(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6451504
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】電子機器の固定装置及び固定構造
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20190107BHJP
【FI】
H05K5/02 B
H05K5/02 E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-107789(P2015-107789)
(22)【出願日】2015年5月27日
(65)【公開番号】特開2016-225367(P2016-225367A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】馬場崎 修一
【審査官】
酒井 恭信
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭45−027953(JP,Y1)
【文献】
実開昭53−147606(JP,U)
【文献】
特開2004−327661(JP,A)
【文献】
実開平06−066073(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0139867(US,A1)
【文献】
実開平05−011493(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面に雌ねじとこの雌ねじを中心とした第1の仮想円周上に複数の凹部が形成された電子機器を被固定部に固定する電子機器の固定装置において、前記外面に接する部分にねじ貫通孔が設けられた固定部材と、前記ねじ貫通孔を介して前記雌ねじにねじ込まれる雄ねじとを具備しており、前記固定部材は、ねじ貫通孔の周囲に前記凹部に嵌まり込む凸部が形成されたカンチレバー型の固定用舌片が形成されており、前記凸部はねじ貫通孔を中心とした第2の仮想円周上に位置しており、前記第1の仮想円周と第2の仮想円周とは同一半径であり、前記固定用舌片は外方向に屈曲されており、前記ねじ貫通孔を貫通した雄ねじが雌ねじに対して一定量以上ねじ込まれると、固定用舌片は雄ねじに押圧されて電子機器の外面側に向かって変位し、前記凸部が凹部に嵌まり込むことを特徴とする電子機器の固定装置。
【請求項2】
前記固定部材は、略凹字形状に形成されており、前記電子機器の外面に接する対向した一対の立上片にねじ貫通孔が設けられており、前記電子機器は対向した一対の外面に雌ねじが形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器の固定装置。
【請求項3】
前記固定用舌片は、ねじ貫通孔の周囲に複数形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器の固定装置。
【請求項4】
電子機器を被固定部に固定する固定部材と、前記電子機器の外面に形成された雌ねじと、この雌ねじに対応する雄ねじとを具備しており、前記電子機器の外面には雌ねじを中心とした第1の仮想円周上に複数の凹部が形成されており、前記固定部材には前記外面に接する部分に雄ねじが貫通するねじ貫通孔が設けられているとともに、前記凹部に嵌まり込む凸部が形成されたカンチレバー型の固定用舌片が形成されており、前記凸部はねじ貫通孔を中心とした第2の仮想円周上に位置し、前記第1の仮想円周と第2の仮想円周とは同一半径であり、前記固定用舌片は外方向に屈曲されており、前記ねじ貫通孔を貫通した雄ねじが雌ねじに対して一定量以上ねじ込まれると、固定用舌片は雄ねじに押圧されて電子機器の外面側に向かって変位し、前記凸部が凹部に嵌まり込むことを特徴とする電子機器の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の固定装置、特には電子機器の傾き具合を調整することができる電子機器の固定装置及び固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
無線機等の電子機器を自動車のダッシュボードの上などに固定する構造として、略凹字形状の固定部材を使用するものがある。この固定構造は、固定部材の対向する一対の立上片にねじ貫通孔を設け、無線機の側面に雌ねじを設け、前記ねじ貫通孔を介して雌ねじに雄ねじをねじ込んで無線機を固定するようになっている。なお、固定部材は、ダッシュボード上に固定される。
【0003】
この固定構造で、無線機を上下方向の傾き具合を調整するには、立上片に1つのねじ貫通孔と、このねじ貫通孔を中心とした円周上に円弧状のスリットを設ける構成がある。ねじ貫通孔を中心と傾動させ、スリットの部分を介して固定用のねじを無線機にねじ込むのである。
しかしながら、かかる構成では、無線機の傾き具合を調整する際に左右の立上片の合計4個のねじを緩めて、再び締めるという作業が必要になるので、かなりの手間がかかっていた。また、スリットの部分のねじは強固に締めていたとしても、振動によって緩んでしまい、傾き具合が変動するおそれがある。かかるおそれを低減させるために、無線機と立上片との間に滑り止めのためのシートを貼り付けている。
【0004】
この傾き具合を調整する際の手間、滑り止めのためのシートのコストを省くため、特開2004−327661号記載の構造も創案された。
この構造は、『電子機器を挟むコ字形の固定金具に設けられた第1のねじ挿通穴を挿通するねじを電子機器の側面に設けられたねじ穴にねじ込んで電子機器を前記固定金具に締着する電子機器の取付構造において、前記固定金具の電子機器側面に対向する面と反対側の面に凹部を設け、前記凹部と対応する外周を有し前記凹部にはめ込まれる位置決め部材に前記ねじを挿通させる第2のねじ挿通穴とそれから等間隔に配置される少なくとも1つの突起を設け、前記突起を前記固定金具に設けられた穴を挿通させ前記電子機器のねじ穴の周囲に等間隔ピッチに設けられた凹みと選択的に嵌合させることを特徴とする電子機器の取付構造。』となっている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−327661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この電子機器の取付構造でも、固定金具とは別体の『凹部にはめ込まれる位置決め部材』が必要となったため、傾き具合を調整する際にこの位置決め部材を紛失するおそれがあり、しかも凹部に嵌め込まれていた位置決め部材の取り外しに手間がかかるいいう問題点がある。
また、滑り止めのためのシートのコストは省けても、新たな位置決め部材という別体の部品が必要になるので、コスト低減という観点からは望ましくないものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、電子機器をそれほどの手間なしに傾き具合を調整することができ、しかも振動等で緩まず、コストアップもにつながらない電子機器の固定装置及び固定構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器の固定装置は、外面に雌ねじとこの雌ねじを中心とした第1の仮想円周上に複数の凹部が形成された電子機器を被固定部に固定する電子機器の固定装置において、前記外面に接する部分にねじ貫通孔が設けられた固定部材と、前記ねじ貫通孔を介して前記雌ねじにねじ込まれる雄ねじとを具備しており、前記固定部材は、ねじ貫通孔の周囲に前記凹部に嵌まり込む凸部が形成されたカンチレバー型の固定用舌片が形成されており、前記凸部はねじ貫通孔を中心とした第2の仮想円周上に位置しており、前記第1の仮想円周と第2の仮想円周とは同一半径であり、前記固定用舌片は外方向に屈曲されており、前記ねじ貫通孔を貫通した雄ねじが雌ねじに対して一定量以上ねじ込まれると、固定用舌片は雄ねじに押圧されて電子機器の外面側に向かって変位し、前記凸部が凹部に嵌まり込むように構成されている。
【0009】
また、前記固定部材は、略凹字形状に形成されており、前記電子機器の外面に接する対向した一対の立上片にねじ貫通孔が設けられており、前記電子機器は対向した一対の外面に雌ねじが形成されている。
さらに、前記固定用舌片は、ねじ貫通孔の周囲に複数形成されているとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電子機器の固定装置は、固定部材に形成された固定用舌片の凸部が、電子機器の外面に形成された凹部に嵌まり込むように構成されており、しかも前記凸部と凹部とが電子機器の外面に設けられた雌ねじを中心とした同一半径の仮想円周上に設けられているために、雄ねじをねじ込むことで確実に凸部が凹部に嵌まり込むので、それほどの手間なしに電子機器の傾き具合を調整することができ、しかも振動等で緩まず、コストアップもにつながらない構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る電子機器の固定装置の概略的斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る電子機器の固定装置を構成する固定部材の概略的斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る電子機器の固定装置を構成する固定部材の概略的側面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る電子機器の固定装置を構成する固定部材の概略平面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る電子機器の固定装置で固定される電子機器としての無線機の概略的斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る電子機器の固定装置で固定される電子機器としての無線機の概略的側面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る電子機器の固定装置で固定される電子機器としての無線機の概略的断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る電子機器の固定装置の概略的断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る電子機器の固定装置が電子機器としての無線機を固定した状態を示す概略的拡大断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る電子機器の固定装置が電子機器としての無線機の傾き具合を調整する状態を示す概略的拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係る電子機器の固定装置は、外面である側面210に雌ねじ211とこの雌ねじ211を中心とした第1の仮想円周212上に複数の凹部213が形成された電子機器である無線機200を被固定部(図示省略)に固定する電子機器の固定装置であって、前記側面210に接する部分にねじ貫通孔111が設けられた固定部材100と、前記ねじ貫通孔111を介して前記雌ねじ211にねじ込まれる雄ねじ300とを備えており、前記固定部材100は、ねじ貫通孔111の周囲に前記凹部213に嵌まり込む凸部113が形成されたカンチレバー型の固定用舌片112が形成されており、前記凸部113はねじ貫通孔111を中心とした第2の仮想円周114上に位置しており、前記第1の仮想円周212と第2の仮想円周114とは同一半径であり、前記固定用舌片112は外方向に屈曲されており、前記ねじ貫通孔111を貫通した雄ねじ300が雌ねじ211に対して一定量以上ねじ込まれると、固定用舌片112は雄ねじ300に押圧されて無線機200の側面210側に向かって変位し、前記凸部113が凹部213に嵌まり込むように構成されている。
【0013】
この電子機器の固定装置によって固定される電子機器である無線機200は、
図5に示すように、平べったい直方体状に形成されており、正面には液晶パネルからなる液晶ディスプレイ241やスピーカー、左右キー、上下/チャンネル選択キー、エンターキー、クリアキー、メニューキー及びダイヤル/電源キー、ソフトキー、スケルチツマミ、ボリュームツマミ、チャンネル16/コールチャンネルキー等の各種キー、スイッチが配置されている。なお、作図の都合上、スピーカーや各種キー、スイッチは省略している。
【0014】
また、前記液晶ディスプレイ241には、送受信表示アイコン、送信出力表示、RXヘイラーアイコン、チャンネルグループ表示アイコン、コールチャンネル表示アイコン、デュプレックス表示アイコン、スキャン対象チャンネル表示アイコン、呼出表示アイコン、GPS情報表示アイコン、チャンネル16スイッチ表示アイコン、バッテリー電圧低下表示アイコン、チャンネル番号表示アイコン、チャンネル名称表示アイコン、ソフトキー機能表示アイコン、タイムゾーン表示アイコン、位置情報表示アイコン、進行方向/速度表示アイコン、スキャン表示アイコン、LOCAL表示アイコン等の各種アイコンが必要に応じて表示されるようになっている。
なお、上述した液晶ディスプレイ241、スピーカー、各種キー、スイッチ、各種アイコンは例示であって、本願発明である電子機器の固定装置によって固定される無線機200を特徴づけるものでないことはいうまでもない。
【0015】
かかる無線機200は、内部のダイキャスト製のフレーム230と、このフレーム230の上面及び一対の側面231を覆う合成樹脂製の略凹字形状のメインカバー220と、正面を覆い、前記液晶ディスプレイ241や各種キー、スイッチ等が配置される合成樹脂製の前面カバー240を有している。
【0016】
前記フレーム230の一対の側面231の略中央部には、
図5〜
図7に示すように、略小判状の盛上部232が形成されている。さらに、この盛上部232の中心には、前記雌ねじ211が形成されている。
なお、フレーム230の底面及び背面には、放熱フィン234が形成されている。また、フレーム230の背面には、アンテナ用のコネクタ等(図示省略)が設けられている。
【0017】
また、前記メインカバー220の側面は、無線機200の側面210となる。このメインカバー220の側面、すなわちフレーム230の一対の側面231を覆う部分には、前記盛上部232に対応した略小判状の開口215が開設されている。フレーム230をメインカバー220で覆う際、前記開口215に盛上部232を嵌め込むと、メインカバー220がフレーム230を正確に覆うようになっている。
なお、前記盛上部232は、開口215に嵌まり込むと、前記側面210と面一になるように設定されている。これは、無線機200の傾き具合の調整をスムーズに行うことができるようにするためである。
【0018】
さらに、メインカバー220の側面には、
図5、
図6に示すように、開口215を取り囲んで複数の凹部213が一定間隔で形成されている。この凹部213は、メインカバー220でフレーム230を覆った際、フレーム230の盛上部232の雌ねじ211を中心とした第1の仮想円周212上(
図6に破線で示している)に複数形成されている。
なお、この凹部213は、図面では第1の仮想円周212上に等間隔で全周にわたって設けられているが、第1の仮想円周212の一部にのみ設けるようにすることも可能である。この場合、無線機200の形状、サイズ等から傾けることができる範囲に応じて凹部213を設けるようにすればよい。
また、この複数の凹部213の間には第1の仮想円周212に沿って浅溝216が形成されている。この浅溝216は、無線機200の傾き具合を調整する際に、雄ねじ300をそれほど大幅に緩めなくてもすむようにするためのものである。また、雄ねじ300の緩め具合が不十分であっても、側面210を削らないようにするためのものでもある。
【0019】
一方、前記固定部材100は、
図2に示すように、一枚の長方形状の金属板を略凹字形状に折曲形成したものであり、取付片120と、この取付片120の両端から略直交方向に折曲された一対の立上片110とが一体に形成されている。
【0020】
前記取付片120には、中央部に丸孔121が、この丸孔121の両側に合計4個の長孔122が形成されている。これらの丸孔121や長孔122は、自動車のダッシュボード等の被固定部に固定する際に利用されるものである。
なお、この取付片120の長さ寸法、すなわち立上片110の間の寸法は、無線機200の幅寸法に対応している。
【0021】
また、前記立上片110は、先端が半円状に形成されている。また、この立上片110の高さ寸法は、固定部材100に取り付けられた無線機200の傾き具合を調整することができるように、無線機200の厚さ寸法より大きく設定されている。
かかる立上片110には、ねじ貫通孔111が設けられている。このねじ貫通孔111は、後述する雄ねじ300の軸部320は貫通できるが、がたつくことがない程度の大きさに設定されている。
【0022】
さらに、前記立上片110には、ねじ貫通孔111を取り囲み、ねじ貫通孔111を中心とした点対称位置に2個のカンチレバー型の固定用舌片112が形成されている。
この固定用舌片112は、立上片110に切込み115を形成することで円弧状に形成されている。また、この固定用舌片112は、
図4に示すように、立上片110の表面側である外方向、すなわち無線機200の側面210の反対方向に向かって基端部から屈曲されている。従って、固定用舌片112の先端に設けられた凸部113は、固定用舌片112に対してなんらの外力も加えられていない自然状態では、立上片110の裏面より表面側に位置していることになる。
【0023】
かかる固定用舌片112の先端側、すなわち立上片110と連なった基端部とは反対側には凸部113がプレス成形等によって形成されている。
この凸部113は、ねじ貫通孔111を中心とした第2の仮想円周114上(
図3に破線で示している)に位置している。なお、前記第1の仮想円周212と第2の仮想円周114の半径は、同一に設定されている。
従って、ねじ貫通孔111を介して雌ねじ211に雄ねじ300がねじ込まれた場合、固定用舌片112の凸部113は確実に凹部213に嵌まり込むようになっている。
なお、固定用舌片112は円弧状ではあるが、前記第2の仮想円周114と一致はしていない。これは、固定用舌片112にある程度の長さ寸法を確保することで、凸部113が凹部213に嵌まり込む際の固定用舌片112の変位に余裕をもたせるためである。
【0024】
前記雄ねじ300は、
図9〜
図10に示すように、樹脂製の頭部310と、この頭部310の裏面の中心から突出した金属製の軸部320とを有している。この雄ねじ300は、ねじ貫通孔111を介して雌ねじ211に一定量以上ねじ込まれると、頭部310の裏面側(軸部320側)が固定用舌片112を押圧して無線機200の側面210側に向かって変位し、凸部113が凹部213に嵌まり込むようになっている。
すなわち、雄ねじ300の雌ねじ211に対するねじ込み量が一定量未満であると、固定用舌片112の凸部113は無線機200の側面210の凹部213には嵌まり込まないことになる。
【0025】
上述したような電子機器の固定装置による無線機200の傾き具合の調整は以下のようにして行われる。
固定部材100の一対の立上片110のねじ貫通孔111を介して無線機200の雌ねじ211にねじ込まれている一対の雄ねじ300をそれぞれ緩め、雄ねじ300の雌ねじ211に対するねじ込み量を一定量未満とする。すなわち、
図10に示す状態とする。
これにより、固定用舌片112の無線機200の側面210側への押圧がなくなり、固定用舌片112の凸部113は、無線機200の側面210の凹部213から外れる。
この状態で、雄ねじ300を中心軸として、無線機200の傾き具合の調整を行う。この際、固定用舌片112の凸部113は、無線機200の側面210の凹部213から外れているため、無線機200を傾けても凸部113は凹部213が形成されているメインカバー220の側面である無線機200の側面210を磨耗させるおそれはない。
【0026】
無線機200の傾き具合の調整が完了したならば、一対の雄ねじ300を雌ねじ211に対してねじ込み。
図9に示すように、ねじ込み量が一定量以上になると、固定用舌片112が無線機200の側面210側へと押圧され、固定用舌片112の凸部113が無線機200の側面210の凹部213へと嵌まり込む。これで、無線機200は調整した傾き具合で固定されることになる。
【0027】
なお、上述した実施の形態では、一対の立上片110の両方に固定用舌片112を設け、無線機200の両方の側面210に凹部213を設けたが、立上片110の一方のみに固定用舌片112を設け、これに対応して無線機200の一方の側面210にのみ凹部213を設けるようにすることも可能である。
【0028】
さらに、固定用舌片112は、ねじ貫通孔111を取り囲んで2個設けたが、1個であっも、さらには3個以上であってもかまわない。なお、3個以上の固定用舌片112を設ける場合には、各固定用舌片112は等間隔、すなわち3個であれば120°、4個であれば90°間隔で設けることが望ましい。
なお、固定用舌片112は、固定をより確実にするという観点からは、複数設ける方が望ましい。
【0029】
またさらに、固定用舌片112は円弧状であるとしたが、カンチレバー型であり、かつ先端に設けられる凸部113が第2の仮想円周114上に位置するものであれば、どのような形態のものであってもよい。例えば、ねじ貫通孔111に対して放射状に形成された固定用舌片112であってもよい。
【0030】
また、固定部材100は、上向き状態でダッシュボード等の被固定部に固定するとしたが、天井面を被固定部として吊り下げた状態で取り付ける場合には、下向き状態で固定することも可能である。
【0031】
なお、上述した実施の形態では、電子機器として平べったい直方体状の無線機200としたが、本発明がこれに限定されるものではなく、他の形状の無線機や、ナビゲーションシステム、オーディオビジュアルシステム等の他の電子機器に適用可能である。なお、固定部材100は、固定すべき電子機器の形状、サイズに合致したものとすることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0032】
100 固定部材
110 立上片
111 ねじ貫通孔
112 固定用舌片
113 凸部
114 第2の仮想円周
200 無線機(電子機器)
210 側面(外面)
211 雌ねじ
212 第1の仮想円周
213 凹部
300 雄ねじ