(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記温度計が設けられた前記軸受パッドには、該軸受パッドにおける前記周方向の中央位置から該周方向の一方に寄った位置に外面から前記中心軸線の方向に凹む位置決め穴が形成され、
前記軸受ハウジングには、前記位置決め穴に挿入可能であるとともに前記軸受ハウジングから前記中心軸線の方向に突出し、軸受ハウジングに前記軸受パッドを支持する位置決め部材が設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の軸受装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、温度計が設けられた軸受パッドが軸受ハウジングに組み付けられる際、組み付け方向を間違うと、軸受パッド内で温度計が予め決められた所定の位置に配置されず、温度計によって軸受装置の状態を正確に把握することができなくなってしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、軸受パッドの組み付けを正しく行うことができる軸受装置、及び回転機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様に係る軸受装置は、環状をなして回転軸を外周側から囲む軸受ハウジングと、前記回転軸の外周面と前記軸受ハウジングの内周面との間に前記回転軸の周方向に互いに間隔をあけて複数配置されて、軸受ハウジングの内周面に支持されるとともに前記回転軸を回転可能に支持する軸受パッドと、複数の前記軸受パッドのうちの少なくとも一つに設けられた温度計と、を備え、前記温度計が設けられた前記軸受パッドは、前記回転軸の外周面に対向して配置されたパッド本体部と、前記軸受ハウジングの中心軸線の方向の両側に前記パッド本体部から突出するとともに互いに異なる形状なす一対のパッド肩部とを有し、前記軸受ハウジングは、前記一対のパッド肩部各々に対応する形状をなす一対のハウジング肩部を有している。
【0008】
このような軸受装置によれば、温度計が設けられた軸受パッドが互いに形状が異なる一対のパッド肩部を有し、軸受ハウジングは各々のパッド肩部の形状に応じたハウジング肩部を有している。従って、軸受ハウジングに軸受パッドを組み付ける際に軸受ハウジングの中心軸線の方向に逆向きに軸受パッドを組み付けてしまうことがなくなる。即ち、物理的に軸受パッドを逆向きに軸受ハウジングに組み付けることができなくなる。
【0009】
また、本発明の第二の態様に係る軸受装置では、上記第一の態様における一対の前記パッド肩部の各々は、前記中心軸線側を向くとともに前記回転軸の外周面に沿うパッド肩面を有し、前記パッド肩面の前記中心軸線からの前記
中心軸線に対する径方向の距離が、一対の前記パッド肩部同士で異なっていてもよい。
【0010】
このように一対のパッド肩面の径方向の距離が、一対のパッド肩部同士で異なることで、一対のパッド肩部におけるパッド肩面が回転軸の径方向にそれぞれ異なる位置に配置される。従って、軸受パッドを軸受ハウジングの中心軸線の方向に逆向きに軸受ハウジングに組み付けることが物理的にできなくなる。よって、軸受パッドに設けられた温度計を軸受ハウジングの所定の位置に配置することができ、軸受装置での温度計測を正確に行うことができる。
【0011】
また、本発明の第三の態様に係る軸受装置では、上記第一又は第二の態様における一対の前記パッド肩部の各々は、前記中心軸線側を向くとともに、前記中心軸線に沿うパッド肩面を有し、前記パッド肩面の前記中心軸線の方向の長さ寸法は、一対の前記パッド肩部同士で異なっていてもよい。
【0012】
このように一対のパッド肩面の中心軸線の方向の長さ寸法が、一対のパッド肩部同士で異なることで、軸受パッドを軸受ハウジングの中心軸線の方向に逆向きに軸受ハウジングに組み付けることが物理的にできなくなる。よって、軸受パッドに設けられた温度計を軸受ハウジングの所定の位置に配置することができ、軸受装置での温度計測を正確に行うことができる。
【0013】
また、本発明の第四の態様に係る軸受装置では、上記第一から第三のいずれかの態様における一対の前記パッド肩部の各々は、前記中心軸線側を向くとともに、前記回転軸の外周面に沿うパッド肩面を有し、一方の前記パッド肩部における前記パッド肩面は、前記中心軸線の一方から他方に向かって前記中心軸線に近接するか、又は前記中心軸線から離間するように傾斜していてもよい。
【0014】
このように、一方のパッド肩部のパッド肩面が傾斜する傾斜面として形成されていることで、軸受パッドを軸受ハウジングの中心軸線の方向に逆向きに軸受ハウジングに組み付けることが物理的にできなくなる。よって、軸受パッドに設けられた温度計を軸受ハウジングの所定の位置に配置することができ、軸受装置での温度計測を正確に行うことができる。
【0015】
また、本発明の第五の態様に係る軸受装置では、上記第一から第四のいずれかの態様における前記温度計が設けられた前記軸受パッドには、該軸受パッドにおける前記中心軸線の方向の中央位置から該
中心軸線の方向の一方に寄った位置に前記
中心軸線に対する径方向の外側から凹む位置決め穴が形成され、前記軸受ハウジングには、前記位置決め穴に挿入可能であるとともに前記軸受ハウジングから
前記径方向の内側に突出し、該軸受ハウジングに前記軸受パッドを支持する位置決め部材が設けられていてもよい。
【0016】
このように位置決め部材及び位置決め穴を設けることで、温度計が設けられた軸受パッドを軸受ハウジングに組み付ける際に、仮に、軸受ハウジングの中心軸線の方向に逆向きに無理やりに軸受パッドを組み付けてしまっても、このような場合には、位置決め穴の位置と、位置決め部材の位置とが一致しない。このため、位置決め部材を位置決め穴に挿入することができなくなる。よって、温度計が設けられた軸受パッドの逆組みの抑制効果をさらに高めることができる。
【0017】
また、本発明の第六の態様に係る軸受装置では、上記第一から第四のいずれかの態様における前記温度計が設けられた前記軸受パッドには、該軸受パッドにおける前記周方向の中央位置から該周方向の一方に寄った位置に外面から前記中心軸線の方向に凹む位置決め穴が形成され、前記軸受ハウジングには、前記位置決め穴に挿入可能であるとともに前記軸受ハウジングから前記中心軸線の方向に突出し、軸受ハウジングに前記軸受パッドを支持する位置決め部材が設けられていてもよい。
【0018】
このように位置決め部材及び位置決め穴を設けることで、温度計が設けられた軸受パッドを軸受ハウジングに組み付ける際に、仮に、軸受ハウジングの中心軸線の方向に逆向きに無理やりに軸受パッドを組み付けてしまっても、このような場合には、位置決め穴の位置と、位置決め部材の位置とが一致しない。従って、位置決め部材を位置決め穴に挿入することができなくなり、温度計が設けられた軸受パッドの逆組みの抑制効果をさらに高めることができる。
【0019】
また、本発明の第七の態様に係る回転機械は、上記第一から第六のいずれかの態様における軸受装置と、前記軸受装置によって回転可能に支持される回転軸と、を備えている。
【0020】
このような回転機械によれば、上記の軸受装置を備えることで、物理的に軸受パッドを逆向きに軸受ハウジングに組み付けることができなくなる。よって、軸受パッドに設けられた温度計を軸受ハウジングの所定の位置に配置することができ、軸受装置での温度計測を正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
上記の軸受装置、及び、回転機械によれば、軸受パッドの逆組みを抑制することができる。この結果、軸受パッドに設けられた温度計を軸受ハウジングの所定の位置に配置することができ、軸受装置での温度計測を正確に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の実施形態に係る蒸気タービン(回転機械)1について説明する。
図1に示すように、蒸気タービン1は、ケーシング10と、ケーシング10に流入する蒸気Sの量と圧力を調整する調整弁20と、ケーシング10の内方の内部空間に回転自在に設けられて、図示しない発電機等の機械に動力を伝達するタービンロータ30と、ケーシング10に固定された静翼列40と、タービンロータ30に固定された動翼列50と、タービンロータ30を回転軸線O回りに回転可能に支持する軸受部60と、を備えている。
【0024】
ケーシング10は、その内部空間を気密に封止するように形成されて、蒸気Sの流路を画成している。
【0025】
調整弁20は、ケーシング10に複数個取り付けられており、それぞれ図示しないボイラから蒸気Sが流入する調整弁室21と、弁体22と、弁座23と、蒸気室24とを備えている。この調整弁20では、弁体22が弁座23から離れることで蒸気Sの流路が開き、これによって、蒸気Sが蒸気室24を介してケーシング10の内部空間に流入する。
【0026】
タービンロータ30は、ロータ本体31と、ロータ本体31の外周から径方向外側に延出した複数のディスク32とを備えている。このタービンロータ30は、回転エネルギーを、図示しない発電機等の機械に伝達するようになっている。
【0027】
軸受部60は、ケーシング10に固定されて、ジャーナル軸受装置61及びスラスト軸受装置62を備えており、ケーシング10の内部に挿通されたタービンロータ30を回転可能に支持している。
【0028】
静翼列40は回転軸線Oの方向に間隔をあけて複数が、ケーシング10に固定されて設けられている。各々の静翼列40は、タービンロータ30を囲繞するように放射状に多数配置された複数の仕切板外輪12と仕切板内輪41とを備えて環状静翼群を構成している。
そして、各静翼列40は、蒸気Sの圧力エネルギーを速度エネルギーに変換して、回転軸線Oの方向の下流側に隣接する後述する動翼列50側に案内するようになっている。
【0029】
動翼列50は、タービンロータ30におけるディスク32の外周に複数が固定され、タービンロータ30から径方向外側に延出している。これら動翼列50は、ディスク32に放射状に多数配置された複数の動翼51を備えて環状動翼群を構成しており、各静翼列40の下流側に交互に配置されている。
【0030】
次に、ジャーナル軸受装置61について詳しく説明する。
図2に示すように、ジャーナル軸受装置61(以下、単に軸受装置61とする)は、タービンロータ(回転軸)30を外周側から囲む中心軸線O1を中心とした環状をなす軸受ハウジング71と、タービンロータ30の外周面と軸受ハウジング71の内周面との間に複数配置された軸受パッド72とを備えている。
また軸受パッド72のうち、タービンロータ30を下方から支持する一つの軸受パッド72には温度計75が設けられた温度計付きパッド73となっている。
【0031】
図3に示すように、軸受ハウジング71は、ケーシング10に設けられて円筒状をなす軸受架台65(
図1参照)に支持されたハウジング本体部77と、ハウジング本体部77から中心軸線O1の方向の両側に突出する一対のハウジング肩部78とを有している。
【0032】
また軸受ハウジング71の中心軸線O1は、タービンロータ30が軸受装置61に取り付けられた状態で、タービンロータ30の回転軸線Oと略同軸上に配置される。
【0033】
ハウジング本体部77は、径方向外側に配置された円筒状をなす外輪部80と、外輪部80の内周面に同心軸上に取り付けられた円筒状をなす内輪部81とを有している。
本実施形態では、便宜上、外輪部80と内輪部81とを分けた説明を行うが、実際には、外輪部80と内輪部81とは一体構造となっていてもよいし、別体構造となっていてもよい。
【0034】
ハウジング肩部78は、ハウジング本体部77から径方向の内側に向かって、中心軸線O1の両端部から突出して中心軸線O1を中心とした環状をなしている。これら一対のハウジング肩部78の各々は、径方向内側に向かって延びる径方向凸状部83と、径方向凸状部83における径方向の内側の端部から、軸受ハウジング71における中心軸線O1の方向の中央位置Cに向かって突出する軸方向凸状部84とを有している。
これにより、ハウジング肩部78は、中心軸線O1に沿う断面形状がL字状をなしている。
【0035】
そして、径方向凸状部83と軸方向凸状部84とが接続される部分には、径方向外側を向くハウジング肩面78aが形成されている。本実施形態では、ハウジング肩面78aは、中心軸線O1に沿う断面上で中心軸線O1と平行に延びている。
【0036】
また、ハウジング肩面78aの中心軸線O1からの径方向の距離は、一対のハウジング肩部78同士で異なっており、ハウジング肩面78a同士が径方向に異なる位置に配置されている。即ち、中心軸線O1の方向の一方となる
図3の紙面に向かって左側のハウジング肩部78では、ハウジング肩面78aの中心軸線O1からの径方向の距離がd1となっており、中心軸線O1の方向の他方のハウジング肩部78では、ハウジング肩面78aの中心軸線O1からの径方向の距離がd1よりも大きなd2となっている。
【0037】
軸受パッド72は、軸受ハウジング71の周方向に互いに等間隔をあけて、タービンロータ30の外周面と内輪部81の内周面との間に挟まれるようにして、複数(本実施形態では五つ)が配置されている。そして、タービンロータ30を回転可能に支持している。
【0038】
ここで本実施形態では、タービンロータ30の直下を支持可能に軸受パッド72が設けられていることで、軸受装置61は、いわゆるオンパッドタイプの軸受装置となっている。そして、タービンロータ30の直下を支持するように設けられた軸受パッド72には温度計75が設けられた温度計付きパッド73となっている。
【0039】
温度計75はセンサ部分が軸受パッド72の内部に埋め込まれて設けられている。またセンサ部分からは配線75aが径方向外側に向かって延び、外輪部80を通じて軸受装置61の外部に至るように設けられている。また、温度計75のセンサ部分は、軸受パッド72における周方向の一方に寄った位置に設けられている。即ち、タービンロータ30の回転方向Rの前方側に寄った位置に設けられている。
【0040】
そして、周方向に隣接する軸受パッド72同士の間のうち、少なくとも一か所には、タービンロータ30と軸受ハウジング71の内輪部81との間に給油を行う給油部88が設けられている。本実施形態では給油部88は、温度計付きパッド73の周方向両側、かつ、温度計付きパッド73に対してタービンロータ30の回転方向Rの前方側に隣接する軸受パッド72の周方向両側に設けられている。
【0041】
各々の給油部88は、内輪部81に径方向外側から挿入されたボルト89によって軸受パッド72同士の間に支持されている。ボルト89及び給油部88には、径方向に貫通する給油孔88aが形成されている。この給油孔88aを通じて、不図示の給油装置から軸受ハウジング71内に給油が行われ、軸受パッド72の周りが油で満たされるようになっている。
【0042】
また、それぞれの軸受パッド72における周方向の中央位置C1、かつ、中心軸線O1の方向の中央位置Cには、内輪部81の径方向外側から挿入されるようにして、径方向の内側に向かってハウジング本体部77から突出する位置決めボルト(位置決め部材)87が設けられている。
【0043】
即ち、軸受パッド72における周方向の中央位置C1、かつ、中心軸線O1の方向の中央位置Cには、位置決めボルト87が挿入、螺合可能な位置決め穴72aが形成されている。そして位置決めボルト87によって、軸受パッド72が径方向に揺動可能に、軸受ハウジング71に支持されている。
【0044】
図3に示すように、各々の軸受パッド72は、タービンロータ30の外周面に対向して配置されて上記の位置決め穴72aが形成されたパッド本体部90と、中心軸線O1の方向の両側にパッド本体部90から突出する一対のパッド肩部91とを有している。
【0045】
パッド本体部90は、ハウジング肩部78における一対の径方向凸状部83同士の間に、中心軸線O1の方向に挟まれるようにして配置されている。パッド本体部90では、径方向内側を向く面がタービンロータ30の外周面に対向するとともに、中心軸線O1を中心とした円筒面の一部となる形状をなしている。
【0046】
一対のパッド肩部91は、パッド本体部90における中心軸線O1の方向の両端部から、中心軸線O1の方向に互いに離間する方向に突出するとともに、互いに異なる形状をなしている。そして一対のパッド肩部91は、それぞれ一対のハウジング肩部78に対応する形状をなしている。
具体的には、一対のパッド肩部91は、それぞれハウジング肩部78のハウジング肩面78aに対して径方向に対向するように形成されたパッド肩面91aを有している。
【0047】
パッド肩面91aは、中心軸線O1に沿う断面上で中心軸線O1と平行に延びている。そして、パッド肩面91a同士が径方向に異なる位置に配置されている。即ち、中心軸線O1の方向の一方のパッド肩部91では、パッド肩面91aの中心軸線O1からの径方向の距離がD1となっており、中心軸線O1の方向の他方のパッド肩部91では、パッド肩面91aの中心軸線O1からの径方向の距離がD1よりも大きなD2となっている。
【0048】
また、パッド肩部91における径方向外側で、かつ、径方向凸状部83に対向する位置には、中心軸線O1に沿う断面上で、径方向の外側に向かって径方向凸状部83から離間するように傾斜する形状をなす傾斜面91bが形成されている。これにより、径方向凸状部83とパッド肩部91との間には断面三角形状の隙間SPが形成されている。図示しないが、この隙間SP内を温度計75の配線75aを通すようになっている。
【0049】
以上説明した本実施形態の蒸気タービン1によれば、軸受装置61に設けられた軸受パッド72が、互いに形状が異なる一対のパッド肩部91を有している。さらに、軸受ハウジング71は各々のパッド肩部91の形状に応じたハウジング肩部78を有している。
【0050】
従って、軸受ハウジング71に軸受パッド72を組み付ける際に、軸受ハウジング71の中心軸線O1の方向に逆向きに軸受パッド72を組み付けてしまうことがなくなる。即ち、物理的に軸受パッド72を逆向きに軸受ハウジング71に組み付けることができなくなる。
【0051】
よって、温度計付きパッド73を正しく軸受ハウジング71に組み付けることができ、温度計75を軸受ハウジング71の所定の位置に配置することができ、軸受装置61での温度計測を正確に行うことができる。
【0052】
〔第二実施形態〕
次に、
図4を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。
第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の蒸気タービン1Aでは、軸受装置61Aの軸受パッド72Aが第一実施形態とは異なっている。
【0053】
軸受パッド72Aでは、一対のパッド肩面91Aaの中心軸線O1の方向の長さ寸法は、一対のパッド肩部91A同士で異なっている。
【0054】
具体的には、一対のパッド肩面91Aaは、中心軸線O1に沿う断面上で中心軸線O1と平行に延びている。そして、中心軸線O1の方向の一方のパッド肩部91Aでは、パッド肩面91Aaの中心軸線O1の方向の長さ寸法がL1となっている。一方で、中心軸線O1の方向の他方のパッド肩部91Aでは、パッド肩面91Aaの中心軸線O1の方向の距離がL1よりも大きなL2となっている。
【0055】
これらパッド肩面91Aaに対応するように、一対のハウジング肩面78Aaのうち、中心軸線O1の方向の一方のハウジング肩部78Aではハウジング肩面78Aaの中心軸線O1の方向の長さ寸法がl1となっており、中心軸線O1の方向の他方のハウジング肩部78Aではハウジング肩面78Aaの中心軸線O1の方向の長さ寸法がl1よりも大きなl2となっている。
【0056】
以上説明した本実施形態の蒸気タービン1Aにおいても、一対のパッド肩面91Aaの中心軸線O1の方向の長さ寸法が、一対のパッド肩部91A同士で異なることで、軸受パッド72Aを中心軸線O1の方向に逆向きに軸受ハウジング71Aに組み付けることが物理的にできなくなる。
【0057】
よって、軸受パッド72Aの組み付けを正しく行うことができ、温度計75を軸受ハウジング71Aの所定の位置に配置することができ、軸受装置61Aでの温度計測を正確に行うことができる。
【0058】
〔第三実施形態〕
次に、
図5を参照して、本発明の第三実施形態について説明する。
第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の蒸気タービン1Bでは、軸受装置61Bの軸受パッド72Bが第一実施形態及び第二実施形態とは異なっている。
【0059】
軸受パッド72Bでは、中心軸線O1の方向の一方のパッド肩部91Bにおけるパッド肩面91Baは、中心軸線O1の一方から他方に向かってタービンロータ30の外周面に近接するように、即ち、中心軸線O1に近接するように傾斜する傾斜面となっている。その一方で、中心軸線O1の方向の他方のパッド肩部91Bにおけるパッド肩面91Baは、中心軸線O1に沿って延びている。
【0060】
ハウジング肩部78Bのハウジング肩面78Baについてもパッド肩面91Baに対応する形状に形成されている。
【0061】
以上説明した本実施形態の蒸気タービン1Bによっても、一方のパッド肩部91Bのパッド肩面91Baが傾斜面として形成されていることで、軸受パッド72Bを中心軸線O1の方向に逆向きに、軸受ハウジング71Bに組み付けることが物理的にできなくなる。よって、軸受パッド72Bの組み付けを正しく行うことができ、温度計75を軸受ハウジング71Bの所定の位置に配置することができ、軸受装置61Bでの温度計測を正確に行うことができる。
【0062】
ここで本実施形態では、
図6に示すように、中心軸線O1の方向の一方のパッド肩面91Baが、中心軸線O1の一方から他方に向かってタービンロータ30の外周面及び中心軸線O1に近接するように傾斜する傾斜面となっていてもよい。即ち、パッド肩面91Baが、
図5に示す場合と逆向きに傾斜していてもよい。
【0063】
また、
図7に示すように、中心軸線O1の方向の他方のパッド肩部91Bのパッド肩面91Baも傾斜面として形成されていてもよい。この場合、例えば中心軸線O1の方向の一方のパッド肩部91Bのパッド肩面91Baと中心軸線O1の方向の他方のパッド肩部91Bのパッド肩面91Baとが、同じ方向に傾斜するように形成されているとよい。即ち、一方のパッド肩面91Baが、中心軸線O1の方向の一方から他方に向かってタービンロータ30の外周面に近接する(又は外周面から離間する)ように形成されるとともに、他方のパッド肩面91Baも、中心軸線O1の方向の一方から他方に向かってタービンロータ30の外周面から離間する(又は外周面に近接する)ように形成される。
【0064】
さらに本実施形態では、
図8に示すように、一方のパッド肩面91Baと他方のパッド肩面91Baとが共に傾斜面として形成されるとともに、傾斜角度が異なっていてもよい。即ち、一方のパッド肩部91Bと、他方のパッド肩部91Bとで形状が異なっていればよい。
【0065】
〔第四実施形態〕
次に、
図9を参照して、本発明の第四実施形態について説明する。
第一実施形態から第三実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の蒸気タービン1Cでは、軸受装置61Cの温度計付きパッド73Cに設けられた位置決めボルト87、及び、位置決め穴72Caの位置が第一実施形態から第三実施形態とは異なっている。
【0066】
温度計付きパッド73Cには、第一実施形態と同様のパッド肩部91が設けられている。さらに、温度計付きパッド73Cに設けられた位置決めボルト87は、温度計付きパッド73Cにおける中心軸線O1の方向の中央位置Cから、中心軸線O1の方向の一方に寄った位置に設けられている。そして、位置決め穴72Caも同様に、中心軸線O1の方向の中央位置Cから、中心軸線O1の方向の一方に寄った位置に設けられている。
【0067】
なお、図示はしないが、位置決めボルト87、及び、位置決め穴72Caの周方向の位置は、第一実施形態から第三実施形態と同様に周方向の中央位置C1である。
【0068】
以上説明した本実施形態の蒸気タービン1Cによると、温度計付きパッド73Cを軸受ハウジング71Cに組み付ける際に、仮に、中心軸線O1の方向に逆向きに無理やりに組み付けてしまったとしても、位置決め穴72Caの位置と、位置決めボルト87の位置とが一致しない。
【0069】
従って、位置決めボルト87を位置決め穴72Caに挿入することができなくなり、温度計付きパッド73Cの逆組みの抑制効果をさらに高めることができる。
【0070】
〔第五実施形態〕
次に、
図10及び
図11を参照して、本発明の第五実施形態について説明する。
第一実施形態から第四実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の蒸気タービン1Dでは、軸受装置61Dに設けられた位置決めボルト87、及び、位置決め穴72Daの位置が第一実施形態から第四実施形態とは異なっている。
【0071】
温度計付きパッド73Dに設けられた位置決めボルト87は、軸受ハウジング71から径方向に突出するものではなく、中心軸線O1の方向の他方から一方に向かって温度計付きパッド73Dに向かって突出している。
【0072】
具体的には、
図11に示すように、温度計付きパッド73Dの位置決めボルト87は、中心軸線O1の方向の他方のハウジング肩部78における径方向凸状部83から中心軸線O1の方向に突出するように、温度計付きパッド73Dにおける周方向の中央位置C1から周方向の一方に寄った位置に設けられている。
【0073】
そして、位置決め穴72Daも同様に、温度計付きパッド73Dにおける周方向の中央位置C1から、周方向の一方に寄った位置に設けられている。
【0074】
以上説明した本実施形態の蒸気タービン1Dによると、温度計付きパッド73Dを軸受ハウジング71に組み付ける際に、仮に、中心軸線O1の方向に逆向きに無理やりに組み付けてしまったとしても、位置決め穴72Daの位置と、位置決めボルト87の位置とが一致しない。従って、位置決めボルト87を位置決め穴72Daに挿入することができなくなり、温度計付きパッド73Dの逆組みの抑制効果をさらに高めることができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
【0076】
例えば、一対のパッド肩部91(91A、91B)同士の形状が互いに異なるのは、温度計付きパッド73(73C、73D)のみであってもよい。この場合、温度計付きパッド73(73C、73D)が設けられる位置でのみ、軸受ハウジング71(71A、71B、71C、71D)における一対のハウジング肩部78(78A、78B)の形状を互いに異なるように形成してもよい。この際には、温度計付きパッド73(73C、73D)を軸受ハウジング71に組み付け可能となるように、軸受ハウジング71(71A、71B、71C、71D)を分割構造とする等の工夫が必要である。
【0077】
さらに、上述の各実施形態は適宜組み合わせ可能である。例えば、第一実施形態のように中心軸線O1からの距離がパッド肩面同士で異なるとともに、第二実施形態のように中心軸線O1の方向の長さ寸法も、パッド肩面同士で異なるように一対のパッド肩部を設けてもよい。
【0078】
また、
図12に示すように、タービンロータ30を下方で二つの軸受パッド72によって支持するビトウィンパッドタイプの軸受装置61Eにも、上述の各実施形態の構成を適用可能である。
【0079】
また、上述の実施形態では、蒸気タービン1(1A、1B、1C、1D)に軸受装置61(61A、61B、61C、61D、61E)を設けた例について説明したが、回転機械として例えば圧縮機等にも軸受装置61(61A、61B、61C、61D、61E)を適用可能である。