特許第6451930号(P6451930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6451930
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】LED電球
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/237 20160101AFI20190107BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20190107BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20190107BHJP
   F21V 29/77 20150101ALI20190107BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20190107BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190107BHJP
【FI】
   F21K9/237
   F21V23/00 150
   F21V23/00 160
   F21V29/83
   F21V29/77
   H01L33/00 H
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-215592(P2014-215592)
(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公開番号】特開2016-81884(P2016-81884A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲さき▼ 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】百々 征貴
(72)【発明者】
【氏名】西村 介伸
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−069530(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3143732(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/237
F21V 23/00
F21V 29/77
F21V 29/83
H01L 33/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光するLED素子と、
複数のフィンと、前記フィン間に内部と外部とを連通する連通部を有し、内部に前記LED素子を収容する導電性のLEDケースと、
前記LED素子に電気を供給する電気回路を有し、前記LEDケースと離間して配置される電源部と、
前記LEDケースと前記電源部とをそれぞれ支持する支持部と、
前記支持部の電気伝導率よりも大きい電気伝導率を有し、前記電気回路のグランドと前記LEDケースとを電気接続する電気接続機構と、を備えるLED電球。
【請求項2】
前記LED素子が表面に搭載されるLED基板部を備え、
前記LED基板部は、裏面に、前記LEDケースに接する導電部を備え、
前記導電部は、前記電気接続機構を構成する請求項1に記載のLED電球。
【請求項3】
前記支持部は、前記LEDケースから前記電源部に熱伝導することを抑制すべく、前記LEDケースの熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する請求項1又は2に記載のLED電球。
【請求項4】
前記LED素子が搭載されるLED基板部と、
前記電源部から長尺に延びる剛性の導電体と、を備え、
前記LED基板部は、前記LEDケースに接する導電部を備え、
前記導電体は、前記電気回路のグランドと前記導電部とを電気接続し、
前記導電部及び前記導電体は、電気接続機構を構成する請求項1〜3の何れか1項に記載のLED電球。
【請求項5】
前記LED基板部は、貫通孔部を備え、
前記導電体は、前記貫通孔部に挿入され、且つ前記導電部に接合される請求項に記載のLED電球。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光するLED素子を備えるLED電球に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED電球として、発光するLED素子と、内部と外部とを連通する連通部を有し、内部にLED素子を収容するLEDケースとを備えるLED電球が、知られている(例えば、特許文献1)。斯かるLED電球は、LED素子から発生した熱を、連通部を通過して外部へ放出できるため、冷却効率を向上させている。
【0003】
ところで、LED電球は、LED素子に電気を供給する電気回路のグランドから、ノイズを放出する。特許文献1に係るLED電球においては、ノイズが、LEDケースの連通部を通過してそのままの強さで外部に放出されるため、周辺機器に対してノイズ障害を生じさせる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013−533583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、冷却効率を向上しつつ、周辺機器に対してノイズ障害の発生を抑制できるLED電球を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るLED電球は、発光するLED素子と、内部と外部とを連通する連通部を有し、内部に前記LED素子を収容する導電性のLEDケースと、前記LED素子に電気を供給する電気回路を有し、前記LEDケースと離間して配置される電源部と、前記LEDケースと前記電源部とをそれぞれ支持する支持部と、前記支持部の電気伝導率よりも大きい電気伝導率を有し、前記電気回路のグランドと前記LEDケースとを電気接続する電気接続機構と、を備える。
【0007】
また、LED電球においては、前記支持部は、前記LEDケースから前記電源部に熱伝導することを抑制すべく、前記LEDケースの熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する、という構成でもよい。
【0008】
また、LED電球においては、前記LED素子が搭載されるLED基板部と、前記電源部から長尺に延びる剛性の導電体と、を備え、前記LED基板部は、前記LEDケースに接する導電部を備え、前記導電体は、前記電気回路のグランドと前記導電部とを電気接続し、前記導電部及び前記導電体は、電気接続機構を構成する、という構成でもよい。
【0009】
また、LED電球においては、前記LED基板部は、貫通孔部を備え、前記導電体は、前記貫通孔部に挿入され、且つ前記導電部に接合される、という構成でもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上の如く、本発明に係るLED電球は、冷却効率を向上しつつ、周辺機器に対してノイズ障害の発生を抑制できる、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係るLED電球の全体斜視図である。
図2】同実施形態に係るLED電球の全体正面図である。
図3】同実施形態に係るLED電球のカバーを外した状態の全体斜視図である。
図4】同実施形態に係るLED電球の全体分解斜視図である。
図5】同実施形態に係るLED電球の全体断面図である。
図6図5のVI領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、LED電球における一実施形態について、図1図6を参酌して説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致していない。
【0013】
図1図3に示すように、本実施形態に係るLED電球1は、発光する複数(本実施形態においては4つ)のLED素子2と、LED素子2が搭載されるLED基板部3と、先端側に開口部41を有し、LED素子2を内部に収容するLEDケース4とを備えている。また、LED電球1は、LEDケース4の開口部41を覆うカバー5と、LEDケース4とカバー5とを接続する接続体6とを備えている。
【0014】
LED電球1は、LED素子2に電気を供給する電気回路を有する電源部7と、LEDケース4と電源部7とをそれぞれ支持する支持部8とを備えている。また、LED電球1は、電源部7を収容する電源ケース9と、外部から電気が供給されるための端子部10と備えている。そして、LED電球1は、電源部7から長尺に延びる導電性の導電体11を備えている。
【0015】
LEDケース4は、開口部41側に向けて拡径する円筒状に形成されている。具体的には、LEDケース4は、円環状に形成されるベース部42(図4図6参照)と、ベース部42から突出する複数のフィン43とを備えている。そして、LEDケース4は、フィン43,43間に、内部と外部とを連通する連通部44を複数備えている。
【0016】
LEDケース4は、LED素子2から発生した熱を外部に放出すべく、大きい熱伝導率を有している。そして、LEDケース4は、フィン43及び連通部44により、LED素子2から発生した熱を外部に向けて放出する。即ち、LEDケース4は、冷却(ヒートシンク)の機能を有している。また、LEDケース4は、導電性を有している。本実施形態においては、LEDケース4は、金属(例えば、アルミニウム等)で形成されている。
【0017】
カバー5は、LEDケース4の開口部41を覆う平板状のカバー部51と、LED素子2の光が入射されるレンズ52(図5参照)とを備えている。そして、カバー5は、透光性を有して形成されている。本実施形態においては、カバー5は、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透光性樹脂で形成されている。
【0018】
接続体6は、先端部がカバー5に固定され且つ基端部がLEDケース4に固定される接続部61を複数(本実施形態においては、3つ)備えている。該接続部61は、長尺に形成されていると共に、弾性を有している。また、接続体6は、透光性を有して形成されている。本実施形態においては、接続体6は、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透光性樹脂で形成されている。
【0019】
図4に示すように、電源部7は、電気回路を構成する電源素子(例えば、電解コンデンサ、コイル等)71と、電源素子71が搭載される電源基板72とを備えている。本実施形態において、支持部8及び電源ケース9は、一体的に形成されている。また、LED基板部3は、導電体11が挿入するための貫通孔部31を備えている。
【0020】
第1の固定材12は、カバー5の開口に挿入され、接続部61の先端部の開口と螺合する。また、第2の固定材13は、接続部61の基端部の開口、LED基板部3の開口、LEDケース4の開口、及び電源部7の凹部にそれぞれ挿入され、支持部8の開口と螺合する。これにより、各構成は、お互いに固定されている。本実施形態においては、各固定材12,13は、雄ねじ材としている。
【0021】
図5に示すように、支持部8は、円筒状に形成されている。そして、支持部8は、外周部及び軸方向端部で、LEDケース4を支持すると共に、内周部で電源部7を支持している。これにより、電源部7は、支持部8を介在させて、LEDケース4と離間して配置されている。
【0022】
支持部8は、LEDケース4から電源部7に熱伝導することを抑制すべく、LEDケース4の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有している。具体的には、支持部8は、断熱性を有している。また、支持部8は、小さい電気伝導率を有している。具体的には、支持部8は、電気絶縁性を有している。本実施形態において、支持部8は、樹脂(例えば、プラスチック)で形成されているが、セラミックで形成されていてもよい。
【0023】
導電体11は、電源部7からLED基板部3まで延びる棒状に形成されており、剛性を有している。そして、導電体11の先端部は、LED基板部3から突出している。また、導電体11の基端部は、電源部7の電気回路のグランドと電気接続されている。本実施形態において、導電体11は、金属(例えば、アルミニウム)で形成されている。
【0024】
図6に示すように、LED基板部3は、導電性を有する導電部32と、導電部32上に設けられる回路部33とを備えている。そして、リード線(図示していない)が電源部7と回路部33とを電気接続することにより、電源部7からLED素子2に電気が供給されている。
【0025】
導電部32は、LED基板部3とLEDケース4とが固定されることにより、LEDケース4のベース部42に接している。本実施形態においては、導電部32は、金属(例えば、アルミニウム)で形成されている。また、回路部33は、図示していないが、LED素子2に電気を供給するための銅箔と、銅箔間の短絡を防止するためのレジストと、銅箔と導電部32とを電気絶縁するための絶縁層とを備えている。
【0026】
導電体11の先端部は、LED基板部3の貫通孔部31に挿入されている。そして、導電体11は、接合材14により、導電部32に接合されている。本実施形態においては、接合材14は、ハンダであり、導電体11と導電部32とは、ハンダ接合されている。これにより、導電体11は、導電部32と電気接続している。
【0027】
したがって、電源部7の電気回路のグランドとLEDケース4とは、導電体11及び導電部32から構成される電気接続機構15により、電気接続されている。これにより、電源部7の電気回路のグランドから発生するノイズは、LEDケース4の連通部44から直接に外部に放出されることなく、導電体11及び導電部32を経由して、LEDケース4で拡散されて外部に放出される。なお、電気接続機構15は、支持部8の電気伝導率よりも大きい電気伝導率を有している。
【0028】
以上より、本実施形態に係るLED電球1は、発光するLED素子2と、内部と外部とを連通する連通部44を有し、内部に前記LED素子2を収容する導電性のLEDケース4と、前記LED素子2に電気を供給する電気回路を有し、前記LEDケース4と離間して配置される電源部7と、前記LEDケース4と前記電源部7とをそれぞれ支持する支持部8と、前記支持部8の電気伝導率よりも大きい電気伝導率を有し、前記電気回路のグランドと前記LEDケース4とを電気接続する電気接続機構15と、を備える。
【0029】
斯かる構成によれば、LED素子2から発生した熱を、連通部44を通過して外部へ放出できるため、冷却効率を向上させている。また、支持部8の電気伝導率よりも大きい電気伝導率を有する電気接続機構15は、電気回路のグランドとLEDケース4とを電気接続している。これにより、電気回路のグランドから発生するノイズは、電気接続機構15を経由して、導電性のLEDケース4で拡散され、弱い強度で外部に放出される。したがって、周辺機器に対してノイズ障害の発生を抑制することができる。
【0030】
また、本実施形態に係るLED電球1においては、前記支持部8は、前記LEDケース4から前記電源部7に熱伝導することを抑制すべく、前記LEDケース4の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する。
【0031】
斯かる構成によれば、支持部8の熱伝導率が、LEDケース4の熱伝導率よりも小さいため、支持部8を経由して、LEDケース4から電源部7に熱伝導することを抑制することができる。これにより、LED素子2から発生してLEDケース4に伝導された熱が、電源部7に熱伝導することを抑制することができるため、電源部7の温度が上昇することを抑制することができる。
【0032】
また、本実施形態に係るLED電球1は、前記LED素子2が搭載されるLED基板部3と、前記電源部7から長尺に延びる剛性の導電体11と、を備え、前記LED基板部3は、前記LEDケース4に接する導電部32を備え、前記導電体11は、前記電気回路のグランドと前記導電部32とを電気接続し、前記導電部32及び前記導電体11は、電気接続機構15を構成する。
【0033】
斯かる構成によれば、LED素子2が搭載されるLED基板部3は、LEDケース4に接する導電部32を備えている。そして、電源部7から長尺に延びる剛性の導電体11が、電気回路のグランドと導電部32とを電気接続するため、導電部32及び導電体11が、電気接続機構15を構成する。これにより、導電部32及び導電体11は、電気回路のグランドとLEDケース4とを電気接続している。
【0034】
また、本実施形態に係るLED電球1においては、前記LED基板部3は、貫通孔部31を備え、前記導電体11は、前記貫通孔部31に挿入され、且つ前記導電部32に接合される。
【0035】
斯かる構成によれば、導電体11は、LED基板部3の貫通孔部31に挿入されている。そして、導電体11が導電部32に接合されているため、導電体11と導電部32とが電気接続されている。これにより、例えば、導電体11と導電部32との電気接続の作業を容易にすることができる。
【0036】
なお、LED電球は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、LED電球は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0037】
上記実施形態に係るLED電球1においては、導電体11は、剛性を有して、棒状に形成されている、という構成である。しかしながら、LED電球は、斯かる構成に限られない。例えば、LED電球においては、導電体11は、リード線である、という構成でもよい。
【0038】
また、上記実施形態に係るLED電球1においては、電気接続機構15は、LED基板部3の導電部32と導電体11とで構成されている、という構成である。しかしながら、LED電球は、斯かる構成に限られない。例えば、LED電球においては、電気接続機構15は、電源部7の電気回路のグランドとLEDケース4とを接続するリード線である、という構成でもよい。
【0039】
また、上記実施形態に係るLED電球1においては、導電体11と導電部32とは、ハンダ接合されている、という構成である。しかしながら、LED電球1は、斯かる構成に限られない。例えば、LED電球1においては、導電体11と導電部32とは、溶接接合されている、という構成でもよく、また、導電体11は、接合材14を介することなく、導電部32に押圧することで接合されている、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…LED電球、2…LED素子、3…LED基板部、4…LEDケース、5…カバー、6…接続体、7…電源部、8…支持部、9…電源ケース、10…端子部、11…導電体、12…第1の固定材、13…第2の固定材、14…接合材、15…電気接続機構、31…貫通孔部、32…導電部、33…回路部、41…開口部、42…ベース部、43…フィン、44…連通部、51…カバー部、52…レンズ、61…接続部、71…電源素子、72…電源基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6