における副画素49を選択し、副画素49の動作(光透過率)を制御するためのスイッチング素子(例えば、薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor))のオン及びオフを制御する。電源回路33は、電源線PCLによって各副画素49の有機発光ダイオードE1へ電力を供給する。
【0032】
(拡大色空間について)
次に、拡大色空間について説明する。まず、基準色空間について説明する。以下、実施形態1に係る基準色空間を、基準色空間100と記載し、実施形態1に係る拡大色空間を、拡大色空間110と記載する。基準色空間100は、例えば、赤色(第1色)、緑色(第2色)及び青色(第3色)で再現可能な色の範囲を示す色空間である。すなわち、基準色空間100は、入力信号の入力値に基づいて表示可能な色の色空間である。基準色空間100は、HSV色空間であるが、これに限られずXYZ色空間、YUV空間その他の座標系でもよい。
【0033】
拡大色空間110は、例えば、赤色(第1色)、緑色(第2色)、青色(第3色)及び白色(第4色)で再現可能な色の範囲を示す色空間である。すなわち、拡大色空間110は、入力信号を伸長して、例えば、赤色(第1色)、緑色(第2色)、青色(第3色)及び白色(第4色)の階調信号値に変換した出力信号に基づいて表示可能な色の色空間である。
【0034】
図7は、拡大色空間の概念図である。
図8は、拡大色空間の彩度と明度との関係を示す概念図である。
図7及び
図8に示す横軸は彩度(S)であり、縦軸は明度(V)であり、縦軸を中心に周方向に沿った周方向軸は色相(H)である。色相Hは、
図7に示すように、0°から360°で表される。0°から360°に向かって、赤(Red)、黄(Yellow)、緑(Green)、シアン(Cyan)、青(Blue)、マゼンタ(Magenta)、赤となる。実施形態1では、角度0°及び360°を含む領域が赤色となり、角度120°を含む領域が緑色となり、角度240°を含む領域が青色となる。
図8は、
図7の拡大色空間110を、周方向軸の接線方向に直交した断面で切り取った断面図である。従って、
図8は、拡大色空間の任意の色相における彩度と明度との関係を示す。基準色空間における彩度と明度との関係は、色相によらず同じである。
【0035】
図8に示すように、基準色空間100は、円柱形状のHSV色空間である。また、拡大色空間110は、この円柱形状の基準色空間100に、第4副画素49Wで再現可能な、彩度Sが高くなるほど明度Vの最大値が低くなる略台形形状となる立体が載っている形状となる。ここで、基準色空間100で再現可能な明度の上限値を最大明度V
1−3とする。また、第4副画素49Wの白色(第4色)の明度の表示可能な上限値を第4副画素最大明度V
4とする。拡大色空間110は、彩度が0から最大値のS
0までの間において、再現可能な明度の上限値(最大明度)が最大明度V
1−3である円柱形状のHSV色空間に、最大明度が第4副画素最大明度V
4である略台形形状の色空間を加えたものとなる。彩度Sにおける拡大色空間の最大明度を、拡大色空間最大明度Vmax(S)とすると、拡大色空間最大明度Vmax(S)は、彩度が0からSxまでの間においてはV
1−3+V
4となる。そして、拡大色空間最大明度Vmax(S)は、彩度がSxからS
0に向けて大きくなるに従って低下し、彩度S
0において、V
1−3となる。なお、彩度Sxは、拡大色空間最大明度Vmax(S)が最大値である最大明度V
1−3+V
4となる場合における彩度の上限値である。彩度Sxは、第4副画素49Wの素子特性に応じて決まる所定の値である。また、彩度SxからS
0における拡大色空間最大明度Vmax(S)も、第4副画素49Wの素子特性に応じて決まる。これらについては、後述する。なお、
図7は、第4副画素が白色である場合における拡大色空間の形状を示すものである。第4副画素が白色以外である場合は、拡大色空間の形状は、
図7に示すものから異なるものとなる。
【0036】
表示装置10は、入力信号を伸長して入力伸長信号を生成し、入力伸長信号から出力信号を生成することで、再現可能な色空間を、基準色空間100から拡大色空間110に広げて、色を表示する。
【0037】
(入力伸長信号の生成処理)
次に、信号処理部20による入力伸長信号の生成処理について説明する。信号処理部20は、表示する画像の情報である入力信号が制御装置11から入力される。入力信号は、各画素に対して、その位置で表示する画像(色)の情報を入力信号として含んでいる。具体的には、第(p,q)番目の画素(但し、1≦p≦P
0,1≦q≦Q
0)に対して、信号値がx
1−(p,q)の第1副画素の入力信号、信号値がx
2−(p,q)の第2副画素の入力信号、及び、信号値がx
3−(p,q)の第3副画素の入力信号が含まれる信号が信号処理部20に入力される。信号処理部20は、これらの入力信号を伸長することで、第1副画素49Rの入力伸長信号(信号値xA
1−(p,q))、第2副画素49Gの入力伸長信号(信号値xA
2−(p,q))、第3副画素49Bの入力伸長信号(信号値xA
3−(p,q))を生成する。
【0038】
最初に、信号処理部20は、パネル平均入力値算出部72により、1フレーム中の全画素48の入力信号の平均信号値であるパネル平均入力値を算出する。信号処理部20は、1画素48の各副画素49の平均入力値をI
AV(p,q)とし、1フレーム中の全画素48のパネル平均入力値をI
AVとすると、次の式(1)及び(2)に基づき、パネル平均入力値I
AVを算出する。信号処理部20は、このパネル平均入力値I
AVを、1フレーム中の全画素48に共通する値として算出する。
【0040】
ここで、第1副画素の入力信号値x
1−(p,q)、第2副画素の入力信号値x
2−(p,q)及び第3副画素の入力信号値x
3−(p,q)は、0から(2
n−1)までの値をとることができる。ここで、nは表示階調ビット数である。実施形態1において、nは8であるため、第1副画素の入力信号値x
1−(p,q)、第2副画素の入力信号値x
2−(p,q)及び第3副画素の入力信号値x
3−(p,q)は、それぞれ0以上255以下の整数値をとる。従って、パネル平均入力値I
AVも、同様に0以上255以下の整数値をとるが、整数値をとることに限られない。なお、パネル平均入力値I
AVは、1フレーム中の全画素48の入力信号の平均信号値であれば、その算出方法は式(1)、(2)に限られない。
【0041】
次に、信号処理部20は、最大設定明度算出部74により、パネル平均入力値I
AVと拡大色空間のデータとに基づき、1フレーム中の全画素48の最大設定明度を算出する。より詳しくは、最大設定明度算出部74は、最大設定明度を、拡大色空間において再現可能であって基準色空間で再現できない明度の範囲内、つまり、最大明度V
1−3と最大明度V
1−3+V
4との間になるように設定する。さらに、最大設定明度算出部74は、最大設定明度を、パネル平均入力値I
AVが小さくなるに従って、大きくなるように決定する。最大設定明度算出部74は、最大設定明度を、1フレーム中の全画素48に共通する値として算出する。
【0042】
図9は、パネル平均入力値と最大設定明度との関係の一例を示すグラフである。具体的には、最大設定明度算出部74は、拡大色空間記憶部73から、拡大色空間最大明度Vmax(S)(ここでは最大明度V
1−3、V
1−3+V
4)の値を読み出す。ここで、パネル平均入力値I
AV1を、0(パネル平均入力値I
AVの下限値)以上、255(パネル平均入力値I
AVの上限値)より小さい所定の値とする。また、パネル平均入力値I
AV2を、パネル平均入力値I
AV1より大きく、255(パネル平均入力値I
AVの上限値)以下の所定の値とする。そして、算出する最大設定明度を、最大設定明度VAmaxとする。
【0043】
図9に示すように、最大設定明度算出部74は、パネル平均入力値I
AVがI
AV2以上255以下である場合は、最大設定明度VAmaxの値を最大明度V
1−3とする。また、最大設定明度算出部74は、パネル平均入力値I
AVが0以上I
AV1以下である場合は、最大設定明度VAmaxの値を最大明度V
1−3+V
4とする。そして、最大設定明度算出部74は、パネル平均入力値I
AVがI
AV2からI
AV1へ小さくなるに従って、最大設定明度VAmaxの値を、最大明度V
1−3から最大明度V
1−3+V
4に向かって大きくする。具体的には、最大設定明度算出部74は、次の式(3)に基づき、最大設定明度VAmaxを算出する。
【0045】
なお、最大設定明度算出部74は、パネル平均入力値I
AVがI
AV2からI
AV1へ小さくなるに従って、最大設定明度VAmaxの値を線形的に上昇させたが、これに限られない。例えば、最大設定明度算出部74は、最大設定明度VAmaxの値を、パネル平均入力値I
AVの低下に従い2次曲線的に上昇させてもよい。最大設定明度算出部74は、最大設定明度VAmaxを、パネル平均入力値I
AVが小さくなるに従って、大きくなるように決定すれば、その決定方法は任意である。
【0046】
また、最大設定明度算出部74は、最大設定明度VAmaxの算出にあたり、パネル平均入力値I
AVを、画素48の輝度を用いて算出してもよい。第(p,q)番目の画素48の輝度は、輝度をL
(p,q)としたとき、次の式(4)で表される。
【0047】
L
(p,q)=0.3・x
1−(p,q)+0.6・x
2−(p,q)+0.1・x
3−(p,q) ・・・(4)
【0048】
この場合、パネル平均入力値I
AVは、上述の式(2)において、平均入力値I
AV(p,q)を輝度L
(p,q)に置き換えて算出される。ただし、この輝度L
(p,q)の算出式は、一例であり、第1副画素の入力信号値x
1−(p,q)、第2副画素の入力信号値x
2−(p,q)及び第3副画素の入力信号値x
3−(p,q)を用いて、任意に算出してもよい。
【0049】
次に、信号処理部20は、設定明度算出部76により、入力信号と最大設定明度VAmaxの値に基づき、各画素48の設定明度を算出する。設定明度は、入力信号を伸長した場合の画素48に表示させる色の明度であり、言い換えれば、入力伸長信号に基づいて表示される色の明度である。設定明度算出部76は、画素48への入力信号の入力値の上昇に従って、最大設定明度VAmaxまで上昇するように、設定明度を算出する。
【0050】
図10は、入力信号の信号値と設定明度との関係の一例を示すグラフである。
図10の横軸は、画素48の入力信号の最大値である最大入力信号値Max
(p,q)である。ここで、最大入力信号値Max
(p,q)は、(x
1−(p,q)、x
2−(p,q)、x
3−(p,q))の3個の副画素49の入力信号値の最大値である。
図10の縦軸は、設定明度VA
(p,q)である。
【0051】
図10の線分L0は、最大入力信号値Max
(p,q)と、入力信号に基づいて表示される色の明度V(S)
(p,q)との関係を示している。言い換えれば、線分L0は、入力信号を伸長せずに色を表示させた場合の色の明度を示している。明度V(S)
(p,q)は、パネル平均入力値算出部72により、次の式(5)に基づき算出される。従って、線分L0に示すように、伸長処理を行わない場合、最大入力信号値Max
(p,q)が0の場合、明度V(S)
(p,q)は0であり、最大入力信号値Max
(p,q)が255の場合、明度V(S)
(p,q)はV
1−3(ここでは255)となる。
【0052】
V(S)
(p,q)=Max
(p,q) ・・・(5)
【0053】
図10の線分L1は、最大設定明度VAmaxが最大明度V
1−3+V
4である場合の、最大入力信号値Max
(p,q)と設定明度VA
(p,q)との関係を示している。線分L1に示すように、最大入力信号値Max
(p,q)が0の場合、設定明度算出部76は、設定明度VA
(p,q)を0とする。最大入力信号値Max
(p,q)が255の場合、設定明度算出部76は、設定明度VA
(p,q)を、最大設定明度VAmax(ここでは最大明度V
1−3+V
4)とする。そして、設定明度算出部76は、設定明度VA
(p,q)を、最大入力信号値Max
(p,q)が上昇するにしたがって、上昇するように設定する。
【0054】
また、
図10の線分L2は、最大設定明度VAmaxがV
L2である場合の、最大入力信号値Max
(p,q)と設定明度VA
(p,q)との関係を示している。線分L2に示すように、最大入力信号値Max
(p,q)が0の場合、設定明度算出部76は、設定明度VA
(p,q)を0とする。最大入力信号値Max
(p,q)が255の場合、設定明度算出部76は、設定明度VA
(p,q)を、最大設定明度VAmax(ここでは最大明度V
L2)とする。
【0055】
具体的には、設定明度算出部76は、次の式(6)のような、最大入力信号値Max
(p,q)と設定明度VA
(p,q)との関係(設定明度データ)を記憶している。
【0056】
VA
(p,q)=(VAmax/V
1−3)・Max
(p,q) ・・・(6)
【0057】
設定明度算出部76は、式(6)に従い、1フレーム中の画素48毎に、設定明度VA
(p,q)を算出する。ここで、式(6)の最大設定明度VAmax及び最大明度V
1−3は、1フレーム中の全画素48で共通する値である。従って、1フレーム中の全画素48は、入力信号の信号値と設定明度VA
(p,q)との関係が共通する。なお、設定明度算出部76は、設定明度VA
(p,q)を、最大入力信号値Max
(p,q)が上昇するにしたがって、最大設定明度VAmaxまで上昇するように設定するものであれば、設定明度VA
(p,q)の算出方法(設定明度データ)は、式(6)に限られない。
【0058】
なお、
図10及び式(6)で示した設定明度VA
(p,q)の算出方法は、入力信号に基づいて算出された画素48の彩度が0以上Sx以下の値である場合に適用される。上述のように、拡大色空間110で表示可能な最大明度は、彩度に応じて異なる。
図8で示したように、彩度が0からSxまでの間においては、拡大色空間110で表示可能な最大明度は、最大明度V
1−3+V
4であるが、彩度がSx以上である場合は、拡大色空間110で表示可能な最大明度は、最大明度V
1−3+V
4より小さくなる。従って、1フレーム中の各画素48は、最大入力信号値Max
(p,q)及び最大設定明度VAmaxが同じであっても、入力信号に基づいて算出された彩度S
(p,q)が異なることにより、設定明度VA
(p,q)が異なる場合がある。なお、入力信号に基づく彩度S
(p,q)は、パネル平均入力値算出部72により、次の式(7)により算出される。
【0059】
S
(p,q)=(Max
(p,q)−Min
(p,q))/Max
(p,q)・・・(7)
【0060】
ここで、Min
(p,q)は、(x
1−(p,q)、x
2−(p,q)、x
3−(p,q))の3個の副画素49の入力信号値の最小値である。
【0061】
図11及び
図12は、彩度と設定明度との関係の一例を示すグラフである。
図11の(A)は、
図10と同様に、彩度が0からSxまでの間の場合における、最大入力信号値Max
(p,q)と設定明度VA
(p,q)との関係を示している。
図11の(B)は、
図11の(A)と対応する拡大色空間の概念図を示している。
図11の(A)及び
図11の(B)に示すように、所定の画素48
D1は、最大入力信号値Max
(p,q)が255であり、最大設定明度VAmaxがV
1−3+V
4であり、彩度S
(p,q)がSxより小さいS
D1であるため、設定明度VA
(p,q)が最大設定明度VAmax(ここでは最大明度V
1−3+V
4)である。
【0062】
図12の(A)は、彩度S
(p,q)がSx以上における、最大入力信号値Max
(p,q)と設定明度VA
(p,q)との関係を示すグラフである。
図12の(B)は、
図12の(A)と対応する拡大色空間の概念図を示している。
図12の(A)及び
図12の(B)に示すように、所定の画素48
D1Aは、最大入力信号値Max
(p,q)が255であり、最大設定明度VAmaxがV
1−3+V
4である。ただし、画素48
D1Aは、
図11で示す画素48
D1と異なり、彩度S
(p,q)がSxより大きいS
D1Aであるため、設定明度VA
(p,q)が修正最大設定明度VAmax1
(p,q)(ここでは最大明度V
4A)となる。最大明度V
4Aは、彩度S
D1Aにおける、拡大色空間最大明度Vmax(S)である。
【0063】
より詳しくは、彩度S
(p,q)がSx以上の場合、設定明度算出部76は、画素48の入力信号に基づいた彩度に応じて最大設定明度VAmaxに制限をかけ、修正最大設定明度VAmax1
(p,q)を算出する。そして、設定明度算出部76は、最大設定明度VAmaxの代わりに、この修正最大設定明度VAmax1
(p,q)と最大入力信号値Max
(p,q)とに基づいて、設定明度VA
(p,q)を算出する。なお、修正最大設定明度VAmax1
(p,q)は、画素48の彩度S
(p,q)に応じて決定されるため、1画素毎に異なる値を有する。
【0064】
設定明度算出部76は、画素48の彩度S
(p,q)がSx以上の場合、画素48の彩度S
(p,q)に対応する拡大色空間最大明度Vmax(S)の値を用いて、次の式(8)により、修正最大設定明度VAmax1
(p,q)を算出する。
【0065】
VAmax1
(p,q)=(Vmax(S)/(V
1−3+V
4))・VAmax ・・・(8)
【0066】
ここで、最大入力信号値Max
(p,q)の所定値であって0以上255以下の最大入力信号値を最大入力信号値I
max1とする。設定明度算出部76は、
図12の(A)の線分L1Aに示すように、最大入力信号値Max
(p,q)が0以上I
max1以下である場合において、彩度S
(p,q)がSx以上の場合であっても、上述の式(6)に従って、設定明度VA
(p,q)を算出する。言い換えれば、設定明度算出部76は、最大入力信号値Max
(p,q)が0以上I
max1以下である場合は、彩度S
(p,q)がSx以上の場合であっても、設定明度VA
(p,q)を、
図12の(A)の線分L1に従った値として算出する。
【0067】
そして、設定明度算出部76は、彩度S
(p,q)がSx以上の場合であって、最大入力信号値Max
(p,q)がI
max1以上である場合は、次の式(9)に従って、設定明度VA
(p,q)を算出する。
【0068】
VA
(p,q)=k・(VAmax1
(p,q)/V
1−3)・Max
(p,q)+l ・・・(9)
【0069】
ここで、k及びlは、設定明度VA
(p,q)を、
図12の(A)に示す線分L1Aに従った値として算出する係数である。線分L1Aは、最大入力信号値Max
(p,q)が255において、設定明度VA
(p,q)を修正最大設定明度VAmax1
(p,q)とし、最大入力信号値Max
(p,q)がI
max1において、線分L1と交差する線分である。
【0070】
言い換えれば、設定明度算出部76は、画素48の彩度S
(p,q)がSx以上の場合、最大入力信号値Max
(p,q)の上昇に応じて、設定明度VA
(p,q)を、修正最大設定明度VAmax1
(p,q)まで上昇させる。さらに、設定明度算出部76は、最大入力信号値Max
(p,q)がI
max1から大きくなる場合における設定明度VA
(p,q)の上昇する割合を、最大入力信号値Max
(p,q)が0からI
max1まで大きくなる場合における設定明度VA
(p,q)の上昇する割合よりも、小さくする。これにより、最大入力信号値Max
(p,q)の変化による急激な画像の明度の変化を抑制することが可能となる。
【0071】
ただし、設定明度算出部76は、彩度S
(p,q)がSx以上の場合における設定明度VA
(p,q)を算出する方法は、上述の式(6)、(9)(線分L1及び線分L1A)に限られない。設定明度算出部76は、最大入力信号値Max
(p,q)の上昇に応じて、設定明度VA
(p,q)を、修正最大設定明度VAmax1
(p,q)まで上昇させるものであればよい。
図13及び
図14は、彩度と設定明度との関係の他の例を示すグラフである。例えば、設定明度算出部76は、
図13の線分LA2に示すように、彩度S
(p,q)がSx以上の場合において、設定明度VA
(p,q)の上昇する割合を、最大入力信号値Max
(p,q)の上昇に応じて一定として、設定明度VA
(p,q)を算出してもよい。また、例えば、設定明度算出部76は、彩度S
(p,q)がSx以上の場合において、全ての最大入力信号値Max
(p,q)の範囲において、式(6)に従って設定明度VA
(p,q)を算出してもよい。この場合、
図14に示すように、設定明度VA
(p,q)は、式(6)(線分L1)に従って最大明度V
4Aまで上昇するが、設定明度VA
(p,q)は、修正最大設定明度VAmax1
(p,q)である最大明度V
4A以上は上昇しない。言い換えれば、この場合、画素48は最大明度V
4Aより大きい明度を表示することができない。従って、
図14の線分LA3に示すように、設定明度VA
(p,q)が最大明度V
4Aまで上昇した後は、最大入力信号値Max
(p,q)の値が大きくなっても、設定明度VA
(p,q)は、最大明度V
4Aのまま一定値となる。
【0072】
以上説明したように設定明度VA
(p,q)を算出した後、信号処理部20は、α算出部78により、入力信号に基づいて表示される色の明度V(S)
(p,q)と、設定明度VA
(p,q)とを比較して、入力伸長係数α
(p,q)を算出する。なお、入力伸長係数α
(p,q)は、画素48毎に決定される値である。すなわち、入力伸長係数α
(p,q)は、画素48の入力信号値に応じて、1フレーム中の画素48毎に異なる値となる。具体的には、α算出部78は、次の式(10)に基づいて、入力伸長係数α
(p,q)を算出する。
【0073】
α
(p,q)=VA
(p,q)/V(S)
(p,q) ・・・(10)
【0074】
なお、明度V(S)
(p,q)は、最大入力信号値Max
(p,q)と同じ値であるため、α算出部78は、最大入力信号値Max
(p,q)に基づき入力伸長係数α
(p,q)を算出しているともいえる。また、α算出部78は、明度V(S)
(p,q)又は最大入力信号値Max
(p,q)の代わりに、上述の式(4)に示した輝度L
(p,q)を用いて入力伸長係数α
(p,q)を算出してもよい。この場合、α算出部78は、式(10)において、明度V(S)
(p,q)の代わりに、輝度L
(p,q)を用いて、入力伸長係数α
(p,q)を算出する。
【0075】
次に、信号処理部20は、入力伸長信号生成部79により、入力伸長係数α
(p,q)により入力信号の信号値を伸長して、各画素48の入力伸長信号を生成する。具体的には、入力伸長信号生成部79は、次の式(11)、(12)及び(13)により、第1副画素49Rの入力伸長信号(信号値xA
1−(p,q))、第2副画素49Gの入力伸長信号(信号値xA
2−(p,q))、第3副画素49Bの入力伸長信号(信号値xA
3−(p,q))を生成する。
【0076】
xA
1−(p,q)=α
(p,q)・x
1−(p,q) ・・・(11)
xA
2−(p,q)=α
(p,q)・x
2−(p,q) ・・・(12)
xA
3−(p,q)=α
(p,q)・x
3−(p,q) ・・・(13)
【0077】
以上、信号処理部20による入力伸長信号の生成処理について説明したが、この処理手順が含まれる出力信号の生成手順をフローチャートに基づいて説明する。
図15は、信号処理部による出力信号の生成処理を説明したフローチャートである。
【0078】
図15に示すように、信号処理部20は、入力伸長信号を生成する場合、最初に、1フレーム中の全画素48の入力信号に基づき、パネル平均入力値I
AVを算出する(ステップS12)。具体的には、信号処理部20は、パネル平均入力値算出部72により、上述の式(1)及び式(2)に基づき、1フレーム中の全画素48の平均入力階調値であるパネル平均入力値I
AVを算出する。
【0079】
パネル平均入力値I
AVを算出した後、信号処理部20は、最大設定明度算出部74により、パネル平均入力値I
AVと拡大色空間のデータとに基づき、1フレーム中の全画素48の最大設定明度VAmaxを算出する(ステップS14)。具体的には、最大設定明度算出部74は、拡大色空間110の拡大色空間最大明度Vmax(S)(ここでは最大明度V
1−3、V
4)の値を読み出し、上述の式(3)に基づき、最大設定明度VAmaxを算出する。なお、最大設定明度VAmaxは、1フレーム中の全画素48に共通する値として算出される。
【0080】
最大設定明度VAmaxを算出した後、信号処理部20は、設定明度算出部76により、画素48の入力信号に基づく彩度S
(p,q)が、彩度Sx以下の値であるかを判断する(ステップS16)。
【0081】
彩度S
(p,q)がSx以下の値である場合(ステップS16でYes)、信号処理部20は、設定明度算出部76により、入力信号と最大設定明度VAmaxの値に基づき、画素48の設定明度VA
(p,q)を算出する(ステップS18)。具体的には、設定明度算出部76は、上述の式(6)に基づき、設定明度VA
(p,q)を算出する。
【0082】
彩度S
(p,q)がSx以下の値でない場合(ステップS16でNo)、信号処理部20は、設定明度算出部76により、彩度S
(p,q)での拡大色空間110における最大明度V
4Aと最大設定明度VAmaxとに基づき、修正最大設定明度VAmax1
(p,q)を算出する(ステップS20)。具体的には、設定明度算出部76は、上述の式(8)に基づき、修正最大設定明度VAmax1
(p,q)を算出する。
【0083】
修正最大設定明度VAmax1
(p,q)を算出した後、信号処理部20は、設定明度算出部76により、入力信号と修正最大設定明度VAmax1
(p,q)との値に基づき、画素48の設定明度VA
(p,q)を算出する(ステップS22)。具体的には、設定明度算出部76は、最大入力信号値Max
(p,q)が0以上I
max1である場合においては、上述の式(6)に従って、設定明度VA
(p,q)を算出する。また、設定明度算出部76は、最大入力信号値Max
(p,q)がI
max1以上である場合は、上述の式(9)に従って、設定明度VA
(p,q)を算出する。
【0084】
ステップS18又はステップS22で設定明度VA
(p,q)を算出した後、信号処理部20は、α算出部78により、入力信号に基づいて表示される色の明度V(S)
(p,q)と、設定明度VA
(p,q)とを比較して、入力伸長係数α
(p,q)を算出する(ステップS24)。具体的には、α算出部78は、上述の式(10)に基づいて、入力伸長係数α
(p,q)を算出する。
【0085】
入力伸長係数α
(p,q)を算出した後、信号処理部20は、入力伸長信号生成部79により、入力伸長係数α
(p,q)で入力信号の信号値を伸長して、各画素48の入力伸長信号を生成する(ステップS26)。具体的には、入力伸長信号生成部79は、上述の式(11)、(12)及び(13)により、第1副画素49Rの入力伸長信号(信号値xA
1−(p,q))、第2副画素49Gの入力伸長信号(信号値xA
2−(p,q))、第3副画素49Bの入力伸長信号(信号値xA
3−(p,q))を生成する。
【0086】
画素48の入力伸長信号を生成した後、信号処理部20は、W変換処理部80により、W変換処理を行い、入力伸長信号に基づき出力信号を生成する(ステップS28)。信号処理部20は、ガンマ変換部82により、出力信号から画像出力信号を生成して、画像表示パネル駆動部30に出力する。なお、出力信号の生成処理については、後述する。
【0087】
出力信号を生成した後、信号処理部20は、W変換処理部80により、1フレーム中の全ての画素48について出力信号を生成したかを判断する(ステップS30)。
【0088】
1フレーム中の全ての画素48について出力信号を生成していない場合(ステップS30でNo)、信号処理部20は、ステップS16に戻り、1フレーム中で出力信号を生成していない画素48についての出力信号生成処理を行う。
【0089】
1フレーム中の全ての画素48について出力信号を生成した場合(ステップS30でYes)、信号処理部20は、出力信号生成処理を終了して、次の1フレームについての同様の処理に移る。信号処理部20は、このような手順で出力信号を生成する。
【0090】
(出力信号の生成処理)
次に、入力伸長信号に基づく出力信号の生成処理について説明する。信号処理部20は、入力伸長信号生成部79により、第1副画素49Rの入力伸長信号(信号値xA
1−(p,q))、第2副画素49Gの入力伸長信号(信号値xA
2−(p,q))、第3副画素49Bの入力伸長信号(信号値xA
3−(p,q))を生成する。信号処理部20は、W変換処理部80により、これらの入力伸長信号に基づいて、第1副画素49Rの表示階調を決定するための第1副画素の出力信号(信号値X
1−(p,q))、第2副画素49Gの表示階調を決定するための第2副画素の出力信号(信号値X
2−(p,q))、第3副画素49Bの表示階調を決定するための第3副画素の出力信号(信号値X
3−(p,q))、及び、第4副画素49Wの表示階調を決定するための第4副画素の出力信号(信号値X
4−(p,q))を生成する。
【0091】
信号処理部20は、W変換処理部80により、第4副画素の出力信号値X
4−(p,q)を、少なくとも第1副画素の入力伸長信号(信号値xA
1−(p,q))、第2副画素の入力伸長信号(信号値xA
2−(p,q))及び第3副画素の入力伸長信号(信号値xA
3−(p,q))に基づいて算出する。より詳しくは、信号処理部20は、第4副画素の出力信号値X
4−(p,q)を、1画素中の入力伸長信号の最小値であるMinA
(p,q)に基づき求める。具体的には、信号処理部20は、下記の式(14)に基づいて信号値X
4−(p,q)を求める。なお、MinA
(p,q)は、(xA
1−(p,q)、xA
2−(p,q)、xA
3−(p,q))の3個の副画素49の入力伸長信号値の最小値である。χについては後述する。
【0092】
X
4−(p,q)=MinA
(p,q)/χ・・・(14)
【0093】
ここで、χは表示装置10に依存した定数である。白色を表示する第4副画素49Wには、カラーフィルタが配置されていない。第4の色を表示する第4副画素49Wは、同じ光源点灯量で照射された場合、第1の色を表示する第1副画素49R、第2の色を表示する第2副画素49G、第3の色を表示する第3副画素49Bよりも明るい。第1副画素49Rに第1副画素49Rの出力信号の最大信号値に相当する値を有する信号が入力され、第2副画素49Gに第2副画素49Gの出力信号の最大信号値に相当する値を有する信号が入力され、第3副画素49Bに第3副画素49Bの出力信号の最大信号値に相当する値を有する信号が入力されたときの、画素48又は画素48の群が備える第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bの集合体の輝度をBN
1−3とする。また、画素48又は画素48の群が備える第4副画素49Wに、第4副画素49Wの出力信号の最大信号値に相当する値を有する信号が入力されたときの第4副画素49Wの輝度をBN
4としたときを想定する。すなわち、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bの集合体によって最大輝度の白色が表示され、この白色の輝度がBN
1−3で表される。すると、χを表示装置10に依存した定数としたとき、定数χは、χ=BN
4/BN
1−3で表される。
【0094】
具体的には、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bの集合体に、次の表示階調の値を有する入力信号として、信号値x
1−(p,q)=255、信号値x
2−(p,q)=255、信号値x
3−(p,q)=255が入力されたときにおける白色の輝度BN
1−3に対して、第4副画素49Wに表示階調の値255を有する入力信号が入力されたと仮定したときの輝度BN
4は、例えば、1.5倍である。すなわち、実施形態1にあっては、χ=1.5である。
【0095】
なお、拡大色空間最大明度Vmax(S)は、定数χを用いて、次の式(15)、式(16)で表すことができる。
【0096】
S≦Sxの場合:
Vmax(S)=(χ+1)・(2
n−1)・・・(15)
【0097】
Sx<S≦1の場合:
Vmax(S)=(2
n−1)・(1/S)・・・(16)
ここで、Sx=1/(χ+1)である。
【0098】
次に、信号処理部20は、W変換処理部80により、少なくとも第1副画素の入力伸長信号(信号値xA
1−(p,q))に基づいて、第1副画素の出力信号(信号値X
1−(p,q))を算出し、少なくとも第2副画素の入力伸長信号(信号値xA
2−(p,q))に基づいて第2副画素の出力信号(信号値X
2−(p,q))を算出し、少なくとも第3副画素の入力伸長信号(信号値xA
3−(p,q))に基づいて第3副画素の出力信号(信号値X
3−(p,q))を算出する。
【0099】
具体的には、信号処理部20は、第1副画素の入力伸長信号及び第4副画素の出力信号に基づいて第1副画素の出力信号を算出し、第2副画素の入力伸長信号及び第4副画素の出力信号に基づいて第2副画素の出力信号を算出し、第3副画素の入力伸長信号及び第4副画素の出力信号に基づいて第3副画素の出力信号を算出する。
【0100】
つまり、信号処理部20は、χを表示装置に依存した定数としたとき、第(p,q)番目の画素(あるいは、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bの組)への第1副画素の出力信号値X
1−(p,q)、第2副画素の出力信号値X
2−(p,q)及び第3副画素の出力信号値X
3−(p,q)を、以下の式(17),(18),(19)から求める。
【0101】
X
1−(p,q)=xA
1−(p,q)−χ・X
4−(p,q)・・・(17)
X
2−(p,q)=xA
2−(p,q)−χ・X
4−(p,q)・・・(18)
X
3−(p,q)=xA
3−(p,q)−χ・X
4−(p,q)・・・(19)
【0102】
以上説明したように、実施形態1に係る信号処理部20は、最大設定明度VAmaxを、拡大色空間110の表示可能な明度の範囲内で、かつ、パネル平均入力値I
AVが小さくなるに従って、大きくなるように決定する。また、信号処理部20は、画像表示パネル40に表示させる色を最大設定明度VAmaxに対応する色に伸長するための入力伸長係数を決定する。そして、信号処理部20は、各画素の入力伸長信号を、この入力伸長係数に基づいて求めて、これら入力伸長信号に基づいて出力信号を生成する。従って、表示装置10は、画像表示パネル40に表示させる色の明度を、最大設定明度VAmax、すなわち拡大色空間での明度まで伸長することができる。従って、表示装置10は、1フレーム中の画素毎の明度差を大きくすることができ、ダイナミックレンジを広げて画像のコントラストを適切に向上させることができる。
【0103】
さらに、表示装置10は、最大設定明度VAmaxを、パネル平均入力値I
AVが小さくなるに従って大きくする。すなわち、表示装置10は、全体的に暗い画像であるほど、最大設定明度VAmaxを大きくする。従って、表示装置10は、全体的に暗い画像である場合に、画素毎の明度差をより大きくすることができ、ダイナミックレンジを広げて画像を鮮明に表示することができる。
【0104】
さらに、信号処理部20は、パネル平均入力値I
AVが、I
AV2以上の値である場合は、最大設定明度VAmaxの値を、基準色空間での最大明度V
1−3とする。そして、信号処理部20は、パネル平均入力値I
AVが、I
AV1以下の値である場合は、最大設定明度VAmaxの値を、拡大色空間での最大明度V
1−3+V
4とする。そして、信号処理部20は、パネル平均入力値I
AVがI
AV2からI
AV1へ小さくなるに従って、最大設定明度VAmaxの値を、最大明度V
1−3から最大明度V
1−3+V
4に向かって大きくする。すなわち、表示装置10は、全体的に明るい画像である場合には、画素毎の明度差が広がることを抑制し、全体的に暗い画像である場合には、画素毎の明度差を広げる。従って、表示装置10は、例えば全体的に明るい画像から全体的に暗い画像に切り替わった場合に、画像をより鮮明に表示することができる。
【0105】
さらに、信号処理部20は、設定明度VA
(p,q)が入力信号値の上昇に従って、最大設定明度VAmaxまで上昇するように、画素48毎に入力伸長係数α
(p,q)を決定する。表示装置10は、入力信号に応じて、表示する色の明度を設定明度VAmaxまで上昇するように変化させるため、適切にダイナミックレンジを広げて画像のコントラストを向上させることができる。
【0106】
なお、最大設定明度VAmaxは、拡大色空間内で表現可能な明度であり、式(3)に従って算出される。また、設定明度VA
(p,q)は、例えば式(6)のように算出される。そのため、最大設定明度VAmaxは、拡大色空間で再現可能な入力伸長信号値の上限値と言い換えることができる。また、設定明度VA
(p,q)は、画素48の入力伸長信号値と言い換えることができる。
【0107】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2に係る表示装置10aは、記憶する拡大色空間が、実施形態1に係る表示装置10とは異なる。実施形態2に係る表示装置10aは、その他の点で実施形態1に係る表示装置10と構成が共通するため、共通する箇所の説明を省略する。
【0108】
図16は、実施形態2に係る信号処理部の構成を示すブロック図である。
図16に示すように、実施形態2に係る信号処理部20aは、色データ算出部71a、拡大色空間記憶部73a及び最大設定明度算出部74aを有する。色データ算出部71aは、制御装置11から、入力信号が入力される。色データ算出部71aは、入力信号の入力値から、その入力信号が画素48に表示させようとする色の色相Hを算出する。色データ算出部71aは、算出した色相の値を、最大設定明度算出部74aに出力する。なお、色相Hは、次の式(20)により算出される。
【0110】
拡大色空間記憶部73aは、拡大色空間110aを記憶している。例えば、拡大色空間記憶部73aは、拡大色空間110aで再現可能な明度の上限値を、彩度及び色相の組み合わせ毎に記憶している。詳しくは後述するが、拡大色空間110aは、画像表示パネル40が表示可能な色の範囲を示す色空間であり、各副画素49の素子特性に基づいて決定される。拡大色空間記憶部73aは、例えば、実験データで算出された拡大色空間110aのデータが書き込まれたり、製品出荷時等に検査された各副画素49の素子特性に基づいて決定された拡大色空間110aのデータが書き込まれたりする。
【0111】
最大設定明度算出部74aは、拡大色空間記憶部73aから、色相Hの値に対応する拡大色空間110aのデータを読み出す。最大設定明度算出部74aは、色相Hの値に対応する拡大色空間110aのデータ及びパネル平均入力値I
AVから、1フレーム中の全画素48に対し、最大設定明度VAmaxを算出する。
【0112】
次に、実施形態2に係る拡大色空間110aについて説明する。まず、副画素49毎の明度の違いについて説明する。
【0113】
第1副画素49Rと第2副画素49Gと第3副画素49Bとは、表示する色及び点灯駆動回路の固体バラつき等の素子特性が異なるため、自身が表示する色の明度の表示可能な上限値が異なる。ここで、第1副画素49Rの赤色(第1色)の明度の表示可能な上限値を第1副画素最大明度とし、第2副画素49Gの緑色(第2色)の明度の表示可能な上限値を第2副画素最大明度とし、第3副画素49Bの青色(第3色)の明度の表示可能な上限値を第3副画素最大明度とする。すなわち、第1副画素最大明度、第2副画素最大明度及び第3副画素最大明度は、それぞれの副画素49に最大の階調値の出力信号が出力された場合に、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bが表示する色の明度である。
【0114】
実施形態1においては、第2副画素最大明度、第1副画素最大明度、第3副画素最大明度の順で、明度の値が大きい。すなわち、第2副画素49Gが表示可能な色の明度が最大で、第1副画素49Rが表示可能な色の明度がその次に大きく、第3副画素49Bが表示可能な色の明度が最小である。ただし、第1色、第2色、第3色は任意に設定することができるため、第1副画素最大明度、第2副画素最大明度、第3副画素最大明度の大小関係はこれに限られない。副画素49は、第3副画素最大明度が、第1副画素最大明度及び第2副画素最大明度のうち一方よりも小さい値であり、かつ、他方以下の値であれば、各副画素の表示色や構成等を任意に設定することができる。
【0115】
次に、実施形態1に係る拡大色空間110と実施形態2に係る拡大色空間110aとの違いについて説明する。上述のように、第1副画素49Rと第2副画素49Gと第3副画素49Bとは、素子特性が異なるため、第1副画素最大明度、第2副画素最大明度、第3副画素最大明度が異なる。そして、第3副画素最大明度は、第1副画素最大明度及び第2副画素最大明度よりも小さい。すなわち、同じ最大階調の入力信号値が入力されても、第3副画素49Bが表示する青色の明度は、第1副画素49R及び第2副画素49Gが表示する赤色及び緑色の明度より小さくなる。従って、例えば白色を表示させるために、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bのそれぞれに同じ最大階調の入力信号値を入力した場合、それぞれの色の明度が異なるため、白色からずれた色が表示される場合がある。そのため、通常、表示装置は、実施形態1に係る表示装置10のように、色バランスを保つため、第1副画素49R、第2副画素49Gの最大明度(表示可能な明度の上限値)を、第3副画素49Bの最大明度に合わせて制限を加える。この場合、第1副画素49R、第2副画素49Gの最大明度は、第3副画素49Bの第3副画素最大明度に合わせて制限されるため、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bの各色を組み合わせて表示する色は、色相に関わらず、表示可能な最大明度が、第3副画素最大明度となる。
【0116】
さらに、第4副画素49Wは、白色成分を加えることで、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bのみで色を表示する場合よりも、明度のダイナミックレンジを広げることができる。このように、第1副画素49R、第2副画素49Gの表示可能な最大明度が、第3副画素最大明度に合わせて制限されて、かつ、第4副画素49Wを加えることにより拡大された色空間が、基準色空間としての実施形態1に係る拡大色空間110である。言い換えれば、実施形態1に係る拡大色空間110は、第1副画素49R及び第2副画素49Gに、最大明度を第3副画素最大明度までに制限した色を表示させるための出力信号を出力し、第3副画素49Bに、第3副画素最大明度の色を表示させるための出力信号を出力し、第4副画素49Wに、第4副画素最大明度の色を表示させるための出力信号を出力した場合における、第1色(赤色)、第2色(緑色)、第3色(青色)、第4色(白色)で再現できる色空間である。実施形態1に係る表示装置10は、入力伸長信号を生成することで、この拡大色空間110の範囲で、色を表示する。なお、実施形態1に係る拡大色空間110における彩度と明度との関係は、色相によらず同じである。
【0117】
一方、実施形態2に係る拡大色空間110aは、第1副画素49R及び第2副画素49Gの最大明度に制限をかけない色空間である。
図17は、第1色、第2色、第3色の色相における、拡大色空間の彩度と明度との関係を示す概念図である。
図18は、最大彩度における、拡大色空間の色相と明度との関係を示す概念図である。色相Hは、
図18に示すように、0°から360°で表される。0°から360°に向かって、赤(Red)、黄(Yellow)、緑(Green)、シアン(Cyan)、青(Blue)、マゼンタ(Magenta)、赤となる。実施形態2では、角度0°及び360°を含む領域が赤色となり、角度120°を含む領域が緑色となり、角度240°を含む領域が青色となる。
【0118】
図17の線分C1は、第1副画素49Rと第4副画素49Wによって、最大明度に制限を加えずに、第1色(赤色)の色相の色を表示させた場合における、彩度に応じた最大明度を示している。すなわち、線分C1は、入力信号を伸長することにより、第1副画素49Rに第1副画素最大明度の色を表示するための出力信号を出力し、第4副画素49Wに第4副画素最大明度の色を表示するための出力信号を出力した場合における、第1色(赤色)の色相で再現される色空間の上限値である。なお、線分C1は、色相が赤色であるため、色相Hは0°及び360°となる。
【0119】
図17の線分C2は、第2副画素49Gと第4副画素49Wによって、最大明度に制限を加えずに、第2色(緑色)の色相の色を表示させた場合における、彩度に応じた最大明度を示している。すなわち、線分C2は、入力信号を伸長することにより、第2副画素49Gに第2副画素最大明度の色を表示するための出力信号を出力し、第4副画素49Wに第4副画素最大明度の色を表示するための出力信号を出力した場合における、第2色(緑色)の色相で再現される色空間の上限値である。なお、線分C2は、色相が緑色であるため、色相Hは120°となる。
【0120】
図17の線分C3は、第3副画素49Bと第4副画素49Wによって、最大明度に制限を加えずに、第3色(青色)の色相の色を表示させた場合における、彩度に応じた最大明度を示している。すなわち、線分C3は、入力信号を伸長することにより、第3副画素49Bに第3副画素最大明度の色を表示するための出力信号を出力し、第4副画素49Wに第4副画素最大明度の色を表示するための出力信号を出力した場合における、第3色(青色)の色相で再現される色空間の上限値である。なお、線分C3は、色相が青色であるため、色相Hは240°となる。また、線分C3は、第3副画素最大明度に応じたものなので、実施形態1に係る拡大色空間110の最大明度を示す線分と同じものとなる。
【0121】
ここで、第1副画素最大明度をV
1とし、第2副画素最大明度をV
2とし、第3副画素最大明度をV
3とする。また、上述のように、第4副画素最大明度はV
4である。この場合、線分C1に示すように、明度を制限しない場合における第1色(例えば赤色)の色相での最大明度は、彩度0において、第3副画素最大明度V
3に第4副画素最大明度V
4を加えた明度V
3+V
4となる。この最大明度は、彩度0から彩度S
4までにおいて増加し、彩度S
4において、第1副画素最大明度V
1に第4副画素最大明度V
4を加えた明度V
1+V
4となり、彩度S
4から彩度S
1までにおいて明度V
1+V
4である。そして、この最大明度は、彩度S
1から彩度の最大値である彩度S
0に向かって、低下する。そして、この最大明度は、彩度S
0において、第1副画素最大明度V
1となる。なお、彩度S
1は、彩度S
3よりも大きい。
【0122】
線分C2に示すように、明度を制限しない場合における第2色(例えば、緑色)の色相での最大明度は、彩度0において、明度V
3+V
4となる。この最大明度は、彩度0から彩度S
5までにおいて増加し、彩度S
5において、第2副画素最大明度V
2に第4副画素最大明度V
4を加えた明度V
2+V
4となり、彩度S
5から彩度S
2までにおいて明度V
2+V
4である。そして、この最大明度は、彩度S
2から彩度の最大値である彩度S
0に向かって、低下する。そして、この最大明度は、彩度S
0において、第2副画素最大明度V
2となる。なお、彩度S
2は、彩度S
1よりも大きい。また、彩度S
5は、彩度S
4よりも大きい。
【0123】
線分C3に示すように、明度を制限しない場合における第3色(例えば、青色)の色相での拡大色空間最大明度Vmax(S)は、彩度0から彩度S
3までにおいて、明度V
3+V
4である。そして、この拡大色空間最大明度Vmax(S)は、彩度S
3から彩度の最大値である彩度S
0に向かって、低下する。そして、この拡大色空間最大明度Vmax(S)は、彩度S
0において、第3副画素最大明度V
3となる。なお、上述のように、線分C3は、実施形態1に係る拡大色空間110の最大明度を示す線分と同じである。従って、明度を制限しない場合における第3色(青色)の色相での拡大色空間最大明度Vmax(S)は、拡大色空間110における拡大色空間最大明度Vmax(S)と同じとなる。すなわち、彩度S
3は、拡大色空間110での彩度Sxであり、第3副画素最大明度V
3は、拡大色空間110での最大明度V
1−3である。なお、線分C1、C2、C3は一例であり、各副画素が表示する色等によって異なるものとなる。
【0124】
拡大色空間記憶部73aは、線分C1に示すような、最大明度に制限を加えずに、第1色(例えば、赤色)の色相の色を表示させた場合における、彩度に応じた拡大色空間最大明度Vmax(S)の値を記憶する。また、拡大色空間記憶部73aは、線分C2に示すような、最大明度に制限を加えずに、第2色(例えば、緑色)の色相の色を表示させた場合における、彩度に応じた拡大色空間最大明度Vmax(S)の値を記憶する。また、拡大色空間記憶部73aは、線分C3に示すような、最大明度に制限を加えずに、第3色(例えば、青色)の色相の色を表示させた場合における、彩度に応じた拡大色空間最大明度Vmax(S)の値を記憶する。拡大色空間記憶部73aは、実験データで算出されたこれらのデータが書き込まれたり、製品出荷時等の検査により算出されたこれらのデータが書き込まれたりすることにより、第1色、第2色、第3色の色相における彩度に応じた拡大色空間最大明度Vmax(S)の値を記憶する。そして、拡大色空間記憶部73aは、第1色、第2色、第3色の色相における彩度に応じた最大明度の値を組み合わせて、各色相における彩度に応じた最大明度の値を算出し、その最大明度内の色空間を、拡大色空間110aとして記憶する。
【0125】
図18は、拡大色空間110aにおいて、最大彩度S
0での、色相に応じた拡大色空間最大明度Vmax(S)の値を示している。
図18の横軸は色相H(°)であり、縦軸は最大明度Vmaxである。第1副画素49Rは、色相0°又は360°の赤色(R)を表示するため、色相0°又は360°での拡大色空間最大明度Vmax(S)は、第1副画素最大明度V
1となっている。また、第2副画素49Gは、色相120°の緑色(G)を表示するため、色相120°での拡大色空間最大明度Vmax(S)は、第2副画素最大明度V
2となっている。また、第3副画素49Bは、色相240°の青色(B)を表示するため、色相240°での拡大色空間最大明度Vmax(S)は、第3副画素最大明度V
3となっている。すなわち、拡大色空間においては、色相に応じて拡大色空間最大明度Vmax(S)が変化する。
【0126】
色相が0°(赤色)から120°(緑色)までの間の拡大色空間最大明度Vmax(S)は、第1副画素最大明度V
1以上第2副画素最大明度V
2以下となっている。また、色相が120°(緑色)から240°(青色)までの間の拡大色空間最大明度Vmax(S)は、第2副画素最大明度V
2以下第3副画素最大明度V
3以上となっている。さらに、また、色相が240°(青色)から360°(赤色)までの間の拡大色空間最大明度Vmax(S)は、第3副画素最大明度V
3以上第1副画素最大明度V
1以下となっている。
【0127】
さらに、拡大色空間110aにおいては、色相Hに応じて拡大色空間最大明度Vmax(S)が段階的に変化する。より詳しくは、ここで、色相0°から色相120°までの間の所定の色相を色相H11とする。また、色相H11から色相120°までの間の所定の色相を色相H12とする。また、色相120°から色相240°までの間の所定の色相を色相H13とする。また、色相H13から色相240°までの間の所定の色相を色相H14とする。また、色相240°から色相360°までの間の所定の色相を色相H15とする。また、色相H15から色相360°までの間の所定の色相を色相H16とする。例えば、色相H13は、第1中間色での色相であり、色相H14は、第2中間色での色相である。
【0128】
拡大色空間110aは、色相0°から色相H11までの間の色相において、最大彩度S
0における拡大色空間最大明度Vmax(S)が、第1副画素最大明度V
1である。また、拡大色空間110aは、色相H11から色相H12までの間の色相において、最大彩度S
0における拡大色空間最大明度Vmax(S)が、色相のH11からH12までの変化に応じて、第1副画素最大明度V
1から第2副画素最大明度V
2まで、直線的に増加している。また、拡大色空間110aは、色相H12から色相120°を経て、色相H13までの間の色相において、最大彩度S
0における拡大色空間最大明度Vmax(S)が、第2副画素最大明度V
2である。
【0129】
また、拡大色空間110aは、色相H13から色相H14までの色相において、最大彩度S
0における拡大色空間最大明度Vmax(S)が、色相のH13からH14までの変化に応じて、第2副画素最大明度V
2から第3副画素最大明度V
3まで、直線的に低下している。また、拡大色空間110aは、色相H14から色相240°を経て、色相H15までの間の色相において、最大彩度S
0における拡大色空間最大明度Vmax(S)が、第3副画素最大明度V
3である。
【0130】
また、拡大色空間110aは、色相H15から色相H16までの色相において、最大彩度S
0における拡大色空間最大明度Vmax(S)が、色相のH15からH16までの変化に応じて、第3副画素最大明度V
3から第1副画素最大明度V
1まで、直線的に増加している。また、拡大色空間110aは、色相H16から色相360°までの間の色相において、最大彩度S
0における拡大色空間最大明度Vmax(S)が、第1副画素最大明度V
1である。
【0131】
なお、拡大色空間記憶部73aは、色相H11、H12、H13、H14、H15、H16を、書き込まれた第1色、第2色、第3色の色相における彩度Sに応じた拡大色空間最大明度Vmax(S)の値に基づいて決定する。
【0132】
拡大色空間110aは、彩度Sが最大彩度S
0から小さくなるにつれ、色相毎に線分C1、C2及びC3に従って、拡大色空間最大明度Vmax(S)が上昇する。すなわち、拡大色空間110aは、拡大色空間110と同様の高さV
1−3(V
3)の円柱形状の色空間に、彩度Sが高くなるほど明度Vの拡大色空間最大明度Vmax(S)が低くなる略台形形状の一部を、色相Hに応じて欠けさせた形状の色空間を加えたものとなる。拡大色空間記憶部73aは、第1色、第2色及び第3色の色相における彩度に応じた拡大色空間最大明度Vmax(S)の値に基づいて、以上説明した拡大色空間110aを導出して記憶する。実施形態2に係る表示装置10aは、入力信号を伸長することで、再現可能な色空間を、拡大色空間110aの一部の円柱形状の色空間から、拡大色空間110aの全体に広げて、色を表示する。
【0133】
最大設定明度算出部74aは、拡大色空間記憶部73aから、以上説明した拡大色空間110aのデータを読み出す。最大設定明度算出部74aは、画素48の色相Hの値に対応する拡大色空間110aのデータ及びパネル平均入力値I
AVから、1フレーム中の全画素48に対し、最大設定明度VAmaxを算出する。実施形態2に係る信号処理部20aは、以降の入力伸長信号及び出力信号の算出処理は、実施形態1と同じである。
【0134】
このように、実施形態2に係る表示装置10aは、第1副画素49R及び第2副画素49Gの明度に制限を加えず、最大設定明度VAmaxを、拡大色空間110aの表示可能な明度の範囲内で、かつ、パネル平均入力値I
AVが小さくなるに従って、大きくなるように決定する。ここで、拡大色空間110aは、第1副画素49Rに第1副画素最大明度V
1の色を表示させ、第2副画素49Gに第2副画素最大明度V
2の色を表示させ、第3副画素49Bに第3副画素最大明度V
3の色を表示させた場合における第1色、第2色及び第3色で再現される色空間である。すなわち、拡大色空間110aは、実施形態1に係る拡大色空間110よりも高い明度の色を再現可能な色空間である。従って、実施形態2に係る表示装置10aは、1フレーム中の画素毎の明度差をより適切に大きくすることができ、より適切に画像のコントラストを向上させることができる。
【0135】
なお、実施形態2において、表示装置10aは、最大明度の白色を表示しようとする場合、
図17に示すように、彩度Sは0であり、明度Vは最大明度が明度V
3+V
4にプロットされる白色を表示する。この場合、各副画素49の入力信号は、最大階調の信号値であり、さらに、最大限まで伸長を行っている。しかし、例えば、表示装置10aは、設定により、白色の最大明度に制限を掛ける場合がある。
図19は、最大明度に制限をかけた場合の色空間を説明する概念図である。
図19に示すように、表示装置10aは、白色の最大明度がV
3+V
4より小さいV
5となるように、最大明度に制限を掛けている。この場合、表示装置10aは、信号処理部20aにより、最大明度の白色を表示する場合、最大階調の入力信号値を最大限に伸長した出力信号値に対し、白色の最大明度がV
5となるように制限を加えた規定出力信号を生成する。
【0136】
しかし、表示装置10aは、このような場合においても、白色以外の色を表示する場合は、設定明度VA
(p,q)を、拡大色空間内であってV
5以上の明度に伸長することができる。このような場合、第1副画素49R及び第2副画素49Gに加え、第3副画素49Bも、設定された明度V
5以上に、明度を伸長することが可能となる。
【0137】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について説明する。実施形態3に係る表示装置10bは、画素が第4副画素を含まず、第1副画素、第2副画素及び第3副画素で構成されている点で、実施形態2に係る表示装置10aとは異なる。実施形態3に係る表示装置10bは、その他の点で実施形態2に係る表示装置10aと構成が共通するため、共通する箇所の説明を省略する。
【0138】
図20は、実施形態3に係る画像表示パネルの副画素の配列を示す図である。
図20に示すように、実施形態3に係る画像表示パネル40bが有する画素48bは、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとを有する。実施形態3に係る画像表示パネル40bは、第4副画素49Wを有さない。
【0139】
図21は、実施形態3に係る信号処理部の構成を示すブロック図である。
図21に示すように、実施形態3に係る信号処理部20bは、
図16に示す実施形態2に係る信号処理部20aに対し、W変換処理部を有さない。信号処理部20bは、赤色、緑色、青色の色を組み合わせて表示させる入力信号の入力値を、赤色、緑色、青色及び白色の信号値に変換せず、そのまま赤色、緑色、青色の信号値として出力する。すなわち、信号処理部20bは、入力伸長信号にW変換を加えず、入力伸長信号をそのまま出力信号とする。
【0140】
次に、実施形態3に係る信号処理部20bが記憶する拡大色空間110bについて説明する。
図22は、実施形態3における拡大色空間の色相と明度との関係を示す概念図である。第4副画素49Wの白色成分が加わらない場合、実施形態3における基準色空間100bは、実施形態1における基準色空間100と同様に、円柱形状のHSV色空間となる。すなわち、基準色空間100bは、
図22の線分C0bで示す拡大色空間最大明度Vmax(S)内の色空間となる。線分C0bが示すように、この場合の基準色空間100bは、彩度Sによらず、拡大色空間最大明度Vmax(S)が第3副画素最大明度V
3となる。
【0141】
図22の線分C1bは、第1副画素49Rのみによって、拡大色空間最大明度Vmax(S)に制限を加えずに、第1色(例えば、赤色)の色相の色を表示させた場合における、彩度に応じた拡大色空間最大明度Vmax(S)を示している。すなわち、線分C1bは、入力信号を伸長することにより、第1副画素49Rに第1副画素最大明度V
1の色を表示するための出力信号を出力した場合における、第1色(例えば、赤色)の色相で再現される色空間の上限値である。
【0142】
図22の線分C2bは、第2副画素49Gのみによって、拡大色空間最大明度Vmax(S)に制限を加えずに、第2色(例えば、緑色)の色相の色を表示させた場合における、彩度に応じた拡大色空間最大明度Vmax(S)を示している。すなわち、線分C2bは、入力信号を伸長することにより、第2副画素49Gに第2副画素最大明度V
2の色を表示するための出力信号を出力した場合における、第2色(例えば、緑色)の色相で再現される色空間の上限値である。
【0143】
図22の線分C3bは、第3副画素49Bのみによって、拡大色空間最大明度Vmax(S)に制限を加えずに、第3色(例えば、青色)の色相の色を表示させた場合における、彩度に応じた拡大色空間最大明度Vmax(S)を示している。すなわち、線分C3bは、第3副画素49Bに第3副画素最大明度V
3の色を表示するための出力信号を出力した場合における、第3色(例えば、青色)の色相で再現される色空間の上限値である。また、線分C3bは、第3副画素最大明度V
3に応じたものなので、基準色空間100bの線分C0bと同じものとなる。
【0144】
線分C1bに示すように、明度を制限しない場合における第1色(例えば、赤色)の色相での拡大色空間最大明度Vmax(S)は、彩度S
0から彩度S
1bまでにおいて、第1副画素最大明度V
1である。そして、この拡大色空間最大明度Vmax(S)は、彩度S
1bから彩度0に彩度の低下に応じて、低下する。この拡大色空間最大明度Vmax(S)は、彩度0において、第3副画素最大明度V
3となる。
【0145】
線分C2bに示すように、明度を制限しない場合における第2色(例えば、緑色)の色相での拡大色空間最大明度Vmax(S)は、彩度S
0から彩度S
2bまでにおいて、第2副画素最大明度V
2である。そして、この拡大色空間最大明度Vmax(S)は、彩度S
2bから彩度0に彩度の低下に応じて、低下する。この拡大色空間最大明度Vmax(S)は、彩度0において、第3副画素最大明度V
3となる。
【0146】
上述のように、線分C3bは、線分C0bと同じ値をとる。従って、明度を制限しない場合における第3色(例えば、青色)の色相での最大明度は、基準色空間100bにおける拡大色空間最大明度Vmax(S)と同じとなる。なお、線分C1b、C2b、C3bは一例であり、各副画素が表示する色等によって異なるものとなる。
【0147】
実施形態3に係る拡大色空間110bにおいても、彩度S
0における第1色、第2色、第3色の色相での最大明度は、実施形態2に係る拡大色空間110aと同じ値である。従って、彩度S
0における色相毎の彩度と最大明度との関係は、実施形態2と同様に、
図18に示すものとなる。実施形態3に係る拡大色空間記憶部73aは、
図22に示すような第1色、第2色、第3色の色相における彩度に応じた拡大色空間最大明度Vmax(S)の値を組み合わせて、各色相における彩度に応じた拡大色空間最大明度Vmax(S)の値を算出し、その最大明度内の色空間を、拡大色空間110bとして記憶する。
【0148】
実施形態3に係る表示装置10bは、画像表示パネル40bに表示させる色を、このような拡大色空間110b内で再現可能な色に伸長することができる。表示装置10bの信号処理部20bは、画像表示パネル40bに表示させる色を拡大色空間110b内で再現可能な色に伸長するために、実施形態2に係る信号処理部20aの処理と同様の処理を行う。ただし、信号処理部20bは、第4副画素49Wの出力信号については、生成しない。
【0149】
このように、実施形態3に係る表示装置10bは、第1副画素49R及び第2副画素49Gの明度に制限を加えず、最大設定明度VAmaxを、拡大色空間110bの表示可能な明度の範囲内で、かつ、パネル平均入力値I
AVが小さくなるに従って、大きくなるように決定する。ここで、拡大色空間110bは、基準色空間100bよりも高い明度の色を再現可能な色空間である。従って、実施形態3に係る表示装置10bは、1フレーム中の画素毎の明度差を大きくすることができ、適切に画像のコントラストを向上させることができる。
【0150】
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4について説明する。実施形態4に係る表示装置10cは、最大入力信号値Max
(p,q)と設定明度VA
(p,q)との関係(設定明度データ)が、実施形態1とは異なる。実施形態4に係る表示装置10cは、その他の点で実施形態1に係る表示装置10と構成が共通するため、共通する箇所の説明を省略する。
【0151】
図23から
図27は、実施形態3に係る入力信号の信号値と設定明度との関係の一例を示すグラフである。最大入力信号値Max
(p,q)と設定明度VA
(p,q)との関係は、設定明度VA
(p,q)が入力信号値の上昇に従って上昇するものであれば、実施形態1で示したものに限られず任意に設定することができる。例えば
図23の線分L1cに示すように、実施形態4においては、設定明度VA
(p,q)の明度上昇の割合が、入力信号の入力値の上昇、言い換えれば最大入力信号値Max
(p,q)の上昇に従って上昇している。この場合、入力信号の入力値による設定明度VA
(p,q)の変化率が大きくなるため、1フレーム中の画素毎の明度差をより適切に大きくすることができ、適切に画像のコントラストを向上させることができる。
【0152】
また、例えば
図24に示すように、最大入力信号値Max
(p,q)が0からIdまで上昇する場合は、線分L0に従って設定明度VA
(p,q)を上昇させ、最大入力信号値Max
(p,q)がIdから255まで上昇する場合は、線分L1dに従って上昇させてもよい。ここで、最大入力信号値のIdは、0より大きく255より小されば、任意に設定することができる。また、線分L1dは、設定明度VA
(p,q)の明度上昇の割合が、入力信号の入力値の上昇(最大入力信号値Max
(p,q)の上昇)に従って上昇している。すなわち、設定明度VA
(p,q)は、最大入力信号値Max
(p,q)が0からIdまで上昇する場合は、明度上昇の割合が一定であり、最大入力信号値Max
(p,q)がIdから255まで上昇する場合は、明度上昇の割合が、入力信号の入力値の上昇(最大入力信号値Max
(p,q)の上昇)に従って上昇するものであってもよい。この場合、最大入力信号値Max
(p,q)が小さい場合は設定明度VA
(p,q)をより低く抑え、最大入力信号値Max
(p,q)が大きい場合に設定明度VA
(p,q)を大きくすることができる。従って、この場合、1フレーム中の画素毎の明度差をより適切に大きくすることができ、適切に画像のコントラストを向上させることができる。
【0153】
また、例えば
図25の線分L1eに示すように、最大入力信号値Max
(p,q)がIe1以下である場合は、設定明度VA
(p,q)を、線分L0に従って表示される色の明度以下の値とし、最大入力信号値Max
(p,q)がIe1より大きい値である場合は、設定明度VA
(p,q)を、線分L0に従って表示される色の明度以上の値としてもよい。この場合においても、線分L1eに示すように、設定明度VA
(p,q)が入力信号値の上昇に従って上昇する。また、線分L1eは、最大入力信号値Max
(p,q)が0の場合、設定明度VA
(p,q)が0であり、最大入力信号値Max
(p,q)が255の場合、設定明度VA
(p,q)が最大明度V
1−3+V
4である。また、線分L1eは、最大入力信号値Max
(p,q)がIe2以上である場合、設定明度VA
(p,q)が線分L1に従って表示される色の明度以上の値となっている。すなわち、線分L1eは、最大入力信号値Max
(p,q)がIe1において下に凸となり、最大入力信号値Max
(p,q)がIe2において上に凸となるS字型のカーブとなっている。
【0154】
この場合、最大入力信号値Max
(p,q)が小さい場合は設定明度VA
(p,q)をより低く抑え、最大入力信号値Max
(p,q)が大きい場合に設定明度VA
(p,q)を大きくすることができる。従って、この場合、1フレーム中の画素毎の明度差をより適切に大きくすることができ、適切に画像のコントラストを向上させることができる。なお、最大入力信号値のIe1及びIe2は、0より大きく255より小さければ、任意に設定することができる。
【0155】
また、設定明度VA
(p,q)は、最大入力信号値Max
(p,q)がIe1以下である場合は、線分L0に従って表示される色の明度以下の値とし、最大入力信号値Max
(p,q)がIe1より大きい値である場合は、線分L0に従って表示される色の明度以上の値となるものであれば、線分L1eのような関係に限られない。線分L1eは、最大入力信号値Max
(p,q)に応じて曲線的に変化しているが、例えば変曲点を持って直線状に変化していてもよい。また、例えば、
図26の線分L1fに示すように、設定明度VA
(p,q)は、線分L1に従って表示される色の明度以下の値となっており、線分L1に従って表示される色の明度より大きい値になっていなくてもよい。線分L1fは、下に凸を有する形状であり、ディスプレイのガンマカーブに対応した形状となっている。これらの場合においても、1フレーム中の画素毎の明度差をより適切に大きくすることができ、適切に画像のコントラストを向上させることができる。
【0156】
また、例えば
図27の線分L1gに示すように、設定明度VA
(p,q)は、最大入力信号値Max
(p,q)が最大値である255より小さい所定の値であるIg以上の値である場合において、最大明度V
1−3+V
4となってもよい。この場合、例えば線分L1と比較して、最大入力信号値Max
(p,q)の上昇に応じた設定明度VA
(p,q)の明度上昇の割合を大きくすることができる。従って、この場合においても、1フレーム中の画素毎の明度差をより適切に大きくすることができ、適切に画像のコントラストを向上させることができる。
【0157】
このように、最大入力信号値Max
(p,q)と設定明度VA
(p,q)との関係は、設定明度VA
(p,q)が入力信号値の上昇に従って上昇するものであれば、任意に設定することができる。表示装置10cは、表示する色の明度がこのようにして算出された設定明度VA
(p,q)となるように、入力伸長係数αを決定する。
【0158】
また、例えば画素48の彩度Sが大きく、表示可能な最大明度である修正最大設定明度VAmax1
(p,q)が低い場合、設定明度VA
(p,q)も低くなる可能性がある。この場合、表示装置10cは、画素48の彩度Sの値を小さく変換して修正最大設定明度VAmax1
(p,q)を大きくすることにより、設定明度VA
(p,q)を大きくしてもよい。
図28は、拡大色空間の概念図である。
図28に示すように、所定の入力信号xh1が入力される画素48は、入力信号xh1に基づく彩度がS
0である場合、修正最大設定明度VAmax1
(p,q)が、最大明度V
1−3となる。この場合、表示装置10cは、例えば、この画素48の入力信号xh1を、彩度がS
0より低い彩度S
hである変換入力信号xh2に変換してもよい。変換入力信号xh2における彩度S
hでは、修正最大設定明度VAmax1
(p,q)が、最大明度V
1−3より大きいV
hとなる。表示装置10cは、この変換入力信号xh2に基づき修正最大設定明度VAmax1
(p,q)を決定して、修正最大設定明度VAmax1
(p,q)を大きくする。この場合、設定明度VA
(p,q)を大きくすることができるため、1フレーム中の画素毎の明度差をより適切に大きくすることができ、適切に画像のコントラストを向上させることができる。
【0159】
(変形例)
次に、実施形態1の変形例について説明する。実施形態1においては、信号処理部20は、各副画素の出力信号を、式(14)及び式(17)から式(19)により算出していた。すなわち、実施形態1では、信号処理部20は、各画素の入力信号を入力伸長係数α
(p,q)により伸長して入力伸長信号を生成し、入力伸長信号に伸長処理を行うことなく、出力信号を生成していた。しかし、変形例に係る信号処理部20dは、以下に示すように、各副画素の入力信号の信号値を小さくして補正入力信号を生成し、補正入力信号を入力伸長係数α
(p,q)により伸長して補正入力伸長信号を生成し、補正入力信号に再度伸長処理を行うことで、出力信号を生成する。
【0160】
具体的には、信号処理部20dは、第1副画素の入力信号x
1−(p,q)と補正係数α
maxとに基づき、第1副画素の補正入力信号xB
1−(p,q)を算出する。同様に、信号処理部20dは、第2副画素の入力信号x
2−(p,q)と補正係数α
maxとに基づき、第2副画素の補正入力信号xB
2−(p,q)を算出する。同様に、信号処理部20dは、第3副画素の入力信号x
3−(p,q)と補正係数α
maxとに基づき、第3副画素の補正入力信号xB
3−(p,q)を算出する。具体的には、信号処理部20dは、次の式(21)から式(23)に基づき、各副画素の補正入力信号を生成する。
【0161】
xB
1−(p,q)=x
1−(p,q)/α
max ・・・(21)
xB
2−(p,q)=x
2−(p,q)/α
max ・・・(22)
xB
3−(p,q)=x
3−(p,q)/α
max ・・・(23)
【0162】
ここで、補正係数α
maxは、入力信号の信号値を小さくするために設定される係数であり、すなわち1より大きい値である。従って、各副画素の補正入力信号の信号値は、入力信号の信号値よりも小さくなる。本変形例において、補正係数α
maxは、入力伸長係数α
(p,q)が取り得る最大値以上の値として設定される。例えば、補正係数α
maxは、1+χである。信号処理部20dは、補正係数α
maxを、あらかじめ定められた係数として記憶している。
【0163】
次に、信号処理部20dは、第1副画素の補正入力信号xB
1−(p,q)と入力伸長係数α
(p,q)とに基づき、第1副画素の補正入力伸長信号xC
1−(p,q)を算出する。同様に、信号処理部20dは、第2副画素の補正入力信号xB
2−(p,q)と入力伸長係数α
(p,q)とに基づき、第2副画素の補正入力伸長信号xC
2−(p,q)を算出する。同様に、信号処理部20dは、第3副画素の補正入力信号xB
3−(p,q)と入力伸長係数α
(p,q)とに基づき、第3副画素の補正入力伸長信号xC
3−(p,q)を算出する。具体的には、信号処理部20dは、次の式(24)から式(26)に基づき、各副画素の補正入力伸長信号を生成する。
【0164】
xC
1−(p,q)=α
(p,q)・xB
1−(p,q) ・・・(24)
xC
2−(p,q)=α
(p,q)・xB
2−(p,q) ・・・(25)
xC
3−(p,q)=α
(p,q)・xB
3−(p,q) ・・・(26)
【0165】
本変形例において、補正係数α
maxは、入力伸長係数α
(p,q)が取り得る最大値以上の値である。従って、各副画素の補正入力伸長信号の信号値は、入力信号の最大信号値(ここでは255)以下の値となる。
【0166】
次に、信号処理部20dは、第1副画素の補正入力伸長信号xC
1−(p,q)、第2副画素の補正入力伸長信号xC
2−(p,q)、第3副画素の補正入力伸長信号xC
3−(p,q)、及び補正係数α
maxに基づき、第4副画素の出力信号X
4−(p,q)を算出する。具体的には、信号処理部20dは、次の式(27)に基づき、第4副画素の出力信号X
4−(p,q)を算出する。
【0167】
X
4−(p,q)=α
max・MinC
(p,q)/χ・・・(27)
【0168】
なお、MinC
(p,q)は、(xC
1−(p,q)、xC
2−(p,q)、xC
3−(p,q))の3個の副画素49の補正入力伸長信号値の最小値である。
【0169】
また、信号処理部20dは、第1副画素の補正入力伸長信号xC
1−(p,q)、第4副画素の出力信号X
4−(p,q)、及び補正係数α
maxに基づき、第1副画素の出力信号X
1−(p,q)を算出する。同様に、信号処理部20dは、第2副画素の補正入力伸長信号xC
2−(p,q)、第4副画素の出力信号X
4−(p,q)、及び補正係数α
maxに基づき、第2副画素の出力信号X
2−(p,q)を算出する。同様に、信号処理部20dは、第3副画素の補正入力伸長信号xC
3−(p,q)、第4副画素の出力信号X
4−(p,q)、及び補正係数α
maxに基づき、第3副画素の出力信号X
3−(p,q)を算出する。具体的には、信号処理部20dは、次の式(28)から式(30)に基づき、第1副画素、第2副画素及び第3副画素の出力信号を算出する。
【0170】
X
1−(p,q)=α
max・xC
1−(p,q)−χ・X
4−(p,q)・・・(28)
X
2−(p,q)=α
max・xC
2−(p,q)−χ・X
4−(p,q)・・・(29)
X
3−(p,q)=α
max・xC
3−(p,q)−χ・X
4−(p,q)・・・(30)
【0171】
以上のように、信号処理部20dは、第1副画素、第2副画素及び第3副画素の入力信号を補正係数α
maxで除して、補正入力信号を生成する。そして、信号処理部20dは、第1副画素、第2副画素、及び第3副画素の補正入力信号に入力伸長係数α
(p,q)を乗じて伸長し、補正入力伸長信号を生成する。そして、信号処理部20dは、第1副画素、第2副画素、及び第3副画素の補正入力伸長信号に、補正係数α
maxを乗じることにより再度伸長して、第1副画素、第2副画素、第3副画素、及び第4副画素の出力信号を生成する。変形例において、信号処理部20dは、入力信号を補正係数α
maxで除して、その後補正係数α
maxを乗じるため、出力信号の信号値は、実施形態1と同じ値となる。従って、変形例のような処理を行っても、信号処理部20dは、画像のコントラストを適切に向上させることができる。
【0172】
さらに、信号処理部20dは、第4副画素の信号算出処理の前においては、入力信号と補正入力信号とを処理する。上述のように、補正入力信号は、入力信号を補正係数α
maxで除した値であるため、入力信号の最大階調値(ここでは255)以下の信号値となる。従って、信号処理部20dは、第4副画素の信号算出処理の前においては、取り扱う信号値が、入力信号の最大階調値(ここでは255)以下となる。そのため、信号処理部20dは、第4副画素の信号算出処理の前において、取り扱う信号の階調値が大きくなることを抑制し、回路規模が大きくなることを抑制することができる。
【0173】
(適用例)
次に、
図29及び
図30を参照して、実施形態1で説明した表示装置10の適用例について説明する。
図29及び
図30は、実施形態1に係る表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。実施形態1に係る表示装置10は、
図29に示すカーナビゲーションシステム、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、
図30に示す携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、実施形態1に係る表示装置10は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。電子機器は、表示装置に映像信号を供給し、表示装置の動作を制御する制御装置11(
図1参照)を備える。なお、本適用例は、実施形態1に係る表示装置10以外でも、以上説明した他の実施形態、変形例に係る表示装置にも適用できる。
【0174】
図29に示す電子機器は、実施形態1に係る表示装置10が適用されるカーナビゲーション装置である。表示装置10は、自動車の車内のダッシュボード300に設置される。具体的にはダッシュボード300の運転席311と助手席312の間に設置される。カーナビゲーション装置の表示装置10は、ナビゲーション表示、音楽操作画面の表示、又は、映画再生表示等に利用される。
【0175】
図30に示す電子機器は、実施形態1に係る表示装置10が適用される携帯型コンピュータ、多機能な携帯電話、音声通話可能な携帯コンピュータまたは通信可能な携帯コンピュータとして動作し、いわゆるスマートフォン、タブレット端末と呼ばれることもある、情報携帯端末である。この情報携帯端末は、例えば筐体562の表面に表示部561を有している。この表示部561は、実施形態1に係る表示装置10と外部近接物体を検出可能なタッチ検出(いわゆるタッチパネル)機能とを備えている。
【0176】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態の内容によりこれらの実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。