特許第6450591号(P6450591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6450591表示装置、表示方法、プログラム、及びテレビジョン受像機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6450591
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】表示装置、表示方法、プログラム、及びテレビジョン受像機
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20181220BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20181220BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20181220BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G02F1/133 535
   G09G3/20 612U
   G09G3/20 621A
   G09G3/20 642P
   G09G3/34 J
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-521284(P2014-521284)
(86)(22)【出願日】2013年6月5日
(86)【国際出願番号】JP2013065618
(87)【国際公開番号】WO2013187296
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年4月19日
【審判番号】不服2018-1680(P2018-1680/J1)
【審判請求日】2018年2月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-134480(P2012-134480)
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316009762
【氏名又は名称】サターン ライセンシング エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Saturn Licensing LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】全 真生
(72)【発明者】
【氏名】太田 章浩
【合議体】
【審判長】 中塚 直樹
【審判官】 清水 稔
【審判官】 須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−271393(JP,A)
【文献】 特開2005−345552(JP,A)
【文献】 特開2011−099953(JP,A)
【文献】 特開2009−204825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36, G02F 1/133, G09G 3/20, G09G 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、
第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部と、
前記液晶パネルの透過率の変更量を算出する変更量算出部と、
前記液晶パネルの内部の温度を計測する温度計測部と、
計測された前記液晶パネルの内部の温度に基づいて、前記液晶パネルの応答速度を算出する応答速度算出部と、
前記液晶パネルの透過率の変更量と前記液晶パネルの応答速度を用いて、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出部と、
前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御部と、
全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成し、生成した前記バックライトデータを、前記遅延制御部から指示された前記第2のタイミングで前記第2の変更部に出力するバックライトデータ算出部と、
前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部を制御する制御部と
を含む表示装置。
【請求項2】
入力される画像信号に基づいて、前記画像信号が表す画像の明るさに関する明るさ情報を計測する明るさ計測部をさらに含み、
前記変更量算出部は、前記明るさ情報に基づいて、前記変更量を算出する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、
第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部と
を含む表示装置の表示方法において、
前記表示装置による、
前記液晶パネルの透過率の変更量を算出する変更量算出ステップと、
前記液晶パネルの内部の温度を計測する温度計測ステップと、
計測された前記液晶パネルの内部の温度に基づいて、前記液晶パネルの応答速度を算出する応答速度算出ステップと、
前記液晶パネルの透過率の変更量と前記液晶パネルの応答速度を用いて、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出ステップと、
前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御ステップと、
全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成し、生成した前記バックライトデータを、前記遅延制御ステップによる前記第2のタイミングで前記第2の変更部に出力するバックライトデータ算出ステップと、
前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部を制御する制御ステップと
を含む表示方法。
【請求項4】
第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、
第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部と
を含む表示装置のコンピュータを、
前記液晶パネルの透過率の変更量を算出する変更量算出部と、
前記液晶パネルの内部の温度を計測する温度計測部と、
計測された前記液晶パネルの内部の温度に基づいて、前記液晶パネルの応答速度を算出する応答速度算出部と、
前記液晶パネルの透過率の変更量と前記液晶パネルの応答速度を用いて、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出部と、
前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御部と、
全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成し、生成した前記バックライトデータを、前記遅延制御部から指示された前記第2のタイミングで前記第2の変更部に出力するバックライトデータ算出部と、
前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部を制御する制御部と
して機能させるためのプログラム。
【請求項5】
第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、
第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部と、
前記液晶パネルの透過率の変更量を算出する変更量算出部と、
前記液晶パネルの内部の温度を計測する温度計測部と、
計測された前記液晶パネルの内部の温度に基づいて、前記液晶パネルの応答速度を算出する応答速度算出部と、
前記液晶パネルの透過率の変更量と前記液晶パネルの応答速度を用いて、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出部と、
前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御部と、
アンテナまたは再生装置から供給される、コンテンツとしての画像信号を受信する受信部と、
前記画像信号に基づいて、全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成し、生成した前記バックライトデータを、前記遅延制御部から指示された前記第2のタイミングで前記第2の変更部に出力するバックライトデータ算出部と、
前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部を制御する制御部と
を含むテレビジョン受像機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置、表示方法プログラム、及びテレビジョン受像機に関し、特に、例えば、液晶パネルの透過率を変更する際に生じる視覚的な違和感を防止できるようにした表示装置、表示方法プログラム、及びテレビジョン受像機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バックライトから照射される光の透過率を変更できる液晶パネルを備えた表示装置が存在する。
【0003】
この表示装置は、液晶パネルとバックライトを制御し、入力される画像信号に応じて、液晶パネルの透過率とバックライトの明るさを同一のタイミングで変更する。
【0004】
また、例えば、表示装置は、バックライトを、画像の明るい部分と暗い部分とで別々に駆動させる部分駆動を行うことができる(例えば特許文献1参照)。
【0005】
この部分駆動により、表示装置は、例えば、比較的、画像の暗い部分のバックライトを消灯させる等して、画像のコントラストを改善させることができる。
【0006】
なお、画像の暗い部分のバックライトは、例えば、部分駆動の終了時に、対応する液晶パネルの透過率が十分に低くされた状態で点灯される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−128445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、例えば、液晶パネルの透過率が変化する速さを表す応答速度が、比較的遅い場合や、画像の明るさが大きく変化するために、液晶パネルの透過率を変更させる際の変更量が大きい場合等には、液晶パネルの透過率を、速やかに変更させることができない。
【0009】
このため、従来の表示装置では、液晶パネルの透過率とバックライトの明るさを、同一のタイミングで変更できないことが生じ、液晶パネルから出力される画像を視認する人物に、視覚的な違和感を与えてしまう。
【0010】
特に、例えば、上述した部分駆動の終了時には、液晶パネルの透過率が十分に低くなる前に、画像の暗い部分のバックライトが点灯してしまうことが生じ得る。
【0011】
この場合、液晶パネルが、一瞬だけフラッシュしたように見え、液晶パネルから出力される画像を視認する人物に視覚的な違和感を与えてしまう。
【0012】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、液晶パネルの透過率を変更する際に生じる視覚的な違和感を防止できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の第1の側面の表示装置は、第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部と、前記液晶パネルの透過率の変更量を算出する変更量算出部と、前記液晶パネルの内部の温度を計測する温度計測部と、計測された前記液晶パネルの内部の温度に基づいて、前記液晶パネルの応答速度を算出する応答速度算出部と、前記液晶パネルの透過率の変更量と前記液晶パネルの応答速度を用いて、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出部と、前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御部と、全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成し、生成した前記バックライトデータを、前記遅延制御部から指示された前記第2のタイミングで前記第2の変更部に出力するバックライトデータ算出部と、前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部を制御する制御部とを含む表示装置である。
【0018】
入力される画像信号に基づいて、前記画像信号が表す画像の明るさに関する明るさ情報を計測する明るさ計測部をさらに設けることができ、前記変更量算出部では、前記明るさ情報に基づいて、前記変更量を算出することができる。
【0019】
本開示の第1の側面の表示方法は、第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部とを含む表示装置の表示方法であって、前記表示装置による、前記液晶パネルの透過率の変更量を算出する変更量算出ステップと、前記液晶パネルの内部の温度を計測する温度計測ステップと、計測された前記液晶パネルの内部の温度に基づいて、前記液晶パネルの応答速度を算出する応答速度算出ステップと、前記液晶パネルの透過率の変更量と前記液晶パネルの応答速度を用いて、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出ステップと、前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御ステップと、全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成し、生成した前記バックライトデータを、前記遅延制御ステップによる前記第2のタイミングで前記第2の変更部に出力するバックライトデータ算出ステップと、前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部を制御する制御ステップとを含む表示方法である。
【0020】
本開示の第1の側面のプログラムは、第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部とを含む表示装置のコンピュータを、前記液晶パネルの透過率の変更量を算出する変更量算出部と、前記液晶パネルの内部の温度を計測する温度計測部と、計測された前記液晶パネルの内部の温度に基づいて、前記液晶パネルの応答速度を算出する応答速度算出部と、前記液晶パネルの透過率の変更量と前記液晶パネルの応答速度を用いて、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出部と、前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御部と、全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成し、生成した前記バックライトデータを、前記遅延制御部から指示された前記第2のタイミングで前記第2の変更部に出力するバックライトデータ算出部と、前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部を制御する制御部として機能させるためのプログラムである。
本開示の第2の側面のテレビジョン受像機は、第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部と、前記液晶パネルの透過率の変更量を算出する変更量算出部と、前記液晶パネルの内部の温度を計測する温度計測部と、計測された前記液晶パネルの内部の温度に基づいて、前記液晶パネルの応答速度を算出する応答速度算出部と、前記液晶パネルの透過率の変更量と前記液晶パネルの応答速度を用いて、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出部と、前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御部と、アンテナまたは再生装置から供給される、コンテンツとしての画像信号を受信する受信部と、前記画像信号に基づいて、全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成し、生成した前記バックライトデータを、前記遅延制御部から指示された前記第2のタイミングで前記第2の変更部に出力するバックライトデータ算出部と、前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部を制御する制御部とを含むテレビジョン受像機である。
【0021】
本開示によれば、前記液晶パネルの内部の温度が計測され、計測された前記液晶パネルの内部の温度に基づいて、前記液晶パネルの応答速度が算出され、前記液晶パネルの透過率の変更量が算出され、前記液晶パネルの透過率の変更量と前記液晶パネルの応答速度を用いて、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間が算出され、前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率が前記第1の変更部に変更され、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさが前記第2の変更部に変更され、全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータが生成され、生成された前記バックライトデータが、前記遅延制御部から指示された前記第2のタイミングで前記第2の変更部に出力され、前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部が制御さる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、液晶パネルの透過率を変化させる際に生じる視覚的な違和感を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示におけるテレビジョン受像機の構成例を示すブロック図である。
図2】マイコンが、液晶パネルの応答速度を算出するときの一例を示す図である。
図3】マイコンが、液晶パネルの透過率の変更量を算出するときの一例を示す図である。
図4】マイコンが、算出した遅延時間に基づいて、第1及び第2のタイミングを決定するときの一例を示す図である。
図5】テレビジョン受像機が行う遅延制御処理を説明するためのフローチャートである。
図6】コンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示における実施の形態(以下、本実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.本実施の形態(液晶信号とバックライトデータを異なるタイミングで出力するときの一例)
2.変形例
【0025】
<1.本実施の形態>
[テレビジョン受像機1の構成例]
図1は、本実施の形態であるテレビジョン受像機1の構成例を示している。
【0026】
このテレビジョン受像機1は、画像処理部21、液晶制御部22、温度センサ23aを内蔵する液晶パネル23、マイコン(マイクロコンピュータ)24、BL駆動部25、バックライト26、制御部27及び操作部28から構成される。
【0027】
なお、テレビジョン受像機1において、画像処理部21には、図示せぬアンテナ等から受信したコンテンツとしての画像信号や、図示せぬ再生装置等から画像信号が供給される。
【0028】
画像処理部21は、供給される画像信号を処理するものであり、APL(average picture level)計測部41、遅延制御部42、信号処理部43、及びBL値算出部44から構成される。
【0029】
APL計測部41は、供給される画像信号に基づいて、画像信号が表す画像の明るさに関する明るさ情報として、例えば輝度の平均を表すAPLを計測する。
【0030】
具体的には、例えば、APL計測部41は、供給される画像信号に基づいて、画像を構成する各画素の輝度の総和を、画像の画素数で除算することにより得られるAPLを計測する。
【0031】
そして、APL計測部41は、供給される画像信号毎に計測した複数のAPLを、マイコン24に供給する。なお、APL計測部41は、明るさ情報として、画像の輝度の平均を表すAPLの他、画像の最大輝度や、画像の輝度の分布、画像を構成する各領域毎の最大輝度等も計測し、その計測結果を、明るさ情報として、マイコン24に供給することができる。しかしながら、本実施の形態では、APL計測部41は、供給される画像信号毎にAPLを計測し、計測したAPLをマイコン24に供給するものとして説明する。
【0032】
遅延制御部42は、マイコン24からの指示に従い、第1のタイミングで信号処理部43から液晶制御部22に液晶信号を出力させ、第1のタイミングの後に到来する第2のタイミングでBL値算出部44からBL駆動部25にバックライトデータを出力させる。
【0033】
信号処理部43は、供給される画像信号に基づいて、画像信号が表す画像の輝度の分布を算出する。
【0034】
また、信号処理部43は、算出した輝度の分布に基づいて、液晶パネル23の透過率(開口率)を、画像信号に応じた透過率に変更するための液晶信号を生成し、遅延制御部42から指示された第1のタイミングで液晶パネル23に出力する。
【0035】
なお、液晶パネル23の透過率は、液晶パネル23から出力される光としての画像を構成する各画素毎に決定される。
【0036】
BL値算出部44は、供給される画像信号に基づいて、画像信号が表す画像を構成する各画素の明るさ(輝度)を算出し、その算出結果に基づいて、バックライトの明るさを制御するためのバックライトデータを生成する。
【0037】
すなわち、例えば、BL値算出部44は、バックライトを部分駆動させる場合、算出した各画素の明るさに基づいて、画像の明るい部分と暗い部分とを識別し、明るい部分に対応するバックライトの明るさを明るく、暗い部分に対応するバックライトの明るさを暗くするためのバックライトデータを生成する。
【0038】
具体的には、例えば、BL値算出部44は、画像を構成する全領域のうち、輝度の低い領域(暗い部分)に相当するバックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域(明るい部分)に相当するバックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成する。
【0039】
そして、BL値算出部44は、生成したバックライトデータを、遅延制御部42から指示された第2のタイミングでBL駆動部25に出力する。
【0040】
液晶制御部22は、液晶パネル23を制御することにより、信号処理部43から液晶信号が供給される第1のタイミングに同期して、信号処理部43からの液晶信号に基づき、液晶パネル23の透過率を変更する。
【0041】
なお、図1のテレビジョン受像機1では、信号処理部43と液晶制御部22の間に、信号処理部43から出力される液晶信号を信号処理するための処理ブロックを設けるようにすることができる。
【0042】
この場合、信号処理部43は、生成した液晶信号を、処理ブロックでの処理時間を加味したタイミング(第1のタイミングよりも、処理ブロックでの処理時間だけ早いタイミング)で、処理ブロックに出力する。
【0043】
これにより、処理ブロックで処理後の液晶信号が、第1のタイミングで処理ブロックから液晶制御部22に供給される。そして、液晶制御部22は、上述のように、第1のタイミングに同期して、液晶パネル23の透過率を変更する。
【0044】
液晶パネル23は、液晶制御部22により変更された透過率で、バックライト26からの光を透過させることにより、画像としての透過光を出力する。
【0045】
また、温度センサ23aは、液晶パネル23の内部に設けられており、液晶パネル23の内部の温度を計測し、その計測結果を、マイコン24に供給する。
【0046】
マイコン24は、温度センサ23aから供給される、液晶パネル23の内部の温度を計測した計測結果に基づいて、液晶パネル23の応答速度を算出する。ここで、応答速度とは、液晶パネル23の透過率が変化するときの速さを表す。
【0047】
また、マイコン24は、画像処理部21のAPL計測部41から供給される、画像のAPLを計測した計測結果に基づいて、液晶パネル23から出力される画像の明るさの変化を検出する。
【0048】
すなわち、例えば、マイコン24は、画像処理部21のAPL計測部41からの計測結果に基づいて、画像の輝度が、低い輝度から高い輝度に変化していくのか、中間の輝度から高い輝度に変化していくのか等を検出する。
【0049】
さらに、マイコン24は、検出した画像の明るさの変化に基づいて、液晶パネル23の透過率を、画像信号に応じた透過率に変更する際の変更量を算出する。
【0050】
また、マイコン24は、算出した応答速度と変更量に基づいて、液晶信号を出力させる第1のタイミングに対して、バックライトデータを出力させる第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する。
【0051】
そして、マイコン24は、第1のタイミングで、信号処理部43から液晶信号を出力させるとともに、第1のタイミングから遅延時間だけ遅延させた第2のタイミングで、BL値算出部44からバックライトデータを出力させるように、遅延制御部42を制御する。
【0052】
BL駆動部25は、BL値算出部44からバックライトデータが供給される第2のタイミングに同期して、バックライト26の明るさを変更する。すなわち、例えば、BL駆動部25は、第2のタイミングに同期して、バックライト26を駆動させ、バックライト26に、BL値算出部44からのバックライトデータに応じた明るさの光を、液晶パネル23の背面に照射させる。
【0053】
バックライト26は、例えばLED(light emitting diode)等からなり、液晶パネル23の背面(画像が表示される面の裏側)に設けられている。
【0054】
また、バックライト26は、BL駆動部25からの制御により駆動し、BL値算出部44からBL駆動部25に供給されるバックライトデータに応じた点灯量で点灯する。これにより、液晶パネル23の背面には、バックライト26からの光が照射される。
【0055】
制御部27は、例えば、操作部28からの操作信号に応じて、画像処理部21、液晶制御部22、マイコン24、及びBL駆動部25を制御する。
【0056】
すなわち、例えば、ユーザが、操作部28を用いて部分駆動を指示するための指示操作を行った場合、制御部27は、ユーザの指示操作に応じた、操作部28からの操作信号に応じて、部分駆動を行うように制御する。
【0057】
具体的には、例えば、制御部27は、操作部28からの操作信号に応じて、部分駆動をオンするタイミングを表す部分駆動制御パルスを生成し、マイコン24に供給することにより、部分駆動を行わせる。なお、制御部27は、部分駆動を終了させるときも同様にして、部分駆動をオフするタイミングを表す他の部分駆動制御パルスを生成し、マイコン24に供給して、部分駆動を終了させる。
【0058】
操作部28は、例えば、操作ボタン等であり、ユーザにより操作される。操作部28は、ユーザからの操作に応じて、ユーザの操作に応じた操作信号を、制御部27に供給する。
【0059】
[応答速度の算出方法の一例]
次に、図2は、マイコン24が、温度センサ23aからの計測結果に基づいて、液晶パネル23の応答速度を算出するときの一例を示している。
【0060】
図2において、横軸は時間を表し、縦軸は、液晶パネル23の液晶の透過率を表している。
【0061】
図2には、透過率がαからβ(<α)に変化するときの、応答速度V1乃至V3が示されている。
【0062】
一般的には、液晶パネル23の内部の温度が高くなる程に、応答速度は速くなる。したがって、例えば、液晶パネル23の応答速度がV1である場合、液晶パネル23の内部の温度が上昇すると、応答速度はV1からV2に変化する。また、例えば、液晶パネル23の応答速度がV2となった状態で、液晶パネル23の内部の温度がさらに上昇すると、応答速度はV2からV3に変化する。
【0063】
マイコン24は、例えば、液晶パネル23の内部の温度と、液晶パネル23の応答速度とを対応付けたテーブルを予め保持している。そして、マイコン24は、温度センサ23aからの計測結果に基づいて、予め保持しているテーブルから、温度センサ23aで計測された温度に対応付けられている応答速度を読み出すことにより算出する。
【0064】
また、マイコン24は、液晶パネル23の内部の温度と、液晶パネル23の応答速度との関係を表す関数を予め保持するようにしてもよい。この場合、マイコン24は、温度センサ23aからの計測結果を変数として、予め保持している関数に代入することにより、液晶パネル23の応答速度を算出する。
【0065】
なお、マイコン24に予め保持されるテーブルや関数は、液晶パネル23を用いて予め行われる実験結果などに基づき生成されて保持される。
【0066】
次に、図3は、マイコン24が、APL計測部41からの計測結果に基づいて、液晶パネル23の透過率の変更量を算出するときの一例を示している。
【0067】
例えば、液晶パネル23から出力された直前の画像が明るい画像であり、次に出力される画像が暗い画像である場合、図3に示されるように、液晶パネル23の透過率が、応答速度V1でαからβに変更される。
【0068】
この場合、マイコン24は、APL計測部41からの計測結果に基づいて、透過率の変更量(α-β)を算出する。
【0069】
そして、マイコン24は、温度センサ23aからの計測結果に基づき算出した応答速度V1と、APL計測部41からの計測結果に基づき算出した変更量(α-β)に基づいて、遅延時間T1を算出する。
【0070】
この遅延時間T1は、液晶パネル23の透過率が、応答速度V1でαからβに変更されるまでの時間を表す。なお、遅延時間T1は、これに限定されない。
【0071】
すなわち、例えば、マイコン24は、遅延時間T1に代えて、液晶パネル23の透過率が、殆どβに変更されるまでの時間T1''(<T1)を、遅延時間として算出することができる。このことは、後述する遅延時間T2についても同様である。
【0072】
また、例えば、液晶パネル23から出力された直前の画像が中間の明るさの画像であり、次に出力される画像が暗い画像である場合、図3に示されるように、液晶パネル23の透過率が、応答速度V1でα'からβに変更される。
【0073】
この場合、マイコン24は、APL計測部41からの計測結果に基づいて、透過率の変更量(α'-β)を算出する。
【0074】
そして、マイコン24は、温度センサ23aからの計測結果に基づき算出した応答速度V1と、APL計測部41からの計測結果に基づき算出した変更量(α'-β)に基づいて、遅延時間T2(<T1)を算出する。
【0075】
この遅延時間T2は、液晶パネル23の透過率が、応答速度V1でα'からβに変更されるまでの時間を表す。
【0076】
次に、図4は、マイコン24が、算出した遅延時間に基づいて、第1のタイミング及び第2のタイミングを決定するときの一例を示している。
【0077】
図4のAには、制御部27から出力される部分駆動制御パルスの一例が示されている。この部分駆動制御パルスは、部分駆動を開始するときにオンされ、部分駆動を終了するときにオフされる。
【0078】
図4のBには、液晶パネル23の透過率が示されている。
【0079】
図4のCには、バックライト26の明るさが示されている。
【0080】
マイコン24は、図4のBに示されるような遅延時間T1を算出した場合、算出した遅延時間T1に基づいて、液晶信号を出力する第1のタイミング、及びバックライトデータを出力する第2のタイミングを決定する。
【0081】
この場合、マイコン24は、例えば、図4のAに示される部分駆動制御パルスがオフされるタイミングt1を第1のタイミングとし、第1のタイミングから遅延時間T1だけ遅延したタイミングt2(=t1+T1)を第2のタイミングとする。
【0082】
そして、マイコン24は、遅延制御部42を制御し、第1のタイミングt1で信号処理部43から液晶信号を出力させ、第2のタイミングt2でBL値算出部44からバックライトデータを出力させる。
【0083】
また、例えば、マイコン24は、遅延時間T1に代えて、タイミングt1での透過率αが、透過率βに近い透過率β'となるまでの時間を、遅延時間T1'として算出するようにしてもよい。
【0084】
この場合、マイコン24は、例えば、タイミングt1を第1のタイミングとし、第1のタイミングから遅延時間T1'だけ遅延したタイミングt2'(=t1+T1')を第2のタイミングとする。そして、マイコン24は、遅延制御部42を制御し、第1のタイミングt1で信号処理部43から液晶信号を出力させ、第2のタイミングt2'でBL値算出部44からバックライトデータを出力させる。
【0085】
なお、マイコン24において、第1のタイミング及び第2のタイミングは、図4に示した場合に限定されず、第2のタイミングが、第1のタイミングから遅延時間だけ遅延していれば、いずれのタイミングを、第1のタイミング及び第2のタイミングとしてもよい。
【0086】
すなわち、例えば、マイコン24は、第1のタイミングを、タイミングt1の前後のタイミングとすることができるし、第1のタイミングと第2のタイミングを、それぞれ、タイミングt1よりも前のタイミングとすることができる。
【0087】
また、図4では、部分駆動がオフされる場合について説明したが、部分駆動がオンされる場合についても同様にして、マイコン24は、第1及び第2のタイミングを決定することができる。
【0088】
すなわち、図4において部分駆動がオンされる場合、マイコン24は、例えば、液晶パネル23の透過率が、βからαに変更されるまでの時間を遅延時間として算出し、算出した遅延時間に基づいて、第1及び第2のタイミングを決定する。
【0089】
なお、上述したようにして、マイコン24が第1及び第2のタイミングを決定するのは、部分駆動がオン又はオフされる場合に限定されない。すなわち、液晶パネル23の透過率が変更される場合であれば、マイコン24は、いずれの場合も、上述したようにして第1及び第2のタイミングを決定することができる。
【0090】
[テレビジョン受像機1の動作説明]
次に、図5のフローチャートを参照して、テレビジョン受像機1が行う遅延制御処理について説明する。
【0091】
なお、この遅延制御処理は、例えば、テレビジョン受像機1の電源がオンされたときに開始される。このとき、画像処理部21には、例えば、図示せぬアンテナで受信された画像信号が入力される。
【0092】
ステップS1では、画像処理部21のAPL計測部41は、供給される画像信号に基づいて、画像信号が表す画像のAPLを計測し、その計測結果をマイコン24に供給する。
【0093】
ステップS2では、温度センサ23aは、液晶パネル23の内部の温度を計測し、その計測結果をマイコン24に供給する。
【0094】
ステップS3では、マイコン24は、温度センサ23aから供給される計測結果に基づいて、液晶パネル23の応答速度を算出する。
【0095】
ステップS4では、マイコン24は、APL計測部41からの計測結果に基づいて、液晶パネル23の透過率を、画像信号に対応する透過率に変更させるときの変更量を算出する。
【0096】
ステップS5では、マイコン24は、算出した液晶パネル23の応答速度と、液晶パネル23の変更量とに基づいて、第1のタイミングに対して第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する。
【0097】
そして、マイコン24は、第1のタイミングで、信号処理部43から液晶信号を出力させるとともに、第1のタイミングから遅延時間だけ遅延させた第2のタイミングで、BL値算出部44からバックライトデータを出力させるように、遅延制御部42を制御する。
【0098】
ステップS6では、遅延制御部42は、マイコン24からの指示に従い、信号処理部43を制御して、第1のタイミングで、液晶信号を液晶制御部22に出力させる。
【0099】
これにより、液晶制御部22は、信号処理部42から液晶信号が供給される第1のタイミングに同期して、液晶パネル23を制御することにより、液晶パネル23の透過率を、信号処理部42からの液晶信号に応じた透過率に変更する。
【0100】
ステップS7では、遅延制御部42は、マイコン24からの指示に従い、BL値算出部44を制御して、第1のタイミングから遅延時間だけ遅延した第2のタイミングで、バックライトデータをBL駆動部25に出力させる。
【0101】
これにより、BL駆動部25は、BL値算出部44からバックライトデータが供給される第2のタイミングに同期して、バックライト26を駆動させ、バックライト26の明るさを、BL値算出部44からのバックライトデータに応じた明るさに変更する。
【0102】
そして、画像処理部21に次の画像信号が入力されたことに対応して、処理はステップS7からステップS1に戻り、それ以降同様の処理が行われる。なお、この遅延制御処理は、例えば、テレビジョン受像機1の電源がオフされたときに終了される。
【0103】
以上説明したように、遅延制御処理によれば、マイコン24は、液晶パネル23の内部の温度に応じて変化する応答速度と、各画像の明るさに応じて変化する透過率の変更量に基づいて、第1及び第2のタイミングを決定するようにした。
【0104】
そして、遅延制御部42が、第1のタイミングで信号処理部43から液晶制御部22に液晶信号を出力させ、第1のタイミングから遅延時間だけ遅延させた第2のタイミングで、BL値算出部44からBL駆動部25にバックライトデータを出力させるようにした。
【0105】
このため、例えば、液晶パネル23の透過率が、画像信号に応じた透過率となる頃を見計らって、バックライト26の明るさを、画像信号に応じた明るさに変更することができる。
【0106】
よって、遅延制御処理によれば、液晶パネル23の応答速度や画像の明るさの変化に拘らず、ユーザに視覚的な違和感を与えてしまう事態を防止することが可能となる。
【0107】
<2.変形例>
本実施の形態において、マイコン24は、温度センサ23aからの計測結果に基づき算出した液晶パネル23の応答速度と、APL計測部41からの計測結果に基づき算出した液晶パネル23の透過率の変更量に基づいて、遅延時間を算出するようにした。
【0108】
しかし、マイコン24は、液晶パネル23の応答速度、又は液晶パネル23の透過率の変更量の一方に基づいて、遅延時間を算出してもよい。
【0109】
すなわち、例えば、マイコン24は、温度センサ23aからの計測結果に基づき算出した液晶パネル23の応答速度と、液晶パネル23の透過率の平均的な変更量に基づいて、遅延時間を算出する。なお、液晶パネル23の平均的な変更量は、マイコン24に予め保持されているものとする。
【0110】
この場合、APL計測部41を省略できるので、テレビジョン受像機1の構成を簡素化できる。また、テレビジョン受像機1では、APL計測部41からの計測結果に基づいて、液晶パネル23の透過率の変更量を算出する処理を省略できるので、より迅速に遅延時間を算出できるようになる。
【0111】
さらに、例えば、マイコン24は、APL計測部41からの計測結果に基づき算出した液晶パネル23の透過率の変更量と、液晶パネル23の平均的な応答速度に基づいて、遅延時間を算出できる。なお、液晶パネル23の平均的な応答速度は、マイコン24に予め保持されているものとする。
【0112】
この場合、温度センサ23aを省略できるので、テレビジョン受像機1の構成を簡素化できる。また、テレビジョン受像機1では、温度センサ23aからの計測結果に基づいて、液晶パネル23の応答速度を算出する処理を省略できるので、より迅速に遅延時間を算出できるようになる。
【0113】
本実施の形態では、テレビジョン受像機1について説明したが、本技術は、液晶パネル23及びバックライト26を制御する表示制御装置や、テレビジョン受像機1の他、表示制御装置を内蔵するパーソナルコンピュータ等の電子機器に適用することができる。
【0114】
ところで、本技術は、以下の構成をとることができる。
(1)第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部と、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出部と、前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御部とを含む表示装置。
(2)前記算出部は、前記液晶パネルの応答速度、又は前記液晶パネルの透過率の変更量の少なくとも一方に基づいて、前記遅延時間を算出する前記(1)に記載の表示装置。
(3)前記液晶パネルの応答速度を算出する応答速度算出部をさらに含む前記(2)に記載の表示装置。
(4)前記液晶パネルの温度を計測する温度計測部をさらに含み、前記応答速度算出部は、計測された前記液晶パネルの温度に基づいて、前記液晶パネルの応答速度を算出する前記(3)に記載の表示装置。
(5)前記液晶パネルの透過率の変更量を算出する変更量算出部をさらに含む前記(2)乃至(4)に記載の表示装置。
(6)入力される画像信号に基づいて、前記画像信号が表す画像の明るさに関する明るさ情報を計測する明るさ計測部をさらに含み、前記変更量算出部は、前記明るさ情報に基づいて、前記変更量を算出する前記(5)に記載の表示装置。
(7)第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部とを含む表示装置の表示方法において、前記表示装置による、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出ステップと、前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御ステップとを含む表示方法。
(8)第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部とを含む表示装置のコンピュータを、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出部と、前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御部として機能させるためのプログラム。
【0115】
上述した一連の処理は、例えばハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、又は、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0116】
[コンピュータの構成例]
図6は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示している。
【0117】
CPU(Central Processing Unit)201は、ROM(Read Only Memory)202、又は記憶部208に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)203には、CPU201が実行するプログラムやデータ等が適宜記憶される。これらのCPU201、ROM202、及びRAM203は、バス204により相互に接続されている。
【0118】
CPU201にはまた、バス204を介して入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、キーボード、マウス、マイクロホン等よりなる入力部206、ディスプレイ、スピーカ等よりなる出力部207が接続されている。CPU201は、入力部206から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU201は、処理の結果を出力部207に出力する。
【0119】
入出力インタフェース205に接続されている記憶部208は、例えばハードディスクからなり、CPU201が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部209は、インターネットやローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して外部の装置と通信する。
【0120】
また、通信部209を介してプログラムを取得し、記憶部208に記憶してもよい。
【0121】
入出力インタフェース205に接続されているドライブ210は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等のリムーバブルメディア211が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータ等を取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部208に転送され、記憶される。
【0122】
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを記録(記憶)する記録媒体は、図6に示すように、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disc)を含む)、もしくは半導体メモリ等よりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア211、又は、プログラムが一時的もしくは永続的に格納されるROM202や、記憶部208を構成するハードディスク等により構成される。記録媒体へのプログラムの記録は、必要に応じてルータ、モデム等のインタフェースである通信部209を介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の通信媒体を利用して行われる。
【0123】
なお、本明細書において、上述した一連の処理を記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0124】
さらに、本開示は、上述した本実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 テレビジョン受像機, 21 画像処理部, 22 液晶制御部, 23 液晶パネル, 23a 温度センサ, 24 マイコン, 25 BL駆動部, 26 バックライト, 27 制御部, 28 操作部, 41 APL計測部, 42 遅延制御部, 43 信号処理部, 44 BL値算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6