(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6450891
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】照明装置の熱感度の低減
(51)【国際特許分類】
F21V 5/00 20180101AFI20181220BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20181220BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20181220BHJP
【FI】
F21V5/00 340
F21V17/00 200
F21Y115:10
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-532298(P2018-532298)
(86)(22)【出願日】2017年9月27日
(86)【国際出願番号】EP2017074532
(87)【国際公開番号】WO2018065278
(87)【国際公開日】20180412
【審査請求日】2018年6月19日
(31)【優先権主張番号】16192238.0
(32)【優先日】2016年10月4日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】スピンガー,ベンノ
(72)【発明者】
【氏名】モネスティエ,フロラン
(72)【発明者】
【氏名】メルテンス,ユルゲン
【審査官】
下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0020542(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0238202(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102008047277(DE,A1)
【文献】
特開平06−215398(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2884157(EP,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0206915(US,A1)
【文献】
特開平04−226095(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2306077(EP,A2)
【文献】
特開2003−185904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 5/00
F21V 17/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材上に配置された少なくとも1つのLED照明素子と、
第1方向に前記LED照明素子から離間して配置された光学素子と
を有し、
前記LED照明素子に対する位置に前記光学素子を保持するホルダが設けられ、
前記ホルダは少なくとも、前記支持部材から前記第1方向に延在する第1の保持部と、前記光学素子に接続された第2の保持部とを有し、
前記第2の保持部は、前記第2の保持部の少なくとも一部が前記第1方向に延在するように構成され、
前記第2の保持部は、前記第1方向に対して交差する方向に前記第1の保持部から離間され、
前記第1及び第2の保持部は、第1の接続部によって接続され、
前記第1の接続部は、前記第1及び第2の保持部の双方と角度をなすように構成され、
前記第1の接続部は、前記第1及び第2の保持部よりも大きい厚さを持つ平面壁素子として設けられ、
前記光学素子は、前記第1及び第2の保持部とともに1つの部品として設けられる、
照明装置。
【請求項2】
前記第1の保持部は、前記第1方向に前記光学素子を超えて延在している、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の保持部は、少なくとも実質的に互いに平行に構成される、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1の接続部は、前記第1方向に対して実質的に垂直に延在している、請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第2の保持部は、第2の接続部によって前記光学素子に接続され、
前記第2の接続部は、前記第1方向に対して実質的に垂直に延在している、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記支持部材上に、互いに離間して複数のLED照明素子が配置され、
前記第1方向に前記複数のLED照明素子から離間して複数の光学素子が配置され、
前記複数の光学素子は互いに接続されている、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1及び第2の保持部は平面壁素子として設けられる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の保持部は、前記光学素子を取り囲むように構成される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記ホルダは、互いに平行に配置された一対の第1のハウジング壁と、互いに平行に配置された一対の第2のハウジング壁と、を少なくとも有する箱形ハウジングであり、
前記第1及び第2のハウジング壁は、少なくとも実質的に互いに垂直に配置される、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記ホルダはベース部を有し、
前記ベース部を前記支持部材に固定するようにクランプ素子が構成されている、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記光学素子は、少なくともコリメータ素子及び/又はレンズ素子を有する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明の分野に関し、より具体的には、少なくとも1つのLED照明素子と光学素子とを有する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDを用いた照明装置が、ますます多くの照明用途で使用されている。多くの場合、所望の特性の放射光ビームを得るために、光放射を変化させるように、例えばレンズ、リフレクタ及び/又はコリメータなどの光学素子がLEDの前に配置される。
【0003】
放射光の特性は、LEDに対する光学素子の正確な位置決めに依存し得る。故に、光学素子の正確な位置決めが有利である。
【0004】
DE102008047277A1(特許文献1)は、電荷結合素子チップに対して焦点面を変化させるように対物レンズを保持するキャリア装置を有する装置を示している。対物レンズは光軸に沿って延在する補償体の一セクションに配置され、補償体は別の一セクションでキャリア装置と接続される。補償体は、光学部品に対する焦点面の配置の温度依存変化がバランスするような大きさの熱膨張係数を持つ材料を含んでいる。
【0005】
US5270870A(特許文献2)は、円形フォールドバックフレクシャプレートからレンズバレルによって間隔を置かれたコリメータレンズを含んだ、断熱化されたビーム源・コリメータアセンブリを開示している。円形フォールドバックフレクシャプレートは、ビーム源を周囲環境から隔離するとともにアセンブリを断熱化するように、ビーム源マウントに隣接して円形フォールドバックフレクシャを組み込んでいる。ビーム源マウント及び円形フォールドバックフレクシャプレートは、ビーム源マウントに取り付けられたビーム源の部分と組成及びCTEにおいて同じ材料で構成されている。
【0006】
EP2884157A2(特許文献3)は、少なくとも1つの半導体光源と、該半導体光源から放たれた光を集めて二次光学系に導く一次光学系とを有する自動車ヘッドランプを示しており、一次光学系は、光源からの光を光入射表面を介して受け取り、光は、光出射表面を介して放出され、一次光学系は接続フランジを有し、それを用いて一次光学系が少なくとも2つの固定ベアリングのホルダ内に保持され、接続フランジの第1のセクションがドームのように湾曲されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008047277号明細書
【特許文献2】米国特許第5270870号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2884157号明細書
【発明の概要】
【0008】
広範囲の動作条件にわたって光学素子の安定した位置決めを達成することが1つの目的であると考え得る。
【0009】
これは、請求項1に記載の照明装置によって達成され得る。従属請求項が好適実施形態を表す。
【0010】
本発明者が考えることには、例えば周囲温度の変化に起因する又は熱として放散されるLED動作電力に起因するといった、熱的な変化は、光学素子をLEDに対して取り付けるために設けられる保持構造に有意な影響を及ぼし得る。特に、LED及び光学素子を支持する構造体が、異なる熱膨張係数(CTE)を持つ異なる部分又は異なる材料からなる場合、その構造体は、温度上昇に伴って歪みを受け、それが、LED及び光学素子の相対的な配置における変動につながり得る。光学素子の位置決めの熱的安定性を改善するために、本発明者は、有意なCTEミスマッチの場合であっても比較的低い温度感度を持つことが証明された特別な構造を提案する。
【0011】
本発明に従った照明装置は、少なくとも1つのLED照明素子を有する。LED照明素子なる用語は、例えば発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどの、任意のタイプのソリッドステート照明素子を含むと理解されるべきである。LED照明素子は、このようなソリッドステート照明素子のうちの単一のもの又は複数のものを含むことができ、例えば、近接して配置された1つ又は複数の発光ダイオードを有し得る。
【0012】
このようなLED照明素子のうちの1つ又は複数が、支持部材上に配置され得るとともに、少なくとも1つの光学素子が、例えば光軸に沿った第1方向にLED照明素子から離間されて配置され得る。好ましくは、光学素子は、LED照明素子の前に直接的に、特に好ましくは、例えばLED照明素子の発光表面に垂直といった主たる光放射方向に、配置される。
【0013】
光学素子は、特にLED照明素子から放射された光のビームを変更するための、光学機能を有する任意のタイプの素子とし得る。故に、光学素子は、リフレクタ、コリメータ、レンズ、光学フィルタ、バッフルなど、又はこのような素子の組み合わせを有することができ、又はそれから構成されることができる。好ましくは、それは透明又は半透明の材料で製造され、又は少なくともそれを有する。光学素子は好ましくは、LED照明素子から光を受け取り、例えば集束、コリメート、フィルタリングなどされるとし得る変更されたビームを放射する。
【0014】
光学素子をLED照明素子に対する位置に保持するホルダが設けられる。本発明に従ったホルダは、少なくとも第1及び第2の保持部を有するように、特別に設計された構造を持つ。第1の保持部は、支持部材から第1方向に延在し、光学素子に直接的又は間接的に接続されるものである第2の保持部は、その少なくとも一部がやはり第1方向に延在するように構成される。第2の保持部は、例えば第1方向に対して垂直といった横断方向に第1の保持部から離間される。
【0015】
本発明に従った照明装置用に提案されるホルダは、例えば支持部材とホルダとの間の、厳しいCTEミスマッチの場合であっても、光学素子の安定した位置決めを達成することができるように設計された構造を持つ。第1及び第2の保持部は、整列されずに横断方向にオフセットされ、故に、例えばループ状構造を形成することができる。ループの形状をしたホルダの部分が、バネとして機能し、すなわち、変形し得る。厳しいCTEミスマッチの場合、例えば光軸である第1方向に対する光学素子の位置は、第1及び第2の保持部によって熱膨張を第1方向において少なくとも部分的に補償することができるので、比較的安定したままであることができる。
【0016】
好適実施形態によれば、第1の保持部は、光学素子を超えて第1方向に延在し得る。そして、第2の保持部は、光学素子へのその接続点からやはり第1方向に延在し得る。故に、ループが形成され得る。
【0017】
上で説明したように、第2の保持部の少なくとも一部は、第1方向に延在する。これは、例えば、第2の保持部が第1方向に対して例えば25−65°の角度をなすといった、傾斜配置をもカバーすると理解されるべきである。また、これは、角度をなさない、例えば、湾曲した又は丸みを帯びた形状の第2の保持部を含む(それらが少なくとも部分的に第1方向に延在する限りにおいて)。しかしながら、第1及び/又は第2の保持部を、少なくとも実質的に真っ直ぐ延在するように設けることが好ましい。特に、第1及び第2の保持部が少なくとも実質的に互いに平行に配置され得ることが好ましい。用語“少なくとも実質的に”は、例えば+/−15°以下、好ましくは+/−5°以下などの、小さい違いをカバーすると理解されるべきである。
【0018】
本発明の一態様によれば、第1及び第2の保持部は第1の接続部によって接続され、第1の接続部は第1及び第2の保持部の双方と角度をなすように構成される。その角度は、例えば、30°よりも大きいとすることができ、好ましくは60°よりも大きいとし得る。特に好適な一実施形態において、第1及び第2の保持部は、第1の接続部に対して少なくとも実質的に直角に構成される。
【0019】
第2の保持部は、光学素子に直に取り付けられてもよいし、あるいは、その接続は、1つ以上の介在素子を介して間接的であってもよい。好適な一実施形態において、第2の保持部は、第2の接続部によって光学素子に接続され得る。第2の接続部は、第1方向に対して少なくとも実質的に垂直(すなわち、90°+/−15°、好ましくは90°+/−5°)に延在し得る。
【0020】
ホルダは、第1及び第2の保持部の他に、1つ以上の更なる保持部を有していてもよい。一部の実施形態において、それら更なる保持部は、第1方向に延在することができ、少なくとも実質的に、互いに対して且つ第1及び第2の保持部に対して平行に構成され得る。これらの保持部は、垂直に配置され得るものである接続部によって相互接続され得る。一実施形態において、これらの保持部の長さは異なる。より短い保持部が光学素子のより近くに配置され得る。これらの保持部は、各々が、光学素子から離れる方向にその隣にある保持部よりも短いように、構成され得る。
【0021】
この照明装置は、単一のLED照明素子とそれに対応する光学素子とに関しても大きな利点を提供し得るが、複数のLED照明素子とそれらに対して配置される対応する複数の光学素子とを配設することが特に好ましい。特に、複数のLED照明素子が、例えば一直線に又はマトリクスに、互いに離間されて同一支持部材上に配列され得る。複数の光学素子は、同じ方向にLED照明素子から離間されて配置され得る。特に、これらの光学素子は互いに接続されていてもよい。このホルダは、これらの光学素子のうちの2つ以上を、好ましくは全てを、支持部材に対する位置に保持し、斯くして全ての光学素子の正確な位置決めを確保するために設けられ得る。
【0022】
ホルダは、数多くの異なる形状を有し得る。その主たる機能は、支持部材に対する光学素子の位置を定めること、すなわち、その変位を固定することである。この機能を果たすものである、すなわち、x、y、z方向のうち少なくとも1つ、好ましくは2つ、更に好ましくは3つ全てに関して光学素子の位置を固定するものである任意のタイプ、形状又は構成のホルダが使用され得る。
【0023】
好適な実施形態において、ホルダは、例えば、複数のバー、梁、又はその他の構造で構成され得る。好ましくは、少なくとも第1及び第2の保持部は、平面状の壁状の素子として設けられ得る。ホルダは、複数のそのような平面壁素子で構成され得る。第1の接続部は、第1及び第2の保持部よりも大きい厚さを持つ平面壁素子として設けられる。
【0024】
好適な一実施形態において、第1及び第2の保持部は、光学素子を取り囲むように構成され得る。故に、ホルダの少なくとも一部は、光学素子を取り囲むハウジングとして構成され得る。特に、ホルダは、互いに平行に配置された一対の第1のハウジング壁と、互いに平行に配置された一対の第2のハウジング壁と、を少なくとも有する箱形ハウジングとし得る。第1及び第2のハウジング壁は好ましくは、少なくとも実質的に互いに垂直に配置される。
【0025】
更なる好適な一実施形態において、ホルダは、例えば支持部材と接触するものであるベース部を有し得る。ベース部を支持部材に固定するようにクランプ素子が構成され得る。ホルダは、クランプ素子との係合のためのフランジを有し得る。
【0026】
ホルダの第1及び第2の保持部を、例えば射出成形にて一緒に製造されるといった、1つの部品(1ピース)にて設けることが特に好ましい。本発明の一態様によれば、光学素子は、第1及び第2の保持部の双方とともに、並びにオプションで好ましくは接続部とともに、1ピースとして設けられる。1ピースにて光学素子を備えたホルダは、製造するのに特に単純であり効率的である。
【0027】
本発明のこれら及びその他の態様が、以下に記載される実施形態を参照して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】照明装置の第1の実施形態の斜視図を示している。
【
図4】
図3のB−Bに沿った長手方向の断面図を示している。
【
図7】照明装置の第2の実施形態の部分的な断面図を示している。
【
図8】照明装置の第3の実施形態の部分的な断面図を示している。
【
図9a】包括的な一実施形態に従ったホルダの構造を概略的に示している。
【
図9b】包括的な一実施形態に従ったホルダの構造を概略的に示している。
【
図10a】比較例に従ったホルダの構造を示している。
【
図10b】比較例に従ったホルダの構造を示している。
【
図11】照明装置の第4の実施形態の部分的な断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1−3に示す照明装置10の第1の実施形態は、本例においてベースプレート12である支持部材を有しており、その上に、複数の発光ダイオード15(
図6参照−
図1−5では見えていない)と、多数の光学素子16用のホルダ14とが取り付けられている。当業者が理解するように、図示のベースプレート12は、ベースプレート12に対する光学素子16の保持機能の説明に適した支持部材の単なる一例である。実際の実施形態において、ベースプレート12は例えば回路ボードであり得る。より詳細な実施形態では、例えば電子部品、導電体トラック、熱インタフェース要素、及び/又は1つ以上のヒートシンクなどの、これらの図には示されない更なるコンポーネントが、ベースプレート12上に配置され得る。
【0030】
図示のように、ホルダ14は、光学素子16を取り囲むように箱形にされている。ホルダ14は、例えばネジ接続によってベースプレート12に固定され得るクランプ18によって押し下げられるものである周囲フランジ22を有している。
【0031】
図4−6は、照明装置10の断面図を示している。
図6の拡大図に示すように、LED15がベースプレート12上に配置されている。光軸Oの方向に小さい距離dだけ離間されて、光学素子16が位置決めされる。複数のLED素子15が、ベースプレート12の頂面上に一列に配置されている。
図4に示すように、複数の光学素子16が各々、個々のLED素子15の正面に配置される。
【0032】
各光学素子16は、LED素子15からの光を受けるようにLED素子15に向けて配置されたTIRコリメータ部16aと、整形された照射ビームとして光軸Oの方向に光を放射するレンズ部16bとを有している。図示の例では、ホルダ14は、光学素子16とともに1ピースにて製造され、例えば、シリコーンといった透明な材料からなる。
【0033】
照明装置10のこれら複数のLED素子15は、例えば自動車の前方照明に使用され得るものであるLEDマトリクスを形成する。特に、照明装置10は、特定の運転状況に合わせてビームを調節するために複数のLEDが個別に又はセグメントにて動作され得るものである適応運転照明に使用され得る。
【0034】
これらの図、特に、
図4−6に示すように、光学素子16は各々、LED素子15の正面に配置される。距離dは好ましくは、LED素子15からの光の、光学素子16のTIRコリメータ部16aへの良好なカップリングを可能にするように非常に小さい。
【0035】
しかしながら、LED素子15に対する光学素子16の配置の変動、特に、距離dに対する変動が、出力ビームを有意に変化させてしまい得る。距離dの変動は、特に、出力ビームの強度を変化させてしまい得る。
【0036】
図10aは、LED素子15に対して光学素子16を位置決めするための単純な箱形ホルダ14’を模式的に表したものを示している。この比較例では、ホルダ14’は、各サイドに、光軸Oの方向に真っ直ぐに延在する第1部分24aと、第1部分24aの端部から光学素子16まで直角に延在する第2部分26とを有している。
【0037】
この比較例においてホルダ14’の材料とベースプレート12の材料との間に有意なCTEミスマッチを仮定すると、温度上昇が、
図10bに模式的に示す歪みにつながることになる。図示のように、これは、LED素子15と光学素子16との相対的な配置における有意な変化、特に、これらの2つの素子間の距離に関する有意な変化につながることになる。
【0038】
図9a、9bは、比較のための包括的な一実施形態に係るホルダ14を示している。この包括的な実施形態において、ホルダ14は、光学素子16の両サイドに、光軸Oの方向に延在する第1部分24aと、それに平行に延在するが横方向にオフセットされた第2部分24bとを含んでいる。これら第1及び第2の保持部24a、24bは、第1及び第2の保持部24a、24bの双方に対して直角に延在する第1の接続部26aによって接続されている。第2の保持部24bは、これまた第1及び第2の保持部24a、24bと直角に構成された第2の接続部26bによって光学素子16に接続されている。
【0039】
図9aに示すように、第1の保持部24aは、光学素子16を超えて光軸Oの方向に延在している。第2の保持部24bは、第1の保持部24aから一定の距離を置いてそれに平行に構成されている。第2の保持部24b、第1の接続部26a、及び第1の保持部24aの上部は、光学素子16の両側に、ループ状の構造又はバネ構造を形成する。
【0040】
図9bに示すように、温度が上昇し、厳しいCTEミスマッチがある場合、ホルダ14は有意な歪みを被るが、これは光学素子16の位置決めに実質的な変化をもたらさない。保持部24a、24b及び接続部26a、26bの角度関係が変化し、横方向の圧縮応力が光学素子16内に生成され得るが、光軸Oに対する光学素子16の位置決めは、比較的一定のままである。バネ/ループ構造は、第1の保持部の変形を少なくとも部分的に補償する。
【0041】
図4、5の断面図に示す照明装置10の第1の実施形態において、ホルダ14は、光軸Oの方向に直線状に延在する第1(外側)の保持部24aと、それから離間されて平行に構成された第2(内側)の保持部24bとを有している。
図9a、9bの包括的な実施形態においてのように、第1の接続部26aが、第1及び第2の保持部24a、24bを接続するように横方向に構成され、第2の接続部26bが、第2の保持部24bを光学素子16に接続するように構成されている。
【0042】
図7、8、11は、照明装置10の他の実施形態を示しており、これらは、第1及び第2の保持部24a、24bの形状及び構成によって、第1の実施形態に従った照明装置10とは異なる。
【0043】
図7に従う第2の実施形態では、第1及び第2の保持部24a、24bが、例えば30°といった角度をなして構成されている。
図8に従う第3の実施形態では、第1及び第2の保持部24a、24bが湾曲部によって接続されている。
【0044】
図11に従う第4の実施形態では、第1及び第2の保持部24a、24bの他に、光軸Oの方向に平行に延在する更なる保持部24c、24dが存在する。全ての保持部24a−24dが互いに離間して配置され、垂直な接続部によって相互接続されている。保持部24a−24dは、異なる長さのものであり、それらが光学素子16に近づくほど短くなっている。故に、複数のループ/バネ構造が形成され、それらが、CTEミスマッチに起因する歪みが生じる場合に光軸Oの方向における変位を効果的に補償する。
【0045】
ベースプレート12の材料とホルダ14及び光学素子16の材料との間のCTEミスマッチに対し、説明した保持構造の全てが、
図10a、10bの比較例よりも改善された挙動を示す。第1の実施形態に従うホルダ14で最良の結果が得られている。
【0046】
図面及び以上の説明にて本発明を詳細に図示して記述してきたが、これらの図示及び記述は、限定的なものではなく、例示的又は典型的なものと見なされるべきであり、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。
【0047】
例えば、以上の実施形態は、一列にされた複数のLED15と、それらに対応して整列された複数の光学素子16とを示しているが、単一のLED又は光学素子16のみを有する実施形態、又は、例えばLEDの2次元マトリクスとそれらに対応する複数の光学素子16など、その他の構成を有する実施形態が提供され得る。これらの実施形態におけるホルダ14及び光学素子16は1ピースとして設けられ、例えば、射出成形によって製造されることになるが、別々のパーツを有する他の実施形態が考えられる。また、
図7、8に示した異なる形状によって例示されるように、第1及び第2の保持部24a、24bの具体的な形状は、これら双方の少なくとも一部が光軸Oの方向に延在する限りにおいて、それが曲がっていようが、丸みを帯びていようが、又は傾いていようが、様々とし得る。
【0048】
開示された実施形態へのその他の変形が、図面、本開示及び添付の請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解されて実現され得る。
【0049】
請求項において、用語“有する”はその他の要素を排除するものではなく、不定冠詞“a”又は“an”は複数であることを排除するものではない。
【0050】
特定の複数の手段が相互に異なる従属項又は実施形態に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組合せが有利に使用され得ないということを指し示すものではない。
【0051】
請求項中の如何なる参照符号も、発明の範囲を限定するものとして解されるべきでない。
【要約】
本発明は、支持部材12上に配置された少なくとも1つのLED照明素子15を有する照明装置に関する。第1方向OにLED照明素子15から離間して光学素子16が配置される。LED照明素子15に対する位置に光学素子16を保持するホルダ14が設けられる。ホルダ14は少なくとも、支持部材12から第1方向Oに延在する第1の保持部24aと、光学素子16に接続された第2の保持部24bとを有する。第2の保持部24bは、少なくとも一部が第1方向Oに延在するように構成される。第2の保持部24bは、第1方向Oに対して交差する方向に第1の保持部24aから離間される。温度変化及び熱膨張係数のミスマッチに起因する歪みが生じる場合、この照明装置は、LED照明素子15に対する光学素子16の変位における変動を最小化する。