(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1本体部と、前記第1本体部の内部に支持され、第1の一方の開口から、第1相手側端子が挿入される第1の他方の開口に向けて延在し、前記第1相手側端子が当接する第1接触部及び前記第1接触部が設けられている第1先端部を有する導電性の第1接触板と、を備える第1端子と、
前記第1本体部と異なる第2本体部と、前記第2本体部の内部に支持され、第2の一方の開口から、第2相手側端子が挿入される第2の他方の開口に向けて延在し、前記第2相手側端子が当接する第2接触部及び前記第2接触部が設けられている第2先端部を有する導電性の第2接触板と、を備える第2端子と、を有し、
前記第1の他方の開口から前記第1接触部までの第1寸法は、前記第2の他方の開口から前記第2接触部までの第2寸法よりも短く、
前記第1端子及び前記第2端子は、前記第1先端部及び前記第2先端部以外の形状が同じ形状となるように形成されている、コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のメスコネクタは、ハウジングと、ハウジングに収容された電源端子及びアース端子とを有する。このアース端子は、その先端が、電源端子の先端よりも長くなるように形成されて、ハウジングの内部に配置されている。これにより、アース端子の先端の長さの分だけ、ハウジングのサイズを大きく(長く)する必要がある。結果として、特許文献1に記載の構造では、コネクタ全体が大きくなるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、FMLB構造を備えつつ、コネクタ及びコネクタユニットの大型化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るコネクタは、
第1本体部と、前記第1本体部の内部に支持され、第1の一方の開口から、第1相手側端子が挿入される第1の他方の開口に向けて延在し、前記第1相手側端子が当接する第1接触部
及び前記第1接触部が設けられている第1先端部を有する導電性の第1接触板と、を備える第1端子と、
前記第1本体部と異なる第2本体部と、前記第2本体部の内部に支持され、第2の一方の開口から、第2相手側端子が挿入される第2の他方の開口に向けて延在し、前記第2相手側端子が当接する第2接触部
及び前記第2接触部が設けられている第2先端部を有する導電性の第2接触板と、を備える第2端子と、を有し、
前記第1の他方の開口から前記第1接触部までの第1寸法は、前記第2の他方の開口から前記第2接触部までの第2寸法よりも短
く、
前記第1端子及び前記第2端子は、前記第1先端部及び前記第2先端部以外の形状が同じ形状となるように形成されている。
【0007】
前記第1接触板の延在する方向は、前記第2接触板の延在する方向に平行であり、
前記第1本体部の前記第1の他方の開口と、前記第2本体部の前記第2の他方の開口とは、前記第1接触板の延在する方向に直交する面上に設けられてもよい。
【0009】
前記第1端子は、
前記第1接触板に向かってアーチ状に突出し、前記第1接触板に対向するアーチ状接触板を、さらに備え、
前記第1接触板は、その先端が前記アーチ状接触板に向かって湾曲して、さらに、湾曲する側とは反対側に折れ曲がる形状を備えてもよい。
【0010】
前記第1接触板と前記第1本体部とは、単一の部材から構成されていてもよい。
【0011】
前記第1接触板は、前記第1本体部とは別の部材から構成されていてもよい。
【0012】
前記第1端子を収容する第1端子収容部と、前記第2端子を収容する第2端子収容部と、を備え、絶縁性の素材からなるハウジングを有していてもよい。
【0013】
本発明の第2の観点に係るコネクタユニットは、
第1の観点に係るコネクタと、
導電性の素材からなる前記第1相手側端子及び前記第2相手側端
子を備え、前記コネクタに嵌合する相手側コネクタと、を有し、
前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合の進行に伴って、前記第1相手側端子が前記第1接触部に当接してから、前記第2相手側端子が前記第2接触部に当接するように構成されている。
前記相手側コネクタは、前記第1相手側端子及び前記第2相手側端子を突出させて支持する、絶縁性の素材からなる相手側ハウジングを備え、
前記第2相手側端子の突出する部分の長さから、前記第1相手側端子の突出する部分の長さを減じた値は、前記第2寸法から前記第1寸法を減じた値よりも小さくてもよい。
【0014】
本発明の第3の観点に係るコネクタの製造方法は、
第1本体部と、前記第1本体部の内部に支持され、第1の一方の開口から、第1相手側端子が挿入される第1の他方の開口に向けて延在し、前記第1相手側端子が当接する第1接触部及び前記第1接触部が設けられている第1先端部を有する導電性の第1接触板と、を備える第1端子と、前記第1本体部と異なる第2本体部と、前記第2本体部の内部に支持され、第2の一方の開口から、第2相手側端子が挿入される第2の他方の開口に向けて延在し、前記第2相手側端子が当接する第2接触部及び前記第2接触部が設けられている第2先端部を有する導電性の第2接触板と、を備える第2端子と、を有するコネクタの製造方法であって、
前記第2接触板と同形状の接触板を準備する工程と、
前記同形状の接触板に加工を施して、前記第1の他方の開口から前記第1接触部までの第1寸法を前記第2の他方の開口から前記第2接触部までの第2寸法よりも短くすると共に、前記第1先端部及び前記第2先端部以外の形状が前記第2端子と同じ形状となるように、前記同形状の接触板から前記第1接触板を形成する工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るコネクタでは、第1端子の第1寸法を、第2端子の第2寸法よりも短くすると共に、第1端子をアース端子として機能させることにより、第1端子の全体の長さを長くすることなく、FMLB構造を備えることが可能になる。この結果、FMLB構造を備えつつ、コネクタ及びコネクタユニットの大型化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るコネクタユニット10及びコネクタ30について、
図1〜20を用いて説明する。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。本実施形態においては、Y軸方向は、コネクタ30を嵌合させるときに、相手側コネクタ20に対して移動させる嵌合方向D1に平行である。XZ平面は、嵌合方向D1に直交する面である。
【0018】
コネクタユニット10は、例えば、自動車に装備される電子回路部品同士の接続に用いられる。コネクタユニット10は、
図1に示すように、相手側コネクタ20と、コネクタ30とを有する。
【0019】
相手側コネクタ20は、コネクタ30に嵌合する。この相手側コネクタ20は、本実施形態においては、オスコネクタから構成されている。相手側コネクタ20は、
図2及び
図3に示すように、絶縁性の素材からなる相手側ハウジング21と、2本の相手側接地端子25及び14本の相手側信号端子26とを有する。
【0020】
相手側ハウジング21は、+Y方向に開口する嵌合穴22が形成された略箱形状の部材である。相手側ハウジング21の嵌合穴22には、コネクタ30が挿入される。相手側ハウジング21の天井壁部23の+Y側近傍には、係止部24が形成されている。係止部24には、
図3に示すように、Y軸方向に対して傾斜する傾斜面と、Y軸方向に対して直交する面にほぼ平行な係止面と、が形成されている。
【0021】
相手側接地端子25及び相手側信号端子26は、導電性の素材からなる。相手側接地端子25及び相手側信号端子26は、オス端子から構成されている。本実施形態では、相手側接地端子25と相手側信号端子26とは、同サイズ及び同形状に形成されている。相手側接地端子25及び相手側信号端子26には、+Y側の端部25a,26a及び−Y側の端部25b,26bが相手側ハウジング21から突出して形成されている。+Y側の端部25a,26aは、相手側ハウジング21の内部の空間に突出している。相手側接地端子25の突出する部分の長さL
P1は、相手側信号端子26の突出する部分の長さL
P2と、等しい。−Y側の端部25b,26bは、相手側ハウジング21の−Y側の後端面から露出し、略S字状に湾曲し、−Y方向に平行に突出して形成されている。端部25b,26bは、配線基板Sに半田付けされる外部リード部として用いられる。
【0022】
コネクタ30は、
図3に示すように、本実施形態においては、ワイヤWが接続される。コネクタ30は、樹脂からなるハウジング31と、2本の接地端子40(第1端子)と、14本の信号端子50(第2端子)とを有する。なお、本実施形態では、コネクタ30の端子は、接地のための接地端子40と、信号を伝送するための信号端子50とから構成されている。しかしながら、これに限られない。コネクタ30は、接地端子40を有さず、信号端子50のみから構成されていてもよいし、別の用途の端子、例えば、電力を供給するための端子から構成されていてもよい。
【0023】
ハウジング31は、Y軸方向を長手方向とする略直方体形状に形成されている。ハウジング31は、アーム部32と、アーム部32に設けられた被係止部33と、接地端子40及び信号端子50を挿入する挿入口34と、係止解除部36とが形成されている。
【0024】
アーム部32は、ハウジング31の長手方向であるY軸方向に延設し、且つ、+Z方向に突出して設けられている。アーム部32は、相手側コネクタ20とコネクタ30との嵌合の進行に伴って、撓むように設けられている。
【0025】
被係止部33は、相手側コネクタ20とコネクタ30とが嵌合した時に、係止部24が係止する係止対象である。被係止部33は、係止部24の傾斜面と同等の傾斜角度の傾斜面と、XY平面にほぼ平行な平坦面と、XZ平面にほぼ平行な被係止面と、が形成されている。
【0026】
挿入口34は、ハウジング31の後端面(+Y側の端面)に形成されている。挿入口34は、接地端子40及び信号端子50の合計本数に合わせて、16箇所に形成されている。一つの挿入口34は、ハウジング31の内部に形成された複数の端子収容室35のうちの一つに通じている。
【0027】
図4(A)及び(B)のハウジング31の先端側から視た正面図に示すように、ハウジング31には、8列2段の合計16室の端子収容室35が、形成されている。16室の端子収容室35は、全て同サイズ及び同形状に形成されている。上段中央近傍の2室の端子収容室35(第1端子収容部)には、接地端子40が収容される。それ以外の端子収容室35(第2端子収容部)には、信号端子50が収容される。下段の端子収容室35に収容されている信号端子50は、上段の端子収容室35に収容されている接地端子40及び信号端子50と、上下が逆となるように配置されている。詳しくは、下段に収容された信号端子50の後述する本体部51の底板が、上段に収容された接地端子40の後述する本体部41の底板41−2、及び上段に収容された信号端子50の本体部51の底板に対向するように、下段に収容された信号端子50は、端子収容室35に組み込まれている。
【0028】
接地端子40は、銅、銅合金等の導電性の板材を曲げ加工することにより形成されている。接地端子40は、
図5(A)及び(B)に示すように、メス端子から構成されている。接地端子40は、本体部41(第1本体部)と、弾性接触板42(第1接触板)と、アーチ状接触板43と、導体かしめ部44と、被覆固定部45とを備える。本実施形態では、本体部41,弾性接触板42,導体かしめ部44,及び被覆固定部45は、単一の板材を曲げ加工することにより構成され、アーチ状接触板43は、別の単一の板材を曲げ加工することにより構成されている。
【0029】
本体部41は、
図5(B)及び
図6(A)に示すように、+Y側の開口41a(第1の一方の開口)と−Y側の開口41b(第1の他方の開口)との両開口を備える、天板41−1,底板41−2,一対の側板41R,41Lからなる略角筒状に形成されている。
図6(B)に示すように、−Y側の開口41bは、相手側接地端子25が挿入される開口として構成されている。
【0030】
弾性接触板42は、
図6(B)に示すように、本体部41の天板41−1に対向して、本体部41の内部に支持されている。弾性接触板42は、本体部41の開口41aから開口41bに向けて、−Y方向に延在している。
【0031】
具体的には、弾性接触板42は、
図7及び
図8(A)、(B)に示すように、基部42aと、接触板本体部42bと、中央先端部60と、一対の両側先端部70R,70Lと、相手側接地端子25と当接する部位である接触部C1(第1接触部)とを有する。なお、
図8(B)は、理解を容易にするために、天板41−1の一部を省略して示されている。
【0032】
基部42aは、
図8(A)及び(B)に示すように、本体部41の側板41Rから延びて、天板41−1の下面(−Z側の面)に重なって配置されている。基部42aは、XY平面に平行な面を有する板状に形成されている。
【0033】
接触板本体部42bは、基部42aから−Y方向に延びている。接触板本体部42bは、基部42aよりも下方にオフセットされているXY平面に平行な面を有する板状に形成されている。接触板本体部42bからは、中央先端部60と一対の両側先端部70R,70Lとが延びている。
【0034】
中央先端部60は、下側に湾曲する第1延在部61と、下側から上側に向かうように折れ曲がる第2延在部62とから構成されている。第2延在部62の下面には、相手側接地端子25と当接する部位である接触部C1が設けられている。
【0035】
両側先端部70R,70Lは、中央先端部60の両側に形成されている。両側先端部70Lは、XY平面に対して傾斜する傾斜部71と、XY平面に対して平行な平行部72とを有する。平行部72は、天板41−1の下面(−Z側の面)に重なって配置されている。同様に、両側先端部70Rにも、XY平面に対して傾斜する傾斜部と、XY平面に対して平行な平行部とを有する。両側先端部70Rの平行部は、天板41−1の下面(−Z側の面)に重なって配置されている。両側先端部70Lは、両側先端部70Rと、YZ平面に対称の形状に形成されている。
【0036】
上述のように構成された弾性接触板42は、例えば、
図9に示すように作成する。
【0037】
先ず、弾性接触板42を作成する作業者は、
図9(A)に示すように、中央先端部60が形成されていない接触板142を準備する。この接触板142は、後述する信号端子50の接触板52と同等のサイズ、形状のものである。続いて、作業者は、接触板142に、切れ目142aを形成する。このとき、両側先端部70R,70Lが形成される。そして、中央の先端部160に曲げ加工を施して、
図9(B)に示すように、中央先端部60を形成する。以上により、中央先端部60を有する弾性接触板42が完成する。
信号端子50の接触板52と同等の接触板142に加工を施すことにより、中央先端部60を有する弾性接触板42が容易に得られるため、従来の形状の端子を流用することができると共に、コネクタ30の製造に係るコストを抑制することができる。
なお、
図9では、両側先端部70R,70Lの形成後に、中央先端部60を形成しているが、これに限らない。弾性接触板42の形状が形成できれば、平板状の接触板142に切れ目142aを形成した後に、両側先端部70R,70Lと中央先端部60とを同時に形成してもよい。これ以外の方法であってもよい。
【0038】
アーチ状接触板43は、弾性を有する板バネ部材であり、
図5に示すように、本体部41に挿入された相手側接地端子25を+Z方向に押圧すると共に電気的に接触する。アーチ状接触板43は、本体部41の底板に重ね合わさるように、本体部41の内部に支持されている。アーチ状接触板43は、本体部41の開口41bから開口41aに向けて延在している。アーチ状接触板43は、弾性接触板42に向かってアーチ状に突出し、弾性接触板42に対向している。
【0039】
導体かしめ部44と被覆固定部45とは、ワイヤWをかしめるためのワイヤかしめ部を構成する。導体かしめ部44は、かしめにより、ワイヤWの絶縁被覆線における芯線の先端部に圧着され、電気的に接続される。被覆固定部45は、かしめにより、ワイヤWの絶縁被覆線の端部を押さえて、引き抜き力から導体かしめ部44と芯線との接続を保護する。導体かしめ部44及び被覆固定部45と本体部41とが一体に形成されていることから、導体かしめ部44に圧着された芯線と本体部41に挿入された相手側接地端子25とが電気的に接続される。
【0040】
信号端子50は、
図10(A)及び
図10(B)に示すように、本実施形態では、接地端子40の弾性接触板42とは先端形状が相違する端子である。信号端子50は、銅、銅合金等の導電性の板材を曲げ加工することにより形成されている。信号端子50は、接地端子40と同様に、メス端子から構成されている。信号端子50は、本体部51(第2本体部)と、接触板52(第2接触板)と、アーチ状接触板53と、導体かしめ部54と、被覆固定部55とを備える。本実施形態では、本体部51,接触板52,導体かしめ部54,及び被覆固定部55は、単一の板材を曲げ加工することにより構成され、アーチ状接触板53は、別の単一の板材を曲げ加工することにより構成されている。
【0041】
本体部51は、接地端子40の本体部41と同等の部材である。本体部51は、+Y側の開口51a(第2の一方の開口)と−Y側の開口51b(第2の他方の開口)とを備える、天板,底板,一対の側板からなる略角筒状に形成されている。−Y側の開口51bは、相手側信号端子26が挿入される開口として構成されている。また、開口51bは、
図10(C)に示すように、接地端子40の本体部41の開口41bと共に、Y軸方向に直交する面S1上に設けられている。
【0042】
図10(A)及び
図10(B)に示すように、接触板52は、本体部51の天板に重ね合わせられた第1板部52a及び第3板部52cと、本体部51の天板から離れて配置された第2板部52bとを有し、本体部51の内部に支持されている。接触板52は、本体部51の開口51aから開口51bに向けて、第3板部52c,第2板部52b及び第1板部52aの順に延在している。なお、
図10(C)に示すように、接触板52の延在方向D
E2は、Y軸方向に平行であると共に、接地端子40の弾性接触板42の延在方向D
E1とも平行である。また、
図10(B)に示すように、接触板52は、本体部51の開口51bから挿入された相手側信号端子26と当接する接触部C2(第2接触部)を有する。接触部C2は、接触板52の先端に設けられている。
【0043】
アーチ状接触板53は、
図10(A)及び
図10(B)に示すように、接地端子40のアーチ状接触板43と同等の部材である。アーチ状接触板53は、弾性を有する板バネ部材であり、本体部51に挿入された相手側信号端子26を−Z方向に押圧すると共に電気的に接触する。アーチ状接触板53は、本体部51の底板に重ね合わさるように、本体部51の内部に支持されている。アーチ状接触板53は、本体部51の開口51bから開口51aに向けて延在している。アーチ状接触板53は、接触板52に向かってアーチ状に突出し、接触板52に対向している。
【0044】
導体かしめ部54と被覆固定部55とは、ワイヤWをかしめるためのワイヤかしめ部を構成する。導体かしめ部54及び被覆固定部55は、接地端子40の導体かしめ部44及び被覆固定部45と同等の部材である。
【0045】
図6(B)及び
図10(B)を参照するとわかるように、本体部41の開口41bから接触部C1までの寸法L1(第1寸法)は、本体部51の開口51bから接触部C2までの寸法L2(第2寸法)よりも短い。また、
図5(B)及び
図10(A)を参照するとわかるように、接地端子40の全長F1は、信号端子50の全長F2と等しい。しかしながら、これに限られず、接地端子40の全長F1は、信号端子50の全長F2とほぼ同じ長さであればよい。
【0046】
上述のように構成されたコネクタユニット10の相手側コネクタ20とコネクタ30との嵌合方法について、
図11〜
図14を用いて説明する。
【0047】
図11(A)に示すように、コネクタ30を嵌合方向D1に移動させていくと、接地端子40の寸法L1が信号端子50の寸法L2よりも短いため、先ず、
図11(B)に示すように、相手側接地端子25に、接地端子40の弾性接触板42の接触部C1が当接する。これにより、相手側接地端子25と接地端子40とは、電気的に接続される。このとき、
図11(C)に示すように、相手側信号端子26と、信号端子50の接触板52とは非接触状態であり、相手側信号端子26と信号端子50とは、電気的に接続されていない。
【0048】
さらに、
図12(A)に示すように、コネクタ30を嵌合方向D1に移動させていくと、
図12(B)に示すように、弾性接触板42の中央先端部60は、撓み方向A1に撓む。そして、相手側接地端子25に、接地端子40の弾性接触板42が接触することにより導通状態が維持されつつ、相手側接地端子25は、接地端子40の内部に挿入されていく。このとき、
図12(C)に示すように、相手側信号端子26に、信号端子50の接触板52の接触部C2が当接する。これにより、相手側信号端子26と信号端子50とは、電気的に接続される。
【0049】
さらに、
図13に示すように、コネクタ30を嵌合方向D1に移動させていくと、相手側ハウジング21の係止部24に、ハウジング31の被係止部33が接触する。そして、係止部24の傾斜面に被係止部33が案内されることで、アーム部32が撓み、矢印A2に示すように、被係止部33が下側(−Z側)に押し込まれる。
【0050】
さらに、
図14に示すように、コネクタ30を嵌合方向D1に移動させていくと、アーム部32の撓みが解消され、被係止部33は、アーム部32の弾性回復に基づいて、矢印A3に示すように上側(+Z側)に戻される。この結果、係止部24の係止面と被係止部33の被係止面とが対向し、係止部24が、被係止部33に係止する。以上により、コネクタユニット10の相手側コネクタ20とコネクタ30との嵌合は完了する。
【0051】
次に、コネクタユニット10の相手側コネクタ20とコネクタ30との嵌合の解除方法について、
図15〜
図18及び
図3を用いて説明する。
【0052】
相手側コネクタ20とコネクタ30との嵌合を解除する場合、
図15に示すように、先ず、コネクタ30の係止解除部36を、矢印A4に示すように、押し下げる。すると、アーム部32が撓み、被係止部33が下側(−Z側)に押し込まれる。この結果、係止部24と被係止部33との係止が解除される。
【0053】
そして、コネクタ30を、
図16に示すように、係止解除部36を押し下げたまま、取外し方向D2に移動させて、相手側コネクタ20から引き抜いていく。
【0054】
さらに、
図17(A)に示すように、コネクタ30を取外し方向D2に移動させていくと、信号端子50の寸法L2が接地端子40の寸法L1よりも長いため、先ず、
図17(C)に示すように、相手側信号端子26から、信号端子50の接触板52が離れる。これにより、相手側信号端子26と信号端子50とは、非導通状態となる。このとき、
図17(B)に示すように、相手側接地端子25には、接地端子40の弾性接触板42が接触しており、導通状態が維持されている。
【0055】
さらに、
図18(A)に示すように、コネクタ30を取外し方向D2に移動させていくと、
図18(B)に示すように、相手側接地端子25から、接地端子40の弾性接触板42が離れる。これにより、相手側接地端子25と接地端子40とは、非導通状態となる。このとき、
図18(C)に示すように、相手側信号端子26と信号端子50とは既に非導通状態であることから、接地端子40及び信号端子50のいずれも非導通状態になる。
【0056】
さらに、コネクタ30を取外し方向D2に移動させていくことにより、
図3に示すように、相手側コネクタ20から、コネクタ30が取り外される。以上により、コネクタユニット10の相手側コネクタ20とコネクタ30との嵌合が解除される。
【0057】
以上、説明したように、本実施形態においては、
図3に示すように、接地端子40の内部の寸法L1を信号端子50の内部の寸法L2よりも短くしている。このため、接地端子40の全長F1を長くすることなく、FMLB構造を備えることが可能になる。これにより、接地端子40の全長F1に合わせて、ハウジング31を大型化することがないため、結果として、FMLB構造を備えつつ、コネクタ30及びコネクタユニット10の大型化を抑制することができる。また、本実施形態の構造を使用することにより、コネクタ30及びコネクタユニット10の小型化を実現することも可能になる。
さらに、本実施形態においては、相手側接地端子25の突出する部分の長さL
P1を相手側信号端子26の突出する部分の長さL
P2と等しくしている。このため、突出する部分の長さL
P1又はL
P2に合わせて、相手側ハウジング21を大型化することがないため、結果として、相手側コネクタ20の大型化を抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態に係るコネクタユニット10においては、コネクタ30及びコネクタユニット10の大型化を抑制しつつ、相手側コネクタ20とコネクタ30との嵌合に伴って、相手側信号端子26と信号端子50との接触よりも前に、相手側接地端子25と接地端子40とを接触させることができる。また、コネクタ30及びコネクタユニット10の大型化を抑制しつつ、相手側コネクタ20とコネクタ30との嵌合を解除する際には、相手側信号端子26と信号端子50とが離れた後に、相手側接地端子25と接地端子40とを離すことができる。これにより、相手側コネクタ20に接続されている配線基板Sや、ワイヤWに接続されている半導体や電子部品に電気的過剰ストレスが加わることを防止することができる。
【0059】
また、本実施形態においては、接地端子40と信号端子50とは、弾性接触板42,接触板52の先端形状以外は、同じ形状に形成されている。このため、例えば、
図19に示す、FMLB構造を有さないコネクタ30のハウジング31から、信号端子50を取り外して、接地端子40を組み付けることで、FMLB構造を有するコネクタ30を実現することができる。これにより、ハウジング31の設計変更を不要とし、コネクタ30のコストを低廉にすることができる。また、接地端子40を取り外して、信号端子50を組み付けたり、信号端子50を取り外して、接地端子40を組み付けたりすることが容易になる。また、既存のコネクタ30のハウジング31に対しても、本実施形態の接地端子40等を適用することができるため、コネクタ30に対する汎用性を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態においては、接地端子40は、−Y側の先端に、接触部C1が設けられた弾性接触板42を有している。接地端子40は、信号端子50に対して、この弾性接触板42の先端形状が相違するのみの形状から形成されているため、信号端子50に僅かな加工を施すだけで、FMLB構造を有するコネクタ30を実現することができる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0062】
例えば、本発明の実施の形態では、
図3に示すように、相手側接地端子25の突出する部分の長さL
P1は、相手側信号端子26の突出する部分の長さL
P2と等しい。しかしながら、これに限られない。
図20に示すように、相手側信号端子26の突出する部分の長さL
P2から相手側接地端子25の突出する部分の長さL
P1を減じた値(L
P2−L
P1)が、寸法L2から寸法L1を減じた値(L2−L1)よりも小さければ、長さL
P1,L
P2と等しくなくてもよい{(L
P2−L
P1)<(L2−L1)}。例えば、従来のコネクタ(特許文献1に記載のコネクタ)の構造とは逆に、相手側信号端子26の突出する部分の長さL
P2は、相手側接地端子25の突出する部分の長さL
P1より長くてもよい。このとき減算値(L
P2−L
P1)が、減算値(L2−L1)より小さければ、本実施形態に係るコネクタユニット10と同様の効果を奏することができる。詳しくは、相手側コネクタ20とコネクタ30との嵌合に伴って、相手側信号端子26と信号端子50との接触よりも前に、相手側接地端子25と接地端子40とを接触させることができる。
【0063】
また、本発明の実施の形態では、接地端子40の弾性接触板42と本体部41とは、単一の板材から構成されている。しかしながら、これに限られない。弾性接触板42と本体部41とは、別の板材から構成されていてもよい。また、弾性接触板42及び本体部41と、アーチ状接触板43とも、別の部材であってもよいし、単一の板材から構成されていてもよい。
【0064】
また、本発明の実施の形態では、信号端子50の接触板52と本体部51とは、単一の板材から構成されている。しかしながら、これに限られない。接触板52と本体部51とは、別の板材から構成されていてもよい。また、接触板52及び本体部51と、アーチ状接触板53とも、別の部材であってもよいし、単一の板材から構成されていてもよい。
【0065】
また、本発明の実施の形態では、コネクタ30は、2本の接地端子40と、14本の信号端子50とを有する。しかしながら、これに限られず、接地端子40及び信号端子50の本数は任意である。コネクタ30は、本実施形態で例示した本数以外の接地端子40及び信号端子50を有していてもよい。
また、本発明の実施の形態では、接地端子40は、8列2段の端子収容室35のうち、上段中央近傍の2室に収容されている。しかしながら、これに限られず、接地端子40は、別の端子収容室35に収容されていてもよい。
【0066】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。