(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6450503
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】タール酸の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 37/86 20060101AFI20181220BHJP
C07C 37/74 20060101ALI20181220BHJP
C07C 39/02 20060101ALI20181220BHJP
C10C 1/12 20060101ALI20181220BHJP
C10C 1/14 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
C07C37/86
C07C37/74
C07C39/02
C10C1/12
C10C1/14
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-516085(P2018-516085)
(86)(22)【出願日】2017年12月26日
(86)【国際出願番号】JP2017046747
【審査請求日】2018年3月27日
(31)【優先権主張番号】特願2017-113436(P2017-113436)
(32)【優先日】2017年6月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591067794
【氏名又は名称】JFEケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】仲道 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】木下 尚文
【審査官】
桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−352739(JP,A)
【文献】
特開平07−041768(JP,A)
【文献】
特開昭63−093743(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101407725(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 37/86
C07C 37/74
C07C 39/02
C10C 1/12
C10C 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールタールを蒸留して得られたカルボル油および/またはナフタレン油に、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化セシウムから選ばれる1種または2種以上であるアルカリを添加して、前記カルボル油および/またはナフタレン油に含まれるタール酸をタール酸塩にする工程Aと、
前記工程Aで得られたタール酸塩に、アニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジンおよびキノリンからなる群より選択される1種以上である塩基性物質を含有するタール酸を添加して、混合物を得る工程Bと、
前記工程Bで得られた混合物に、酸を添加して、粗製タール酸を得る工程Cと、
前記工程Cで得られた粗製タール酸を蒸留して、タール酸を得る工程Dと、
を有するタール酸の製造方法。
【請求項2】
前記工程Bにおいて、前記タール酸塩の質量に対する、前記塩基性物質を含有するタール酸の質量の比が、5〜30質量%である、請求項1に記載のタール酸の製造方法。
【請求項3】
前記塩基性物質を含有するタール酸が含有する塩基性物質の量が、2000〜4000質量ppmである、請求項1または2に記載のタール酸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タール酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭を乾留する際に発生するコールタールを蒸留して得られる軽質油分中には、タール酸(石炭酸)が含まれている。従来、コールタールからタール酸を製造する方法としては、コールタールを蒸留して得られる分留油のうち、タール酸を多く含有するカルボル油やナフタレン油にアルカリ水溶液を添加して、タール酸をアルカリ塩として水層に抽出して回収し、回収したタール酸のアルカリ塩を炭酸ガスや硫酸で分解して粗製タール酸とした後、粗製タール酸を精製蒸留して、フェノール、クレゾール、キシレノール等を主成分とするタール酸を得る方法が知られている。
【0003】
タール酸は、光学樹脂、化粧品、農薬などの原料として使用されるが、コールタール由来のタール酸には、アニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン等の塩基性物質(タール塩基)が含まれるため、これらを除去する必要がある。市場に流通するタール酸のうち比較的安価なタール酸は、塩基性物質の含有量が多い傾向にあり、塩基性物質を簡便に除去する手法が求められる。
【0004】
タール酸に含まれる塩基性物質の含有量を低減する技術として、特許文献1には、活性炭で窒素化合物や硫黄化合物を吸着除去する方法(活性炭法)が開示されている。特許文献2には、粗製タール酸または精製タール酸の蒸留工程において、蒸留原料であるタール酸に硫酸を添加する方法(硫酸添加法)が開示されている。また、特許文献3には、クレゾール類中に含まれる窒素化合物を除去する技術として、クレゾール類を塩基性化合物の水溶液で処理しその後分液し、得られたクレゾール類をさらに酸性化合物の水溶液で処理しその後分液する方法(酸洗法)が開示されている。
【0005】
上記方法のうち、活性炭法や酸洗法では特別な設備が必要となるため、硫酸添加法が広く用いられる。硫酸添加法は、粗製タール酸から精製タール酸を製造する蒸留工程あるいは精製タール酸の蒸留工程において、蒸留釜中に硫酸を添加して蒸留することによりタール酸中の不純物を除去するタール酸の精製方法であるが、蒸留原料中の塩基性物質の含有濃度が増加してくると、最終製品の塩基性物質の含有濃度も上昇傾向となる。最終製品の塩基性物質の含有濃度を低減するためには、蒸留釜中への硫酸の添加量を増やす必要があるが、高温の硫酸は腐食性が高いため、過剰に硫酸を加えると蒸留釜や蒸留塔を腐食させるリスクが高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−53080号公報
【特許文献2】特開平7−41768号公報
【特許文献3】特開平4−210659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、タール酸に含まれる塩基性物質の含有量をより簡易に低減できるタール酸の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]コールタールを蒸留して得られたカルボル油および/またはナフタレン油にアルカリを添加して、前記カルボル油および/またはナフタレン油に含まれるタール酸をタール酸塩にする工程Aと、前記工程Aで得られたタール酸塩に、塩基性物質を含有するタール酸を添加して、混合物を得る工程Bと、前記工程Bで得られた混合物に、酸を添加して、粗製タール酸を得る工程Cと、前記工程Cで得られた粗製タール酸を蒸留して、タール酸を得る工程Dと、を有するタール酸の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のタール酸の製造方法によれば、タール酸に含まれる塩基性物質の含有量をより簡易に低減できる。
本発明のタール酸の製造方法によれば、活性炭法や酸洗法を用いる場合等に必要となる特別な設備を設ける必要がなく、既存のタール酸の製造設備を用いて簡易に塩基性物質の含有量を低減できる。また、タール酸の製造設備において、高温で過剰の硫酸を用いた処理を行わなくてよく、設備を腐食させるリスクが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明のタール酸の製造方法の一実施形態のフローを示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施例で調査した塩基性物質含有タール酸の添加比率と、m,p−クレゾール製品中の塩基濃度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のタール酸の製造方法の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0012】
(タール酸の製造方法)
図1は、本発明のタール酸の製造方法の一実施形態のフローを示す概略図である。本発明のタール酸の製造方法は、コールタールを蒸留して得られたカルボル油および/またはナフタレン油にアルカリを添加して、前記カルボル油および/またはナフタレン油に含まれるタール酸をタール酸塩にする工程Aと、前記工程Aで得られたタール酸塩に、塩基性物質を含有するタール酸を添加して、混合物を得る工程Bと、前記工程Bで得られた混合物に、酸を添加して、粗製タール酸を得る工程Cと、前記工程Cで得られた粗製タール酸を蒸留して、タール酸を得る工程Dと、を有する。
【0013】
<工程A>
カルボル油および/またはナフタレン油は、コールタールを蒸留して得られるものであればよい。例えば、
図1に示すように、コールタールを脱水塔に挿入し、脱水処理し、次いで、脱水処理したものを常圧蒸留塔に挿入して蒸留処理することで、カルボル油、ナフタレン油等の留分が得られる。この際、前記カルボル油は、約170〜200℃の留分として得られ、前記ナフタレン油は、約200〜250℃の留分として得られる。前記カルボル油、ナフタレン油中には、タール酸が多く含まれる。なお、本明細書における留分、沸点等の温度は、特に断らない限り常圧での温度を意味する。
【0014】
工程Aでは、上記のようにして得られたカルボル油および/またはナフタレン油にアルカリを添加して、前記カルボル油および/またはナフタレン油に含まれるタール酸をタール酸塩にする。
【0015】
アルカリとしては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化セシウムなどが挙げられる。アルカリは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましいアルカリは、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。
【0016】
工程Aでは、好ましくは、カルボル油および/またはナフタレン油にアルカリ水溶液を添加し、抽出槽に装入して、カルボル油および/またはナフタレン油に含まれるタール酸をタール酸塩(タール酸アルカリ塩)として、アルカリ水溶液中に抽出する。すなわち、上記抽出槽では、タール酸塩を含む水層と、タール酸が除去(脱酸)された油層とに分離する分離処理が行われる。そして、前記分離処理の後、タール酸塩を含む水層を回収する。
【0017】
なお、本発明のタール酸の製造方法においては、カルボル油とナフタレン油のどちらか一方を用いてもよいし、カルボル油とナフタレン油の両方を用いてもよい。
【0018】
前記アルカリ水溶液としては、苛性ソーダ水溶液が好ましい。前記アルカリ水溶液の濃度は、適宜に調整されるが、一例として、10〜12質量%程度である。
【0019】
<工程B>
工程Bでは、工程Aで得られたタール酸塩(タール酸塩を含む水層)に、塩基性物質を含有するタール酸(以下、単に「塩基性物質含有タール酸」ともいう)を添加して、タール酸塩と塩基性物質含有タール酸とを含む混合物を得る。
【0020】
前記塩基性物質含有タール酸は、アニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン等の塩基性物質(タール塩基)の含有量が多いタール酸であり、例えば、粗製タール酸またはこれを精製蒸留して得たタール酸であって、目標とするスペックに対し十分に塩基性物質の含有量が低減されなかったタール酸である。
【0021】
本発明のタール酸の製造方法の一実施形態では、前記塩基性物質が、アニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジンおよびキノリンからなる群より選択される1種以上である。
【0022】
一例として、塩基性物質含有タール酸は、2000質量ppm以上または2100質量ppm以上の塩基性物質を含む。また、塩基性物質含有タール酸中の塩基性物質の含有量の上限は特に限定されないが、一例として、塩基性物質含有タール酸は、4000質量ppm以下、3000質量ppm以下または2700質量ppm以下の塩基性物質を含む。
【0023】
本発明のタール酸の製造方法の一実施形態では、前記塩基性物質を含有するタール酸が含有する塩基性物質の量が、2000〜4000質量ppmである。
【0024】
工程Bにおける塩基性物質含有タール酸の添加量は、所望するタール酸の処理量等に応じて適宜に調整される。本発明の製造方法によれば、工程Bで添加する塩基性物質含有タール酸の添加量が多くなっても、タール酸製品中の塩基性物質の含有濃度(塩基濃度)を低減することができ、例えば、塩基性物質含有タール酸の添加量を、タール酸塩の質量に対して、5質量%以上とすることができ、10質量%以上とすることができ、15質量%以上とすることができ、20質量%以上としてもよい。また、塩基性物質含有タール酸の添加量の上限は、特に限定されないが、例えば、タール酸塩の質量に対し30質量%以下、25質量%以下または20質量%以下とすることができる。
【0025】
本発明のタール酸の製造方法の一実施形態では、前記工程Bにおいて、前記タール酸塩の質量に対する、前記塩基性物質を含有するタール酸の質量の比が、5〜30質量%である。別の実施形態では、前記工程Bにおいて、前記タール酸塩の質量に対する、前記塩基性物質を含有するタール酸の質量の比が、10〜25質量%である。
【0026】
一実施形態では、上記タール酸塩と塩基性物質含有タール酸とを含む混合物は、混合槽に装入され混合される。
【0027】
<工程C>
工程Cでは、前記工程Bで得られた上記混合物に、酸を添加して、粗製タール酸を得る。
前記酸としては、例えば、炭酸ガスおよび/または硫酸などが挙げられ、硫酸が好ましい。工程Cの一実施形態では、前記混合物を非加熱状態で酸と接触させる。混合物を酸と接触させる際の混合物の温度は、一例として、55〜80℃である。
【0028】
この工程Cでは、タール酸塩を酸で分解して粗製タール酸にする反応とともに、塩基性物質含有タール酸を酸洗する処理が行われるものと考えられる。そのため、工程Cを経ることで、塩基性物質含有タール酸から塩基性物質を除去することができ、塩基性物質の含有量を低減できる。さらに、上記酸として硫酸を用いることで、酸洗の効果をより高めることができる。
【0029】
工程Cの一実施形態では、上記反応により酸分解槽で粗製タール酸を得た後、静置分離して酸(硫酸)を除去する工程を任意に含んでいてもよい。
【0030】
<工程D>
工程Dでは、前記工程Cで得られた粗製タール酸を蒸留して、タール酸を得る。
この工程Dは、特に限定されず、例えば従来の方法と同様に実施することができる。例えば、粗製タール酸を連続蒸留し、各種のタール酸(フェノール、o−クレゾール、m,p−クレゾール、キシレノール等)を留出させ製造する。この際、連続蒸留に先立って、粗製タール酸に、脱水処理、脱ピッチ処理を施してもよい。
【0031】
本発明のタール酸の製造方法の一実施形態では、前記工程Dにおいて得られるタール酸は、フェノール、o−クレゾール、m,p−クレゾールおよびキシレノールからなる群より選択される1種以上である。
【0032】
工程Dで得られたタール酸は、製品スペックに応じて、そのまま製品としてもよいし、さらに回分蒸留を施して製品としてもよい。
【0033】
本発明のタール酸の製造方法によれば、既存のタール酸の製造設備を有効に利用して、より簡易に塩基性物質の含有量が低減されたタール酸を製造することができる。また、高温で過剰の硫酸を用いた処理を行わなくてよく、設備に腐食などを生じさせるリスクを低減できる。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
図1に示すフローに従いタール酸を製造し、m,p−クレゾール製品中に含まれる塩基(タール塩基)の含有量を調査することで本発明の効果を検証した。
【0035】
まず、コールタールを蒸留して得たカルボル油およびナフタレン油に、苛性ソーダ水溶液を添加して、カルボル油およびナフタレン油に含まれるタール酸をタール酸塩にして、水層中に回収した(工程A)。
【0036】
次いで、工程Aで得られたタール酸塩に、塩基性物質含有タール酸を添加し混合物を得た(工程B)。前記塩基性物質含有タール酸中の塩基濃度は、2100〜2700質量ppm程度であった。前記塩基性物質含有タール酸に含まれる塩基性物質は、アニリン、ピリジン、キノリン等であった。
【0037】
工程Bで得られた混合物に硫酸を添加して、タール酸塩を分解して粗製タール酸を得た。混合物を硫酸と接触させる際の混合物の温度は、65℃であった。
(工程C)
その後、工程Cで得られた粗製タール酸を連続蒸留設備で蒸留して、タール酸(フェノール、o−クレゾール、m,p−クレゾール、キシレノール)を得た(工程D)。
【0038】
前記m,p−クレゾールを、さらに回分蒸留設備で硫酸を塩基に対して1当量添加した状態で蒸留し、純度99.0質量%以上のm,p−クレゾール製品を得た。そして、前記m,p−クレゾール製品中の塩基濃度を測定した。
【0039】
以上の工程を、工程Bでの塩基性物質含有タール酸の添加比率(タール酸塩の質量に対する塩基性物質含有タール酸の添加量(質量%))を変えて繰り返した。
【0040】
(比較例1)
工程Bを行わずに、粗製タール酸に塩基性物質含有タール酸を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、m,p−クレゾール製品を製造した。
【0041】
すなわち、比較例1では、コールタールを蒸留して得たカルボル油およびナフタレン油に、苛性ソーダ水溶液を添加して、カルボル油およびナフタレン油に含まれるタール酸をタール酸塩にして水層中に回収し、次いで、前記タール酸塩に硫酸を添加して粗製タール酸にした後、この粗製タール酸に塩基性物質含有タール酸を添加した。その後、粗製タール酸と塩基性物質含有タール酸とを含む混合物を連続蒸留設備で蒸留してタール酸(フェノール、o−クレゾール、m,p−クレゾール、キシレノール)を得て、前記m,p−クレゾールをさらに回分蒸留設備で蒸留し、純度99.0%以上のm,p−クレゾール製品を得た。そして、前記m,p−クレゾール製品中の塩基濃度を測定した。
【0042】
図2に、実施例1、比較例1における塩基性物質含有タール酸の添加比率と、m,p−クレゾール製品中の塩基濃度との関係を調査した結果を示す。
【0043】
m,p−クレゾール製品中の塩基濃度は、30質量ppm以下であることが望ましいが、比較例1の製造方法では、塩基性物質含有タール酸の添加比率が10質量%程度になると、m,p−クレゾール製品中の塩基濃度が30質量ppmを超えた。これに対し、本発明を適用した実施例1の製造方法では、塩基性物質含有タール酸の添加比率を20質量%以上としても、m,p−クレゾール製品中の塩基濃度を15質量ppm以下に維持することができた。
【0044】
以上の結果から、本発明のタール酸の製造方法を適用することにより、タール酸に含まれる塩基性物質の含有量をより簡易に低減できることがわかる。
【要約】
タール酸に含まれる塩基性物質の含有量をより簡易に低減できるタール酸の製造方法を提供すること。コールタールを蒸留して得られたカルボル油および/またはナフタレン油にアルカリを添加して、前記カルボル油および/またはナフタレン油に含まれるタール酸をタール酸塩にする工程Aと、前記工程Aで得られたタール酸塩に、塩基性物質を含有するタール酸を添加して、混合物を得る工程Bと、前記工程Bで得られた混合物に、酸を添加して、粗製タール酸を得る工程Cと、前記工程Cで得られた粗製タール酸を蒸留して、タール酸を得る工程Dと、を有するタール酸の製造方法。