(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工程(1)で得られた混合スラリー中の塩化物の含有量は、工程(1)で使用する原料酸化亜鉛粒子に対して、0.3モル%以上となる割合であることを特徴とする請求項1に記載の六角板状酸化亜鉛の製造方法。
さらに、工程(2)で得られた反応スラリーから得られた固形分を、70℃〜100℃未満の水で洗浄する工程(3)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の六角板状酸化亜鉛の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一例について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更して適用することができる。
【0015】
<六角板状酸化亜鉛の製造方法>
本発明の六角板状酸化亜鉛の製造方法は、原料酸化亜鉛粒子と酢酸亜鉛溶液と、塩化物を含む混合スラリーを調製する工程(1)と、工程(1)で得られた混合スラリーを60℃〜100℃にて加熱熟成する工程(2)を含むことを特徴とする。
【0016】
工程(1)は、原料酸化亜鉛粒子と酢酸亜鉛溶液と塩化物を含む混合スラリーが調製されることになる限り、これらを混合する順番は特に制限されず、原料酸化亜鉛粒子と酢酸亜鉛溶液を先に混合した後に塩化物を混合してもよく、原料酸化亜鉛粒子又は酢酸亜鉛溶液のいずれかと塩化物とを先に混合した後に原料酸化亜鉛粒子又は酢酸亜鉛溶液の残りの一方を混合してもよい。また、これら3つを同時に混合してもよい。
混合する際には、原料酸化亜鉛粒子、酢酸亜鉛溶液、塩化物のいずれか1つの成分に対して他の成分を添加することで混合してもよく、溶媒に対してこれら3つの成分の2つ又は3つを添加することで混合してもよい。
また、混合する際には、これらの成分を一括で添加してもよく、分割して添加してもよい。
【0017】
工程(1)において、原料酸化亜鉛粒子と酢酸亜鉛溶液と塩化物を含む混合スラリーを調製するためのこれらの成分の混合は攪拌して行うことが好ましい。攪拌する方法は特に制限されない。
【0018】
工程(1)において、原料酸化亜鉛粒子や塩化物は、混合する際、粉末で混合してもよく、スラリーや溶液の状態にして混合してもよいが、得られる六角板状酸化亜鉛の粒度分布を小さくする点から、スラリーや溶液の状態にして混合することが好ましい。
スラリーや溶液の状態にする場合に使用する溶媒は、水が好ましい。
また、原料酸化亜鉛粒子、酢酸亜鉛溶液、塩化物の3つの成分の2つ又は3つを溶媒に対して添加することで混合する場合に使用する溶媒も、水が好ましい。
【0019】
原料酸化亜鉛粒子や塩化物をスラリーや溶液の状態にして混合する場合、使用する溶媒の量は特に制限されないが、原料酸化亜鉛粒子や塩化物1gに対して、1〜500mlであることが好ましい。より好ましくは、5〜100mlである。
【0020】
工程(1)において用いられる酢酸亜鉛溶液は、酢酸亜鉛を溶解した溶液であれば溶媒は特に制限されないが、水であることが好ましい。すなわち、工程(1)において酢酸亜鉛水溶液が用いられることが好ましい。
【0021】
工程(1)において用いられる酢酸亜鉛溶液の濃度は、0.1〜4mol/lであることが好ましい。より好ましくは、0.3〜3mol/lであり、更に好ましくは、0.5〜2mol/lである。
【0022】
工程(1)において用いられる原料酸化亜鉛粒子は、比表面積換算粒子径が0.001〜1μmであるものが好ましい。このような粒子径のものを用いることで、製造される六角板状酸化亜鉛が紫外線や赤外線の遮蔽性により優れたものとなり、化粧料等の各種用途により好適に使用できるものとなる。上記原料酸化亜鉛粒子の粒子径は、より好ましくは、0.002〜0.1μmである。
上記原料酸化亜鉛粒子の比表面積換算粒子径は、BET法によって求められる比表面積と同一の表面積を有する球の直径に相当する。すなわち、比表面積換算粒子径は、全自動BET比表面積測定装置Macsorb Model HM−1200(Mountech社製)により測定して求めた比表面積:Sgと、酸化亜鉛の真比重:ρから、下記計算式により求めた値である。
原料酸化亜鉛粒子の比表面積換算粒子径(μm)=[6/(Sg×ρ)]
(Sg(m
2/g):比表面積、ρ(g/cm
3):粒子の真比重)
なお、粒子の真比重:ρは、酸化亜鉛の真比重の値である5.6を上記計算に用いた。
【0023】
工程(1)において、原料酸化亜鉛粒子と酢酸亜鉛溶液と塩化物を含む混合スラリーを調製するために使用される酢酸亜鉛溶液の量は、原料酸化亜鉛粒子1molに対して酢酸亜鉛溶液に含まれる酢酸亜鉛が0.1〜3molとなる量であることが好ましい。このような割合で酢酸亜鉛溶液を使用することで、均一な六角形状の粒子が得られる。より好ましくは、酢酸亜鉛が0.2〜1molとなる量である。
【0024】
工程(1)において使用される塩化物は、六角板状酸化亜鉛が製造されることになる限り特に制限されないが、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化リチウム等の1種又は2種以上を用いることができる。この中でも、塩化物としては、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化リチウムから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0025】
工程(1)で得られた混合スラリー中の塩化物の含有量は、工程(1)で使用する原料酸化亜鉛粒子に対して、0.3モル%以上となる割合であることが好ましい。このような割合で使用されることで、得られる六角板状酸化亜鉛粒子をより厚みが薄く、粒子の大きさの揃ったものとすることができる。より好ましくは、工程(1)で使用する原料酸化亜鉛粒子に対して、0.4モル%以上であり、更に好ましくは、0.5モル%以上である。また、不純物を減らすことと生産性の点から、工程(1)で得られた混合スラリー中の塩化物の含有量は、工程(1)で使用する原料酸化亜鉛粒子に対して、300モル%以下であることが好ましい。より好ましくは、250モル%以下であり、更に好ましくは、200モル%以下である。
【0026】
工程(1)において調製される、原料酸化亜鉛粒子と酢酸亜鉛溶液と塩化物を含む混合スラリーにおける酢酸亜鉛の濃度は、0.1〜3mol/lであることが好ましい。より好ましくは、0.2〜1mol/lである。
【0027】
工程(1)において、原料酸化亜鉛粒子と酢酸亜鉛溶液と塩化物を含むスラリーの混合温度は、特に制限されないが、3〜50℃であることが好ましい。より好ましくは、10〜40℃である。
【0028】
工程(1)において、原料酸化亜鉛粒子と酢酸亜鉛溶液と塩化物を含むスラリーの混合時間は特に制限されず、原料の量等に応じて適宜設定すればよいが、1〜480分で行うことが好ましい。より好ましくは、30〜360分である。
工程(1)を、予め酢酸亜鉛溶液に塩化物を添加し、得られた溶液と原料酸化亜鉛粒子とを混合することにより行う場合の、酢酸亜鉛溶液に塩化物を添加した溶液と原料酸化亜鉛粒子とを混合する工程の時間も特に制限されないが、10〜420分で行うことが好ましい。より好ましくは、30〜300分である。
【0029】
工程(2)は、工程(1)で得られた混合スラリーを60〜100℃で加熱熟成する工程である。加熱熟成をすることで、粒子形状が六角板状に整った粒子を得ることができる。加熱温度は、60〜100℃であればよいが、70〜100℃であることが好ましい。より好ましくは、80〜100℃であり、更に好ましくは、90〜100℃である。なお、加熱熟成は混合スラリーを撹拌しながら行ってもよいし、静置していてもよいが、撹拌しながら行うことが好ましい。
【0030】
工程(2)における加熱熟成の時間は特に制限されないが、六角板状酸化亜鉛の収率と生産性とを考慮すると、10〜540分であることが好ましい。より好ましくは、20〜420分であり、更に好ましくは、30〜300分である。
【0031】
工程(1)で得られた混合スラリーを60〜100℃に加熱する際の昇温速度は、10℃/分以下であることが好ましい。このような昇温速度とすることで、十分な結晶成長の時間を取ることができ、均一で粒径のばらつきの少ないアルミニウムドープ六角板状酸化亜鉛を得ることができる。より好ましくは、5℃/分以下であり、更に好ましくは、3℃/分以下である。
【0032】
本発明の六角板状酸化亜鉛の製造方法はさらに、工程(2)で得られた反応スラリーから得られた固形分を70℃〜100℃未満の水で洗浄する工程(3)を含むことが好ましい。このような工程(3)は、工程(2)で得られた反応スラリーをろ過して得られた固形分(ケーキ)を、70℃〜100℃未満の水中にて撹拌する方法にて行うことができる。このような工程を行うことで、未反応の酢酸亜鉛等の余分な塩類をより充分に除去し、均一で粒径のばらつきの少ない六角板状酸化亜鉛を得ることができる。
工程(3)の温度は、70℃〜100℃未満であればよいが、80℃〜100℃未満であることが好ましい。より好ましくは、90℃〜100℃未満である。
【0033】
本発明の六角板状酸化亜鉛の製造方法では、工程(2)の後に(工程(2)と工程(3)の間に)、または工程(3)の後に、ろ過、洗浄(水洗)を行ってもよい。これにより、未反応の原料等の余分な塩類を除去して、得られる六角板状酸化亜鉛の純度を高めることができる。また、ろ過の前に液を冷却する工程を行ってもよい。
【0034】
工程(2)の後や工程(3)の後の洗浄、及び、工程(3)における洗浄に使用する水の量は、洗浄する固形分100質量%に対して、1000質量%以上であることが好ましい。これにより、固形分中に含まれる余分な塩類をより充分に除去することができる。
【0035】
工程(3)を行う時間は、固形分の量や使用する水の量に応じて適宜設定すればよいが、10〜540分であることが好ましい。より好ましくは、30〜480分である。
【0036】
本発明の六角板状酸化亜鉛の製造方法は、更に六角板状酸化亜鉛を乾燥する工程を含んでいてもよい。
六角板状酸化亜鉛を乾燥する工程の温度は、六角板状酸化亜鉛が乾燥される限り特に制限されないが、100〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、110〜150℃である。
また乾燥する時間も特に制限されないが、6〜200時間であることが好ましい。より好ましくは、12〜170時間である。
【0037】
本発明の六角板状酸化亜鉛の製造方法は、上記工程(1)〜(3)、洗浄工程、ろ過工程、乾燥工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、必要に応じて行われる表面処理工程が含まれる。その他の工程は、工程(1)〜(3)のいずれの工程の前又は後に行ってもよい。
【0038】
本発明の六角板状酸化亜鉛の製造方法において、上記工程(1)〜(3)、洗浄工程、ろ過工程、乾燥工程、及び、その他の工程を行う回数は1回であってもよく、2回以上であってもよい。
【0039】
<六角板状酸化亜鉛>
本発明の六角板状酸化亜鉛は、アスペクト比が4.5以上、かつ、D90/D10が2.5以下であることを特徴とする。
本発明の六角板状酸化亜鉛は、このようなアスペクト比、かつ、D90/D10を有することで、形状に由来する優れたすべり性や感触を有するものとなる。
【0040】
本発明の六角板状酸化亜鉛は、アスペクト比が4.5以上であればよいが、4.7以上であることが好ましい。より好ましくは、5.0以上であり、更に好ましくは、5.2以上である。アスペクト比に上限はないが、六角板状酸化亜鉛のアスペクト比は通常100以下である。
【0041】
本発明の六角板状酸化亜鉛は、D90/D10が2.5以下であればよいが、2.3以下であることが好ましい。より好ましくは、2.2以下である。
【0042】
本発明の六角板状酸化亜鉛は、メジアン径が0.05〜5μmであることが好ましい。このようなメジアン径のものであると、六角板状酸化亜鉛が紫外線や赤外線の遮蔽効果にも優れたものとなる。六角板状酸化亜鉛のメジアン径は、より好ましくは、0.07〜4μmであり、更に好ましくは、0.08〜3.5μmである。本発明におけるメジアン径は、個数基準での50%積算粒径(D50)であり、実施例に記載の方法で測定したものである。
【0043】
本発明の六角板状酸化亜鉛は、BET比表面積が1.1m
2/g以上であることが好ましい。このようなBET比表面積を有するものであると、紫外線遮蔽能や隠蔽性が好ましい範囲になる。
BET比表面積は、より好ましくは、2.2m
2/g以上であり、更に好ましくは、2.3m
2/g以上である。
【0044】
本発明の六角板状酸化亜鉛は、波長350nmにおける全光線透過率が60%以下であることが好ましい。このような値であると、優れた紫外線遮蔽能を有するということができる。より好ましくは、波長350nmにおける全光線透過率が58%以下であることであり、更に好ましくは、57%以下である。
【0045】
本発明の六角板状酸化亜鉛は、波長400nmにおける平行光透過率が35%以下であることが好ましい。このような値であると、六角板状酸化亜鉛粒子の隠蔽性が高くなり、化粧料等の色合いが重要な用途により好適なものとなる。より好ましくは、波長400nmにおける平行光透過率が33%以下であることであり、更に好ましくは、32%以下である。
【0046】
本発明の六角板状酸化亜鉛は、異元素がドープされているものであってもよいし、必要に応じて表面処理を施したものであってもよい。表面処理としては特に限定されず、例えばシリカ層、アルミナ層、ジルコニア層、チタニア層等の無機酸化物層を形成する無機表面処理や、有機ケイ素化合物、有機アルミ化合物、有機チタン化合物、高級脂肪酸、金属石鹸、多価アルコール、アルカノールアミン等の有機表面処理が挙げられる。また、複数種の表面処理を行ったものであってもよい。
【0047】
本発明の六角板状酸化亜鉛は、厚みが薄く、かつ粒子の大きさのばらつきが少ない粒子であることに起因して、優れたすべり性や感触を有するものであり、化粧料の原料として好適に使用することができるが、それ以外にも、放熱性フィラー、放熱性樹脂組成物、放熱性グリース、ゴムの加硫促進剤、塗料・インキ用顔料、フェライトやバリスタ等の電子部品、医薬品、フィルム等の用途に好適に使用することができる。
【実施例】
【0048】
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」は「質量%(重量%)」を、「部」は「質量部(重量部)」を、それぞれ意味する。
【0049】
実施例1
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)78.4gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、そこに塩化ナトリウム1.15g(原料酸化亜鉛粒子に対して2mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と塩化ナトリウムの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、20℃で16時間乾燥することにより、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0050】
実施例2
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)78.4gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、そこに塩化アンモニウム1.05g(原料酸化亜鉛粒子に対して2mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と塩化アンモニウムとの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0051】
実施例3
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)76.8gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、そこに塩化ナトリウム2.30g(原料酸化亜鉛粒子に対して4.2mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と塩化ナトリウムとの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0052】
実施例4
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)64gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、そこに塩化ナトリウム11.49g(原料酸化亜鉛粒子に対して25mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と塩化ナトリウムとの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0053】
実施例5
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)76.8gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、そこに塩化リチウム1.67g(原料酸化亜鉛粒子に対して4.2mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と塩化リチウムとの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0054】
実施例6
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)79.2gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、そこに塩化アルミニウム六水和物2.37g(原料酸化亜鉛粒子に対して塩化アルミニウムが1mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と塩化アルミニウムとの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0055】
実施例7
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)79.6gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、塩化アルミニウム六水和物1.19g(原料酸化亜鉛粒子に対して塩化アルミニウムが0.5mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と塩化アルミニウムとの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0056】
実施例8
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)78.4gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、そこに塩化アルミニウム六水和物4.75g(原料酸化亜鉛粒子に対して塩化アルミニウムが2mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と塩化アルミニウムとの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0057】
実施例9
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)80gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、そこに塩化ナトリウム11.49g(原料酸化亜鉛粒子に対して塩化ナトリウムが20mol%)、塩化アルミニウム六水和物0.07g(原料酸化亜鉛粒子に対して塩化アルミニウムが0.03mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と塩化アルミニウムとの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0058】
比較例1
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)80gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛との混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0059】
比較例2
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)78.4gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、そこに硫酸ナトリウム2.79g(原料酸化亜鉛粒子に対して硫酸ナトリウムが2mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と硫酸ナトリウムとの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0060】
比較例3
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)78.4gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、そこに硫酸アンモニウム2.60g(原料酸化亜鉛粒子に対して硫酸アンモニウムが2mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に混合しながら120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と硫酸アンモニウムとの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0061】
比較例4
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)78.4gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、そこに硝酸ナトリウム1.67g(原料酸化亜鉛粒子に対して硝酸ナトリウムが2mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と硝酸ナトリウムとの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0062】
比較例5
原料酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50 比表面積換算粒子径0.02μm)76.8gを399mlの水にリパルプしてスラリーを得た。また、酢酸亜鉛としての濃度が1.30mol/lの酢酸亜鉛水溶液601mlを調製し、炭酸ナトリウム4.17g(原料酸化亜鉛粒子に対して炭酸ナトリウムが4.2mol%)を添加した。上述のスラリーと酢酸亜鉛水溶液を、30℃に制御した水200ml中に同時添加して120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.65mol/lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛粒子と炭酸ナトリウムの混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌しながら65分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で2時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、得られたケーキをさらに水にリパルプし、95℃に加熱して2時間撹拌した後、ろ過、洗浄(水洗)し、120℃で16時間乾燥することにより、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
【0063】
酸化亜鉛粒子の物性評価
実施例1〜9、比較例1〜5で製造された酸化亜鉛粒子の各種物性を以下の方法で測定し、結果を表1に示した。
更に、実施例1、2、4、比較例1〜5で製造された酸化亜鉛粒子について、走査型電子顕微鏡JSM−6510A(日本電子社製)観察で得られた電子顕微鏡写真を
図1〜8に示した。
<粒子の形状>
粒子の形状は走査型電子顕微鏡JSM−6510A(日本電子社製)で観察して確認した。
<アスペクト比>
走査型電子顕微鏡JSM−6510A(日本電子社製)で撮影した写真の2000〜50000倍の視野において、六角板状酸化亜鉛粒子の六角板状面が真正面を向いている粒子のその対角線径(六角板状酸化亜鉛粒子の六角板状面の3本の対角線のうちの任意の1本の対角線の長さ)で定義される粒子径(μm)を粒子100個分計測した平均値をL、六角板状酸化亜鉛粒子の側面が真正面を向いている粒子(長方形に見える粒子)のその厚み(μm)(長方形の短い方の辺の長さ)を粒子100個分計測した平均値をTとしたとき、それらの値の比;L/Tとして求めた値をアスペクト比とした。
<D10、D50(メジアン径)、D90>
走査型電子顕微鏡JSM−6510A(日本電子社製)で撮影した写真の2000〜50000倍の視野での対角線径(六角板状酸化亜鉛粒子の六角板状面の3本の対角線のうちの任意の1本の対角線の長さ)で定義される粒子径(μm)であって、SEM写真内で粒子100個分の対角線径を計測し、その累積分布を算出した。
個数基準での10%、50%、90%の積算粒径を各々D10、D50、D90とした。
<BET比表面積>
BET比表面積(m
2/g)は、全自動BET比表面積測定装置Macsorb(Mountech社製)により測定した。
<350nm全光透過率、400nm平行光透過率>
350nm全光透過率、400nm平行光透過率は分光光度計(日本分光社製V−570型)により測定した値である。実施例および比較例で得られた酸化亜鉛粒子2g、アクリルポリオール樹脂10g、キシレン5g、酢酸ブチル5g、1.5mmφガラスビーズ38gを75mlマヨネーズビンに入れ、ペイントコンディショナーにて90分振とうし分散液を得た。得られた分散液をスライドガラスにバーコーター#6で塗布し、分光光度計(日本分光社製V−570型)を用いて波長350nmにおける全光透過率、及び波長400nmにおける平行光透過率を測定した。
<感触>
少量の粉体を肌の上に置き、指で粉体を引き伸ばした時に感じる感触において、粉体の滑り性とざらつき感を示す指標である。滑り性が良くざらつきを感じないものほど点数が高く、滑り性が悪くざらつきを感じるものほど点数が低いものとし、比較例1の粉体を基準(5点)として、各試料について、1点〜10点の10段階で点数をつけた。
【0064】
【表1】
本発明は六角板状酸化亜鉛を製造する方法であって、該製造方法は、原料酸化亜鉛粒子と酢酸亜鉛溶液と、塩化物を含む混合スラリーを調製する工程(1)および工程(1)で得られた混合スラリーを60℃〜100℃にて加熱熟成する工程(2)を含む六角板状酸化亜鉛の製造方法である。