【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の課題は、独立特許請求1の方法、および独立特許請求23の装置によって解決される。方法および装置の有利な実施形態は、従属請求項に定義する。
【0031】
本発明は、物質の個々の分子が、励起光で蛍光発光を励起可能である蛍光状態にあり、かつ、試料の関心のある領域における物質の個々の分子間の間隔が最小値を維持するときに、試料中の物質の個々の分子の位置を決定するための方法を提供する。
【0032】
方法は、すでに特許文献1から知られている、物質の個々の分子を励起光で蛍光発光するよう励起させるステップであって、励起光の強度分布が、少なくとも1つの極小値を有するステップと、試料の関心のある領域における少なくとも1つの極小値のさまざまな位置について、励起された物質の個々の分子からの蛍光を検知するステップとを有する。
【0033】
本発明に従って、試料の関心のある領域における物質の個々の分子間の間隔の最小値が、d=
λ/[(2nsinα)√(1+I/Is)]であり、このとき、λは励起光の波長、nは少なくとも1つの極小値が形成される光学材料の屈折率、αは前記試料に励起光を向ける前記光学装置の半開口角、Iは試料における励起光の最大強度、I
sは物質に依存する励起光の蛍光励起飽和強度である。蛍光励起飽和強度がI
sのとき、物質の分子からの蛍光において理論的に可能な強度の特定のパーセンテージに達し、そのパーセンテージ以降を、蛍光の強度の飽和とも言う。一般的に、このパーセンテージは、蛍光の理論的に可能な強度の50%である。この最小値dは、高解像度のSTED、GSD、およびRESOLFT走査型蛍光顕微におけるような、空間イメージングでの精度に相当する。
【0034】
蛍光状態にある物質の個々の分子間の間隔が、試料の関心のある領域で最小値dを維持することがどのように実現されるかは必ずしも重要ではない。蛍光状態にある物質のすべての分子が、その間隔で最小値を維持している必要もない。しかしながら、これより小さい間隔を取る蛍光分子の位置は、ここに説明する方法で決定することはできない。
【0035】
本発明に従って、励起光の強度分布の極小値の位置では、個々の分子からの蛍光の強度が、最大で、試料における励起光の最大強度の位置における半分の大きさである。個々の分子からの蛍光の強度が、個々の分子からの蛍光の最大強度と比べて、より少ない割合まで低下するような、より大きな強度コントラスト、すなわち、より顕著な極小値が有利であることが自明である。つまり、例えば、個々の分子からの蛍光の強度は、少なくとも80%低下して、多くとも最大強度の20%に、または少なくとも90%低下して、多くとも最大強度の10%となってよい。理想的には、個々の分子からの蛍光の強度が、極小値においてゼロまで低下する、すなわち励起光の強度分布のゼロ点となる。
【0036】
本発明に従って、励起された試料の個々の分子からの蛍光が検知される、少なくとも1つの極小値の最も近接する位置間の間隔は、最小値dの半分以下である。本発明に従って、物質の個々の分子の位置(X
M)を、試料の関心のある領域における
それぞれの分子からの、複数の連続した極小値の位置上の蛍光の強度の推移から導き出す。
【0037】
蛍光分子が極小値の領域に至ると、分子を蛍光発光させるための励起と、分子から発せられ、その後で検知される蛍光の強度が相応に低下する。本発明による方法では、蛍光を個々に検知し、相応に評価することができる個々の蛍光分子を観察するため、極小値の位置に依存して検知された蛍光の強度の推移から、試料中のそれぞれの蛍光分子の位置を、より高い空間精度で決定することができる。
【0038】
上に定義した、試料中の個々の分子の最小間隔d=
λ/[(2nsinα)√(1+I/Is)]が、励起光の波長λにおいて、かつ蛍光の波長においても、
λ/(2nsinα)回折限界よりも明らかに小さい場合も、試料中の励起光の最大強度Iが、蛍光励起飽和強度I
sよりも明らかに大きいことから、これが当てはまる。また、そのつど分子のうちの1つが、励起光の強度の極小値の領域に至る場合も、試料から検知される蛍光を、少なくとも個々の分子の小グループに分類でき、蛍光の強度がかなりの割合に低下する。この低下は、試料中で個々の分子の最小間隔dが維持されている場合、そのつど正確に個々の分子に分類できる。
【0039】
この低下を検知し、その推移を空間的に分解するために、蛍光が検知される極小値の位置の小さな間隔が最大d/2となるよう配慮する。すなわち、本発明による方法では、試料の関心のある領域は、最大d/2のステップ幅でスキャンする。
【0040】
試料に励起光を向ける光学装置は、対物レンズであってよいが、励起光の2つの部分光線をある角度で重ねることで、干渉によって少なくとも1つの極小値を形成する、別の光学装置であってもよい。このとき、αは、この部分光線間の角度の半分、または、部分光線と光軸のそれぞれの間の角度であり、nは、極小値が試料中に直接形成される場合は試料の屈折率、または、極小値が試料に隣接する材料に形成される場合、この材料の屈折率であり得る。これは例えば、TIRFM(全反射蛍光顕微鏡)と類似の光学装置を、極小値の形成に用いる場合に当てはまる。
【0041】
個々の分子の位置の決定は、極小値の各位置で決定されるそれぞれの分子からの蛍光のみにもとづき、蛍光が分子から発せられる正確な方向を考慮していないため、本発明による方法は走査型蛍光顕微法と見なされ、すなわち、個々の分子の位置の決定は、分子の方向に依存しない。
【0042】
具体的には、蛍光の強度の推移から、物質の個々の分子の位置を導き出すために、極小値を有する関数を、
それぞれの分子からの、複数の連続した極小値の位置
上の蛍光の強度の推移にフィットさせることができる。次いで、それぞれの分子の位置を、フィットさせた関数の極小値の位置と同一のもとのすることができる。関数は二次関数であってよい。ただし、フィットされる関数の基本形は、少なくとも1つの極小値の周囲における励起光の強度推移に対する回答として、それぞれの物質からの蛍光の強度推移に個々に合わせることもできる。
【0043】
それぞれの分子から、さまざまな方向で極小値の最も近接する位置におけるよりも少ない蛍光を検知することによって際立っている、少なくとも1つの極小値の位置を、それぞれの分子の位置と同一のもとのすることも、本発明の範囲に含まれる。それぞれの分子が最小強度で蛍光発光のみ励起される、極小値、または極小値の周囲の励起の弱い領域が、それぞれの分子に当たると、極小値のこの位置では、分子からの蛍光の最小強度のみ検知される。ただし、これには基本的に別の理由もあり得るため、それぞれの分子からの蛍光の最小強度のみが検知される極小値の位置は、さまざまな方向で極小値の最も近接する位置で複数の蛍光が最小強度として検知される場合にのみ、分子の位置と同一のもとのすることができる。この条件が満たされる限りにおいて、試料中のそれぞれの分子の位置は、極小値の周囲の励起の弱い領域において、ある空間精度で決定できる。
【0044】
最小強度がゼロまたはほぼゼロ付近である場合、この位置決定のやり方では、それぞれの分子からの蛍光のごくわずかな光子しか、すなわち、蛍光の最小強度が検知される極小値の位置におけるごくわずかな光子しか必要でなく、また、蛍光の強度が、そこで最小強度を超えることが明確になるまで、さまざまな方向で極小値の最も近接する位置で、そのつど、わずかな光子しか必要ない。それにより、極小値は、その個々の位置の間を非常に素早くシフトできる。最小強度がゼロの場合、それぞれの分子から蛍光が来るかどうかを確認すれば十分である。これには、蛍光の光子を少なくとも複数、それぞれの分子から得るのに最大限に必要な時間だけ、それぞれの位置で待ちさえすればよい。ゼロの最小強度は、通常、極小値が励起光の強度分布のゼロ点である場合にのみ、極小値の周囲の励起の弱い領域で実現する。
【0045】
極小値の周囲の励起の弱い領域を、個々の分子の位置を決定するのに利用する場合、個々の分子それぞれが励起の弱い領域に当たることを保証する必要がある。励起された物質の個々の分子からの蛍光が検知される、少なくとも1つの極小値の最も近接する位置間の間隔、すなわち、試料の関心のある領域がスキャンされるステップ幅が、励起の弱い領域の直径より大きくないことにより、試料の関心のある領域が、完全に、励起の弱い領域を含めてスキャンされる場合には、これが実現する。
【0046】
少なくとも1つの極小値に隣接する励起光の強度を、励起光で励起された個々の分子から発せられる蛍光の強度において飽和に達するほど高く調整すると、それぞれの分子が最小強度で蛍光発光のみ励起される極小値の周囲の励起の弱い領域、およびその周囲にある、それぞれの分子からの発光の強度が極小値からの距離に依存する領域が、空間的に大幅に制限される。これは、本発明による方法の位置精度の向上と同じ意味を持つ。個々の分子からの蛍光の強度が決定される試料における極小値の位置が、相応に小さな間隔を有する場合にのみ、これを利用することができる。ただしこれは、励起された物質の個々の分子からの蛍光が検知される、少なくとも1つの極小値の最も近接する位置間の最大間隔がd/2であることにより保証される。
【0047】
試料の関心のある領域におけるその平均間隔が、励起光および蛍光の波長における回折限界よりも大きいような、蛍光状態にある個々の分子は、特に、物質の分子が、調整信号によって、その蛍光状態から非蛍光状態に、または非蛍光状態からその蛍光状態に移行可能であることにより実現でき、このとき、各状態間の(飽和に達するまでの)遷移確率は、調整信号の強度に伴って上昇する。そのため、試料の関心のある領域における分子の濃度が高いことにより、最も近接する物質の分子間の間隔が最小値dより小さい場合に、調整信号によって、そのつど、蛍光状態にある分子の一部のみ、そのまま留まる、または蛍光状態に移行することができる。物質の分子のこの部分は、調整信号の強度を用いて、蛍光状態にある物質の個々の分子間の間隔が、最小値dを維持するよう調整できる。物質のそれぞれどの分子が、蛍光状態にある部分に属するかは、遷移確率に依存するため、試料中の物質のさまざまな分子の位置を、順々に決定できる。
【0048】
位置がすでに決定された分子を用いて、さまざまな方法をとることができる。これらの分子は、基本的には永続的に褪色してよい。これらの分子は、同様に、帰還信号の作用下で、および/もしくは自発的に、すなわち熱励起のみによって、元の非蛍光状態に戻す、または大半の他の分子のように調整光によってその非蛍光状態に移行させることができる。次いで、蛍光状態にあるそれぞれ他の個々の分子について、くり返し、または連続的に、最も近い隣接分子間の間隔を、調整信号、および場合によっては帰還信号によって調整することができる。このとき、蛍光状態にある個々の分子の位置をそのつど決定する場合、連続的に試料中の物質の分子の分布のイメージングが得られる。
【0049】
物質のさまざまな部分の位置を順々に確認する場合、試料に、継続的または間欠的に、調整信号、および場合によっては帰還信号を加えることができる。試料からの蛍光の検知は、同様に継続的または間欠的に行うことができる。ただし、いずれの場合も、試料中の励起光の極小値の各位置について別々に行う。とはいえ、極小値が、蛍光が検知される時間の間に、わずかにしか、少なくともd/4より大きくは移動しない限り、これにより、試料中の極小値の位置を継続的にシフトさせることができないというわけではない。
【0050】
最も近い隣接分子間の間隔が最小値を維持する蛍光状態にある分子の一部を調整するために、物質の分子を、その蛍光状態とその非蛍光状態との間で移行可能である調整信号は、原則的に、何らかの化学信号または物理信号であってよい。好ましくは、これは調整光である。
【0051】
具体的には、物質の分子は、調整光によって、その蛍光状態からその非蛍光状態に移行させることができ、このとき、物質の分子の非蛍光状態が、電子エネルギー状態であってよい。非蛍光状態の場合、一般的には、調整光が、物質の蛍光分子を励起して蛍光発光させ、蛍光のいくつかの光子が発光した後に初めて、非蛍光状態に移行する。それと同時に、調整光は、本発明による方法に用いられる励起光であってよく、結果として、ある波長の光のみ使用する必要がある。
【0052】
後に説明した本発明による方法を、GSDIMとして知られる先行技術に限定して記述すると、GSDIMと同じく、試料中の物質の分子の分布について、空間的に高解像度のイメージングを得るために、試料中の物質の個々の分子の位置を決定する。このとき、最初は物質の分子が蛍光状態を示し、蛍光状態にある物質の分子は、励起光で蛍光発光を励起可能であり、物質の分子は、励起光でその蛍光状態から非蛍光性の暗状態に移行可能であり、物質の分子は、その非蛍光状態からその蛍光状態に戻り、かつ、試料中の物質の分子間の間隔は最小値よりも小さい。
【0053】
さらにまたGSDIMと同じく、本発明による方法のこの実施形態は、試料の関心のある領域における、現在蛍光状態にある物質の分子間の間隔が最小値を維持するよう、蛍光状態にある物質の分子の割合を調整するステップと、蛍光状態にある、励起光で励起された物質の分子からの蛍光を検知するステップとを有する。
【0054】
本発明に従って、さらに加えて、試料の関心のある領域における物質の個々の分子の間隔の最小値はd=
λ/[(2nsinα)√(1+I/Is)]である。励起光の強度分布は、少なくとも1つの極小値を有し、このとき、励起光の強度分布の極小値の位置では、個々の分子からの蛍光の強度が、最大で、試料における励起光の最大強度の位置における半分の大きさである。試料の関心のある領域における少なくとも1つの極小値の位置は変化する。蛍光状態にある、励起光で励起された物質の分子からの蛍光は、試料中の少なくとも1つの極小値のさまざまな位置について、少なくとも1つの極小値を取り囲む検知範囲で、試料の他の領域から発せられた蛍光から分離可能に検知する。このとき、励起された物質の個々の分子からの蛍光が検知される、少なくとも1つの極小値の最も近接する位置間の間隔は、最小値dの半分より大きくない。すなわち、試料の関心のある領域は、少なくとも1つの極小値を含む、最大d/2のステップでスキャンする。
【0055】
次いで、物質の個々の分子の位置を、試料の関心のある領域における少なくとも1つの極小値の位置
上の検知範囲からの蛍光の強度の推移から導き出す。蛍光の強度の推移からの、個々の分子の位置のこうした導出は、すでに上の例で説明したのと同じように行うことができる。励起光の強度と、少なくとも1つの極小値の最も近接する位置間の間隔の調整も、上に説明したように行うことができる。
【0056】
少なくとも1つの極小値は点状の極小値であってよく、試料の関心のある領域におけるその位置が、試料の全延伸方向で、すなわち、二次元の試料では二方向で、三次元の試料では三方向で変化する。点状の極小値の場合、物質の個々の分子の位置は、試料の全延伸方向で、試料の関心のある領域における、
それぞれの分子からの、複数の連続した極小値の位置
上の蛍光の強度の推移から導き出すことができる。有意義には、
極小値の位置上の蛍光の強度の推移を、試料の全延伸方向で考慮することが自明である。相応に、二次元または三次元の試料では、1つの極小値を有する二次元または三次元の関数を、蛍光の強度の推移にフィットさせることができる。
【0057】
点状の極小値の場合、少なくとも1つの極小値を取り囲む検知範囲からの蛍光を、それぞれの極小値と共焦点に配置されたポイント検出器で検出することができる。このとき、検知範囲は、極小値の位置の複数の間隔、好ましくは少なくとも3つの間隔の大きさであり、かつ、極小値と同心に配置されているものとする。
【0058】
少なくとも1つの極小値が、線または面に沿って広がっていてよい。その場合、試料の関心のある領域におけるその位置が、線または面に対して横向きの走査方向で変化する。このとき、物質の個々の分子の位置を、そのつど走査方向で、
それぞれの分子からの、複数の連続した極小値の位置上の蛍光の強度の推移から導き出す。その他の方向で個々の分子の位置を決定するには、線または面を試料に対しさまざまな方向に向け、相応にさまざまな走査方向にシフトさせることができる。ただし、その他の方向における個々の分子の位置は、原則的に別の方法でも、例えば局在化によって決定できる。
【0059】
励起光の強度分布は、1つではなく複数の極小値を有することができる。この複数の極小値の位置は、試料の関心のある領域において一緒に変化し、このとき、励起された物質の個々の分子からの蛍光を、極小値のそれぞれについて、別々に検知する。特に、極小値はグリッドの形態で配置することができる。点状の極小値の場合、グリッドは二次元または三次元であってよい。複数の極小値間の間隔は、いずれにせよ、蛍光の波長における回折限界より大きくなくてはならない。この間隔は、各極小値について蛍光を検知する可能性のある検知範囲より大きくなるよう選択する必要がある。好ましくは、極小値間の間隔が、加えて、付随する蛍光の強度を測定するために、試料中で個々の極小値を配置する位置の間隔より数倍大きい。好ましくは、極小値の間隔が、蛍光を測定する試料中の極小値の位置の間隔より少なくとも3倍大きい。
【0060】
試料中の個々の分子の蛍光は、試料に対して静止している、試料が結像される光センサアレイ、すなわちデジタルカメラ、例えばCCDまたはCMOSカメラなどで検知できる。加えて、試料の関心のある領域における物質の個々の分子の間隔が、蛍光の波長における回折限界より大きい場合、物質の個々の分子の位置は、追加的に、それぞれの分子から全体として、すなわち極小値の位置とは無関係に検知された蛍光の分布から、光センサアレイの上方で局在化によって決定できる。それにより、試料中の極小値の位置に依存して分子の位置を決定するのに用いたのと同じ蛍光の光子を、光センサアレイの上方へのその分布を利用しながら、分子の第2の位置決定に使用する。このとき、極小値と試料中のそのシフトは重要ではない。位置決定のこの2つの方法の結果を合わせることで、精度全体を向上させることができる。
【0061】
試料の関心のある領域における物質の個々の分子の間隔が、蛍光の波長における回折限界よりも小さいために、蛍光をそれぞれの分子に完全に分けて分類することができない場合、分子の位置は、より複雑な局在化アルゴリズムによって決定できる。このアルゴリズムでは、本発明による方法に従って確認された位置を開始値として取り入れることができる。
【0062】
本発明による方法に従い、局在化によって、個々の分子についてさまざまな位置を決定する場合、試料中の個々の分子の一定の配向に関して、これを評価できる。光センサアレイの上方で分子から検知される蛍光の分布に依存する試料中の物質の分子の位置の決定は、分子の一定の配向に依存しているが、シフトした極小値を用いた位置の決定はそうではないということにもとづいている。
【0063】
つまり、本発明による方法は、PALM、STORM、GSDIMなどのような既知の方法に対する補足として、既知の方法を妨げることなく、とはいえ、検知された同じ光子が評価される場合でも、個々の分子に関する追加的な位置情報を別の方法で得るために実施できる。
【0064】
蛍光を光センサアレイで検知する場合、光センサアレイからのフレームを連続的に読み取り、試料中の少なくとも1つの極小値のそれぞれの位置に分類することができる。このとき、極小値の複数の位置ではなく1つの位置の複数のフレームを、1つのフレームに分類できる。ただしこれは、それにより生じる「モーションブラー」が小さいままである場合、少なくとも1つの極小値を、試料中で継続的にシフトさせることを妨げるものではない。
【0065】
本発明による方法の好ましい実施形態を実施するのに特に適している、本発明による装置は、蛍光状態にある物質の分子を蛍光発光するよう励起可能であり、かつ、物質の分子をその蛍光状態から非蛍光状態に移行可能である励起光を放出する励起光源を備える。さらに、励起光を試料に向ける光学装置が存在する。励起光で励起された、蛍光状態にある物質の分子から発せられる蛍光を検出装置が検知する。本発明に従って、光成形光学系が、試料中で、少なくとも1つの極小値を有する励起光の強度分布を形成し、このとき、励起光の強度分布の極小値の位置では、個々の分子からの蛍光の強度が、最大で、試料における励起光の最大強度の位置における半分の大きさである。さらに、少なくとも1つの極小値を試料中のさまざまな位置に位置決め可能である走査装置が設けられている。検出装置は、少なくとも1つの極小値を取り囲む検知範囲から発せられる蛍光を、試料の別の領域から発せられる蛍光から分離可能に検出する。このとき、検出装置が、検知範囲からの蛍光を検出する、少なくとも1つの極小値の最も近接する位置間の間隔が、
λ/[(4nsinα)√(1+I/Is)]より大きくない。すなわち、走査装置は、試料の関心のある領域を、最小値dの半分より大きくないステップでスキャンする。
【0066】
好ましくは、光成形光学系が、極小値から成るグリッドを含めて試料に励起光を向け、走査装置が、強度分布を試料に対してシフトすることで、物質が蛍光発光を励起されない極小値の周囲の励起の弱い領域(32)を完全に含む試料の関心のある領域を結像する。ゼロ点から成るグリッドがどのように実現できるかは、非特許文献4に説明されている。
【0067】
少なくとも1つの極小値、または、三次元の試料では光軸のZ方向における極小値を取り囲むために、4Pi顕微鏡法を利用できる。このとき、Z方向で極小値を形成するのに、非特許文献5にある、同じ方向でSTED光の強度分布を形成するのと同じ方法をとることができる。励起光のコヒーレント部分光線が、互いに対向配置された2つの対物レンズによって試料に向けられ、そこで干渉させる場合、試料中で極小値から三次元のグリッドも形成できる。
【0068】
検出装置は、好ましくは、試料に対して静止している、その上に試料が結像される画像センサアレイを備える。これは、CCDまたはCMOSカメラで実現できる。
【0069】
本発明の有利な別の形態は、特許請求の範囲、明細書、および図面から明らかになる。明細書に挙げる特徴、および複数の特徴の組み合わせの利点は、単なる例示にすぎず、代替的または累積的に効果を発揮する可能性もあり、その利点が、必ず本発明による実施形態によって達成されなければならないことはない。これにより添付の特許請求の範囲の対象物が変更されることなく、元の出願書類およびそれに続く特許の開示内容に関して有効であり、その他の特徴は、図面、特に、描写した形状、および複数の構成部材の相対寸法、ならびにその相対的配置および連結作用から読み取ることができる。本発明のさまざまな実施形態の特徴、またはさまざまな特許請求の範囲の特徴の組み合わせは、同様に、特許請求の範囲の選択された関係と異なっていてもよく、これによって提案される。これは、別々の図面に描写された特徴や、その説明の際に挙げられる特徴にも該当する。こうした特徴は、さまざまな特許請求の範囲の特徴とも組み合わせることができる。同様に、特許請求の範囲に記載する特徴が、本発明のこの他の実施形態にはない場合もある。
【0070】
特許請求の範囲と明細書に記載する特徴は、その数量に関して、「少なくとも」という副詞の明示的な使用を必要とすることなく、ぴったりこの数量、または記載した数量より大きな数量が存在すると理解されるものとする。つまり、例えば1つの要素について言う場合、ぴったり1つの要素、2つの要素、またはそれより多くの要素が存在すると理解されるものとする。これらの特徴は、他の特徴、またはそれぞれの産物を構成するいくつかの特徴により補足することが可能である。
【0071】
特許請求の範囲に記載される符号は、特許請求の範囲によって保護される対象物の範囲を制限するものではない。これらの符号は、単に特許請求の範囲を理解しやすくする目的で用いられている。
【0072】
以下に、図示した好ましい実施例にもとづいて、本発明をさらに詳しく説明する。