特許第6450322号(P6450322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6450322運動シミュレータ用リニアアクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6450322
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】運動シミュレータ用リニアアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20181220BHJP
   F16D 3/68 20060101ALI20181220BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20181220BHJP
   A63F 13/28 20140101ALI20181220BHJP
   G09B 9/12 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   F16H25/20 B
   F16D3/68
   H02K7/06 A
   A63F13/28
   G09B9/12
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-545495(P2015-545495)
(86)(22)【出願日】2013年12月2日
(65)【公表番号】特表2016-505774(P2016-505774A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】US2013072605
(87)【国際公開番号】WO2014085803
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年10月6日
(31)【優先権主張番号】61/731,578
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507355157
【氏名又は名称】ディー−ボックス テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ルソー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ブーレ スティーヴ
(72)【発明者】
【氏名】セネカル ピエール
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−216280(JP,A)
【文献】 特開2005−261029(JP,A)
【文献】 特開2006−174690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/20
A63F 13/28
F16D 3/68
G09B 9/12
H02K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアアクチュエータであって、
両方向回転出力を生じさせるための出力シャフトを備えたモータと、
前記モータに近位端部のところで連結されたケーシングであって、前記ケーシングは、接合面を備えた内部キャビティを有し、前記ケーシングと、
前記ケーシングの前記内部キャビティ内に設けられたねじ山付きシャフトと、
前記内部キャビティ内に前記ケーシングの近位部分に隣接して設けられた少なくとも1つの軸受と、
前記モータの前記出力シャフトを前記ねじ山付きシャフトに結合するカップリング組立体であって、前記カップリング組立体は、前記モータからの前記回転出力を受け取る少なくとも第1のカップリングコンポーネント及び前記回転出力を前記ねじ山付きシャフトに伝達するよう前記第1のカップリングコンポーネントに結合された少なくとも第2のカップリングコンポーネントを含み、前記第1のカップリングコンポーネントと前記第2のカップリングコンポーネントとの間のカップリングの相当な部分が前記少なくとも1つの軸受の近位表面及び遠位表面によって画定された前記リニアアクチュエータの軸方向区分内に位置している、前記カップリング組立体と、
前記ケーシングの前記内部キャビティと摺動関係をなして配置されていて、前記ケーシングに対して並進運動を行う摺動管であって、前記摺動管の遠位端部のところに設けられていて、前記摺動管を運動プラットフォーム台座又は地面に固定する連結手段を有する、前記摺動管と、
前記摺動管に連結されていて前記摺動管と一緒に動くトラベリングナットであって、前記トラベリングナットは、前記ねじ山付きシャフトの回転運動を前記摺動管の並進に変換するよう前記ねじ山付きシャフトに作動的に係合している、前記トラベリングナットとを有する、リニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1のカップリングコンポーネントは、前記カップリング内に設けられた雄型コネクタを有し、前記第2のカップリングコンポーネントは、前記カップリング内に設けられた雌型コネクタである、請求項1記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記第2のカップリングコンポーネントは、前記ねじ山付きシャフトと共に回転するよう前記ねじ山付きシャフトの近位端部に連結されている、請求項1又は2記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
第2のカップリングコンポーネントは、円筒形ヘッドを有し、前記円筒形ヘッドの円筒形周囲は、前記軸受の内レースの表面に当接している、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記円筒形ヘッドは、近位側に開かれていて前記第1のカップリングコンポーネントの一部分を受け入れる内部キャビティを有する、請求項4記載のリニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記カップリングは、前記第1のカップリングコンポーネント内に設けられた1対のフィンガを含み、前記1対のフィンガは、前記内部キャビティ内に突き出ている、請求項5記載のリニアアクチュエータ。
【請求項7】
前記カップリングは、前記1対のフィンガと前記内部キャビティ内に設けられた1対の突起との間に十字形のインターフェースを含む、請求項6記載のリニアアクチュエータ。
【請求項8】
前記十字形インターフェースは、前記フィンガの硬度及び前記突起の硬度よりも低い硬度を有する、請求項7記載のリニアアクチュエータ。
【請求項9】
前記キャビティ及び前記フィンガの相当な部分が前記少なくとも1つの軸受の近位表面及び遠位表面によって画定された前記リニアアクチュエータの軸方向区分内に位置している、請求項6〜8のうちいずれか一に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項10】
前記円筒形ヘッドの遠位端部のところに設けられたフランジ及び前記円筒形ヘッドの近位端部に隣接して位置したチャネルを更に有し、保持リングが前記チャネル内に解除可能に受け入れられ、前記少なくとも1つの軸受は、前記フランジと前記保持リングとの間に保持されている、請求項4〜9のうちいずれか一に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項11】
前記円筒形ヘッドから遠位側に突き出た管状シャフト支持体を更に有し、前記管状シャフト支持体は、前記ねじ山付きシャフトの近位端部を受け入れる、請求項4〜10のうちいずれか一に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項12】
前記管状シャフト支持体を前記ねじ山付きシャフトの前記近位端部に回転可能にロックするピンを更に有する、請求項11記載のリニアアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、例えば、プラットホームの1人又は複数の乗員を一連のビデオ画像と同期して変位させる(位置をずらす)よう運動シミュレータに用いられ又は運動シミュレーションの際に用いられるリニアアクチュエータに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2012年11月30日に出願された米国特許仮出願第61/731,578号の優先権主張出願である。
【背景技術】
【0003】
ビデオ及びテレビ放映娯楽業界では、ビューワ又は視聴者の視聴して得られる実感又は体感を高めるための要求が増大している。したがって、視聴の際の画像及び音声を改良するための多くの革新的技術が登場している。運動シミュレーションも又、運動プラットホーム(例えば、シート(座席)、椅子)の運動を視聴の一連の画像と同期して生じさせるよう開発された。例えば、米国特許第6,585,515号明細書及び同第7,934,773号明細書は、運動をシートに与え、視聴して得られる実感又は体感を高めるよう創り出されたシステムの2つの例である。
【0004】
電気機械式リニアアクチュエータは、通常、かかる運動プラットホームで用いられている。これらリニアアクチュエータは、多数回のストロークについて低い又は中程度の振動数で低い及び中程度の振幅の出力を生じさせることができなければならない場合が多い。さらに、これらリニアアクチュエータは、プラットホーム及びその乗員の重量の一部分を支えなければならない。幾つかの要素、例えば駆動源付きシートでは、リニアアクチュエータは、シートと地面との間の空間が規格の範囲内にあるので、垂直寸法が制限される。その結果、これらリニアアクチュエータは、嵩張っていて故障しがちでありしかもストロークが制限される場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,585,515号明細書
【特許文献2】米国特許第7,934,773号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、先行技術と関連した問題に取り組むリニアアクチュエータを提供することにある。
【0007】
したがって、本発明によれば、リニアアクチュエータであって、リニアアクチュエータは、両方向回転出力を生じさせるための出力シャフトを備えたモータと、モータに近位端部のところで連結されたケーシングとを有し、ケーシングは、接合面を備えた内部キャビティを有し、リニアアクチュエータは、ケーシングの内部キャビティ内に設けられたねじ山付きシャフトと、内部キャビティ内にケーシングの近位部分に隣接して設けられた少なくとも1つの軸受と、モータの出力シャフトをねじ山付きシャフトに結合するカップリング組立体とを更に有し、カップリング組立体は、モータからの回転出力を受け取る少なくとも第1のカップリングコンポーネント及び回転出力をねじ山付きシャフトに伝達するよう第1のカップリングコンポーネントに結合された少なくとも第2のカップリングコンポーネントを含み、第1のカップリングコンポーネントと第2のカップリングコンポーネントとの間のカップリングの相当な部分が少なくとも1つの軸受の近位表面及び遠位表面によって画定されたリニアアクチュエータの軸方向区分内に位置し、リニアアクチュエータは更に、ケーシングの内部キャビティと摺動関係をなして配置されていて、ケーシングに対して並進運動を行う摺動管と、摺動管に連結されていて摺動管と一緒に動くトラベリングナットとを有し、トラベリングナットは、ねじ山付きシャフトの回転運動を摺動管の並進に変換するようねじ山付きシャフトに作動的に係合していることを特徴とするリニアアクチュエータが提供される。
【0008】
さらに本発明によれば、第1のカップリングコンポーネントは、カップリング内に設けられた雄型コネクタを有し、第2のカップリングコンポーネントは、カップリング内に設けられた雌型コネクタである。
【0009】
さらに又、本発明によれば、第2のカップリングコンポーネントは、ねじ山付きシャフトと共に回転するようねじ山付きシャフトの近位端部に連結されている。
【0010】
さらに又、本発明によれば、第2のカップリングコンポーネントは、円筒形ヘッドを有し、円筒形ヘッドの円筒形周囲は、軸受の内レースの表面に当接している。
【0011】
さらに又、本発明によれば、円筒形ヘッドは、近位側に開かれていて第1のカップリングコンポーネントの一部分を受け入れる内部キャビティを有する。
【0012】
さらに又、本発明によれば、カップリングは、第1のカップリングコンポーネント内に設けられた1対のフィンガを含み、1対のフィンガは、内部キャビティ内に突き出ている。
【0013】
さらに又、本発明によれば、カップリングは、1対のフィンガと内部キャビティ内に設けられた1対の突起との間に十字形のインターフェースを含む。
【0014】
さらに又、本発明によれば、十字形インターフェースは、フィンガの硬度及び突起の硬度よりも低い硬度を有する。
【0015】
さらに又、本発明によれば、キャビティ及びフィンガの相当な部分が少なくとも1つの軸受の近位表面及び遠位表面によって画定されたリニアアクチュエータの軸方向区分内に位置している。
【0016】
さらに又、本発明によれば、フランジが円筒形ヘッドの遠位端部のところに設けられると共にチャネルがフランジ及び円筒形ヘッドの近位端部に隣接して位置し、保持リングがチャネル内に解除可能に受け入れられ、少なくとも1つの軸受は、フランジと保持リングとの間に保持されている。
【0017】
さらに又、本発明によれば、管状シャフト支持体が円筒形ヘッドから遠位側に突き出ており、管状シャフト支持体は、ねじ山付きシャフトの近位端部を受け入れる。
【0018】
さらに又、本発明によれば、ピンが管状シャフト支持体をねじ山付きシャフトの近位端部に回転可能にロックする。
【0019】
さらに又、本発明によれば、摺動管を台座又は地面に固定するための連結手段が摺動管の遠位端部のところに設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の運動シミュレータ用リニアアクチュエータの分解組立て図である。
図2】引っ込み状態にある図1のリニアアクチュエータの部分断面図である。
図3図1のリニアアクチュエータの構造的群及び被動群の断面図である。
図4】伸長状態にある図1のリニアアクチュエータの部分断面図である。
図5図1のリニアアクチュエータの構造的群及び被動群の分解組立て図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照し、特に図1及び図2を参照すると、運動シミュレータに用いられる形式のリニアアクチュエータが符号10で示されている。リニアアクチュエータ10は、地面と運動プラットホーム(即ち、支持面、椅子、シート、フライトシミュレータ/コンパートメント等)との間に用いられて運動プラットホームを一連の画像及び音声、例えば映画、テレビ放映イベント、ビデオ、ビデオゲーム、シミュレーション、触覚イベント等の一部と同期して変位させるのに好適である。図示の実施形態のリニアアクチュエータ10は、運動コントローラ又は運動信号(例えば、メディアプレーヤ、Dシネマプロジェクタ、インターネット等)、即ち、実施されるべき特定の運動を表すコードの任意他の適当な且つ適応型の源によって駆動される電気機械式リニアアクチュエータである。運動信号は、リニアアクチュエータ10のモータを駆動するよう適当なフォーマットでリニアアクチュエータ10に送られる。一実施形態では、アクチュエータ10のうちの少なくとも2つは、シートを支持してこれを地面に対して変位させるよう同時に用いられる。したがって、リニアアクチュエータ10は、この軸方向に沿って並進出力を生じさせる。以下、軸方向に言及する場合、これは、別段の指定がなければ、リニアアクチュエータ10の長手方向軸線を意味している。
【0022】
リニアアクチュエータ10は、3つの群(即ち、3つの部分、3つのサブアセンブリ等)、即ち、モータ群(motor group )12、構造的群(structural group)14、及び被動群(driven group)16の組立体である。
【0023】
モータ群12は、運動信号を電気フォーマットで受け取り、そして受け取った運動信号に対応した回転運動を生じさせる。したがって、モータ群12は、運動信号の源又は同様な電子機器に接続されている。
【0024】
構造的群14は、被動群16を収容すると共にモータ群12を被動群16に作動的に連結している。さらに、構造的群14は、図示の実施形態の場合のように、リニアアクチュエータ10と運動プラットホームとの間のインターフェースであるのが良い。
【0025】
被動群16は、モータ群12からの回転運動を直線運動に変換し、この被動群は、リニアアクチュエータ10の出力である。被動群16は、図示の実施形態の場合のように、リニアアクチュエータ10と地面又は台座との間のインターフェースであるのが良い。
【0026】
モータ群12
【0027】
図1及び図2を参照すると、モータ群12のコンポーネントが詳細に示されている。分かりやすくする目的で、モータ群12のコンポーネントは、20〜25の符号が付けられている。
【0028】
モータ群12は、電気モータ20を含む。電気モータ20は、信号を電気運動信号に比例した回転出力でいずれかの円形方向にダイレクトドライブ方式で変換するよう電気運動信号を受け取る形式の両方向モータである。したがって、電気モータ20は、出力シャフト21を備えている。一例を挙げると、電気モータ20は、考えられるオプションのうちで、ダナハー(Danaher )モータである。この種の電気モータは、一例として提供されており、任意他の適当な形式のモータを使用することができる。出力シャフト21は、軸方向に突き出るのが良い。
【0029】
モータ20の本体は、出力シャフト21に隣接して位置する連結フランジ22を有している。連結フランジ22は、貫通ボア23(例えば、ねじ立て貫通ボア)を備え、締結具、例えばボルト(図示せず)、ワッシャ等がかかる貫通ボアを通って用いられてモータ20を構造的群14に連結することができる。任意適当な形式の連結手段をフランジ22及び締結具の代替手段として用いることができる。
【0030】
図示の実施形態では、カップリングコンポーネント、即ち、モータカプラ24が出力シャフト21と一体となるように(例えば、止めねじ等によって)出力シャフト21に連結されている。それ故、モータカプラ24は、出力シャフト21と一緒に回転する。モータカプラ24は、以下に説明するように被動群16に結合されるが、或いは、変形例として、被動群16の一部であっても良い。カプラ24は、結合のため、軸方向に突き出た1対のフィンガ25を有している。フィンガ25は、カプラ24を被動群16に結合する上で考えられる一形態である。
【0031】
構造的群14
【0032】
図1図5を参照すると、構造的群14のコンポーネントが詳細に示されている。分かりやすくする目的で、構造的群14のコンポーネントは、符号40〜49が付けられている。
【0033】
構造的群14は、カバー、ハウジング等とも呼ばれるケーシング40を含む。図示の実施形態では、ケーシング40は、モノリシック(継ぎ目のない一体となっている)部品である。ケーシング40は、これがモータ群12を被動群16にインターフェースすると共に更にリニアアクチュエータ10を運動プラットホームにインターフェースすることができるので、リニアアクチュエータ10の主要な構造コンポーネントである。図5で分かるように、ねじ立て連結ボア41がケーシング40の端フェースのところに設けられており、これらねじ立て連結ボアは、モータ20が図2に示された仕方でケーシング40の近位端部に連結されると、電気モータ20の貫通ボア23と整列するよう円周方向に互いに間隔を置いて配置されている。ケーシング40は、運動プラットホームとのリニアアクチュエータ10のインターフェースである場合があるので、他の連結手段、例えばねじ立てボア42Aやねじ部品(ねじ山付き締結具)とナット42Bがケーシング40の表面に設けられるのが良い。
【0034】
図2図5を参照すると、ケーシング40は、被動群16の一部を収容する内部キャビティ43を備えている。内部キャビティ43は、種々の区分の状態にセグメント化されているのが良い。かかる一区分は、継手44及びケーシング40の開放遠位端部44Aによって画定されている。接合面44は、被動群16の可動コンポーネントを摺動させる表面である。
【0035】
次の区分は、クリアランス表面45によって画定されると共にクリアランス肩45Aによって接合面44から隔てられている。クリアランス表面45は、障害物のない状態で被動群16のコンポーネントを移動させることができる空所を形成している。
【0036】
さらに別の次の区分が受座表面46によって画定されると共に受座肩46Aによってクリアランス表面45から隔てられている。受座表面46は、以下に説明するように被動群16の軸受のための受座を形成している。
【0037】
最終の区分は、ケーシング40の近位端部に向かって開いており、この最終区分は、別のクリアランス表面47によって画定されている。クリアランス表面47は、クリアランス肩47Aによって受座表面46から隔てられている。観察されることとして、4つの互いに異なる区分は、最も遠位側の区分、即ち接合面44の区分から最も近位側の区分、即ちクリアランス表面47の区分まで直径が順次増大しており、それにより、内部キャビティ43を単一の端部(シングルエンド)のところに挿入されたツール類から機械加工可能である。さらに、これら区分は、互いに同心であるのが良い。
【0038】
図2図4を参照すると、スリーブ48が以下に説明するように被動群16の摺動コンポーネントのインターフェースとして作用するよう接合面44に嵌められるのが良い。それ故、スリーブ48は、比較的低い摩擦係数について比較的高い硬度を有する材料、例えばIgus(登録商標)又はIglide(登録商標)材料(例えば、A−500)で作られる。案内49が接合面44を貫通して内部キャビティ43内に突き出ている。案内49の端部は、ケーシング40の内部キャビティ43内に位置し、これら端部は、直線運動を保証するよう、即ち被動群16の摺動コンポーネントについて回転防止案内としての役目を果たすよう被動群16の摺動コンポーネントのための案内として役立つ。さらに、案内49は、リニアアクチュエータ10のストロークを制限するストッパとして働くことが可能ではあるが、図示の実施形態では、そのようになってはいない。図示の実施形態では、案内49は、ケーシング40の外部から接近可能なボルト頭を備えたボルトである。
【0039】
被動群16
【0040】
図1図5を参照すると、被動群16のコンポーネントが詳細に示されている。分かりやすくする目的で、被動群16のコンポーネントは、60を超える符号が付けられている。
【0041】
被動群16は、ピストンとも呼ばれる摺動管60を含む。摺動管60は、被動群の主要な可動コンポーネントである。摺動管60は、ケーシング40の内部キャビティ43内に嵌め込まれており、この摺動管は、接合面44上のスリーブ48と摺動接触関係をなすよう寸法決めされている。それ故、摺動管60は、ケーシング40の内部キャビティ43内で軸方向に動くことができ、その結果、摺動管60の遠位端部が可変距離だけケーシング40の遠位端部から突き出ることができるようになっている。例えば、図2では、摺動管60は、リニアアクチュエータ10の引っ込み状態では、ケーシング40内に引っ込められ、これに対し、摺動管60は、リニアアクチュエータ10の伸長状態では、図4においてケーシング40から完全に伸長されている。
【0042】
したがって、図示の実施形態では、インターフェース61がケーシング40の外側で摺動管60の遠位端部のところに設けられている。インターフェース61が下方に向いた状態でリニアアクチュエータ10が差し向けられる場合、インターフェース61は、地面又は台座インターフェースであるのが良い。例えば、インターフェース61は、地面の上に直接位置しても良く又は継手の一部であっても良い。変形例として、インターフェース61が上方に向けられた状態でリニアアクチュエータ10が差し向けられる場合、インターフェース61は、例えば継手によって運動プラットホームに連結される(例えば、受座又は受座フレームの下側に)。インターフェース61は、継手の一部として、地面上に直接、運動プラットホームに対して直接用いられるべき任意適当なコンポーネントを受け入れるようになったねじ立てボアを備えたキャップ62を有するものとして図示されている。キャップ62は、支持プラグ63の端部のところに位置している。支持プラグ63は、摺動管60の内部キャビティ64内に部分的に受け入れられ、この支持プラグは、側方のねじ等によって摺動管60に固定されるのが良い。キャップ62及び支持プラグ63は、とりわけ、摺動管60の端部のところのインターフェース61として使用できる一解決手段である。
【0043】
図2図4を参照すると、内部キャビティ64は、摺動管60の全長を伸長させた状態で示されている。内壁65が内部キャビティ64の内側に設けられており、この内壁は、軸方向に対して横方向平面内に位置している。中央ボア66が内壁65内の中央に配置されている。中央ボア66は、ねじ立てされたものとして示されている。
【0044】
摺動管60の外面には、案内チャネル67が形成されている。案内チャネル67は、軸方向に平行である。作動にあたり、案内49の端部が案内チャネル67内に受け入れられる。図示の実施形態では、摺動管60は、単一の案内チャネル67を備えている。しかしながら、これよりも多い数の案内チャネル67を用いることができ、この場合、対応した数の案内49が設けられる。
【0045】
摺動管60は、その近位端部のところに位置したフランジ68を備えるのが良い。作動中、フランジ68は、クリアランス表面45によって画定された区分内で内部キャビティ43内に配置される。フランジ68の外径は、クリアランス表面45のところの内部キャビティ43の内径よりも小さい。したがって、一実施形態では、クリアランス表面45とフランジ68とは接触しない。フランジ68は、例えば案内49を取り外した場合に、摺動管60がケーシング40から不用意に取り出されるのを阻止することができる。フランジ68は又、ケーシング40に対する摺動管60の伸長を制限するようクリアランス肩45Aに遠位方向に当接し、また、ケーシング40内への摺動管60の引っ込みを制限するよう被動群16の固定コンポーネントに近位方向に当接することができる。
【0046】
トラベリングナット69が摺動管60に固定されている。図示の実施形態では、トラベリングナット69は、ねじ山付き端部を有し、このトラベリングナットは、摺動管60と一体に動くようこのねじ山付き端部によって摺動管60の内壁65のねじ立てボアにねじ連結されている。トラベリングナット69は、親ねじ(即ち、ねじ山付きシャフト)の回転を摺動管60の並進に変換するよう親ねじと一緒に作動する任意適当な形式の機構体であって良い。例えば、トラベリングナット69は、ボールねじユニットである。適当なボールねじユニットの1つは、戻り管を備えたNSK転動ボールねじ、例えば、RNCT型ボールナットである。しかしながら、転動ボールねじの代替手段として、他の多くの形式のトラベリングナット69が考えられる。例えば、トラベリングナットは、摺動管60の一体形部分(例えば、モノリシック機械加工部品)であるのが良い。
【0047】
図2図5を同時に参照すると、ねじ山付きシャフト70(即ち、親ねじ、ボルト)がトラベリングナット69と作動係合状態にある。ねじ山付きシャフト70は、電気モータ20の回転出力を摺動管60に伝達するよう電気モータ20に結合されている。ねじ山付きシャフト70は、トラベリングナット69と適合性のある螺旋軌道を有する。トラベリングナット69は、摺動管60に固定されているので、しかも摺動管60が案内49と案内チャネル67との相互作用に起因して並進運動に制限されているので、ねじ山付きシャフト70の回転の結果として、トラベリングナット69の並進が生じる。
【0048】
ねじ山付きシャフト70は、並進運動しないよう保持された状態で、その長手方向軸線(実質的に軸方向に平行である)回りに回転するようケーシング40に回転可能に連結されている。したがって、軸受71が受座表面46によって画定されたケーシング40の区分内に嵌め込まれており、軸受71は、例えば軸受71と肩46Aとの間にスペーサリング71Aが設けられた状態で肩46Aに当てられている。軸受71は、玉軸受けであっても良く転がり軸受であっても良く玉なし軸受であっても良く、任意適当な形式の軸受であっても良い。
【0049】
シャフト支持体72がシャフト70を軸受71に相互連結している。図示の実施形態では、シャフト支持体72は、鋳造され成形されると共に/或いは機械加工されたモノリシック金属片であるのが良い。シャフト支持体72は、シャフト70の近位端部を受け入れる環状本体を有する。シャフト支持体72は、例えばシャフト70とシャフト支持体72との間に半径方向に配置された止めねじ又はロールドピン72Aによってシャフト70に固定され、それによりシャフト支持体72は、シャフト70と一緒に回転する。シャフト支持体72は、遠位フランジ73及び近位ヘッド74を有している。ヘッド74は、軸受71の内レースの内径に一致した外径を有する別のカップリングコンポーネントであり、軸受71は、ヘッド74に取り付けられた状態でフランジ73に当接する。ヘッド74の寸法設定は、軸受71とシャフト支持体72との間の遊びを減少させ又はなくすよう軸受71と適当な嵌まり具合(例えば、締り嵌め、圧力嵌め)を実現するよう選択される。
【0050】
ヘッド74は、近位側に開かれていて、モータカプラ24に結合されるようにするためのシャフトカプラを形成したキャビティ75を有している。1対の突起76が開放キャビティ75内に設けられており、これら突起は、電気モータ20からの回転出力をシャフト70に伝達するために電気モータ20のモータカプラ24のフィンガ25に結合される。
【0051】
継手インターフェース77が開放キャビティ75内に受け入れられている。継手インターフェース77は、十字形であり、それ故、4つのクリアランスを構成しており、これらクリアランスのうちの2つは、フィンガ25を受け入れ、クリアランスのうちの他の2つは、突起76を受け入れる。継手インターフェース77の4つのクリアランスは、フィンガ35及び突起76との遊びを最小限に抑え又はゼロにするよう寸法決めされている。しかしながら、継手インターフェース77は、比較的硬質の材料で作られるが、その硬度は、モータカプラ24及びシャフト支持体72に用いられる金属材料の硬度よりは低い。例えば、継手インターフェース77は、高密度ポリマー材料で作られる。リニアアクチュエータ10が図1図5に示されている仕方で組み立てられると、継手インターフェース77は、モータカプラ24とヘッド74との間で開放キャビティ75内に捕捉状態に保持されるが、これらモータカプラ及びヘッドのいずれにも固定されない。それ故、継手インターフェース77は、例えばモータ20の出力シャフト21とねじ山付きシャフト70が完全に同軸状に整列していない場合であってもモータカプラ24とヘッド74との間に或る程度の整列の自由度の実現を可能にする。それ故、継手インターフェース77は、モータカプラ24とシャフト支持体72との間にユニバーサル(自在)状の継手を形成する。ヘッド74は、雌型コネクタとして働き、モータカプラ24は、雄型コネクタであり、但し、逆のセットアップを用いることが考えられる。
【0052】
外部保持リング78がヘッド74の外面に設けられたチャネル79内に受け入れられている。チャネル79は、軸受71をフランジ73と外部保持リング78との間に実質的に軸方向遊びがない状態で軸方向に捕捉状態に保持するようフランジ73から間隔を置いて配置されている。外部保持リング78は、軸受71をシャフト支持体72に固定して一体形ユニットの状態にする上で想定される数種類の解決手段のうちの1つであり、他の解決手段は、ねじ立てリング、ナット等である。
【0053】
図3で最も良く理解されるように、軸受71、ヘッド74及びその開放キャビティ75、並びにモータ20の出力シャフト21とねじ山付きシャフト70との間に継手を形成する種々のコンポーネント、即ちモータカプラ24のフィンガ25、突起76及び継手インターフェース77は全て、受座表面46によって(又は、軸受71の近位表面及び遠位表面によって)画定されたケーシング40の軸方向区分内に位置している。換言すると、第1のカップリングコンポーネントと第2のカップリングコンポーネントとの間、即ち、カプラ24とヘッド74との間の雄型/雌型カップリングは、軸受71の内レースの中に位置し、その結果、軸受及びカップリングが同じ軸方向に位置していないアクチュエータと比較してスペースの最適化が得られる。この軸方向区分は、比較的幅が狭い。というのは、この軸方向区分は、軸受71の厚さにほぼ等しいからである。さらに、フィンガ25、軸受71、突起76及び継手インターフェース77は全て、リニアアクチュエータ10の軸方向に対して横方向である共通の平面内に位置している。フィンガ25、ヘッド74、突起76及び継手インターフェース77は全て、軸受71の中央内に配置されている。
【0054】
端リング80が被動群16の近位端部のところに配置され、この端リングは、軸受71の外レースに当接している。端リング80は、被動群16の種々のコンポーネントをケーシング40内に捕捉状態に保持する。締結具81、例えばボルトの頭は、クリアランス表面47によって画定されたケーシング40の区分内に位置すると共に肩47Aに当接している。締結具81の頭は、端リング81が動いてケーシング40から軸方向に出るのを妨げる。
【0055】
リニアアクチュエータ10の種々のコンポーネントの構成を説明したからには、その作用について説明する。
【0056】
この作用は、インターフェース61が地面に向いているように差し向けられたものとしてのリニアアクチュエータ10について行う。
【0057】
摺動管60の位置がケーシング40に対して既知なので、リニアアクチュエータ10を最初に較正する。これは、任意適当な方法によって実施でき、かかる方法としては、リニアアクチュエータ10をターンオンしたときにプラットホームコントローラによって制御される較正運動が挙げられる。
【0058】
電気モータ20は、運動信号を受け取り、それ故、選択された方向に運動信号に比例した回転出力を生じさせる。回転出力は、出力シャフト21を通って出力シャフトとねじ山付きシャフト70との間の結合を介してねじ山付きシャフト70に伝達される。
【0059】
摺動管60及びトラベリングナット69は、ねじ山付きシャフト70の回転を軸方向に沿う摺動管60の並進に変換する。摺動管60は、地面又は台座に連結されているので、結果として生じる作用は、地面又は台座に対するモータ20及びケーシング40の並進運動であろう。運動プラットホームは、モータ20又はケーシング40に連結されているので、運動プラットホームは、モータ20及びケーシング40と共に動くことになる。例えば運動プラットホームと地面/台座とリニアアクチュエータ10との間の継手の存在によって、地面/台座とモータ20/ケーシング40と摺動管60のうちの任意のもの相互間には追加の自由度が存在する場合のあることが指摘される。
【0060】
場合によっては、摺動管60は、運動プラットホームに連結され、一方、モータ20及びケーシング40は、地面又は台座に固定される。かかる場合、運動プラットホームは、摺動管60と共に動くことになる。
図1
図2
図3
図4
図5