(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
〔第1実施形態について〕
本発明の第1実施形態に係る災害用循環式水洗トイレシステム(以下、「循環式トイレシステム」という。)は、主として、一世帯から三世帯程度が居住する戸建て住宅や、比較的小規模のアパートの敷地内に設置される。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る循環式トイレシステムは、主要な構成要素として、水洗トイレ1と、災害時に水洗トイレ1から排出される屎尿等を含む汚水を浄化する浄化処理槽5と、雨水貯留槽7と、高架貯留槽91とを備えている。
【0014】
水洗トイレ1には汚水管2が接続されている。この汚水管2は、第1汚水管21と第2汚水管22とに分岐しており、切換え手段3によって、第1汚水管21又は第2汚水管22のいずれか一方に汚水を流入させることができる構成となっている。
【0015】
切換え手段3は、汚水管2に流入した汚水を、第1汚水管21又は第2汚水管22のいずれか一方に選択的に流入させることができればどのような構成のものでもよい。例えば、第1汚水管21への流入部と第2汚水管22への流入部にそれぞれバルブを設け、これらのバルブ操作によって、各流入部を開状態又は閉状態することによって、第1汚水管21又は第2汚水管22のいずれか一方に選択的に流入させることができる構成とすることができる(図示しない)。使用されるバルブは、弁体が汚水管2内の流路を仕切って開閉するゲートバルブ構造や、汚水管2内の円盤状の弁体が弁棒を軸に回転することで流体を制御するバタフライバルブ構造、逆流防止機能を備えるチャッキバルブ構造等種々のバルブを使用することができる。また、切換え手段3は、簡易かつ手動操作によって切換え可能な構造であることが好ましい。
【0016】
また、
図1に示すように、少なくとも汚水管2の一部を地上に露出させた状態にて水洗トイレ1に接続しておくことが好ましい。このようにすれば、例えば、大地震が発生した場合に地中に埋没させた汚水管2、第2汚水管22、切換え手段3等が破損した場合であっても、第2予備汚水管23の一端を地上に露出させた汚水管2の一部に接続させると共に、他端を浄化処理槽5の沈殿分離槽53の開口部57等に接続させることにより、汚水を浄化処理槽5に流入させることができる。
【0017】
汚水管2から分岐した第1汚水管21は、下水管4または下水道が整備されていない地域等においては、トイレの汚水だけでなく、台所、お風呂の生活雑排水も一緒に処理する合併処理浄化槽(通常時に常時使用されている合併処理浄化槽)に接続されている。また、汚水管2から分岐した第2汚水管22は、浄化処理槽5に接続され、浄化処理槽5と雨水貯留槽7とが連通管6を介して接続され、雨水貯留槽7と高架貯留槽91とが汲み上げ管9を介して接続され、高架貯留槽91と洗浄水タンク11とが供給管を介して接続されている。つまり、第2汚水管22に流入した汚水は、浄化処理槽5で浄化処理され、この浄化処理された処理水が洗浄水して再利用できるように循環経路が形成されている。
【0018】
浄化処理槽5は、本実施形態に係る循環式トイレシステムが設置される敷地内に居住する人数に応じた処理能力を有する種々の浄化処理槽5を使用している。
【0019】
浄化処理槽5は、汚水が流入する流入口51と、浄化処理された処理水が放出される放出口52とを有し、この流入口51側から放出口52側に向けて、沈殿分離槽53、ばっ気槽54、沈殿槽55がこの順に設けられている。沈殿分離槽53、ばっ気槽54及び沈殿槽55の上部には、点検又は清掃用の開口部57がそれぞれ設けられている。
【0020】
水洗トイレ1から排出された汚水は、汚水管2及び第2汚水管22を介して沈殿分離槽53に流入され、沈殿分離槽53にて汚水中の浮遊物を沈殿させ、ばっ気槽に送られた汚水を送風機56から送り込まれる空気で撹拌し、微生物の働きを活発にさせて汚物を浄化させた後、沈殿槽55に貯留される構成のものである。また、浄化処理槽5には周知のエアーポンプが設けられており、汚水が浄化槽内を循環するようになっている。
【0021】
本実施形態においては、低廉かつ小型の分離式ばっき方式の浄化処理槽5を使用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、嫌気ろ床接触ばっ気方式、生物ろ過方式、分離接触方式、標準活性汚泥方式などの周知の浄化処理槽を使用することができる。
【0022】
本実施形態に係る浄化処理槽5は、災害時に水洗トイレ1から排出される屎尿等を含む汚水を浄化するものであるため、汚水が第2汚水管22に流入可能に切換えられときに使用されるものであるが、汚水が第1汚水管21に流入され下水管4又は合併処理浄化槽に排出されている場合(通常時)であっても、浄化処理槽5に電力が供給されているので、送風機56やエアリフトポンプ等が作動し、浄化槽内の微生物を常時繁殖させて災害時にすぐに使用できる状態にしている。
【0023】
雨水貯留槽7には、雨樋等の雨水取集部に接続された雨水流入管62が接続されており、雨水取集部に集められた雨水が雨水貯留槽7に流入される。雨水貯留槽7の上部には、点検又は清掃用の開口部が設けられている。雨水収集部61、雨水流入管62、又は、雨水貯留槽7における雨水流入部に、雨水に含まれるごみ、落ち葉、砂等を取り除くためのフィルター又は濾過装置を設けることができる(図示しない。)。また、雨水貯留槽7と水道蛇口82とが給水管83を介して接続されており、雨水貯留槽7に上水を供給することができる。
【0024】
雨水貯留槽7の導入口71と浄化処理槽5の放出口52とは連通管6を介して連通している。また雨水貯留槽7の放流口72には、オーバーフロー管8の一端が接続され、他端は水路WR等に接続されている。
【0025】
雨水貯留槽7の導入口71と放流口72は、雨水貯留槽7の側壁の上部の略同一高さ位置に設けられており、この導入口71と放流口72とが、浄化処理槽5の流入口51と放出口52と略同一高さ位置に配置されるように、浄化処理槽5と雨水貯留槽7とが地中に埋没されている。したがって、浄化処理槽5の放出口52と雨水貯留槽7の導入口71とに連通管6が略勾配なく接続される。オーバーフロー管8は勾配なく水路WR側に接続しても良いし、水路WR側が下側に傾斜するように接続してもよい。また、オーバーフロー管8内には逆流防止弁81が設けられており、雨水貯留槽7から溢水された雨水等の逆流を防止している。
【0026】
なお、本実施形態においては、溢水した雨水を水路WRに放流する構成としているが、溢水した雨水を貯留する貯留槽(図示しない)を設け、この貯留槽にオーバーフロー管8を接続し、溢出した雨水を貯留するようにしてもよい。
【0027】
雨水貯留槽7は、雨水貯留槽7の貯留量が所定の量まで減った場合、自動的に上水が注入され、上水が満水水位まで注入されれば自動的に給水を中止する給水手段を備えている。したがって、雨水貯留槽7には、常に一定量の雨水や上水が貯留されている(以下、この雨水貯留槽7に貯留される雨水や上水のことを「貯留水W」という場合がある。)。なお、上述したように、雨水貯留槽7から溢出した雨水を貯留する貯留槽を備える構成とした場合、この貯留槽と雨水貯留槽7とを接続し、雨水貯留槽7に貯留量が所定の量まで減ったとき、貯留槽に貯留させた雨水を再度雨水貯留槽7に給水する構成としてもよい。
【0028】
本実施形態における給水手段は、雨水貯留槽7内にボールタップ(図示しない)を設け、雨水貯留槽7内の水位が所定の量まで下がることにより電磁弁(図示しない)が開き、上水が給水管83を介して雨水貯留槽7内に供給され、雨水貯留槽7内の貯留量が所定の量に達するとボールタップのフロートが上がると共に、電磁弁が閉じ上水の給水が停止するようにしている。なお、雨水貯留槽7内の貯留量の検出及び制御については、フロートスイッチ等を使用してもよい。
【0029】
また、雨水処理槽内に濾過体や活性炭等を設けて、雨水貯留槽7内の雨水等を濾過、脱臭、脱色等の処理をする構成としてもよいし、雨水貯留槽7内に、貯留した雨水を撹拌する撹拌手段を設け、雨水の腐敗、雑菌の繁殖を防止するようにしてもよい。
【0030】
高架貯留槽91は、建屋Hの屋根R又はベランダ等水洗トイレ1が設置されている場所よりも高所に設置されている。高架貯留槽91には、雨水貯留槽7からポンプPによって汲み上げられた貯留水Wが貯留される。
【0031】
この高架貯留槽91に貯留される貯留水Wは、周知のタイマー制御により電磁弁を開閉させて雨水貯留槽7から貯留水Wを汲み上げる自動汲み上げ手段(図示しない。)によって汲み上げられる。タイマーは、水洗トイレ1を使用する居住者の生活パターンを考慮して、数時間ごと又は所定の時間に汲み上げるようにセットされており、高架貯留槽91には常時、満水に近い貯留水Wが貯留される。
【0032】
さらに、高架貯留槽91には、貯留量検出手段(図示しない。)が設けられており、高架貯留槽91の貯留量が所定の量になった場合、雨水貯留槽7の貯留水WをポンプPによって高架貯留槽91が満水になるまで汲み上げる構成としている。このような構成にすれば、仮に、想定外の洗浄水の使用があり、上述した自動汲み上げ手段によって貯留水Wが十分汲み上げられていない場合であっても、高架貯留槽91の貯留量は、所定の量以下になることはない。
【0033】
本実施形態においては、高架貯留槽91内にボールタップ(図示しない)を設け、高架貯留槽91内の水位が下がり所定の量になると電磁弁(図示しない)が開き、雨水貯留槽7に貯留させた雨水がポンプP等の汲み上げ手段によって、汲み上げ管99を介して高架貯留槽91に汲み上げられ、高架貯留槽91内の水位が満水位置に達すると、ボールタップのフロートが上がると共に電磁弁が閉じ、雨水貯留槽7からの雨水の供給が停止する構成としている。なお、高架貯留槽91内の貯留量の検出及び制御については、フロートスイッチ等を利用してもよい。
【0034】
洗浄水タンク11内には、シャフトの先端に浮き玉が設けられ、水面の上下変動によって浮き球が変位することで、シャフトの付け根に設けられた弁を開閉することができる周知のボールタップが備えられている。水洗トイレ1を使用することで洗浄水タンク11内の水位が下がると、浮き玉が下がると共に弁が開き、供給管を介して高架貯留槽91に貯留された貯留水Wが洗浄水タンク11内に供給され、洗浄水タンク11内の水位が所定の量になると、浮き玉が上がり弁が閉じて、高架貯留槽91からの供給が停止するようにしている。つまり、高所からの重力による自然落下を利用して水洗トイレ1の洗浄水タンク11に洗浄水を供給することができる。
【0035】
本実施形態に係る循環式トイレシステムは、建屋Hの屋根R又は敷地内に設置された太陽光発電機Sから電力が供給されるようにしているが、バッテリー、小型発電機等から電力を供給して稼働させることもできる。なお、通常時は、外部電力から電力を供給して稼働させてもよい。
【0036】
次に、本実施形態に係る循環式トイレシステムの通常時と災害時の動作等について説明する。なお、災害時とは、地震、台風、大雨等の自然災害により電気、水道の供給が停止した場合に限られず、何らかの原因で、上水道や下水道又は合併処理浄化槽の使用が出来なくなった場合等人為的な災害も含んでいる。
【0037】
まず、
図1を示しながら、通常時の動作について説明する。通常時は、水洗トイレ1から排出された汚水が第1汚水管21に流入するように切換え手段3を切り替えておく。具体的には、第1汚水管21の流入部のバルブを開状態にし、第2汚水管22の流入部のバルブを閉状態にすることで、水洗トイレ1から排水された汚水を汚水管2及び第1汚水管21を介して下水管4又は合併処理浄化槽に排出する。したがって、通常時は、処理能力低下の原因となる汚水が浄化処理槽5に流入されず、かつ、浄化槽内の微生物を常時繁殖させているので、浄化処理槽5の処理能力が高い状態に維持することができる。
【0038】
雨天時に雨水取集部から雨水流入管62を介して雨水貯留槽7に雨水が流入され、この雨水が水洗トイレの洗浄時として使用される。この流入された雨水の水位が雨水貯留槽7の導入口71及び放出口52の高さ(満水水位)に達すると、オーバーフロー管8を介して雨水が水路WR等にオーバーフローする。このとき、浄化処理槽5内に貯留された貯留水Wが蒸発等によって減水し、浄化処理槽5内の貯留水W位が所定水位(放出口52の高さ位置)よりも低下していた場合、雨水が連通管6を介して浄化処理槽5に流入し、浄化処理槽5内の貯留量を適正な水位とすることができる。また、浄化槽の放流側から浄化槽内を適正な水位に保つ分だけの雨水が流入するだけなので、短時間に大量の雨が浄化処理槽5内に集中して流入し浄化処理能力を低下させるといった問題も生じないので、例えば、大雨の直後に災害が発生したとしても、循環式トイレシステムが設置される敷地内に居住する人数に応じた適正な処理が可能である。
【0039】
雨水貯留槽7に貯留された貯留水W(雨水)は、汲み上げ管9を介して高架貯留槽91に汲み上げられる。この高架貯留槽91に汲み上げられた貯留水Wは、水洗トイレ1の洗浄水を使用する度に自然落下を利用して水洗トイレ1の洗浄水タンク11に供給される。高架貯留槽91の貯留水Wは、水洗トイレ1を使用する度に洗浄水タンク11に供給されるため、貯水量がその都度減っていくが、自動汲み上げ手段により、数時間毎又は所定の時間(予めトイレの使用頻度の多い時間帯を調べておき、その時間帯よりも遅い時間に汲み上げるように設定しておく。)に雨水貯留槽7から貯留水Wが汲み上げられるので、高架貯留槽91には略常時満水に近い量の貯留水Wが貯留されている。仮に、想定外のトイレの使用があり、急激に高架貯留槽91内の貯留水Wが減少するようなことがあっても、高架貯留槽91に設けられた貯留量検出手段によって、高架貯留槽91の貯留量が所定の量まで減少した場合、雨水貯留槽7より貯留水Wを汲み上げる構成としている。そのため、一定量の貯留水Wが常時高架貯留槽91に貯留されている。このようにすれば、高架貯留槽91の貯留量を略常時満水に近い状態にできると共に、高架貯留槽91から洗浄水タンク11に貯留水Wを供給する度に雨水貯留槽7より高架貯留槽91に貯留水Wを汲み上げる場合と比べて消費電力を低減でき節電することができる。
【0040】
雨水貯留槽7の貯留水Wは、高架貯留槽91に汲み上げられ減少するが、雨天時は、上述したように、雨水が流入され、晴天時には、雨水貯留槽7内の貯留量が所定の定量になったとき、給水手段により上水が自動的に給水される。よって、一定量の貯留水Wが常時雨水貯留槽7に貯留されているので、災害時に、浄化処理槽5で浄化された処理水を循環させて洗浄水として再利用するようにした場合に、処理水が適切に循環可能となるだけの貯留水Wを確保しておくことができる。
【0041】
このようにして、通常時は、雨水を洗浄水として利用することで節水しつつ、災害時に備えて、浄化処理槽5を処理能力の高い良好な状態に維持する。また、通常時は、汚水が浄化処理槽5に流入されないので、浄化処理槽5の定期点検等が不要となり、浄化処理槽5の維持費用が低廉となる。
【0042】
次に、
図2を示しながら、災害時の動作について説明する。災害時は、水洗トイレ1から排出された汚水が第2汚水管22に流入するように切換え手段3を切り替える。具体的には、第1汚水管21の流入部のバルブを閉状態にし、第2汚水管22の流入部のバルブを開状態にして、水洗トイレ1から排出された汚水を汚水管2及び第2汚水管22を介して浄化処理槽5に流入させる。浄化処理槽5は、上述したように、処理能力の高い良好な状態に維持されているので、汚水が第2汚水管22に流入するように切換え手段3を切り替えるだけで直ちに適切な浄化処理が可能となる。また、浄化処理された処理水は、上述したように循環経路を循環して再利用することができる。
【0043】
また、建屋Hに太陽光発電機Sが設置されている場合は、直ぐに循環式のトイレとして使用することができるが、仮に太陽光発電機Sが設置されていない場合であっても、本実施形態に係る循環式水洗トイレ1システムは、常時高架処理槽に貯留水Wが一定量貯留されているので、バッテリー、小型発電機等から電力を供給するまでの間、重力による自然落下を利用して水洗トイレ1の洗浄水タンク11に洗浄水を供給することができるので、災害発生時に全く電力の供給がない状態においても自宅のトイレを衛生的に使用することができる。
【0044】
このように、本発明に係る災害循環式水洗トイレのシステムによれば、小規模かつ低廉なものとなるため、戸建て住宅等に設置可能となる。また、切換え手段を切り替えるだけで循環式のトイレとして使用できるため、災害発生時の操作が容易である。また、通常時に、トイレの洗浄しとして雨水を有効利用するため節水効果を有する。
【0045】
以下に、本実施形態の循環式トイレシステムの実施例を説明するが、これに限定されるものではない。
【0046】
例えば、循環式トイレシステムが設置される敷地内の居住人数(災害時に水洗トイレ1を使用する人数)が4人の場合、浄化処理槽5は4人用以上の処理能力を有する浄化処理槽5を用いる。高架貯留槽91の容量は略500L、雨水貯留槽7の容量は高架貯留槽91の容量の3倍程度の略1500Lの容量を有するものを使用することが好ましい。人間の1日の平均的な1日の排尿回数(排便も含む)は4回〜8回とされている。したがって4人が1日にトイレを使用する回数は16回から32回程度と想定される。一般的な水洗トイレ1の1回の洗浄水量を5Lとすれば、4人が一日に使用する洗浄水の量は約80L〜160Lと想定される。したがって、建屋Hに太陽光発電機Sが設置され、災害時に循環式トイレシステムを循環させることが可能な場合は問題ないが、災害時全く電力の供給がなされない状況においても、容量が500Lの高架貯留槽91を設置していた場合満水に近い状態で災害が発生した場合、3日〜6日程度水洗トイレ1を使用することができる。仮に、高架貯留槽91の貯留量が50%しか貯留していない場合であっても、1.5日〜3日程度水洗トイレ1を使用することができる。よってこの間にバッテリーや小型発電機等から電力を供給し循環式の水洗トイレ1として使用できるようにすれば、住み慣れた住宅にて衛生的にトイレを使用することができる。
〔第2実施形態について〕
本実施形態に係る循環式トイレシステムは、浄化処理槽5と雨水貯留槽7との間に有用微生物培養槽100が接続されている点で第1実施形態と異なるが、その他の点は第1実施形態と同様である。
【0047】
図3及び
図4に示すように、第2実施形態に係る循環式トイレシステムは、浄化処理槽5の放出口52と有用微生物培養槽流出口102が連結管106を介して接続され、有用微生物培養槽流入口101と雨水貯留槽7の導入口71とが連結管106を介して接続されている。
【0048】
浄化処理槽5、有用微生物培養槽100及び雨水貯留槽7を、浄化処理槽5の流入口51及び放出口52と、有用微生物培養槽100の有用微生物培養槽流入口101及び有用微生物培養槽流出口102と、雨水貯留槽7の導入口71及び放出口52とを、略同一高さ位置に配置するように地中に埋没している。したがって、浄化処理槽5の放出口52と有用微生物培養槽流出口102を接続する連結管106と、有用微生物培養槽流入口101と雨水貯留槽7の導入口71とを接続する連結管106とは、略勾配ない状態にて接続されている。
【0049】
有用微生物培養槽100には、有用微生物104(好機的条件又は嫌気的条件下で働く有用微生物菌群)が含まれている。この有用微生物104は、包括法、物理的吸収法、共有結合法等の周知の方法で固形化されたものが使用されており、有用微生物培養槽100から浄化処理槽5内に有用微生物104が徐々に流出するようになっている。具体的には、有用微生物培養槽100の下方に固体化された有用微生物104が配置され、その上方に活性炭105からなる層が形成されている。活性炭105の層の上方にフィルター(図示しない)が設けられている。なお、活性炭の層を設けない構成としてもよい。
【0050】
有用微生物培養槽100における浄化処理槽5の放出口52と有用微生物培養槽流出口102を接続する連結管106と、有用微生物培養槽流入口101と雨水貯留槽7の導入口71とを接続する連結管106が位置するところに相当する位置に活性炭105の槽を配置することが好ましい。
【0051】
このような構成にすれば、雨水貯留槽7内の浄化水が浄化処理槽5内に流入する際、活性炭105によって濾過された有用微生物104の栄養成分を浄化処理槽5内に流入させることができ、微生物が活発に生息する条件を確保することができる。
【0052】
また、浄化処理槽5の沈殿槽55と有用微生物培養槽100とが戻し管103を介して接続されており、浄化処理槽5に流入した貯留水Wが浄化化処理槽に設けられたエアーポンプによって有用微生物培養槽100と浄化処理槽5間を循環させている。これにより有用微生物培養槽100に空気を送り込むことができると共に、有用微生物104の栄養分を浄化槽内に流入させて浄化処理槽5内の微生物をより増殖させることができる。
【0053】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更又は削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。