(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定側突起部の2つの傾斜面のうち一方の傾斜面における他方の傾斜面側に、前記着脱側突起部が嵌まる凹部が形成され、前記第一入隅部が前記凹部の底に形成されている請求項2に記載の保持装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているので、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0014】
図1は碍子汚損調査装置10の正面図である。この碍子汚損調査装置10は、実碍子の汚損具合(例えば、塩分付着量、塵埃付着量等)を調査する目的で、実碍子の近辺に設置されたものである。この碍子汚損調査装置10は、起立した鉄塔、電柱その他の起立体に設けられた腕金1に吊り下げられた状態で、その腕金1に取り付けられたものである。この碍子汚損調査装置10はパイロット碍子20、保持装置100及び操作機構30を備える。
【0015】
パイロット碍子20は磁器製の長幹碍子である。パイロット碍子20は、実碍子と同様に大気に暴露されるサンプルである。なお、パイロット碍子20がガラス製又は樹脂製の長幹碍子であってもよいし、磁器製、ガラス製又は樹脂製の懸垂碍子であってもよい。つまり、パイロット碍子20として使用される碍子の種類、形状及び素材等は適宜変更してもよい。
【0016】
保持装置100は、腕金1にパイロット碍子20を吊り下げて、そのパイロット碍子20を腕金1に保持する。パイロット碍子20が保持装置100によって腕金1に対して着脱可能である。つまり、保持装置100が組み立てられると、パイロット碍子20が保持装置100によって腕金1に取り付けられ、保持装置100が解体されると、パイロット碍子20が腕金1から取り外される。
【0017】
操作機構30は保持装置100の着脱操作をするためのものである。具体的には、操作機構30がパイロット碍子20を昇降させるものであり、パイロット碍子20の昇降によって保持装置100の着脱がなされる。
【0018】
図2及び
図3は、保持装置100及び操作機構30を示す斜視図である。
図2は、保持装置100が組み立てられて、パイロット碍子20が保持装置100によって腕金1に取り付けられた状態を示す。
図3は、保持装置100が解体されて、パイロット碍子20が腕金1から取り外された状態を示す。これらの図に示すように、保持装置100は、腕金1に連結された固定部110と、固定部110に着脱される着脱部120と、着脱部120と固定部110とをロック状態又はロック解除状態にするロック機構(着脱機構)130とを備える。
【0019】
固定部110が円筒体であり、固定部110の軸方向一端が蓋部112によって閉塞され、固定部110の軸方向他端が開口する。ここで、蓋部112の中心には、後述のロープ32を通す孔112Aが形成されている。
【0020】
固定部110は、その軸方向が上下方向(より具体的には、鉛直方向)に延びるようにして、連結具113及び吊下具114によって腕金1に連結されている。この連結具113が蓋部112の上面に設けられ、その連結具113が吊下具114に連結され、その吊下具114が腕金1から垂下した状態で腕金1に取り付けられている。固定部110の軸周りの動きが吊下具114によって制限されている。以下では、特に断りのない限り、軸方向とは、上下に延びる固定部110の中心線に対して平行な方向をいい、周方向とは、固定部110の中心線を中心とした周方向をいい、径方向とは、固定部110の中心線に直交する方向をいう。
【0021】
着脱部120は、軸方向両端に端面122A、122Bを有した円柱体である。着脱部120が固定部110の下端開口から固定部110内に挿入され、着脱部120と固定部110が同軸に配される。着脱部120には、パイロット碍子20が吊り下げられた状態で連結されている。具体的には、着脱部120の下端面122Bに吊下具121が設けられ、パイロット碍子20の上端部がその吊下具121に連結されている。
【0022】
ロック機構130は、固定部110の内周面の下部に設けられた複数の固定側突起部132と、固定部110の内周面の上部に設けられた複数の固定側ガイド突起部134と、着脱部120の外周面に設けられた複数の着脱側突起部136と、固定部110の蓋部112と着脱部120の端面122Aとの間に配されたバネ(付勢部材)38とを備えている。
【0023】
複数(例えば、3個)の固定側突起部132は、固定部110の周方向に所定間隔(例えば、60°おき)で配されている(
図4のB−B断面参照)。この固定側突起部132は、2つの鉛直な側面132A、132Bと4つの傾斜面132C、132D、132E、132Fを備えている。
【0024】
傾斜面132C、132D、132E、132Fは、周方向及び径方向によって規定された面(より具体的には、水平な面)に対して傾斜する。
側面132A、132Bは、周方向及び径方向によって規定された面(より具体的には、水平な面)に対して直交する。従って、側面132A、132Bは鉛直な面であり、側面132Aが周方向一方(上から見て、時計回りの向き。以下同じ。)に向き、側面132Aが周方向他方(上から見て、反時計回りの向き。以下同じ。)に向いている。なお、以下では、周方向及び径方向によって規定された面を基準面という。基準面は軸方向に対して直交する。
【0025】
傾斜面132C、132Dは、固定側突起部132の下側の面において、周方向に並設されている。一方の傾斜面132Cが他方の傾斜面132Dの周方向一方側に配されている。傾斜面132Dは、基準面に対して、周方向一方側に向けて下側へ傾斜する。この傾斜面132Dと基準面の成す角度は例えば約30°である。傾斜面132Cは、基準面に対して、周方向他方側に向けて下側へ傾斜する。この傾斜面132Dと基準面の成す角度は例えば約30°である。傾斜面132Cと傾斜面132Dが固定側突起部132の下端(固定側突起部132の下部の中央部)において繋がり、傾斜面132C、132Dによって固定側突起部132の下部が逆三角形状に形成されている。傾斜面132Cと傾斜面132Dとの間に挟まれる角部は鈍角(例えば120°)となっている。
側面132Aが傾斜面132Cの周方向一方側の縁から上に延び、傾斜面132Cと側面132Aとの間に挟まれる角部が鈍角(例えば120°)となっている。側面132Bが傾斜面132Dの周方向他方側の縁から上に延び、傾斜面132Dと側面132Bとの間に挟まれる角部が鈍角(例えば120°)となっている。
【0026】
傾斜面132E、132Fは、固定側突起部132の上側の面において、周方向に並設されている。一方の傾斜面132Eが他方の傾斜面132Fの周方向一方側に配されている。傾斜面132Eは、基準面に対して、周方向一方側に向けて上側へ傾斜する。この傾斜面132Eと基準面の成す角度は例えば約30°である。傾斜面132Fは、基準面を基準に対して、周方向一方側に向けて上側へ傾斜する。この傾斜面132Fと基準面の成す角度は例えば30°である。また、傾斜面132Cと傾斜面132Eとは互いに平行に上下に並ぶように配され、傾斜面132Dと傾斜面132Fとは互いに逆側に傾斜し上下に並ぶように配されている。
【0027】
傾斜面132Eと傾斜面132Fとの間には段差がある。つまり、傾斜面132Eの周方向他方の縁から鉛直な規制面132Kが上方へ延び、規制面132Kが傾斜面132Fの周方向一方の縁に繋がる。これにより、傾斜面132Eと傾斜面132Fとの境界には、入隅部132G及び鋭角(例えば60°)の角部132Jが形成されている。入隅部132Gは規制面132Kと傾斜面132Eとの間に挟まれる入隅であり、角部132Jは規制面132Kと傾斜面132Fとの間に挟まれる角である。
【0028】
側面132Aが傾斜面132Eの周方向一方側の縁から下方に延び、側面132Aと傾斜面132Eとの間に挟まれる角部132Hが鋭角(例えば60°)となっている。側面132Bが傾斜面132Fの周方向他方側の縁から下方に延び、側面132Bと傾斜面132Fとの間に挟まれる角部132Iが鈍角(例えば120°)となっている。また、傾斜面132E、132Fの上端(角部132H、132I)は同じ高さに位置している。
【0029】
複数(例えば、3個)の固定側ガイド突起部134は、固定部110の周方向に所定間隔(例えば、60°おき)に配されている(
図4のA−A断面参照)。この固定側ガイド突起部134は2つの傾斜面134A、134Bを備えている。
【0030】
傾斜面134A、134Bは固定側ガイド突起部134の下側の面に設けられている。一方の傾斜面134Aと他方の傾斜面134Bが周方向に並設され、傾斜面134Aが傾斜面134Bの周方向一方側に配されている。傾斜面134Aは、基準面に対して、周方向一方側に向けて下側へ傾斜する。この傾斜面134Aと基準面の成す角度は例えば30°である。傾斜面134Bは、基準面に対して、周方向一方側に向けて下側へ傾斜する。この傾斜面134Bと基準面の成す角度は例えば30°である。即ち、傾斜面134A、134Bは、傾斜面132E、132Fに対して逆側に傾斜している。
【0031】
傾斜面134Aと傾斜面134Bとの間には段差がある。つまり、傾斜面134Aの周方向他方の縁から鉛直な規制面134Dが下方へ延び、規制面134Dが傾斜面134Bの周方向一方の縁に繋がる。また、傾斜面134A、134Bの上端は同じ高さに位置しており、これにより、傾斜面134Aと傾斜面134Bとの境界には、入隅部134Cが形成されている。
【0032】
ここで、
図4に示すように、傾斜面134Aが角部132Hの鉛直上方を周方向に越えるように配され、傾斜面134Aの中央部が角部132Hの鉛直上方に位置する。傾斜面134Bが入隅部132G及び角部132Jの鉛直上方を周方向に越えるように配され、傾斜面134Bの中央部が入隅部132G及び角部132Jの鉛直上方に位置する。即ち、固定側ガイド突起部134は、固定側突起部132に対して所定角度(例えば、15°)だけ周方向にずらして配されており、固定側ガイド突起部134の傾斜面134Aの一部(例えば、半分の長さ)は、固定側突起部132間の空間の鉛直上方に位置している。
【0033】
複数(例えば、3個)の着脱側突起部136は、着脱部120の周方向に所定間隔(例えば、60°おき)で配されている(
図4のB−B断面参照)。この着脱側突起部136は2つの鉛直な側面136A、136B及び2つの傾斜面136C、136Dを備えている。また、着脱側突起部136の横幅(側面136A、136Bの間隔)は、複数の固定側突起部132間の空間の横幅よりも僅かに狭くなっている。
【0034】
着脱側突起部136の上側の面には、傾斜面136Cが設けられている。この傾斜面136Cは、基準面に対して、周方向一方側に向けて下側へ傾斜する。この傾斜面136Cと基準面の成す角度は例えば30°である。
側面136Aが傾斜面136Cの周方向一方側の縁から下方に延びる。この側面136Aと傾斜面136Cとの間に挟まれる角部の角度が鈍角(例えば120°)となっている。
側面136Bが傾斜面136Cの周方向他方側の縁から下方に延びる。この側面136Bと傾斜面136Cとの間に挟まれる角部136Eの角度が鋭角(例えば60°)となっている。
【0035】
着脱側突起部136の下側の面には、傾斜面136Dが設けられている。この傾斜面136Dは、基準面に対して、周方向他方側に向けて下側へ傾斜する。即ち、傾斜面136C、136Dは、互いに逆側に傾斜している。
側面136Aが傾斜面136Dの周方向一方側の縁から上方に延びる。この側面136Aと傾斜面136Dとの間に挟まれる角部の角度が鈍角(例えば120°)となっている。
側面136Bが傾斜面136Dの周方向他方側の縁から上方に延びる。この側面136Bと傾斜面136Dとの間に挟まれる角部136Fの角度が鋭角(例えば60°)となっている。
【0036】
また、傾斜面136Cは、固定側ガイド突起部134の傾斜面134A、134B、及び固定側突起部132の傾斜面132Dに対して平行であり、固定側突起部132の傾斜面132C、132E、132Fに対して逆側に傾斜している。また、傾斜面136Dは、固定側突起部132の傾斜面132C、132E、132Fに対して平行であり、固定側ガイド突起部134の傾斜面134A、134Bに対して逆側に傾斜している。
【0037】
図2に示すように、着脱部120が固定部110に装着され、これらがロック機構130によりロックされた状態では、着脱側突起部136の下側の傾斜面136Dと固定側突起部132の上側の一方の傾斜面132Eとが当接し、着脱側突起部136の側面136Bが固定側突起部132の規制面132Kに当接し、着脱側突起部136の下側の角部136Fと固定側突起部132の入隅部132Gとが嵌り合う。つまり、着脱側突起部136の鉛直荷重が固定側突起部132の傾斜面132E及び規制面132Kに受けられる。具体的には、着脱側突起部36の鉛直荷重のうち傾斜面132Eに対して垂直な成分が傾斜面132Eに受けられ、傾斜面132Eに対して平行な成分が規制面132Kに受けられる。
【0038】
ここで、バネ38は、圧縮コイルバネであって、その一端側が固定部110の蓋部112の下面中央部に取り付けられており、蓋部112と着脱部120の端面122Aとの間に弾性変形され圧縮された状態で介在している。これにより、着脱部120がバネ38の弾性力で下方に付勢され、着脱側突起部136の下側の傾斜面136Dと固定側突起部132の上側の一方の傾斜面132Eとが互いに圧接され、着脱側突起部136の側面136Bと固定側突起部132の規制面132Kとが互いに圧接されている。従って、着脱部120の固定部110内でのがたつきが抑えられ、ロック機構130によるロック状態が維持される。
【0039】
図1〜
図3に示すように、操作機構30は、ロープ32と、滑車34、36とを備えている。ロープ32の一端は、着脱部120の端面122Aの中心に取り付けられている。また、滑車34、36は、固定部110よりも上側に互いに平行な水平軸の周りに回転可能に配されており、起立体(特に腕金1)に支持されている。なお、滑車34が連結具113又は吊下具114に支持されてもよい。
【0040】
ここで、ロープ32は、固定部110の蓋部112の中心の孔112Aに通されて滑車34、36に巻き掛けられている。滑車34は、孔112Aから鉛直上方に延びるロープ32が水平方向に転回されるように配され、滑車36は、滑車34から水平方向に延びるロープ32が鉛直下方に転回されるように配されている。
【0041】
図5〜
図12は、着脱部120を固定部110に装着する手順を説明するための図である。
図5に示すように、着脱部120を固定部110に装着する際には、ロープ32を引くことにより着脱部120を上昇させる。この際、
図6及び
図7に示すように、着脱側突起部136の位置が、固定側突起部132間の空間の位置に対して周方向にずれている場合には、着脱側突起部136の角部136Eが、固定側突起部132の傾斜面132Cに当たったり(
図6参照)、着脱側突起部136の傾斜面136Cが傾斜面132Dに当たったりする。ここで、
図6に示すように、角部136Eが傾斜面132Cに当たった場合には、角部136Eが傾斜面132Cにより斜め上方へ案内されることにより、着脱部120が平面視での時計回り方向(周方向一方側)に回転して、着脱側突起部136が固定側突起部132間の空間に案内される。一方、
図7に示すように、傾斜面136Cが傾斜面132Dに当たった場合には、傾斜面136Cが傾斜面132Dにより斜め上方に案内されることにより、着脱部120が平面視での反時計回り方向(周方向他方側)に回転して、着脱側突起部136が固定側突起部132間の空間に案内される。
【0042】
次に、
図8に示すように、着脱側突起部136が固定側突起部132間の空間を通過することにより、着脱部120が固定部110内で上方に移動する。ここで、
図9に示すように、着脱部120が固定部110の奥まで引き上げられると、着脱側突起部136の傾斜面136Cが固定側ガイド突起部134の傾斜面134Aに当たる。そして、パイロット碍子20及び着脱部120の上昇運動が固定側ガイド突起部134の傾斜面134Aと着脱側突起部136によって平面視で反時計回り(周方向他方側)の回転運動に変換される。つまり、
図10に示すように、傾斜面136Cが傾斜面134Aにより斜め上方に案内されることにより、着脱部120が平面視で反時計回り方向に回転する。そして、着脱側突起部136の側面136Bが固定側ガイド突起部134の規制面134Dに当接し、着脱側突起部136の角部136Eが固定側ガイド突起部134の入隅部134Cに嵌る。これにより、着脱部120の平面視での反時計回り方向への回転が止まる。
【0043】
次に、
図11に示すように、引いていたロープ32を緩めると、着脱部120が自重及びバネ38の弾性力により下降し、着脱側突起部136の傾斜面136Dが固定側突起部132の傾斜面132Eに当たる。そして、パイロット碍子20及び着脱部120の下降運動が固定側突起部132の傾斜面132Eと着脱側突起部136によって平面視で反時計回り(周方向他方側)の回転運動に変換される。つまり、着脱側突起部136の傾斜面136Dが固定側突起部132の傾斜面132Eにより斜め下方に案内されることによって、
図12に示すように着脱部120が平面視での反時計回り方向に回転する。そして、着脱側突起部136の側面136Bが固定側突起部132の規制面132Kに当接し、着脱側突起部136の角部136Fが固定側突起部132の入隅部132Gに嵌り、着脱部120が固定部110にロック機構130によりロックされた状態になる。
【0044】
図13〜
図17は、着脱部120を固定部110から取り外す手順を説明するための図である。
図13に示すように、着脱部120を固定部110から取り外す際には、ロープ32を引くことにより着脱部120を一旦上昇させる。この際、
図14に示すように、着脱側突起部136の傾斜面136Cが、固定側ガイド突起部134の傾斜面134Bに当たる。そして、パイロット碍子20及び着脱部120の上昇運動が固定側ガイド突起部134の傾斜面134Bと着脱側突起部136によって平面視で反時計回り(周方向他方側)の回転運動に変換される。
つまり、着脱側突起部136の傾斜面136Cが固定側ガイド突起部134の傾斜面134Bにより斜め上方に案内されることにより、着脱部120が平面視での反時計回り方向に回転する。
【0045】
次に、
図15に示すように、引いていたロープ32を緩めると、着脱部120が自重及びバネ38の弾性力により下降し、着脱側突起部136の傾斜面136Dが、固定側突起部132の傾斜面132Fに当たる。そして、パイロット碍子20及び着脱部120の下降運動が固定側突起部132の傾斜面132Fと着脱側突起部136によって平面視で反時計回り(周方向他方側)の回転運動に変換される。つまり、
図16に示すように、着脱側突起部136の傾斜面136Dが固定側突起部132の傾斜面132Fにより斜め下方に案内されることにより、着脱部120が反時計回り方向に回転して、着脱側突起部136が固定側突起部132間の空間に案内される。これにより、
図17に示すように、ロック機構130によるロックが解除された状態になり、着脱部120を固定部110から取り外すことができるようになる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る保持装置100は、高所の設置位置たる腕金1において設置対象物たるパイロット碍子20を着脱可能に保持する着脱式の保持装置であって、設置位置に開口端が下側に位置するように固定される円筒状の固定部110と、固定部110と同軸に配されてパイロット碍子20を保持し、固定部110内に下方から挿入され、固定部110内から下方に抜け出る円柱状の着脱部120と、固定部110内に挿入された着脱部120を、その軸周りに回動させて所定の保持位置まで案内し、該所定の保持位置から上昇された着脱部120をその軸周りに回動させて所定の下降位置まで案内するロック機構130とを備える。これによって、例えば、本実施形態のように着脱部120にロープ32を取り付けてそのロープ32により着脱部120を引き上げることによって、着脱部120を固定部110に装着したり取り外したりすることができ、高所の腕金1にパイロット碍子20を設置し回収する作業を容易に行うことができる。
【0047】
また、ロック機構130は、着脱部120の外周面にその周方向に所定間隔おきに設けられた複数の着脱側突起部136と、固定部110の内周面にその周方向に複数の着脱側突起部136と同じ間隔で且つ着脱側突起部136が通過可能な空間が形成されるように設けられた複数の固定側突起部132と、固定部110の内周面における固定側突起部132よりも上側に複数の着脱側突起部136と同じ間隔で設けられた固定側ガイド突起部134とを備えている。ここで、着脱側突起部136には、互いに逆側に傾斜した上下の傾斜面136C、136Dが形成されている。また、固定側突起部132の下部には、互いに逆側に傾斜した2つの傾斜面132C、132Dが、横幅方向中央部が下方に凸となるように形成されている。また、固定側突起部132の上部には、互いに平行な2つの傾斜面132E、132Fが、横幅方向中央部に着脱側突起部136の下側の鋭角な角部136Fが嵌る入隅部132Gができるように形成され、固定側ガイド突起部134には、互いに平行且つ固定側突起部132の上部の傾斜面132E、132Fとは逆側に傾斜した2つの傾斜面134A、134Bが、横幅方向中央部に着脱側突起部136の上側の鋭角な角部136Eが嵌る入隅部134Cができるように形成されている。さらに、固定側ガイド突起部134は、2つの傾斜面134A、134Bが固定側突起部132の上側の2つの鋭角な角部132H、132Jの上に位置するように配されている。これによって、固定部110内に挿入された着脱部120を、その軸周りに回動させて所定の保持位置まで案内したり、該所定の保持位置から上昇された着脱部120をその軸周りに回動させて所定の下降位置まで案内したりすることができる。
【0048】
また、着脱部120の上部には、着脱部120を引き上げるための線状部材たるロープ32の一端が取り付けられ、このロープ32の他端側が滑車34、36により下方へ転回されている。これによって、ロープ32により着脱部120を引き上げたり吊り下げたりするという簡単な操作により、パイロット碍子20を設置したり回収したりすることができる。
【0049】
また、着脱部120の上部と固定部110の上部との間に付勢部材たるバネ38を配して、該バネ38により着脱部120を下側へ付勢している。これによって、着脱部120の固定部110内でのがたつきを抑制できる。
【0050】
図18は、操作機構30の変形例を示す立断面図である。この図に示すように、この変形例では、ロープ32の一端がバネ39を介して腕金1の下方の床面や構造物等に取り付けられている。このバネ39は引張コイルバネである。バネ39が弾性的に伸長し、ロープ32が緊張した状態となっている。
【0051】
ここで、バネ39の弾性係数はバネ38の弾性係数よりも低く設定されている。そのため、バネ39によるロープ32を引き下げる力は、バネ38による着脱部120を押し下げる力を上回らないようになっている。これによって、ロープ32を弛まない状態で定位置に留めておくことができると共に、ロープ32の張力によってロック機構130の機能が阻害されることを防止できる。
【0052】
図19及び
図20は、保持装置100の変形例を示す斜視図である。
図19は、保持装置100が組み立てられて、パイロット碍子20が保持装置100によって腕金1に取り付けられた状態を示す。
図20は、保持装置100が解体されて、パイロット碍子20が腕金1から取り外された状態を示す。
【0053】
図19及び
図20に示すように、固定側突起部132の傾斜面132Eには、凹部132Lが形成されている。この凹部132Lは、傾斜面132Eのうち傾斜面132F側に寄って配置されている。そして、規制面132Kは角部132Jから下方へ延びて凹部132Lの底にまで至っている。そして、凹部132Lの底面と規制面132Kとの間に挟まれる入隅部132Gは凹部132Lの底に形成されている。凹部132Lの底面は傾斜面132E及び着脱側突起部136の傾斜面136Dに対して平行である。
【0054】
図19に示すように、着脱部120がロック機構130によって固定部110にロックされた状態では、着脱側突起部136の下部が固定側突起部132の凹部132Lに嵌まり、着脱側突起部136の傾斜面136Dがその凹部132Lの底面に当接し、着脱側突起部136の側面136Bが固定側突起部132の規制面132Kに当接し、着脱側突起部136の角部136Fが入隅部132Gに嵌まる。そのため、風等によって着脱部120が固定部110に対して相対的に揺動することを抑えることができる。
【0055】
ロック状態から着脱部120をロープ32によって上に引き上げると、着脱側突起部136が凹部132Lから上に抜け、上述したように着脱側突起部135の傾斜面136Cが固定側ガイド突起部134の傾斜面134Bに当接し、着脱側突起部135がその傾斜面134Bによって平面視反時計回り方向へ案内される。
【0056】
一方、着脱部120を固定部110にロックするに際しては、上述のように着脱部120をロープ32によって上に引き上げると、着脱側突起部136が固定側ガイド突起部134の傾斜面134Aによって案内され、の側面136Bが固定側ガイド突起部134の規制面134Dに当接する。そして、着脱側突起部136の傾斜面136Dが固定側突起部132の傾斜面132Eに当たり、着脱側突起部136が傾斜面132Eによって案内されて、着脱側突起部136が凹部132Lに嵌まる。
【0057】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0058】
上記実施形態では、ロープ32で着脱部120を引き上げることにより、着脱部120が固定部110に対して着脱されるように構成した。それに対して、棒で着脱部120を押し上げることにより、着脱部120が固定部110に対して着脱されるように構成する等してもよい。