特許第6450359号(P6450359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6450359水道用メータリリースおよびその組み付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6450359
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】水道用メータリリースおよびその組み付け方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/06 20060101AFI20181220BHJP
【FI】
   G01F1/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-239078(P2016-239078)
(22)【出願日】2016年12月9日
(65)【公開番号】特開2018-96738(P2018-96738A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2018年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201593
【氏名又は名称】前澤給装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 浩
(72)【発明者】
【氏名】西東 敏夫
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−0981985(KR,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0150750(US,A1)
【文献】 特開2002−317473(JP,A)
【文献】 特開平9−297044(JP,A)
【文献】 特開平5−255957(JP,A)
【文献】 特開平5−148866(JP,A)
【文献】 特開平3−147941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00− 9/02
G01F15/00−15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道用メータを流路方向両側から保持する一対のホルダを備え、一方のホルダに前記水道用メータの着脱機構を備えた水道用メータリリースであって、
前記着脱機構は、
内部に流路を有して流路方向に移動自在であり、前進時に前記水道用メータの端部に圧着するピストンと、
前記一方のホルダに、流路方向と略直交する回転軸回りに回転自在に支持されたハンドルと、
前記ハンドルと螺合し、前記ハンドルの回転力を受けて送りねじ作用により前記回転軸に沿って移動する駆動ねじと、
前記駆動ねじと前記ピストンとの間に介設された長孔および該長孔を摺動するガイドピンを有し、前記駆動ねじの移動を前記ピストンの移動に変換する移動方向変換機構と、
を備えることを特徴とする水道用メータリリース。
【請求項2】
前記長孔は前記ピストンに設けられ、前記ガイドピンは前記駆動ねじに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水道用メータリリース。
【請求項3】
前記駆動ねじは、前記ハンドルに螺合する雄ねじ部と、前記ピストンに形成された一対の回転規制壁に挟まれて前記回転軸回りの回転が規制されるピストン連結部と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水道用メータリリース。
【請求項4】
前記一方のホルダは前記水道用メータの下流側を保持するホルダであり、
該一方のホルダに、前記ピストンが後退したとき該ピストンに圧着して下流側から該ピストン内への戻り水の浸入を阻止する戻り水防止機構を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の水道用メータリリース。
【請求項5】
水道用メータを流路方向両側から保持する一対のホルダを備え、一方のホルダに前記水道用メータの着脱機構を備えた水道用メータリリースの組み付け方法であって、
前記着脱機構は、
内部に流路を有して流路方向に移動自在であり、前進時に前記水道用メータの端部に圧着するピストンと、
前記一方のホルダに、流路方向と略直交する回転軸回りに回転自在に支持されたハンドルと、
前記ハンドルと螺合し、前記ハンドルの回転力を受けて送りねじ作用により前記回転軸に沿って移動する駆動ねじと、
前記駆動ねじと前記ピストンとの間に介設された長孔および該長孔を摺動するガイドピンを有し、前記駆動ねじの移動を前記ピストンの移動に変換する移動方向変換機構と、
を備え、
前記ピストンと前記駆動ねじとを前記移動方向変換機構を介して組み付ける工程と、
組み付けた状態の前記ピストンと前記駆動ねじとを前記一方のホルダの内部に挿入する工程と、
前記ハンドルを回転させ、前記一方のホルダの内部で前記ハンドルと前記駆動ねじとを螺合させる工程と、
を行うことを特徴とする水道用メータリリースの組み付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道用メータを着脱自在に装着するための水道用メータリリースおよびその組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水道用メータリリースとして、水道用メータを流路方向両側から保持する一対のホルダを備え、一方のホルダに水道用メータの着脱機構を備えたものが知られている(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
前記着脱機構として、特許文献1には、流路方向に前後進自在に設けられた締着筒と、操作ハンドルにより作動するカム機構と、締着筒を常時水道用メータ側に前進するように付勢するスプリングと、を備えた構成が記載されている。そして、カム機構もしくはストッパでスプリングの付勢力に抗して締着筒を後退させて水道用メータを着脱し、水道用メータの装着後にスプリングの付勢力で締着筒を前進させ水道用メータに圧着することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、流路方向に前後進自在に設けられ、外周に雄ねじが形成されたアダプタと、アダプタの雄ねじに螺合するねじ部を有し、流路方向の軸心回りに回転するホルダハンドルと、を備えた構成が記載されている。そして、ホルダハンドルを回転させ、雄ねじとねじ部との送りねじ作用によってアダプタを前進させて水道用メータに圧着することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−83778号公報
【特許文献2】登録実用新案第3043208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術は、スプリングの付勢力により締着筒を水道用メータに圧着する構造であるため、もし締着部から漏水した場合には増し締めができないという問題がある。また、流路径が大きくなるほど水圧の影響を受けやすいため、スプリングの付勢力では圧着力が不足するおそれがある。
【0007】
特許文献2の技術は、送りねじ機構を用いているので、締着部から漏水した場合には増し締めできるという利点がある。しかし、送りねじ機構を作動させるホルダハンドルが流路方向の軸心回りに回転する構造のため、水道用メータリリースが地中等の狭隘な空間に設置される場合には、地上からホルダハンドルを回転操作しづらいという問題がある。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、水圧の影響によらず安定して水道用メータを圧着保持でき、水道用メータが地中深くに設置される場合であっても地上から着脱操作を容易に行える水道用メータリリースおよびその組み付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、水道用メータを流路方向両側から保持する一対のホルダを備え、一方のホルダに前記水道用メータの着脱機構を備えた水道用メータリリースであって、前記着脱機構は、内部に流路を有して流路方向に移動自在であり、前進時に前記水道用メータの端部に圧着するピストンと、前記一方のホルダに、流路方向と略直交する回転軸回りに回転自在に支持されたハンドルと、前記ハンドルと螺合し、前記ハンドルの回転力を受けて送りねじ作用により前記回転軸に沿って移動する駆動ねじと、前記駆動ねじと前記ピストンとの間に介設された長孔および該長孔を摺動するガイドピンを有し、前記駆動ねじの移動を前記ピストンの移動に変換する移動方向変換機構と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、次のような効果が奏される。
(1)ねじの締結力を利用してピストンを水道用メータに圧着させる構造なので、スプリングの付勢力で圧着させる構造に比して水圧の影響を受けにくく、圧着状態を安定して維持できる。
(2)ねじの締結力を利用しているので、仮にピストンと水道用メータとの圧着部で漏水したとしても、ねじの増し締めにより圧着力を容易に高めることができる。
(3)流路軸方向と直交する回転軸回りに回転するハンドルを備えているので、水道用メータが地中深くに設置される場合であっても、地上から開栓器等を利用してハンドルの回転操作を容易に行える。
(4)着脱機構が簡単な構造で済むので、水道用メータリリースの小型・軽量化が可能となる。
(5)送りねじの構造として、ハンドルとピストンとの間に駆動ねじを設けたことにより、組み付け作業の容易な水道用メータリリースとなる。
【0011】
また、本発明は、前記長孔は前記ピストンに設けられ、前記ガイドピンは前記駆動ねじに設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、移動方向変換機構の構造を簡略化できる。
【0013】
また、本発明は、前記駆動ねじは、前記ハンドルに螺合する雄ねじ部と、前記ピストンに形成された一対の回転規制壁に挟まれて前記回転軸回りの回転が規制されるピストン連結部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、送りねじの構造を簡略化できる。
【0015】
また、本発明は、前記一方のホルダは前記水道用メータの下流側を保持するホルダであり、該一方のホルダに、前記ピストンが後退したとき該ピストンに圧着して下流側から該ピストン内への戻り水の浸入を阻止する戻り水防止機構を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、ねじの締結力を利用して、戻り水防止機構の圧着力を確保できるので、圧着状態を安定して維持できる。仮にピストンと戻り水防止機構との圧着部で漏水したとしても、ねじの増し締めにより圧着力を容易に高めることができる。
【0017】
また、本発明は、水道用メータを流路方向両側から保持する一対のホルダを備え、一方のホルダに前記水道用メータの着脱機構を備えた水道用メータリリースの組み付け方法であって、前記着脱機構は、内部に流路を有して流路方向に移動自在であり、前進時に前記水道用メータの端部に圧着するピストンと、前記一方のホルダに、流路方向と略直交する回転軸回りに回転自在に支持されたハンドルと、前記ハンドルと螺合し、前記ハンドルの回転力を受けて送りねじ作用により前記回転軸に沿って移動する駆動ねじと、前記駆動ねじと前記ピストンとの間に介設された長孔および該長孔を摺動するガイドピンを有し、前記駆動ねじの移動を前記ピストンの移動に変換する移動方向変換機構と、を備え、前記ピストンと前記駆動ねじとを前記移動方向変換機構を介して組み付ける工程と、組み付けた状態の前記ピストンと前記駆動ねじとを前記一方のホルダの内部に挿入する工程と、前記ハンドルを回転させ、前記一方のホルダの内部で前記ハンドルと前記駆動ねじとを螺合させる工程と、を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、狭隘なホルダの内部に何ら手や治具等を差し込むことなく、ハンドルによる外部からの簡単な回転操作で、ホルダの内部で着脱機構を組み付けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、水圧の影響によらず安定して水道用メータを圧着保持でき、水道用メータが地中深くに設置される場合であっても地上から着脱操作を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】水道用メータを保持した状態での本発明に係る水道用メータリリースの正面断面図である。
図2】水道用メータを外し、ピストンが前進した状態での本発明に係る水道用メータリリースの正面断面図である。
図3】水道用メータを外し、ピストンが前進した状態での本発明に係る水道用メータリリースの平面図である。
図4】本発明に係る水道用メータリリースの右側面図である。
図5】ピストンおよび駆動ねじ周りの分解斜視図である。
図6】ピストンが前進した状態の着脱機構の正面断面図である。
図7】ピストンが後退した状態の着脱機構の正面断面図である。
図8】水道用メータが地中深くに設置されている場合の、水道用メータの取り外し手順を示す作用説明図である。
図9】水道用メータおよびその付随品を分解した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1ないし図4に示すように、本発明に係る水道用メータリリース(以降、単にメータリリースという)1は、水道用メータ(以降、単にメータという)Mを流路軸O1方向の両側から保持する一対のホルダとしての第1ホルダ3および第2ホルダ2を備えている。第2ホルダ2および第1ホルダ3は、それぞれ給水器具に連結される。第2ホルダ2と第1ホルダ3には、図4に示すように、それぞれ流路軸O1を挟んだ上下左右の位置から径外方向に延びる4つの連結座2A,3A(図3)が形成されており、図3に示すように、流路軸O1方向に互いに対向し合う連結座2A,3A間に掛け渡した4本の連結棒4により第2ホルダ2と第1ホルダ3とが互いに連結されている。下方の2本の連結棒4の間には、メータMの落下を防止するための落下防止部材5が掛け渡されている。また、下方の連結座2A,3Aには、下方に延びて所定の設置面に設置される脚部2B,3Bが形成されている。
【0022】
図1に示すように、メータMは、流路方向一端側(本実施形態では上流側)にナット51が螺合し、他端側には逆止弁52を内蔵した逆止弁アダプタ53が螺合している。ナット51には、メータMとの間を封止するOリング54が取り付けられているとともに、第1ホルダ3との間を封止するパッキン55が取り付けられている。逆止弁52には、メータMとの間を封止するガスケット56が取り付けられ、逆止弁アダプタ53には、後記するピストン7との間を封止するパッキン57が取り付けられている。
【0023】
一方の第2ホルダ2は、メータMの着脱機構6を備えている。着脱機構6は、ピストン7とハンドル8と駆動ねじ9と移動方向変換機構10とを備えて構成されている。先ず、第2ホルダ2のハウジングについて説明すると、当該ハウジングは第1ハウジング11と第2ハウジング12と第3ハウジング13とに3分割に構成されている。第1ハウジング11は、概ね、流路軸O1を中心とし両端が開口した横筒状を呈し、ピストン7を摺動自在に支持するピストン収容部11Aと、ピストン収容部11Aの上部に突設されて上端が開口した縦筒状を呈し、内部に駆動ねじ9が配置される駆動ねじ収容部11Bと、を備えた形状からなる。駆動ねじ収容部11Bの上部には雌ねじが形成されており、第2ハウジング12の下部に形成された雄ねじと螺合している。ピストン収容部11Aの一端側には、逆止弁アダプタ53を載置するための、流路軸O1方向視で円弧状を呈したメータ支持部11Cが突設されている。なお、同様のメータ支持部は第1ホルダ3側にも形成されている。
【0024】
第2ハウジング12は、概ね、ハンドル8の回転軸O2を中心とし上下端が開口した縦筒状を呈しており、内部にハンドル8が収容される。第2ハウジング12は前記したように螺合により第1ハウジング11に一体化されている。第2ハウジング12の上部には雌ねじが形成されている。第3ハウジング13も、上下端が開口した縦筒状を呈しており、外周に形成された雄ねじが第2ハウジング12の雌ねじに螺合している。第2ハウジング12と第3ハウジング13とは、ハンドル8に形成された鍔部8Cを上下に挟むことでハンドル8を上下方向に位置決めするために分割されている。
【0025】
「ピストン7」
ピストン7は、流路軸O1を中心として両端が開口した横筒状を呈しており、その内部は流路14として構成される。ピストン7は、第1ハウジング11のピストン収容部11Aの一端側において流路軸O1方向に移動自在に収容されており、ピストン7と第1ハウジング11との間にはOリング15が介設されている。図5に示すように、ピストン7の流路軸O1方向中程の外周には、上部側を除いて大径の鍔部7Aが形成されている。この鍔部7Aは図1に示すように第1ハウジング11の内壁に対して摺動する。
【0026】
「ハンドル8」
ハンドル8は、第2ホルダ2に、流路軸O1方向と直交する鉛直方向の回転軸O2回りに回転自在に支持された棒状部材である。ハンドル8は、第3ハウジング13から上方に突出した平板状の操作ハンドル部8Aと、第2ハウジング12および第3ハウジング13に回転自在に支持される弁棒部8Bと、を備えた形状からなる。操作ハンドル部8Aには開栓器等が係合される。なお、本実施形態では、操作ハンドル部8Aと弁棒部8Bとは互いに別部材から構成されており、弁棒部8Bを第3ハウジング13に通した後に、操作ハンドル部8Aと弁棒部8Bとは互いに一体回転可能に組み付けられる。弁棒部8Bの途中には鍔部8Cが形成されており、前記したように、鍔部8Cが第2ハウジング12と第3ハウジング13とで上下に挟まれることで、ハンドル8の上下方向の位置決めがなされる。図6に示すように、弁棒部8Bの下端面には、回転軸O2を中心として雌ねじ8Dが形成されている。弁棒部8Bと第3ハウジング13との間にはOリング16が介設されている。
【0027】
「駆動ねじ9」
駆動ねじ9は、一端側にハンドル8の雌ねじ8Dと螺合する雄ねじ9A(図5)が形成された棒状部材である。図5に示すように、駆動ねじ9の他端側は、ピストン7の一対の回転規制壁18間に挟まれる部位となり、平断面視して回転規制壁18に接する平面部を有した形状、例えば本実施形態のように円棒を二面取りした形状を呈したピストン連結部9Bとして構成されている。駆動ねじ9の他端近傍には、流路幅方向に貫通するピン圧入孔9Cが形成されている。駆動ねじ9は、ハンドル8の回転力を受けると、円棒を二面取りした形状のピストン連結部9Bが一対の回転規制壁18で回転規制されるので、雌ねじ8Dと雄ねじ9Aとの送りねじ作用により回転軸O2に沿って上下移動する。
【0028】
「移動方向変換機構10」
図5に示すように、移動方向変換機構10は、駆動ねじ9の上下移動をピストン7の横移動に変換する機構であり、駆動ねじ9とピストン7との間に介設された長孔および該長孔を摺動するガイドピン17を有して構成されている。ピストン7の上部には、流路軸O1方向に沿う鉛直状の一対の回転規制壁18が互いに間隔を空けて立設されている。各回転規制壁18には、ピストン7の一端側(メータM寄りの側)に向かうにしたがい上方に変位する前記長孔としての斜行案内溝孔19が形成されている。ガイドピン17は、中央部が駆動ねじ9のピン圧入孔9Cに圧入され、ピンの両端が各斜行案内溝孔19内に摺動可能に位置する。
【0029】
「戻り水防止機構20」
図1において、本実施形態の第2ホルダ2は、メータMの着脱時に下流側からの戻り水を防止するための戻り水防止機構20を備えている。第1ハウジング11のピストン収容部11Aの他端側の開口部にはアダプタ21が螺合されている。戻り水防止機構20は、ピストン7の他端との間で流路を開閉する止水弁体22と、止水弁体22を保持する弁体ガイド23とを備えて構成されている。弁体ガイド23は、流路軸O1を中心とする円筒状の部材であり、一端に止水弁体22が取り付けられ、他端がアダプタ21に螺合により取り付けられている。弁体ガイド23は、他端側が開口形成されるとともに周壁に開口部24が形成されていることで、その内部が第1ハウジング11と下流側とを連通する流路を構成する。
【0030】
「着脱機構6の組み付け手順」
着脱機構6の組み付け方法は、以下の工程を備えている。
(1)「ピストン7と駆動ねじ9とを移動方向変換機構10を介して組み付ける工程」
この工程では、第2ホルダ2のハウジングの外部において、ピストン7と駆動ねじ9とを組み付ける。
(2)「組み付けた状態のピストン7と駆動ねじ9とを第2ホルダ2の内部に挿入する工程」
第1ハウジング11のピストン収容部11Aの両端の開口部のうちで、大径に形成された他端側の開口部から、組み付けた状態のピストン7と駆動ねじ9とを、駆動ねじ9を倒した状態で第2ホルダ2の内部に挿入する。
(3)「ハンドル8を回転させ、第2ホルダ2の内部でハンドル8と駆動ねじ9とを螺合させる工程」
例えば第2ホルダ2を逆さにすることにより、駆動ねじ9を斜行案内溝孔19から鉛直状にぶら下げた状態にすることができる。この状態で、下方からハンドル8を回して雄ねじ9Aにハンドル8の雌ねじ8Dを螺合させる。勿論、この雄ねじ9Aと雌ねじ8Dとの螺合途中では、第3ハウジング13を第2ハウジング12に対して未だ緩めた状態としてあり、鍔部8Cが第2ハウジング12に当接するまでの間は、雄ねじ9Aと雌ねじ8Dとが螺合するにしたがいハンドル8はピストン7側に変位することとなる。
【0031】
以上の工程を含む組み付け方法によれば、狭隘な第2ホルダ2の内部に何ら手や治具等を差し込むことなく、ハンドル8による外部からの簡単な回転操作で、第2ホルダ2の内部で着脱機構6を組み付けることができる。
【0032】
「着脱機構6の作用」
図6図7を参照して着脱機構6の作用を説明する。図6において、ハンドル8を操作ハンドル部8Aにより一方向に回転させると、駆動ねじ9のピストン連結部9Bが回転規制壁18で回転規制されているので、ハンドル8の雌ねじ8Dと雄ねじ9Aとの送りねじ作用により、駆動ねじ9が下降する。ガイドピン17が斜行案内溝孔19の孔壁を押圧しながら下がることで、ピストン7が前進し、メータMの端部、本実施形態では逆止弁アダプタ53のパッキン57に圧着する。ガイドピン17は斜行案内溝孔19の下端側に位置するものの下端には当接せず、ガイドピン17と斜行案内溝孔19の下端との間には所定の距離が設定されている。これにより、仮にピストン7とパッキン57との間で漏水したとしても、ハンドル8をさらに一方向に回転させることで、雌ねじ8Dと雄ねじ9Aとの増し締めによりピストン7をパッキン57にさらに圧着させ、漏水を阻止できる。
【0033】
ピストン7が前進している状態では、ピストン7と止水弁体22との間に流路が形成されるので、ピストン7の流路14は、第1ハウジング11の内部と弁体ガイド23の内部を通して下流側と連通する。
【0034】
図7において、ハンドル8を操作ハンドル部8Aにより他方向に回転させると、雌ねじ8Dと雄ねじ9Aとの送りねじ作用により、駆動ねじ9が上昇する。ガイドピン17が斜行案内溝孔19の孔壁を押圧しながら上がることで、ピストン7が後退する。これにより、ピストン7との圧着が解かれたメータMの取り外しが可能となる。
【0035】
また、ピストン7が後退すると、ピストン7と止水弁体22とが圧着する。これにより、下流側から戻り水があったとしても、ピストン7の流路14に流れ込むことはない。ガイドピン17は斜行案内溝孔19の上端側に位置しているものの上端には当接せず、ガイドピン17と斜行案内溝孔19の上端との間には所定の距離が設定されている。これにより、仮にピストン7と止水弁体22との間で漏水したとしても、ハンドル8をさらに他方向に回転させることで、雌ねじ8Dと雄ねじ9Aとの増し締めによりピストン7を止水弁体22にさらに圧着させ、漏水を阻止できる。
【0036】
「メータMの取り外し手順」
メータMの取り外し手順の一例を説明する。図8(a)は、メータMが地中深くに設置された場合を示しており、その上流配管には止水栓31が介設されている。通水状態では、止水栓31は開状態であり、メータリリース1においてはピストン7がメータM側に前進して圧着した状態である。
【0037】
メータMを取り外す際は、図8(b)に示すように、止水栓31の上方の蓋32を開き、地上から開栓器33の回転操作により止水栓31を閉める。次いで、メータMの上方の蓋34を開き、開栓器35の下端をメータリリース1の操作ハンドル部8Aに係合させ、地上からの開栓器35の回転操作によりピストン7を後退させる。これにより、メータMとピストン7との圧着を解除するとともに、下流側からの戻り水を止める。次いで、図8(c)に示すように、専用治具36を用いてメータMを地上に引き上げる。
【0038】
地上では、例えばメータMの交換やメンテナンスを行う。図9に示すように、消耗品であるパッキン55,57、Oリング54、ガスケット56(場合により逆止弁52も一緒に)についても必要に応じて新品に交換する。ナット51、逆止弁アダプタ53については再利用を基本とする。
【0039】
以上のように、メータMの着脱機構6として、内部に流路14を有して流路軸O1方向に移動自在であり、前進時にメータMの端部に圧着するピストン7と、第2ホルダ2に、流路軸O1方向と直交する回転軸O2回りに回転自在に支持されたハンドル8と、ハンドル8と螺合し、ハンドル8の回転力を受けて送りねじ作用により回転軸O2に沿って移動する駆動ねじ9と、駆動ねじ9とピストン7との間に介設された長孔(斜行案内溝孔19)および該長孔を摺動するガイドピン17を有し、駆動ねじ9の移動をピストン7の移動に変換する移動方向変換機構10と、を備えるメータリリース1によれば、次のような効果が奏される。
【0040】
(1)雌ねじ8Dと雄ねじ9Aとのねじの締結力を利用してピストン7をメータMに圧着させる構造なので、スプリングの付勢力で圧着させる構造に比して水圧の影響を受けにくく、圧着状態を安定して維持できる。
(2)ねじの締結力を利用しているので、仮にピストン7とメータMとの圧着部で漏水したとしても、ねじの増し締めにより圧着力を容易に高めることができる。
(3)流路軸O1方向と直交する回転軸O2回りに回転するハンドル8を備えているので、メータMが地中深くに設置される場合であっても、地上から開栓器35等を利用してハンドル8の回転操作を容易に行える。
(4)着脱機構6が簡単な構造で済むので、メータリリース1の小型・軽量化が可能となる。
(5)送りねじの構造として、ハンドル8とピストン7との間に駆動ねじ9を設けたことにより、組み付け作業の容易なメータリリース1となる。
【0041】
斜行案内溝孔19をピストン7に設け、ガイドピン17を駆動ねじ9に設けることにより、移動方向変換機構10の構造を簡略化できる。
【0042】
また、駆動ねじ9は、ハンドル8に螺合する雄ねじ部9Aと、ピストン7に形成された一対の回転規制壁18に挟まれて回転軸O2回りの回転が規制されるピストン連結部9Bと、を備える構成とすれば、送りねじの構造を簡略化できる。
【0043】
さらに、第2ホルダ2に、ピストン7が後退したときピストン7に圧着して下流側からピストン7内への戻り水の浸入を阻止する戻り水防止機構20を備える構成とすれば、雌ねじ8Dと雄ねじ9Aとのねじの締結力を利用して、戻り水防止機構20の圧着力を確保できるので、圧着状態を安定して維持できる。仮にピストン7と戻り水防止機構20との圧着部で漏水したとしても、ねじの増し締めにより圧着力を容易に高めることができる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。着脱機構6は、第1ホルダ3側に設ける構成にしてもよい。移動方向変換機構10としては、斜行案内溝孔19を駆動ねじ9側に設け、ガイドピン17をピストン7側に設ける構成にしてもよい。また、弁棒部8Bと駆動ねじ9との螺合構造は、駆動ねじ9側を雌ねじとし、弁棒部8B側を雄ねじにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 水道用メータリリース
2 第2ホルダ
3 第1ホルダ
6 着脱機構
7 ピストン
8 ハンドル
8A 操作ハンドル部
8B 弁棒部
8C 鍔部
8D 雌ねじ
9 駆動ねじ
9A 雄ねじ
9B ピストン連結部
9C ピン圧入孔
10 移動方向変換機構
11 第1ハウジング
12 第2ハウジング
13 第3ハウジング
17 ガイドピン
18 回転規制壁
19 斜行案内溝孔(長孔)
20 戻り水防止機構
M 水道用メータ
図1
図2
図3
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図9