特許第6450368号(P6450368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6450368ボリュームホログラムを備えているセキュリティ要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6450368
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】ボリュームホログラムを備えているセキュリティ要素
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/328 20140101AFI20181220BHJP
   G03H 1/02 20060101ALI20181220BHJP
   D21H 21/40 20060101ALI20181220BHJP
   G07D 7/207 20160101ALI20181220BHJP
   B42D 25/351 20140101ALI20181220BHJP
【FI】
   B42D25/328
   G03H1/02
   D21H21/40
   G07D7/207
   B42D25/351
【請求項の数】24
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-509571(P2016-509571)
(86)(22)【出願日】2014年4月10日
(65)【公表番号】特表2016-525953(P2016-525953A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(86)【国際出願番号】IB2014060629
(87)【国際公開番号】WO2014174402
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2017年3月21日
(31)【優先権主張番号】1353843
(32)【優先日】2013年4月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515295739
【氏名又は名称】アルジョウィギンス セキュリティ
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】サラザン,ピエール
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−213469(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0319395(US,A1)
【文献】 特表2008−529823(JP,A)
【文献】 特開2000−094867(JP,A)
【文献】 特開2005−219296(JP,A)
【文献】 特開2010−099929(JP,A)
【文献】 特開2007−304595(JP,A)
【文献】 特表2010−529913(JP,A)
【文献】 特開平11−231764(JP,A)
【文献】 特表平09−503460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 25/00−25/485
G03H 1/00− 1/34
D21H 21/40
G07D 7/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイテム組み込まれるセキュリティ要素(20)であって、
− ボリュームホログラムを生成するためのホログラフィック層(21)であって、前記ボリュームホログラムは、感応性の層の厚み内に記録された、干渉縞平面のネットワーク又は干渉ネットワークを形成することによる光の反射又は透過によって生成されるホログラムである、前記ホログラフィック層(21)と、
− a)一方で、1つ又は複数の切抜き及び/又は少なくとも部分的に半透明の領域(25b)並びに他方で、1つ又は複数の少なくとも部分的に不透明の領域(25a)、及び/又は
b)配向されたプレートレット顔料(60)、
の存在により生成される非ホログラフィック可変不透明度構造(25)と
を備えており、前記非ホログラフィック可変不透明度構造(25)は、透過光にて観察可能な前記セキュリティ要素の領域にて、前記ホログラムに少なくとも部分的に重畳されている、前記セキュリティ要素(20)。
【請求項2】
前記ホログラムは無地の色により記録されており、又は、前記ホログラムは、少なくとも2つの色より記録される、請求項1に記載の要素。
【請求項3】
前記非ホログラフィック可変不透明度構造(25)は金属化物を備えている、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項4】
前記非ホログラフィック可変不透明度構造(25)は、印刷を備えている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の要素。
【請求項5】
前記非ホログラフィック可変不透明度構造(25)は、少なくとも部分的に不透明のおいて作られた切抜き備えている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の要素。
【請求項6】
前記ホログラムは、0.7よりも低い光学密度に対応する昼光における半透明性を持つ1つ又は複数の層を通して直接又は間接的に、前記要素の一方側又は他方側にて少なくとも部分的に可視である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の要素。
【請求項7】
前記ホログラム及び/又は前記非ホログラフィック可変不透明度構造(25)に少なくとも部分的に重畳された、0.7よりも低い光学密度に対応する昼光における半透明性を持つ着色層(23)備えている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の要素。
【請求項8】
前記着色層は、印刷により着色され、及び/又は全体的に着色されている、請求項7に記載の要素。
【請求項9】
少なくとも部分的に第1のホログラム(21c)に重畳された第2のボリュームホログラムを生成するための第2のホログラフィック層(21d)を備えており、前記第2のボリュームホログラムは、前記非ホログラフィック可変不透明度構造(25)の、0.7よりも低い光学密度に対応する昼光における半透明性を持つ少なくとも1つ領域に重畳されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の要素。
【請求項10】
異なる第1及び第2のホログラムを備えている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の要素。
【請求項11】
前記可変不透明度構造は、観察角度に応じた不透明度を提示する、配向されたプレートレット顔料(60)を備えている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の要素。
【請求項12】
接着剤の層を備えている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の要素。
【請求項13】
バッキング層(22)は繊維質材料製の層を備えている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の要素。
【請求項14】
前記ホログラムは、異なる色の2つの並置領域(21a,21b)を備えており、及び、前記要素はホログラムの着色領域に重畳された、異なる色の2つの並置着色領域(28a,28b)を備えている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の要素。
【請求項15】
前記ホログラフィック層及び前記可変不透明度構造に少なくとも部分的に重畳された半反射フィルム(40)を備えている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の要素。
【請求項16】
前記ホログラムは、反射型で記録されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の要素。
【請求項17】
前記ホログラムは、透過型で記録されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の要素。
【請求項18】
セキュアードアイテム(10)あって、少なくともボリュームホログラム及び前記非ホログラフィック可変不透明度構造(25)の上記重畳の領域において、透過光及び反射において観察可能である、請求項1〜17のいずれか一項に記載のセキュリティ要素(20)を備えている、前記セキュアードアイテム。
【請求項19】
前記セキュリティ要素は、文書窓(12)重畳されている、請求項18に記載のアイテム。
【請求項20】
前記窓は透視窓であり、及び、前記セキュリティ要素(20)は前記窓の一方側に配置されており、シールフィルム(30)が前記窓の反対側に配置されている、請求項19に記載のアイテム。
【請求項21】
前記シールフィルムは、着色されている、請求項20に記載のアイテム。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか一項に記載のアイテム(10)を認証する方法であって、反射及び/又は透過において、セキュリティ要素(20)を観察することを含む方法。
【請求項23】
観察角度の傾斜が、セキュリティ要素(20)に対して変更され、前記セキュリティ要素に沿ってパターンの継続する出現が起こった際に、認証に関する情報が引き出される、請求項22に記載の認証方法。
【請求項24】
観察者に相対的に前記非ホログラフィック可変不透明度構造(25)の後ろに位置する前記ホログラムにより観察が行われる、請求項22又は23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ要素及び、そのような要素を備えているセキュアードアイテム、特に文書、に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラムは、文書をセキュアにするために広範囲で用いられている。
【0003】
米国特許第6873444号明細書は、LIPPMANN BRAGGホログラム又はLIPPMANNホログラムとも呼ばれるボリュームホログラムを生成する方法を開示する。
【0004】
欧州特許出願公開第2453320号明細書は、ボリュームホログラムを生成する方法を記載し、該ボリュームホログラムでは、ホログラフィック層が、保護フィルムによって表面上で保護されている。上記ホログラフィック層は、接着層によって取り付けられている。
【0005】
米国特許第4171766号明細書は、識別カード上に取り付けられたシートにより保持されたホログラムを使用することを開示する。
【0006】
欧州特許出願公開第0403134号明細書は、ホログラムと包装上に存在する情報とを重畳することを教示する。
【0007】
欧州特許第1511636号明細書は、表面ホログラムとボリュームホログラムとの重畳を開示する。
【0008】
欧州特許第2362275号明細書は、紙幣の窓(window)の前に配置されたボリュームホログラムを開示する。
【0009】
欧州特許出願公開第2530533号明細書は、ホログラフィック層を備えているセキュリティ要素を記載し、該ホログラフィック層では、ボリュームホログラムが記録され、接着剤を用いて基体上に取り付けられている。着色層が、上記ホログラフィック層を覆いうる。該着色層は、印刷により堆積されうる。1つの例において、乾燥後の厚さ0.5μmの青インクの非不透明層が堆積される。
【0010】
米国特許出願公開第2012/0257266号明細書は、それぞれがボリュームホログラムを再現する2つのホログラフィック層を共に取り付けることを教示する。
【0011】
米国特許出願公開第2013/0003153号明細書は、ホログラフィック層内に発光性化合物を添加することを記載する。
【0012】
米国特許出願公開第2011/0049864号明細書は、レリーフで印刷された、基体上の情報を覆うボリュームホログラムを記載する。接着剤の層が、印刷物の上記レリーフのために、この印刷物を覆いかつ可変の厚みを有しており、これは、ホログラムが記録された材料内の接着剤の差分化された拡散と、ホログラムの色の局所変化とを伴う。上記接着剤の上記拡散は、制御することが複雑である。
【0013】
国際公開第2012/007120号は、切抜きが形成された表面ホログラムに重畳されたボリュームホログラムを備えているセキュリティ要素を記載する。該セキュリティ要素は、回折ホログラム及びボリュームホログラムの存在のために、可視化することが複雑である。加えて、上記セキュリティ要素は、製造することが複雑であり且つ費用がかかる。上記ボリュームホログラムは、パターンで記録され、従って、該ホログラムを記録するステップは、複雑且つ高コストである。観察角度に依存する視覚効果は、上記表面ホログラムのおかげで得られる。
【0014】
国際公開第2011/107527号は、コーティングを備えているセキュリティスレッドを開示しており、このコーティング内に、配向された顔料が存在する。このスレッドは任意的に、ホログラフィック層を含みうる。
【0015】
国際公開第03/009581号は、表面とボリュームホログラフィック構造との両方を備えているセキュリティ要素を記載する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
セキュリティ要素及び、そのような要素を組み込んだセキュアードアイテム、特に文書、をさらに改善する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
可変不透明度構造の存在に関する本発明の主題は、その観点のうちの最初の態様に従うと、アイテム、特に文書、に組み込まれるセキュリティ要素であって、
− ボリュームホログラムを生成するためのホログラフィック層と、
− a)1つ又は複数の切抜き及び/又は少なくとも部分的に半透明の領域並びに1つ又は複数の少なくとも部分的に不透明の領域、及び/又は
b)配向されたプレートレット顔料、
の存在により生成される非ホログラフィック可変不透明度構造と
を備えており、該可変不透明度構造は、透過光にて観察可能な上記セキュリティ要素の領域にて、上記ホログラムに少なくとも部分的に重畳されている。
【0018】
上記ボリュームホログラムの存在は、観察角度に依存する視覚効果を得ることを可能にする。観察の間、上記ボリュームホログラムは好ましくは、観察者に相対的に上記可変不透明度構造の後ろ側に置かれる。好ましくは再び、上記ボリュームホログラムは、反射において可視のホログラムである。
【0019】
上記ホログラムは、一方で、少なくとも1つの切抜き上及び/又は1つの少なくとも部分的に半透明の領域で、他方で、1つの少なくとも部分的に不透明な領域で、少なくとも部分的に重畳され、及び/又は上記プレートレット顔料で少なくとも部分的に重畳される。本発明のおかげで、上記ホログラムは、上記可変不透明度構造を視覚的に認知すること、及び/又はそれらの外観を修正することに役立てるために用いられうる。
【0020】
本発明は、普通の人によって容易に識別可能な、セキュリティの第1のレベルを作成することを可能にし、且つ、相対的に低い製造コストにより、新たな審美的及び魅力的な効果からの利益を享受する。
【0021】
上記ボリュームホログラムは、その性質により、上記可変不透明度構造が、透過光において観察されることを可能にするための十分な透明度を提供する。
【0022】
上記ホログラムの存在は、上記可変不透明度構造の観察に、色及び/又はアニメーション効果をもたらし、従って、それは、普通の人にそれをさらに目立つようにしうる。
【0023】
「可変不透明度」とは、構造の平面において及び/又は観察角度に従って、不透明度が変化することを意味すると理解されるべきである。
【0024】
「少なくとも部分的に不透明」とは、約20%透過に対応する少なくとも0.7、望ましくは少なくとも1、さらに望ましくは1.5、の光学密度に対応する昼光(daylight)での不透明度を意味すると理解されるべきである。上記可変不透明度構造は、照明された背景、例えば白いシート、の前で観察するために、目に対して完全に不透明な領域を備えうる。
【0025】
「少なくとも部分的に半透明」とは、約20%透過に対応する0.7よりも厳密に低い光学密度、望ましくは0.5未満の光学密度、に対応する昼光における半透明性を意味すると理解されるべきである。
【0026】
「少なくとも部分的に不透明」及び「少なくとも部分的に半透明」の特性間で、少なくとも0.5を超える、より好ましくは少なくとも0.7、の光学密度における差を有することが好まれる。
【0027】
不透明度における変化は、金属化/脱金属化及び/又は印刷の存在にリンクされうる。この場合、1又は複数の切抜きが、金属化の不在又はインクにより形成されうる。不透明層は、繊維質基体以外であってもよく、非不透明領域は、この基体に配置されたシンプルな窓以外でありうる。
【0028】
金属化の場合、可変不透明度構造の金属の厚さは好ましくは、少なくとも1.5の光学密度を与えるために十分である。該光学密度は例えば、TOBIAS ASSOCIATES, INC、TBX-MC密度計を用いて測定され、該測定は、ISO規格5/2に従い行われる。上記金属化は好ましくは、より高い安全性を提供する真空下で行われ、その実施がより複雑な工業的手段を必要とするからである。
【0029】
印刷の場合、用いられるインクは、好ましくは顔料インクであり、好ましくは非無色の色(すなわち、非黒色及び非白色)であり、及びまた、減少された透明度を達成する為に、好ましくは5μmを超えるD50の粒子サイズの顔料を有する。該インクは、顔料として金属の粒子を含みうる。
【0030】
印刷の場合また、上記インクは、磁界の効果下で配向されること、それは観察角度に従ってその不透明度が変化する層を作成することを可能にし、プレートレットの配向方向に平行の方向にて最大を経験し且つ観察方向がプレートレットの面に実質的に垂直である場合に最小を経験することが可能なプレートレット顔料を含みうる。そのような顔料は、欧州特許第1819525号明細書を通して知られている。
【0031】
反射プレートレット顔料の場合、これらは、プレートレットの傾斜の方向における観察の場合に透明であるか、又は該プレートレットに垂直な観察の場合に不透明であるか、のいずれかである。
【0032】
不透明度の変化はパターンに関連付けられてもよく、それは、セキュリティ要素を設けられている文書上のどこか他の場所で再現されうる。例えば、切抜き又は少なくとも部分的に半透明の領域は、文書又はセキュリティ要素のどこか他の場所に存在するパターンを定義する。このパターンは、番号又は文字でありうる。
【0033】
不透明度の変化は、例えばCLEARTEXT(登録商標)タイプの、ネガのテキストにより得られてもよく、凹部が、非不透明である可変不透明度構造の領域に対応するテキストを定義し、これは、例えばそれらが印刷又は脱金属化されていないからである。
【0034】
上記セキュリティ要素は、可変色度層を備えうる。
【0035】
「可変色度」は、要素の平面において及び/又は観察の角度に従って、観察される色が変化することを意味すると理解されるべきである。
【0036】
例えば、可変色度層は、平面内の異なる色の非不透明領域を並置することにより得られる。これらの領域は、全体的に同じ不透明度を有しうる。この可変色度層は、ホログラフィック層及び可変不透明度構造に少なくとも部分的に重畳されうる。そのような層の存在は、新たな光学効果を作り出す為に使用されうる。
【0037】
上記可変色度層はさらに、角度彩色(goniochromatic)顔料、例えばにじ色若しくは液晶顔料、によって、又は回折ネットワーク、表面ホログラム若しくはフォトニック構造を介して達成しうる。
【0038】
上記要素は、バッキング層、特にPET製のフィルム、又は繊維質材料製の層を備えうる。
【0039】
半反射層の存在に関するその観点のうちの他の観点に従うと、独立して、又は上記若しくは下記と組み合わせて、本発明の主題はまた、セキュアードアイテム、特に文書、の為のセキュリティ要素であって、
− ボリュームホログラムを生成するためのホログラフィック層と、
− 上記ホログラフィック層に及び好ましくはまた可変不透明度構造に、少なくとも部分的に重畳された半反射層と
を備えており、該ホログラフィック層は、上記半反射層と上記可変不透明度構造との間に好ましくは位置している。有利的には、透過光における可視性を維持しつつ、上記層の反射外観のため、上記半反射層がボリュームホログラムを拡張する為に使用される。加えて、この半反射層は、後者が「窓スレッド」に導入される際に、上記セキュリティ要素をマスクする役割を果たすことも可能であり、それは、着色層が上記セキュリティ要素に重畳される際に特に有用である。最後に、透視窓に配置されたセキュリティ要素の場合、上記半反射層は、上記層が配置される面での反射において上記セキュリティ要素をマスクする。
【0040】
拡散構造の存在に関するその観点のうちの他の観点に従うと、独立して、又は上記若しくは下記と組み合わせて、本発明の主題はまた、セキュアードアイテム、特に文書、の為のセキュリティ要素であって、
− ボリュームホログラムを生成するためのホログラフィック層と、
− ホログラフィック、特にマイクロエンボス加工された層、に少なくとも部分的に重畳された拡散構造と
を備えており、該ホログラフィック層は好ましくは、上記拡散構造と、上記ホログラフィック層及び上記拡散構造に少なくとも部分的に重畳された可変不透明度構造との間に位置している。
【0041】
そのようなセキュリティ要素は、後に詳述される利点を提示する。
【0042】
発光剤の存在に関するその観点のうちの他の観点に従うと、独立して、又は上記若しくは下記と組み合わせて、本発明の主題はまた、セキュアードアイテム、特に文書、の為のセキュリティ要素であって、
− ボリュームホログラムを生成するためのホログラフィック層と、
− 上記ホログラフィック層に少なくとも部分的に重畳された発光剤を含む層、望ましくは上記ホログラフィック層にそれぞれ少なくとも部分的に重畳された、及び好ましくはそれらの間に少なくとも部分的に重畳された第1及び第2の発光層、と
を備えており、該発光層は好ましくは、異なる発光の色を有する。
【0043】
そのようなセキュリティ要素は、発光を生じさせる照明下で、新たな光学的効果を得るために用いられることができる。
【0044】
2つのホログラフィック層の存在に関するその観点のうちの他の観点に従うと、独立して、又は上記若しくは下記と組み合わせて、本発明の主題はまた、セキュアードアイテム、特に文書、の為のセキュリティ要素であって、
− 透過型で記録された第1のボリュームホログラムを生成するための第1のホログラフィック層と、
− 上記第1のホログラフィック層に少なくとも部分的に重畳された、反射型で記録された第2のボリュームホログラムを生成するための第2のホログラフィック層と
を備えている。
【0045】
そのようなセキュリティ要素は、上記2つのボリュームホログラムに少なくとも部分的に重畳された第1の可変不透明度構造と、及び好ましくは、上記2つのボリュームホログラムにまた重畳された第2の可変不透明度構造とを備えていてもよく、1又は複数の該可変不透明度構造は、上記ホログラフィック層に外的に配置されており、2つのホログラフィック層を備えている構造の場合、従って上記可変不透明度構造は、上記セキュリティ要素の反対側にそれぞれ位置しうる。
【0046】
有利には、次に、上記セキュリティ要素は、窓によって横断される繊維質基体の各側にそれぞれ配置された2つの部分において生成される。各部分は、ホログラフィック層と、関連付けられた可変不透明度構造とのうちの1つを備えている。
【0047】
そのようなセキュリティ要素は、新たな光学的効果及び追加のセキュリティをもたらす。
【0048】
可変色度層の存在に関するその観点のうちの他の観点に従うと、独立して、又は上記若しくは下記と組み合わせて、本発明の主題はまた、セキュアードアイテム、特に文書、の為のセキュリティ要素であって、
− ボリュームホログラムを生成するためのホログラフィック層と、
− 上記ホログラフィック層に重畳された、異なる色の複数の着色領域を備えている可変色度層と、これらの着色領域の少なくとも1つ、及び好ましくはこれらの着色領域全てが透明であり、及び
− 好ましくは、上記ホログラフィック層と上記着色領域とに少なくとも部分的に重畳された可変不透明度構造と
を備えている。
【0049】
上記ホログラフィック層は、様々なやり方で上記可変色度層の着色領域と組み合わされる、異なる無地の色(solid colors)から構成される少なくとも2つのホログラムを再現するために記録されうる。
【0050】
ボリュームホログラム
【0051】
本発明の全ての観点において、「ボリュームホログラム」は、感応性、好ましくは光感応性の層の厚み内に記録された、干渉縞平面のネットワーク又は干渉ネットワーク(Braggネットワーク)を形成することによる光の反射又は透過によって生成されるホログラムを意味すると理解されるべきである。
【0052】
上記ホログラフィック層は、エンボス加工により作られた表面ホログラムとは異なり、平滑な外部構造を呈しうる。
【0053】
ボリュームホログラムの態様の一例が、米国特許第5319476号明細書、第2カラム、第18〜44行目に、及び米国特許出願公開第2013/0003153号明細書、[0017]〜[0022]において与えられている。
【0054】
上記ホログラフィック層は、厚さ6〜12μmの好ましくはPET製の保持フィルム(それはまた、必要な場合、保護層の役割を果たしうる)に堆積された、厚さ6〜15μm、望ましくは8〜10μmの感光性樹脂の層を有して製造された複合体から構成されうる。
【0055】
上記ホログラフィック層は、また、欧州特許出願第2530533号明細書に記載されているように、感光性樹脂及びフィルム保持体の層、並びにこれら2つの間の接着剤の層を備えているホログラフィック複合体から構成されうる。上記感光性樹脂の層は例えば、段落[0041]〜[0050]又は[0051]〜[0058]に記載されている。
【0056】
上記ホログラムは、非コヒーレントな白光で再現されうる。
【0057】
上記ホログラムは、無地の色、すなわち無パターン、例えば赤、緑、青、黄、シアン、マゼンタだけで、又は観察の角度が変わった際に、例えば1つの無地の色から他の色へと変化するアニメーションで再現されうる。例えば、パターン無しの無地の色を再現する上記ホログラムを、光感応性層の厚み内に記録された、干渉縞平面のネットワーク又は干渉ネットワークを形成することによる、実質的に均一な表面を有する平らな物体からの光の反射又は透過によって得られうる。無地の色のみを再現するようなそのようなやり方で上記ホログラムを作成することは、製造することを比較的安価にする。
【0058】
上記可変不透明度構造が、配向されたプレートレット顔料を備えている場合に、記録された画像を現すホログラムの観察方向が、上記プレートレット顔料の配向の方向と一致することは、特に有利な場合がある。偽造することが特に困難であるセキュリティが得られる。
【0059】
反射で記録されるボリュームホログラムの場合、観察者は、非コヒーレントな白光源の後ろで透過光においてセキュリティ要素を見る際、上記ホログラムを知覚することなしに、上記可変不透明度構造を知覚する可能性がある。上記観察者が、反射において上記セキュリティ要素を見る際、少なくとも1つの観察方向について、上記ホログラムにより照明された上記可変不透明度構造を見ることができる。
【0060】
透過型で記録されるボリュームホログラムの場合に、上記観察者は、反射において、上記可変不透明度構造のみを観察により知覚しうる。上記ホログラムにより生成される色は、上記ホログラムが透過光にて観察される際に現れ、この場合、上記可変不透明度構造は、上記ホログラムで可視である。
【0061】
上記ホログラムは、単一の記録パターンのみから構成されていてもよく、それは無地の色でありうる。変形例として、上記ホログラムは、複数の記録パターンを備えていてもよく、そのそれぞれは無地の色でありうる。この場合、複数のパターンは、上記可変不透明度構造の異なるパターンの後ろでそれぞれ現れるように配置されてもよく、例えば、後者は、ネガ書き込みのテキストを備えており、及びこのテキストの異なる文字が、上記ボリュームホログラムと異なる無地の色の存在のため、異なる色で現れる。
【0062】
上記ボリュームホログラムはまた、異なるパターン、例えば異なる無地の色を備えていてもよく、それは、文書の同じ窓に現れるように配置される。
【0063】
上記ボリュームホログラムはさらに、それぞれの異なる観察角度で現れるように記録されるパターンを有するように作成されうる。これは例えば、それぞれの異なる観察角度で可視になる、複数の無地の色を伴いうる。これらのソリッド領域は、上記可変不透明度構造、例えばネガ書き込みの異なる文字の異なるパターンに重畳されうる。この場合、上記セキュリティ要素が、パターンを現すために観察者に相対的に斬新的に傾斜される際、それらは、観察角度の増加に従って継続的に可視になりうる。
【0064】
上記ホログラフィック層は、無地の色により記録され、かつ上記可変不透明度層の介在を有する着色層に重畳されてもよく、従って、このホログラフィック層は、異なる色の少なくとも2つの領域を有して現れ、これは、異なる色の領域が着色層と重畳されること、及び上記可変不透明度構造の存在のためである。異なる色で現れる領域は、上記ホログラフィック層の平面に並置されうる。
【0065】
上記ホログラフィック層は、異なる観察角度で色が現れる領域により記録されうる。
【0066】
変形例として、色及びこれらの色が現れる角度は、両方とも別個である。
【0067】
セキュリティ要素
【0068】
本発明の全ての観点において、上記セキュリティ要素は、その製造中に繊維状の基体に組み込まれる要素又はその表面に加えられる要素の形態でありうる。上記セキュリティ要素は、例えば、パッチ、セキュリティスレッド若しくはフォイル、又は可変データを有する保護フィルムの形態を取る。
【0069】
上記セキュリティ要素は、その2つの対向面で、外部環境に暴露出されていてもよく、又は対向面の1つのみでそのようにされていてもよく、又は、1つ又は複数の非不透明層により、その両面にて覆われうる。上記セキュリティ要素は、アイテム、特に文書、へのその組み込み時に、単体としても、又は、アイテム、特に文書、を介して、例えば基体の異なる面に加えられて結合された、幾つかのサブ要素から構成されうる。
【0070】
これらのサブ要素は、互いに接触していてもしていなくてもよい。一方が上記ホログラムを保持し、他方が上記可変不透明度構造を保持しうる。文書窓の各側で、一方を上記基体の1つの面に、他方を反対の面に取り付けうる。
【0071】
上記セキュリティ要素の厚さは、50μm以下であり得、例えば30〜40μmであり得る。
【0072】
上記セキュリティ要素は、上記ホログラフィック層及び上記可変不透明度構造に少なくとも部分的に重畳された半反射層を備えうる。これは、半反射性となるために十分に緻密な厚さの金属層、又は印刷若しくは金属化されたラスターでありうる。
【0073】
上記セキュリティ要素は、上記ホログラフィック層及び上記可変不透明度構造に少なくとも部分的に重畳された拡散構造を備えうる。
【0074】
それは、マイクロエンボス層、特に、マイクロエンボス接着剤の層、でありうる。
【0075】
本発明の実施の一例において、上記要素は、上記ホログラム及び/又は上記可変不透明度構造に少なくとも部分的に重畳された非不透明着色層、特に均一色又は特に並置領域の形態の複数の無地の色を呈する着色層、を備えている。上記着色層は、印刷により、及び/又は全体的に、特に1又は複数の染料又は1又は複数の着色顔料を添加することにより着色されうる。
【0076】
本発明の実施の一例において、上記要素は、少なくとも部分的に上記第1のホログラムに重畳された第2のボリュームホログラムを生成するための第2のホログラフィック層を備えており、該第2のホログラムは、上記可変不透明度構造の少なくとも1つの非不透明領域に重畳されており、上記2つのホログラムのうちの一方、好ましくは観察者に最も近い1つは好ましくは、透過型で記録されたホログラムであり、且つ他方は、反射型で記録されたホログラムであり、上記2つのホログラムは好ましくは、透過光にて観察が行われうる窓を備えている基体の各側に配置されている。
【0077】
本発明の実施の一例において、上記セキュリティ要素は、特に異なる色及び/又はパターンを有する、特にホログラフィック層に、又は第1及び第2のホログラフィック層にそれぞれ記録された、異なる第1及び第2のホログラムを備えており、該第1及び第2のホログラムは、好ましくは上記可変不透明度構造により定義された異なるパターン、例えばネガ書き込みでのテキストの異なる英数字に、それぞれ重畳されているか、又は基体の異なる複数の窓に現れるように意図される。
【0078】
本発明の実施の一例において、上記ホログラムは、異なる色の2つの並置領域を備えており、及び、上記セキュリティ要素は、特にホログラムの着色領域のそれぞれの着色領域との重畳により、上記ホログラムの着色領域に重畳された、異なる色の2つの並置着色領域を備えている。
【0079】
セキュアードアイテム、特に文書
【0080】
本発明の主題はまた、セキュアードアイテム、特に文書、であって、その観点のうちのいずれか1つの観点に従うと、上記ボリュームホログラムと、上記可変不透明度構造、上記拡散構造の上記半反射層、上記可変色度層、及び/又は上記ボリュームホログラムを生成する他のホログラフィック層との少なくとも上記重畳の領域において、透過光において観察可能である、本発明に従うセキュリティ要素を備えている。
【0081】
上記セキュリティ要素は、文書窓、特に透視窓、に重畳されうる。
【0082】
上記窓は透視窓であってもよく、及び上記セキュリティ要素は上記窓の一方の側に配置されており、上記シールフィルムは窓の他方の側に配置されている。
【0083】
代替的に、上記可変不透明度構造は、上記文書の一方の側に配置されていてもよく、及び上記ボリュームホログラムは反対側に配置されており、上記構造及びホログラムは上記透視窓に少なくとも部分的に重畳されている。
【0084】
上記シールフィルムは、着色されていてもよく、特に全体的に若しくは印刷により着色されていてもよく、又は2未満、好ましくは1未満、の光学密度により金属化されうる。
【0085】
好ましくは、上記セキュリティ要素が、上記窓の一方側に配置されようと、又は上記可変不透明度構造が文書の一方側に配置されて且つ上記ボリュームホログラムが他方側に配置されようと、上記セキュリティ要素はさらに、上記可変不透明度構造の反対側の上記ホログラムの側に半反射層を設けうる。上記半反射特性は、それが非不透明である故に、透過光内で上記可変不透明度構造のパターンを観察することを可能にする。
【0086】
上記アイテムは、パスポート、識別カード、アクセスカード、運転免許証、プレイング又はインタラクティブ収集カード、支払いの手段、特にペイメントカード、紙幣、納税印紙、ライセンスタグ、バウチャー若しくはクーポン、旅行、ロイヤルティ、利益若しくは購読のカード、トークン若しくはカジノチップでありうる。
【0087】
認証の方法
【0088】
本発明の主題はまた、本発明に従うセキュアにされたアイテム、特に文書、を認証する方法であって、透過及び/又は反射において上記セキュリティ要素を観察することを含む。透過において、例えば脱金属化により形成されたパターンが観察され、上記ホログラムが反射型で記録されている場合に、反射において、このパターンが、下に配置された上記ボリュームホログラムを通して現れる。暗い背景の前に、上記セキュリティ要素を配置することは必要でない。
【0089】
観察は、例えばセキュリティ要素を通した光源を見ることにより、可視光、特に白、において行われうる。この観察は、例えば、上記可変不透明度構造、例えばテキスト又はパターン、により伝達される情報を認識する為に使用されることができる。この場合、上記ホログラムは、それが反射型で記録されている場合に、該ホログラムは可視でない。
【0090】
特にセキュリティ要素が直接的に観察可能な外面を呈する場合に、反射での上記セキュリティ要素がまた観察されうる。反射でのこの観察は、上記ホログラムが反射型で記録されている場合に、該ホログラムにより生成される少なくとも1つの色を見ることを可能にする。
【0091】
透過型で記録されたホログラムの場合、上記ホログラムは、透過光において現れる。
【0092】
上記セキュリティ要素は、反射型で記録されたホログラムと、透過型で記録されたホログラムとの両方を備えていてもよく、上記ホログラフィック層は、重畳されているこれらのホログラムを生成する。
【0093】
この場合、上記認証方法は、有利には、透過における観察と、反射における観察とを含む。
【0094】
一般に、観察はさらに、上記ホログラムがUV又はIR照明下の可視領域における光を再現する場合に、UV又はIR光において行われうる。この場合、上記セキュリティ要素は、有利には、観察中にまた現れる発光剤、例えば蛍光剤、を備えており、及びその色効果は、上記ホログラムの色効果と組み合わされうる。
【0095】
本発明の実施の一例において、観察角度の傾斜が、上記セキュリティ要素に相対的に変更され、上記セキュリティ要素に沿って、特に脱金属化により形成された、パターンの継続する出現が起こった際に、認証に関する情報がソートされる。観察が、観察者に相対的に上記可変不透明度構造の後ろに位置するホログラムにより行われうる。
【0096】
本発明は、それらの実施の非制限的な実施例の以下の詳細な説明を読むこと、及び添付の図面を調査することで、より良く理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図1】本発明に従いセキュアにされたアイテムの例を模式的に表す図である。
図2図1のII−IIに沿った断面図である。
図3】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図4】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図5】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図6】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図7】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図8】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図9】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図10】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図11】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図12】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図13】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図14】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図15】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図16】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図17】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図18】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図19】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図20】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図21】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
図22】本発明に従うセキュアードアイテム又はセキュリティ要素の他の例を表す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0098】
模式図において、様々な層の実際の相対的比率は、図面の明瞭さのために、必ずしも考慮されていない。幾つかの層は、簡潔さのために一体で表されうるのに対し、例えば、多層複合体から構成されうるホログラフィック層の場合のように、現実では、複数のサブ層から構成されうる。加えて、幾つかの層は、層間に配置された接着層を用いて結合されてもよく、接着層は、図面において常に表されているとは限らない。最後に、並置された不透明及び非不透明領域の存在において、この存在は、並んで配置されるほんの2つの領域により単に模式的に表されるが、現実では、これらの様々な領域は、ほとんどの場合、例えば、テキスト若しくはマイクロテキスト又はラスター画像を定義するために複雑となり得る配置により、2つを超えることが理解される。
【0099】
図1に表されるセキュアードアイテム10、例えば紙幣、は、例えば紙、例えば繊維質、の基体11を備えており、例えば基体11又は複数の構造の場合はその1つの層を切り取ることによって生成された窓12が設けられ、この窓12は、一方側では、図2に示されるように、本発明に従うセキュリティ要素20によって覆われ、且つ他方側では、シールフィルム30により覆われ、それは要素20に相対的に登録されて配置されうる。例えば、シールフィルム30は、半反射フィルムでありうる。有利には、透過光内の可視性を維持しながら、上記半反射層は、層の反射外観により上記ボリュームホログラムを拡張する為に使用される。加えて、この半反射層は、上記セキュリティ要素が窓(「窓スレッド」)に導入される際に、上記セキュリティ要素をマスクする役割を果たし得、それは、色が上記セキュリティ要素に重畳される際に、特に有用である。最後に、透視窓に配置されたセキュリティ要素の場合、上記半反射層は、該層が配置される面での反射において上記セキュリティ要素をマスクする。
【0100】
本発明は、特にセキュアードアイテムの1種類に限定されず、該セキュアードアイテムはまた、例えば、識別文書、例えば識別カード、又はアクセスカードでありうる。従って基体11は、非繊維質でありうる。
【0101】
窓12は、任意の形状の外形、例えば円形、楕円形又は多角形、特に正多角形又は不規則な多角形、を有しうる。
【0102】
窓12は、文書内で1つのみでもよく、又は該文書は、幾つかの窓12を備えうる。この場合、上記窓は、文書の同じ面又は反対側の面に配置されうる。好ましくは、上記窓は、上記文書の反対側の面に配置され、従って、上記文書の一方の面における少なくとも1つの窓が、他方の面における1つの窓と少なくとも部分的に重畳されて、共に透視窓を形成する。
【0103】
セキュリティ要素20は、まさにシールフィルム30のように、文書の一方側13から反対側14に延びるストリップの形態でありうる。
【0104】
シールフィルム30の幅及びセキュリティ要素20の幅はそれぞれ、好ましくは、窓12の幅よりも大きく、従って、セキュリティ要素20は、すべての側でシールフィルム30のように、窓12を越えて延びる。
【0105】
基体11は、例えば10〜1000μm、望ましくは50〜700μm、の厚さeを有する。
【0106】
基体11は、天然及び/又は合成繊維を備えうる。該基体はまた、非繊維質であるか、又は少なくとも1つの繊維質層と熱可塑性材料の1つの層とを備えている多層構造で形成されうる。
【0107】
要素20は、ホット又はコールド・ラミネーション及び/又は接着により、基体11に取り付けられうる。
【0108】
同じことが、保護フィルム30にあてはまる。
【0109】
図3において、セキュリティ要素20は、基体11内の1又は複数の窓に組み込まれたスレッドの形態にある。
【0110】
上記スレッドは、例えば、シリンダーマシーン(cylinder machine)での繊維質基体11の形成の間に組み込まれ、該窓は、例えば形成する布地にて繊維の集積を変更することによって形成される。変形例として、基体11は2層であり、及び、上記スレッドは層間に導入され、それらのうちの少なくとも1つは窓を有し、該層は、例えばウェットフェーズで結合される。
【0111】
図4の例において、文書10は、共に結合された2つの繊維質層11a及び11bで形成される基体11を備えている。セキュリティ要素20は、層11aと11bとの間に配置される。
【0112】
層11aは窓12aを、層11bは窓12bを備えており、窓12bは、少なくとも部分的に窓12aと重畳され、従って、要素20は、透過光内の窓12a及び12bを通して観察されうる。
【0113】
セキュリティ要素20がセキュリティスレッドである場合、その幅は、相対的に小さくてもよく、好ましくは10mm以下でありうる。
【0114】
セキュリティ要素20はまた、2つの紙の層の間に挿入されるか、又は基体の表面に接着されるパッチでありうる。該パッチは、基体11の全幅にわたって延びない。
【0115】
セキュリティ要素20は、文書10の基体11の各側に配置された複数の構成要素から構成されうる。
【0116】
結果的に、図5の例において、セキュリティ要素20は、基体11の一方側に配置された可変不透明度構造25と、反対側に配置されたホログラフィック層21とを備えている。少なくとも1つの窓12は、可変不透明度構造25と、ホログラフィック層21により生成されるボリュームホログラムとの重畳を通して観察することを可能とする。この窓12は、任意的に、透明のソリッド材料で満たされる。
【0117】
一般に、セキュリティ要素20は、非繊維質基体、例えば軟質又は硬質の熱可塑性材料製のフィルム、に加えられうる。セキュリティ要素20はまた、少なくとも1つの紙製の繊維質層と、熱可塑性材料製の層とを備えている多層構造に組み込まれうる。
【0118】
セキュリティ要素20はまた、透明の熱可塑性材料の2つのシートの間に組み込まれうる。
【0119】
アイテム10は、様々な第1レベル、第2又は第3レベルの補助的なセキュリティ要素を備えうる。追加的なセキュリティ要素のうち、幾つかは、特殊な装置を用いることなく、日光又は人工の光の下で、目で見ることが可能である。これらのセキュリティ要素は、例えば、着色繊維又はプランセット、印刷されるか、又は全体若しくは一部が金属化されたスレッド、を含む。これらのセキュリティ要素は、第1レベルと呼ばれる。
【0120】
他の種類の追加のセキュリティ要素は、比較的簡素な装置、例えば紫外線(UV)又は赤外線(IR)放射を発するランプ、を用いることによってのみ見ることができる。これらのセキュリティ要素は、例えば、繊維、プランセット(planchettes)、ストリップ、スレッド又は粒子を含む。これらのセキュリティ要素は、裸眼に対して可視であってもなくてもよく、例えば、365nmの波長を発するウッドランプの光の下で発光する。これらのセキュリティ要素は、第2レベルと呼ばれる。
【0121】
他の種類の追加のセキュリティ要素は、それらの検出のために、より洗練された検出装置を必要とする。これらのセキュリティ要素は、例えば、1つ又は複数の外部励起源に対して同時に又は同時でなしに付された際に、特定の信号を生成することが可能である。信号の自動検出は、適切な場合に、上記文書が本物であると証明することを可能とする。これらのセキュリティ要素は、例えば、アクティブ材料、粒子又は繊維の形態のトレーサーを備えており、これらのトレーサーが、オプトロニック、電気的、磁気的又は電磁的な励起に付される際に、特定の信号を生成することが可能である。これらのセキュリティ要素は、第3レベルと呼ばれる。
【0122】
図2図3及び図4において、セキュリティ要素20は、簡素な形態で表されている。特に、セキュリティ要素が備えているホログラフィック層21は、多層複合体から構成されうる。
【0123】
これより、本発明に従うセキュリティ要素20の異なる例の図6〜22を参照して説明が行われる。
【0124】
これら全ての図面において、参照番号21は、ボリュームホログラムが記録されているホログラフィック層を示す。このホログラムは、反射型又は透過型で記録されうる。この層は、ホログラムとして無地の色のみを再現してもよく、すなわち、例えば反射型で記録されたホログラムの場合に可視光内の反射において観察される場合に、上記層の全体が同色、例えば緑、赤、黄、オレンジ、紫又は青、で現れる。
【0125】
一般に、ホログラフィック層21が無地の色を再現しない場合、異なる色の領域の分布は、英数字テキスト、ロゴ、又はより複雑な画像、例えば文字、動物、地形又は建物、を定義しうる。
【0126】
ホログラフィック層21により再現される色の数は、白光D65の照明における観察下で、1に等しいか、変形例として1超でありうる。
【0127】
少なくとも2つの色のホログラフィック層21による再現の間に、該色のうちの一方は、テキスト又はドットのラスターを定義してもよく、且つ他方の色は、このテキスト又はこれらドットの周りの無地の(plain)背景を定義しうる。
【0128】
セキュリティ要素20はまた、特に図6に示されるように、例えば、透明の熱可塑性材料、例えばPET、製のフィルムであるバッキング層22を備えうる。代替的に、バッキング層22は、繊維質材料、例えば紙、から構成されうる。
【0129】
ホログラフィック層21の厚さは、特に保持体フィルム上に接着された感光性樹脂複合体から構成される場合、例えば1〜20μmである。
【0130】
バッキング層22の厚さは、例えば3〜100μmである。
【0131】
バッキング層22は、任意的に、ホログラフィック層21の反対側に配置される側に、1つ又は複数の他の層を保持しうる。
【0132】
図6の例において、ホログラフィック層21は、接着層23を介してバッキング層22に取り付けられる。同じことが、図8の例においても当てはまる。
【0133】
接着層23の厚さは、例えば1〜10μm、好ましくは1〜5μmである。
【0134】
用いられる接着剤は、例えば、ポリウレタン系又はウレタン−アクリレートコポリマー系の接着剤、NOLAX範囲にあるそれら、である。
【0135】
本発明の第1の観点に従うと、セキュリティ要素20はまた、例えば単一の層の形態にある、可変不透明度構造25を備えており、それは、範囲がSの少なくとも1つの重畳領域において、ホログラフィック層21に少なくとも部分的に重畳されている。
【0136】
層21及び25は、重畳領域と同様の範囲であってもよく、それは、特に図6及び図8に示されるように好ましい。
【0137】
しかしながら、変形例として、上記重畳領域は、層21及び25の、それらの範囲の一部分のみの重複により形成され、ホログラフィック層21は、例えば、層25よりも幅が小さいか、又はその逆である。好ましくは、ホログラフィック層21がSの範囲を占めた状態で、S/S≧0.5、望ましくはS/S≧0.75である。
【0138】
文書10の定位置にあるセキュリティ要素20が観察される際に、全重複領域を、可視としてもよく、又は変形例として、後者、重複領域の一部分のみが、例えば基体11によって部分的に隠される。
【0139】
バッキング層22は、基体11の対応する面の全て又は一部を覆いうる。
【0140】
図1及び図2において、バッキング層22は、基体11の面13の一部分だけを占める。変形例として、バッキング層22は、面13の全体用の保護フィルムを形成する。ホログラフィック層21は、例えば、窓12の領域においてのみ延びるか、又は、窓12と、基体11との両方にわたって延びる。これは、窓を通して可視のものと、窓の外にあるものとの間で、ホログラムの再現の間にコントラストの観察を可能にすることにより、追加の効果を生成することを許す。ホログラフィック層21は、バッキング22の面13の合計範囲の5〜100%を覆いうる。
【0141】
一般に、ホログラフィック層21は、文書10にわたって連続的に延びてもよく、すなわち、ホログラフィック層21により形成される2つの未接続の領域はない。変形例として、ホログラフィック層21は、文書10にわたって不連続に延びる。例えば、ホログラフィック層21の複数部分が、バッキング層にわたって規則的な間隔で反復され、これらの部分が未接続である。これらの部分は、同色又は別個の色を再現しうる。これらの部分は、同じ観察の角度又は異なる角度についてホログラムを再現しうる。
【0142】
一般に、可変不透明度構造25は、その面内に可変不透明度を有しうる。
【0143】
例えば、可変不透明度構造は、1つ又は複数の不透明度領域25aと1つ又は複数の非不透明領域25bとを有する層25によって形成され、または、領域25aは、例えば、金属化及び/又は印刷の存在に、及び/又は、少なくとも部分的には不透明、特に繊維質の開口された層、の存在に対応し、且つ領域25bは、脱金属化の存在及び/又は印刷の不存在に、及び/又は開口された層内の切抜き又は半透明領域に対応する。従って、非不透明領域は、不透明繊維質基体を通した切抜きによる以外のやり方で形成しうる。
【0144】
パターンは、不透明及び/又は非不透明領域によって形成されうる。これらのパターンは、例えば、英数字及び/又はロゴ及び/又は他の何らかの形象的マークである。それは、銀行の名前、国及び/又は紙幣の価値に関する情報を提供するテキストでありうる。
【0145】
非不透明領域25bが、少なくとも部分的に不透明の層、特に繊維質層、において、切抜きにより形成される場合、これらの切抜きは、それぞれ例えば0.5〜10−9cmを占める微小穿孔(microperforations)から構成されうる。
【0146】
図9の例において、可変不透明度構造25は、微小穿孔25bを備えている開口層の形態である。該開口層は、例えば、紙の層であり、微小穿孔25bは、例えば、該紙の層を通してレーザーを用いて作製される。
【0147】
一般に、透過光内で観察することにより現れる情報、可変不透明度構造25により定義される1又は複数のパターンは、特にこの情報が紙幣の場合の紙幣の価値に関する場合、セキュアード文書のその他の位置で見出されうる。
【0148】
上記パターンは、裸眼に対して観察可能とするか、又は観察可能とするために拡大装置の使用を要求するものでありうる。
【0149】
観察は、好ましくは白光内で行われ、上記ホログラムは、好ましくは、この照明下で再現される。変形例として、観察は、特にホログラフィック層21がこのために設けられる場合、UV又はIR光の下で行われる。
【0150】
可変不透明度構造25内にて、脱金属化により形成されるパターン、特に文字、の最大寸法は、例えば、2mm以下であり、金属化又は印刷により形成されるパターンの最大寸法はまた、2mm以下でありうる。金属化/脱金属化により生成されるパターンは、透過光内において画像を再現するドットの形態で、国際公開第2006/066927号の出願の教示に従い生成されうる。
【0151】
一般に、金属化層から生成される可変不透明度構造25の場合、この層は、構成要素サブ層として、例えばPET製のバッキングフィルムと、このフィルムの一方側又は2つの反対側に、このフィルム上の1つ又は複数の金属の堆積物と、を備えうる。金属の厚さは、不透明領域において求められた不透明度に依存する。アルミニウム、銅、金、鉄、銀、クロム、ニッケル、亜鉛、カドミウム、ビスマス、及びそれらの合金並びに酸化物が、金属化/脱金属化により可変不透明度構造25を生成するために使用されることが出来る金属として挙げられうる。
【0152】
可変不透明度構造25は、例えば物体、文字、建物又は地形の画像を定義するラスタードットを備えうる。
【0153】
可変不透明度構造25がラスター画像を定義する場合、上記ホログラムが、画像の知覚を容易にする着色背景、例えば画像を背面から照らすように見える緑色の背景、を形成する無地の色も再現し、従ってラスター画像が反射において可視であることは有利でありうる。
【0154】
可変不透明度構造25は、特に図6に示されるように、少なくとも部分的に半透明の接着層26を介して、ホログラフィック層21に固定的に取り付けされうる。
【0155】
接着層26は、保護層、例えばワニス、により置き換えてもよく、それはホログラフィック層21に堆積され、且つそれは不透明領域25aのためのバッキングとしての役割を果たし、次に、それらは例えば印刷により形成される。接着層23及び26の性質は同じでありうる。
【0156】
図10の例において、可変不透明度層25は、ホログラフィック層21と、バッキング層22との間に置かれる。
【0157】
例えば、バッキング層22は、印刷又は金属化を受けて、可変不透明度構造25を形成し、ホログラフィック層21は、好ましくは自己支持型の多層複合体として、この層25に堆積される。ホログラフィック層21は、任意的に追加のセキュリティ対策を保持する、透明の保護フィルム27で覆われうる。
【0158】
保護フィルム27は、熱可塑性材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン及び他のポリオレフィン、PTFE、PVDF、EVA、PVA(ポリビニルアルコール)、PMMA、PS(ポリエーテルスルホン)、PEK(ポリエーテルケトン)、PA、テトラフルオロエチレン−過フルオロアルキルビニルエーテルコポリマー)、PET及びポリアミド、の透明フィルムから構成されうる。該フィルムの厚さは、好ましくは、2〜200μm、望ましくは10〜50μm、の範囲である。
【0159】
図8の例は、ホログラフィック層21をバッキング層22に取り付けるための着色接着剤の層23の使用を除いて、図6の構造を描いている。これは、特にセキュリティ要素20が透過又は反射において観察される際に、セキュリティ要素20の外観を修正することを可能にする。接着層23の色は、他の2つの色からの添加物合成により第3の色を生成するために、例えば緑(ホログラム)及び赤(着色接着剤)から黄色を生成するために、ホログラフィック層21により再現されるホログラムの色に従って選択されうる。1つの変形例において、接着層は無色であるが、バッキング層22と、ホログラフィック層21との間に、追加の着色フィルムが挿入される。
【0160】
さらなる変形例として、着色印刷が、バッキング層22又はホログラフィック層21に堆積される。
【0161】
図7の例において、ホログラフィック層は領域21a及び21bを有し、それらは、これらの領域21a及び21bの着色層23との重畳及び上記可変不透明度層の存在の事実により、異なる色で現れうる。これら領域21a及び21bは、観察者に対して、観察の同じ角度又は異なる角度について現れうる。
【0162】
ホログラフィック層21の所与の色で現れる領域21a及び21bは、可変不透明度構造25の所与の不透明度の領域と、正確に重畳してもよく、図7の例においては、これは、着色層23との重畳により異なる色を表すために、不透明領域25aに正確に重畳される領域21aの場合であり、かつ非不透明領域25bに正確に重畳される領域21bの場合である。
【0163】
着色層は、可変不透明度層25とバッキング層22との間に介在されてもよく、この着色層は、例えば、図7に示されるように、着色接着層23である。他の非着色接着層26は、ホログラフィック層21の可変不透明度構造25への取り付けを確実にしうる。
【0164】
変形例において、バッキング層22は、ホログラフィック層21と可変不透明度構造25との間に配置される。
【0165】
例えば、図11に示されるように、一方の面のバッキング層22は、脱金属化された非不透明領域25bを有する金属化を含む可変不透明度構造25を保持し、及び、ホログラフィック層21が、他方の面に加えられる。この実施態様は、セキュリティ要素20が文書窓に組み込まれる場合に特に適する。
【0166】
図12の例において、セキュリティ要素20は、観察者に相対的にホログラフィック層21の下で配置された拡散構造90を備えている。拡散構造90は、好ましくは、マイクロエンボス加工されており、且つ例えば、マイクロエンボス加工された接着剤の層23から構成され、且つ光を拡散して、観察角度又はパターンの記録角度に対するボリュームホログラムの可視性の依存性をより小さくすることを可能にする。これは有利である。加えて、これは、ホログラムの可視性の角度が、特にホログラムが反射性、例えば金属化されている場合に、可変不透明度構造25における光の鏡面反射(日光又は人工点光源の光)に対応する角度と一致するリスクも減少させ、それは反射におけるホログラム及び可変不透明度構造25の観察を容易にする。好ましくは、図示されているように、可変不透明度構造25は、拡散構造90の反対側に配置される。この図12において、例えばホログラフィック層21と拡散構造90との間に無いか又は位置し得るバッキング層22は、示されていない。
【0167】
他の変形例において、バッキング層22は、ホログラフィック21及び可変不透明度25層の反対側に、1つ又は複数の追加のセキュリティ対策、例えば発光インク、レンチキュラー(lenticular)ネットワーク、他のボリュームホログラム又は表面ホログラム、ラスター、半透明金属の堆積物、等による印刷、を保持する。特に、セキュリティ要素20は、上記ボリュームホログラムの色を変える前及び後ろに、発光剤の組み合わせを有しうる。
【0168】
例えば、図13に示されるように、バッキング層22に対するホログラフィック層21の取り付けを確実にする接着層23に含まれる第1の発光剤95と、発光剤95を含む層23に重畳された層97に含まれる第2の発光剤96とがある。発光剤95及び96は、例えば、顔料又は染料、好ましくは染料、である。層97は、例えばワニスである。発光剤95及び96の発光色は、好ましくは異なる。好ましくは、上記発光剤は、蛍光性である。
【0169】
この例において、特に、観察下で可視領域の色、及びUV又はIR観察下でもう1つの色を再現するホログラフィック層がありうる。好ましくは、この場合、励起は、透過により見るための観察者の側とは反対側にある。
【0170】
図14の例において、半反射フィルム40が、バッキング層22の一方側において、ホログラフィック層21を覆う。他方で、バッキング層22は、可変不透明度構造25を保持する。
【0171】
図15の例において、半反射フィルム40が、セキュリティ要素20に存在し、可変不透明度構造25及びホログラフィック層21に重畳されている。ホログラフィック層21は、反射型又は透過型で記録されたホログラムを再現しうる。半反射フィルム40は、可変不透明度構造25の反対側のホログラフィック層21の側に位置する。
【0172】
フィルム40は、その半反射特性、それ故に完全には不透明でないことから、要素20を透過光にて観察した場合に、可変不透明度構造25により定義された1又は複数のパターンを観察することを可能にする。
【0173】
図15の例において、半反射フィルム40は、ホログラム21の反対側のバッキング層22の面に存在する。これは、例えば、薄い金属堆積物でありうる。
【0174】
図16に示される変形例において、半反射フィルム40は、バッキング層22の、ホログラム21及び可変不透明度構造25と同じ側に位置する透明フィルム41によって保持される。
【0175】
図17の例において、セキュリティ要素20は、ホログラフィック層21及び半反射層40の反対側にて、基体11に配置される可変不透明度構造25を備えている。
【0176】
図18において、文書10の基体11の窓12のおかげで、透過光において観察されるセキュリティ要素20が表されている。
【0177】
セキュリティ要素20は、好ましくは金属化/脱金属化により形成されている、可変不透明度構造25cにより覆われたホログラフィック層21cを備えている。
【0178】
ホログラム21c及び可変不透明度構造25cは、基体11の一方側に配置される。
【0179】
要素20は、基体11の他方側で、好ましくは金属化/脱金属化により形成された可変不透明度構造25dに重畳された、もう1つのホログラフィック層21dを備えている。
【0180】
可変不透明度構造25cの不透明領域25aは、可変不透明度構造25dの不透明領域25aに正確に重畳してもよく、同じことが、可変不透明度構造25c及び25dの非不透明領域25bにも当てはめられうる。変形例として、不透明領域25aは、非不透明領域25bのように正確に重畳されない。例えば、可変不透明度構造25cの不透明25a及び非不透明25b領域は、他方の可変不透明度構造25dの領域25a及び25bにより定義されるより大きな寸法のパターンの内側のマイクロパターン、例えばより大きな寸法の文字の内側のマイクロテキスト、を定義しうる。逆に、マイクロパターンは、可変不透明度構造25dの領域25a及び25bにより定義される。
【0181】
ホログラフィック層21cにより再現されるホログラムは、透過型で記録されるホログラムであってもよく、ホログラフィック層21dにより再現されるホログラムは、反射型で記録されるホログラムでありうる。
【0182】
図19の例において、ホログラフィック層21c及び21dは、これらの各側に位置する、透明のバッキング層22によって保持される。ホログラフィック層21c及び21dは、それぞれの可変不透明度構造25c及び25dにより覆われる。図18の例に関して記載される特徴は、図19の例についても有効である。
【0183】
ホログラフィック層21は、例えばセキュリティ要素20が白光照明下で反射において観察される場合、異なる色の少なくとも2つの領域21a及び21bを表すホログラムを再現するために記録されうる。
【0184】
セキュリティ要素20が図20に表されており、可変不透明度層がボリュームホログラム21を覆う配向されたプレートレット顔料により形成される。
【0185】
顔料60は、互いに実質的に平行して配向され、且つボリュームホログラム21の面に平行ではなく、従って、観察の特定方向に関して、顔料60の配向方向に実質的に平行に、可変不透明度層25を通してボリュームホログラムを見ることが可能である。顔料60は、例えば国際公開第2012/176169号に記載されたものでありうる。
【0186】
図21において、セキュリティ要素20は、本発明の他の観点に従って表されており、それは、ホログラフィック層21に重畳された半反射フィルム40を備えている。基体11に作られた窓12は、透過光においてセキュリティ要素20を観察することを可能にする。本発明のこの他の観点に従うと、前述の例の可変不透明度構造25は不存在である。
【0187】
セキュリティ要素20は、例えば、異なる色の2つの領域、又は1つ又は複数の着色領域と1つ又は複数の非着色領域とを有する、可変色度層を備えうる。該着色領域は、例えば、印刷により着色される。
【0188】
この可変色度層の1又は複数の着色領域は、ホログラフィック層21の異なる領域21a及び21bの配置に相対的に登録して配置されうる。
【0189】
例えば、図22に示されるように、ホログラフィック層の所与の色の1つの領域21aが、領域21b及び28bと同様に、可変色度層28の所与の色の領域28aと正確に重畳されている。
【0190】
この図はまた、本発明の他の観点に従うと、他の実施例の可変不透明度構造25が不在でありうる、という事実を示す。
【0191】
本発明は、示された実施例に限定されない。
【0192】
従って、図12における実施例の拡散構造90を、図示された他の実施例に、特に可変不透明度構造25の反対側に加えられうる。同じことが、半反射層40にあてはまる。
【0193】
より一般的には、示された実施例の特徴は、示されない変形例内に組み合わされうる。
【0194】
表現「1つを備えている」は、他に特定されない限り、「少なくとも1つを備えている」と同義である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22