(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電流経路に設けられており、制御端の電圧が所定電圧以上となった場合にオンに切替わり、該制御端の電圧が前記所定電圧未満となった場合にオフに切替わる半導体スイッチを備え、該半導体スイッチのオン及びオフの切替えによって前記電流経路を介した給電を制御する給電制御装置において、
前記制御端に一端が接続されるキャパシタと、
該キャパシタを充電する充電回路と、
該キャパシタから前記充電回路への電流の通流を防止するダイオードと、
前記半導体スイッチにおける電流の入力端に入力される入力電圧を検出する入力電圧検出部と、
該半導体スイッチのオン又はオフへの切替えを指示する切替え信号が入力される入力部と、
該入力部に入力された切替え信号が前記半導体スイッチのオンへの切替えを指示している場合にて、前記入力電圧検出部が検出した電圧が入力電圧閾値以上であるとき、前記充電回路を駆動する駆動部と
を備え、
前記駆動部は、前記充電回路を駆動している間に、前記入力電圧検出部が検出した電圧が前記入力電圧閾値未満になった場合であっても、前記充電回路の駆動を維持すること
を特徴とする給電制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、車両に好適に搭載されており、バッテリ10、給電制御装置11、負荷12及びスタータ13を備える。バッテリ10の正極は、給電制御装置11及びスタータ13の一端に接続されている。給電制御装置11の他端は負荷12の一端に接続されている。バッテリ10の負極と、負荷12及びスタータ13夫々の他端とは接地されている。
【0021】
バッテリ10は、給電制御装置11を介して負荷12に給電すると共に、スタータ13にも給電する。負荷12は、車両に搭載された電気機器である。バッテリ10から負荷12に給電されている場合に負荷12は作動し、バッテリ10から負荷12への給電が遮断されている場合に負荷12は動作を停止する。スタータ13は、図示しないエンジンを作動させるためのモータであり、バッテリ10から供給された電力を用いて作動する。
【0022】
給電制御装置11には、負荷12の作動を指示する作動信号と、負荷12の動作の停止を指示する停止信号とが入力される。給電制御装置11は、入力された信号に基づいて負荷12への給電を制御する。
【0023】
スタータ13が作動している間、バッテリ10からスタータ13に大きな電流が供給される。バッテリ10内では、図示しない内部抵抗を介して電流が負荷12又はスタータ13に供給される。バッテリ10がスタータ13に給電している場合、内部抵抗での電圧降下の幅が大きいため、バッテリ10の出力電圧は大きく低下する。
【0024】
図2は給電制御装置11の要部構成を示すブロック図である。給電制御装置11は、半導体スイッチ20、入力電圧検出部21、充電回路22、放電回路23、出力回路24、制御回路25、マイクロコンピュータ(以下ではマイコンという)26、キャパシタCs及びダイオードD1,D2を備える。半導体スイッチ20はNチャネル型のFETである。キャパシタCsは、半導体スイッチ20の製造に伴って形成される入力容量である。
【0025】
半導体スイッチ20のドレインはバッテリ10の正極に接続され、半導体スイッチ20のソースは負荷12の一端に接続されている。半導体スイッチ20のドレイン及びゲート間にはキャパシタCsが接続されている。半導体スイッチ20のドレインは、更に、入力電圧検出部21、充電回路22及び出力回路24が接続されている。入力電圧検出部21、充電回路22及び出力回路24は、接地されると共に、制御回路25に各別に接続されている。出力回路24は、半導体スイッチ20のソース、及び、マイコン26にも接続されている。
【0026】
半導体スイッチ20のゲートは、キャパシタCsの他に、ダイオードD1のカソードと、ダイオードD2のアノードとに接続されている。ダイオードD1のアノードは充電回路22に接続されている。ダイオードD2のカソードは放電回路23に接続されている。放電回路23は、接地されると共に、制御回路25にも接続されている。制御回路25は、更に、マイコン26に接続されている。
【0027】
充電回路22には、制御回路25からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。充電回路22は、制御回路25からハイレベル電圧が入力されている場合、バッテリ10から半導体スイッチ20のドレインに入力される入力電圧よりも高い電圧を、ダイオードD1を介して、キャパシタCsに出力する。これにより、電流が半導体スイッチ20のゲート側からキャパシタCsに供給され、キャパシタCsは充電される。キャパシタCsの充電により、半導体スイッチ20のソースの電位を基準とした半導体スイッチ20のゲートの電圧が上昇する。ダイオードD1はキャパシタCsから充電回路22への電流の通流を防止する。
【0028】
半導体スイッチ20のソースの電位を基準とした半導体スイッチ20のゲートの電圧が所定電圧以上となった場合、半導体スイッチ20はオンに切替わり、半導体スイッチ20のドレイン及びソース間に電流が流れることが可能となる。半導体スイッチ20はオンである場合、半導体スイッチ20のドレイン及びソース間の抵抗値は小さい。
【0029】
半導体スイッチ20がオンである場合、電流は、バッテリ10から、半導体スイッチ20のドレインに入力され、半導体スイッチ20のソースから負荷12に出力される。この電流の供給によって、電力が負荷12に供給される。このように、給電制御装置11にはバッテリ10から負荷12への電流経路が設けられており、この電流経路には半導体スイッチ20が設けられている。半導体スイッチ20のドレイン、ソース及びゲート夫々は、入力端、出力端及び制御端として機能する。
【0030】
半導体スイッチ20がオンである場合、接地電位を基準とした半導体スイッチ20のドレイン及びソースの電圧は略一致している。また、充電回路22は、バッテリ10から半導体スイッチ20のドレインに入力される入力電圧から、該入力電圧よりも低い一定電圧を生成し、生成した一定電圧を用いて、入力電圧よりも高い電圧を生成する。
充電回路22は、制御回路25からローレベル電圧が入力されている場合、動作を停止する。
【0031】
放電回路23にも、制御回路25からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。放電回路23は、制御回路25からハイレベル電圧が入力されている場合、キャパシタCsが蓄えている電力を放出する。このとき、ダイオードD2のカソードが放電回路23内の図示しない抵抗を介して接地され、電流はキャパシタCsからダイオードD2と放電回路23内の抵抗とを介して接地電位に流れる。これにより、キャパシタCsの両端間の電圧、即ち、半導体スイッチ20のゲートの電位を基準とした半導体スイッチ20のソースの電圧が低下する。半導体スイッチ20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧が所定電圧未満となった場合、半導体スイッチ20はオフに切替わり、半導体スイッチ20のドレイン及びソース間に電流が流れることはない。このとき、半導体スイッチ20はオフであり、バッテリ10から負荷12への給電が遮断される。
【0032】
放電回路23は、制御回路25からローレベル電圧が入力されている場合、動作を停止する。このとき、放電回路23内において、ダイオードD2のカソードは開放されている。
給電制御装置11では、半導体スイッチ20のオン及びオフの切替えによって電流経路を介した負荷12への給電を制御する。
【0033】
入力電圧検出部21は、バッテリ10から半導体スイッチ20のドレインに入力される入力電圧を検出する。入力電圧検出部21は、検出した入力電圧が、予め設定されている入力電圧閾値以上である場合、ハイレベル電圧を制御回路25に出力する。入力電圧検出部21は、検出した入力電圧が入力電圧閾値未満である場合、ローレベル電圧を制御回路25に出力する。
スタータ13が作動している間、入力電圧は入力電圧閾値未満の電圧に低下する。このため、入力電圧検出部21は、スタータ13が作動している間、ローレベル電圧を出力する。
【0034】
出力回路24は、バッテリ10から負荷12への電流経路に流れる電流の大きさに比例した電圧を出力する。出力回路24が電圧を出力する電圧出力端には制御回路25及びマイコン26が接続されており、出力回路24は、電流経路に流れる電流の大きさに比例した電圧を制御回路25及びマイコン26に出力する。
【0035】
出力回路24が電圧出力端から制御回路25及びマイコン26に出力する電圧は、(電流経路を流れる電流の大きさ)×(所定数)で表される。従って、出力回路24が制御回路25及びマイコン26に出力する電圧は、電流経路を流れる電流の大きさが大きい程高い。
【0036】
出力回路24は、バッテリ10から半導体スイッチ20のドレインへの入力電圧から制御回路25及びマイコン26に出力する電圧を生成する。出力回路24が制御回路25及びマイコン26に出力する電圧は、所定範囲内の電圧である。言い換えると、出力回路24が出力する電圧について上限電圧が設けられており、出力回路24は、上限電圧以下の電圧を制御回路25及びマイコン26に出力する。
【0037】
マイコン26には、作動信号及び停止信号が入力されると共に、出力回路24及び制御回路25から電圧が入力される。マイコン26は、入力された信号と、出力回路24が出力した電圧とに基づいて、半導体スイッチ20のオン又はオフへの切替えを指示する切替え信号を制御回路25に出力する。切替え信号はハイレベル電圧及びローレベル電圧によって構成される。切替え信号のハイレベル電圧は半導体スイッチ20のオンへの切替えを指示し、切替え信号のローレベル電圧は半導体スイッチ20のオフへの切替えを指示する。
【0038】
マイコン26は、出力回路24から入力される電圧に基づいて、バッテリ10から負荷12への電流経路を構成する図示しない電線の電線温度を算出する。この電線の中途に半導体スイッチ20が設けられている。
【0039】
マイコン26は、算出した電線温度が所定温度未満であり、かつ、作動信号が入力されている場合、切替え信号の電圧をハイレベル電圧に変更する。マイコン26は、算出した電線温度が所定温度以上であるか、又は、停止信号が入力されている場合、切替え信号の電圧をローレベル電圧に変更する。
【0040】
制御回路25は、入力電圧検出部21から入力された電圧と、出力回路24から入力された電圧と、マイコン26から入力された切替え信号とに基づいて、充電回路22及び放電回路23夫々にハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力する。
【0041】
図3は制御回路25の回路図である。制御回路25は、OR回路30、AND回路31,32、反転器33,34、ラッチ部35及びコンパレータ36を有する。OR回路30及びAND回路31,32夫々は2つの入力端子と1つの出力端子を有する。コンパレータ36は、プラス端子、マイナス端子及び出力端子を有する。
【0042】
OR回路30の一方の入力端子は入力電圧検出部21に接続されている。マイコン26、及び、OR回路30の出力端子夫々はAND回路31の2つの入力端子に接続されている。AND回路31の出力端子は、OR回路30の他方の入力端子と、AND回路32の一方の入力端子に接続されている。
【0043】
AND回路32の他方の入力端子は、反転器33の出力端子に接続されている。反転器33の入力端子はラッチ部35に接続されている。ラッチ部35は、更に、コンパレータ36の出力端子に接続されている。コンパレータ36のプラス端子は出力回路24の電圧出力端に接続されている。コンパレータ36のマイナス端子には参照電圧Vrが入力されている。参照電圧Vrは一定値である。AND回路32の出力端子は、充電回路22と、反転器34の入力端子とに接続されている。反転器34の出力端子は放電回路23に接続されている。
【0044】
OR回路30、AND回路31,32及び反転器33,34の入力端子には、ハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。OR回路30、AND回路31,32、反転器33,34及びコンパレータ36の出力端子から、ハイレベル電圧又はローレベル電圧が出力される。
【0045】
OR回路30は、2つの入力端子のいずれか一方にハイレベル電圧が入力されている場合、出力端子からハイレベル電圧を出力し、2つの入力端子の両方にローレベル電圧が入力されている場合、出力端子からローレベル電圧を出力する。AND回路31,32夫々は、2つの入力端子の両方にハイレベル電圧が入力されている場合、出力端子からハイレベル電圧を出力し、2つの入力端子のいずれか一方にローレベル電圧が入力されている場合、出力端子からローレベル電圧を出力する。反転器33,34夫々は、入力端子にローレベル電圧が入力されている場合、出力端子からハイレベル電圧を出力し、入力端子にハイレベル電圧が入力されている場合、出力端子からローレベル電圧を出力する。
【0046】
コンパレータ36は、出力回路24からプラス端子に入力された電圧が、マイナス端子に入力されている参照電圧Vr未満である場合、出力端子からローレベル電圧を出力する。コンパレータ36は、出力回路24からプラス端子に入力された電圧が、マイナス端子に入力されている参照電圧Vr以上である場合、出力端子からハイレベル電圧を出力する。
【0047】
ラッチ部35には、コンパレータ36からローレベル電圧又はハイレベル電圧が入力される。ラッチ部35は、コンパレータ36がローレベル電圧を出力している間、反転器33の入力端子にローレベル電圧を出力する。コンパレータ36が出力している電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、ラッチ部35はハイレベル電圧を反転器33の入力端子に出力する。これ以降、ラッチ部35は、コンパレータ36から入力される電圧に無関係にハイレベル電圧を反転器33の入力端子に出力し続ける。
【0048】
OR回路30の2つの入力端子夫々には、入力電圧検出部21及びAND回路31からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。AND回路31の一方の入力端子には、マイコン26から、ハイレベル電圧及びローレベル電圧によって構成される切替え信号が入力される。制御回路25は入力部として機能する。AND回路31の他方の入力端子には、OR回路30からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。AND回路32の2つの入力端子夫々には、AND回路31及び反転器33からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。充電回路22と、反転器34の入力端子とにはAND回路32からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。放電回路23には反転器34からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。
【0049】
図4は制御回路25の動作を説明するための図表である。
図4には、マイコン26が出力する切替え信号が示す電圧と、入力電圧検出部21及びコンパレータ36が出力する電圧と、AND回路31が出力している出力電圧とが示されている。更に、
図4には、充電回路22及び放電回路23に入力される電圧が示されている。
図4では、ハイレベル電圧を「H」で示し、ローレベル電圧を「L」で示している。
以下の制御回路25の動作の説明では、ラッチ部35がローレベル電圧を出力していることを前提としている。
【0050】
前述したように、マイコン26が出力する切替え信号のハイレベル電圧及びローレベル電圧夫々は、半導体スイッチ20のオン及びオフへの切替えを指示する。入力電圧検出部21がハイレベル電圧を出力していることは、入力電圧が入力電圧閾値以上であることを示し、入力電圧検出部21がローレベル電圧を出力していることは、入力電圧が入力電圧閾値未満であることを示す。
【0051】
コンパレータ36がローレベル電圧を出力していることは、出力回路24が出力した電圧が参照電圧Vr未満であること、即ち、電流経路に流れる電流が所定電流未満であることを示す。コンパレータ36がハイレベル電圧を出力していることは、出力回路24が出力した電圧が参照電圧Vr以上であること、即ち、電流経路に流れる電流が所定電流以上であることを示す。
【0052】
切替え信号がローレベル電圧を示す場合、入力電圧検出部21及びコンパレータ36が出力している電圧、並びに、AND回路31の出力電圧に無関係に、AND回路31,32はローレベル電圧を出力し、反転器34はハイレベル電圧を出力する。このため、充電回路22及び放電回路23夫々にはローレベル電圧及びハイレベル電圧が入力される。この場合、充電回路22は動作を停止し、放電回路23はキャパシタCsに蓄えている電力を放出する。これにより、半導体スイッチ20はオフに切替えられる。
【0053】
切替え信号がハイレベル電圧を示す場合であっても、コンパレータ36がハイレベル電圧を出力したとき、入力電圧検出部21が出力している電圧、及び、AND回路31の出力電圧に無関係に、AND回路32及び反転器34夫々はローレベル電圧及びハイレベル電圧を出力する。コンパレータ36がハイレベル電圧を出力した場合、ラッチ部35が反転器33に出力している電圧はローレベル電圧からハイレベルに切替わる。その後、ラッチ部35は、コンパレータ36が出力している電圧に無関係にハイレベル電圧を反転器33に出力し続ける。このため、コンパレータ36がハイレベル電圧を出力した後、充電回路22及び放電回路23夫々にはローレベル電圧及びハイレベル電圧が入力され続け、半導体スイッチ20はオフに切替えられる。このように、コンパレータ36がハイレベル電圧を出力した場合に半導体スイッチ20はオフに切替えられるので、電流経路に所定電流以上の電流が流れることはなく、過電流が電流経路に流れることが防止される。
【0054】
切替え信号がハイレベル電圧を示している場合において、入力電圧検出部21及びコンパレータ36夫々がハイレベル電圧及びローレベル電圧を出力しているとき、AND回路31の出力電圧に無関係に、AND回路31,32はハイレベル電圧を出力し、反転器34はローレベル電圧を出力する。このため、充電回路22及び放電回路23夫々にはハイレベル電圧及びローレベル電圧が入力される。この場合、充電回路22はキャパシタCsを充電し、放電回路23は動作を停止する。これにより、半導体スイッチ20はオンに切替えられる。制御回路25は駆動部としても機能する。
【0055】
切替え信号がハイレベル電圧を示し、かつ、入力電圧検出部21及びコンパレータ36夫々がローレベル電圧を出力している場合において、AND回路31がローレベル電圧を出力しているとき、即ち、半導体スイッチ20がオフであるとき、OR回路30はローレベル電圧を出力する。これにより、AND回路31,32は共にローレベル電圧を出力し、反転器34はハイレベル電圧を出力する。結果、充電回路22及び放電回路23夫々にはローレベル電圧及びハイレベル電圧が入力され、半導体スイッチ20はオフに維持される。
【0056】
切替え信号がハイレベル電圧を示し、かつ、入力電圧検出部21及びコンパレータ36夫々がローレベル電圧を出力している場合において、AND回路31がハイレベル電圧を出力しているとき、即ち、半導体スイッチ20がオンであるとき、OR回路30はハイレベル電圧を出力する。これにより、AND回路31,32は共にハイレベル電圧を出力し、反転器34はローレベル電圧を出力する。結果、充電回路22及び放電回路23夫々にはハイレベル電圧及びローレベル電圧が入力され、半導体スイッチ20はオンに維持される。
【0057】
図5は給電制御装置11の動作を説明するためのタイミングチャートである。以下に示す給電制御装置11の動作の説明では、電流経路に流れる電流は所定電流未満であり、コンパレータ36及びラッチ部35がローレベル電圧を出力しているとする。以下では、半導体スイッチ20のソースにおける電圧をソース電圧と示す。
【0058】
図5には、切替え信号が示す電圧、入力電圧及びソース電圧夫々の推移が太線で示され、入力電圧閾値Vithの推移が細線で示されている。
図5では、
図4と同様に、ハイレベル電圧が「H」で示され、ローレベル電圧が「L」で示されている。
【0059】
切替え信号が示す電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合において、入力電圧が入力電圧閾値Vith以上であるとき、即ち、入力電圧検出部21がハイレベル電圧を出力しているとき、制御回路25は充電回路22及び放電回路23夫々にハイレベル電圧及びローレベル電圧を出力する。これにより、放電回路23内でダイオードD2のカソードが開放されている状態で、充電回路22はキャパシタCsの充電を開始する。キャパシタCsの両端間の電圧が上昇するにつれて、半導体スイッチ20のドレイン及びソース間の抵抗値が低下し、ソース電圧は入力電圧まで上昇する。半導体スイッチ20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧が所定電圧以上となった場合、半導体スイッチ20はオンに切替わり、ソース電圧は入力電圧と略一致する。
【0060】
前述したように、スタータ13が作動している間、入力電圧は入力電圧閾値Vith未満の電圧に低下し、入力電圧検出部21はローレベル電圧を出力する。AND回路31がハイレベル電圧を出力して制御回路25が充電回路22を駆動している間に、スタータ13が作動して入力電圧検出部21が出力している電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合であっても、AND回路31はハイレベル電圧を出力し続ける。このため、スタータ13が作動している間も制御回路25は充電回路22の駆動を維持する。
【0061】
従って、スタータ13が作動している間、ソース電圧はゼロVを超えており、バッテリ10から負荷12への給電が継続されている。このため、入力電圧の低下によって半導体スイッチ20がオフに切替わることはなく、電流経路を介した負荷12への給電の突然の遮断が防止される。
【0062】
前述したように、充電回路22は、入力電圧から一定電圧を生成し、生成した一定電圧を用いて、入力電圧よりも高い電圧を生成する。入力電圧が入力電圧閾値未満の電圧に低下した場合、入力電圧から一定電圧が生成されず、充電回路22がキャパシタに出力する電圧が低下する虞がある。
【0063】
このように、入力電圧の低下によって充電回路22がキャパシタに出力する電圧が低下した場合であっても、ダイオードD1が設けられているため、キャパシタCsから充電回路22に電流が流れることはない。更に、放電回路23は動作を停止しているため、ダイオードD2のカソードは開放されている。従って、キャパシタCsが放電することはなく、半導体スイッチ20のソースの電位を基準とした半導体スイッチ20のゲートの電圧は維持され、半導体スイッチ20のオンが維持される。
【0064】
スタータ13が動作を停止した場合、半導体スイッチ20はオンに維持されたまま、入力電圧は入力電圧閾値以上の電圧に戻り、ソース電圧も上昇する。
【0065】
図6は、給電制御装置11の他の動作を説明するためのタイミングチャートである。ここでも、コンパレータ36及びラッチ部35がローレベル電圧を出力しているとする。
図6でも、切替え信号が示す電圧、入力電圧及びソース電圧夫々の推移が太線で示され、入力電圧閾値Vithの推移が細線で示されている。また、
図5と同様に、ハイレベル電圧が「H」で示されており、ローレベル電圧が「L」で示されている。
スタータ13が作動して入力電圧が入力電圧閾値Vith未満である状態で切替え信号が示す電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった時点では、AND回路31の出力電圧がローレベル電圧である。このため、制御回路25は、充電回路22及び放電回路23夫々に出力している電圧をローレベル電圧及びハイレベル電圧に維持する。結果、キャパシタCsが充電されることはなく、半導体スイッチ20のオフが維持される。このため、ソース電圧もゼロVに維持されている。
【0066】
スタータ13が動作を停止して入力電圧が入力電圧閾値Vith以上となった場合、入力電圧検出部21が出力している電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わるので、制御回路25から充電回路22及び放電回路23夫々にハイレベル電圧及びローレベル電圧が出力される。これにより、充電回路22はキャパシタCsの充電を開始し、ソース電圧は入力電圧まで上昇し、半導体スイッチ20はオンに切替わる。
【0067】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2における給電制御装置11の要部構成を示すブロック図である。実施の形態2においては、給電制御装置11の構成が異なる。
以下では、実施の形態2について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1と共通しているため、実施の形態1と共通する構成部には実施の形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0068】
実施の形態2における給電制御装置11は、実施の形態1と同様に、半導体スイッチ20、入力電圧検出部21、充電回路22、放電回路23、出力回路24、制御回路25、マイコン26、キャパシタCs及びダイオードD1,D2を有する。これらは実施の形態1と同様に接続されている。半導体スイッチ20のドレイン及びソース夫々も、実施の形態1と同様に、バッテリ10の正極、及び、負荷12の一端に接続されている。
【0069】
実施の形態2における給電制御装置11は両端電圧検出部27を更に有する。両端電圧検出部27は、半導体スイッチ20のドレイン及びソース、並びに、制御回路25に各別に接続されている。入力電圧検出部21、充電回路22、放電回路23、出力回路24及び両端電圧検出部27は更に接地されている。
両端電圧検出部27は、半導体スイッチ20のドレイン及びソース間の電圧(以下では両端電圧という)を検出する。両端電圧検出部27は、検出した両端電圧が、予め設定されている両端電圧閾値以上である場合、ハイレベル電圧を制御回路25に出力する。両端電圧検出部27は、検出した両端電圧が両端電圧閾値未満である場合、ローレベル電圧を制御回路25に出力する。
【0070】
半導体スイッチ20がオンである場合、実施の形態1で述べたように、接地電位を基準とした半導体スイッチ20のドレイン及びソースの電圧は略一致する。このため、両端電圧は略ゼロVであり、両端電圧閾値未満である。
半導体スイッチ20がオフである場合、半導体スイッチ20のドレインの電圧はバッテリ10からドレインに入力される入力電圧であり、かつ、半導体スイッチ20のソースの電圧はゼロVである。このため、両端電圧は入力電圧と略一致し、両端電圧閾値以上である。
【0071】
図8は制御回路25の回路図である。実施の形態2における制御回路25は、実施の形態1と同様に、OR回路30、AND回路31,32、反転器33,34、ラッチ部35及びコンパレータ36を有する。入力電圧検出部21、充電回路22、放電回路23、マイコン26、OR回路30、AND回路31,32、反転器33,34及びラッチ部35は実施の形態1と同様に接続されている。また、実施の形態1と同様に、コンパレータ36のプラス端子は出力回路24の電圧出力端に接続されており、コンパレータ36のマイナス端子には参照電圧Vrが入力されている。
【0072】
実施の形態2における制御回路25は、更に、反転器37、AND回路38,39、OR回路40、フィルタ部41、スイッチ42及び抵抗R1を有する。AND回路38及びOR回路40夫々は、3つの入力端子と、1つの出力端子を有する。AND回路39は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。
【0073】
反転器37の入力端子は入力電圧検出部21に接続されている。両端電圧検出部27、AND回路31の出力端子、及び、反転器37の出力端子夫々はAND回路38の3つの入力端子に接続されている。両端電圧検出部27、及び、AND回路31の出力端子夫々は、AND回路39の2つの入力端子に接続されている。AND回路39の出力端子はフィルタ部41に接続されている。コンパレータ36の出力端子、AND回路38の出力端子、及び、フィルタ部41はOR回路40の3つの入力端子に接続されている。OR回路40の出力端子はラッチ部35に接続されている。
【0074】
スイッチ42の一端には、第2の一定電圧Vaが印加されている。スイッチ42の他端は抵抗R1の一端に接続され、抵抗R1の他端は接地されている。抵抗R1の一端は、更に、出力回路24の電圧出力端に接続されている。
【0075】
OR回路30,40、AND回路31,32,38,39及び反転器33,34,37の入力端子には、ハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。OR回路30,40、AND回路31,32,38,39、反転器33,34,37及びコンパレータ36の出力端子から、ハイレベル電圧又はローレベル電圧が出力される。
【0076】
AND回路38は、3つの入力端子の全てにハイレベル電圧が入力されている場合、出力端子からハイレベル電圧を出力し、3つの入力端子の少なくとも1つにローレベル電圧が入力されている場合、出力端子からローレベル電圧を出力する。反転器37は反転器33,34と同様に作用する。AND回路39はAND回路31,32と同様に作用する。OR回路40は、3つの入力端子の少なくとも1つにハイレベル電圧が入力されている場合、出力端子からハイレベル電圧を出力し、3つの入力端子の全てにローレベル電圧が入力されている場合、出力端子からローレベル電圧を出力する。
【0077】
OR回路30の2つの入力端子夫々には、入力電圧検出部21及びAND回路31からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。AND回路31の一方の入力端子には、マイコン26から切替え信号が入力され、AND回路31の他方の入力端子には、OR回路30からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。反転器37の入力端子には入力電圧検出部21からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。AND回路38の3つの入力端子夫々には、両端電圧検出部27、AND回路31及び反転器37からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。AND回路39の2つの入力端子夫々には、両端電圧検出部27及びAND回路31からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。OR回路40の2つの入力端子夫々には、コンパレータ36及びAND回路38からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。
【0078】
フィルタ部41にはAND回路39からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。
フィルタ部41は、AND回路39が所定時間、連続してハイレベル電圧を出力している場合、ハイレベル電圧をOR回路40の残り1つの入力端子に出力し、AND回路39が所定時間、連続してハイレベル電圧を出力していない場合、ローレベル電圧をOR回路40の残り1つの入力端子に出力する。
【0079】
例えば、フィルタ部41は、周期的に、AND回路39が出力している電圧を検出する。フィルタ部41は、所定回数、連続してハイレベル電圧を検出したときに、ハイレベル電圧をOR回路40の入力端子に出力し、所定回数、連続してハイレベル電圧を検出していないとき、ローレベル電圧をOR回路40の入力端子に出力する。
【0080】
ラッチ部35には、OR回路40からローレベル電圧又はハイレベル電圧が入力される。ラッチ部35は、OR回路40からローレベル電圧を出力している間、反転器33の入力端子にローレベル電圧を出力する。OR回路40が出力している電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、ラッチ部35はハイレベル電圧を反転器33の入力端子に出力する。これ以降、ラッチ部35は、OR回路40から入力される電圧に無関係にハイレベル電圧を反転器33の入力端子に出力し続ける。
【0081】
AND回路32の2つの入力端子夫々には、AND回路31及び反転器33からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。充電回路22と、反転器34の入力端子とには、AND回路32からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。放電回路23には反転器34からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力される。
【0082】
スイッチ42は、ラッチ部35がローレベル電圧を出力している間、オフである。スイッチ42がオフである場合、マイコン26と、コンパレータ36のマイナス端子とには、出力回路24が出力した所定範囲内の電圧が入力される。スイッチ42は、ラッチ部35がハイレベル電圧を出力した場合、オンに切替わる。第2の一定電圧Vaは出力回路24が出力する電圧の上限電圧を超えている。このため、スイッチ42がオンである場合、マイコン26と、コンパレータ36のプラス端子とには、前述した所定範囲外の電圧である第2の一定電圧Vaが入力される。第2の一定電圧Vaは参照電圧Vrを超えているので、スイッチ42がオンである場合、コンパレータ36はハイレベル電圧を出力する。
【0083】
図9は制御回路25の動作を説明するための図表である。
図9には、マイコン26が出力する切替え信号が示す電圧と、入力電圧検出部21、コンパレータ36、両端電圧検出部27及びフィルタ部41が出力する電圧と、AND回路31の出力電圧とが示されている。更に、
図9には、ラッチ部35、充電回路22及び放電回路23に入力される電圧が示されている。
図9でも、ハイレベル電圧を「H」で示し、ローレベル電圧を「L」で示している。
以下の制御回路25の動作の説明では、ラッチ部35がローレベル電圧を出力していることを前提としている。
【0084】
切替え信号がローレベル電圧を示す場合、入力電圧検出部21、コンパレータ36、両端電圧検出部27及びフィルタ部41が出力している電圧、並びに、AND回路31の出力電圧に無関係に、AND回路31,32はローレベル電圧を出力し、反転器34はハイレベル電圧を出力する。このため、充電回路22及び放電回路23夫々にはローレベル電圧及びハイレベル電圧が入力され、半導体スイッチ20はオフに切替えられる。ラッチ部35に入力される電圧は、入力電圧検出部21、両端電圧検出部27、コンパレータ36及びフィルタ部41が出力している電圧と、AND回路31の出力電圧とに依存する。
【0085】
切替え信号がハイレベル電圧を示す場合であっても、コンパレータ36がハイレベル電圧を出力しているとき、入力電圧検出部21、両端電圧検出部27及びフィルタ部41が出力する電圧、並びに、AND回路31の出力電圧に無関係に、OR回路40はハイレベル電圧を出力し、ラッチ部35に入力されている電圧がハイレベル電圧に切替わる。これにより、ラッチ部35はハイレベル電圧を出力するので、AND回路32はローレベル電圧を出力し、反転器34はハイレベル電圧を出力する。このため、充電回路22及び放電回路23夫々にはローレベル電圧及びハイレベル電圧が入力され、半導体スイッチ20はオフに切替えられる。OR回路40が出力している電圧がハイレベル電圧に切替わった後、ラッチ部35は、OR回路40から入力される電圧に無関係にハイレベル電圧を出力し続けるので、半導体スイッチ20はオフに維持される。
【0086】
ラッチ部35がハイレベル電圧を出力した場合、マイコン26には第2の一定電圧Vaが入力され、マイコン26に異常が通知される。マイコン26は、第2の一定電圧Vaが入力された場合、例えば、電線温度の演算を停止し、図示しないランプの点灯又は図示しない表示部へのメッセージの表示を行うことによって異常をユーザに報知する。
【0087】
切替え信号が示す電圧、入力電圧検出部21が出力した電圧、並びに、両端電圧検出部27が出力している電圧がハイレベル電圧である場合において、コンパレータ36及びフィルタ部41がローレベル電圧を出力しているとき、AND回路31の出力電圧とは無関係に、AND回路32はハイレベル電圧を出力し、反転器34はローレベル電圧を出力する。このため、充電回路22及び放電回路23夫々にはハイレベル電圧及びローレベル電圧が入力され、半導体スイッチ20はオンに切替えられる。入力電圧検出部21及びフィルタ部41夫々がハイレベル電圧及びローレベル電圧を出力しているので、ラッチ部35に入力される電圧はローレベル電圧であり、ラッチ部35はローレベル電圧を出力し続ける。
【0088】
しかしながら、このような状態で、ソース電圧が上昇することなく、両端電圧検出部27がハイレベル電圧を所定時間、連続して出力し続けた場合、フィルタ部41が出力している電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わり、ラッチ部35の入力電圧がハイレベル電圧に切替わる。これにより、ラッチ部35はハイレベル電圧を出力するので、AND回路32はローレベル電圧を出力し、反転器34はハイレベル電圧を出力する。このため、充電回路22及び放電回路23夫々にはローレベル電圧及びハイレベル電圧が入力され、半導体スイッチ20はオフに切替えられる。OR回路40が出力している電圧がハイレベル電圧に切替わった後、ラッチ部35は、OR回路40から入力される電圧に無関係にハイレベル電圧を出力し続けるので、半導体スイッチ20はオフに維持される。
前述したように、ラッチ部35がハイレベル電圧を出力した場合、スイッチ42がオンに切替わって、第2の一定電圧Vaがマイコン26に入力され、マイコン26に異常が通知される。
【0089】
放電回路23が動作を停止している状態で充電回路22が作動しているにもかかわらず、半導体スイッチ20の両端電圧が両端電圧閾値Vith以上であることは、充電回路の故障、又は、充電回路22及びキャパシタCs間の断線等の異常が発生していることを意味する。
【0090】
切替え信号が示す電圧及び入力電圧検出部21が出力した電圧がハイレベル電圧であり、かつ、両端電圧検出部27及びコンパレータ36が出力している電圧がローレベル電圧である場合、AND回路31の出力電圧に無関係に、フィルタ部41はローレベル電圧を出力し、ラッチ部35にはローレベル電圧が入力される。AND回路31及びラッチ部35夫々はハイレベル電圧及びローレベル電圧を出力するので、AND回路32及び反転器34夫々はハイレベル電圧及びローレベル電圧を出力する。このため、充電回路22及び放電回路23夫々にはハイレベル電圧及びローレベル電圧が入力され、半導体スイッチ20はオンに切替わる。
【0091】
切替え信号が示す電圧、及び、AND回路
31の出力電圧がハイレベル電圧であり、かつ、コンパレータ36が出力している電圧がローレベル電圧である場合であっても、入力電圧検出部21及び両端電圧検出部27夫々が出力している電圧がローレベル電圧及びハイレベル電圧であるとき、フィルタ部41が出力している電圧に無関係にラッチ部35にハイレベル電圧が入力される。これにより、ラッチ部35はハイレベル電圧を出力し、AND回路32及び反転器34夫々はローレベル電圧及びハイレベル電圧を出力する。これにより、充電回路22及び放電回路23夫々にはローレベル電圧及びハイレベル電圧が入力され、半導体スイッチ20がオフに切替えられる。OR回路40が出力している電圧がハイレベル電圧に切替わった後、ラッチ部35は、OR回路40から入力される電圧に無関係にハイレベル電圧を出力し続けるので、半導体スイッチ20はオフに維持される。
【0092】
ここで示した状態は、半導体スイッチ20がオンであるにも関わらず、入力電圧が入力電圧閾値未満であり、かつ、半導体スイッチ20の両端電圧が両端電圧閾値以上である状態である。出力回路24は、実施の形態1で述べたように、入力電圧から制御回路25及びマイコン26に出力する電圧を生成する。このため、出力回路24は入力電圧を超える電圧を生成することはできない。従って、入力電圧が入力電圧閾値未満である場合、電流経路に所定電流以上の電流が流れているにも関わらず、出力回路24が参照電圧Vr未満の電圧を出力している虞がある。
【0093】
このため、入力電圧が入力電圧閾値未満であり、かつ、半導体スイッチ20の両端電圧が両端電圧閾値以上である場合、半導体スイッチ20のソースが接地している可能性があるとして、半導体スイッチ20をオフに切替える。前述したように、ラッチ部35がハイレベル電圧を出力した場合、スイッチ42がオンに切替わって、第2の一定電圧Vaがマイコン26に入力され、マイコン26に異常が通知される。
【0094】
両端電圧検出部27及びコンパレータ36がローレベル電圧を出力している場合、フィルタ部41はローレベル電圧を出力し、ラッチ部35にはローレベル電圧が入力される。従って、両端電圧検出部27及びコンパレータ36がローレベル電圧を出力している場合、ラッチ部35は、ハイレベル電圧に切替わっていない限り、ローレベル電圧を出力し続けている。
【0095】
切替え信号が示す電圧がハイレベル電圧である状態で入力電圧検出部21がローレベル電圧を出力している場合であっても、AND回路31の出力電圧がハイレベル電圧であり、かつ、両端電圧検出部27及びコンパレータ36が出力している電圧がローレベル電圧であるとき、AND回路32及び反転器34はハイレベル電圧及びローレベル電圧を出力する。これにより、充電回路22及び放電回路23夫々にはハイレベル電圧及びローレベル電圧が入力され、半導体スイッチ20はオンに切替えられる。
【0096】
切替え信号がハイレベル電圧を示し、かつ、入力電圧検出部21及びコンパレータ36夫々がローレベル電圧を出力している場合において、AND回路31がローレベル電圧を出力しているとき、即ち、半導体スイッチ20がオフであるとき、OR回路30はローレベル電圧を出力する。これにより、AND回路31,32は共にローレベル電圧を出力し、反転器34はハイレベル電圧を出力する。結果、充電回路22及び放電回路23夫々にはローレベル電圧及びハイレベル電圧が入力され、半導体スイッチ20はオフに維持される。
【0097】
実施の形態2における給電制御装置11においても、半導体スイッチ20の両端電圧が両端電圧閾値未満であれば、半導体スイッチ20がオンである状態でスタータ13が作動して入力電圧が入力電圧閾値未満に低下した場合であっても、半導体スイッチ20はオンに維持される。言い換えると、スタータ13の作動によって、状態が
図9の上から5番目の状態から
図9の上から7番目の状態に遷移した場合であっても、半導体スイッチ20はオンに維持される。更に、入力電圧が入力電圧閾値未満である状態で、切替え信号が示す電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、AND回路31の出力電圧がローレベル電圧であるため、半導体スイッチ20は、オフからオンに切替わることなく、オフに維持される。
【0098】
図10は、給電制御装置11の動作を説明するためのタイミングチャートである。以下に示す給電制御装置11の動作の説明では、コンパレータ36及びラッチ部35がローレベル電圧を出力しており、バッテリ10が劣化しているとする。バッテリ10が劣化した場合、バッテリ10の内部抵抗の抵抗値が上昇し、内部抵抗での電圧降下の幅が大きい。このため、スタータ13が作動していない場合であっても、半導体スイッチ20がオフからオンに切替わったときにバッテリ10から半導体スイッチ20のドレインに入力される入力電圧は入力電圧閾値未満の電圧に低下する。また、給電制御装置11の動作の説明では、スタータ13が作動することはないとする。
【0099】
図10には、切替え信号、入力電圧、ソース電圧、両端電圧検出部27が出力している電圧、及び、ラッチ部35が出力している電圧夫々の推移が太線で示されている。また、入力電圧閾値Vith及びソース電圧閾値Vsth夫々の推移が細線で示されている。ソース電圧閾値Vsthは、両端電圧が両端電圧閾値以上であるか否かを判定するための閾値である。ソース電圧がソース電圧閾値Vsthを超えている場合、両端電圧は両端電圧閾値未満であり、ソース電圧がソース電圧閾値Vsth以下である場合、両端電圧は両端電圧閾値以上である。ソース電圧閾値Vsthは入力電圧よりも、予め設定されている基準電圧、例えば1Vだけ低い電圧である。
図10でも、
図9と同様に、ハイレベル電圧が「H」で示され、ローレベル電圧が「L」で示されている。
【0100】
切替え信号がローレベル電圧を示す場合、半導体スイッチ20はオフである。スタータ13は作動していないため、入力電圧は入力電圧閾値Vith以上であり、ソース電圧はゼロVである。このため、ソース電圧はソース電圧閾値Vsth以下であり、両端電圧検出部27はハイレベル電圧を出力している。
【0101】
切替え信号が示す電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、両端電圧検出部27がハイレベル電圧を出力しているが、入力電圧検出部21はハイレベル電圧を出力しており、かつ、フィルタ部41に連続してハイレベル電圧が入力されている時間が所定時間未満である。このため、半導体スイッチ20をオンに切替えるべく、放電回路23が動作を停止している状態で充電回路22がキャパシタCsの充電を開始する。
【0102】
充電回路22の充電によってキャパシタCsの両端間の電圧が上昇するにつれて、半導体スイッチ20のドレイン及びソース間の抵抗値が低下し、半導体スイッチ20を介してバッテリ10から負荷12に電流が流れる。これにより、ソース電圧は上昇する。また、バッテリ10から負荷12に流れる電流の上昇に伴って、バッテリ10の内部抵抗における電圧降下の幅が上昇し、入力電圧も低下する。ここで、内部抵抗の抵抗値が大きいため、入力電圧は大きく低下する。
【0103】
半導体スイッチ20のソースが接地している場合、入力電圧が入力電圧閾値Vith未満となった時点で、ソース電圧はソース電圧閾値Vsth未満であり、両端電圧検出部27はハイレベル電圧を出力している。この場合、ラッチ部35はハイレベル電圧を出力する。これにより、充電回路22は動作を停止し、かつ、放電回路23はキャパシタCsに蓄えている電力を放出するため、半導体スイッチ20はオフに切替えられる。
【0104】
放電回路23の放電によってキャパシタCsの両端間の電圧が低下するにつれて、半導体スイッチ20のドレイン及びソース間の抵抗値が上昇し、バッテリ10から負荷12に流れる電流が低下する。これにより、入力電圧が上昇し、ソース電圧は低下する。半導体スイッチ20がオフに切替えられたことによって、入力電圧が入力電圧閾値Vith以上の電圧に戻るが、ラッチ部35がハイレベル電圧を出力し続けているため、半導体スイッチ20のオフが維持される。
【0105】
なお、切替え信号が示す電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わってから所定時間が経過した時点でフィルタ部41が出力している電圧もローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わる。
また、バッテリ10の内部抵抗が上昇した場合だけではなく、バッテリ10の正極及び半導体スイッチ20のドレイン間の電線の抵抗値が上昇した場合においても、半導体スイッチ20のソースが接地しているとき、入力電圧及びソース電圧は同様に推移し、半導体スイッチ20がオフに切替わる。
【0106】
半導体スイッチ20をオンに切替えるべく、充電回路22がキャパシタCsの充電を開始した時点においては、当然のことながら、ソース電圧はソース電圧閾値Vsth未満である。このため、フィルタ部41の作用に係る所定時間は、半導体スイッチ20のソースが接地されていない状態で、充電回路22が充電を開始してからソース電圧がソース電圧閾値Vsthに到達するまでの時間以上に設定される。
【0107】
以上のように、制御回路25は、充電回路22を駆動している場合において、入力電圧検出部21がローレベル電圧を出力し、かつ、両端電圧検出部27がハイレベル電圧を出力したとき、充電回路22の動作を停止させ、放電回路23を駆動する。このため、入力電圧が低いためにコンパレータ36が正常に機能していない場合であっても、半導体スイッチ20のソースの接地に起因して過電流が半導体スイッチ20に流れることが防止される。
【0108】
図11は、給電制御装置11の他の動作を説明するためのタイミングチャートである。以下に示す給電制御装置11の動作の説明では、コンパレータ36及びラッチ部35がローレベル電圧を出力しており、スタータ13が作動することはないとする。
【0109】
図11でも、
図10と同様に、切替え信号、入力電圧、ソース電圧、両端電圧検出部27が出力している電圧、及び、ラッチ部35が出力している電圧夫々の推移が太線で示されている。また、入力電圧閾値Vith及びソース電圧閾値Vsth夫々の推移が細線で示されている。更に、
図10と同様に、ハイレベル電圧が「H」で示されており、ローレベル電圧が「L」で示されている。
【0110】
切替え信号がローレベル電圧を示す場合、半導体スイッチ20はオフである。スタータ13は作動していないため、入力電圧は入力電圧閾値Vith以上であり、ソース電圧はゼロVである。このため、ソース電圧はソース電圧閾値Vsth以下であり、両端電圧検出部27はハイレベル電圧を出力している。ラッチ部35はローレベル電圧を出力しているとする。
【0111】
切替え信号が示す電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、両端電圧検出部27がハイレベル電圧を出力しているが、入力電圧検出部21はハイレベル電圧を出力しており、かつ、フィルタ部41に連続してハイレベル電圧が入力されている時間が所定時間未満である。このため、半導体スイッチ20をオンに切替えるべく、放電回路23が動作を停止している状態で充電回路22がキャパシタCsの充電を開始する。
【0112】
例えば、充電回路22が故障しているために、切替え信号が示す電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わってから、所定時間が経過した場合であっても、ソース電圧がソース電圧閾値Vsthを超えなかったとき、フィルタ部41がハイレベル電圧を出力し、ラッチ部35はハイレベル電圧を出力する。これにより、充電回路22は動作を停止し、かつ、放電回路23はキャパシタCsに蓄えている電力を放出するため、半導体スイッチ20はオフに切替えられる。OR回路40が出力している電圧がハイレベル電圧に切替わった後、ラッチ部35は、OR回路40から入力される電圧に無関係に、ハイレベル電圧を出力し続け、半導体スイッチ20をオフに維持する。半導体スイッチ20がオフに切替えられた場合、ソース電圧はゼロVに戻る。
【0113】
以上のように、制御回路25は、充電回路22を駆動している場合において、両端電圧検出部27がハイレベル電圧を出力している状態が所定時間以上続いたとき、充電回路22の動作を停止させ、放電回路23を駆動する。従って、故障のため、半導体スイッチ20をオンに切替えることができない場合には、バッテリ10から負荷12への電流経路を介した給電を停止し、無駄な電力消費が防止される。制御回路25からマイコン26に第2の一定電圧Vaが入力された場合にマイコン26が電線温度の演算を停止する構成では、更に、無駄な電力消費が防止される。
【0114】
また、ラッチ部35がハイレベル電圧を出力することによって、制御回路25が充電回路22の動作を停止させて放電回路23を駆動した場合、スイッチ42をオンに切替えることによって、出力回路24が電圧を出力する電圧出力端の電圧を所定範囲外の電圧に調整する。これにより、マイコン26に、電流経路を介した給電を正常に行うことができない旨を通知することができる。制御回路25は調整部としても機能する。
【0115】
なお、実施の形態1,2において、半導体スイッチ20は、Nチャネル型のFETに限定されず、NPN型のバイポーラトランジスタであってもよい。この場合、半導体スイッチ20のドレイン、ソース及びゲートがバイポーラトランジスタのコレクタ、エミッタ及びベースに対応する。また、キャパシタCsの接続先は、半導体スイッチ20のドレイン及びゲート間に限定されない。キャパシタCsは、一端がゲートに接続されているキャパシタであればよいので、例えば、半導体スイッチ20のゲート及びソース間に接続されるキャパシタであってもよい。キャパシタCsの一端がゲートに接続していれば、放電回路23が動作を停止している状態で充電回路22がキャパシタCsを充電することによって、半導体スイッチ20のソースの電位を基準とした半導体スイッチ20のゲートの電圧が上昇し、半導体スイッチ20がオンに切替わる。また、充電回路22が動作を停止している状態で放電回路23がキャパシタCsの放電を行うことによって、半導体スイッチ20のソースの電位を基準とした半導体スイッチ20のゲートの電圧が低下し、半導体スイッチ20が
オフに切替わる。充電回路22及び放電回路23が動作を停止している場合、キャパシタCsの両端間の電圧は維持される。
【0116】
開示された実施の形態1,2は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。