特許第6451105号(P6451105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6451105
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】ディスプレイハンガー
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20190107BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   G09F9/00 351
   H04N5/64 581Z
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-139356(P2014-139356)
(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公開番号】特開2016-18018(P2016-18018A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】501475550
【氏名又は名称】株式会社オーエスエム
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】奥村 正之
【審査官】 中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0082156(US,A1)
【文献】 特開平07−101195(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0092441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 − 9/46
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイが固定される固定部材と、該固定部材と壁などの被取付け面との間に設けられ、前記固定部材を左右に回動可能に支持する支持アームとを備え、前記支持アームに対し前記固定部材を左右に回動させることでディスプレイの左右の向きを調整できるディスプレイハンガーであって、
前記固定部材が前記支持アームに対して所定角度回動した位置で、該固定部材を該支持アームに解除可能に結合させる結合手段を設けてなることを特徴とするディスプレイハンガー。
【請求項2】
前記結合手段が、前記固定部材における前記支持アームとの枢支部から側方に離れた位置に設けられる合着部と、前記支持アームにおける前記所定の回動位置で前記合着部に対向する位置に設けられる被合着部とを設けてなる請求項1記載のディスプレイハンガー。
【請求項3】
前記合着部及び被合着部が、互いに近づく方向に所定以上の力が作用することで係合し、且つ反対の離れる方向に所定以上の力が作用することで係合状態が解除する係合部及び被係合部である請求項2記載のディスプレイハンガー。
【請求項4】
前記合着部及び被合着部が、それぞれ前記固定部材及び前記支持アームに対して、着脱可能に取付けられる合着具、被合着具である請求項2又は3記載のディスプレイハンガー。
【請求項5】
前記支持アームが、一端側が被取付け面側のベース部材に回動可能に支持される第1のアーム部と、該第1のアームの他端側に回動自在に連結され、他端側に前記固定部材が回動可能に支持される第2のアーム部とを備え、
前記結合手段は、前記固定部材を前記所定角度回動した位置で前記第2のアーム部に結合させる第1の結合手段であり、
該第1の結合手段とは別に、前記第1のアーム部と第2のアーム部が重なる方向に互いに回動した所定位置で、前記固定部材を前記第1のアーム部に同じく解除可能に結合させる第2の結合手段を設けてなる請求項1〜4の何れか1項に記載のディスプレイハンガー。
【請求項6】
前記支持アームが、前記第1のアーム部と前記第2のアーム部とがそれぞれ左右一対づつ設けられ、左右それぞれ第1のアーム部と第2のアーム部とが回動可能に連結されたパンタ式アームであり、
前記第1の結合手段が、前記固定部材を前記所定角度回動した位置で左右のうち一方の第2のアーム部に結合させる手段であり、
前記第2の結合手段が、左右のうち他方の第1のアーム部と第2のアーム部が重なる方向に互いに回動した所定位置で、前記固定部材を当該他方の第1のアーム部に同じく解除可能に結合させる手段である請求項5記載のディスプレイハンガー。
【請求項7】
該第2のアーム部と、前記第1アーム部、ベース部材又は被取付け面との間に、両者の間の距離を、前記第2のアーム部が第1のアーム部に対して所定角度回動した位置で解除可能に維持させる突っ張り部材を設けてなる請求項5又は6記載のディスプレイハンガー。
【請求項8】
ディスプレイが固定される固定部材と、該固定部材と壁などの被取付け面との間に設けられ、前記固定部材を左右に回動可能に支持する支持アームとを備え、前記支持アームに対し前記固定部材を左右に回動させることでディスプレイの左右の向きを調整できるディスプレイハンガーであって、
前記支持アームと前記固定部材の回動支持部に、所定の角度だけ相対回動するごとに互いに回動不能に係合し、回動方向に所定以上の力が作用することで係合状態が解除する係合手段を設けてなり、
前記回動支持部は、前記固定部材の枢支部が固定される回動軸と、この周りを回動する前記支持アームの筒状先端部より構成され、
前記係合手段として、前記回動軸の外面に露出し、コイルばねによって突出方向にばね付勢された球体と、前記筒状先端部の内周面の周方向所定の角度おきに形成され、前記球体が係入する複数の凹溝とより構成されていることを特徴とするディスプレイハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型テレビや電子黒板等のディスプレイの左右の向きを調整できるディスプレイハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
このようにディスプレイの左右の向きを調整できるディスプレイハンガーは、従来より種々提供されている(例えば、特許文献1参照。)。ところで、近年のディスプレイの大型化、薄型化に伴い、会議室や教室のプロジェクタースクリーンの代わりにこのようなディスプレイの利用が広がりを見せており、特に会議室や教室などでは、ディスプレイの設置個所として部屋の隅側に設置される場合が多いことから、上記のような左右の向きを調整できるディスプレイハンガーの需要も多くなっている。
【0003】
ところで、ディスプレイが大型化、薄型化すると、左右の向きを変える際の回動範囲が大きくなるとともに、部屋に入りこんだ風や周囲の人の衝突、寄り掛かり等から外力を受ける可能性も高くなる。ディスプレイが大きいと回動軸に作用する力も大きくなる。したがって、例えば風や周囲の人などから外力を受けることでディスプレイが調整された位置からさらに回動してしまう可能性が生じ、ディスプレイが周囲の器物に当たることでパネル自体や器物(窓ガラス等)を破損したり、他の人に当たったり壁等の間に人が挟まる虞も生じるといった、従来想定されていない危険性が浮上する。
【0004】
また、特にディスプレイが電子黒板など、画面上を指や専用ペンなどでタッチして操作するものの場合、大型化したディスプレイがタッチの力によって容易に後方へ回動してしまい、操作性が悪くなるとともに、回動による上記した破損などの危険性が同様に生じる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−148504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、外力やタッチ操作によるディスプレイの回動を防止し、器物の破損や周囲の人への危険性を未然に回避できるとともにタッチ操作のパネルの場合の操作性も損なうことなく維持できるディスプレイハンガーを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題解決のために、ディスプレイが固定される固定部材と、該固定部材と壁などの被取付け面との間に設けられ、前記固定部材を左右に回動可能に支持する支持アームとを備え、前記支持アームに対し前記固定部材を左右に回動させることでディスプレイの左右の向きを調整できるディスプレイハンガーであって、前記固定部材が前記支持アームに対して所定角度回動した位置で、該固定部材を該支持アームに解除可能に結合させる結合手段を設けてなることを特徴とするディスプレイハンガーを構成した。
【0008】
ここで、前記結合手段が、前記固定部材における前記支持アームとの枢支部から側方に離れた位置に設けられる合着部と、前記支持アームにおける前記所定の回動位置で前記合着部に対向する位置に設けられる被合着部とを設けたものが好ましい。
【0009】
特に、前記合着部及び被合着部が、互いに近づく方向に所定以上の力が作用することで係合し、且つ反対の離れる方向に所定以上の力が作用することで係合状態が解除する係合部及び被係合部であることが好ましい。
【0010】
また、前記合着部及び被合着部が、それぞれ前記固定部材及び前記支持アームに対して、着脱可能に取付けられる合着具、被合着具であることが好ましい。
【0011】
また、前記支持アームが、一端側が被取付け面側のベース部材に回動可能に支持される第1のアーム部と、該第1のアームの他端側に回動自在に連結され、他端側に前記固定部材が回動可能に支持される第2のアーム部とを備え、前記結合手段は、前記固定部材を前記所定角度回動した位置で前記第2のアーム部に結合させる第1の結合手段であり、該第1の結合手段とは別に、前記第1のアーム部と第2のアーム部が重なる方向に互いに回動した所定位置で、前記固定部材を前記第1のアーム部に同じく解除可能に結合させる第2の結合手段を設けたものが好ましい。
【0012】
特に、前記支持アームが、前記第1のアーム部と前記第2のアーム部とがそれぞれ左右一対づつ設けられ、左右それぞれ第1のアーム部と第2のアーム部とが回動可能に連結されたパンタ式アームであり、前記第1の結合手段が、前記固定部材を前記所定角度回動した位置で左右のうち一方の第2のアーム部に結合させる手段であり、前記第2の結合手段が、左右のうち他方の第1のアーム部と第2のアーム部が重なる方向に互いに回動した所定位置で、前記固定部材を当該他方の第1のアーム部に同じく解除可能に結合させる手段であることが好ましい。
【0013】
さらに、該第2のアーム部と、前記第1アーム部、ベース部材又は被取付け面との間に、両者の間の距離を、前記第2のアーム部が第1のアーム部に対して所定角度回動した位置で解除可能に維持させる突っ張り部材を設けたものが好ましい。
【0014】
また本発明は、ディスプレイが固定される固定部材と、該固定部材と壁などの被取付け面との間に設けられ、前記固定部材を左右に回動可能に支持する支持アームとを備え、前記支持アームに対し前記固定部材を左右に回動させることでディスプレイの左右の向きを調整できるディスプレイハンガーであって、前記支持アームと前記固定部材の回動支持部に、所定の角度だけ相対回動するごとに互いに回動不能に係合し、回動方向に所定以上の力が作用することで係合状態が解除する係合手段を設けてなることを特徴とするディスプレイハンガーをも提供する。
【発明の効果】
【0015】
以上にしてなる本願発明に係るディスプレイハンガーによれは、固定部材が支持アームに対して所定角度回動した位置で、該固定部材を該支持アームに解除可能に結合させる結合手段を設けたので、ディスプレイを固定した固定部材が結合手段によって前記所定の角度位置で固定され、ディスプレイも当該所定の角度の向きに固定される。したがって、風や人からの外力やタッチ操作による力を受けてもディスプレイは回動することなく安定した姿勢を保ち、器物の破損や周囲の人への危険性を未然に回避でき、さらにディスプレイがタッチ操作のパネルの場合における操作性についても損なうことなく維持することができる。
【0016】
また、結合手段が、固定部材における支持アームとの枢支部から側方に離れた位置に設けられる合着部と、支持アームにおける所定の回動位置で合着部に対向する位置に設けられる被合着部とを設けてなるので、回動軸でロックするような複雑な構造を設けることなく、簡易な構造でより確実に外力による回動を防止することができる。
【0017】
また、合着部及び被合着部が、互いに近づく方向に所定以上の力が作用することで係合し、且つ反対の離れる方向に所定以上の力が作用することで係合状態が解除する係合部及び被係合部であるので、ディスプレイの後方に回り込んで結合手段を操作する必要がなく、単にディスプレイごと固定手段を前側から押して上記互いに近づく方向、又は離れる方向に回動させることで係合/解除を行うことができ、操作性を著しく向上させることができる。
【0018】
また、合着部及び被合着部が、それぞれ固定部材及び支持アームに対して、着脱可能に取付けられる合着具、被合着具であるので、従来から公知の既存の固定部材、支持アームに前記合着具および被合着具を取付けるだけで、本発明を構成することが可能となり、適用の幅を広げることができる。
【0019】
また、支持アームが、一端側が被取付け面側のベース部材に回動可能に支持される第1のアーム部と、該第1のアームの他端側に回動自在に連結され、他端側に前記固定部材が回動可能に支持される第2のアーム部とを備え、第1のアーム部と第2のアーム部が重なる方向に互いに回動した所定位置で、固定部材を第1のアーム部に同じく解除可能に結合させる第2の結合手段を設けてなるので、当該第2の結合手段によってディスプレイを被取付け面に近づけた位置に安定保持させることができる。
【0020】
また、支持アームが、第1のアーム部と第2のアーム部とがそれぞれ左右一対づつ設けられ、左右それぞれ第1のアーム部と第2のアーム部とが回動可能に連結されたパンタ式アームであり、第1の結合手段が、固定部材を所定角度回動した位置で左右のうち一方の第2のアーム部に結合させる手段であり、第2の結合手段が、左右のうち他方の第1のアーム部と第2のアーム部が重なる方向に互いに回動した所定位置で、固定部材を当該他方の第1のアーム部に同じく解除可能に結合させる手段としたので、双方の結合手段によってアーム部が折り畳んだ状態に安定保持されるとともに、ディスプレイも被取付け面に近い位置に安定保持させることができる。
【0021】
また、第2のアーム部と、第1アーム部、ベース部材又は被取付け面との間に、両者の間の距離を、第2のアーム部が第1のアーム部に対して所定角度回動した位置で解除可能に維持させる突っ張り部材を設けてなるので、ディスプレイの回動だけでなく、アーム部自体が同じく外力を受けて折り畳まれてしまうことを回避できる。
【0022】
また、前記支持アームと前記固定部材の回動支持部に、所定の角度だけ相対回動するごとに互いに回動不能に係合し、回動方向に所定以上の力が作用することで係合状態が解除する係合手段を設けたので、ディスプレイを固定した固定部材が係合手段によって回動不能に係合されることで所定の角度位置に固定され、ディスプレイも当該所定の角度の向きに固定される。したがって、風や人からの外力やタッチ操作による力を受けてもディスプレイは回動することなく安定した姿勢を保ち、器物の破損や周囲の人への危険性を未然に回避でき、さらにディスプレイがタッチ操作のパネルの場合における操作性についても損なうことなく維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係るディスプレイハンガーを示す斜視図。
図2】同じくディスプレイハンガーの合着具、被合着具を示す斜視図。
図3】同じくディスプレイハンガーの第1の結合手段による結合状態を示す平面図。
図4】同じく第1の結合手段、第2の結合手段双方を結合させる様子を説明する平面図。
図5】同じく突っ張り手段を設けた変形例を示す平面図。
図6】同じく側面図。
図7】本発明の第2実施形態に係るディスプレイハンガーを示す斜視図。
図8】同じくディスプレイハンガーの第1の結合手段による結合状態を示す平面図。
図9】同じくディスプレイハンガーの第1の結合手段を結合させてアームを折り畳む様子を説明する平面図。
図10】同じくディスプレイハンガーの突っ張り手段を設けた変形例を示す平面図。
図11】本発明の第3実施形態に係るディスプレイハンガーを示す平面図。
図12】同じくディスプレイハンガーの第1の結合手段を結合させてアームを折り畳む様子を説明する平面図。
図13】同じくディスプレイハンガーの突っ張り手段を設けた変形例を示す平面図。
図14】本発明の第4実施形態に係るディスプレイハンガーの要部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
まず、図1図6に基づき、第1実施形態を説明する。
【0026】
本実施形態のディスプレイハンガー1は、ディスプレイDが固定される固定部材2と、該固定部材2と壁などの被取付け面Wとの間に設けられ、固定部材2を左右に回動可能に支持する支持アーム3とを備え、支持アーム3に対し固定部材2を左右に回動させることでディスプレイDの左右の向きを調整できるものであり、特に、固定部材2が支持アーム3に対して所定角度回動した位置で、固定部材2を該支持アーム3に解除可能に結合させる結合手段4が設けられ、これにより所定の角度にディスプレイDの向きを固定できることを特徴としたものである。
【0027】
ディスプレイDとしては、薄型テレビや電子黒板など、公知の種々のディスプレイを適用できる。また、被取付け面Wについても、公知の種々のディスプレイハンガーと同様、壁、柱、天井など様々な面を被取付け面とすることができる。
【0028】
固定部材2は、本例では上下の横杆21、22と左右の縦杆23、24とより枠状に構成され、上下の横杆21、22の各中央部には、後述する支持アーム3の回動軸38に固定される枢支部20が設けられており、左右の縦杆23、24にディスプレイ裏面に螺合される取付けネジ26を挿通する取付け孔25を複数形成したものである。ただし、本発明の固定部材2はこのような構造に何ら限定されず、ディスプレイDを固定するための従来から公知の固定部材2を広く採用できる。
【0029】
支持アーム3は、一端側が被取付け面W側のベース部材30に回動可能に支持される第1のアーム部3Aと、該第1のアーム部3Aの他端側に回動自在に連結され、他端側に固定部材2が回動可能に支持される第2のアーム部3Bとを備えている。より具体的には、第1のアーム部3Aと第2のアーム部3Bとがそれぞれ左右一対づつ設けられたパンタ式アームであり、第1のアーム部3Aを構成する左右の第1アーム31、32に対し、第2のアーム部3Bを構成する左右の第2アーム33、34がそれぞれ回動可能に連結され、第2のアーム33、34の先端部はそれぞれ固定部材2の枢支部20が固定される回動軸38に対し、回動可能に支持されている。
【0030】
結合手段4は、固定部材2を支持アーム3に解除可能に結合させる手段であり、ネジ止めや特定な方向に操作することで解除できるロック機構、或いは電気的な操作によって解除できる電気ロック機構なども含むが、本例では固定部材2における支持アーム3との枢支部20から側方に離れた位置に設けられる合着部41と、図3に示すように所定の角度に固定部材2を回動させた位置で合着部41に対向する支持アーム3の位置に設けられる被合着部40とよりなる構成されている。このように合着するだけで結合可能に構成すれば、ディスプレイの裏に回り込むことなく、容易に結合操作を行うことができる。
【0031】
合着部41、被合着部40の例としては、係合構造以外に、磁気吸引力を利用したものなど、種々の合着手段を利用できる。本例では、解除についてもディスプレイの裏面に回り込むことなく容易に操作でき、かつ確実に固定できる手段として、互いに近づく方向に所定以上の力が作用することで係合し、且つ反対の離れる方向に所定以上の力が作用することで係合状態が解除する係合部及び被係合部とされている。具体的には、図2(a)に示すように固定部材2及び支持アーム3(第2のアーム部3B)に対して着脱可能に取付けられる合着具5A、被合着具5Bとされている。
【0032】
合着具5Aは、固定部材2の上下の横杆21、22の前面側に取付けられ、各横杆の間に渡設されるベース板50と、該ベース板50の後面側に突出し、上下に凹面51a、51aを有して先端に膨出部51bが形成される突起部51とより構成されている。他方の被合着具5Bは、第2のアーム部3B(第2アーム33)の途中部に被着される略コ字状に屈曲したベース板52と、該ベース板52のアーム部外面に対応する屈曲片52cの外面に上下一対設けられた突起部53、53とより構成され、各突起部53の対向面には、突起部53内に内蔵のコイルばねによりばね付勢された球体54が一部露出した状態で設けられている。
【0033】
そして、合着具5Aの突起部51が、被合着具5Bの突起部53、53の間に入り込む位置関係とされ、突起部51は所定以上の力で突起部53、53間に入り込むことで、先端の膨出部51bがまず、上下から露出している球体54、54をばね付勢に抗して突起部53、53内に押し込みながら進入し、球体54、54を超えてさらに進入することで上下の凹面51a、51aに球体54,54が係入し、これにより係合状態となる。反対に離間させるときは、同じく球体54、54を押し込む所定以上の力で引き抜くことで、膨出部51bが球体54の位置を超え、突起部53、53間から外れて解除状態となる。
【0034】
また本実施形態では、結合手段4とは別に、第1のアーム部3Aと第2のアーム部3Bが重なる方向に互いに回動した所定位置で、固定部材2を第1のアーム部3Aに同じく解除可能に結合させる第2の結合手段6が設けられ、ディスプレイDを被取付け面Wに近づけた位置に安定保持させることができるように構成されている。
【0035】
結合手段6は、第1の結合手段4と同様である。ネジ止めや特定な方向に操作することで解除できるロック機構、或いは電気的な操作によって解除できる電気ロック機構なども含むが、本例では固定部材2における支持アーム3との枢支部20から側方に離れた位置に設けられる合着部81と、図4(b)に示すように第1のアーム部3Aと第2のアーム部3Bが重なるように回動させた位置で合着部81に対向する支持アーム3の位置に設けられる被合着部80とよりなる構成されている。
【0036】
合着部81、被合着部80の例としては、合着部41、被合着部40と同様に考えることができ、係合構造以外に、磁気吸引力を利用したものなど、種々の合着手段を利用できる。本例では、合着部41、被合着部40と同様、互いに近づく方向に所定以上の力が作用することで係合し、且つ反対の離れる方向に所定以上の力が作用することで係合状態が解除する係合部及び被係合部とされている。具体的には、図2(b)に示すように固定部材2及び支持アーム3(第1のアーム部3A)に対して着脱可能に取付けられる合着具5C、被合着具5Dとされている。
【0037】
合着具5Cは、ベース板50が固定部材2の横杆22に被着される略コ字状に屈曲したものであり、突起部51がベース板50の横杆22後面側に対応する屈曲片50cの外面に突出形成されていること以外は、合着具5Aと同じ構造である。したがって、同一構造には同一符号を付し、説明は省略する。他方、被合着具5Dについても、被合着具5Bとまったく同様の構造であり、同じく説明を省略する。
【0038】
そして、合着具5Cの突起部51が、被合着具5Dの突起部53、53の間に入り込む位置関係とされ、突起部51は所定以上の力で突起部53、53間に入り込むことで、先端の膨出部51bがまず、上下から露出している球体54、54をばね付勢に抗して突起部53、53内に押し込みながら進入し、球体54、54を超えてさらに進入することで上下の凹面51a、51aに球体54,54が係入し、これにより係合状態となる。反対に離間させるときは、同じく球体54、54を押し込む所定以上の力で引き抜くことで、膨出部51bが球体54の位置を超え、突起部53、53間から外れて解除状態となる。
【0039】
図5及び図6は、第2のアーム部3Bと、第1のアーム部3A、ベース部材30又は被取付け面Wとの間に、両者の間の距離を、第2のアーム部3Bが第1のアーム部3Aに対して所定角度回動した位置で解除可能に維持させる突っ張り部材7を設けた変形例である。これによれば、支持アーム3についても安定した姿勢を保持することができ、全体としてより安全性を高めることができる点で好ましい例である。
【0040】
突っ張り部材7は、本例では中央部で下方に折れ曲がる屈曲アームとし、第2のアーム部3Bが所定角度回動した位置でまっすぐに伸ばされた状態となってある程度の力が作用しない限り折れ曲げを防止して突っ張り作用を生じ、解除については再度伸びる方向に一旦引っ張ることで解除される解除機能などを有する部材が用いられているが、これに限定されるものはなく、同様に距離が変化し、その伸びた状態を維持でき、かつ解除可能な機能を有する公知の部材を用いることができる。例えば、株式会社栃木屋製「上蓋用ステー(ストップ付)TM27」のような直線状に伸びた状態でストップするストッパーを備えるヒンジ部材を用いることができる。
【0041】
次に、図7図10に基づき、第2実施形態を説明する。
【0042】
第2実施形態は、支持アーム3として第1のアーム部3A,第2のアーム部3Bが各々一本のアームからなるダブルアーム型として構成したものである。より具体的には、第1のアーム部3Aを構成する第1アーム35に対し、第2のアーム部3Bを構成する第2アーム36が回動可能に連結され、第2のアーム36の先端部は固定部材2の枢支部20が固定される回動軸38に対し、回動可能に支持されている。
【0043】
結合手段4は、固定部材2を支持アーム3に解除可能に結合させる手段であり、第1実施形態と同様、ネジ止めや特定な方向に操作することで解除できるロック機構、或いは電気的な操作によって解除できる電気ロック機構なども含み、本例でも固定部材2における枢支部20から側方に離れた位置に設けられる合着部41と、図8に示すように所定の角度に固定部材2を回動させた位置で合着部41に対向する支持アーム3(第2アーム36)の位置に設けられる被合着部40とより構成されている。
【0044】
このようなダブルアーム型においても、結合手段4を設けることで所定の角度にディスプレイDの向きを固定できる。図10は、第1実施形態の変形例と同様、第2のアーム部3Bと、第1のアーム部3A、ベース部材30又は被取付け面Wとの間、並びに第1のアーム部3Aとベース部材30又は被取付け面Wとの間に、それぞれ突っ張り部材7を設けた変形例である。これによれば、支持アーム3についても安定した姿勢を保持することができ、全体としてより安全性を高めることができる点で好ましい例である。
【0045】
その他の構成、変形例については、基本的に第1実施形態で説明した内容と同じであるため、同一構造には同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
次に、図11図13に基づき第3実施形態を説明する。
【0047】
第3実施形態は、支持アーム3として先端部に固定部材2の枢支部20が固定される回動軸38を有する一本のアーム37のみからなるシングルアーム型として構成したものである。結合手段4は、固定部材2を支持アーム3に解除可能に結合させる手段であり、第1、第2実施形態と同様、ネジ止めや特定な方向に操作することで解除できるロック機構、或いは電気的な操作によって解除できる電気ロック機構なども含み、本例でも固定部材2における枢支部20から側方に離れた位置に設けられる合着部41と、図11に示すように所定の角度に固定部材2を回動させた位置で合着部41に対向するアーム37の位置に設けられる被合着部40とより構成されている。
【0048】
このようなシングルアーム型においても、結合手段4を設けることで所定の角度にディスプレイDの向きを固定できる。図13は、第1、第2実施形態の変形例と同様、支持アーム3と、ベース部材30又は被取付け面Wとの間に突っ張り部材7を設けた変形例である。これによれば、支持アーム3についても安定した姿勢を保持することができ、全体としてより安全性を高めることができる点で好ましい例である。
【0049】
その他の構成、変形例については、基本的に第1又は第2実施形態で説明した内容と同じであるため、同一構造には同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
次に、図14に基づき第4実施形態を説明する。
【0051】
第1〜第3実施形態で説明した結合手段4、6の代わりに、或いは結合手段4又は6とともに更に、支持アーム3(アーム33、34)と固定部材2の回動支持部8に、所定の角度だけ相対回動するごとに互いに回動不能に係合し、回動方向に所定以上の力が作用することで係合状態が解除する係合手段9を設けたものである。このような回動支持部の係合手段によっても、所定の角度にディスプレイDの向きを固定できる。
【0052】
回動支持部8は、具体的には固定部材2の枢支部20が固定される回動軸38とこの周りを回動するアーム33、34の筒状先端部39であり、これに設けられる係合手段9として、回動軸38の外面に露出し、コイルばね38bによって突出方向にばね付勢された球体38aと、筒状先端部39の内周面の周方向所定の角度おきに形成され、該球体38aが係入する複数の凹溝39aとより構成されている。球体38aは、回動軸38の軸方向に直交する方向に設けられた貫通孔38dの一端側に設けられ、内側に配置されるコイルばね38bは他端側から締めこまれる調整ネジ38cによって球体38aに加える付勢力を調整できるように構成されている。
【0053】
このような係合手段9は、各アーム33、34ごとに合計二組設けてもよいし、いずれかのアームに対してのみ設けてもよい。また、本例の係合手段9は一例であって、同様に回動方向に所定以上の力が作用することで係合状態が解除するその他の公知の係合機構を採用することも勿論できる。
【0054】
その他の構造、変形例等については基本的に上記第1〜第3実施形態と同様であり、その説明は省略する。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
1 ディスプレイハンガー
2 固定部材
3 支持アーム
3A、3B アーム部
4 結合手段
5A 合着具
5B 被合着具
5C 合着具
5D 被合着具
6 結合手段
7 突っ張り部材
8 回動支持部
9 係合手段
20 枢支部
21、22 横杆
23、24 縦杆
25 取付け孔
26 取付けネジ
30 ベース部材
31〜37 アーム
38 回動軸
38a 球体
38b コイルばね
38d 貫通孔
38c 調整ネジ
39 筒状先端部
39a 凹溝
40 被合着部
41 合着部
50 ベース板
50c 屈曲片
51 突起部
51a 凹面
51b 膨出部
52 ベース板
52c 屈曲片
53 突起部
54 球体
80 被合着部
81 合着部
D ディスプレイ
W 被取付け面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14