特許第6452054号(P6452054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6452054-流体充填型LED灯 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452054
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】流体充填型LED灯
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/64 20100101AFI20190107BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20190107BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20190107BHJP
【FI】
   H01L33/64
   H01L33/50
   H01L33/00 L
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-559999(P2016-559999)
(86)(22)【出願日】2015年10月15日
(65)【公表番号】特表2017-533573(P2017-533573A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】CN2015091992
(87)【国際公開番号】WO2017049680
(87)【国際公開日】20170330
【審査請求日】2016年11月30日
(31)【優先権主張番号】201510618505.9
(32)【優先日】2015年9月24日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516290472
【氏名又は名称】李峰
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】李峰
【審査官】 島田 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104763903(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102297351(CN,A)
【文献】 特開2012−099726(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3112794(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第103016995(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103325934(CN,A)
【文献】 特開2010−109368(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102130111(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0138621(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00−33/64
F21K 9/00− 9/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体充填型LED灯であって、該LED灯が、主に後面カバープレート、プリント基板、実装用流体、透明パネルおよび格子体を含み、後面カバープレート、透明パネルおよび格子体が、後面、側面、上面から実装して1つの密封空間を形成し、該密封空間内にプリント基板を取り付け、格子体の表面に密封空間とつながる注入孔を加工し、実装用流体を密封空間内全体に注入し、注入孔を外部から塞ぐこと、および
該実装用流体が、超純水、蒸留水または脱イオン水であること、および
格子体の底部にくぼんだ後面カバープレート取付位置が設けられ、くぼんだ後面カバープレート取付位置により、後面カバープレートを格子体底部に係入して取り付け、プリント基板を係止、固定すること、および
後面カバープレートと適合する後面カバープレート取付位置が、開口溝構造であり、すなわち矩形溝の一辺が延伸して、格子の周辺部を貫通し、側面から後面カバープレートを挿入することができる1つの構造が形成されること、および
透明パネル上に1層の蛍光接着フィルムが取り付けられ、蛍光接着フィルムの一面が密封空間に面することを特徴とする流体充填型LED灯。
【請求項2】
格子体が周辺部およびセパレート部を含み、このうち周辺部を本体および密封空間を支える外部本体とし、セパレート部がいくつかの反射屈折空間を含み、該反射屈折空間が外側に広がるテーパ状の空間であることを特徴とする、請求項1に記載の流体充填型LED灯。
【請求項3】
格子体のセパレート部の上方に、セパレート部の領域全体に対応して、パネル取付位置が設けられ、該パネル取付位置の大きさが、透明パネルを嵌め込んで取り付けるのに適していることを特徴とする、請求項2に記載の流体充填型LED灯。
【請求項4】
格子のセパレート部の下方に、プリント基板を取り付け、該プリント基板にいくつかのLEDチップが取り付けられ、各LEDチップが1つの反射屈折空間に対応することを特徴とする、請求項2に記載の流体充填型LED灯。
【請求項5】
該プリント基板が、セラミックプレートまたはアルミニウム基板であることを特徴とする、請求項4に記載の流体充填型LED灯。
【請求項6】
該実装用流体が、伝熱性能が良好で、揮発しにくく、発火点が高い流体であることを特徴とする、請求項1に記載の流体充填型LED灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光照明の技術分野に関し、特に流体充填型LEDの実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
照明技術が発展し続けるのに伴い、LEDは新しい照明光源とされており、高効率、低エネルギー消費の照明光源とされる。LEDは電気エネルギーを直接可視光に変換することができる半導体の発光装置であるが、現在LEDの光電変換効率は低く、大部分の電気エネルギーは熱エネルギーに変換される。照明により生成される熱量が大量に蓄積された場合、LEDチップは損傷する。これまでも、LED灯の重点の1つは、いかにして放熱を行うかという研究であった。光電変換により生成される熱量がすぐに排出されない場合、LEDの発光性能は大幅に低下する。したがって、いかにして実装し、効果的に熱量を放出するかということが、LEDのさらなる発展の鍵となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、以上の状況に対して、伝熱流体を採用して注入および実装を行うLED灯を示している。チップは基板全体に分布し、伝熱流体で直接ポッティングすると、発光過程で生じる熱量は正面、側面および背面の多方向の複数経路から放熱され、効果的に放熱、熱伝導される。工程は簡単で、信頼性が高い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
流体充填型LED灯において、該LED灯は主に、後面カバープレート、プリント基板、実装用流体、透明パネルおよび格子体を含む。後面カバープレート、透明パネルおよび格子体が、後面、側面、上面から実装して1つの密封空間を形成し、該密封空間内にプリント基板を取り付ける。格子体の表面に、密封空間とつながる注入孔を加工し、実装用流体を密封空間内全体に注入し、注入孔を外部から塞ぐ。
【0005】
格子体は周辺部およびセパレート部を含み、このうち周辺部を本体および密封空間を支える外部本体とする。セパレート部はいくつかの反射屈折空間を含み、該反射屈折空間は、外側に広がるテーパ状の空間である。
【0006】
格子体のセパレート部の上方に、セパレート部の領域全体に対応して、パネル取付位置が設けられる。該パネル取付位置の大きさは、透明パネルを嵌め込んで取り付けるのに適している。
【0007】
格子のセパレート部の下方に、プリント基板を取り付ける。該プリント基板にいくつかのLEDチップが取り付けられ、各LEDチップは1つの反射屈折空間に対応する。
【0008】
該プリント基板は、セラミックプレートまたはアルミニウム基板である。
【0009】
格子体の底部にくぼんだ後面カバープレート取付位置が設けられ、くぼんだ後面カバープレート取付位置により、後面カバープレートを格子体底部に係入して取り付け、プリント基板を係止、固定する。
【0010】
後面カバープレートと適合する後面カバープレート取付位置は、開口溝構造である。すなわち矩形溝の一辺が延伸して、格子の周辺部を貫通し、側面から後面カバープレートを挿入することができる1つの構造が形成される。
【0011】
透明パネル上に1層の蛍光接着フィルムを作製する。蛍光接着フィルムの一面は、密封空間に面する。
【0012】
該実装用流体は、伝熱性能が良好で、揮発しにくく、発火点が高い流体である。
【0013】
該実装用流体は、熱媒油、シリコーンオイル、超純水、蒸留水および脱イオン水である。
【0014】
流体充填型LED灯は、格子、後面カバープレート、透明パネル、蛍光接着フィルム、プリント基板を一体に組み合わせ、順番に組み立てる。プリント基板を格子の背部に嵌め込み、後面カバープレートを取り付ける。蛍光接着フィルムを予め加工したガラスを格子正面に取り付け、その後、格子正面の2つの注入孔から格子内部に流体を注入して充満させる。樹脂で注入孔を塞ぐと、全ての組立過程が完了する。
【0015】
本発明の係る伝熱流体を採用して注入および実装を行うLED灯は、チップが基板全体に分布する。伝熱流体で直接ポッティングすると、発光過程で生じる熱量は正面、側面および背面の多方向の複数経路から放熱される。より短い時間内で熱量を伝導することができ、効果的に放熱し、熱量が蓄積して高温になり、LEDチップが損傷するのを防止する。LEDチップの発光性能を改善し、発光効率が上昇する。該LED灯は工程が簡単で、信頼性が高い特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の流体充填型LED灯の構造概要図である。
図2図2は、本発明の実施例1における側面構造を簡略化した概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の図および具体的実施方式を組み合わせて、本発明の流体充填型LED灯について、さらに詳細に説明する。
【0018】
図1を参照されたい。図1は、該流体充填型LED灯の固定構成部分を示しており、後面カバープレート40、プリント基板30、透明パネル10および格子体20を含む。このうち後面カバープレート40、透明パネル10および格子体20が、後面、側面、上面から実装して1つの密封空間を形成し、該密封空間内にプリント基板30を取り付ける。格子体20の表面に密封空間とつながる注入孔を加工し、該注入孔から実装用流体を密封空間内全体に注入し、注入完了後、注入孔を外部から塞ぐ。
【0019】
図1から、格子体20を実装部分全体の本体構造とし、格子体20は周辺部21およびセパレート部22を含むことがわかる。このうち、周辺部21を本体および密封空間を支える外部本体とする。セパレート部22はいくつかの反射屈折空間を含み、該反射屈折空間は外側に広がるテーパ状の空間である。
【0020】
格子体の中央のセパレート部22上に、透明パネル10を組み合わせて実装し、格子体の下方にも後面カバープレートを組み合わせて係止し、取り付ける。格子体のセパレート部22は、上方の透明パネルおよび下方の後面カバープレートに密封され、1つの密封空間を構成する。
【0021】
該反射屈折空間は、4つの側壁および中空の収容空間を含み、4つの側壁が取り囲む空間はLEDチップの収容空間であり、大きさは単一のLEDチップを配置するのに適している。この部分は本出願人が出願した特許「LED反射構造」に関係する。テーパ状の反射構造を利用して単一のチップを仕切り、発光源を最大限に利用して高効率で照明を行う。
【0022】
格子のセパレート部の下方に、プリント基板30を取り付ける。該プリント基板30にいくつかのLEDチップ31が取り付けられ、各LEDチップ31は、1つの反射屈折空間に対応する。
【0023】
格子体20のセパレート部22の上方に、セパレート部の領域全体に対応して、パネル取付位置23が設けられる。該パネル取付位置23の大きさは、透明パネルを嵌め込んで取り付けるのに適している。
【0024】
該プリント基板30は、セラミックプレートまたはアルミニウム基板である。
【0025】
格子体20の底部にくぼんだ後面カバープレート取付位置24が設けられ、くぼんだ後面カバープレート取付位置24により、後面カバープレートを格子体底部に係入して取り付け、プリント基板30を係止、固定する。
【0026】
よりさらに、後面カバープレートと適合する後面カバープレート取付位置24は、開口溝である。すなわち矩形溝の一辺が延伸して、格子の周辺部を貫通し、側面から後面カバープレートに挿入することができる1つの構造が形成される。この利点は組立精度を向上させることができることであり、一側を基準として直接挿入し、後面カバープレートを取り付ける。
【0027】
透明パネル10上に、1層の蛍光接着フィルム11を作製する。蛍光接着フィルム11を有する一面は、密封空間に面する。該透明パネルの実装流体に対応する一面に、蛍光接着フィルム11を予め加工する。具体的な工程は本出願人の特許であるガラスラミネート工程を参照のこと。ここで、透明パネルの材料は、サファイヤ、アクリル、ガラスなどでよい。
【0028】
単一チップは反射屈折空間内で発光する。LEDチップの上方の発光を利用することができるだけでなく、同時に、その側面の発光を集光して利用することができ、発光利用率が上昇した。次に、反射屈折空間は実装流体を収容する主要な空間でもある。実装流体は格子体のセパレート部内に充填され、LEDチップ31、蛍光接着フィルム11と直接接触する。LEDチップ31が発する光が実装流体を通過し、蛍光接着フィルム11を活性化し、可視光が形成される。
【0029】
該実装用流体は、伝熱性能が良好で、揮発しにくく、発火点が高い流体である。
【0030】
該実装用流体は、熱媒油、シリコーンオイル、超純水、蒸留水および脱イオン水である。
【0031】
組立過程は次の通りである。プリント基板30を格子体20の底面に嵌め込み、格子体に対応して後面カバープレート40を取り付ける。蛍光接着フィルム11を予め加工した透明パネル10を、格子体正面のパネル取付位置23に取り付ける。その後、格子体の正面の2つの注入孔から密封空間内に実装用流体を注入し、実装用流体を充満させる。樹脂で注入孔を塞げば、すべての組立工程が完了する。
【0032】
本発明は、現在、発光チップの放熱が困難である問題を解決することができる。現在のLED業界内の実装は単一チップの実装であり、チップの両端にピンを有し、エポキシ樹脂でチップ全体をポッティングする。このような形式の実装工程は複雑で、取付は困難であり、これによりLED製品の灯構造は複雑になる。またこのような実装形式は、チップの動作で生じる熱量が、通常、チップの背部から放出される。灯に大きい面積の放熱器を備える必要があるが、放熱は理想的でない。本特許技術は流体実装の形式を採用し、発光チップの動作で生じる熱量を背部からの放熱に限定するだけでなく、すべての発熱をチップの周囲に充満する伝熱流体を介して放熱し、灯体の正面、側面および背面の多方向からの放熱を実現している。より効果的に熱量を放出し、工程は簡単で、組立は容易である。大きい面積の放熱器をさらに備える必要はなく、製品の超薄化、簡素化、超小型化の設計に有利であり、用途はより幅広い。
【0033】
本発明の係る伝熱流体を採用して注入および実装を行うLED灯は、チップが基板全体に分布する。伝熱流体で直接ポッティングすると、発光過程で生じる熱量は正面、側面および背面の多方向の複数経路から放熱される。より短い時間内で熱量を伝導することができ、効果的に放熱し、熱量が蓄積して高温になり、LEDチップが損傷するのを防止する。LEDチップの発光性能を改善し、発光効率が上昇する。該LED灯は工程が簡単で、信頼性が高い特徴を有する。
【0034】
以上の記載は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明をどのような形式でも制限しない。本発明は、好ましい実施例により上記のように開示したが、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の技術案を逸脱しない範囲内で、上記に示した技術内容を利用して、同等に変化した同等の実施例に変更または修飾することができるが、いずれも本発明の技術案の内容を逸脱しない。本発明に基づく技術とは、以上の実施例に対して行う簡単な修正、同等の変化および修飾を指し、いずれも本発明の技術案の範囲内に属する。
【符号の説明】
【0035】
10 透明パネル
11 蛍光接着フィルム
20 格子体
21 周辺部
22 セパレート部
23 パネル取付位置
24 後面カバー取付位置
30 プリント基板
31 LEDチップ
40 後面カバープレート
図1
図2