特許第6451921号(P6451921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6451921
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】香りケース
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/00 20060101AFI20190107BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20190107BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   A45D34/00 510A
   B65D83/00 F
   B65D85/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-231705(P2013-231705)
(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公開番号】特開2015-91287(P2015-91287A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2015年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】710007423
【氏名又は名称】川崎 和博
(72)【発明者】
【氏名】川崎 和博
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−30999(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3094787(JP,U)
【文献】 特開2000−254560(JP,A)
【文献】 特開2014−132984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00 − 34/02
A61L 9/12
B65D 83/00
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定外径有底筒状の基本筒部(1)と所定外径有底筒状の蓋体筒部(2)で両者内側間の対向筒部を嵌合部(3)を介して組付け、蓋体筒部(2)内周部に、揮発室(4)または揮発開口(13)部を有する香気保持体(5)の基端部を取付け、蓋体筒部(2)の有底壁(6)に香気通路(7)を開口する構成とし、香気保持体(5)は、略等径で細長い揮発筒(18)と、その外周囲を覆う外周パイプ(23)と、外周パイプ(23)から内端方向に突設する細管パイプ(14)の組合せであって、揮発筒(18)の基端外径側を小径とした外方細径筒部(26)とすると共に、内径側には軸心方向に向かう調整孔(33)を設け、内端側外周囲に香液通過間隙(28)を設け、その揮発筒(18)外周面に1本の螺旋小溝(17)を刻設し、細管パイプ(14)内には、先端開口部(32)付きの1本の小孔(31)を設けていることを特徴とした香りケース。
【請求項2】
所定外径有底筒状の基本筒部(1)と所定外径有底筒状の蓋体筒部(2)で両者内側間の対向筒部を嵌合部(3)を介して組付け、蓋体筒部(2)内周部に、揮発室(4)または揮発開口(13)部を有する香気保持体(5a)の基端部を取付け、蓋体筒部(2)の有底壁(6a)に香気通路(7a)を開口する構成とし、香気保持体(5a)は、略等径で細長い浸透性材から成る香気保持筒(18a)と、その外周囲を覆う外周パイプ(23)と、外周パイプ(23)から内端方向に突設する細管パイプ(14)の組合せとし、香気保持筒(18a)の基端側に揮発開口(13)部を臨ませ、内端側に香液吸入端部(28a)を位置させ、細管パイプ(14)内には、先端開口部(32)付きで毛細管現象可能内径とした1本の小孔(31)を設けていることを特徴とした香りケース。
【請求項3】
所定外径有底筒状の基本筒部(1)と所定外径有底筒状の蓋体筒部(2)で両者内側間の対向筒部を嵌合部(3)を介して組付け、蓋体筒部(2)内周部に、揮発室(4)または揮発開口(13)部を有する香気保持体(5b)の基端部を取付け、蓋体筒部(2)の有底壁(6a)に香気通路(7a)を開口する構成とし、香気保持体(5b)は、外周パイプ(23)内周の基端側に略等径で細長い非浸透性材から成り外周面に1本の短螺旋小溝(17c)を刻設した短揮発筒(18c)を配設し、内端側に浸透性材から成る短香気保持筒(18b)とを配し、外周パイプ(23)の内端からさらに内方側に突設する細管パイプ(14)を設け、この細管パイプ(14)内には、先端開口部(32)付きの1本の小孔(31)を設けていることを特徴とした香りケース。
【請求項4】
基本筒部(1)と蓋体筒部(2)を、両者内側間に備えている嵌合部(3)を緩めて二つに分離したとき、蓋体筒部(2)有底壁(6)(6a)側の内周部に基端を取り付けられる香気保持体(5)(5a)(5b)の他端は、微小な毛細管現象可能内径とした1本の小孔(31)を有する細管パイプ(14)(14a)部分が、蓋体筒部(2)の嵌合部(3)から外方に大きく突出していることを特徴とした請求項1、または請求項2、または請求項3記載の香りケース。
【請求項5】
香りケース本体の筒部の両外側端部の径小筒部(10)と径小蓋部(11)部分には、同内径とした密閉キャップ(19)または通路付キャップ(20)(20b)の何れかを着脱自由に取付ける構成としたものに於て、蓋体筒部(2)の外端部に設ける径小蓋部(11)有底壁(6a)に開口する香気通路(7a)の数を平面視360度から平面視180度の一側がわに半減すると共に、他側180度がわの壁面に半円弧状の天井面(38)を設け、これ等の外周囲を覆う通路付キャップ(20b)に設ける数を半減した開口通路(22a)を、前記天井面(38)に接近していることを特徴とした請求項1、または請求項2、または請求項3記載の香りケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高価な香水液を少しの量であっても、長時間に亘ってほのかな香りを楽しもうとする携帯用香りケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の香水は、本人の体臭を消し、香りをつけるために用いられることが多く、首廻りや脇下や手首等の皮膚面に直接塗布したり、着衣や帽子や手袋等に噴霧散布する場合が通常であった。
しかし、このような使用状態では、揮発当初に置いては強烈な香りが漂い他人に不快感を与えたり、着衣や他物に香水液染みを付けたり、高価な香水液を多く消費して維持費が増えるものと成っていた。
【0003】
また、日本においては、ほのかな残り香を愉しむために、香袋を用いたり着衣にお香の匂いをたきこむ等の、優雅な作法も残っている。
そこで現代でも、なるべく香りを抑えながら、個性的な香りを漂わせるために、耳たぶや手首内側等に、香水一滴を付ける等している。
これ等の場合は、暑くて汗をかいたり、顔や手・腕を洗うと、香の匂いが消滅したり変動してしまい、香りを安定して持続発生することが難かしかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−313600号公報
【特許文献2】特開2002−058530号公報
【特許文献3】特開2011−030999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明で解決しようとする課題は、従来使用時の香水の強烈な香りを抑え、高価な香水であってもほのかな香りを永い時間に亘って発散させ、揮発通路の形状や断面積を絞ることで香水の使用量を減じ、揮発室又は揮発開口経由で香水の外部発散を行なうことで、自分の好きな香り、ほのかな匂いを低コストで愉しみながら、外部への液ダレや液ジミ等の不具合は防止しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、前記課題を解決するために、次のような技術手段を講じている。
まず、請求項1に記載の発明は、所定外径有底筒状の基本筒部(1)と所定外径有底筒状の蓋体筒部(2)で両者内側間の対向筒部間に備えた嵌合部(3)を介して組付けることで空洞筒のケース体を構成し、蓋体筒部(2)内周部に、揮発室(4)や揮発開口(13)部がわを有する香気保持体(5)の基端部を取付け、蓋体筒部(2)の有底壁(6)に香気通路(7)を開口する構成とし、香気保持体(5)は、略等径で細長い揮発筒(18)と、その外周囲を覆う外周パイプ(23)と、外周パイプ(23)から内端方向に突設する細管パイプ(14)の組合せであって、揮発筒(18)の基端外径側を小径とした外方細径筒部(26)とすると共に、内径側には軸心方向に向かう調整孔(33)を設け、内端外周囲に香液通過間隙(28)を設け、その揮発筒(18)外周面に1本の螺旋小溝(17)を刻設し、細管パイプ(14)内には、先端開口部(32)付きの1本の小孔(31)を設けていることを特徴とした香りケースの構成とする。
【0007】
この構成としたことにより、基本筒部(1)と蓋体筒部(2)を嵌合部(3)で一体化して空洞筒のケース体を構成し、このケース体内の開口部分である香気通路(7)に内接するように、香気保持体(5)の揮発室(4)や揮発開口(13)部がわを取り付けるので、揮発室(4)や揮発開口(13)部がわから発散する香気をケース体外部に発散容易としながら、調整孔(33)の容量を変えることで香気保持体(5)内部で、香気剤の急劇な揮発変化を抑制することが容易に行なえる。
【0008】
つぎに、請求項2に記載の発明は、 所定外径有底筒状の基本筒部(1)と所定外径有底筒状の蓋体筒部(2)で両者内側間の対向筒部間に備えた嵌合部(3)を介して組付けることで空洞筒のケース体を構成し、蓋体筒部(2)内周部に、揮発室(4)や揮発開口(13)部がわを有する香気保持体(5a)の基端部を取付け、蓋体筒部(2)の有底壁(6a)に香気通路(7a)を開口する構成とし、香気保持体(5a)は、略等径で細長い浸透性材から成る香気保持筒(18a)と、その外周囲を覆う外周パイプ(23)と、外周パイプ(23)から内端方向に突設する細管パイプ(14)の組合せとし、香気保持筒(18a)の基端側に揮発室(4)や揮発開口(13)部がわを臨ませ、内端側に香液吸入端部(28a)がわを位置させ、細管パイプ(14)内には、先端開口部(32)付きで毛細管現象可能内径とした1本の小孔(31)を設けていることを特徴とした香りケースの構成とする。
【0009】
この構成とすることにより、香液吸入側の小孔(31)を毛細管現象で上方移動させる微小な内径を経た香液を、香液吸入端部(28a)から香気保持筒(18a)の浸透性材中に少量の香液や香り成分の気体として吸入し残留し保持しておくことができると共に、基端側の揮発開口(13)部に向かって浸透性材中の複数個所を、少量の香液や香気が連続して移動するから、安定した香気を長期に亘って供給できる。
【0010】
そして、請求項3に記載の発明は、所定外径有底筒状の基本筒部(1)と所定外径有底筒状の蓋体筒部(2)で両者内側間の対向筒部間に備えた嵌合部(3)を介して組付けることで空洞筒のケース体を構成し、蓋体筒部(2)内周部に揮発室(4)や揮発開口(13)部がわを有する香気保持体(5b)の基端部を取付け、蓋体筒部(2)の有底壁(6a)に香気通路(7a)を開口するものであって、香気保持体(5b)は、外周パイプ(23)内周の基端側に略等径で細長い非浸透性材から成り外周面に1本の短螺旋小溝(17c)を刻設した短揮発筒(18c)を配設し、内端側に浸透性材から成る短香気保持筒(18b)とを配し、外周パイプ(23)の内端からさらに内方側に突設する細管パイプ(14)を設け、この細管パイプ(14)内には、先端開口部(32)付きの1本の小孔(31)を設けていることを特徴とした香りケースの構成とする。
【0011】
そして、この構成とすることにより、香液吸入側の小孔(31)を経た香液を、短香気保持筒(18b)の浸透性材中に少量の香液や香り成分として残留しておきながら、その外方の短揮発筒(18c)の1本の短螺旋小溝(17c)を経て外部へと、小溝で絞りながら香気を永く排出案内することができる。
【0012】
さらに、請求項4記載の発明は、基本筒部(1)と蓋体筒部(2)を、両者内側間に備えている嵌合部(3)を緩めて二つに分離したとき、蓋体筒部(2)有底壁(6)(6a)側の内周部に(一端を)取り付けられる香気保持体(5)(5a)(5b)(の他端)は、微小な毛細管現象可能内径とした1本の小孔(31)を有する細管パイプ(14)(14a)部分が、蓋体筒部(2)の嵌合部(3)から外方に大きく突出していることを特徴とした請求項1、または請求項2、または請求項3記載の香りケースの構成とする。
【0013】
そして、この構成とすることにより、外方に突出した細菅パイプ(14)(14a)の先端開口部(32)を他の香水壜に差し込むのが、細管パイプだけの挿入なので、簡単に行なえる。
また、先端開口部(32)を下方の香水液に浸すと、毛細管現象で自動的に、香水液を細菅パイプ(14)(14a)の小孔(31)を経て上方へ吸引移動案内することができる。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、基本筒部(1)と蓋体筒部(2)であるケース体筒部両外端の径小筒部(10)と径小蓋部(11)部分には、同内径とした密閉キャップ(19)または通路付キャップ(20)(20b)の何れかを着脱自由に取付ける構成としたものに於て、蓋体筒部(2)の外端部に設ける径小蓋部(11)有底壁(6a)に開口する香気通路(7a)の数を平面視360度から平面視180度の一側がわに半減すると共に、他側180度がわの壁面に半円弧状の突起である開口通路閉鎖壁(37)とその天井面(38)を設け、これ等の外周囲を覆う通路付キャップ(20b)に設ける数を平面視で同様に半減した開口通路(22a)を、前記天井面(38)に接近して設けていることを特徴とした請求項1、または請求項2、または請求項3記載の香りケースの構成とする。
【0015】
この構成としたことにより、香りケースの径小蓋部(11)に設けた香気通路(7)(7a)を密閉キャップ(19)(19a)で覆うと香気のケース外飛散を防止でき、香気通路(7)(7a)を通路付きキャップ(20)(20a)(20b)で覆う時は香気の飛散が自由となる。そして、非使用時のキャップは、径小筒部(10)に固定しておけるから、夫々のキャップを無くすことも防げる。
また、香気通路(7a)の数を一側がわ180度に半減する通路付キャップ(20b)としその開口通路(22a)を、図15の矢印Fで示すように、径小蓋部(11)の有底壁(6a)に開口する香気通路(7a)と対向した位置から、天井面(38)に対向する位置へと回転操作することで、香気の飛散を開閉操作できる。
【発明の効果】
【0016】
まず、請求項1の発明は、所定外径有底筒状の基本筒部(1)と所定外径有底筒状の蓋体筒部(2)で両者内側間の対向筒部間に備えた嵌合部(3)を介して組付けることで空洞筒のケース体を構成し、蓋体筒部(2)内周部に、揮発室(4)や揮発開口(13)部がわを有する香気保持体(5)の基端部を取付け、蓋体筒部(2)の有底壁(6)に香気通路(7)を開口する構成とし、香気保持体(5)は、略等径で細長い揮発筒(18)と、その外周囲を覆う外周パイプ(23)と、外周パイプ(23)から内端方向に突設する細管パイプ(14)の組合せであって、揮発筒(18)の基端外径側を小径とした外方細径筒部(26)とすると共に、内径側には軸心方向に向かう調整孔(33)を設け、内端側外周囲に香液通過間隙(28)を設け、その揮発筒(18)外周面に1本の螺旋小溝(17)を刻設し、細管パイプ(14)内には、先端開口部(32)付きの1本の小孔(31)を設けていることを特徴とした香りケースとしているので、揮発室(4)や揮発開口(13)部から発散する香気をケース体外部に発散容易としながら、香気保持体(5)内部の小間隙部や大間隙部の調整孔(33)等で香気剤の急劇な揮発変化を抑制することが容易に行なえる。
【0017】
そして、請求項2の発明は、所定外径有底筒状の基本筒部(1)と所定外径有底筒状の蓋体筒部(2)で両者内側間の対向筒部間に備えた嵌合部(3)を介して組付けることで空洞筒のケース体を構成し、蓋体筒部(2)内周部に、揮発室(4)や揮発開口(13)部がわを有する香気保持体(5a)の基端部を取付け、蓋体筒部(2)の有底壁(6a)に香気通路(7a)を開口する構成とし、香気保持体(5a)は、略等径で細長い浸透性材から成る香気保持筒(18a)と、その外周囲を覆う外周パイプ(23)と、外周パイプ(23)から内端方向に突設する細管パイプ(14)の組合せとし、香気保持筒(18a)の基端側に揮発室(4)や揮発開口(13)部がわを臨ませ、内端側に香液吸入端部(28a)がわを位置させ、細管パイプ(14)内には、先端開口部(32)付きで毛細管現象可能内径とした1本の小孔(31)を設けていることを特徴とした香りケースとしているので香液吸入側の小孔(31)を経た香液を、香液吸入端部(28a)から香気保持筒(18a)の浸透性材中に少量の香液や香り成分として吸入し残留しておくことができると共に、大きな残留体積に比し基端側の小さな揮発開口(13)部に向かって、浸透性材中の複数個所を香気が連続して移動するから、安定した香気を長期に亘って供給し発散することができる。
【0018】
また、請求項3の発明は、所定外径有底筒状の基本筒部(1)と所定外径有底筒状の蓋体筒部(2)で両者内側間の対向筒部間に備えた嵌合部(3)を介して組付けることで空洞筒のケース体を構成し、蓋体筒部(2)内周部に揮発室(4)や揮発開口(13)部がわを有する香気保持体(5b)の基端部を取付け、蓋体筒部(2)の有底壁(6a)に香気通路(7a)を開口するものであって、香気保持体(5b)は、外周パイプ(23)内周の基端側に略等径で細長い非浸透性材から成り外周面に1本の短螺旋小溝(17c)を刻設した短揮発筒(18c)を配設し、内端側に浸透性材から成る短香気保持筒(18b)とを配し、外周パイプ(23)の内端からさらに内方側に突設する細管パイプ(14)を設け、この細管パイプ(14)内には、先端開口部(32)付きの1本の小孔(31)を設けていることを特徴とした香りケースとしているので、香液吸入側の小孔(31)を経た香液を、短香気保持筒(18b)の浸透性材中に少量の香液や香り成分として保有しておきながら、その外方の短揮発筒(18c)の1本の短螺旋小溝(17c)で大きく絞ってから外部に香気を排出案内するので、ほのかな香りを長期間発散することができる。
【0019】
そして、請求項4の発明は、基本筒部(1)と蓋体筒部(2)を、両者内側間に備えている嵌合部(3)を緩めて二つに分離したとき、蓋体筒部(2)有底壁(6)(6a)側の内周部に基端を取り付けられる香気保持体(5)(5a)(5b)の他端は、微小な毛細管現象可能内径とした一本の小孔(31)を有する細管パイプ(14)(14a)部分が、蓋体筒部(2)の嵌合部(3)から外方に大きく突出していることを特徴とした請求項1、または請求項2、または請求項3記載の香りケースの構成としているから、香りケース本体の嵌合部(3)を緩め方向に回転して、筒体蓋部(2)に香気保持体(5)(5a)(5b)を内装したまま香りケース本体を2分割し、分割後の筒体蓋部(2)の嵌合部(3)から外方に大きく突出する細管パイプ(14)(14a)の先端開口部(32)を、香水液中に浸すだけで、細管パイプ(14)(14a)内には、香水液を毛細管現象で上方移動させることができ取扱い操作が容易である。
【0020】
さらに、請求項5の発明は、基本筒部(1)と蓋体筒部(2)であるケース体筒部両外端の径小筒部(10)と径小蓋部(11)部分には、同内径とした密閉キャップ(19)または通路付キャップ(20)の何れかを着脱自由に取付ける構成としたものに於て、蓋体筒部(2)の外端部に設ける径小蓋部(11)有底壁(6a)に開口する香気通路(7a)の数を平面視360度から平面視180度の一側がわに半減すると共に、他側180度がわの壁面に半円弧状の天井面(38)を設け、これ等の外周囲を覆う通路付キャップ(20b)に設ける数を平面視で同様に半減した開口通路(22a)を、前記天井面(38)に接近していることを特徴とした請求項1、または請求項2、または請求項3記載の香りケースとしているので、香りケースの径小蓋部(11)に設けた香気通路(7)(7a)を密閉キャップ(19)で覆うと香気のケース外飛散を防止でき、香気通路(7)(7a)を通路付きキャップ(20)(20b)で覆う時は香気の飛散が自由となり、さらに、開口通路(22a)を、前記天井面(38)に対し遠近方向に回転操作するだけで香気飛散の開閉量を比例制御できる。
そして、非使用時のキャップは、径小筒部(10)に固定しておけるから、夫々のキャップを無くすことも防げる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】上方香り発散方式「A」における、全体の正面断面図である。
図2】下方香り発散方式「B」における、全体の正面断面図である。
図3】要部の、香気保持体「1型」における、一側方斜視図である。
図4】要部の、香気保持体「1型」における、他側方斜視図である。
図5】要部の、他の香気保持体「2型」における、一側方斜視図である。
図6】要部の、他の香気保持体「3型」における、一側方斜視図である。
図7】要部の香気保持体を、別形態とした、正面断面図である。
図8】基本筒部、単品説明用の斜視図である。
図9図2の、下方香り発散方式「B」における、全体斜視図である。
図10図2の底面図である。
図11】要部の一部材である、揮発筒「1型」の拡大斜視図である。
図12】香気保持体「2型」における、全体の正面断面図である。
図13】香気保持体「3型」における、全体の正面断面図である。
図14】香気通路と開口通路の別図例における、展開斜視図である。
図15図14の、開口通路部の平面図である。
図16図14の、香気通路部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を、図面に基づいて具体的に説明するが、本願発明の範囲は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。特段の説明が無い限り、同様の作用、効果が有るものは全て含むものである。
【0023】
先ず、図1で示す「上方香り発散方式」の形態Aで、説明する。
樹脂材で構成する、図例の香りケースには、公知文献と同様にクリップ(21)が付いており、衣服類や身のまわり小物類に取り付け携帯可能としている。
図例では、クリップ(21)が通路付キャップ(20)と一体化しており、この通路付キャップ(20)の開口通路(22)と、蓋体筒部(2)の有底壁(6)に設けた香気通路(7)が、空隙(35)を介し対向接近して臨んでいる。
【0024】
この空隙(35)空間に細粒度の異なるフィルター体(36)を変更挟持する場合、粒度変更で、香気の通過時間長短を調節することができる。
蓋体筒部(2)の基端一端側である有底壁(6)側は、円筒体の外径を細くした径小蓋部(11)としているが、蓋体筒部の外径を同寸法としキャップ内径を大きくする形態にすれば、円筒体の製作がより容易になる。
また、図例の筒体は円筒の方が製作容易であるが、角筒であっても収納室(29)である内部空間のあるケース体で、同様の効果があれば、形状は多角形の筒体としていても良い。
【0025】
径小蓋部(11)内径方向には、同芯状に取付孔(12)が設けられ、香気保持体「1型」(5)の基端部が嵌入取り付けされ、この基端部分では香気が開口(13)を介して外気と連通可能としている。
香気保持体(5)の第1図例「1型」は、図3図4で詳示のように、複数の部材を組み合わせて構成しており、外周パイプ(23)内に揮発筒(18)を挿入している。
外周パイプ(23)は、基端部側の外径「D」部分を取付孔(12)と略同径とし、反取付孔方向の突出端側に、細管で内部に一本の円形通路である小孔(31)を有する細管パイプ(14)(14a)を、一体または図7で示す別体化としての取り付けとしている。
【0026】
図7で示すものは、別構成の外周パイプ(23a)と細管パイプ(14a)の、二部材を組み合わせて一体化する香気筒「組」(39)であって、外周パイプ(23a)突出端側に設けた取付座(40)の小孔(41)に、細管パイプ(14a)の一端を挿入したものであり、他端は先端開口部(32)としている。
細管パイプ(14a)は、エラストマーや軟質プラスチック材等から成る、長寸の細長い円形チューブ材を必要な長さに切断して利用するもので、等径の市販パイプを使えば、樹脂材の外周パイプ(23a)に長くて細い細管パイプを一体して突出する部分が無くなり、外周パイプ(23a)の製作が容易である。
この香気筒「組」(39)は、「1型」の香気保持体(5)や、後述する「2型」の香気保持体(5a)、「3型」の香気保持体(5b)等の、別形態の香気筒「組」(39)として、何れに利用するのも可能である。
【0027】
「1型」に戻って、外周パイプ(23)の有底壁(6)接触側は一定肉厚で同芯の内方取付孔(16)としており、この内方取付孔(16)内に揮発筒(18)を挿入している。
第1図例「1型」では、図4で示すように、入口側を径大とした径大内側孔(34)としている。
図3で示すように、揮発筒(18)は,ロケットの弾頭状に先端部をテーパー(24)状に尖らせた形状として押込み容易とし、外周パイプ(23)の内方取付孔(16)内周面に、揮発筒(18)筒体外周面を密着させ一体化している。
【0028】
次に、第1図例「1型」の揮発筒(18)の細部について、図3図4図11を主体に説明する。
テーパー(24)の先端面には1本の案内溝(25)が設けられ、筒体外周面には1本の螺旋小溝(17)が刻設されている。
外周パイプ(23)の内方取付孔(16)内周面に、一体取付した揮発筒(18)筒体外周面の螺旋小溝(17)は、毛細管現象を利用する範囲の細溝断面である時、揮発室(4)近傍まで香水液として到達する。
また、揮発筒体外周面の有底壁(6)接触側は、外方細径筒部(26)として間隙を広くして毛細管現象を断ち、液の気化を促している。
【0029】
揮発筒(18)体外周面の細管パイプ(14)接触側は、内方細径筒部(27)として香液通過を図っている。さらに、テーパー(24)の表面部も、外周パイプ(23)の内方取付孔(16)の先端テーパー面に対し、図1図4で示すように、後述する香水液通過のため、孔内壁面との間に通過間隙(28)を有する斜面としている。
【0030】
先述したように、揮発筒(18)の外方細径筒部(26)と、外周パイプ(23)の径大内側孔(34)の間に設けた間隙を、揮発室(4)としている。
これ等の、細管パイプ(14)と外周パイプ(23)と揮発筒(18)を一体組付化することで、図1で示す揮発室(4)付きの香気保持体「1型」(5)を構成している。
また、図7で示す別形態の香気筒「組」(39)を、「1型」に利用しても、同効である。
【0031】
前記の香気保持体「1型」(5)を、蓋体筒部(2)の取付孔(12)内の外端方一部分に、揮発室(4)または開口(13)部側が有底壁(6)の香気通路(7)に対向する如く嵌入や圧入や挿入し、または、接着剤等で一体固着の状態とすれば、蓋体筒側の部材組立ては完了する。
また、蓋体筒部(2)内端方の軸孔内周面には、雌ネジ(9)が設けられており、嵌合部(3)の説明時に後述する。
【0032】
次に、第2図例「2型」の香気保持体(5a)について、「1型」と異なる点を主体に、図5図12で説明する。
図5で示す「2型」の香気保持体(5a)は、外周パイプ(23)や細菅パイプ(14)等を「1型」と同形部材の透明な樹脂材とし、外周パイプ(23)内に内装する香気保持筒(18a)を、「1型」とは別部材の、綿やスポンジ等の浸透性材としている。
また、図7で示す別形態の香気筒「組」(39)を、「2型」に利用しても、同効である。
【0033】
香気保持筒(18a)は、綿やスポンジ等の浸透性材から成り、図で示すように、単品時に揮発筒(18)と略同外形状である。
この香気保持筒(18a)を、プラスチック樹脂材の外周パイプ(23)内部に挿入すると、図12で示す「2型」の香気保持体(5a)と成る。
浸透性材は、外気接触表面積が大きいと、揮発量が大と成る性質を有するので、開口(13)側である出口側近傍のみを、図で示すように、小面積の香気発散面とし、他の入口テーパー面側から筒体外周囲を、外周パイプ(23)の内面に押し付けて、香液や香気の保持維持力を高めている。
【0034】
さらに、第3図例「3型」の香気保持体(5b)について、図6図13主体で説明する。
図6で示す「3型」の香気保持体(5b)は、外周パイプ(23)や細菅パイプ(14)等を「1型」と同部材とし、外周パイプ(23)内の下方に内装する短香気保持筒(18b)と、上方出口側に挿入する短揮発筒(18c)を、別部材としている。
【0035】
短香気保持筒(18b)は、綿やスポンジ等の浸透性材から成り、短揮発筒(18c)は「1型」と同素材のプラスチック樹脂材とし、両部材を組み付けると図13で示すように、「1型」の揮発筒(18)全体と、外形を略同形状としている。
また、図7で示す別形態の香気筒「組」(39)の構成を、「3型」に利用しても、同効である。
「3型」は、「1型」と「2型」の折衷案であり、以下、特徴点を説明する。
【0036】
「1型」が、長期間に亘り仄かな香りを発散し、「2型」が、大容量の浸透性材により多くの香気や香液を保有し、絞り部を少なくして香気を出し易くするものに対し、「3型」は、中程度の容量の浸透性材である短香気保持筒(18b)と、絞り部である短螺旋小溝(17c)とにより、細菅パイプ(14)の小孔(31)から吸引する香水液を、短香気保持筒(18b)部の浸透性材中で、液体又は気化させて保有し、絞り部である短螺旋小溝(17c)部では、液体の場合ゆっくりと螺旋小溝に送りながら揮発室で気化させ、気化状態の香気を搬送する時は、絞り部で目詰まりを生じず香気の流れを阻害しないものとしている。
【0037】
次に、基本筒部(1)側の部材について、説明する。
図1図8で示す基本筒部(1)は、透明樹脂材から成る有底筒状の構成としており、図例では円筒状の収納室(29)を設けている。
そして、外方端部は細径の径小筒部(10)とし、内端細径軸筒(30)部に雄ネジ(8)を設け、前述した蓋体筒部(2)の雌ネジ(9)と、この雄ネジ(8)とを係合締め付ける嵌合部(3)としている。
【0038】
この嵌合部(3)を介して、基本筒部(1)と、香気保持体(5)を内装した蓋体筒部(2)を一体化すると、香りケース本体「K」が出現する。
この香りケース本体「K」は、図1で示す「上方香り発散方式」である形態Aに於いても、図2として後述する「下方香り発散方式」である形態Bに於いても、単に上下反転して使用するだけで、同部品の構成としている。
【0039】
図1で示すように、「上方香り発散方式」の形態Aでは径小蓋部(11)に、開口通路(22)を有しクリップ(21)付きの通路付キャップ(20)を取り付け、径小筒部(10)に、密閉キャップ(19)を被せている。
香りの発散を規制する時は、図例上下の夫々のキャップを入れ替えて取り付けると、香気通路(7)を密閉キャップ(19)が密閉する。
【0040】
また、別形態から成る香気の外部発散調整構成について、図12乃至図16を主体に説明する。
香気の発散量が大きく変動すると、ほのかな良い匂いであっても、きつい悪い匂いに感じたり、匂いが薄れる等の不具合を感じることがある。
図12図13の断面図で示す、「2型・3型」の香気保持体(5a)・(5b)に折り込んだ香気の外部発散調整構成は、図14の展開斜視図として示しているが、これは、「1型」の香気保持体(5)に折り込んでも、同効である。
【0041】
蓋体筒部(2)と径小蓋部(11)は「1型」と同構成で、異なる点は図で示すように、先ず、有底壁(6a)に開口する香気通路(7a)の数を、半減する事と、他側の壁面に半円弧状の突起である開口通路閉鎖壁(37)と、天井面(38)を設けている点である。
さらに、通路付キャップ(20b)に開口する通路の数を、図示のように半減した開口通路(22a)とした点である。
【0042】
この変更点による形態の、香気の外部発散調整を行うには、図14の展開斜視図状態の通路付キャップ(20b)を、同じ向きで蓋体筒部(2)の径小蓋部(11)に取り付けた、図12で示す断面図状態から、図15平面図で示す矢印F方向に180度回転して、図13で示す断面図状態まで通路付キャップ(20b)を回転する。
【0043】
この回転操作時に、開口通路(22a)が、開口通路閉鎖壁(37)の天井面(38)に回転接触し通路を閉鎖していく毎に、香気の外部発散が制限される。
矢印F方向に回転を続けるか、反転して図12図14の状態まで移動すれば、香気の外部発散は全開位置になる。
このように、香気発散は有段階としても、開閉調節できる。
【0044】
次に、ケース体内部での香気の流れや、各部の作用について説明する。
香りケース本体「K」の嵌合部(3)を緩め方向に回転して、筒体蓋部(2)に香気保持体(5)(5a)(5b)を内装したまま香りケース本体を2分割する。
基本筒部(1)や細菅パイプ(14)(14a)等を透明材としておくと、分割前に内部の香液状態を外から覗くことが可能である。
分割後、筒体蓋部(2)の嵌合部(3)から外方に大きく突出する細管パイプ(14)(14a)の先端開口部(32)を香水液に浸す。
【0045】
細管パイプ(14)(14a)内には、液体を毛細管現象で上方移動させる微小な内径を有する1本の小孔(31)が設けられており、先端開口部(32)から吸引される香水液は、小孔(31)を経て、[1型]の香気保持体(5)で説明すると、揮発筒(18)の先端に設けた案内溝(25)から微小な通過間隙(28)を経て、1本の螺旋小溝(17)に達する。
図示しないが、小孔(31)の内周壁面には、軸方向に複数本の細凹溝、または細凸溝を設けておくと、平滑面よりも吸引力を増やすことができる。
【0046】
螺旋小溝(17)下端に達した香水液は、今度は液体を毛細管現象で上方移動させる微小な1本の螺旋小溝(17)に沿って揮発室(4)方向に移動する。
本発明「1型」では、この小孔(31)と通過間隙(28)と螺旋小溝(17)等との合計容積を1本の小孔や狭隘間隙や小溝とすることで、微細な全体液の容量として香水液使用量を少なくしている。
【0047】
1本の螺旋小溝(17)の出口近傍に達した香水液は、広い空間の揮発室(4)入口部で気化し揮発室(4)内を香気成分で満たし、開口(13)部から香気通路(7)を経て、外部へ出て行く。
揮発室(4)の容積量は、図4で示すように、外方細径筒部(26)の外径寸法を細くすれば、外周パイプ(23)の内方取付孔(16)との間隙量が増え、太くすると減り、揮発室(4)は0から最大容量まで、設計時点で、必要に応じ増減調節することができる。
【0048】
さらに、揮発筒(18)には、軸芯部分に調整孔(33)を設けており、この調整孔(33)容量を大きくすると香り溜り部が増え、ほのかな香りの保持時間を永くする事もできる。
上方香り発散方式「A」では、前記状態の蓋体筒部(2)を、基本筒部(1)に嵌合部(3)を介して締め込むと、香りケース本体「K」となる。
【0049】
次に、「2型」の香気保持体(5a)について、図5図7図12で説明する。
外周パイプ(23)(23a)内部に、綿やスポンジ等の浸透性材から成る香気保持筒(18a)を挿入した状態での香水液の流れは、香りケース本体を2分割した、筒体蓋部(2)の嵌合部(3)から外方に大きく突出する細管パイプ(14)(14a)の先端を香水液に浸すと、毛管現象で吸引される香水液が香液吸入端部(28a)を経て、香気保持筒(18a)内に吸い上げられる。
【0050】
「2型」の、大きな浸透性材から成る香気保持筒(18a)には、「1型」よりも多くの香気を保有することができ、開口(13)部までの香気通過抵抗が「1型」より少なくなっており、香気を出し易くするものと成っている。
浸透性材は、外気接触表面積が大きいと、揮発量が大と成る性質を有するので、開口(13)側である出口側近傍のみを、小面積の香気発散面とし、他の入口テーパー面側から筒体外周囲を、外周パイプ(23)(23a)の内面に押し付けて、発散を抑制し香気の保持力を高めている。
図14で示す、通路付キャップ(20b)と、開口通路閉鎖壁(37)の天井面(38)利用の、有段階絞り方式とすると、更に香気発散を抑制し得る。
【0051】
さらに、「3型」の香気保持体(5b)について、図6図7図13主体で説明する。
図6で示す「3型」の香気保持体(5b)は、外周パイプ(23)(23a)や細菅パイプ(14)(14a)等を「1型」と同形部材とし、外周パイプ(23)(23a)内の下方に内装する短香気保持筒(18b)と、上方出口側に挿入する短揮発筒(18c)を、別部材としており、短香気保持筒(18b)は、綿やスポンジ等の浸透性材から成り、短揮発筒(18c)は「1型」と同素材とし、両部材を組み付けると図13で示すように、「1型」で示す揮発筒(18)全体と、外形を略同形状としている。
【0052】
「3型」は、「1型」と「2型」の折衷案であり、以下、特徴点を説明する。
「1型」が、長期間に亘り仄かな香りを発散し、「2型」が、大きな浸透性材により多くの香気容量を保有し、絞り部を少なくして香気を出し易くするものに対し、「3型」構成は、中程度の浸透性材である短香気保持筒(18b)と、絞り部である短螺旋小溝(17c)とにより、細菅パイプ(14)(14a)から吸引する香水液を、短香気保持筒(18b)部の浸透性材中で液体又は気化させて保有し、絞り部である短螺旋小溝(17c)部に、液体又は気化状態の香気を作用させるから、小さな絞り部で目詰まりを生じ難くし香気の流れを阻害しない。
【0053】
別形態の、下方香り発散方式「B」について、図2を主体に説明する。
下方香り発散方式「B」では、香りケース本体「K」を上下反転して使用するだけで、部材の形状に変更は無いので、作用や効果で異なっている点を主体に説明し、「A」方式と変わらない点は省略する。
【0054】
部材として、変更するものは、通路付キャップ(20a)と密閉キャップ(19a)のみであり、以下、説明する。
通路付キャップ(20a)は、香りケース本体「K」の下端部に配する、蓋体筒部(2)の有底壁(6)に開口する香気通路(7)全体外周を覆う、着脱自在のキャップである。
密閉キャップ(19a)は、クリップ(21)を一体化しており、香りケース本体「K」の基本筒部(1)上端部に取り付けている。
【0055】
この状態で、揮発室(4)や調整孔(33)内の香気は、香気通路(7)からキャップの開口通路22を経て、香りケース本体「K」の下部から外部に放出される。
香水液は、揮発筒(18)の1本の微細な螺旋小溝(17)内を毛細管現象にて進んで行くが、揮発室(4)入り口部の間隙が広くなり毛細管現象が起こらず、また、細管パイプ(14)の小孔(31)から新たな液補給も無いので、香水液が滴下漏出する恐れも生じず、安定した香気のみの発生を続けることができる。
【0056】
また、先述のように、空隙(35)部に各種のフィルター体(36)を挿入挟持すると、香気揮発発散の時間長短を変更できる。
香気の外部への発散を止める時は、上下のキャップを差し替えて、密閉キャップ(19a)で、香りケース本体「K」の下端部に設けた蓋体筒部(2)の有底壁(6)に開口する香気通路(7)全体を覆えば良い。
また、図例の香りケース本体では、上下両端部を径小筒部(10)と径小蓋部(11)としているが、中央部分の筒体と同径の両端部とし、キャップ側の内径を大きくしていても同効である。
【0057】
本願発明の特徴は、揮発室または揮発開口部と、1本の通路から成る毛細管式の液吸上通路を内装した香気保持体とを、その吸液口である先端開口部を香水液中に浸けるだけで、微量の香水液を毛細管現象で揮発室開口部近傍までの微細部分に移動保管する「1型」香気保持体と、1本の通路から成る毛細管式の液吸上通路の中間部途中に香気を少し膨張保管する「3型」香気保持体と、1本の通路から成る毛細管式の液吸上通路の後半部を大きな浸透性材により多くの香気を保有して、放出可能香気を出し易くする「2型」香気保持体としたものである。
【0058】
また、通路付キャップの開口通路を有段階で開閉することで、香気保持体の形態に関わらず香りケース内に配した香気保持体の発散香気を、必要に応じ香気通路を絞ったり開閉することで、ほのかな香りを低コストで長時間に亘って提供しようとするものである。
図例中で、クリップを有しない香りケース図12図13図14では、両端のキャップの何れか、または、筒部、筒体の一部等に紐通し小孔部を設け、小孔に紐を付けてぶら下げれば良い。
また、各部材で透明材としての説明が特に無かった部材は、半透明材や不透明材や表面をメッキ等で処理し、それぞれの変化を楽しんで良い。
【符号の説明】
【0059】
1 基本筒部 2 蓋体筒部
3 嵌合部 4 揮発室
5 香気保持体「1型」 5a 香気保持体「2型」
5b 香気保持体「3型」 6 有底壁
6a 有底壁 7 香気通路
7a 香気通路 8 雄ネジ
9 雌ネジ 10 径小筒部
11 径小蓋部 12 取付孔
13 開口 14 細管パイプ
14a 細管パイプ 15 筒状中間部
16 内方取付孔 17 螺旋小溝
17c 短螺旋小溝 18 揮発筒
18a 香気保持筒 18b 短香気保持筒
18c 短揮発筒 19 密閉キャップ
19a 密閉キャップ 20 通路付キャップ
20a 通路付キャップ 20b 通路付キャップ
21 クリップ 22 開口通路
22a 開口通路 23 外周パイプ
23a 外周パイプ 24 テーパー
25 案内溝 26 外方細径筒部
27 内方細径筒部 28 通過間隙
28a 香液吸入端部 29 収納室
30 内端細径軸筒 31 小孔
32 先端開口部 33 調整孔
34 径大内側孔 35 空隙
36 フィルター体 37 開口通路閉鎖壁
38 天井面 39 香気筒「組」
40 取付座 41 小孔
A 上方香り発散方式 B 下方香り発散方式
D 外径 F 回転方向
K 香りケース本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16