(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1〜50mg/mLのP01、P02、P03、P04、P05、P06およびP07からなる群から選択されるIL−1β/IL−1Raキメラサイトカインタンパク質;
5〜15mMの濃度のクエン酸ナトリウム若しくはリン酸ナトリウムの一方又は両方;
3.5〜6.5%(w/v)のソルビトール;
0.07〜0.13%(w/v)の濃度のポロキサマー188;及び
0.1〜1%の濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を含む水性製剤であって、
5.5〜7.5のpHを有する水性製剤。
光掩蔽粒子計数試験を使用して評価して、≧10μmの粒子に対して50個/mL以下の粒子及び≧25μmの粒子に対して5個/mL以下の粒子を有する、請求項6〜13の
いずれか一項に記載の水性製剤。
25℃で4時間にわたり前記タンパク質溶液をボルテックスミキサーにかけた後に、凝集形に比較して、>90%のモノマー形の前記タンパク質の存在によって特定されるよう
に安定であり、前記タンパク質の凝集形に比較したモノマー形のパーセンテージがSEC−HPLCを使用して評価される、請求項6〜14のいずれか一項に記載の水性製剤。
例えば顕微鏡粒子計数試験を使用して評価して、≧10μmの粒子に対して50個/mL以下の粒子、≧25μmの粒子に対して5個/mL以下の粒子及び≧50μmの粒子に
対して2個/mL以下の粒子の存在によって特定されるように安定である、請求項6〜17のいずれか一項に記載の水性製剤。
SEC−HPLCを使用して評価した凝集形に比較して>90%のモノマー形の前記タンパク質の存在によって特定されるように安定である、請求項6〜18のいずれか一項に
記載の水性製剤。
還元SDS−PAGE又は非還元SDS−PAGEにおける参照標準物質への主バンドの適合度によって特定されるように安定である、請求項6〜19のいずれか一項に記載の水性製剤。
前記水性製剤を弱カチオン交換HPLC(WCEX−HPLC)を使用して評価した場合に、85%以上の主ピークによって特定されるように安定である、請求項6〜20のいずれか一項に記載の水性製剤。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で特徴付けたのは、特に、IL−1ファミリーのサイトカイン及びそれらの各受容体に応答して細胞シグナル伝達を調節するため、障害を治療するため、細胞受容体並びに他の作用物質を検出及び/又は結合するために使用できるキメラサイトカイン(例えば、国際公開第2012/016203号パンフレット若しくは同第2012/103240号パンフレットに記載されたキメラサイトカイン若しくはキメラサイトカインドメイン)を含有する安定な製剤(例えば、安定な水性製剤)である。本明細書に記載するのは、1mg/mL〜50mg/mLのIL−1β/IL−1Raキメラサイトカインタンパク質を含む医薬製剤である。実施形態では、医薬製剤は、1mg/mL〜50mg/mLのIL−1β/IL−1Raキメラサイトカインタンパク質、界面活性剤、等張化剤及び緩衝剤を含む。
【0006】
一部の態様では、キメラサイトカインタンパク質は、P05又は例えば国際公開第2012/016203号パンフレット若しくは同第2012/103240号パンフレットに記載されたような別のキメラサイトカインである。実施形態では、製剤は、局所投与するためである。実施形態では、製剤は、眼に投与するためである。実施形態では、製剤は、眼に局所投与するためである。一部の実施形態では、製剤は、5.5〜7.5のpH、例えば6.0〜7.0のpHを有する。
【0007】
実施形態では、製剤は、増粘剤を含有していない。所定の実施形態は、さらに増粘剤を含有する製剤に関する。実施形態では、増粘剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリビニルアルコール;及び/又はグリセリンである。実施形態では、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、製剤中に0.1〜6%(w/v)の濃度で含まれる。
【0008】
製剤は、典型的には、25℃で少なくとも60日間保管した後に少なくとも90%、93%、95%若しくは98%の純度を有する。一部の態様では、製剤は、25℃で少なくとも4カ月間保管した後に少なくとも90%、93%、95%若しくは98%の純度を有する。他の態様では、製剤は、40℃で少なくとも2週間の期間保管した後に少なくとも90%の純度を有する。一部の場合には、製剤は、2℃〜8℃で保管した場合に少なくとも2年間安定である。一部の場合には、製剤は、25℃で保管した場合に少なくとも6カ月間安定である。一部の場合には、製剤は、25℃で保管した場合に少なくとも8カ月間安定である。
【0009】
一部の実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、例えばプルロニック酸F−68(ポロキサマー188)、ポリソルベート20、若しくはポリソルベート80である。実施形態では、界面活性剤は、プルロニック酸F−68(ポロキサマー188)であり、界面活性剤は、約0.1%(w/v)の濃度で存在する。一部の場合には、界面活性剤は、プルロニック酸F−68(ポロキサマー188)であり、界面活性剤は、0.1%(w/v)の濃度で存在する。
【0010】
製剤中の等張化剤は、例えば、塩化ナトリウム、ソルビトール、マンニトール、スクロース若しくはトレハロースであってよい。実施形態では、等張化剤はソルビトールであり、ソルビトールは約5%(w/v)の濃度で存在する。所定の実施形態では、等張化剤はソルビトールであり、ソルビトールは5%(w/v)の濃度で存在する。
【0011】
製剤中の緩衝剤は、一般に弱緩衝剤である。実施形態では、緩衝剤は、リン酸塩 クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩及び/又はコハク酸塩である。緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩若しくはコハク酸塩の医薬上許容される塩であってよい。一部の実施形態では、緩衝剤は、約10mM〜約50mMの量で存在する。実施形態では、緩衝剤は、20mM以下の濃度で存在する。実施形態では、緩衝剤、例えばクエン酸ナトリウム及び/又はリン酸ナトリウムは、5〜15mMの総濃度で存在する。一部の実施形態では、緩衝剤、例えばクエン酸ナトリウムは、5〜15mM、7〜13mM、8〜12mM若しくは9〜11mMの濃度で存在する。
【0012】
一部の場合には、緩衝剤はクエン酸ナトリウムであり、製剤中に約10mMの濃度で存在する。一部の場合には、緩衝剤はクエン酸ナトリウムであり、製剤中に約10mMの濃度で存在する。
【0013】
所定の実施形態では、製剤は、例えばP05などのIL−1β/IL−1Raキメラサイトカインタンパク質;10mMのクエン酸ナトリウム;5%(w/v)のソルビトール;及び0.1%(w/v)のポロキサマー188(ポロキサマーF−68)を含み、製剤のpHは6.0である。
【0014】
一部の実施形態では、製剤はさらにアミノ酸を含む。例えば、アミノ酸は、アルギニン、グルタミン酸、ヒスチジン若しくはメチオニンである。
【0015】
1つの例では、キメラサイトカイン(例えば、キメラサイトカインポリペプチド)、例えばIL−1β及びIL−1Raに由来する配列を含有するキメラサイトカインは、5%(w/v)のソルビトール及び0.1%(w/v)のポロキサマー、例えばポロキサマー188(例えば、Lutrol(登録商標)F−68(本明細書ではLutrol(登録商標)とも呼ぶ)、Kolliphor(登録商標)P 188及びポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール))とも呼ぶ)を含有する10mMのクエン酸ナトリウム、pH6.0中で5mg/mL〜20mg/mL(例えば、1mg/mL、5mg/mL若しくは20mg/mL)の濃度で調製される。実施形態では、キメラサイトカインは、P01、P02、P03、P04、P05、P06及びP07の内の1つ以上から選択される。実施形態では、キメラサイトカインはP05である。
【0016】
実施形態では、本明細書に記載した製剤の成分は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%若しくは50%までの本明細書に提供した数値の周囲で変動してよい量で存在する。実施形態では、製剤の成分は、10%までの本明細書に提供した数値の周囲で変動する量で存在する。実施形態では、製剤は、9.5〜10.5mM、9〜11mM、8.5〜11.5mM、8〜12mM、7.5〜12.5mM、7〜13mM、6〜14mM若しくは5〜15mMのクエン酸ナトリウムを含む。実施形態では、製剤は、4.75〜5.25%、4.5〜5.5%、4.25〜5.75%、4〜6%、3.75〜6.25%、3.5〜6.5%、3〜7%若しくは2.5〜7.5%(w/v)のソルビトールを含む。実施形態では、製剤は、0.095〜0.105%、0.09〜0.11%、0.085〜0.115%、0.08〜0.12%、0.075〜0.125%、0.07〜0.13%、0.06〜0.14%若しくは0.05〜0.15%(w/v)のポロキサマー188を含む。実施形態では、製剤中の治療用タンパク質(例えば、キメラサイトカイン、例えばP05)の濃度は、1〜50mg/mL、1〜25mg/mL若しくは1〜20mg/mLである。実施形態では、治療用タンパク質の濃度は、4.75〜5.25mg/mL、4.5〜5.5mg/mL、4.25〜5.75mg/mL、4〜6mg/mL、3.75〜6.25mg/mL、3.5〜6.5mg/mL、3〜7mg/mL若しくは2.5〜7.5mg/mLである。実施形態では、製剤のpHは、5.5〜7.5又は5.5〜6.5である。
【0017】
実施形態では、製剤は、8〜12mMのクエン酸ナトリウム、4〜6%(w/v)のソルビトール、0.08〜0.12%(w/v)のポロキサマー188及び4〜6mg/mLのP05を含む。実施形態では、製剤のpHは、5.5〜7.5である。実施形態では、pHは、5.5〜6.5である。実施形態では、pHは、6〜7である。
【0018】
実施形態では、製剤は、9〜11mMのクエン酸ナトリウム、4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール、0.09〜0.11%(w/v)のポロキサマー188及び4.5〜5.5mg/mLのP05を含む。実施形態では、製剤のpHは、5.5〜7.5である。実施形態では、pHは、5.5〜6.5である。実施形態では、pHは、6〜7である。
【0019】
実施形態では、IL−1阻害剤、例えばアナキンラは、5%(w/v)のソルビトール及び0.1%(w/v)のポロキサマー、例えばポロキサマー188を含有する10mMのクエン酸ナトリウム、pH6.0中で適切な濃度(例えば、5〜100mg/mL、例えば5〜50mg/mL、例えば5〜20mg/mLの濃度)で調製される。実施形態では、製剤の成分の量は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%若しくは50%までの本明細書に提供した数値の周囲で変動してよい。実施形態では、pHは、5.5〜7.5である。実施形態では、pHは、5.5〜6.5である。実施形態では、pHは、6〜7である。
【0020】
実施形態では、本明細書に記載した製剤は、さらに増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を含む。実施形態では、製剤はCMCを、例えば0.1〜1%(w/v)、0.1〜0.5%(w/v)若しくは0.2〜0.3%(w/v)の濃度のCMCを含む。
【0021】
さらに本明細書では、IL−1関連障害を有する被験者を治療するための方法が提供される。本方法は、被験者に本明細書に記載した製剤を含む治療有効量の組成物を投与する工程を含む。実施形態では、本方法は、IL−1関連障害、例えばドライアイ障害を有する被験者を同定する工程、及び本明細書に記載した製剤を含む治療有効量の組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0022】
さらに本明細書では、被験者においてIL−1活性を阻害する方法を記載する。本方法は、被験者に本明細書に記載した製剤を投与する工程を含む。実施形態では、被験者は、IL−1関連障害、例えばドライアイ障害を有する。
【0023】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載した製剤を含む薬物送達デバイスに関する。
【0024】
さらに本明細書では、被験者におけるIL−1関連障害を治療若しくは予防するための医薬品の製造における、例えば被験者におけるIL−1関連障害を治療若しくは予防するために被験者に局所投与するための医薬品の製造における本明細書に記載した組成物の使用を開示する。実施形態では、本医薬品は、眼に投与するため、例えば眼に局所投与するためである。一部の実施形態では、本医薬品はビヒクル製剤、例えば本明細書に記載したソルビトール、クエン酸ナトリウム及びポロキサマー188を含む、若しくはそれらからなる水性製剤である。実施形態では、ビヒクル製剤は、治療用タンパク質が実質的にない(例えば、含んでいない)。
【0025】
一般に、本明細書に記載したように治療される被験者は、ヒト又は例えばイヌ若しくはネコなどの他の哺乳動物である。
【0026】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載した製剤を含む容器若しくはデバイスに関する。実施形態では、容器は、ブローフィルシール容器である。
【0027】
本出願人らは、さらにドライアイを治療するために有用な可能性がある、界面活性剤、等張化剤及び緩衝剤を含む医薬製剤(例えば、ビヒクル製剤)も又見いだした。一部の実施形態では、製剤はタンパク質若しくはペプチドを含有していない、例えば製剤は治療用タンパク質若しくはペプチドを含有していない。一部の実施形態では、界面活性剤はPluronic F68(ポロキサマー188)であり、緩衝剤はクエン酸塩であり、等張化剤はソルビトールである。一部の実施形態では、製剤は、キメラサイトカインタンパク質、例えば本明細書又は国際公開第2012/103240号パンフレットに記載されたキメラサイトカインタンパク質、例えばP05を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、さらに増粘剤、例えばCMCを含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、例えばドライアイの徴候及び/又は症状などの眼疾患を治療するために、眼に使用するために適合する(すなわち、眼送達に適合する)。
【0028】
本明細書で言及する天然型タンパク質には、特別にはそのようなタンパク質のヒト形態並びに他の哺乳動物種からの形態が含まれる。
【0029】
本明細書に記載した実施形態には、下記が含まれる:
実施形態1. 8〜12mMの濃度のクエン酸ナトリウム若しくはリン酸ナトリウム、4%〜6%(w/v)のソルビトール、0.08%〜0.12%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含み、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含んでいてもよい水性製剤であって、5.5〜7.5のpHを有し、眼障害を治療するために有効である水性製剤。
【0030】
実施形態2. 5.5〜6.5のpHを有する、実施形態1に記載の水性製剤。
【0031】
実施形態3. 治療用タンパク質を実質的に含まない、実施形態1又は実施形態2に記載の水性製剤。
【0032】
実施形態4. 8〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール及び0.09〜0.11%の濃度のポロキサマー188を含む、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0033】
実施形態5. 9〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール及び0.09〜0.11%の濃度のポロキサマー188からなる、実施形態4に記載の水性製剤。
【0034】
実施形態6. 9〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール及び0.09〜0.11%の濃度のポロキサマー188からなる、実施形態5に記載の水性製剤。
【0035】
実施形態7. 0.1〜1%(w/v)の濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0036】
実施形態8. 9〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール及び0.09〜0.11%の濃度のポロキサマー188を含む水性製剤であって、5.7〜6.3のpHを有し、治療用タンパク質を実質的に含んでおらず、眼障害(例えば、本明細書に記載した眼障害)を治療するために有効である水性製剤。
【0037】
実施形態9. 眼障害はドライアイ疾患である、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0038】
実施形態10. 眼痛若しくは眼のただれ、OSDIスコア及び/又は角膜フルオレセイン染色(CFS)スコアを減少させるために有効である、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0039】
実施形態11. 眼痛若しくは眼のただれは視覚アナログ尺度又はOSDIからの質問票を使用して評価される、実施形態10に記載の水性製剤。
【0040】
実施形態12. 1〜50mg/mLのIL−1β/IL−1Raキメラサイトカインタンパク質(例えば、P01、P02、P03、P04、P05、P06若しくはP07);クエン酸ナトリウム及びリン酸ナトリウムから選択される緩衝剤;例えば3.5〜6.5%(w/v)の濃度のソルビトール;例えば0.07〜0.13%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含み、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を含んでいてもよい水性製剤であって、5.5〜7.5のpHを有する水性製剤。
【0041】
実施形態13. キメラサイトカインタンパク質はP05である、実施形態12に記載の水性製剤。
【0042】
実施形態14. 1〜20mg/mLのP05を含む、実施形態13に記載の水性製剤。
【0043】
実施形態15. 3〜7mg/mLのP05を含む、実施形態13に記載の水性製剤。
【0044】
実施形態16. 4〜6mg/mLのP05を含む、実施形態13に記載の水性製剤。
【0045】
実施形態17. 5mM〜15mMの総濃度のクエン酸ナトリウム及び/又はリン酸ナトリウムを含む、実施形態13に記載の水性製剤。
【0046】
実施形態18. クエン酸ナトリウムが5mM〜15mMの濃度で存在する、実施形態12〜17のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0047】
実施形態19. クエン酸ナトリウムが8mM〜12mMの濃度で存在する、実施形態18に記載の水性製剤。
【0048】
実施形態20. クエン酸ナトリウムが9mM〜11mMの濃度で存在する、実施形態18に記載の水性製剤。
【0049】
実施形態21. ポロキサマー188が0.05%〜0.15%(w/v)の濃度で存在する、実施形態12〜20のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0050】
実施形態22. ポロキサマー188が0.08%〜0.12%(w/v)の濃度で存在する、実施形態20に記載の水性製剤。
【0051】
実施形態23. ポロキサマー188が0.09%〜0.11%(w/v)の濃度で存在する、実施形態20に記載の水性製剤。
【0052】
実施形態24. ソルビトールが2.5%〜7.5%(w/v)の濃度で存在する、実施形態12〜23のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0053】
実施形態25. ソルビトールが4%〜6%(w/v)の濃度で存在する、実施形態24に記載の水性製剤。
【0054】
実施形態26. ソルビトールが4.5〜5.5%(w/v)の濃度で存在する、実施形態24に記載の水性製剤。
【0055】
実施形態27. 1〜25mg/mLのP05、8mM〜12mMの濃度のクエン酸ナトリウム若しくはリン酸ナトリウム、4%〜6%(w/v)のソルビトール、0.08%〜0.12%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含み、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含んでいてもよい水性製剤であって、5.5〜7.5のpHを有する水性製剤。
【0056】
実施形態28. 1mg/mL〜25mg/mLのP05、8〜12mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4%〜6%(w/v)のソルビトール、0.08%〜0.12%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む、又はそれらからなる水性製剤であって、5.5〜7.5のpHを有する水性製剤。
【0057】
実施形態29. 1mg/mL〜25mg/mLのP05、9mM〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4.5%〜5.5%(w/v)のソルビトール、及び0.09%〜0.11%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む、又はそれらからなる水性製剤であって、5.7〜6.3のpHを有する水性製剤。
【0058】
実施形態30. 4〜6mg/mLのP05、9〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール、及び0.09〜0.11%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む、又はそれらからなる水性製剤であって、5.7〜6.3のpHを有する水性製剤。
【0059】
実施形態31. 270〜370mOsm/kgのオスモル濃度を有する、実施形態12〜30のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0060】
実施形態32. 眼に投与するために適合する、実施形態1〜31のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0061】
実施形態33. 眼に局所投与するために適合する、実施形態30に記載の水性製剤。
【0062】
実施形態34. 増粘剤を含まない、例えばCMCを含まない、実施形態1〜4及び8〜33のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0063】
実施形態35. さらにアミノ酸、例えばアルギニン、グルタミン酸、ヒスチジン若しくはメチオニンを含む、実施形態12〜34のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0064】
実施形態36. メチオニンをさらに含む、実施形態12〜34のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0065】
実施形態37. メチオニンが製剤中に1〜20mMの濃度で存在する、実施形態36に記載の水性製剤。
【0066】
実施形態38. 水性製剤が25℃で例えば少なくとも4週間にわたり保管された場合に、メチオニンを含まない対応する水性製剤に比較して酸化が減少する、実施形態36又は37に記載の水性製剤。
【0067】
実施形態39. 水性製剤が多用量容器内に保管された場合に、メチオニンを含まない対応する水性製剤に比較して酸化が減少する、実施形態38に記載の水性製剤。
【0068】
実施形態40. 水性製剤の酸化はRP−HPLCを使用して評価される、実施形態38又は39に記載の水性製剤。
【0069】
実施形態41. 光掩蔽粒子計数試験を使用して評価して、≧10μmの粒子に対して50個/mL以下の粒子及び≧25μmの粒子に対して5個/mL以下の粒子を有する、実施形態12〜40のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0070】
実施形態42. 例えば25℃の室温で4時間にわたりタンパク質溶液をボルテックスミキサーにかけた後の凝集形に比較してタンパク質の>90%のモノマー形の存在によって指示されるように安定である、実施形態12〜41のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0071】
実施形態43. 凝集形に比較したタンパク質のモノマー形のパーセンテージはSEC−HPLCを使用して評価される、実施形態42に記載の水性製剤。
【0072】
実施形態44. 2〜8℃及び60%の相対湿度で少なくとも5カ月間保管された後に安定である、実施形態12〜43のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0073】
実施形態45. 周囲条件下、例えば室温、例えば25℃で少なくとも5カ月間保管された後に安定である、実施形態12〜44のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0074】
実施形態46. 2〜8℃及び60%の相対湿度で少なくとも4カ月間保管された後に安定である、実施形態12〜45のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0075】
実施形態47. 周囲条件下、例えば室温、例えば25℃で少なくとも4カ月間保管された後に安定である、実施形態12〜46のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0076】
実施形態48. 2℃〜8℃及び60%の相対湿度で少なくとも3カ月間保管された後に安定である、実施形態12〜47のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0077】
実施形態49. 周囲条件下、例えば室温、例えば25℃で少なくとも3カ月間保管された後に安定である、実施形態12〜48のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0078】
実施形態50. 2〜8℃及び60%の相対湿度で少なくとも2カ月間保管された後に安定である、実施形態12〜49のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0079】
実施形態51. 周囲条件下、例えば室温、例えば25℃で少なくとも2カ月間保管された後に安定である、実施形態12〜50のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0080】
実施形態52. 2〜8℃及び60%の相対湿度で少なくとも1カ月間保管された後に安定である、実施形態12〜51のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0081】
実施形態53. 周囲条件下、例えば室温、例えば25℃で少なくとも1カ月間保管された後に安定である、実施形態12〜52のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0082】
実施形態54. 顕微鏡粒子計数試験を使用して評価して、≧10μmの粒子に対して50個/mL以下の粒子、≧25μmの粒子に対して5個/mL以下の粒子及び≧50μmの粒子に対して2個/mL以下の粒子の存在によって指示されるように安定である、実施形態12〜53のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0083】
実施形態55. SEC−HPLCを使用して評価した凝集形に比較してタンパク質の>90%のモノマー形の存在によって指示されるように安定である、実施形態12〜54のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0084】
実施形態56. 還元SDS−PAGEにおける参照標準物質への主要バンドの適合度によって指示されるように安定である、実施形態12〜55のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0085】
実施形態57. 非還元SDS−PAGEにおける参照標準物質への主要バンドの適合度によって指示されるように安定である、実施形態12〜56のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0086】
実施形態58. 水性製剤を弱カチオン交換HPLC(WCEX−HPLC)を使用して評価した場合に、85%以上の主ピークによって指示されるように安定である、実施形態12〜57のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0087】
実施形態59. P05を含み、WCEX−HPLCを使用して評価されるように10%未満のP05のdes−Ala形の存在によって指示されるように安定である、実施形態58に記載の水性製剤。
【0088】
実施形態60.ブローフィルシール容器内に包装される、実施形態12〜59のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0089】
実施形態61. 上記保管はブローフィルシール容器内での保管である、実施形態44〜53のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0090】
実施形態62. 治療方法であって、IL−1関連障害を有する被験者に実施形態1〜61のいずれか1つに記載の水性製剤を投与する工程を含み、それによりIL−1関連障害を治療する方法。
【0091】
実施形態63. IL−1関連障害はドライアイ障害である、実施形態62に記載の治療方法。
【0092】
実施形態64. 眼障害、例えばドライアイ障害を治療する方法であって、眼障害、例えばドライアイ障害を有する被験者に、8mM〜12mMの濃度のクエン酸ナトリウム若しくはリン酸ナトリウム、4%〜6%(w/v)のソルビトール、0.08%〜0.12%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含み、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含んでいてもよい水性製剤であって、5.5〜7.5のpHを有し、治療用タンパク質を実質的に含んでいない水性製剤を投与する工程を含み、それによりドライアイ障害を治療する方法。
【0093】
実施形態65. 水性製剤が、8mM〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4.5%〜5.5%(w/v)のソルビトール及び0.09%〜0.11%の濃度のポロキサマー188を含む、実施形態64に記載の治療方法。
【0094】
実施形態66. 水性製剤が、8〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール及び0.09〜0.11%の濃度のポロキサマー188からなる、実施形態64に記載の治療方法。
【0095】
実施形態67. ドライアイ障害を治療する方法であって、ドライアイ障害を有する被験者に1〜25mg/mLのP05、8mM〜12mMの濃度のクエン酸ナトリウム若しくはリン酸ナトリウム、4%〜6%(w/v)のソルビトール、0.08%〜0.12%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含み、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含んでいてもよい水性製剤であって、5.5〜7.5のpHを有する水性製剤を投与する工程を含み、それによりドライアイ障害を治療する方法。
【0096】
実施形態68. ドライアイ障害を治療する方法であって、ドライアイ障害を有する被験者に1mg/mL〜25mg/mLのP05、8mM〜12mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4%〜6%(w/v)のソルビトール、0.08%〜0.12%(w/v)の濃度のポロキサマー188からなる水性製剤であって、5.5〜7.5のpHを有する水性製剤を投与する工程を含み、それによりドライアイ障害を治療する方法。
【0097】
実施形態69. ドライアイ障害を治療する方法であって、ドライアイ障害を有する被験者に1mg/mL〜25mg/mLのP05、9mM〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4.5%〜5.5%(w/v)のソルビトール、及び0.09%〜0.11%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む、又はそれらからなる水性製剤であって、5.7〜6.3のpHを有する水性製剤を投与する工程を含み、それによりドライアイ障害を治療する方法。
【0098】
実施形態70. 眼痛若しくは眼のただれ、OSDIスコア及び/又は角膜フルオレセイン染色(CFS)スコアを減少させるために有効である、実施形態62〜69のいずれか1つに記載の治療方法。
【0099】
実施形態71. 眼痛若しくは眼のただれは視覚アナログ尺度又はOSDIからの質問票を使用して評価される、実施形態70に記載の治療方法。
【0100】
実施形態72. 水性製剤は1日1〜5回投与される、実施形態62〜70のいずれか1つに記載の治療方法。
【0101】
実施形態73. 水性製剤は局所投与される、実施形態62〜72のいずれか1つに記載の治療方法。
【0102】
実施形態74. 水性製剤は眼に局所投与される、実施形態73に記載の治療方法。
【0103】
実施形態75. 水性製剤は1日3回投与される、実施形態62〜74のいずれか1つに記載の治療方法。
【0104】
実施形態76. 水性製剤は随意に投与される、実施形態62〜71若しくは73〜74のいずれか1つに記載の治療方法。
【0105】
実施形態77. 実施形態1〜61のいずれか1つに記載の水性製剤を含む容器又はデバイス。
【0106】
実施形態78. 25℃で少なくとも2週間、例えば少なくとも4週間保管されており、微粒子物質を実質的に含まない、実施形態77に記載の容器又はデバイス。
【0107】
実施形態79. 実施形態1〜61のいずれか1つに記載の水性製剤を含むブローフィルシール容器。
【0108】
実施形態80. 実施形態1〜61のいずれか1つに記載の水性製剤を含む多用量容器。
【0109】
実施形態81. 実施形態35〜40に記載の水性製剤を含む多用量容器。
【0110】
実施形態82. 実施形態1〜61のいずれか1つに記載の水性製剤を含む薬物送達デバイス。
【0111】
実施形態83. ブローフィルシール容器である、実施形態82に記載の薬物送達デバイス。
【0112】
実施形態84. 不活性ガス、例えば窒素若しくはアルゴンを含有していてもよいパウチ中に密封される、実施形態77〜83のいずれか1つに記載の容器又はデバイス。
【0113】
実施形態85. IL−1関連障害、例えばドライアイ障害を治療する際に使用するための、実施形態1〜61のいずれか1つに記載の水性製剤。
【0114】
実施形態86. 被験者におけるIL−1関連障害を治療するための医薬品の製造における、実施形態1〜61のいずれか1つに記載の製剤の使用。
【0115】
実施形態87. 実施形態1〜61のいずれか1つに記載の水性製剤を含む容器又はデバイスを含むキットあって、及び取扱説明書を含んでいてもよいキット。
【0116】
上記の実施形態は、必ずしも別個の実施形態ではない。一部の場合には、上記の実施形態は相互に、及び/又は本明細書に開示した他の態様及び実施形態と結合されてよい。
【0117】
本明細書で言及した全ての特許、公開特許出願及び公表参考文献は、あらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0119】
本出願人らは、タンパク質、例えばキメラサイトカインポリペプチド、例えばIL−1β/IL−1Raキメラを、そのような製剤による治療を必要とする被験者に提供するために有用である製剤を実現した。製剤は一般に、安定性を必要とするタンパク質組成物、例えば撹拌に感受性である、例えばメチオニン残基のために酸化に感受性である、又は例えばアスパラギン若しくはアルギニン残基のために脱アミド化に感受性であるタンパク質を調製するために有用である。さらに本明細書では、そのような製剤を調製及び投与する方法を開示する。
【0120】
一部の実施形態では、製剤は、キメラサイトカインポリペプチド、例えばIL−1関連障害のための効果的な局所治療を含む医薬的使用、例えば眼科使用のために適合するIL−1β及びIL−1Ra配列に由来する選択された配列を含有するキメラポリペプチドを含む。一般に、本明細書に記載した製剤は、驚くべきことにポリペプチドが相当に高濃度である場合でさえ、例えばバルク原薬を保管するために適切な濃度並びに被験者を治療するために適切な濃度で安定である。この特徴の利点は、患者に使用するために薬物を調製する目的でバルク原薬から望ましくない物質を除去する必要がないことである。
【0121】
特に、本出願人らは、例えば眼において、例えば眼の正面若しくは角膜表面に局所投与のために適合するキメラサイトカインポリペプチドの効果的な水性製剤を首尾よく実現した。本出願人らの知る限りにおいて、本出願時現在、FDAにより承認された局所的眼投与のための承認された生物学的製剤(生物製剤)は存在しない。さらに、本出願人らは、そのようなポリペプチドを眼への投与と適合するpH(例えば、4.5〜7.0、5.5〜7.0、5.5〜6.5又は6.0〜7.0のpH)で、そのポリペプチドで処置される被験者にとって製剤を快適なものにさせる成分を含有するポリペプチドを調製することができた。患者は、製剤が快適である場合、例えば刺激を誘発しない場合は、治療により適合する可能性が高い。実施形態では、製剤は、例えば眼の赤み、流涙、粘液排出又は主観的不快感などの内の1つ以上の刺激の症状を誘発しない。
【0122】
安定性
局所眼科薬は、一般に患者により自己投与される。患者は薬物を相当に長期間にわたり保管している場合があるので、製剤は、典型的には投与前には医師若しくは薬剤師によってのみ保管される製剤より高温及び高レベルの撹拌ストレスに曝される可能性がある。当分野において公知であるように、タンパク質は低分子よりも撹拌及び温度に対してより感受性である。撹拌ストレスは沈降を引き起こすことがあり、熱ストレスは沈降及び化学的劣化をもたらすことがある。さらに、送達デバイス内への化合物の装填中、熱ストレスに曝露させられる可能性がある。本出願人らは、撹拌ストレス及び熱に曝露させられた場合に素晴らしい安定性を上首尾で提供する製剤を実現した。
【0123】
一部の製造工程は、製剤の相当に高温への少なくとも短時間の曝露を必要とする。例えば、製剤をブローフィルシール(BFS)容器内へ装填する工程は、充填工程と結び付いた撹拌に加えて、製剤の高温への曝露を生じさせることがある。本出願人らは、そのようなデバイス(BFS容器)内へ製剤を装填し、装填の直後及び長期間にわたる製剤の安定性を証明した。一部の実施形態では、本明細書に提供した製剤はFBSとともに使用するために適合する。実施形態では、BFSとともに使用するために適合する製剤は、BFS容器内への装填の直後及び/又はBFS容器内への保管後に、例えば本明細書に記載した期間及び条件下での保管後に安定性を示す。
【0124】
実施形態では、本明細書に記載した製剤は安定である。実施形態では、製剤は、本明細書に記載した条件(例えば、特定温度での保管、又は撹拌ストレス)下で安定性を示す。実施形態では、安定性は、本明細書に記載した1つ以上の方法(例えば、視覚的外観、分光測光法(A280)、非還元SDS−PAGE、還元SDS−PAGEによる含量;サイズ排除HPLC(SE−HPLC);逆相HPLC(RP−HPLC);弱カチオン交換HPLC(WCEX−HPLC);効力;光掩蔽粒子計数試験(例えば、USP<788>に記載された光掩蔽粒子計数試験)又は顕微鏡粒子計数試験(例えば、USP<788>に記載された顕微鏡粒子計数試験)に基づいて)及び/又は当分野において公知の方法を使用して評価される。
【0125】
安定性は、視覚的外観に基づいて評価できる。実施形態では、製剤は、目に見える微粒子物質を本質的に含まない透明からわずかに乳白がかった無色液剤であれば安定である。
【0126】
実施形態では、製剤は、約25℃〜約40℃、例えば約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃若しくは約40℃で少なくとも2日間、3日間、5日間、1週間、10日間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、16週間、20週間、25週間、30週間、35週間、40週間、45週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間以上の期間にわたり安定である。
【0127】
実施形態では、製剤は、保管中の長期間にわたり、約2℃〜約8℃、例えば約4℃、約5℃、約6℃、2℃〜8℃、4℃、5℃又は6℃の温度で安定である。例えば、製剤は、そのような保管温度で少なくとも2週間、4週間、6週間、2カ月間、3カ月間、6カ月間、1年間、2年間、3年間若しくは4年間の期間にわたり安定である。
【0128】
製剤の安定性は、例えば、2〜8℃での少なくとも2、4、6、8、12若しくは18カ月間の保管後、又は周囲条件下、例えば室温(RT)、例えば約25℃での、例えば少なくとも2週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、5カ月間、6カ月間、12カ月間若しくは18カ月間の保管後に評価することができる。実施形態では、製剤は、少なくとも8カ月間にわたる2〜8℃での保管後に安定である。実施形態では、製剤は、少なくとも5カ月間にわたる室温への曝露後に安定である。一部のそのような実施形態では、製剤は、例えば少なくとも5カ月間にわたるBFS容器内での保管後に安定である。
【0129】
安定性は、例えば本明細書に記載した、又は当分野において公知の方法及び基準に基づいて評価することができる。例えば、安定性は、物理的純度(例えば本明細書ではサイズ排除とも呼ぶサイズ排除HPLC、SE−HPLC若しくはSEC−HPLCを使用して評価される、例えば凝集の欠如)、化学的純度(例えば弱カチオン交換HPLC、逆相HPLC及び/又はSDS−PAGE(例えば還元若しくは非還元SDS−PAGE)を使用して評価される)及び/又は粒子状物質のレベル(例えば、視覚的に、又はHIAC液中粒子計数器(Beckman Coulter社、カリフォルニア州ブレア)を使用した粒子計数によって評価される)に基づいて評価できる。
【0130】
実施形態では、安定性は、例えばUSP<789>(米国薬局方、点眼剤の不溶性微粒子試験法)に規定されているように、点眼剤中の微粒子物質についての指針への準拠に基づいて証明される。
【0131】
実施形態では、製剤は、例えば光掩蔽粒子計数試験(例えば、USP<788>に記載された光掩蔽粒子計数試験)を使用して評価される、≧10μmの粒子に対して50個/mL以下の粒子及び/又は≧25μmの粒子に対して5個/mL以下の粒子を有する。
【0132】
実施形態では、製剤は、例えば顕微鏡粒子計数試験(例えば、USP<788>に記載された顕微鏡粒子計数試験)を使用して評価される、≧10μmの粒子に対して50個/mL以下の粒子、≧25μmの粒子に対して5個/mL以下の粒子及び/又は≧50μmの粒子に対して2個/mL以下の粒子を有する。
【0133】
実施形態では、安定性は、例えばUSP<788>(米国薬局方、注射剤の不溶性微粒子試験法)に規定されているように、注射剤中の微粒子物質についての指針への準拠に基づいて証明される。
【0134】
実施形態では、製剤は、例えば光掩蔽粒子計数試験(例えば、USP<788>に記載された光掩蔽粒子計数試験)を使用して評価される、≧10μmの粒子に対して6,000個/容器(容量が100mL以下の容器に対して)以下の粒子及び/又は≧25umの粒子に対して600個/容器(容量が100mL以下の容器に対して)以下の粒子を有する。
【0135】
実施形態では、製剤は、例えば顕微鏡粒子計数試験(例えば、USP<788>に記載された顕微鏡粒子計数試験)を使用して評価される、≧10μmの粒子に対して3,000個/5mL以下の粒子及び/又は≧25umの粒子に対して300個/5mL以下の粒子を有する。
【0136】
実施形態では、製剤中のタンパク質は、例えば室温(RT)で1〜8時間、例えばRTで4時間にわたりタンパク質溶液をボルテックスミキサーにかけた後に凝集の欠如(凝集の欠如は、例えば製剤が凝集形に比較してタンパク質の>90%、>91%、>92%、>93%、>94%、>95%、>96%、>97%、>98%若しくは>99%のモノマー形を含有する場合に証明できる)によって証明されるように、撹拌ストレスから保護される。凝集は、例えば本明細書に記載した、又は当分野において公知の方法を使用して評価できる。例えば、凝集は、超遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動法、動的光散乱法及び/又は濁度測定法を使用して評価できる。
【0137】
一部の態様では、安定性は、当分野において公知の物理的又は化学的方法によってアッセイされる。例えば、物理的純度又は凝集の欠如は、サイズ排除HPLC又は製剤中のモノマーポリペプチドの相対量を決定する他の方法を使用して決定できる。典型的には、許容される安定性を備える製剤は、タンパク質の凝集形に比較して、治療用タンパク質(例えば、キメラサイトカイン、例えばP05)の>90%のモノマー形を含有する。実施形態では、製剤は、治療用タンパク質の凝集形に比較して、治療用タンパク質(例えば、キメラサイトカイン、例えばP05)の>90%(例えば、>91%、>92%、>93%、>94%、>95%、>96%、>97%、>98%若しくは>99%)のモノマー形を含有する。
【0138】
化学的純度は、例えば、弱カチオン交換HPLC若しくは逆相HPLCを使用して決定できる。典型的には、許容される安定性を備える製剤は、例えば弱カチオン交換HPLCを使用して評価されるように、分子の化学修飾形に比較して、>80%の天然分子を含有する。実施形態では、製剤は、化学修飾形(例えば、酸化形若しくはアセチル化形)の分子に比較して、>80%(例えば、>85%、>87%、>90%若しくは>95%)の天然分子を含有する。
【0139】
粒子状物質は、視覚的に同定できる。実施形態では、製剤は、視覚的に同定できる粒子状物質を本質的に含まない製剤である。
【0140】
本出願人らは、注射により送達するために調製されたIL−1Raであるアナキンラに関する情報は、製品が3年間の保管寿命を有する、3〜8℃で保管されなければならない、及び「歩行使用するためには、Kineret(登録商標)は使用期限を越えずに25℃を超えない温度で12時間は冷蔵庫から取り出されてよい。この期間の終了時には、製品は冷蔵庫に戻してはならず、廃棄されなければならない。」と記載していることに注目している(medicines.org.uk/EMC/medicine/23104/SPC/Kineret+100+mg+solution+for+injection+in+a+pre−filled+syringe#SHELF_LIFEを参照されたい)。これは、本明細書に提供した、例えばP05製剤の驚くべき安定性とは明確な相違を表す。
【0141】
生物学的処理は、相当に短い保管寿命を有する、又は保管、輸送のための障害物を作り出す特別な保管条件及び患者使用並びに生物製剤の十分な供給の保証を必要とする可能性があるために、投与するためには問題が多い可能性がある。本明細書に提供された所定の製剤の利点は、驚くべきことに製剤は、冷蔵の条件下だけではなく、室温(例えば、25℃)及びそれ以上(例えば、40℃)に一致する温度でも安定である点である。したがって、サイトカインタンパク質若しくはポリペプチド製剤(例えば異種サイトカインタンパク質若しくはポリペプチド製剤)、例えば本明細書に記載した製剤は、一部の実施形態では、RT(例えば、25℃)で少なくとも3日間、5日間、1週間、10日間、2週間、3週間、6週間、8週間、16週間、20種間、25週間、30週間、35週間、40週間、45週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、12カ月間以上の期間にわたり安定である液体形で提供される。実施形態では、日付ベースで、例えば第1月の第1日〜第2月の第1日で決定される。
【0142】
他の態様では、製剤は、約25℃〜約40℃、例えば、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃若しくは約40℃で少なくとも2日間、3日間、5日間、1週間、10日間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、16週間、20週間、25週間、30週間、35週間、40週間、45週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間以上の期間にわたり安定である。
【0143】
1つの実施例では、製剤は、製剤のタンパク質成分、例えばP05が20mg/mLの濃度にある場合、25℃で1カ月間及び40℃で1週間にわたり安定である。又別の特定実施形態では、ブローフィルシールバイアル若しくはブローフィル送達デバイス内へ装填された製剤は、タンパク質、例えばP05を1mg/mL、5mg/mL若しくは10mg/mLの濃度で含む製剤については、25℃で少なくとも3カ月間にわたり安定である。一部の実施形態では、製剤は、少なくとも8カ月間安定である。
【0144】
実施形態では、4.5〜5.5mg/mLのP05、9〜11mMのクエン酸ナトリウム、4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール及び0.09〜0.11%(w/v)のポロキサマー188を含む製剤は、2℃〜8℃及び/又は室温、例えば25℃で少なくとも5カ月間安定である。一部の実施形態では、10mMのクエン酸ナトリウム、pH6.0、5%のソルビトール、0.1%のポロキサマー及び5mg/mL若しくは20mg/mLのP05からなる製剤は、2℃〜8℃で少なくとも5カ月間及び/又は室温、例えば25℃で少なくとも5カ月間安定である。
【0145】
濃度
生物製剤を投与する際の又別の問題は、十分な濃度の生物製剤を提供することである。これは、最少投与回数で治療効果を達成できるように相当に高濃度の生物製剤を提供することが望ましい眼科用途では特別な課題である。本出願人らは、例えば上述した、及び本明細書内のどこかに記載した条件などの条件下で保管した場合に目に見えて凝集しない、沈殿しない、又は化学的純度を消失しない高濃度又は治療的に有効な濃度のポリペプチドを含有する有効用量のキメラサイトカイン製剤を送達できる製剤を実現できている。さらに、本出願人らは、等張化剤、界面活性剤及び緩衝剤を含む製剤中に80mg/mLまでの、例えば50mg/mLのタンパク質濃度にあるサイトカイン製剤の安定性を証明した。このため、1つの態様では、本発明において特徴付けた製剤は、0.1mg/mL〜100mg/mL、0.1〜80mg/mL、0.1〜50mg/mL、0.1mg/mL〜20mg/mL、0.1mg/mL〜5mg/mL、0.1mg/mL〜1mg/mL、1mg/mL〜100mg/mL、5mg/mL〜100mg/mL、5mg/mL〜30mg/mL、10mg/mL〜100mg/mL、10mg/mL〜30mg/mL、20mg/mL〜100mg/mL、30mg/mL〜100mg/mL、40mg/mL〜100mg/mL、50mg/mL〜100mg/mL、60mg/mL〜100mg/mL、1mg/mL〜80mg/mL、5mg/mL〜80mg/mL、10mg/mL〜80mg/mL、20mg/mL〜80mg/mL、40mg/mL〜80mg/mL、50mg/mL〜80mg/mL、60mg/mL〜80mg/mL、1mg/mL〜60mg/mL、5mg/mL〜60mg/mL、10mg/mL〜60mg/mL、20mg/mL〜60mg/mL、30mg/mL〜60mg/mL、40mg/mL〜60mg/mL若しくは50mg/L〜60mg/mLの濃度で安定性で存在するキメラサイトカインポリペプチドを含有する。例えば、製剤は、0.1mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、5mg/mL〜20mg/mL、例えば5mg/mL若しくは20mg/mLを含有する。
【0146】
増粘剤は、例えば眼科使用のために製剤中で使用されることが多い。そのような増粘剤は、一般にさもなければ瞬き及び結膜嚢を通しての排液によって急速に一掃されるであろう眼科処置の滞留時間を増加させるために含まれる。しかしそのような増粘剤は、例えばアレルギー症状などの有害な作用を有する、製剤のタンパク質成分を損傷させる、又は視界不良を誘発する可能性がある。そのような増粘剤は本明細書に記載した所定の製剤において使用できるが、一部の実施形態では、本出願人らは、有効成分、すなわちキメラサイトカインのための増粘剤を必要としない効果的治療薬として使用される製剤を実現している。
【0147】
又別の態様では、本発明において特徴付けた製剤は、1つ以上の界面活性剤を含有する。界面活性剤の使用は、例えば分子の容器への接着を減少させるため、特に撹拌条件下でのタンパク質の凝集を減少させるために有用な可能性はあるが、界面活性剤の添加は、発泡、天然膜の破裂及びその他の障壁及び治療によって誘発される許容できない不快感のために治療薬を使用不能にさせる可能性がある。本発明者らは、界面活性剤を包含するが、そのような欠点を招かない製剤を提供することに成功した。典型的には、界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。開示した製剤において使用するために適合する界面活性剤は、ポロキサマー、例えばポロキサマー188を含むことができるが、それには限定されない。一部の実施形態では、界面活性剤はポリソルベート、例えばポリソルベート−20及びポリソルベート−80である。有用な可能性がある他の界面活性剤には、Cremophor(登録商標)EL、チロキサポール、オクトキシノール40(Triton(登録商標)X405及びポリオキシル40ステアレートが含まれる。所定の実施形態では、製剤は、界面活性剤(例えば、ポロキサマー188)を約0.05%、0.06%、0.1%〜1.0%、0.1%〜0.5%、0.2%〜0.5%若しくは0.1%〜0.2%(w/v)、例えば0.1%(w/v)のポロキサマー188の濃度で含有する。適切な界面活性剤及びそのような界面活性剤の濃度は、界面活性剤が撹拌試験において凝集を防止するかどうかを試験することによって決定できる。そのような試験を実施する方法は、当分野において公知である。例えば、撹拌ストレスから沈降を防止するために界面活性剤が必要とされるかどうかを決定できる。そのような実験では、典型的には、撹拌及び分析を使用してスクリーニングが実施される。そのような試験のために使用される濃度の例は、0.01%、0.02%、0.06%及び0.1%(w/v)の界面活性剤、例えばポロキサマー188である。実施形態では、凝集及び/又は沈降は、分光測光法(A
280)、視覚的検査、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、光掩蔽(例えば、HIACデバイスを使用する)又はMicro−Flow Imaging(商標)(MFI、ProteinSimple社、カリフォルニア州サンタクララ)による分析を使用して評価される。界面活性剤は、一般に、最小量の沈降、例えば目に見える沈降のない、又は注射における粒子状物質についての指針(例えば、USP<788>を参照されたい)又は点眼剤における粒子状物質についての指針(例えば、USP<789>を参照されたい)を満たす粒子計数が関連する製剤において使用するために選択される。
【0148】
又別の態様では、本発明において特徴付けた製剤は、1つ以上の等張化剤を含有する。適切な等張化剤には、塩化ナトリウム、ソルビトール、マンニトール、スクロース、トレハロース又は他の糖が含まれるがそれらに限定されない。何らかの理論に拘束されることなく、そのような等張化剤はキメラサイトカインポリペプチドの驚くべき安定性に寄与することができる。実施形態では、等張化剤、例えば糖、例えばソルビトールは、熱安定性を提供する、又は熱安定性に寄与する。所定の実施形態では、本発明において特徴付けた製剤は、眼のために等張性である(例えば、約270〜330mOsm/kgのオスモル濃度を有する)。一部の実施形態では、製剤は、約250〜約450mOsm/kg、300〜400mOsm/kg、350〜400mOsm/kg、200〜375mOsm/kg又は350〜375mOsm/kgのオスモル濃度を有する。実施形態では、製剤は、270〜330mOsm/kg、例えば約320mOsm/kgのオスモル濃度を有する。等張化剤に依存して、本発明において特徴付けた所定の実施形態は、約1%〜約15%(w/v)、2%〜12%(w/v)、5%〜12%(w/v)又は5%〜10%(w/v)を含有する。ソルビトール若しくはマンニトールについて、濃度の1つの例は、約5%(w/v)であり、例えば濃度は5%(w/v)である。スクロース若しくはトレハロースについて、濃度の1つの例は約9%(w/v)である。
【0149】
緩衝剤
又別の態様では、本明細書で特徴付けた製剤は、1つ以上の緩衝剤を含有する。適切な緩衝剤の例には、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、コハク酸塩及びTRISが含まれるがそれらに限定されない。一部の場合には、緩衝剤の塩は、ナトリウム塩若しくはカリウム塩である。本発明において特徴付けた所定の実施形態では、緩衝剤は、弱緩衝作用を提供するために約10mM〜約50mM、例えば約20mMから約40mMの量で存在する。これは、チクチクする痛み若しくは不快感が生じる場合、製剤が投与部位、例えば眼の表面上で急速に中和されることを可能にする。一部の実施形態では、緩衝剤は、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM若しくは約50mMの量で存在する。一部の製剤では、緩衝剤はクエン酸塩、例えばクエン酸ナトリウムである。他の製剤では、緩衝剤は、10mMで存在するクエン酸塩である。一般に、緩衝剤は弱緩衝剤である。
【0150】
一般に、適切なバッファーは、当該のポリペプチドが様々なpH、濃度、温度及び様々な時間にわたり様々なバッファーに曝露させられる安定性試験を実施することによって選択される。バッファーは、例えば、当該のポリペプチドをバッファー内に配置する工程及びサンプルを高温(促進安定性試験)にかけて次に物理的安定性(視覚的検査による沈降)若しくは化学的安定性を試験することによって、例えば弱カチオン交換クロマトグラフィーによる脱アミド化若しくは逆相クロマトグラフィーによる酸化を監視することによって選択できる。追加のアッセイには、A
280、SDS−PAGE、pH及びオスモル濃度の監視を含むことができる。最高の物理的及び化学的安定性を提供するバッファーが選択される。
【0151】
アミノ酸
又別の態様では、本発明において特徴付けた製剤は、1つ以上のアミノ酸を含有する。適切なアミノ酸には、アルギニン、グルタミン酸、ヒスチジン若しくはメチオニンが含まれるがそれらに限定されない。アミノ酸は、典型的にはタンパク質の安定性及び/又は溶解度を強化するために選択される。そのようなアミノ酸を同定する方法は、当分野において公知である。一部の実施形態では、例えばP05製剤などの製剤は、ヒスチジン若しくはメチオニンを含有する。
【0152】
一部の実施形態では、製剤は、酸素スカベンジャー、例えばメチオニンを含有する。一部の実施形態では、製剤はプラスチック容器内にある。実施形態では、プラスチック容器は、フリーラジカルを生成する方法を使用して滅菌される、例えば、容器はγ線又はエチレンオキサイドを使用して滅菌される。一部のそのような実施形態では、製剤は、メチオニン、例えば1〜20mMの濃度のメチオニンを含む。実施形態では、メチオニンは、1〜5mM、5〜10mM、10〜15mM、15〜20mM若しくは5〜15mMの濃度で存在する。実施形態では、メチオニンは、約1mM、5mM、10mM、15mM若しくは20mMの濃度で存在する。実施形態では、製剤はメチオニンを約5mMの濃度、例えば2.5〜7.5mM、3〜7mM若しくは4〜6mMの濃度で含有する。一部の実施形態では、滅菌済みプラスチック容器内にメチオニンを含製剤、及び酸化の量はメチオニンを含有しない対応する製剤の酸化の量より少ない。
【0153】
増粘剤
又別の態様では、本発明において特徴付けた製剤は、1つ以上の増粘剤を含有する。適切な増粘剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム(本明細書ではカルボキシメチルセルロース若しくはCMCとも呼ぶ)を含むメチルセルロース;エチルセルロースを含むヒドロキシセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース);カルボマー、例えば934P、971P及び974P;ポリビニルアルコール;キサンタンガム;グアールガム;ゲランガム;及びグリセリンが含まれるがそれらに限定されない。
【0154】
本発明において特徴付けた製剤は、さらに他の医薬上許容される賦形剤も含有していてよい。例えば、Gennaro(ed.),
Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.,Lippincott,Williams & Wilkins(2000)(ISBN:0683306472);Ansel et al.,
Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th Ed.,Lippincott Williams & Wilkins Publishers(1999)(ISBN:0683305727);Kibbe(ed.),
Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd ed.(2000)(ISBN:091733096X);
Protein Formulation and Delivery,McNally and Hastedt(eds.,Informa Health Care(ISBN:0849379490)(2007)を参照されたい。添加できる賦形剤は、特に、保存料、浸透強化剤及び生体接着剤である。浸透強化剤及び生体接着剤は、例えば、キトサン、サイトカラシンB、アミノ化ゼラチン、ポリ−ε−カプロレクトン(カルボポール941P);ポリ(ブチルシアノアクリレート);ポリ−L−アルギニン;シクロデキストリン;ゲラン;ポリ(アクリル酸);ヒアルロン酸;ムチン;アルギン酸塩;カルボフィル及びポロキサマー(例えば、Nagarwal et al.,J Controlled Release,136:2−13(2009);Ding,PSTT 1:328−35(1998);及びSahoo et al.,Drug Discovery Today,13:144−51(2008)を参照されたい)を含むことができる。その他の賦形剤は、安定剤として有用な可能性があり、例えば、グリセリン、塩化カリウム、リン酸カリウム、プロピレングリコール、酢酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム十水和物、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム(一塩基性及び二塩基性リン酸ナトリウムを含む);塩化亜鉛、フェノール、安息香酸塩、ヒマシ油及び酸化エチレンの誘導体並びにCremophor(登録商標)(BASF社、ドイツ国)を含むことができる。
【0155】
本発明において特徴付けた医薬組成物は、様々な形態で調製できる。これらには、例えば、液体、半固体及び固体剤形、例えば液剤(例えば、注射液及び注入液)、ナノ粒子及びリポソームを含む分散剤若しくは懸濁剤が含まれる。形態は、一般に投与及び治療用途の意図された様式に左右されることになる。本明細書に記載した作用物質のための組成物は、典型的には注射液若しくは注入液の形態にある、又は局所送達のため、例えば局所眼送達のために調製される。
【0156】
一部の実施形態では、本明細書に記載した医薬組成物は、製造及び保管条件下で無菌及び安定である。医薬組成物は、さらに又医薬組成物が投与についての規制及び工業規格にしたがっていることを保証するために試験することができる。組成物は、高い薬物(例えば、生物製剤)濃度に適合する液剤、マイクロエマルション剤、懸濁剤、リポソーム又はその他の規則的な構造として調製できる。無菌注射液は、本明細書に記載した作用物質を上記に列挙した成分の1つ又は組み合わせとともに必要量で適切な溶媒中に必要に応じて組み込み、その後にろ過滅菌を行うことにより調製できる。一般に、分散剤は、本明細書に記載した分散剤を、塩基性分散媒及び上記に列挙した成分から必要とされる他の成分を含有する無菌ビヒクル内に組み込む工程によって調製される。無菌注射液を調製するための無菌散剤の場合は、代表的な調製方法には、本明細書に記載した作用物質の粉末に事前に滅菌ろ過された溶液からの追加の所望の成分を加えたものを産生する真空乾燥法及びフリーズドライ法が含まれる。液剤の適正な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散剤の場合における必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。注射用組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる物質、例えばモノステアレート塩及びゼラチンを包含することによって操作することができる。そのような物質は、低用量製剤において特に有用な可能性がある。実施形態では、製剤は≦1mg/mLの治療用タンパク質(例えば、キメラサイトカイン、例えばP05)を含み、製剤にはゼラチンが含まれる。
【0157】
所定の実施形態では、製剤は、例えばキメラサイトカインポリペプチドの薬物動態(PK)(例えば、身体内、例えば眼内、例えば角膜上のその半減期に基づいて評価される)を延長させるために、担体を用いて調製される。そのような実施形態では、キメラサイトカインポリペプチドは、例えばインプラント若しくはマイクロカプセル封入送達系によって送達される放出制御製剤として送達できる。生分解性生体適合性ポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などを使用できる。例えば、Sustained and
Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照されたい
本明細書に記載した製剤の特徴は、それらが保存料を含有しないことである。一般に、保存料は、キメラサイトカインポリペプチドに影響を及ぼす可能性がある、例えばポリペプチドの構造に変化を誘発する可能性がある。さらに、保存料は、被験者において、所望の治療作用にとって正反対である例えば炎症応答を誘発する可能性がある。製剤は、無菌条件下で無菌で保管され、それらの最終容器内に充填される。
【0158】
ビヒクル製剤
本出願人らは、さらに予想外にも、本明細書に記載した治療用タンパク質を含有していない製剤(例えば、ビヒクル単独製剤)が眼疾患、例えばドライアイ疾患の内の1つ以上の徴候若しくは症状、例えば本明細書に記載したドライアイ疾患の内の1つ以上の徴候若しくは症状を治療するために有用であることも発見した。一部の実施形態では、ビヒクル製剤は、界面活性剤、等張化剤及び緩衝剤を含む。一部のそのような実施形態では、製剤は、疼痛(例えば、疼痛質問スコア若しくは視覚的アナログスケールを使用して評価される疼痛)、OSDI又はOSDIのサブスケールを減少させるために効果的である。一部のそのような実施形態では、製剤は、角膜フルオレセイン染色(CFS)を減少させる。本明細書で使用する用語「ビヒクル単独製剤」は、特別には、タンパク質若しくはペプチド成分を実質的に含んでいない、例えば治療用タンパク質を含有していない製剤を意味する。本明細書に記載したビヒクル製剤は、何らかの治療用タンパク質、例えば治療用ポリペプチドを含有できることを理解すべきである。
【0159】
一部の実施形態では、ビヒクル製剤、例えばビヒクル単独製剤は、実質的に界面活性剤(例えば、ポロキサマー188)、等張化剤(例えば、ソルビトール)及び緩衝剤(例えば、クエン酸ナトリウム)を含む。実施形態では、ビヒクル製剤は、タンパク質を実質的に含んでいない。実施形態では、ビヒクル製剤は、治療用タンパク質又はペプチドを実質的に含んでいない。実施形態では、ビヒクル製剤は、増粘剤を含有していない。
【0160】
有用な界面活性剤、等張化剤及び緩衝剤には本明細書に開示した界面活性剤、等張化剤及び緩衝剤が含まれる。一部の実施形態では、界面活性剤はポロキサマー188であり、等張化剤はソルビトールであり、緩衝剤はクエン酸ナトリウム及び/又はリン酸ナトリウムである。
【0161】
実施形態では、緩衝剤は、20mM以下の濃度で存在する。
【0162】
一部の実施形態では、ビヒクル製剤は、約0.1%(w/v)のポロキサマー188、約5%(w/v)のソルビトール及び約10mM(w/v)のクエン酸ナトリウムを含む。実施形態では、本明細書に記載したビヒクル製剤の成分は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%若しくは50%までの本明細書に提供した数値の周囲で変動してよい量で存在する。実施形態では、本明細書に記載したビヒクル製剤の成分は、10%までの本明細書に提供した数値の周囲で変動してよい量で存在する。一部の実施形態では、ビヒクル製剤は、10mMのクエン酸ナトリウム、pH6.0、5%(w/v)のソルビトール及び0.1%のポロキサマー188からなる水性製剤である。
【0163】
実施形態では、ビヒクル製剤は、9.5〜10.5mM、9〜11mM、8.5〜11.5mM、8〜12mM、7.5〜12.5mM、7〜13mM、6〜14mM若しくは5〜15mMのリン酸ナトリウム若しくはクエン酸ナトリウムを含む。実施形態では、ビヒクル製剤は、9.5〜10.5mM、9〜11mM、8.5〜11.5mM、8〜12mM、7.5〜12.5mM、7〜13mM、6〜14mM若しくは5〜15mMのクエン酸ナトリウムを含む。実施形態では、ビヒクル製剤は、4.75〜5.25%、4.5〜5.5%、4.25〜5.75%、4〜6%、3.75〜6.25%、3.5〜6.5%、3〜7%若しくは2.5〜7.5%(w/v)のソルビトールを含む。実施形態では、ビヒクル製剤は、0.095〜0.105%、0.09〜0.11%、0.085〜0.115%、0.08〜0.12%、0.075〜0.125%、0.07〜0.13%、0.06〜0.14%若しくは0.05〜0.15%(w/v)のポロキサマー188を含む。
【0164】
実施形態では、ビヒクル製剤のpHは、5.5〜7.5である。実施形態では、pHは、5.5〜6.5である。実施形態では、pHは、6〜7である。実施形態では、製剤は、8〜12mMのクエン酸ナトリウム、4〜6%(w/v)のソルビトール、0.08〜0.12%(w/v)のポロキサマー188を含み、5.5〜7.5のpH、例えば、5.5〜6.5のpHを有する。
【0165】
実施形態では、ビヒクル製剤は、9〜11mMのクエン酸ナトリウム、4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール、0.09〜0.11%(w/v)のポロキサマー188を含み、5.5〜7.5のpH、例えば、5.5〜6.5のpHを有する。実施形態では、ビヒクル製剤は、7〜13mMのクエン酸ナトリウム、3.5〜5.5%(w/v)のソルビトール、0.07〜0.13%(w/v)のポロキサマー188を含み、5.5〜7.5のpH、例えば、5.5〜6.5のpHを有する。
【0166】
実施形態では、ビヒクル製剤は、増粘剤を含有していない。
【0167】
実施形態では、ビヒクル製剤は、さらに増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を含む。実施形態では、ビヒクル製剤はCMCを、例えば0.1〜1%(w/v)、0.1〜0.5%(w/v)若しくは0.2〜0.3%(w/v)の濃度でCMCを含む。
【0168】
一部の実施形態では、ビヒクル製剤は、0.1%(w/v)のポロキサマー188、5%(w/v)のソルビトール、0.25%(w/v)のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び10mMのリン酸ナトリウムを含む。実施形態では、ビヒクル製剤は、約6.5のpHを有する。実施形態では、製剤の成分は、5%、10%、15%、20%、25%若しくは30%までの提供した数値の周囲で変動してよい量で存在する。一部の実施形態では、ビヒクル製剤は、0.1%(w/v)のポロキサマー188、5%(w/v)のソルビトール、0.25%(w/v)のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び10mMのリン酸ナトリウムを含む。
【0169】
実施形態では、製剤は、0.08〜0.12%(w/v)のポロキサマー188、4〜6%(w/v)のソルビトール、0.2〜0.3%(w/v)のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び8〜10mMのリン酸ナトリウムを含む。実施形態では、製剤は、5.5〜7.5のpH、例えば5.5〜6.5のpHを有する。
【0170】
投与
一部の実施形態では、本明細書で特徴付けた製剤、例えばキメラIL−1阻害剤などの治療用タンパク質を含有する製剤若しくはビヒクル製剤は、患者、例えばヒト若しくは他の哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、若しくはウマなどに局所投与される、及び例えば眼に投与される。一般に、本明細書に記載した製剤は、被験者に、任意の適切な方法、例えばボーラスとしての静脈内投与若しくは長期間にわたる持続注入によって、筋肉内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、滑液包内、経気管、皮下、表皮下、関節腔内、皮膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外注射、胸骨内注射及び注入によって投与することができる。その他の適切な投与様式には、局所(例えば、皮膚若しくは粘膜)又は吸入(例えば、鼻腔内若しくは肺内)経路が含まれる。所定の用途のためには、投与経路は、静脈内注射若しくは注入、皮下注射又は筋肉内注射の内の1つである。眼に投与するために、一部の実施形態では、本明細書で特徴付けた製剤(例えば、本明細書に記載したキメラサイトカイン製剤)のための投与様式は、例えば滴剤の形態での眼への局所投与である。製剤を含有することのできる、及び/又は製剤を投与するために使用できるデバイスの例には、単純なアイドロッパー、計量機能を備える、若しくは備えないスクイーズボトル及び例えばCatalent社(ニュージャージー州サマセット)によって製造されるデバイスのようなブローフィルシール(BFS)デバイス、例えばチップ・シールテクノロジー、銀/微量作用テクノロジー、無菌フィルター、圧潰型一次容器などを使用する複数回使用容器が含まれる。
【0171】
製剤についての又別の検討事項は、送達デバイス若しくは容器への粘着を最小限に抑えることである。例えば、界面活性剤、例えばポロキサマー188の添加は、P05の容器への粘着を最小限に抑えることができる。
【0172】
容器についての追加の考察は、容器が充填されると許容される保管寿命を提供する、例えば蒸発が許容される低レベルである、及び/又は製剤が遊離アッセイ仕様、例えば本明細書に記載した仕様を満たすことである。実施形態では、容器は、例えば5℃で少なくとも2年間、例えば少なくとも3年間、少なくとも4年間又は少なくとも5年間の保管寿命を提供するために適合する。実施形態では、容器は、5℃で少なくとも3年間の保管寿命を提供するために適合する。実施形態では、容器は、RTで少なくとも2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間又は12カ月間の保管寿命を提供するために適合する。実施形態では、容器は、RTで少なくとも5カ月間の保管寿命を提供するために適合する。様々な適切な容器材料は、当分野において公知であり、例えば所定のプラスチック、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)若しくはポリプロピレンである。
【0173】
製剤は、容器内での単回使用用途のために調製できる、又は複数回使用容器で使用するために調製できる。
【0174】
本明細書で特徴付けた製剤は、例えば眼の後区に関連する障害を治療するために、硝子体内に送達することができる。硝子体内投与の方法は当分野において公知であり、例えば、眼内注射、埋込型デバイスが含まれる。
【0175】
実施形態では、製剤は、埋込型デバイスを使用して硝子体内に投与される。実施形態では、製剤は、熱安定剤、例えばソルビトールを含む。実施形態では、ソルビトールは≧5%(w/v)の濃度で存在する。
【0176】
埋込型デバイスは、例えば、非生分解性デバイス、例えばポリビニルアルコール−エチレンビニルアセテートポリマー及びポリスルホンキャピラリー繊維、生分解性デバイス、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸及びポリ乳酸−co−グリコール酸、ポリカプロラクトン及びポリ無水物であってよい。デバイスは、例えばナノ粒子、リポソーム若しくはミクロスフェアなどの形態で送達することができる。
【0177】
本発明において特徴付けた製剤は、固定用量、体重決定用量(例えば、mg/kg)又は年齢決定用量として投与できる。製剤、例えばビヒクル製剤若しくは治療用製剤(例えば治療用タンパク質などの治療薬を含む製剤)は、例えば、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、隔日1回、3日毎に1回、4日若しくは5日毎に1回、毎週、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、1カ月1回、2カ月に1回、3カ月に1回、4カ月に1回、6カ月に1回又は必要に応じて(随意に)投与することができる。
【0178】
実施形態では、製剤は、1日に1回、2回又は3回投与される。一部のそのような実施形態では、製剤は、例えば眼の表面に局所投与される。医薬組成物は、「治療有効量」の本明細書に記載した作用物質を含むことができる。作用物質の治療有効量は、例えば個体の疾患状態、年齢、性別及び体重などの因子、並びに化合物が個体における所望の応答、例えば少なくとも1つの障害パラメーター(例えば、徴候)の緩和、又は疾患の少なくとも1つの症状(及び投与される任意の追加の作用物質の作用であってよい)の緩和を引き出す能力によって変動する可能性がある。治療有効量は、さらに治療的に有益な作用が組成物の何らかの毒性若しくは有害作用を勝る量でもある。一部の実施形態では、「治療有効量」は、個体の集団内で決定され、その量は、サイトカイン関連障害、例えばIL−1関連障害の少なくとも1つの症状若しくは徴候を罹患した集団の少なくとも5%、10%、25%、50%、70%、75%、80%、85%、90%、95%若しくは100%において緩和することに効果的である。製剤は、典型的には治療有効量で投与される。一部の場合には、治療有効製剤は、ビヒクル製剤である。一部の場合には、治療有効製剤は、治療用タンパク質を含む。
【0179】
一部の実施形態では、製剤は、IL−1関連障害を有する被験者に投与され、キメラサイトカインポリペプチドはIL−1β及びIL−1Ra配列のフラグメントを含む。そのような製剤は、例えば、5mg/mL〜20mg/mL、5mg/mL若しくは20mg/mLのポリペプチドを含有する。実施形態では、製剤は、眼に1日1回、2回、3回、4回、5回若しくは6回局所投与される。医薬組成物は、本明細書に記載した、及び当分野において公知の医療デバイス、例えばインプラント、注入ポンプ、皮下針及び無針皮下注射デバイスを使用して投与できる。デバイスは、例えば、医薬組成物を保管するための1つ以上のハウジングを含むことができ、キメラサイトカインポリペプチド及び任意選択的に第2作用物質の単位用量を送達するために構成することができる。用量は、固定用量、つまり治療対象の被験者のための単一用量として適する物理的に別個の単位であってよく、各単位は医薬担体に関連する、及び任意選択的に他の作用物質、例えばRestasis(登録商標)又は、例えば店頭薬若しくは処方製品として入手できる人工涙と関連する所望の治療作用を生成するために計算された規定量のキメラサイトカインポリペプチドを含有することができる。
【0180】
一部の実施形態では、本明細書で記載した障害、例えばIL−1関連障害を治療するために、製剤はその障害を有する被験者に、その障害の少なくとも1つの徴候若しくは症状における持続性改善を誘導するために十分な量及び時間にわたり投与される。改善は、被験者が例えば1〜4週間空いた少なくとも2回の時点に長期間にわたる改善を示す場合は「持続性」と見なされる。改善度は、徴候若しくは症状に基づいて決定することができ、さらに例えばクオリティ・オブ・ライフ質問票などの被験者に与えられる質問票も使用することができる。1つの非限定的実施例では、キメラサイトカインポリペプチドは、IL−1β及びIL−1Raのフラグメントを含み、少なくとも週1回、例えば少なくとも1日1回、少なくとも1日2回又は少なくとも1日3回局所投与される。
【0181】
改善は、被験者が選択された徴候及び/又は症状についてのベースラインに比した改善を発現するまで、1用量の製剤を繰り返し投与することによって誘導できる。慢性状態を治療する際には、改善の量は、少なくとも1カ月間以上、例えば1カ月間、2カ月間若しくは3カ月間以上、又は無期限の期間にわたる繰り返し投与によって評価することができる。急性状態を治療する際には、作用物質は、1〜6週間の期間にわたり、又は単回投与としてさえ投与することができる。
【0182】
初回若しくは間欠的治療後の障害の程度は1つ以上の徴候若しくは症状によると改善したように見える可能性があるが、治療は同一レベルで、又は用量若しくは頻度を減らして無期限に継続することができる。治療は、さらに又徴候若しくは症状の改善又は消失時中止することもできる。治療がいったん減少若しくは中止されても、症状が再出現したら再開することができる。
【0183】
治療
本明細書で特徴付けた一部の製剤は、治療用タンパク質を含む。実施形態では、製剤は、例えばIL−1Rに結合することができ、及びIL−1シグナル伝達に拮抗できる、このため、(i)少なくとも一部にはIL−1作動性によって誘発される、(ii)IL−1シグナル伝達成分(例えばIL−1α、IL−1β若しくはIL−1RI)の上昇したレベル若しくは活性又は上昇したIL−1シグナル伝達と関連する、及び/又は(iii)IL−1活性を低下させることによって緩和される何らかの疾患若しくは医学的状態を含む、「IL−1関連障害」を治療するために使用できるようなキメラ受容体結合剤(例えば、キメラサイトカイン)を含む。IL−1関連障害には、自己免疫障害及び炎症性障害を含む、急性及び慢性障害が含まれる。IL−1関連障害には、全身性及び非全身性障害が含まれる。IL−1α及びIL−1βは感染性応答並びに例えば関節リウマチを含む炎症性疾患に関係する強力な前炎症性サイトカインであることは明確に確定されている。増加したIL−1産生は、所定の自己免疫障害、虚血症及び様々な癌を有する患者において観察されており、このため、IL−1をこれらの疾患や関連疾患に関係付けている(例えば、Sims and Smith,Nature Rev Immunol,10:89−102(2010)を参照されたい)。
【0184】
本明細書で使用する用語「治療する」は、本明細書に記載した作用物質の被験者、例えば患者への、統計学的に有意な程度まで、又は当業者であれば検出できる程度まで、障害、例えば本明細書に記載した障害に関連する状態、症状若しくはパラメーターを改善するために、又は疾患の発生若しくは進行を予防するために有効な量、方法及び/又は様式での投与を意味する。治療は、障害、障害の症状又は障害に向かう素因を回復させる、治癒させる、緩和する、軽減する、変化させる、救済する、改良する、和らげる、改善する、又は影響を及ぼすことであってよい。有効な量、方法又は様式は、被験者に依存して変動してよく、及び被験者に合わせて作成できる。代表的な被験者には、ヒト、霊長類及び他の非ヒト哺乳動物が含まれる。本発明において特徴付けた製剤は、障害又はその症状若しくは徴候が発生する危険性を減少させるために予防的に与えることもできる。
【0185】
IL−1関連障害は、自己免疫障害であってよい。IL−1関連性自己免疫障害には、関節リウマチ、強直性脊椎炎、ベーチェット症候群、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)、喘息、乾癬、I型糖尿病、座瘡の一部の形態及び本明細書に同定した他の障害が含まれる。本明細書に記載した製剤は、そのようなIL−1媒介性自己免疫障害を有する、又はその恐れがある被験者に投与することができる。IL−1媒介性障害は、例えば下記に記載するような炎症性障害であってよい。本明細書に記載した製剤は、そのようなIL−1媒介性自己免疫障害を有する、又はその恐れがある被験者に投与することができる。
【0186】
本発明において特徴付けた製剤は、眼障害、例えば眼にキメラサイトカイン受容体を直接的に、又は眼の領域に局所的に投与するのが所望である眼障害において使用するために特に適する。代表的なIL−1関連性眼障害には、シェーグレン症候群(例えば、シェーグレン症候群に関連する乾性角結膜炎)、乾性角結膜炎(シェーグレン関連性若しくは非シェーグレン関連性)を含むドライアイ障害、乾性角膜炎、乾燥症候群、眼球乾燥症、涙液膜障害、涙液産生の減少、涙液減少症、対宿主性移植片疾患に関連するドライアイ及びマイボーム腺機能不全症が含まれる。ドライアイ障害を有する被験者は眼の炎症を示す可能性があり、チクチク感、イライラ感、痒み、ヒリヒリ感若しくは圧感、刺激、疼痛及び充血を経験する可能性がある。ドライアイ障害は、過度の流涙及び不十分な涙液産生と関連する可能性がある。本発明において特徴付けた製剤は、1つ以上のそのような症状の発生又は悪化を緩和若しくは予防するためにそのような被験者に投与することができる。本発明において特徴付けた製剤はさらに又、被験者における疼痛、例えば眼痛、例えば神経炎症に起因する疼痛を緩和するためにも使用できる。
【0187】
本明細書に記載した実施形態には、IL−1関連障害、例えばドライアイ障害を有する動物を治療する方法が含まれる。ドライアイは、例えば、イヌにおいては重篤な障害の場合がある。ドライアイに関連するイヌにおける障害の非限定的例には、先天性障害、感染症(例えば、イヌジステンパーウイルス)、薬物誘導(例えば、サルファ系抗生物質による)及び第三眼瞼涙腺の切除(「チェリーアイ」)が含まれる。ドライアイ障害は、さらに所定の犬種、例えばコッカースパニエル、シーズー、ラサアプソ、ブルドッグ、シュナウツァー及びウェストハイランドホワイトテリアにおいても一般に見られる。治療できる動物の他の非限定的例には、ネコ及びウマが含まれる。
【0188】
本明細書で特徴付けた製剤は、さらに又眼の表面、例えば角膜を侵す他の障害を治療するためにも使用できる。そのような障害には、角膜眼表面の炎症性状態、角膜血管新生、末梢性潰瘍性角膜炎及び細菌性角膜炎を含む角膜炎が含まれる。製剤は、角膜創治癒を経験している被験者(例えば、角膜創を有する被験者)を治療するために使用できる。製剤は、眼を含む手技、例えば角膜移植/角膜形成術、人工角膜移植手術、層状移植術、選択的内皮移植術を受けようとしている、受けている、又はそれらから回復中の被験者に投与することができる。例えば、Dana(2007)Trans Am Ophthalmol Soc 105:330−43;Dekaris et al.(1999)Curr Eye Res 19(5):456−9;及びDana et al.(1997)Transplantation 63:1501−7を参照されたい。
【0189】
製剤は、結膜瘢痕形成障害及び結膜炎、例えばアレルギー性結膜炎、例えば重症アレルギー性結膜炎を含む結膜を侵す障害を治療するために使用できる。製剤は、さらに他の障害、例えば類天疱瘡症候群及びスティーブンス・ジョンソン症候群などを治療するために使用できる。本発明において特徴付けた製剤は、眼中又は眼の周囲における血管新生を調節するために被験者に投与できる。例えば、Dana(2007)Trans Am Ophthalmol Soc 105:330−43を参照されたい。
【0190】
本発明の製剤は、眼を侵すアレルギー性反応を有する被験者、例えば重症アレルギー性(アトピー性)眼疾患、例えばアレルギー性結膜炎に悩んでいる被験者に投与することができる。例えば、製剤は、局所投与することができる。例えば、さらにKeane−Myers et al.(1999)Invest Ophthalmol Vis Sci,40(12):3041−6を参照されたい。
【0191】
本発明において特徴付けた製剤は、眼を侵す自己免疫障害を有する被験者に投与することができる。代表的な自己免疫眼障害には、交感性眼炎、フォークト・小柳・原田(VKH)症候群、バードショット脈絡網膜症、眼瘢痕性類天疱瘡、フックス虹彩毛様体炎及び様々な形態のブドウ膜炎が含まれる。製剤は、被験者に上記の障害のいずれかを治療するために投与できる。
【0192】
本発明において特徴付けた製剤は、糖尿病性網膜症を有する、又はその恐れがある被験者に投与することができる。例えば、Demircan et al.(2006)Eye 20:1366−1369及びDoganay et al.(2006)Eye,16:163−170を参照されたい。
【0193】
ブドウ膜炎。ブドウ膜炎には急性及び慢性形態が含まれ、虹彩、毛様体及び脈絡膜の内の1つ以上の炎症を含む。慢性形態は全身性自己免疫疾患、例えば、ベーチェット症候群、強直性脊椎炎、若年性関節リウマチ、ライター症候群及び炎症性腸疾患と関連する可能性がある。前部ブドウ膜炎では、炎症は主として虹彩内である(さらに虹彩炎)。前部ブドウ膜炎は、全身性自己免疫疾患を有する被験者を侵す可能性があるが、さらに全身性自己免疫疾患を有していない被験者も侵すことがある。中間部ブドウ膜炎は、前部硝子体、周辺網膜及び毛様体の炎症を含んでおり、わずかな前部若しくは脈絡網膜炎症を伴うことが多い。扁平部炎(Pan planitis)は、虹彩と脈絡膜との間の毛様体扁平部の炎症の結果として生じる。後部ブドウ膜炎は、眼球血管膜及び主として脈絡膜に関係し、脈絡膜炎とも呼ばれる。後部ブドウ膜炎は、全身性感染症又は自己免疫疾患と関連する可能性がある。後部ブドウ膜炎は、数カ月間及び数年間さえ持続することがある。本発明において特徴付けた製剤は、被験者に上記の形態のブドウ膜炎のいずれかを治療するために投与できる。さらに、例えばTsai et al.(2009)Mol Vis 15:1542−1552及びTrittibach et al.(2008)Gene Ther.15(22):1478−88を参照されたい。
【0194】
一部の実施形態では、本発明において特徴付けた製剤は、加齢性黄斑変性症(AMD)を有する、又はその恐れがある被験者を治療するために使用される。製剤は、眼に局所的に、注射して(例えば、硝子体内)又は全身性で提供することで投与できる。例えば、Olson et al.(2009)Ocul Immunol Inflamm 17(3):195−200を参照されたい。
【0195】
本明細書に記載した製剤は、眼疾患を治療するためにいずれかの様式によって投与できる。作用物質は、非経口様式で送達できる。又は、若しくは追加して、製剤は眼に直接的に、又は眼の近傍に送達することができる。例えば、製剤は、例えば本明細書に記載したように、局所的若しくは眼内に投与することができる。
【0196】
眼送達のための製剤及び方法
本発明において特徴付けた眼科用製剤は、局所投与のために、例えば点眼液、軟膏剤若しくはゲル剤として投与するため、又は例えば眼の前房若しくは結膜嚢内に埋め込むために送達することができる。滴剤、例えば点眼液は、アイドロッパーを使用して送達できる。ゲル剤及び軟膏剤も又ドロッパーを使用して投与できる。眼送達のために調製された場合、活性物質(例えば、キメラサイトカインタンパク質若しくは受容体結合剤)は、0.0001%〜0.1%、0.001%〜5%、例えば、0.005%〜0.5%、0.05%〜0.5%、0.01%〜5%、0.1%〜2%若しくは1%〜5%の濃度で存在してよい。一部の実施形態では、濃度は、例えばP05の2%である。他の実施形態では、濃度は、例えばP05の0.5%である。
【0197】
一部の実施形態では、受容体結合剤、例えばP05は、例えば上述したようにmg/mLベースで調製される。例えば、活性物質、例えば受容体結合剤は、IL−1阻害剤であり、1〜50mg/mL、1〜25mg/mL、1〜20mg/mL、1〜10mg/mL、2〜8mg/mL、3〜7mg/mL若しくは4〜6mg/mLの濃度で存在する。実施形態では、活性物質は、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、8mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、40mg/mL若しくは50mg/mLの濃度で存在する。実施形態では、活性物質、例えばIL−1阻害剤は、100mg/mLまでの濃度で存在する。
【0198】
典型的には、眼科用製剤は、角膜上、眼瞼上、又は眼球と眼瞼の間の空間(盲嚢)内への滴注を含めて眼に直接的に投与される。眼科用製剤は、涙液と容易に混合し、角膜及び結膜の表面全体に塗り広げるために設計することができる。通常の投与技術を用いて、薬物の主要部分は、典型的には下円蓋部内に沈積される。毛管現象、拡散力及び瞬目反射は前角膜から角膜内に浸透して通過する前角膜内への薬物の組み込みを駆動する。
【0199】
本発明において特徴付けた眼科用製剤は、さらに1つ以上の他の作用物質、例えば抗炎症性ステロイド剤、例えばリメキソロン、ロテプレドノール、メドリゾン及びヒドロコルチゾン又は非ステロイド性抗炎症薬を含むことができる。例えば、ステロイド剤は、0.001%〜1%の濃度で存在することができる。一部の実施形態では、ステロイド剤は存在しない。例えば、受容体結合剤は、製剤中の唯一の活性物質である。
【0200】
製剤は、さらに又本明細書に記載した下記の成分の界面活性剤、等張化剤、バッファー、保存料、共溶媒及び粘度形成剤の内の1つ以上をさらに含むことができる。等張化剤は、組成物の張性を例えば自然涙の張性に調整するために使用できる。等張化剤、特に糖は、さらに又熱安定剤としても機能できる。実施形態では、適切な張性、例えば生理学的張性を実現するために、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、デキストロース及び/又はマンニトールが添加されてよい。等張化剤は、本明細書に記載した適切なオスモル濃度を提供するために十分な量で加えることができる。実施形態では、等張化剤は、約150mOsm/kg〜450mOsm/kg若しくは250mOsm/kg〜350mOsm/kgのオスモル濃度を提供するために加えられる。実施形態では、等張化剤は、眼内で等張性であるオスモル濃度を提供するために加えられる。実施形態では、等張化剤、例えばソルビトールは、270〜330mOsm/kgのオスモル濃度を提供するために加えられる。
【0201】
製剤は、さらに又眼科用送達のために、及び本明細書に記載したように適合する緩衝も含むことができる。バッファーは、pHにおける変化にとって、1つ以上の緩衝成分、例えばクエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ホウ酸、コハク酸塩、酢酸塩又はそれらの医薬上許容される塩(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム若しくは酢酸ナトリウム)を含むことができる。緩衝成分は、特に保管条件下で、例えば製剤が長期保管される場合に使用できる。例えば、バッファーは、pH5.5〜6.5、pH5.5〜6.0、pH6.0〜7.5若しくはpH6.5〜7.5の範囲内の標的pHを提供するために選択できる。典型的には、緩衝剤は弱緩衝剤であるが、このとき緩衝成分の濃度は20mM未満である。実施形態では、緩衝成分の濃度は、約5〜20mM、例えば、5〜15mM、例えば5〜10mMである。
【0202】
治療用タンパク質を含む製剤は、水性若しくはリン脂質担体を含むことができる。特にドライアイ障害を治療するためには、製剤は、短期緩和を提供するための作用物質、例えば眼を潤滑して涙形成に役立つ化合物を含むことができる。例えば、リン脂質担体(1つ以上のリン脂質を含む)は、短期緩和を提供するために使用できる。人工涙組成物担体として有用な例若しくは人工涙組成物には、市販製品、例えばTears Naturale(登録商標)(Alcon Labs社、米国テキサス州)が含まれる。例えば、製剤は、1mL当たり1mgのデキストラン、70及び3mgのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことができ、さらに例えばPOLYQUAD(登録商標)(ポリクオタニウム−1)0.001%(m/v)などの保存料を含んでいてもよい。リン脂質担体製剤の例には、米国特許第4804539号明細書、同第4883658号明細書、同第5075104号明細書、同第5278151号明細書及び同第5578586号明細書に開示されたリン脂質担体製剤が含まれる。
【0203】
製剤は、さらに潤滑剤若しくは湿潤剤として作用する他の化合物も含むことができる。これらには、例えばモノマーポリオール類、例えばグリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール;ポリマーポリオール類、例えばポリエチレングリコール、セルロースファミリーの様々なポリマー類;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)、デキストラン類、例えばデキストラン70;水溶性タンパク質類、例えばゼラチン;及びビニルポリマー類、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン及びカルボマー類、例えばカルボマー934P、カルボマー941、カルボマー940、カルボマー974Pなどの増粘剤が含まれる。さらに追加の例には、多糖類、例えばヒアルロン酸及びその塩、硫酸コンドロイチン及びその塩並びにアクリル酸ポリマーが含まれる。所定の実施形態では、製剤は、1cP〜400cPの粘度を有する。
【0204】
製剤、例えばビヒクル製剤は、単回使用又は複数回使用のために、例えば関連ドロッパーを備えるボトル内若しくは1組の単回使用ドロッパーとして包装することができる。
【0205】
製剤は、例えば使用中の細菌汚染及び真菌汚染を防止するために1つ以上の保存料及び/又は例えばタンパク質を可溶化するために1つ以上の洗剤若しくは界面活性剤を含むことができる。代表的な保存料には、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、臭化ベンゾドデシニウム、メチルパラベルン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸及びポリクオタニウム−1が含まれ、0.001%(w/v)〜1.0%(w/v)の濃度で含むことができる。典型的には、本明細書に記載した治療用タンパク質を含有する製剤は、無菌であるが、それでも保存料を含んでいない。
【0206】
代表的な洗剤/界面活性剤には、Pluronics(登録商標)、例えばF−68;Triton(登録商標)界面活性剤、例えばTriton X−100、ポリソルベート類、例えばTween−20及びTween−80、Elugent(商標)及びCremophor(登録商標)ポリエトキシ化ヒマシ油並びにチロキサポール、オクトキシノール40及びポリオキシル40ステアレートが含まれる。
【0207】
一般に、洗剤及び/又は界面活性剤は、0.001%(w/v)〜1.0%(w/v)の濃度で含むことができる。一部の態様では、製剤は洗剤を含んでいない。
【0208】
眼科用パックは、眼科用製剤と眼との長期の接触を生じさせるために使用されてよい。綿撤糸が製剤で飽和させられ、次に上円蓋若しくは下円蓋内に挿入される。製剤は、さらに又イオントフォレーシスによって投与されてもよい。この方法は電極を担持する洗眼用カップ内で液剤と角膜との接触を保持する。薬物の拡散は、電位差によって実施される。使用されてきたイオントフォレーシスシステムには、Ocuphor(登録商標)1(Iomed社、米国)、Eyegate(登録商標)II Delivery System1(EyeGate Pharma社、米国)、及びVisulex(登録商標)1(Aciont社、米国)が含まれる。Amo and Urtti,Drug Discovery Today,13:143(2008)を参照されたい。
【0209】
持続性眼送達のための又別の戦略は、ゲル化剤の使用である。これらの材料は、液体形で、点眼剤又は眼内注射として送達できる。滴下後、ポリマーは相転移を経験し、長期間にわたり薬物を放出する半固体若しくは固体マトリックスを形成する。相転移は、温度、イオン濃度又はpHの変化によって誘導できる。
【0210】
局所的眼使用のためには、ゲル形成溶液、例えばGelrite(登録商標)(ゼラチンガムからの精製アニオン性ヘテロ多糖)を含有するTimoptic(登録商標)−XE1(Merck社、米国)、ポリ(アクリル酸)を含有するPilogel(登録商標)1(Alcon社、スイス国)点眼液及びAzasite(登録商標)1(Insite Vision社、米国)が臨床試験を受けてきた。これらの材料は、従来型点眼液に比較して薬物滞留性を強化し、眼内への薬物吸収の増加及び投与頻度の減少を導く。Amo and Urtti,Drug Discovery Today,13:135−143(2008)を参照されたい。
【0211】
本発明において特徴付けた製剤は、注射によって、例えば硝子体内、眼周囲又は結膜下注射によって送達できる。製剤は、結膜下へ注射して、単純な拡散による胸膜を通って眼内への通過を促進することができる。製剤はさらに、作用物質を毛様体、脈絡膜及び網膜へ送達するために結膜下及び眼のより後方部分における下にあるテノン嚢に注射することができる。製剤は、さらに又球後注射によって投与されてもよい。
【0212】
実施形態では、本明細書に記載した製剤は硝子体内投与される。実施形態では、製剤はCMCを含んでいない。
【0213】
評価
ドライアイ及び他の表面疾患に関して、被験者は、当分野において公知のアプローチ、例えば前眼部障害指数(OSDI)、角膜及び結膜染色並びにシルマー試験の内の1つ以上を使用して評価できる。OSDIを使用する場合、ベースラインからの負の変化は視覚関連機能及び眼炎症性障害の改善を示す。
【0214】
角膜のフルオレセイン染色については、食塩水に浸したフルオレセインストリップ若しくは1%フルオレセインナトリウム溶液を使用して涙液膜を染色する。典型的には、次に角膜全体は、黄色バリアーフィルター(#12 Wratten)及びコバルトブルー照明を用いて細隙灯顕微鏡検査を使用して試験する。染色は、例えばNEIスケール、Oxfordスキーム又は変法Oxfordスキームにしたがって等級付けできる。典型的には、染色は、角膜が5つの区画(中心円形区画及び下側、上側、鼻側及び側頭側四分円と呼ばれる、中心角膜区画を取り囲む4つの四分円)に分割され、その1つ1つが最大可能スコア15を生じさせるために点状染色について0〜3でスコア付けされる15ポイントスケールであるNEIスケールにしたがって等級付けされる。
【0215】
結膜染色は、同様に上皮疾患又は眼表面の上皮障壁における破損の尺度である。結膜染色は、リサミングリーンを使用して細隙灯下で実施する。食塩液に浸したストリップ若しくは1%のリサミングリーン溶液を使用して涙液膜を染色し、眼瞼間結膜染色を30秒間より後だが2分間未満に評価する。中強度の白色灯を使用して、鼻側及び側頭側結膜染色の眼瞼間領域だけを、例えばOxfordスキームを使用して等級付けする。
【0216】
シルマー(Schirmer)試験は、下盲嚢内に細い濾紙片(#41 Whatman濾紙の5×35mm片)を配置することによって麻酔の存在下又は非存在下で実施する。この試験は、薄暗い室内で実施する。患者は、5分間が経過するまで静かに目を閉じ、濾紙片を取り外す。涙液最前部は眼から取り除かれた後も数mm前進し続けるので、5分後に涙液最前部を正確にボールペンでマーキングする。涙液産生は、濾紙片が5分間に湿潤する長さ(mm)で測定する。麻酔薬を使用しないシルマー試験についての10mm以下の結果及び麻酔薬を使用したシルマー試験についての5mm以下の結果を異常と見なす。ベースラインからの正の変化は、本明細書に記載した眼炎症性障害の内の1つ以上の症状の改善を示す。
【0217】
ドライアイ疾患のモデル。本発明において特徴付けた製剤の有効性は、ドライアイ疾患についてのマウスモデルにおいて評価できる。ドライアイは、マウスにおいてはスコポラミンとの皮下注射及び次にマウスを環境制御チャンバーに配置することによって誘導できる。特定の例として、正常な健常6〜10週齢の雌性C57BL/6マウスは、環境制御チャンバー内での乾燥環境への持続的曝露によってドライアイを有するように誘導できる。このチャンバーは、30%未満(一般には約19%)の低相対湿度、高速気流(15L/分)及び一定温度(約22℃)を有する。チャンバー内に配置されたマウスはさらに涙分泌を抑制するためにスコポラミンで処置する。持続放出性経皮スコポラミンパッチは、Novartis社(ニュージャージー州サミット)から入手できる。1枚のパッチの4分の1を48時間毎にマウスの脱毛した尾中央部に貼付する。環境制御チャンバーとスコポラミンの組み合わせは、相当に短期間(約2〜4日間)で重度のドライアイを生じさせる。環境制御チャンバーは、Barbino et al.(Invest Ophthal Vis Sci,46:2766−2711(2005))に記載されたように準備することができ、気流、湿度及び温度の制御を可能にする。
【0218】
マウスは、ドライアイの徴候について、例えば、a)一般にドライアイの患者では低下する涙液産生を測定するための綿糸試験、b)角膜表面損傷のマーカーである角膜フルオレセイン染色、及び一般眼科検査を実施することによって監視できる。
【0219】
綿糸試験:涙液産生は、フェノールレッド(Zone−Quick、Lacrimedics社、ワシントン州イーストサウンド)を含浸させた綿糸試験を用いて測定できる。拡大蛍光灯下で、糸を宝石鉗子を用いて保持し、右目の結膜円蓋の外眼角(lateral cantus)内に30若しくは60秒間配置する。涙の距離(mm)は、顕微鏡下で血球計のスケールを使用して読み取る。
【0220】
角膜フルオレセイン染色:角膜フルオレセイン染色は、1.0mLの5%フルオレセインをマイクロピペットによって眼の下結膜嚢内に滴下することによって評価できる。角膜は、細隙灯生体顕微鏡を用いてフルオレセイン点眼の3分後にコバルトブルー光を使用して試験する。点状染色は、遮蔽法で、角膜表面が分割されている5つの領域各々について0〜3の標準化NEI(国立眼科学研究所)スコアリングシステムを使用して記録する。
【0221】
同等物
全ての技術的特徴は、そのような特徴のあらゆる可能な組み合わせで個別に組み合わせることができる。
【0222】
本発明は、本発明の精神又はその本質的特徴から逸脱せずに他の特定形態で実施されてよい。このため上記の実施形態は本明細書に記載した本発明を限定するよりむしろあらゆる点で例示的であると見なすべきである。
【0223】
本明細書に言及した全ての参考文献の全内容は、これにより全体として組み込まれる。
【0224】
以下の非限定的実施例は、本明細書に記載した本発明の実施形態をさらに例示する。
【0225】
[実施例]
[実施例1]
治療用タンパク質、例えばキメラタンパク質の実施例
表1(下記)に列挙したアミノ酸配列を備えるタンパク質をコードする核酸は、T7プロモーター及びアンピシリン(pET31シリーズ)若しくはカナマイシン耐性遺伝子(pET28シリーズ)(EMD Chemicals社、米国ニュージャージー州ギブスタウン)を含有するpETベクター内で構築し、発現させた。発現のために使用できるコーディング配列の実施例は表2に提供した。
【表1】
【0226】
上記のタンパク質をコードする代表的な核酸配列は表2に列挙した。一部の実施形態では、核酸配列は、下記に列挙した第1ヌクレオチドの前にATGをさらに含む。一部の実施形態では、核酸配列は、下記に列挙した最終ヌクレオチドの後に終止コドン(例えばTAA、TAG若しくはTGAなど)をさらに含む。
【表2】
【0227】
これらのタンパク質は、下記に例示したIL−1β及びIL−1Raからのある範囲の様々な残基を含む可能性がある。P01、P02、P03、P04及びP05の実施例では共通して、サイトカインドメインは、IL−1βからの48〜70%の残基及びIL−1Raからの55〜78%の残基を有することができる。これら2種のタンパク質間で多数のアミノ酸残基が保存されているので、IL−1β及びIL−1Raとの同一性率(%)の合計は100%を超える可能性がある。
【表3】
【0228】
治療用タンパク質の他の実施例には、IL−1Ra(例えば、アナキンラ)、カナキヌマブ、ゲボキズマブ、リロナセプト(rilanacept)若しくは抗IL−1R抗体(例えば、Amgen社によって製造された)が含まれる。
【0229】
[実施例2]
キメラタンパク質の発現及び精製
ヘキサ−ヒスチジンタグ(配列番号23)を含有するタンパク質は、37℃のLBブロス培地中での3時間にわたる1mMのイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いた誘導により大腸菌細胞BL21(DES)菌株中で発現させた。細胞は、20〜50mMのTris、0.5MのNaCl、2.5mMのEDTA、0.1%のTriton X−100、pH8.0中に溶解させた。溶解物は、0.1%のポリソルベート80を含有する1.25×PBSに対して透析し、次に0.8/0.2μmフィルターに通して滅菌ろ過し、その後にHisTrap HP(登録商標)プレパックカラム(GE Healthcare社、米国ニュージャージー州ピスカタウェイ)を使用して固定化イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)にかけた。カラムを50mMのリン酸塩中で平衡化させ、500mMのNaCl、pH7.1を装填し、同一バッファーを用いて洗浄した。カラムは、25mMのイミダゾールを用いて前溶出し、同一バッファー中の125mMのイミダゾールを用いて溶出させた。溶出タンパク質を1.25×PBS、0.1%のポリソルベート80、pH7.4に対して広範に透析した。
【0230】
タンパク質は、20mMのリン酸ナトリウム、0.5MのNaCl、10mMのイミダゾール、pH7.4バッファー中に装填した。タンパク質は、200mMのイミダゾール、20mMのリン酸ナトリウム、0.5MのNaCl、pH7.4バッファーを用いて溶出した。溶出タンパク質は、PBS、0.1%のポリソルベート80、pH7.4に対して広範に透析し、Amicon Ultra(登録商標)(10K)フィルターを用いて濃縮し、4℃若しくは−80℃で保管した。
【0231】
ヘキサ−ヒスチジンタグ(配列番号23)が欠如するタンパク質は、イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。P05タンパク質は、イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。発現細胞からの溶解物は、塩の非存在下(およそ1mS/cmの導電率)の低pH(およそpH5.5)でGigaCapS(商標)カラム(Tosoh Bioscience LLC社、米国ペンシルベニア州キングオブプロシア)に適用した。カラムは次にpH勾配(バッファーA=10mMの酢酸、pH5.5;バッファーB=20mMのTris、pH8)によって溶出した。溶出タンパク質を含有する5mLの画分を次に5mLのH
2O及び5mLの20mMのTris、pH8)を用いて希釈し、次にCapto(商標)Q樹脂(GE Healthcare社、米国ニュージャージー州ピスカタウェイ)に適用し、20mMのTris、pH8.0中で0mM〜250mMのNaCl勾配を用いて溶出させた。溶出タンパク質は、0.1%のTWEEN(登録商標)80を含む1.25×PBS若しくはTWEEN(登録商標)を含まない1.25×PBSに対して広範に透析し、保管した。
図1を参照されたい。P03及びP04タンパク質は、類似の方法を使用して精製した。
【0232】
P05を発現する細胞は、さらに10g/Lのグルコース、10mMのMgSO
4、微量元素(1mg/mLのTEKNOVA(商標)1000X微量元素、#T1001)及びSartorius製2L BIOSTAT(商標)A+中の抗生物質を補給した非動物性大豆タンパク(#T7660)を含むTEKNOVA(商標)テリフィックブロス中で増殖させ、約6時間にわたり1mMのIPTGを用いてOD35〜40で誘導した。細胞は37℃で30%溶解酸素、pH7.0で増殖させ、200〜800rpmで撹拌し、2L/分で酸素散布を実施した。細胞には、pH増加によって検出されるようにグルコースが枯渇した時点にグルコースを9g/L/時で供給した。pHが低下した時点(誘導の約2.5時間後)にグルコース供給量を6g/L/時に減少させた。
【0233】
細胞を収集し、溶解バッファー(20mMのTris、10mMのEDTA、0.1%のTriton、pH8.0;20mMのTris、10mMのEDTA、0.1%のTriton、pH7.0;50mMのMOPS、10mMのEDTA、0.1%のTriton、pH6.5;又は50mMのMOPS、10mMのEDTA、0.1%のTriton、pH6.0)中に溶解させた。溶解物は、pH5.3及び3mS/cm(35mg/mL(生成物/カラム樹脂))でPoros(登録商標)XSカチオンイオン交換媒質(Life Technologies社、米国カリフォルニア州カールスバッド)上に装填した。
【0234】
代表的な方法では、P05タンパク質は、100mMのMOPS、25mMのNaCl、pH7.0を含有するバッファーを用いて1工程でpH7.0へ溶出させる。最初の溶出ピークを廃棄して第2溶出ピークをプール内に収集すると、P05タンパク質を含有していた。初期プールは、des−Ala種に比較して無傷P05タンパク質が富裕である。次にこの溶出物質をCapto(登録商標)Qアニオン交換樹脂の上方を流動させる。無傷P05タンパク質を含有する貫流を収集する。
【0235】
又別の代表的方法では、100mMのMOPS、20mMのNaCl、pH6.0を用いて培地を洗浄する。P05タンパク質は、100mMのMOPS、50〜58mMのNaCl、pH6.0を含有するバッファーを用いて1工程でpH6.0へ溶出させる。第1溶出ピークをその後のピークから分離すると、無傷P05タンパク質を含有していた。次にこの溶出物質をCapto(登録商標)Qアニオン交換樹脂の上方を流動させる。無傷P05タンパク質を含有する貫流を収集する。
【0236】
[実施例3]
セルベースアッセイ
タンパク質若しくはタンパク質を含有する上清をIL−1活性についてセルベースアッセイで評価した。HEK−Blue(商標)IL−1β応答性細胞を使用してIL−1β活性(InvivoGen社、米国カリフォルニア州サンディエゴから入手できる)を監視した。これらの細胞は、5つのNF−kB及び5つのAP−1結合部位に融合したIFN−β最小プロモーターの制御下で分泌胚アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーター遺伝子を含んでいる。細胞表面上のIL−1受容体のIL−1βの関与は、NF−kBの活性化及びSEAP産生をもたらした。SEAPレポートは、例えばQUANTI−Blue(商標)(InvivoGen社、米国カリフォルニア州サンディエゴ)及び分光測光分析を使用して検出できる。HEK−Blue IL−1β細胞懸濁液は、70〜80%のコンフルエンスまで培養した細胞から調製した。再懸濁させた細胞は、新鮮増殖培地(DMEM、4.5g/Lのグルコース、2mMのL−グルタミン、10%(v/v)熱不活化ウシ胎児血清(56℃で30分間)、50U/mLのペニシリン、50mg/mLのストレプトマイシン、100mg/mLのNormocin(登録商標)T)中で約330,000細胞/mLへ調整した。
【0237】
試薬:20ng/mLでの10μLのIL−1β、10μLの対象の作用物質及び30μLの細胞培養培地を平底96ウエル細胞培養プレートのウエルに最終容積50μLまで加えた。陽性及び陰性コントロールサンプルは、並行して調製した。次に150μLのHEK−Blue IL−1β細胞懸濁液(約50,000細胞)を各ウエルに加え、プレートは37℃の5%CO
2組織培養インキュベーター中で一晩培養した。一般に、最終IL−1β濃度は(200μLの最終容積中で)0.1ng/mLであった。IL−1β活性は、翌日(12〜15時間後)に評価した。定量前に、QUANTI−Blue(商標)試薬は製造業者の取扱説明書にしたがって調製した。平底96ウエルアッセイプレートは150μLのQUANTI−Blue(商標)溶液を各ウエルに加えて調製した。96ウエル組織培養プレートのウエルからの50μLの馴化培地をアッセイプレートの各ウエルに加えた。このプレートを37℃でおよそ15〜20分間インキュベートした。次に分光光度計を用いて620〜655nmでSEAPレベルを測定した。
【0238】
結果。
図2Aに示したように、このアッセイでは、P06タンパク質はIL−1RIアゴニストとして挙動し、P07タンパク質は部分アゴニストとして挙動したが、P01タンパク質は作動できなかった。実際に、P01タンパク質は、IL−1βの存在下でアッセイした場合はアンタゴニストとして挙動した。
図2Bは、本明細書に記載したHEKBlue(商標)細胞アッセイを使用してある範囲のIL−1βタンパク質濃度でのP01によるIL−1β活性の拮抗作用を示している。拮抗作用は、P01の量の増加に伴って増加した(x軸はP01を含有する上清のマイクロリットル(μL)数を反映する)。
【0239】
タンパク質P01、P02、P03、P04及びP05は各々IL−1β活性に拮抗した。例えば、
図3A及び
図3Bを参照されたい。P05のIC50は約5ng/mL未満であった。P05をこのアッセイにおいてIL−1RIを作動させる能力について試験したが、試験した最高濃度である1mg/mLでさえ検出可能な作動活性を全く有していないことが観察された。P01、P02、P03、P04及びP05はさらに、IL−1βに応答性であるヒト骨肉腫細胞系であるMG−63細胞中でのIL−1β誘導性IL−6発現を阻害した。ドライアイ疾患のマウスモデルでは、ヘキサ−ヒスチジンタグ付き(配列番号23)P05は、生物活性を有することが観察された。タグ付きではないP05に関しては、下記の実施例9も参照されたい。
【0240】
[実施例4]
キメラタンパク質の結合特性
可溶性組み換えヒトIL−1RI(IL−1RIの細胞外ドメインに対応する)に対するタンパク質の結合特性は、Reichert SR7000DCデュアルチャネルSPRシステムを使用する表面プラズモン共鳴法を用いて評価した。結合は、0.005%のTween 20を含むリン酸緩衝食塩液中で評価した。IL−1βは、8〜9nMのK
D及び2〜3×10
−3s
−1の解離定数(K
d)、又別の実験では、約2nMのK
D、1.3〜1.5×10
6M
−1s
−1の結合定数及び約2.9〜3.0×10
−3s
−1の解離定数(K
d)を有すると観察された。P01タンパク質はIL−1βと類似の結合キネティクスで結合したが、結合実験の解離期(約180秒間)中には解離しなかった。そこで、P01タンパク質は類似の条件下でIL−1βより大きなアフィニティーでIL−1RIに結合した。
【0241】
IL−1Raの結合は、約0.33nMのK
D、約2×10
5M
−1s
−1の結合定数(K
a)及び約6.6×10
−5s
−1の解離定数(K
d)を有すると観察された。キメラサイトカインドメインP01、P02、P03、P04及びP05は約12〜1,700pMの範囲のK
D、約3×10
4M
−1s
−1〜3×10
6M
−1s
−1の範囲内の結合定数(K
a)及び2×10
−5〜1×10
−3s
−1の範囲内の解離定数(K
d)を有することが観察された。下記の表3を参照されたい。
【表4】
【0242】
[実施例5]
キメラタンパク質の追加の実施例
追加の代表的なキメラIL−1ファミリータンパク質には下記も含まれる:
【表5】
【0243】
下記のポリペプチドは、IL−1αからの少なくとも2つのセグメント及びIL−1Raからの少なくとも2つのセグメントを含むキメラドメインである。
【表6】
【0244】
[実施例6]
製剤の実施例
本発明による代表的な製剤を以下に記載する:
25g/Lの濃度で存在するP05タンパク質を有する製剤;カルボキシメチルセルロースは0.25%(w/v)の濃度で存在する;ポロキサマー188は0.1%(w/v)の濃度で存在する;ソルビトールは5%(w/v)の濃度で存在する;リン酸ナトリウムは10mMの濃度で存在する;アルギニン及び/又はグルタミン酸は100mMの濃度で存在する。製剤は、約6.5のpHを有する。製剤は、逆相HPLC(RP−HPLC);弱カチオン交換HPLC(WCEX−HPLC);分光測光法(A280);及び視覚的アッセイの内の1つ以上を使用して測定されるように、室温で2週間後に安定性について、及び2〜8℃で少なくとも12カ月間までの保管安定性について試験する。
【0245】
[実施例7]
製剤の実施例及び安定性試験
第1相臨床試験において利用されたP05の製剤(EBI−005としても公知である)は、0.25%(w/v)の濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム;0.1%(w/v)の濃度のポロキサマー188;5%(w/v)の濃度のソルビトール;10mMの濃度のリン酸ナトリウム及び5若しくは20mg/mLのいずれかの濃度にあるP05を含有する水性製剤であった。製剤は、約6.5のpHを有する。これらの製剤を下記の外観、pH、オスモル濃度、分光測光法(A280)、非還元SDS−PAGE、還元SDS−PAGEによる含量;サイズ排除HPLC(SE−HPLC);逆相HPLC(RP−HPLC);WCEX−HPLC;効力;及び容器完全性(CIT)の測定を用いて安定性について試験した。これらの試験は、(1)リリース時(0カ月後);(2)5±3℃での1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間及び6カ月間の保管後;(3)25℃及び60%の相対湿度(室温実験)での1カ月間若しくは3カ月間の保管後に実施した。これらの尺度についての仕様及び5mg/mL及び20mg/mLの製剤の代表的なバッチからの結果は、下記の表14A〜Eに示した。これらの結果は、製剤が素晴らしい安定性を有したことを証明している。製剤は2〜8℃での6カ月間にわたる保管後及び室温での3カ月間にわたる保管後でさえ仕様を満たし続けた。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【0246】
[実施例8]
融解プロファイル
タンパク質P03、P04、P05、mIL−1Ra(メチオニルIL−1Ra)及びIL−1βはリン酸緩衝食塩液(PBS)、pH7.4中において0.5mg/mLで調製した。タンパク質をSYPRO(登録商標)オレンジ色染料(Invitrogen社、カリフォルニア州)とストック濃度の希釈率1:500で結合し、示差走査蛍光分析法にかけた。例えば、He et al.(2010)J Pharm Sciences,99 1707−1720を参照されたい。蛍光測定値は、温度が1℃/分の速度で25℃から95℃へ上昇するにしたがってAgilent Mx3005 QPCR装置を使用して監視した。融解温度(T
m)値は、蛍光遷移の一次導関数の最大値から引き出した。タンパク質P03、P04及びP05は50℃超〜59℃の高さまでの変性開始温度並びに59、60、62及び64℃超のT
mを有することが観察された。結果は下記の表4並びに
図5A及び
図5Bに示した。
【表12】
【0247】
P04は、mIL−1Ra及びIL−1βより約4℃高いT
mを有し、mIL−1Raより約3℃高い、IL−1βより約10℃高い変性開始温度を示す。P03及びP05は、mIL−1Ra及びIL−1βより約9℃高いT
mを有し、mIL−1Raより約11℃高い、IL−1βより約18℃高い変性開始温度を示す。これらのデータは、例えば本明細書に記載した製剤中でのIL−1阻害剤の融解温度を決定する方法を証明している。
【0248】
[実施例9]
動物モデルにおけるドライアイの治療
精製P05(ヘキサ−ヒスチジンタグ(配列番号23)が欠如する)を1.25×PBS中で調製し、ドライアイ疾患のマウスモデルにおいて試験した。このモデルにおいてJackson Laboratories製の6〜10週齢の雌性C57BL/6マウス(≧30%の相対湿度、ヒドロゲル飼料の補給及びEnviro−dri(商標)環境エンリッチメントを備える動物飼育室内で1〜2週間馴化させた)を第0日にフルオレセイン染色についてプレスクリーニングした。フルオレセイン染色のために、10mg/mLでWFI H
2O中で希釈した、新しく作成したフルオレセインを各眼に0.4μLで投与した。投与のおよそ8〜13分後、Olympus蛍光解剖顕微鏡を使用して眼をスコア付けした。点状染色は、角膜表面が分割されている5つの領域各々について0〜3の標準化NEI(国立眼科学研究所)スコアリングシステムを使用して記録した(スコア範囲0〜15/眼)。ティーチングブリッジを使用して、2つの遮蔽スコアは、各眼について単一集団スコアを生じさせるためにマウスを同時に評価した。
【0249】
各眼について(15の最大スコアの中から)≦7のスコアを有するマウスを第1日にドライアイチャンバー(20%±2%の湿度及び約21L/分/ケージの一定空気流量)内に入れ、(検査中を除いて)実験経過中はこのチャンバー内で維持した。第3日に、再びマウスをスコア付けし、8〜10匹/群の治療群に無作為割り付けした。マウスは、マウス4〜5匹の各ケージは同一の平均疾患スコアを有するように無作為割り付けした。第3日から開始して無作為割り付け後、マウスには各点眼液中のP05若しくはビヒクル(1.25×PBS)を3μL/眼、BIDで局所投与した。マウスを第7、9及び11日に上述したように角膜フルオレセイン染色について試験してスコア付けした。スコアは、実験経過中、治療群に関して盲験とした。
【0250】
図6Aは、1日2回の治療:治療なし、ビヒクル(1.25×PBS)及び10mg/mL(1%)のP05の下での2件の同一実験からのマウスについての第0、3、7、9及び11日での平均角膜染色スコア±SEMについての棒グラフである。10mg/mLのP05は、実験の第7、9及び11日での角膜染色を有意に減少させた。角膜染色の減少によって評価された有効性は、0.1mg/mLのP05と低い用量でも観察された。大腸菌中で生成された組み換えIL−1Raも又動物モデルにおける角膜染色を中等度に減少させた。
【0251】
図6Bに示したように、10mg/mLのP05の作用は、特に同一ビヒクル中の10mg/mLのマウス血清アルブミンとの比較に基づいていた。ビヒクルに比較して10mg/mLのマウス血清アルブミン(MSA)を用いた場合に作用は見られなかったが、10mg/mLのP05の作用は10mg/mLのマウス血清アルブミンに比較して統計的に有意であった。
図6Cに示したように、10mg/mLのP05はさらに眼科用乳剤(Restasis(登録商標))中の0.05%のシクロスポリンとも比較された。P05は角膜染色を減少させたが、0.05%シクロスポリン眼科用乳剤については約1週間にわたる1日2回投与後に作用は観察されなかった。これらの実験は、本明細書に記載した製剤中でのIL−1阻害剤の有効性を試験する方法を証明している。
【0252】
[実施例10]
撹拌試験
使用に適合する界面活性剤を同定するために、1mg/mL及び50mg/mLでのP05は、様々な界面活性剤を含有する(i)PBS、0.5%(w/v)のCMC、pH7.4又は(ii)10mMのクエン酸ナトリウム、pH6.0のいずれかの溶液中で調製した。撹拌は、タンパク質を4時間にわたり室温でボルテックスミキサーにかけることによって実施した。サンプルは、マイクロ流体イメージング(MGI)、SEC、A
280及び視覚的検査によって分析した。0.1%(w/v)のポロキサマー188の使用は、他の界面活性剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80を含む、又は界面活性剤なし)と比較して、タンパク質を沈降(視覚的検査を使用して評価した)及び撹拌中の有意な肉眼では見えない粒子蓄積から保護した。例えば、0.1%(w/v)のポロキサマーは、≧10μの粒子及び≧25μの粒子について粒子数を減少させた。
【0253】
この結果は、ポロキサマー188が例えばP05などのポリペプチドを調製するために適切な界面活性剤であることを証明している。さらに、0.1%(w/v)とわずかな界面活性剤が沈降の量を限定するため、及び減少させるためにさえ有効であることを証明している。これらの実験も又、さらに本明細書に記載した製剤の適合性を決定する方法を証明している。
【0254】
[実施例11]
製剤の調製
P05の製剤を調製した。手短には、P05は、1×PBS、pH6.5中に52.8mg/mLのP05を含有する冷凍液として提供された。ポリペプチドは、10mMのクエン酸ナトリウム及び5%(w/v)のソルビトールをpH6.0で含有するバッファーに対して、2〜8℃で約24時間をかけておよそ10,000倍の交換で3,500分子量カットオフ透析カセットを使用して透析した。透析後、濃度はA280/A320を測定することによって決定した。
【0255】
透析後、製剤は下記のように様々な濃度のP05を用いて調製し、100×のポロキサマー188界面活性剤を透析したP05のストック溶液に1×濃度へ加えた。タンパク質濃度は、およそ1mg/mL、5mg/mL及び20mg/mLへ調製用バッファー(10mMのクエン酸ナトリウム、5%(w/v)のソルビトール、pH6.0)を加えることによって調整した。製剤成分の最終濃度は、約10mMのクエン酸ナトリウム、5%(w/v)のソルビトール及び0.1%(w/v)のポロキサマー188であった。次にサンプルを混合し、無菌条件下で滅菌ろ過し、次に無菌条件下で2ccのガラスバイアル(250μL)内へ充填した。調製後、サンプルは、上記の条件下で調製された製剤の安定性を確証するために安定性試験にかけた。
【0256】
これは、IL−1阻害剤、例えばIL−1β/IL−1Raキメラタンパク質製剤を調製する方法を証明している。
【0257】
[実施例12]
リン酸バッファー対クエン酸バッファー内でのP05の安定性
動的光散乱法若しくはDLS(準弾性光散乱法若しくはQELSとしても公知)は、サンプル上にレーザー光を集束させ、高速光子計数器によって測定される散乱光のゆらぎ速度を監視することによってウエルプレート内での分析物(例えば、P05)の拡散を測定する。相関関数として公知の数学的技術を使用して、拡散係数を決定するためにゆらぎ速度が定量される。拡散係数を使用して、ストークス−アインシュタイン方程式によって水和半径(Rh)が入手される。
【0258】
P05の半径は、DLSプレートリーダー(Wyatt DynaPro(商標)、Wyatt Technologies社、カリフォルニア州サンタバーバラ)内での温度上昇の関数として測定された。捕捉時間は5秒間であり、各測定について5回のスキャンを実施した。ランプ速度は0.17℃/分であった。タンパク質が変性するにつれて、半径が増加した。半径が増加した温度は、T
on(変性開始温度)と呼ばれる。
【0259】
この実験は、2種の製剤中の20mg/mLのP05について実施した:(i)10mMのリン酸塩、5%(w/v)のソルビトール、0.1%(w/v)のポロキサマー188、pH6.5及び(ii)10mMのクエン酸ナトリウム、5%(w/v)のソルビトール、0.1%(w/v)のポロキサマー188、pH6.0。
図4A及び
図4Bに示した結果は、T
onがクエン酸バッファー中ではリン酸バッファー中に比較してはるかに高い温度で発生することを証明した。クエン酸バッファー中のP05についてはT
onは48.2℃及びリン酸バッファー中のP05については35.2℃であった。T
onにおける大きな差は驚くべきことであり、P05はクエン酸バッファー中ではリン酸バッファー中に比較してはるかに安定であることを示した。したがって、一部の実施形態では、IL−1阻害剤、例えばP05を含む製剤は、クエン酸バッファーを含有する。
【0260】
[実施例13]
安定性試験
実施例11において記載した製剤の安定性を試験するために、様々な濃度のP05を備える製剤を(上記の実施例11に記載したように)調製し、ベースライン測定値について分析した。調製したポリペプチドのバイアルは、25℃で0日間、3日間、1週間、2週間及び4週間並びに40℃で3日間、1週間及び2週間インキュベートした。少なくとも二本のバイアルは時点毎に調製した。インキュベーション後、サンプルは、サイズ排除HPLC(SE−HPLC)、弱カチオン交換HPLC(WCX−HPLC)、逆相HPLC(RP−HPLC)、濃度(A280−A320)、視覚的外観、写真を用いて実施する正式な検査を用いて分析した。pHは、T=0及びT=4週間に分析した。オスモル濃度は、T=0でのみ分析した。視覚的検査及び濃度は、どちらも25℃及び40℃で2週間後及び4週間後に評価した。全製剤は、2週間後に透明及び無色であり、目に見える粒子はなかった。25℃のサンプルは、4週間後に透明及び無色であった。これらの濃度試験の結果は、表5に例示した。
【表13】
【0261】
25℃サンプルのpHは、4週間後に決定した。全ての場合に、T=0でのpHは6.00〜6.01であり、4週間後のpHは6.03〜6.07であった。これらのデータは、25℃で少なくとも4週間及び40℃で少なくとも2週間にわたり製剤中のある範囲の濃度にわたる製剤の安定性を証明している。
【0262】
SEC−HPLC
純度は、吸光度及び蛍光検出を使用するサイズ排除HPLC法を使用して評価した。手短には、Sepax Zenix(登録商標)SEC−150の7.8mm×20cm(PN213150−7820)カラムを使用した。移動相は1×PBSであった。評価は、Agilent 1100 HPLCシステムを、1mL/分の流量、18分間の総ラン時間、周囲温度を含むイソクラチックモードで使用して実施した。吸光度検出は、280nmの励起波長での蛍光検出及び350nmの発光検出波長で280nmであった。1及び5mg/mLのサンプルの蛍光検出を使用する実験のためには10μgのポリペプチド製剤を装填し、20mg/mLのサンプルの吸光度検出のためには、50μgのポリペプチド製剤を装填した。
【0263】
2週間の保管後、1mg/mL及び5mg/mLのP05製剤についての参照標準物質は99.1%のアッセイ純度を有し、P05製剤の1mg/mL及び5mg/mLサンプルの純度は、それらが25℃又は40℃のいずれで保管されたかとは無関係に、各々99.1%〜99.2%であった。20mg/mLのサンプルについては、参照物質は99.2%の純度を有していた。2週間の保管後、20mg/mLのサンプルは、それらが25℃又は40℃のいずれで保管されたかとは無関係に、99.2%の純度を有していた。25℃での4週間の保管後、20mg/mLのP05製剤は99.2%の純度を有していた。
【0264】
wCEX−HPLC
追加の試験において、弱カチオン交換HPLC法を使用して製剤を評価した。この方法では、Dionex ProPac(登録商標)WCX−10、4×250mm(PN054993)カラムを使用した。移動相Aは10mMの酢酸ナトリウム、pH5.5であり、移動相Bは移動相A+0.25MのNaClであった。アッセイは、1.2mL/分の流量、35分間の総ラン時間、周囲温度を用いてAgilent 1100 HPLCシステムを使用して実施した。検出は、214nm及び280nmでアッセイすることによって実施した。サンプルサイズは、25μg/注入であった。25℃での2週間の保管後の結果の要約は表6に、40℃での2週間の保管後の結果は表7に、及び25℃での4週間の保管後の結果は表8に示した。
【0265】
弱カチオン交換アッセイは、電荷不均質性を監視することによって純度を評価する又別の方法である。P05製剤サンプルの分析は、電荷に基づいて数種の生成物関連不純物からの主生成物ピークを分解する。P05の典型的な製剤は、およそ>85%の主ピーク及びいくつかのプレピーク及びポストピークからなる。プレピーク1は不明であり、プレピーク2は脱アミド化P05の1つの形態であり、プレピーク3はN末端メチオニンを備えるP05の1つの形態である。ポストピーク1はN末端アラニンが欠如するP05の1つの形態であり、ポストピーク2はN末端アラニン及びプロリンの両方が欠如するP05の1つの形態であり、ポストピーク3は不明である。
【表14】
【表15】
【表16】
【0266】
25℃での2週間の保管後、主ピーク率(%)は5mg/mLの製剤(C2)についての参照物質と類似のままの約91%純度であったが、他方この方法を使用して決定した場合にC3(20mg/mL)及びC1(1mg/mL)については純度のわずかな減少が生じた。主ピークの減少並びにプレピーク2、ポストピーク1及びポストピーク2の増加は、40℃での保管後に全サンプルについて観察された。4週間の保管後、主ピーク純度において減少が観察され、プレピーク2及びポストピーク1では増加が生じた。
【0267】
逆相HPLC(RP−HPLC)
製剤は、さらにRP−HPLCを使用して評価した。RP−HPLCアッセイは、疎水性に基づいて生成物不均質性を監視することによって純度を評価する又別の方法である。この方法は天然分子を酸化メチオニンを含有する生成物関連不純物から分離することができる。プレピーク2及び3はP05の酸化形であり、ポストピーク1及び2は分子のアセチル化形である。
【0268】
この方法では、Waters Symmetry(登録商標)C4(4.6×150mm;3.5μm;PN186000283)を水中の0.05%のトリフルオロ酢酸(TFA)の移動相Aとともに使用したが、移動相Bは95%のアセトニトリル(ACN)中の0.05%のTFAであった。アッセイは、35分間の総ラン時間にわたり1mL/分の流量、及び55℃のカラム温度を用いてAgilent 1200 HPLCシステムを使用してランした。検出は280nmで実施した。1mg/mL及び5mg/mLサンプルについて装填したサンプル量は25μgであり、装填したサンプル量は50μgであった。1mg/mL及び5mg/mL製剤についての、25℃での2週間の保管後の結果の要約は表9に、40℃での2週間の保管後の結果の要約は表10に、及び25℃での4週間の保管後の結果の要約は表11に示した。25℃及び40℃での2週間の保管後の20mg/mLの製剤についてのデータは、各々表12及び13に示した。
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【0269】
25℃若しくは40℃での2週間の保管後、1mg/mL及び5mg/mLの製剤については、主ピーク純度の減少が観察され、プレピーク3の増加が観察された(酸化P05)。この作用は、高温での1mg/mLサンプル(C1)について最も顕著であった。これらの製剤について25℃での4週間の保管後、主ピーク純度の減少及びプレピーク3(酸化P05)の増加が観察され、1mg/mLサンプルについてはこの作用が最も顕著であった。興味深いことに、25℃での2週間の保管後、20mg/mLの製剤はT=0に類似する主ピーク率(%)(純度96.1%)を有していた。主ピーク率(%)の減少及びプレピーク3(酸化P05)の増加は、このサンプルについて40℃での2週間の保管後に観察された。25℃での4週間の保管後、20mg/mLの製剤は、主ピーク純度のわずかな減少及びプレピーク3(酸化P05)の増加を示した。
【0270】
これらの分析データは、キメラサイトカイン製剤の安定性を分析する方法を証明しており、特にP05ポリペプチドを含むキメラサイトカイン製剤の驚くべき安定性を証明している。したがって、一部の実施形態では、本発明は、少なくとも1mg/mL、少なくとも5mg/mL若しくは少なくとも20mg/mLの濃度で少なくとも2週間、例えば少なくとも4週間にわたり25℃、例えば40℃で保管され、少なくとも92%、例えば少なくとも94%若しくは少なくとも96%の純度を有する製剤に関する。
【0271】
[実施例14]
ブローフィルシール容器内での製剤の安定性
ブローフィルシール(BFS)容器内へ製剤を包装する工程は、プラスチック押出、成型、無菌充填及び密封を順序正しく含んでいる。例えば、Liu,W.et al.2011 Biopharm International,24(7):22−29を参照されたい。押出工程では、プラスチックグラニュールを160℃を超える温度で融解させる。引き続いて、プラスチックを所望の容器形に成型し、製剤溶液を充填し、気密密封する。
【0272】
容器を形成するために使用するプラスチック材料はある程度は気体透過性であるため、製剤の安定性は(例えば、容器及び/又はタンパク質酸化から水分蒸発のために)長期保管中に損なわれる可能性がある。そのような容器をアルミニウムホイル製パウチ又は他の適切なパッケージ内へ密封する工程は、製剤を光誘導生分解から保護する。そのようなアルミニウムホイル製パウチ内に容器を不活性気体、例えば窒素若しくはアルゴンとともに密封する工程は、酸化から保護できる。したがって、P05をブローフィルシール(BFS)容器内へ不活性気体をオーバーレイしてアルミニウムホイル製パウチを用いて、又は用いずに包装及びその後に保管することの作用を調査するために実験を実施した。
【0273】
試験は、活性医薬品P05を含有する製剤について実施した。バルク薬物物質は、ブローフィル加工処理のために10mMのクエン酸ナトリウム、5%(w/v)のソルビトール、0.1%(w/v)のポロキサマー188、pH6.0を含有する水溶液中で調製した。P05についての標的濃度は5.0mg/mLであった。
【0274】
製剤を約2℃〜8℃に冷却し、容器に充填した。およそ1,000個の容器に充填し、容器の標的充填量は0.32mLであった。容器の一部分は窒素オーバーレイを用いてホイル包装内に封入した。初期の特性解析は、BFS容器内への包装後に実施し、さらに安定性評価はパウチ封入を用いて、又は用いずに2つの温度(2℃〜8℃及び25℃)での保管後に実施した。
【0275】
初期特性解析は、A
280による濃度、SDS−PAGE、SEC−HPLC、wCEX−HPLC、RP−HPLC、オスモル濃度及び光掩蔽による粒子分析を含んでいた。P05の安定性は、4カ月後及び5カ月後に実施したA
280評価並びに5カ月後のpH及びオスモル濃度とともに、SEC−HPLC、wCEX−HPLC及びRP−HPLCによって1月1回監視した。
【0276】
ブローフィル加工処理後のP05製剤の初期特性解析は安定性の保持を証明した
ブローフィル加工処理後のP05の初期解析は、タンパク質がブローフィル加工処理にもかかわらずその化学的及び物理的安定性を保持することを証明した。BFS工程に曝露させられていないP05製剤(50mg/mLの濃度のP05、0.01%(w/v)のポロキサマー188、5%(w/v)のソルビトール、10mMのリン酸ナトリウム、pH6.5を含有する水性製剤)からの結果をブローフィル工程を受けさせたP05製剤(5mg/mLの濃度のP05、0.1%(w/v)のポロキサマー188、5%(w/v)のソルビトール、10mMのクエン酸ナトリウム、pH6.0を含有する水性製剤)と比較した。これらの製剤は、同一製造バッチからのP05を用いて作成した。
【0277】
これらの結果は、ブローフィル包装後の0時点に、ブローフィル加工された製剤が潜在的に有害なブローフィル加工処理に曝露させられた後でさえ、サイズ排除クロマトグラフィー、RP−HPLC、wCEX及びSDS−PAGEを使用した分析によって示されたように、素晴らしい安定性を維持することを証明している(表15を参照されたい)。
【表22】
【0278】
上記のアッセイに加えて、粒子分析は、USP<789>法にしたがった点眼剤の不溶性微粒子試験法を使用して、BFS容器内に包装された製剤を対象に実施した。肉眼では見えない粒子計数はBFS容器内の目に見える沈降物の欠如と一致して(データは示していない)、点眼剤についてのUSP仕様(≧10μmの粒子に対して50個/mL以下の粒子、≧25μmの粒子に対して5個/mL以下の粒子)の範囲内に含まれた。
【0279】
これらのデータは、P05は、ブローフィル加工処理の直後に物理的に安定(SEC−HPLC、光掩蔽及び目視による観察からの測定値による)及び化学的に安定(wCEX−HPLC、RP−HPLC、SDS−PAGEからの測定値による)の両方であったことを証明している。
【0280】
初期特性解析の一部として、オスモル濃度及びA
280による濃度を測定した。平均オスモル濃度測定値は317mOsmであり、A
280による平均濃度は5.0mg/mLであった。
【0281】
ブローフィル容器内に保管されたP05製剤は安定性を保持した
BFS容器内のP05製剤は、相対湿度60%の25℃又は2〜8℃に設定したインキュベーター内に保管した。1カ月間隔で、サンプルをSEC、RP−HPLC及びwCEX−HPLCによって分析した。4カ月後及び5カ月後に、濃度をA
280により測定した。5カ月後に、A
280によるオスモル濃度(蒸発を評価するため)、pH及び濃度も又測定した。
【表23】
【0282】
SEC−HPLCの結果(表16を参照されたい)は、BFS容器内に保管されたP05製剤は、少なくとも5カ月間は室温又は2〜8℃で凝集体を形成しなかったことを示している。窒素フラッシング後のバイアルのパウチ封入は、いずれの温度でも生成物の物理的安定性に影響を及ぼさなかった。
【0283】
P05製剤についてのwCEX−HPLC安定性試験結果は、表17及び表18に示した(各々、主ピーク率(%)及び脱アミド化ピーク率(%))。
【表24】
【表25】
【0284】
wCEX−HPLC結果は、ブローフィルシール容器内のP05製剤が5カ月間まで室温で安定性のままであったことを示している。P05はさらに、2〜8℃で少なくとも5カ月間にわたり安定性を保持した。窒素フラッシング後の容器のパウチ封入は、いずれの温度でも生成物の安定性に影響を及ぼさなかった。
【0285】
P05エンジニアリングラン製剤についてのRP−HPLC安定性試験結果は表19及び表20に示した(各々、主ピーク率(%)及び酸化タンパク質ピーク率(%))。
【表26】
【表27】
【0286】
RP−HPLCの結果は、BFS容器内に保管されたP05製剤は、少なくとも5カ月間は室温及び2〜8℃で安定であったことを示している。
【0287】
さらに、オスモル濃度及びpH測定値は、オスモル濃度若しくはpHにおける有意な変化が25℃でのサンプルについて経時的に発生しなかったことを示した(表を参照されたい)。これは、蒸発がほとんどから全く発生しなかったこと、及び溶液のpHが安定性のままであったことを証明している。A
280を使用して評価したタンパク質濃度も又以前の測定値と一致していた(表21を参照されたい)。まとめると、EBI−005は2〜8℃及び周囲温度(RT)でブローフィルシール容器内への長期間保管後に素晴らしい物理的安定性を示した。
【表28】
【0288】
[実施例15]
メチオニン含有製剤
一部の実施形態では、本発明は、メチオニンを含有する本明細書に記載した製剤に関する
10mMのクエン酸ナトリウム、5%(w/v)のソルビトール、0.1%(w/v)のポロキサマー188、pH6.0中で調製したP05のための酸化防止剤の使用について2種の異なるストレス条件:温度(40℃での保管)及び過酸化水素を使用した強制酸化を使用して試験した。過酸化水素は、フリーラジカルによる酸化を誘発するストレス因子であり、そこでγ線照射されていた多用量容器内での保管後に発生する可能性がある酸化作用を模倣するために使用した(下記参照)。P05は、高温で長期間にわたり保管した場合に酸化レベルを増加させる。製剤に加えられた10mMのメチオニン若しくは7mMの重硫酸塩いずれかの使用を40℃で3週間保管されたP05製剤について試験した。さらに、同一製剤は、10%(v/v)の0.02%過酸化水素をサンプルに加えた場合に、強制酸化を使用して試験した。サンプルは、酸化レベルを評価するためにRP−HPLCによって試験した。表22は、データの要約を提供する。
【表29】
【0289】
これらのデータは、高温又は過酸化物を添加して保管したタンパク質について、メチオニンが低濃度で酸化タンパク質のレベルを低下させるが、重硫酸塩は低下させないことを証明している。
【0290】
両方の容器閉鎖システム(ブローフィル及び多用量)の作用並びに多用量バイアルのための製剤中の酸化防止剤の使用がP05の酸化レベルに及ぼす作用について試験した。多用量容器(バイアル)はγ線照射によって滅菌した。γ線照射は、特に分子上のメチオニン残基を酸化させることによってタンパク質の化学的安定性にとって有害な可能性がある、容器内でのフリーラジカルを生じさせる可能性がある。したがって、今回の実験では、10mMのクエン酸ナトリウム、5%(w/v)のソルビトール、0.1%(w/v)のポロキサマー188、pH6.0中で調製したP05へのメチオニンの添加がP05の酸化を改善するかどうかについて調査した。多用量バイアル若しくはブローフィルバイアル内のP05に対して10mMのメチオニンを1mg/mLで使用した。タンパク質は、2〜8℃又は周囲温度のいずれかで4週間まで保管した。タンパク質は、酸化P05のレベルを決定するためにRP−HPLCによって分析した。表23は結果の要約を示している。
【表30】
【0291】
製剤へのメチオニンの添加は多用量容器内の酸化を減少させた。例えば、周囲温度での多用量容器内での4週間の保管後に、メチオニンを含まない製剤における酸化ピーク率(%)は7.5%であったが、メチオニンを含む製剤における酸化ピーク率(%)は4.7%に過ぎなかった。
【0292】
[実施例16]
EBI−005製剤及びビヒクル製剤の治療作用
中等度から重度のドライアイ疾患を有する患者におけるEBI−005の水性製剤の安全性及び生物学的活性を評価するために、多施設共同二重遮蔽無作為化プラセボ対照臨床試験が完了された。本試験で使用した製剤は20mg/mL若しくは5mg/mL(下記参照)のいずれかの濃度のEBI−005(本明細書ではP05とも呼ぶ)、0.25%(w/v)の濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.1%(w/v)の濃度のポロキサマー188、5%(w/v)の濃度のソルビトール及び10mMの濃度のリン酸ナトリウムを含有していた。本臨床試験は、米合衆国内の8施設で患者74例を対象に実施された。本試験は自然環境(管理有害環境チャンバーは使用されなかった)で実施された。
【0293】
患者は、初回来院時に適格性基準についてスクリーニングされた。登録資格のある患者は、1週間にわたり1日3回、各眼にビヒクルの局所投与を受けた。1週間の試走期間の終了時、患者は適格性基準に対して再評価された。これらの追加の基準下で資格を有した患者は3つの治療群の1つに無作為割り付けされた。角膜フルオレセイン染色(CFS)スコア、前眼部障害指数(OSDI)スコア及び無作為割り付けで得た他の尺度を本明細書ではベースライン尺度と呼ぶ。
【0294】
適格患者は、中等度から重度のドライアイ疾患を有する少なくとも18歳であった。追加の適格性基準は、下記の:(i)スクリーニング時に23以上で90未満のOSDIスコア、(ii)無作為割り付け時に19以上のOSDIスコア、(iii)スクリーニング時にNEIスケール上で6以上で15未満のCFSスコア、及び(iv)無作為割り付け時に5以上のCFSスコアを含んでいた。
【0295】
治療群に無作為割り付けされた患者は、無作為割り付け時に始まる6週間にわたり1日3回、両眼を治療された。本臨床試験における3つの群についての治療は、下記の通りであった:(i)第1群では、患者22例がEBI−005を20mg/mLの濃度で含有するEBI−005製剤を1日3回、各眼への局所投与を受けた、(ii)第2群では、患者22例がEBI−005を5mg/mLの濃度で含有するEBI−005製剤を1日3回、各眼への局所投与を受けた、(iii)第3群では、患者30例がビヒクル製剤を1日3回、各眼への局所投与を受けた(ビヒクル製剤は、ビヒクル製剤中にはEBI−005がなかったことを除いて、EBI−005製剤と同一成分を含有する水性製剤であった)。
【0296】
患者はスクリーニング時、無作為割り付け時、無作為割り付けの2、4及び6週間後の評価来院時、並びに治療完了1週間後のフォローアップ来院時に評価された。この臨床試験についてのスケジュール並びにEBI−005治療群及びビヒクルコントロール群に無作為割り付けされた患者数は、
図7に示した。疼痛は、患者に痛みのある眼又はただれ眼について質問するOSDIの12問の質問から単一質問についての分析に基づいて評価された。
【0297】
結果は、
図8〜10に示した。これらの結果は、OSDIスコア(
図8)、疼痛(
図9)及び角膜フルオレセイン染色(CFS)スコア(
図10)を用いて評価したドライアイ疾患の徴候及び症状は、EBI−005製剤を用いた治療の経過中に改善したことを示す。驚くべきことに、ビヒクル単独製剤を用いた治療は、さらにOSDIスコア、疼痛及びCFSスコアにおける顕著な改善を生じさせた。
【0298】
[実施例17]
中等度から重度のドライアイ疾患(DED)を有する被験者におけるEBI−005(5mg/mL)局所点眼液及びビヒクルの二重遮蔽無作為化対照臨床試験
各眼に12週間にわたり1日3回局所点眼液として与えられるビヒクル製剤(10mMのクエン酸ナトリウム、pH6.0、5%(w/v)のソルビトール及び0.1%(w/v)のポロキサマー188)並びに治療用製剤(5mg/mLのP05を含有する10mMのクエン酸ナトリウム、pH6.0、5%(w/v)のソルビトール及び0.1%(w/v)のポロキサマー188)の有効性を決定する試験を実施する。
【0299】
被験者はDEDについて評価されるが、包含基準には事前の臨床診断により支持された両眼におけるドライアイ疾患(DED)の病歴を有する、又はスクリーニング(第1回来院)前少なくとも6カ月間にわたり主観的病訴の自己報告歴を有する、同一眼若しくは両眼における、第1回来院時に下記の基準:≧23及び≦75のOSDIスコアによって規定された進行中のDEDを有する、及びOSDIの疼痛性若しくはただれ目の質問並びに≧6(NEIスケール)及び<15の全角膜フルオレセイン染色スコアのスコア付けを受けたことが含まれる。スクリーニングを受けた被験者は、次に遮蔽ビヒクル製剤を用いた5〜8日間の治療を受け、次に彼らがこの来院時に無作為割り付け基準を満たすことを確証するために再スクリーニングされる(第2回来院)。無作為割り付け基準には、≧19及び<50の全OSDIスコアを有すること、第1回来院におけると同一適格眼における≧5(NEIスケール)の全角膜フルオレセイン染色及び少なくとも1眼におけるCFS<15を有すること、並びに5〜8日間の遮蔽ビヒクル製剤期間と適合することが含まれる。適合は、用量の少なくとも80%での投与であると規定されている。
【0300】
被験者は、次にビヒクル製剤若しくは治療用製剤を用いた治療に無作為割り付けされ、第4回来院まで1日3回、各眼に1滴を投与するために十分なビヒクル製剤若しくは治療用製剤が提供される(第3週/週のナンバリングは、被験者が無作為割り付けされ、ビヒクル若しくは治療用製剤を受けると指定された後に始まる)。追加の薬物は、各その後の各来院から第6回来院(第9週)まで計量分配される。被験者は、第3回来院(第1週)、第4回来院(第3週)、第5回来院(第6週)、第6回来院(第9週)、第7回来院(第12週)及び第8回来院(第15週)に評価される。試験薬の最終用量及び最終治療来院は、第7週(第12週)に完了する。最終評価は3週間後の第8回来院時である(フォローアップ、第15週)。
【0301】
製剤は、低密度ポリエチレン(LDPE)ブローフィル単位内で2〜8℃の溶液として提供される。被験者には、最終評価に先行する21日間にわたり、必要であれば使用できるReFresh Plus(登録商標)涙液が提供される。被験者は、試験の他の部分中にはそのような人工涙液を全く使用しない。追加の試験に関する情報は、clinicaltrials.gov,trial no.NCT01998802から入手できる。
【0302】
試験中の被験者の評価には、全角膜フルオレセイン染色(1つの徴候)、OSDI質問票の疼痛性若しくはただれ目の質問(1つの症状)、全OSDI及び個別質問並びにOSDI下及び中心領域CFSのドメイン、包括的評価(治験担当医師及び被験者)、ドライアイの個別症状の被験者関連重症度並びに麻酔薬を用いないシルマー試験が含まれる。ビヒクル製剤群に指定された被験者についての第1週の終了時(すなわち、3〜8日間の遮蔽ビヒクルの試走期間後)及び/又は彼らの初期評価に比較したその後の試験来院時のこれらの基準の少なくとも1つにおける改善は、さらにビヒクル製剤の有効性を証明する。治療製剤群に指定された被験者についての彼らの初回評価又は3〜8日間の遮蔽ビヒクル試走期間後の彼らの評価に比較したその後の試験来院中のこれらの基準の少なくとも1つの改善は、さらに治療用製剤、例えばP05を含む製剤の有効性を証明する。
【0303】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内に含まれる。
[項目1]
8〜12mMの濃度のクエン酸ナトリウム若しくはリン酸ナトリウム;
4%〜6%(w/v)のソルビトール;
0.08%〜0.12%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む水性製剤であって、
及びカルボキシメチルセルロースナトリウムも含んでいてもよく、
5.5〜7.5のpHを有する、及び
眼障害を治療するために有効である水性製剤。
[項目2]
5.5〜6.5のpHを有する、項目1に記載の水性製剤。
[項目3]
治療用タンパク質を実質的に含まない、項目1又は2に記載の水性製剤。
[項目4]
8〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム;
4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール;及び
0.09〜0.11%の濃度のポロキサマー188を含む、項目1〜3のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目5]
9〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム;
4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール、及び
0.09〜0.11%の濃度のポロキサマー188からなる、項目4に記載の水性製剤。
[項目6]
9〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム;
4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール、及び
0.09%〜0.11%の濃度のポロキサマー188からなる、項目5に記載の水性製剤。
[項目7]
0.1〜1%の濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目8]
9〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム;
4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール;及び
0.09〜0.11%の濃度のポロキサマー188を含む水性製剤であって、
5.7〜6.3のpHを有する、
治療用タンパク質を実質的に含んでいない、及び
眼障害を治療するために有効である水性製剤。
[項目9]
前記眼障害はドライアイ疾患である、項目1〜8のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目10]
眼痛若しくは眼のただれ、OSDIスコア及び/又は角膜フルオレセイン染色(CFS)スコアを減少させるために有効である、項目1〜9のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目11]
眼痛若しくは眼のただれは視覚アナログ尺度又はOSDIからの質問票を使用して評価される、項目10に記載の水性製剤。
[項目12]
1〜50mg/mLのIL−1β/IL−1Raキメラサイトカインタンパク質(例えば、P01、P02、P03、P04、P05、P06若しくはP07);
クエン酸ナトリウム及びリン酸ナトリウムから選択される緩衝剤;
例えば、3.5〜6.5%(w/v)の濃度のソルビトール;
例えば、0.07〜0.13%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む水性製剤であって、
及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を含んでいてもよく、
5.5〜7.5のpHを有する水性製剤。
[項目13]
前記キメラサイトカインタンパク質はP05である、項目12に記載の水性製剤。
[項目14]
1〜20mg/mLのP05を含む、項目13に記載の水性製剤。
[項目15]
3〜7mg/mLのP05を含む、項目13に記載の水性製剤。
[項目16]
4〜6mg/mLのP05を含む、項目13に記載の水性製剤。
[項目17]
クエン酸ナトリウム及び/又はリン酸ナトリウムを5mM〜15mMの総濃度で含む、項目13に記載の水性製剤。
[項目18]
前記クエン酸ナトリウムは5mM〜15mMの濃度で存在する、項目12〜17のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目19]
前記クエン酸ナトリウムは8mM〜12mMの濃度で存在する、項目18に記載の水性製剤。
[項目20]
前記クエン酸ナトリウムは9mM〜11mMの濃度で存在する、項目18に記載の水性製剤。
[項目21]
前記ポロキサマー188は0.05%〜0.15%(w/v)の濃度で存在する、項目12〜20のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目22]
前記ポロキサマー188は0.08%〜0.12%(w/v)の濃度で存在する、項目21に記載の水性製剤。
[項目23]
前記ポロキサマー188は0.09%〜0.11%(w/v)の濃度で存在する、項目20に記載の水性製剤。
[項目24]
前記ソルビトールは2.5%〜7.5%(w/v)の濃度で存在する、項目12〜23のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目25]
前記ソルビトールは4%〜6%(w/v)の濃度で存在する、項目24に記載の水性製剤。
[項目26]
前記ソルビトールは4.5〜5.5%(w/v)の濃度で存在する、項目24に記載の水性製剤。
[項目27]
1〜25mg/mLのP05;
8mM〜12mMの濃度のクエン酸ナトリウム若しくはリン酸ナトリウム;
4%〜6%(w/v)のソルビトール;
0.08%〜0.12%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む水性製剤であって、
及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含んでいてもよく、
5.5〜7.5のpHを有する水性製剤。
[項目28]
1mg/mL〜25mg/mLのP05;
8〜12mMの濃度のクエン酸ナトリウム;
4%〜6%(w/v)のソルビトール;及び
0.08%〜0.12%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む、又はそれらからなる水性製剤であって、
5.5〜7.5のpHを有する水性製剤。
[項目29]
1mg/mL〜25mg/mLのP05;
9mM〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム;
4.5%〜5.5%(w/v)のソルビトール;及び
0.09%〜0.11%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む、又はそれらからなる水性製剤であって、
5.7〜6.3のpHを有する水性製剤。
[項目30]
4〜6mg/mLのP05;
9〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム;
4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール;及び
0.09〜0.11%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む、又はそれらからなる水性製剤であって、
5.7〜6.3のpHを有する水性製剤。
[項目31]
270〜370mOsm/kgのオスモル濃度を有する、項目12〜30のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目32]
眼に投与するために適合する、項目1〜31のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目33]
眼に局所投与するために適合する、項目30に記載の水性製剤。
[項目34]
増粘剤を含まない、例えばCMCを含まない、項目1〜4及び8〜33のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目35]
さらにアミノ酸、例えばアルギニン、グルタミン酸、ヒスチジン若しくはメチオニンを含む、項目12〜34のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目36]
さらにメチオニンを含む、項目12〜34のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目37]
前記メチオニンは1〜20mMの濃度で存在する、項目36に記載の水性製剤。
[項目38]
前記水性製剤が例えば25℃で少なくとも4週間保管された場合に、メチオニンを含まない対応する水性製剤に比較して酸化が減少する、項目36又は37に記載の水性製剤。
[項目39]
前記水性製剤が多用量容器内で保管された場合に、メチオニンを含まない対応する水性製剤に比較して酸化が減少する、項目38に記載の水性製剤。
[項目40]
前記水性製剤の酸化はRP−HPLCを使用して評価される、項目38又は39に記載の水性製剤。
[項目41]
光掩蔽粒子計数試験を使用して評価して、≧10μmの粒子に対して50個/mL以下の粒子及び≧25μmの粒子に対して5個/mL以下の粒子を有する、項目12〜40のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目42]
室温、例えば25℃で4時間にわたり前記タンパク質溶液をボルテックスミキサーにかけた後の凝集形に比較して、タンパク質の>90%のモノマー形の存在によって指示されるように安定である、項目12〜41のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目43]
凝集形に比較した前記タンパク質の前記モノマー形のパーセンテージはSEC−HPLCを使用して評価される、項目42に記載の水性製剤。
[項目44]
2〜8℃及び60%の相対湿度で少なくとも5カ月間にわたり保管された後に安定である、項目12〜43のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目45]
周囲条件下、例えば室温、例えば25℃で少なくとも5カ月間保管された後に安定である、項目12〜44のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目46]
2〜8℃及び60%の相対湿度で少なくとも4カ月間にわたり保管された後に安定である、項目12〜45のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目47]
周囲条件下、例えば室温、例えば25℃で少なくとも4カ月間保管された後に安定である、項目12〜46のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目48]
2〜8℃及び60%の相対湿度で少なくとも3カ月間保管された後に安定である、項目12〜47のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目49]
周囲条件下、例えば室温、例えば25℃で少なくとも3カ月間保管された後に安定である、項目12〜48のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目50]
2〜8℃及び60%の相対湿度で少なくとも2カ月間にわたり保管された後に安定である、項目12〜49のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目51]
周囲条件下、例えば室温、例えば25℃で少なくとも2カ月間保管された後に安定である、項目12〜50のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目52]
2〜8℃及び60%の相対湿度で少なくとも1カ月間にわたり保管された後に安定である、項目12〜51のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目53]
周囲条件下、例えば室温、例えば25℃で少なくとも1カ月間保管された後に安定である、項目12〜52のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目54]
顕微鏡粒子計数試験を使用して評価して、≧10μmの粒子に対して50個/mL以下の粒子、≧25μmの粒子に対して5個/mL以下の粒子及び≧50μmの粒子に対して2個/mL以下の粒子の存在によって指示されるように安定である、項目12〜53のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目55]
SEC−HPLCを使用して評価した凝集形に比較して前記タンパク質の>90%のモノマー形の存在によって指示されるように安定である、項目12〜54のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目56]
還元SDS−PAGEにおける参照標準物質への主バンドの適合度によって指示されるように安定である、項目12〜55のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目57]
非還元SDS−PAGEにおける参照標準物質への主バンドの適合度によって指示されるように安定である、項目12〜56のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目58]
前記水性製剤を弱カチオン交換HPLC(WCEX−HPLC)を使用して評価した場合に、85%以上の主ピークによって指示されるように安定である、項目12〜57の
いずれか一項に記載の水性製剤。
[項目59]
P05を含み、WCEX−HPLCを使用して評価されるように10%未満のP05のdes−Ala形の存在によって指示されるように安定である、項目58に記載の水性製剤。
[項目60]
ブローフィルシール容器内に包装される、項目12〜59のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目61]
前記保管はブローフィルシール容器内での保管である、項目44〜53のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目62]
治療方法であって、IL−1関連障害を有する被験者に項目1〜61のいずれか一項に記載の水性製剤を投与する工程を含み、それにより前記IL−1関連障害を治療する方法。
[項目63]
前記IL−1関連障害はドライアイ障害である、項目62に記載の治療方法。
[項目64]
眼障害、例えばドライアイ障害を治療する方法であって、前記眼障害、例えば前記ドライアイ障害を有する被験者に、
8mM〜12mMの濃度のクエン酸ナトリウム若しくはリン酸ナトリウム;
4%〜6%(w/v)のソルビトール;
0.08%〜0.12%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む水性製剤であって、
及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含んでいてもよく、
5.5〜7.5のpHを有する、及び治療用タンパク質を実質的に含まない水性製剤を投与する工程を含み、それにより前記ドライアイ障害を治療する方法。
[項目65]
前記水性製剤は、8mM〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4.5%〜5.5%(w/v)のソルビトール及び0.09%〜0.11%の濃度のポロキサマー188を含む、項目64に記載の治療方法。
[項目66]
前記水性製剤は、8〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム、4.5〜5.5%(w/v)のソルビトール及び0.09〜0.11%の濃度のポロキサマー188からなる、項目64に記載の治療方法。
[項目67]
ドライアイ障害を治療する方法であって、ドライアイ障害を有する被験者に
1〜25mg/mLのP05;
8mM〜12mMの濃度のクエン酸ナトリウム若しくはリン酸ナトリウム;
4%〜6%(w/v)のソルビトール;
0.08%〜0.12%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む水性製剤であって、
及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含んでいてもよく、
5.5〜7.5のpHを有する水性製剤を投与する工程を含み、
それにより前記ドライアイ障害を治療する方法。
[項目68]
ドライアイ障害を治療する方法であって、ドライアイ障害を有する被験者に
1mg/mL〜25mg/mLのP05;
8mM〜12mMの濃度のクエン酸ナトリウム;
4%〜6%(w/v)のソルビトール;及び
0.08%〜0.12%(w/v)の濃度のポロキサマー188からなる水性製剤であって、
5.5〜7.5のpHを有する水性製剤を投与する工程を含み、
それにより前記ドライアイ障害を治療する方法。
[項目69]
ドライアイ障害を治療する方法であって、ドライアイ障害を有する被験者に
1mg/mL〜25mg/mLのP05;
9mM〜11mMの濃度のクエン酸ナトリウム;
4.5%〜5.5%(w/v)のソルビトール;及び
0.09%〜0.11%(w/v)の濃度のポロキサマー188を含む、又はそれらからなる水性製剤であって、
5.7〜6.3のpHを有する水性製剤を投与する工程を含み、それにより前記ドライアイ障害を治療する方法。
[項目70]
眼痛若しくは眼のただれ、OSDIスコア及び/又は角膜フルオレセイン染色(CFS)スコアを減少させるために有効である、項目62〜69のいずれか一項に記載の治療方法。
[項目71]
眼痛若しくは眼のただれは視覚アナログ尺度又はOSDIからの質問票を使用して評価される、項目70に記載の治療方法。
[項目72]
前記水性製剤は1日1〜5回投与される、項目62〜70のいずれか一項に記載の治療方法。
[項目73]
前記水性製剤は局所投与される、項目62〜72のいずれか一項に記載の治療方法。
[項目74]
前記水性製剤は眼に局所投与される、項目73に記載の治療方法。
[項目75]
前記水性製剤は1日3回投与される、項目62〜74のいずれか一項に記載の治療方法。
[項目76]
前記水性製剤は随意に投与される、項目62〜71又は73〜74のいずれか一項に記載の治療方法。
[項目77]
項目1〜61のいずれか一項に記載の水性製剤を含む容器又はデバイス。
[項目78]
25℃で少なくとも2週間、例えば少なくとも4週間保管されており、微粒子物質を実質的に含まない、項目77に記載の容器又はデバイス。
[項目79]
項目1〜61のいずれか一項に記載の水性製剤を含むブローフィルシール容器。
[項目80]
項目1〜61のいずれか一項に記載の水性製剤を含む多用量容器。
[項目81]
項目35〜40の水性製剤を含む多用量容器。
[項目82]
項目1〜61のいずれか一項に記載の水性製剤を含む薬物送達デバイス。
[項目83]
ブローフィルシール容器である、項目82に記載の薬物送達デバイス。
[項目84]
不活性ガス、例えば窒素若しくはアルゴンを含有していてもよいパウチ中に密封される、項目77〜83のいずれか一項に記載の容器又はデバイス。
[項目85]
IL−1関連障害、例えばドライアイ障害を治療する際に使用するための、項目1〜61のいずれか一項に記載の水性製剤。
[項目86]
被験者におけるIL−1関連障害を治療するための医薬品の製造における、項目1〜61のいずれか一項に記載の水性製剤の使用。
[項目87]
項目1〜61のいずれか一項に記載の水性製剤を含む容器又はデバイスを含むキットであって、及び取扱説明書も含んでいてもよいキット。