(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ホルダーの開口部を形成する縁辺又は下辺から横切れ線と反対側の第2折れ線の端部又はその近傍に向かって伸びた第4折れ線を有する請求項1〜3のいずれかに記載のドリップバッグ。
第4折れ線がホルダーの下辺から、掛止片を形成する切れ線の袋本体底部側端部に伸び、第4折れ線と第1折れ線とのなす角度が0°より大きい請求項4記載のドリップバッグ。
横切れ線が袋本体の概略幅方向に伸び、第2折れ線が横切れ線の第1折れ線側端部からホルダーの開口部側に伸び、第4の折れ線がホルダーの開口部を形成する縁辺から伸びている請求項4又は5記載のドリップバッグ。
正面部及び背面部のそれぞれにおいてホルダーの幅方向中央部から第1折れ線と反対側の領域に、袋本体の開口部から底部側に伸びた複数の斜め折れ線を有し、該複数の斜め折れ線のうちホルダーの正面部又は背面部の幅の中心線側の第5折れ線と袋本体の上下方向とがなす角度θ1と、該第5折れ線よりも袋本体の幅方向で外側にある第6折れ線と袋本体の上下方向とがなす角度θ2とが
0°<θ2≦θ1
である請求項1〜6のいずれかに記載のドリップバッグ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来のドリップバッグに対しては、ホルダーを開いたときの袋本体の開口形状をより円形に近づけることにより注湯できる面積を広げ、かつその開口形状を安定化させることが望まれていた。
【0006】
これに対し、本発明は、特許文献3に記載のドリップバッグのようにホルダーを開く操作を片手で簡便に行うことができ、かつ、袋本体の開口形状を円形に近づけ、さらにその開口形状が注湯時にも維持されるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、ドリップバッグの使用前には、薄板状材料で形成されたホルダーが折れ線で2つ折りにされており(以下、この折れ線を第1折れ線という)、使用時にホルダーを開くタイプのドリップバッグにおいて、ホルダーの正面部及び背面部のそれぞれにおいて、幅方向中央部で第1折れ線側に伸びた横切れ線と、その横切れ線から袋本体の底部側又は開口部側に伸び、ホルダーの縁辺に至らない第2折れ線と、その第2折れ線の端部から第1折れ線側に伸びた第3折れ線を形成すると、これらの折れ線によりホルダーの開口形状を片手で容易に固定することができ、かつ第2折れ線におけるホルダーの屈曲が横切れ線で遮断されることにより、横切れ線に隣接して、第2折れ線と反対側に形成される帯状領域によって袋本体の開口形状に丸みが付与されるので袋本体の開口形状が円形に近づき、さらに、この帯状領域の薄板状材料のコシによって、注湯時にも円形に近い開口形状が維持されることを見出し、本発明を想到した。
【0008】
即ち、本発明は、通水濾過性シートから形成され、上端部が開口する袋本体と、薄板状材料で形成され、袋本体の外表面に設けられたホルダーとを備えたドリップバッグであって、
ホルダーは、第1折れ線で正面部及び背面部に2つ折りにされて該第1折れ線が袋本体の側辺と重なっており、
2つ折りにされたホルダーの正面部又は背面部の幅方向中央部で第1折れ線側に伸びた横切れ線、
横切れ線からホルダーの開口部側又は下辺側に伸び、ホルダーの縁辺に至らない第2折れ線、及び
横切れ線と反対側の第2折れ線の端部から第1折れ線側に伸びた第3折れ線を有し、
前記横切れ線の上又は下で横切れ線と隣接する領域のうち、第2折れ線と反対側の領域にに、袋本体上下方向の折れ線及び切れ線が無い帯状領域があり、
ホルダーの正面部及び背面部の下部領域に、袋本体から引き起こし可能に形成された掛止片を有するドリップバッグを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のドリップバッグによれば、ホルダーが第1折れ線で2つ折りになり、袋本体の上端が開封されている状態において、該ホルダーの両側縁部を片手で把持し、ホルダーを押し潰すように力をかけると、第1折れ線で折り合わされていたホルダーの正面部と背面部が開き、この正面部と背面部にそれぞれ形成されていた第2折れ線が谷折りになり、第3折れ線が山折りになって開口部が開く。開口部が開ききると第2折れ線と第3折れ線で囲まれた領域が、正面部と背面部にわたる一つの面となり、閉じようとする正面部と背面部の間でつっぱり、ホルダーに加えていた力を解除してもこの開口形状が固定されたままとなる。したがって、片手の操作で容易にドリップバッグを開口形状とし、袋本体を広く開かせることが可能となる。
【0010】
また、横切れ線上に第2折れ線の端点があるために、横切れ線に隣接した領域のうち第2折れ線と反対側の帯状領域では第2折れ線の屈曲が横切れ線で遮断された形態となる。この帯状領域には袋本体上下方向の折れ線や切れ線が無いことからドリップバッグの開口形状では帯状領域が該帯状領域を形成する薄板状材料のコシにより湾曲するので、袋本体の開口形状は上面視で円形に近づき、注湯が容易となる。また、この帯状領域に袋本体上下方向の折れ線や切れ線が無く、該帯状領域が湾曲していることにより、袋本体内に注湯しても帯状領域が折れ線や切れ線で屈曲することがない。このため、ドリップバッグでは注湯前の広い開口形状が維持される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
(ドリップバッグの全体構造)
【0013】
図1は、本発明の一実施例のドリップバッグ1Aの未開封状態の平面図であり、
図2は、このドリップバッグ1Aの袋本体を開封し、ドリップバッグ1Aをカップに掛止した状態の斜視図である。
【0014】
図1に示すように、このドリップバッグは、矩形の袋本体10と袋本体10の外表面に設けられたホルダー20で形成されている。ホルダー20は、
図1に斜線で塗りつぶした領域で袋本体10に貼着している。
【0015】
(袋本体)
袋本体10は、通水濾過性シートから形成され、その内部にはコーヒー粉等の抽出材料50が充填されている。
【0016】
袋本体10を形成する通水濾過性シートとしては、所定量のコーヒー粉を充填し、注湯した場合にコーヒーの浸出が可能であるものを種々使用することができる。一般に、浸出用シートとしては、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロン等の合成繊維、レーヨン等の半合成繊維、コウゾ、ミツマタ等の天然繊維の単独又は複合繊維からなる織布あるいは不織布、マニラ麻、木材パルプ、ポリプロピレン繊維等からなる混抄紙等、ティーバッグ原紙等の紙類が知られており、本発明においてもこれらを使用することができるが、ドリップバッグの使用後の廃棄性の点から、通水濾過性シート材料には生分解性繊維を含有させることが好ましい。生分解性繊維としては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等をあげることができる。また、ドリップ時にコーヒー粉に適度な蒸らし効果も付与できるようにするため、これらの繊維材料から通水濾過性シートを製造する際には、繊維層の空隙率を調整することによりコーヒー粉に直接接することとなる層を「疎」とし、直接には接しない層を「密」とする疎密の複層構造とし、かつコーヒー粉に直接接することとなる層では疎水性繊維の含有率を高め、コーヒー粉に直接接しない層では疎水性繊維の含有率を下げることが好ましい(特許第3674486号)。
【0017】
袋本体10は、上辺11a、下辺11b及び一方の側辺11cでシールされており、他方の側辺11dは折り山で輪になった平袋であって、対向する2面を有している。袋本体10の上端部は、ホルダー20の上辺に沿って形成した開封用のミシン目12により、ドリップバッグ1Aの使用時に切除され、開封用のミシン目12のラインがドリップバッグの開口縁となる。ミシン目12は、第1折れ線22の近傍から袋本体10の上辺側に屈曲し、ミシン目12でホルダー20の上端部を切除した後に、第1折れ線近傍に突出部28が残るように形成されている。突出部28が存在することにより、ドリップバッグ1Aでコーヒーを抽出した後、突出部28を摘まんでドリップバッグ1Aをカップから外すことができる。
【0018】
ミシン目12で切除される部分を除いた、袋本体10の正味の平面寸法は、開口径60〜105mm程度の通常のカップに対して、幅W1を70〜110mm、高さH1を50〜70mmとすることが好ましい。
【0019】
(ホルダー)
ホルダー20は、板紙、プラスチックシート等の薄板状材料の打ち抜きにより形成されている。この薄板状材料も、ドリップバッグ1Aの使用後の廃棄性の点から、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等の生分解性材料から形成したものを使用してもよい。
【0020】
また、薄板状材料としては、後述するように帯状領域21によって袋本体の開口形状を上面視で円形に近づけるため、コシの強さ、即ちこわさ(JIS P 8125:2000)が、ホルダーの幅方向のこわさと上下方向のこわさの平均として、2mN・m以上10mN・m以下のものを使用することが好ましい。
【0021】
(第1折れ線)
ホルダー20は、第1折れ線22により、正面部20aと背面部20bに等分に2つ折りにされ、ドリップバッグの正面と背面を形成している。後述するように、ドリップバッグ1Aの製造工程では、ホルダー20を形成する薄板状材料と、袋本体10を形成する通水濾過性シートとが重ね合わされた状態において第1折れ線22で折り畳まれるため、第1折れ線22はその全長にわたって袋本体10の側辺と重なっている。
【0022】
なお、本発明において、第1折れ線22を含む複数の折れ線はミシン目、ハーフカット等により形成されるが、後述するようにホルダーの両側縁を押し潰すように力をかけた場合に、容易にホルダーが開口形状をとるように、これらの折れ線としては、長さ0.5〜1.5mmの短いタイと、長さ5〜30mmの長いカットからなるミシン目を形成することができる。一方、特に折れやすく形成すべき折れ線については、一つの折れ線を長尺の一つのカットと、その両端の短尺のタイとし、タイを、折り曲げによってちぎれない限りで短くすることが好ましい。
ホルダー20の正面部20aと背面部20bの幅は、それぞれ袋本体10の幅W1よりも若干狭い程度で袋本体10の幅W1と略等しく形成されている。
【0023】
(横切れ線と帯状領域)
ホルダー20には、その正面部20a及び背面部20bの幅方向中央部から第1折れ線22の方向へ袋本体10の開口部(開封用のミシン目12)に沿って水平に伸びた横切れ線23が形成されており、横切れ線23の上下に隣接した領域のうち第2折れ線24と反対側にある領域、即ち、横切れ線23と開封用ミシン目12との間の領域は、袋本体上下方向の折れ線及び切れ線が無い帯状領域21となっている。
【0024】
本発明において、横切れ線23の第1折れ線側端部23aは、第1折れ線22に達していなくてもよく、達していてもよい。
図1に示したように横切れ線23が第1折れ線22に達していないことにより、ドリップバッグ1Aの開口形状において、ホルダーの正面部20aと背面部20bにまたがり、第2折れ線と第3折れ線で囲まれて一つの面として作用する領域A1(
図2中、格子状のハッチングをつけた部分)を十分に確保でき、その面が、ホルダー20の正面部20aと背面部20bの間で突っ張るように作用し、正面部20aと背面部20bが近づいて開口部が閉じることを防止し、ホルダー20の開口形状が安定するので好ましい。また、横切れ線23の第1折れ線側端部23aが第1折れ線22の近傍に位置しているが、第1折れ線22に達していないことにより、ホルダー20の正面部20aと背面部20bのそれぞれの帯状領域21によって、より大きな曲率半径の丸みが袋本体10の開口形状に形成されるので、開口形状をより円形に近づけ、開口面積をより広くすることができる。一方、横切れ線23は第1折れ線22に達していてもよい。この場合、ホルダー20の正面部20aと背面部20bの帯状領域21が連続して一つの帯状領域となる。
【0025】
横切れ線23の、第1折れ線22と反対側の端部23bは、ホルダー20の正面部20a又は背面部20bの幅方向中央部にある。この端部23bは、ホルダー20の正面部20a又は背面部20bの幅の中心線20cよりも第1折れ線22側にあってもよく、その反対側にあってもよい。
【0026】
横切れ線23の袋本体の幅方向の長さL1はホルダー20の正面部20a又は背面部20bの幅の5〜65%が好ましい。横切れ線23の端部23bを第5折れ線29近傍に位置させることにより、ホルダー20の正面部20a及び背面部20bのそれぞれにおいて横切れ線23の長さをできる限り長くすると、袋本体10の開口形状を最大限円形に近づけることができる。反対に、横切れ線23の長さL1が過度に短くなるとドリップバッグ1Aの開口形状において、袋本体の開口形状を上面視で円形に近づける効果が得られにくい。
【0027】
また、横切れ線23とミシン目12との距離、即ち、帯状領域21のドリップバッグの上下方向の長さL2は、5〜25mmが好ましい。長さL2が短すぎるとホルダー20を形成する薄板状材料のコシを活かして袋本体の開口形状を円形に近づけることが難しく、長すぎるとホルダー20自体の上下方向の長さが長くなり過ぎるので好ましくない。
【0028】
(第2折れ線)
本実施例のドリップバッグ1Aでは、横切れ線23の中間部から袋本体10の底部側に第2折れ線24が伸びている。なお、
図9に示したように、本発明では第2折れ線24をホルダーの開口部側に伸ばしてもよい。
【0029】
本実施例において、第2折れ線の下端は、掛止片32の上辺をなす切れ線の第1折れ線側端部にある。これにより、ドリップバッグ1Aを開口させるときに、ホルダーの正面部と背面部にわたり第2折れ線と第3折れ線で囲まれた領域A1を、ホルダーの正面部と背面部の間で突っ張らせるように作用させてホルダーの開口形状を固定することが一層容易になる。
【0030】
第2折れ線24は、第1折れ線22に対して平行であってもよく、斜行していてもよいが、斜行させる場合には第2折れ線24と第1折れ線22との距離が、第2折れ線の始点24aから終点24bに向かって広がるようにすることが好ましい。特に、ホルダー20の開口形状を安定させる点から、第2折れ線24は第1折れ線22に対して斜行し、それらのなす角度θ4が0°<θ4≦60°であることが好ましい。
【0031】
また、第2折れ線24は、ドリップバッグ1Aを使用するときに、片手でドリップバッグの両側辺を持ち、ドリップバッグを押し潰すように力をかけただけで、ホルダー20を形成する薄板状材料が第2折れ線24で屈曲するように、第2折れ線24の両端が短尺のタイでその間が一つの長尺のカットで形成されたミシン目から形成することが好ましい。また、この部分のタイの長さは、折り曲げによってちぎれない限り短くすることができ、ホルダー20を形成する薄板状材料に応じて、0.5mm以下とすることもできる。
【0032】
(第3折れ線)
第2折れ線24の下端(終点24b)からは第1折れ線側に向かう第3折れ線25が形成されている。
【0033】
ホルダーの正面部と背面部にわたり、第2折れ線と第3折れ線で囲まれて一つの面として作用する領域A1を、ホルダー20の正面部20aと背面部20bとの間で突っ張るように作用させてホルダー20の開口形状を安定させる点からは、第3折れ線25は、第1折れ線22に到達していることが好ましく、また、袋本体10の幅方向に対して斜行していることが好ましい。第3折れ線25と第1折れ線22とのなす角度θ3は鋭角でも鈍角でもよいが、
図1に示したように鋭角であると、ホルダー20の開口形状の安定性が高まり、注湯時に湯圧が上がってもホルダー20の開口形状が維持されるので好ましい。
【0034】
なお、
図2に示したように、ドリップバッグの開口形状では、横切れ線23から上の帯状領域21とその下の第2折れ線24の近傍との境界には不連続な段差38が形成される。この段差38によって、帯状領域21が湾曲して袋本体10の開口形状を上面視で円に近づけることと、第2折れ線24と第3折れ線25の屈曲によりドリップバッグの開口形状を安定させることを両立させるので、横切れ線23近傍の領域では上述の段差の形成が可能となるようにホルダー20と袋本体10とを貼着しないことが好ましい。
【0035】
(第4折れ線)
本実施例のドリップバッグ1Aでは、掛止片32を形成する切れ線33の袋本体底部側端部から袋本体底部側に伸びた第4折れ線26を有する。この第4折れ線の形成方向は、ホルダーの下辺から横切れ線と反対側の第2折れ線の端部又はその近傍に向かう方向となっている。なお、
図9に示したように、本発明では第4折れ線26をホルダーの開口部を形成する縁辺から伸ばしてもよい。
【0036】
第4折れ線26は、ホルダーの正面部と背面部にわたり、第2折れ線と第3折れ線で囲まれて一つの面として作用する領域A1を、ホルダー20の正面部20aと背面部20bとの間で突っ張るように作用させてホルダー20の開口形状を安定させることに寄与する。
【0037】
本実施例のドリップバッグ1Aでは、第4折れ線の上端は、掛止片32の下辺をなす切れ線の第1折れ線側端部にある。これによりドリップバッグ1Aを開口させるときに、ホルダーの正面部と背面部にわたり第2折れ線と第3折れ線で囲まれた領域A1を、ホルダーの正面部と背面部の間で突っ張らせるように作用させてホルダーの開口形状を固定することが一層容易になる。
【0038】
第4折れ線26と第1折れ線22とのなす角度θ5は0°より大きいこと(即ち、袋本体側底部に向かって第4折れ線26と第1折れ線22との距離が狭まること)が好ましい。
【0039】
第4折れ線26は第1折れ線22に対して平行でも斜行していてもよいが、ドリップバッグ1Aの開口形状を安定させる点からは、第4折れ線26と第1折れ線22との距離が、袋本体10の底部側に向かって狭くなるように第4折れ線26を斜行させることが好ましく、特に、第4折れ線26と袋本体10の上下方向とがなす角度θ5を0°〜60°とすることが好ましい。
【0040】
(斜め折れ線)
ドリップバッグ1Aには、ホルダー20の正面部20a及び背面部20bのそれぞれにおいて、幅方向中央部から第1折れ線22と反対側の領域に、袋本体10の開口部から底部側に伸びた斜め折れ線を設けることが好ましい。特に、この領域に複数の斜め折れ線29、30を設け、該斜め折れ線29、30のうちホルダー20の正面部20a又は背面部20bの幅の中心線20cに近い第5折れ線29と袋本体の上下方向とがなす角度をθ1とし、該第5折れ線29よりも袋本体の幅方向で外側にある第6折れ線30と袋本体の上下方向とがなす角度をθ2とした場合に
0°<θ2≦θ1
とすることが好ましい。このように角度θ1及びθ2を規定することにより、ドリップバッグ1Aを開口形状にするためにホルダー20の両側縁部を片手で把持し、ホルダーを押し潰すように力をかけただけで、第5折れ線29と第6折れ線30の双方が折れ曲がり、袋本体10の開口形状を上面視でより円形に近づけることができる。
【0041】
即ち、第6折れ線30は、第5折れ線29に対して中心線20cから離れていることにより、形成位置の点からは第5折れ線29よりも折れ曲がりにくいが、0<θ2<θ1であることにより、袋本体の上下方向に対する角度の点からは第5折れ線29よりも折れ曲がりやすくなるので、上述のように第5折れ線29と第6折れ線30の双方が折れ曲がるようになる。また、第5折れ線29と第6折れ線30の離れ具合等によっては、形成位置による折れ曲がりやすさに大きな違いがないので、この場合にはθ1=θ2としても第5折れ線29と第6折れ線30の双方が折れ曲がる。
【0042】
なお、第6折れ線30の角度θ2をゼロにすると、即ち、第6折れ線30をホルダー20の開口部の縁辺に対して垂直にすると、ドリップバッグ1Aを開口形状にするためにホルダー20の両側縁部からホルダー20を押し潰すように力をかけた場合に、第5折れ線29が折れ曲がることなく第6折れ線30のみが折れ曲がり易くなるので好ましくない。
【0043】
また、角度θ1及びθ2がマイナスになると、即ち、第5折れ線29と第6折れ線30が、ホルダー20の下辺から上辺に向かって中心線20cに近づくように傾くと、袋本体10の開口部にねじれが生じ、開口部の開きが小さくなるので好ましくない。
【0044】
本実施例のドリップバッグ1Aでは、第5折れ線29の下端から袋本体10の底部側に第7折れ線31が伸びている。第7折れ線31は、該第7折れ線31と中心線20cとの距離が袋本体の底部側に向かって広がるように斜行しており、このために、第5折れ線29と第7折れ線31とで<字型に屈曲した折れ線が形成されている。このように屈曲した折れ線を設けることによりドリップバッグの開口形状を正面視で左右対称に近づけ、袋本体の全体としての開口形状を上面視でさらに円形に近づけることができる。
【0045】
(掛止片)
ホルダー20の正面部20a及び背面部20bのそれぞれの下部領域には、袋本体10から切れ線33、35により引き起こし可能に形成された2つの掛止片32、34が並設されている。本実施例のドリップバッグ1Aでは、2つの掛止片32、34とも第1折れ線22側の端部がホルダー20の残余部分と連続し、引き起こし不能になっている。特に、第1折れ線側の掛止片32では、該掛止片32の上辺をなす端部が第2折れ線24の下端となり、該掛止片32の下辺をなす端部が第4折れ線26の上端となっているため、ドリップバッグを開口させるときにホルダー20の両側縁部からホルダー20を押し潰すように力をかけ、第2折れ線24と第3折れ線25で囲まれた領域A1がホルダーの正面部と背面部にわたり一つの面となるのと同時に掛止片32が袋本体10の表面から突出する。
【0046】
一方、本発明において第1折れ線と反対側の掛止片34は、
図7に示すドリップバッグ1Bのように、第1折れ線22から遠い方の掛止片34では、第1折れ線22と反対側の端部が引き起こし不能に形成されていてもよい。
【0047】
2つの掛止片32、34は、それぞれ袋本体10から離れる側の端部に、ドリップバッグ1Aの底部側に突出した突出部32a、34aを有している。また、突出部32a、34aを除く底部側の辺32b、34bがホルダー20の幅方向に伸びており、これらの辺32b、34bの、ホルダー20の上下方向の位置が揃っている。ここで、第1折れ線側の掛止片32の底部側の辺32bは、もう一方の掛止片34の底部側の辺34bよりも長い。これにより開口径が大きいカップにもドリップバッグを掛止しやすくなる。
【0048】
なお、上述した、ホルダーにおける各折れ線や切れ線は、第1折れ線22を開いてホルダー20を平坦に広げた状態で、第1折れ線22を中心にして左右対称に形成されていることが好ましい。
【0049】
(ドリップバッグの使用方法)
ドリップバッグ1Aの使用方法としては、まず、ホルダー20の開封用のミシン目12からドリップバッグ1Aの上縁側を除去し、袋本体10を開口する。
【0050】
次に、
図3に示すように、ホルダー20の両側縁部を片手で把持し、
図4に示すように、ホルダー20を押し潰すように軽く力をかける。これにより、袋本体10は、上面視で円形に近い形状に広く開口すると共に、掛止片32、34が袋本体10の表面から突出する。
【0051】
そこで、
図2に示すように、ドリップバッグの掛止片32、34をカップ100の上縁部に掛止させ、袋本体10の開口部から注湯し、カップ100内にコーヒー抽出液を得る。注湯後においても、湾曲した帯状領域21により袋本体10の開口形状は円形に近い形状に維持される。
【0052】
(ドリップバッグの製造方法)
ドリップバッグ1Aの製造方法としては、
図5に示すように、長尺の通水濾過性シートの原反41にホルダー20を所定間隔で並べて貼着したホルダー付シート原反40を用意し、これを包装充填機にかけ、
図6に示すように、ホルダー20の第1折れ線22で左右二つ折りにし、袋本体10の側辺11cを溶着することにより筒状に形成すると共に、袋本体10の上辺11a、下辺11bも順次溶着すると共に、袋本体10内に内容物を充填し、ドリップバッグを連続的に製造し、上下に繋がったドリップバッグを切り離して個々のドリップバッグ1Aを得る。あるいは、袋本体10の上辺11a、下辺11bの溶着時に溶断も同時に行い、個々に切り離されたドリップバッグ1Aを連続的に製造する。
【0053】
(変形態様)
本発明のドリップバッグは、上述のドリップバッグ1Aの他にも種々の態様をとることができる。
例えば、
図1に示したドリップバッグ1Aにおいて第4折れ線26を省略してもよい。
【0054】
また、
図8に示すドリップバッグ1Cのように、
図1に示したドリップバッグ1Aから第4折れ線26を省略し、第1折れ線22の下端付近から第2折れ線の終点24b方向に伸びた第3折れ線25’を形成してもよい。
【0055】
さらに、
図1に示したドリップバッグ1Aでは、横切れ線23の袋本体底部側に第2折れ線24を設けているが、例えば、
図9に示すドリップバッグ1Dのように、第2折れ線24を横切れ線23の袋本体開口部側に設けてもよい。同図においても、ホルダー20は袋本体10と斜線で塗りつぶした部分で貼着している。
【0056】
このドリップバッグ1Dでは、第3折れ線25が第1折れ線22から第2折れ線24の終点24bに向かって形成されており、ホルダーの開口部を形成する縁辺から第2折れ線24の終点24bに向かって第4折れ線26が形成されている。第2折れ線24と袋本体上下方向とがなす角度θ4、第3折れ線25と第1折れ線22とがなす角度θ3、第4折れ線26と袋本体上下方向とがなす角度θ5は、それぞれ前述のドリップバッグ1Aの角度θ4、θ3、θ5と同様の範囲とすることができる。
【0057】
また、ドリップバッグ1Dでは、横切れ線23がホルダー20の中央部において袋本体10の上辺11aに対して若干斜めに形成されている。このように、本発明において袋本体幅方向に伸びた横切れ線23は厳密に水平であることは不要であり、第1折れ線22に向かって袋本体の幅方向に伸びていればよい。横切れ線23を斜めに形成する場合に、横切れ線23が水平線となす角度θ6にも特に限定はない。
【0058】
ドリップバッグ1Dの袋本体10の上辺11aのシール強度は下辺11b及び側辺11cのシール強度に対して弱く、上辺11aのシールは引き剥がし容易に形成されている。また、袋本体幅方向の中央部で上辺11aの直下には、摘まみ片39が貼着されている。摘まみ片39は、その下部39aが袋本体10から引き起こし可能となっている。
【0059】
そこでこのドリップバッグ1Dの使用時には、
図10に示したようにドリップバッグ1Dの表裏の面で対向している一対の摘まみ片39の下部39aを引き起こし、互いに反対方向に引っ張り、上辺11aを開口させる。
【0060】
次に、前述のドリップバッグ1Aと同様に、ホルダー20の両側縁部を片手で把持し、ホルダー20を押し潰すように軽く力をかける。これにより袋本体10は、
図11に示すように、袋本体10の開口形状が円形に近い形状となり広く開口すると共に、掛止片32、34が袋本体10から突出する。また、ホルダー20の正面部20aと背面部20bにそれぞれ形成されている第2折れ線24と第3折れ線25で囲まれた領域A1が、ホルダー20の正面部20aと背面部20bにわたる一つの面となって正面部20aと背面部20bとの間で突っ張り、ホルダー20の開口形状が固定される。さらに、第2折れ線24の屈曲形状と横切れ線23とが不連続な段差38で隔てられ、横切れ線23の上下に隣接する領域のうち、第2折れ線24と反対側には袋本体上下方向の折れ線や切れ線が無い帯状領域21が存在する。したがってドリップバッグ1Dの開口形状では、帯状領域21が、該帯状領域21を形成している薄板状材料のコシにより湾曲して突出し、袋本体の開口形状を安定化させる。本実施例のように袋本体10の開口部に摘まみ片39を設ける場合、横切れ線23の開口部側に帯状領域を確保しにくくなるが、横切れ線23の下側には帯状領域21を容易に確保することができる。
【0061】
図11に示すように、ドリップバッグ1Dの掛止片32、34をカップ100の上縁に掛止させ、袋本体10の開口部から注湯し、カップ100内にコーヒー抽出液を得る。注湯後においてもドリップバッグ1Dの開口形状は、上述のように第2折れ線24と第3折れ線25で囲まれた領域A1の突っ張りにより安定し、帯状領域21を形成する薄板状材料のコシにより開口形状は湾曲したままとなり、注湯後に袋本体の開口部がすぼまることが無い。
【0062】
以上、袋本体10にコーヒー粉を充填したドリップバッグについて説明したが、本発明のドリップバッグの袋本体10に充填する抽出材料50はコーヒー粉に限らない。紅茶、緑茶等の茶葉、漢方薬等を充填してもよい。
【0063】
また、本発明は、袋本体に抽出材料が充填されていないドリップバッグも包含する。このようなドリップバッグでは、袋本体の上端が開口しており、ユーザーが任意に抽出材料を袋本体に入れ、抽出液を得る。