特許第6452077号(P6452077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452077
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】排水口蓋
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/20 20060101AFI20190107BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   E03C1/20 E
   E03C1/12 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-34810(P2015-34810)
(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公開番号】特開2016-156196(P2016-156196A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2018年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】小田川 智
(72)【発明者】
【氏名】樋元 佐紀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 篤行
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−169178(JP,U)
【文献】 特開平11−081406(JP,A)
【文献】 特開平01−094812(JP,A)
【文献】 特開平8−158440(JP,A)
【文献】 特開平8−53872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12− 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口を覆うための排水口蓋であって、
上下厚み方向に貫通した複数の貫通孔を有する金属板と、
この金属板が上面部上に積層されるようにして前記金属板を支持し、かつ前記複数の貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔に進入する上向き凸状部が前記上面部に設けられている樹脂体と、
を備えており、
前記樹脂体には、前記金属板の下面部に上部開口部が対向し、かつこの上部開口部から内部に流入してきた水を前記樹脂体の外部に流出させることが可能な排水用孔が設けられていることを特徴とする、排水口蓋。
【請求項2】
請求項1に記載の排水口蓋であって、
前記上向き凸状部の上端部は、前記金属板の上面部よりも上方に突出し、滑り止め用の凸部として機能する構成とされている、排水口蓋。
【請求項3】
請求項1または2に記載の排水口蓋であって、
前記樹脂体は、前記上面部を有し、かつ前記金属板が載せられる本体部と、この本体部の外周縁寄りの位置から下向きに突出した脚部と、を有しており、
前記排水用孔としては、前記脚部の形成箇所を避けるように前記本体部の中央寄りの位置に設けられ、かつ前記本体部の上下厚み方向に貫通する第1の排水用孔を備えている、排水口蓋。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の排水口蓋であって、
前記金属板には、下向き突出部が設けられており、
前記排水用孔としては、前記下向き突出部が挿入されることにより前記金属板の位置決めを図るための孔部を含む第2の排水用孔を備えており、
前記孔部は、この孔部の内面と前記下向き突出部との外面との間に、水の流通が可能な流路を形成するように構成されている、排水口蓋。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の排水口蓋であって、
前記樹脂体の上面部または前記金属板の下面部には、前記樹脂体と前記金属板との間に進入した水を前記排水用孔の上部開口部に導くことが可能なように、前記排水用孔の上部開口部に繋がった排水促進用の凹溝が設けられている、排水口蓋。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の排水口蓋であって、
前記樹脂体には、前記金属板を前記樹脂体の上面部上に保持させる磁力を発揮する磁石が埋設されている、排水口蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の洗い場フロアなどに設けられた排水口を覆うための排水口蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室の洗い場フロアに設けられる排水口は、通常時においては、排水口蓋を用いて覆われた状態とされる(たとえば、特許文献1,2を参照)。排水口蓋については、高級感を生じさせるための外観体裁などの理由から、その材質を金属製にすることが求められる場合がある。
【0003】
しかしながら、排水口蓋の全体を金属板で構成したのでは、排水口蓋の清掃時などにおいて排水口蓋を落とした場合に、取扱者身体の安全性が懸念される。排水口蓋の全体が金属板である場合、たとえば、入浴者が上に乗った際に容易に撓み変形などを生じない程度の強度をもたせようとすると、その厚みを比較的大きくしなければならず、全体の重量が大きくなってしまう。このため、たとえば排水口蓋の清掃時において、清掃者の足の上などに排水口蓋を落とした場合のダメージが大きくなる可能性があり、金属板のエッジ部分が足などに当たった場合にはなおさらである。
そこで、このような不具合を解消する手段として、本発明者らは、金属板を樹脂体上に積層させることを先に着想した。ただし、金属板を樹脂体上に単に載せただけでは、金属板と樹脂体との位置ずれが発生する他、金属板と樹脂体との間に形成された隙間に水が入り込む(たとえば、金属板に反りなどの歪みがあると、この金属板と樹脂体との間に隙間が生じる)。このため、この隙間部分が不衛生になるといった事態が発生する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−125479号公報
【特許文献2】特許第4437853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、落下させた際の安全性を高めることができ、取り扱いの面や衛生面などにおいても優れたものとすることが可能な排水口蓋を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明により提供される排水口蓋は、排水口を覆うための排水口蓋であって、上下厚み方向に貫通した複数の貫通孔を有する金属板と、この金属板が上面部上に積層されるようにして前記金属板を支持し、かつ前記複数の貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔に進入する上向き凸状部が前記上面部に設けられている樹脂体と、を備えており、前記樹脂体には、前記金属板の下面部に上部開口部が対向し、かつこの上部開口部から内部に流入してきた水を前記樹脂体の外部に流出させることが可能な排水用孔が設けられていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、金属板が樹脂体の上側に積層された構造であるため、金属板を利用した高級感
を醸しだすデザイン性が得られる一方、金属板単独では容易に撓み変形し易くなる不利を樹脂体により補い、金属板の厚みを小さくし、全体の軽量化および強度向上を図ることができる。したがって、取り扱い時において足の上に落下させたような場合のダメージを和らげることができる利点が得られる。金属板のエッジ部については、樹脂体により覆うことが可能であり、金属板のエッジ部が取扱者の足などを直撃するようなことも適切に防止することができる。
第2に、金属板の貫通孔には、樹脂体の上面部に設けられた上向き凸状部が進入しているため、樹脂体と金属板との水平方向の位置決めを図ることが可能である。
第3に、金属板の貫通孔に水が流れ込むような場合があるが、このような水は、樹脂体に設けられた排水用孔を介して樹脂体の外部に排出させることが可能である。したがって、金属板の貫通孔内に流入した水、さらには貫通孔から金属板と樹脂体との隙間に進入したような水がそれらの部分に多く滞留したままとなることを抑制し、それらの部分が不衛生になることを適切に防止することが可能となる。
【0009】
本発明において、好ましくは、前記上向き凸状部の上端部は、前記金属板の上面部よりも上方に突出し、滑り止め用の凸部として機能する構成とされている。
【0010】
このような構成によれば、金属板が比較的滑り易い表面であったとしても、樹脂体に設けられた上向き凸状部を利用することによって金属板の表面に滑り止め機能を適切にもたせることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記樹脂体は、前記上面部を有し、かつ前記金属板が載せられる本体部と、この本体部の外周縁寄りの位置から下向きに突出した脚部と、を有しており、前記排水用孔としては、前記脚部の形成箇所を避けるように前記本体部の中央寄りの位置に設けられ、かつ前記本体部の上下厚み方向に貫通する第1の排水用孔を備えている。
【0012】
このような構成によれば、金属板上に流れてきた水のうち、貫通孔に流入した水の多くを第1の排水用孔からその下方に排出することができる。したがって、金属板上、貫通孔内、および金属板と樹脂体との隙間などに多くの水が溜まらないようにすることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記金属板には、下向き突出部が設けられており、前記排水用孔としては、前記下向き突出部が挿入されることにより前記金属板の位置決めを図るための孔部を含む第2の排水用孔を備えており、前記孔部は、この孔部の内面と前記下向き突出部との外面との間に、水の流通が可能な流路を形成するように構成されている。
【0014】
このような構成によれば、金属板の下向き突出部が樹脂体の孔部に挿入される構造に基づき、樹脂体に対する金属板の位置決めをより的確に行なうことができる。加えて、前記孔部を利用して第2の排水用孔が設けられているため、その構成は合理的である。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記樹脂体の上面部または前記金属板の下面部には、前記樹脂体と前記金属板との間に進入した水を前記排水用孔の上部開口部に導くことが可能なように、前記排水用孔の上部開口部に繋がった排水促進用の凹溝が設けられている。
【0016】
このような構成によれば、樹脂体と金属板との間に多くの水が滞留したままになることを防止する上で、より好ましいものとなる。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記樹脂体には、前記金属板を前記樹脂体の上面部上に保持させる磁力を発揮する磁石が埋設されている。
【0018】
このような構成によれば、樹脂体の上面部への金属板の固定保持、およびその取り外し作業を簡易かつ迅速に行なうことでき、便利である。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る排水口蓋およびこの排水口蓋で覆われる排水口の一例を示す斜視図である。
図2】(a)は、図1に示す排水口蓋の斜視図であり、(b)は、(a)の分解斜視図である。
図3図2(a)のIII−III断面図である。
図4図2(a)のIV−IV断面図である。
図5図1に示す排水口蓋の底面図である。
図6】(a)は、図2(a)のVI−VI断面図であり、(b)は、(a)の要部拡大断面図であり、(c)は、(a)の分解断面図である。
図7】(a)は、本発明の他の例を示す分解斜視図であり、(b)は、(a)の要部拡大斜視図である。
図8】本発明の他の例を示す分解斜視図である。
図9】本発明の他の例を示す要部斜視図である。
図10】本発明の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1は、ユニットバスなどの浴室の構成要素として用いられる洗い場防水パンP、および排水口蓋Aを示している。
【0023】
洗い場防水パンPは、全体が樹脂製であり、洗い場フロア1を形成している。この洗い場防水パンPは、浴槽一体型(不図示)とすることが可能であるが、図1では、浴槽別体型であり、洗い場防水パンPの横(図1の一側縁部90の横)に浴槽が設置される。洗い場フロア1のうち、一側縁部90寄りの位置には、たとえば平面視略矩形の凹状部4、およびこの凹状部4の下方奥部に位置する排水口3が設けられている。排水口3の下側には、排水トラップを介して排水パイプ(図示略)が接続される。凹状部4は、排水口蓋Aを嵌入設置させるための部分である。排水口蓋Aを凹状部4内に嵌入設置することにより、排水口3は排水口蓋Aにより覆われる。
【0024】
排水口蓋Aは、金属板2と樹脂体5とを組み合わせて構成されている。
図2によく表われているように、金属板2は、平面視略矩形の平板状であり、耐食性に優れた材質(たとえばステンレス製)である。この金属板2には、上下厚み方向に貫通した複数の貫通孔20が縦横に適宜の間隔を隔ててマトリクス状に並んで設けられている。金属板2の四隅部分のそれぞれの下面部には、下向き突出部21が設けられている。この下向き突出部21は、後述するように、金属板2を樹脂体5に連結させるための部位であり、たとえばステンレス製の筒状部材の上部を金属板2の下面部に溶接するなどして設けられている。この下向き突出部21には、下部開口状のネジ孔21aが設けられている。
【0025】
樹脂体5は、金属板2を支持するための台座としての役割を果たすものであり、たとえば繊維強化樹脂製である。この樹脂体5は、金属板2が載せられる本体部50と、この本体部50の外周縁寄りの位置から下向きに突出した脚部51とを有している。樹脂体5に
は、第1の排水用孔52A、複数の第2の排水用孔52B、複数の上向き凸状部53、および上向き凸縁部54が設けられている。
【0026】
上向き凸縁部54は、本体部50の外周縁に沿って平面視矩形枠状に設けられた上向きリブ状である。金属板2は、この上向き凸縁部54の内側に嵌入されて樹脂体5の上面部5a上に載せられる。複数の上向き凸状部53は、第1の排水用孔52Aの周辺部において縦横に間隔を隔てたマトリクス状に並ぶようにして上面部5aに設けられており、金属板2が上面部5aに載せられた際には、複数の貫通孔20に対してその下方から嵌入する。この嵌入状態においては、図3に示すように、上向き凸状部53の上端部は、金属板2の上面部よりも適当な寸法La(たとえば、十分の数mm〜数mm)で上方へ突出する。このことにより、上向き凸状部53は、排水口蓋Aの上面部の滑り止め用の凸部としての役割を果たす。同図の要部拡大図に示すように、貫通孔20の内周面と上向き凸状部53の外周面との間には、微小な隙間C1を生じ、この隙間C1(貫通孔20内)に水が進入する虞がある。この水は、金属板2の下面部と樹脂体5の上面部5aとの間の微小な隙間C2にさらに流入する虞がある。金属板2の下面部や樹脂体5の上面部5aには、反りやその他の歪みが存在するのが通例であるため、前記した隙間C2が生じ、かつこの隙間C2に水が流入する。
【0027】
図2において、第1の排水用孔52Aは、本体部50の略中央部に位置する貫通孔として形成されている。本実施形態では、第1の排水用孔52Aが円形状であるが、楕円状や矩形状などの他の形状に形成することができる。図4および図5によく表われているように、樹脂体5上への金属板2の載置状態においては、第1の排水用孔52Aの上部開口部は、金属板2の下面部に直接対向し、かつ複数の貫通孔20と連通する。このため、第1の排水用孔52Aに連通する貫通孔20内に水が流入した場合、この水はそのまま第1の排水用孔52Aを通過してその下方へ排出される。
【0028】
図6において、複数の第2の排水用孔52Bは、金属板2の複数の下向き突出部21が嵌入する孔部52aを利用して構成されている。より具体的には、樹脂体5には、下向き突出部21が嵌入する複数の孔部52a,52bが上下に繋がって設けられている。上側の孔部52aは、上面部5aの四隅部またはその近傍に上部開口部が位置するように設けられている。一方、下側の孔部52bの下部開口部には、樹脂製またはゴム製のプラグ6が嵌合装着されている。このプラグ6は、脚部51の下面部よりも下方に突出しており、排水口蓋Aが設置される凹状部4に接触する部分である。金属板2の下向き突出部21は、孔部52a,52bに嵌入された状態でビスなどのネジ体7を利用して固定されている。この固定は、たとえばバネ座金71および平座金72を孔部52bの上壁面に当接させるようにして、ネジ体7を下向き突出部21のネジ孔21aに螺合させて行なわれている。このような固定構造により、金属板2と樹脂体5との固定連結が図られる。
【0029】
孔部52aは、この孔部52a内にその上側の隙間C2から水が進入してきた際に、この水を孔部52b内へ流れ落とすための流路52cを有する形態とされている。この流路52cは、孔部52aに、たとえばキー溝状の凹部を連設することにより構成されている。一方、プラグ6には、切欠き部60が形成されており、流路52cを通過して孔部52b内に流れ落ちてきた水を、切欠き部60から樹脂体5の外部に排出することが可能とされている。第2の排水用孔52Bは、孔部52a,52b、および切欠き部60を組み合わせて構成されている。
【0030】
次に、前記した排水口蓋Aの作用について説明する。
【0031】
排水口蓋Aは、金属板2が樹脂体5の上側に積層された構造であるため、金属板2の表面の金属光沢を利用して高級感を醸しだすデザイン性が得られる。また、樹脂体5は、金
属板2が踏まれたような場合であっても容易に撓み変形などを生じないように、金属板2の広い領域を支持しているため、金属板2としては、厚みが比較的薄いものを用いることが可能である。したがって、排水口蓋を金属板のみで構成する場合と比べて、全体の軽量化を図ることが可能である。その結果、取り扱い時において足の上に落下させたような場合のダメージを和らげることができる。金属板2のエッジ部分は、上向き凸縁部54により覆われているため、排水口蓋Aを落とした際に、金属板2のエッジ部分が取扱者の足に当たるといったことも好適に回避される。
樹脂体5の上向き凸状部53の上端部は、金属板2の上面部よりも上方に突出し、滑り止めの用の凸部として機能するため、入浴者などが金属板2上で足を滑らせるようなことも好適に抑制することが可能である。
【0032】
金属板2の貫通孔20内や、金属板2と樹脂体5との隙間C2には、水が流入する虞がある。ただし、図4に示したように、第1の排水用孔52Aの上側に位置する貫通孔20内に流入した水は、第1の排水用孔52Aを通過してそのまま下方に排出される。一方、図6を参照して説明したように、隙間C2に流入した水については、第2の排水用孔52Bを利用して樹脂体5の外部に排出することが可能である。したがって、貫通孔20内や隙間C2内に大量の水が滞留したままになることを防止し、それらの部分が不衛生になることを抑制することができる。第2の排水用孔52Bは、金属板2を樹脂体5に固定させるための孔部52a,52bを利用して形成されているため、その構成は合理的であり、構造の複雑化を抑制し得る利点も得られる。ネジ体7を緩めれば、金属板2を樹脂体5から取り外すことが可能であるため、それらの清掃作業を容易かつ的確に行なうことも可能である。
【0033】
図7図10は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0034】
図7に示す排水口蓋Aaにおいては、樹脂体5の上面部5aに、格子状に繋がった複数の排水促進用の凹溝57が設けられている。この凹溝57は、相互に一連に繋がり、かつ排水用孔52B(第2の排水用孔52B)の上部開口部にも繋がっている。
このような構成によれば、金属板2と樹脂体5の上面部5aとの間に水が進入した場合に、この水を排水用孔52Bに積極的に導き、金属板2と樹脂体5と間に多くの水が滞留したままになることをより適切に防止することが可能となる。本実施形態においては、前記実施形態の第1の排水用孔52Aに相当する排水用孔が設けられておらず、前記実施形態と比較して、金属板2と樹脂体5との間に進入する水の量が多くなる可能性が高いが、本実施形態の構成を採用すれば、排水用孔52Bを利用した排水性能を高めることができる。
【0035】
図8に示す排水口蓋Abにおいては、図7に示した排水口蓋Abとは異なり、樹脂体5に第1の排水用孔52Aを設けている。排水促進用の凹溝57は、第2の排水用孔52Bに加え、第1の排水用孔52Aにも繋がっており、金属板2と樹脂体5との隙間C2に進入した水が、凹溝57を通過して第1の排水用孔52Aに導かれて外部に排出される効果も期待できる。
【0036】
図9に示す排水口蓋Acにおいては、樹脂体5の複数の排水促進用の凹溝57に囲まれている各台部5bに、格子状に繋がった追加の凹溝58がさらに形成されている。
このような構成によれば、台部5b上の水が追加の凹溝58を通過して凹溝57に流れ落ちる現象が促進される。したがって、樹脂体5と金属板2(同図では不図示)との間に水が滞留したままになることを防止する上で、より好ましいものとなる。
なお、前記した実施形態の排水促進用の凹溝57や追加の凹溝58については、樹脂体5に設けることに代えて、金属板2の下面部に設けた構成とすることもできる。このよう
な構成であっても、前記したのと同様な作用を得ることが可能である。
【0037】
図10に示す排水口蓋Adにおいては、樹脂体5内に、磁石8が埋設されている。同図では、磁石8の全体が樹脂体5内に埋設されているが、磁石8の上面部が樹脂体5の上面部5aに露出した状態に埋設されていてもよい。金属板2は、磁石8の磁力により樹脂体5の上面部に保持される。金属板2の材質が、たとえばJIS−SUS400系などである場合、この金属板2を適切に磁力吸着させることが可能である。
本実施形態においては、ビスなどのネジ体を用いることなく、金属板2と樹脂体5との位置決め固定を図ることが可能であり、樹脂体5への金属板2の着脱作業を容易に行なうことができる。
【0038】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る排水口蓋の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0039】
本発明でいう排水用孔は、金属板の下面部に上部開口部が対向し、かつこの上部開口部から内部に流入してきた水を樹脂体の外部に排出させることが可能であればよい。本発明でいう第1の排水用孔としては、その形状が円形状などに限定されないことは既に述べたとおりである他、そのサイズや数なども限定されない。第1の排水用孔を複数設けた構成とすることもできる。本発明でいう第2の排水用孔は、金属板に設けられた下向き突出部が挿入される孔部を利用して構成されているが、この孔部内において水を流通させるための手段としては、キー溝状の凹部を孔部に連設する手段に代えて、または加えて、孔部の内径を下向き突出部よりもやや大きめとし、孔部の内周面と下向き突出部の外周面との間に形成される隙間を流水用の流路とした構成とすることもできる。
【0040】
金属板に設けられる複数の貫通孔、およびこれら複数の貫通孔に進入する樹脂体の上向き凸状部の具体的な形状、サイズ、数、配列なども限定されず、縦横に間隔を隔てたマトリクス状とは異なる配列(たとえば複数の同心円上に並んだ配列など)に設けることもできる。金属板や樹脂体の具体的な形状、サイズ、材質などもとくに限定されない。
本発明に係る排水口蓋は、浴槽が設置されていないシャワールームの排水口蓋を含むことは勿論のこと、これ以外として、たとえばプールサイドやキッチン洗い場の排水口蓋として構成することも可能である。
【符号の説明】
【0041】
A,Aa〜Ad 排水口蓋
2 金属板
20 貫通孔
21 下向き突出部
3 排水口
5 樹脂体
5a 上面部
50 本体部
51 脚部
52A 第1の排水用孔(排水用孔)
52B 第2の排水用孔(排水用孔)
52a,52b 孔部
52c 流路
53 上向き凸状部
57 排水促進用の凹溝
8 磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10