(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献2に記載された椅子では、中間メンバーは、座部を構成するクッション材及びインナーシェルと離間してこれらの下方に配置されおり、利用者が座部に着座すると、クッション材及びインナーシェルが沈み込むように下方に変位する。利用者から座部に作用する荷重により、例えばインナーシェルが中間メンバーに当接した場合には、下方への変位が制限される可能性がある。しかしながら、インナーシェルは平面視中央部分の下方、つまり着座者の下方に設けられており、着座者から座部に作用する荷重によりインナーシェルと中間メンバーとが当接すると、着座者はその部材同士の当接した感触を感じることになり、座り心地が悪いという問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、良好な座り心地とすることができる座部材及び椅子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る座部材は、着座者を支持する椅子の座部材であって、前記着座者の荷重を受けることにより、下方に撓むように弾性変形する座面部材と、
前記座面部材を支持する座部フレームと、を備え、前記座部フレームは、前記座面部材から下方に離間して配置され、前記座面部材が前記弾性変形して当接することで前記座面部材の下方への変位を規制する
前部連結杆を備え、前記座面部材は、前記着座者の荷重により前記弾性変形可能な荷重支持領域と、前記荷重支持領域の前側に配置され前記荷重支持領域よりも相対的に前記弾性変形しにくい前側領域と、を有し、前記
前部連結杆は、前記座部材を平面視して
前記荷重支持領域と前記前側領域との境界部に配置されていることを特徴とする。
【0009】
このように構成された座部材では、着座者の臀部を支持する荷重支持領域は、大きく弾性変形して撓み、下方に大きく変位する。これにより、座面部材における荷重支持領域よりも前側に配置された部分は、荷重支持領域の前側に配置された
前部連結杆と当接する。つまり、座面部材において、
前部連結杆と当接する部分は、着座者の臀部を支持する荷重支持領域よりも前側に配置されている。よって、着座者の臀部を支持する荷重支持領域には
前部連結杆と座面部材との当接する感触が伝達されにくいため、良好な座り心地とすることができる。
また、
前部連結杆と座面部材とが当接し、座面部材の下方への変位が規制された状態において、荷重支持領域では、着座者の臀部を支持し、座面部材が下方に撓んで着座者の臀部を下方から包み込むように変形する。その一方で、前側領域では、着座者の大腿部を支持し、座面部材の前部が下方へ傾斜するように変形する。よって、座面部材は着座者の体の部位に沿って変形することができるため、良好な座り心地とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る座部材は、前記座面部材の下面から下方に延びる
第1保持壁を有し、
前記前部連結杆は、前記
第1保持壁と係合して、前記座面部材の後方への変位を規制してもよい。
【0013】
このように構成された座部材では、
第1保持壁と
前部連結杆との係合により、座面部材の後方への変位が規制される。したがって、座面部材の下方への変位が規制されている状態、すなわち、座面部材の荷重支持領域が最も下方へ変位し、着座者の臀部の位置が安定した状態において、着座者の大腿部の位置も安定させることができる。また、座部に加わる荷重の向きや大きさによって、座面部材が、鉛直下方に変位せずに、後部が下方へ傾斜するように変位して、
前部連結杆が座面部材の下面よりも先に
第1保持壁へ当接する場合であっても、変位の方向を鉛直下方へ引き戻すことが可能になる。
【0014】
また、本発明に係る座部材は、前記
第1保持壁は、前記座面部材の左右方向に延びていてもよい。
【0015】
このように構成された座部材では、座面部材の左右方向にわたって座面部材の後方への変位が規制される。よって、荷重支持領域と前側領域とを左右方向にわたって明確に区別することができる。したがって、前側領域という限定的な範囲においてのみ、着座者の大腿部に合わせて前部が下方へ傾斜するように変位させることができる。
【0016】
また、本発明に係る座部材は、前記座面部材には、前記
第1保持壁の前側に前後方向に延びるリブが設けられていてもよい。
【0017】
このように構成された座部材では、座面部材の
第1保持壁の前側に前後方向に延びるリブが設けられているため、座面部材の前側領域では、剛性が高められ、着座者の荷重による変形が抑制される。よって、座面部材の前側領域は、荷重支持領域の変位の影響を受けることなく、着座者の大腿部に沿って変形することができる。
【0018】
また、本発明に係る座部材は、前記座面部材
の下面において、前記前部連結杆を挟んで
前記第1保持壁の反対側に
位置する部分から下方に延びる第2保持壁を有し、前記前部連結杆は、前記第2保持壁と係合して、前記座面部材の前方への変位を規制していてもよい。
【0019】
このように構成された座部材では、座部材に作用する荷重が取り除かれると、座面部材は、
前部連結杆から
第1保持壁を離間させるように変位して、荷重が作用する前の初期位置に戻ろうとする。このとき、
前部連結杆は
第1保持壁と
第2保持壁との間に配置されるため、
前部連結杆の座面部材に対する位置決めがされる。よって、座面部材が初期位置に戻ろうとする際の座面部材の変位量が抑制されるため、座部の劣化を抑制することができる。
また、座面部材に荷重が作用しているときには、座部に加わる荷重の向きや大きさによって、座面部材が、鉛直下方に変位せずに、前部が下方へ傾斜するように変位して、
前部連結杆が座面部材の下面よりも先に
第2保持壁へ当接する場合であっても、変位の方向を鉛直下方へ引き戻すことが可能になる。これにより、荷重支持領域では、前方への変位が規制された状態で、着座者の臀部を支持し、座面部材が下方に撓んで着座者の臀部を下方から包み込むように変形する。その一方で、座面部材の前側領域において、前部が下方へ傾斜するように変形して、着座者の大腿部を安定的な状態で支持することができる。
【0020】
また、本発明に係る座部材は
、前記座面部材は、前記座部フレームの上部に設けられ座面を形成していてもよい。
【0021】
このように構成された座部材では、座面部材を支持する座部フレームは、強度部材として機能する。さらに、強度部材としての座部フレームの一部である
前部連結杆は、座面部材と当接すると、座面部材の下方への変位を確実に規制することができる。
【0022】
また、本発明に係る椅子は、上記のいずれか一に記載の座部材と、前記座部材を支持する脚部と、前記座部材の後方に設けられた背凭れ部と、を備え、前記座部材は、前記脚部または前記背凭れ部に対して後端部側を中心として前端部を上方に跳ね上げ可能とされ、前記座部材は、前記
前部連結杆の下方を覆う下部カバー、をさらに備え、前記下部カバーの下面には、下方に向かって突出する突条が形成され、前記脚部は、前記突条を支持する支持脚を有し、前記座部材が前記前端部を前方に向け着座可能とされた位置で、前記支持脚の鉛直上方に、前記突条及び前記
前部連結杆が配置されていることを特徴とする。
【0023】
このように構成された椅子では、座部材の前端部が前方に向け着座可能とされた位置まで座部材を回動した際に、脚部の支持脚の鉛直上方には、下部カバーの下面から下方に向かって突出する突条が配置される。また、この突条の鉛直上方には座面部材を支持する
前部連結杆が配置されている。よって、これら突条及び
前部連結杆が座部材を回動した際の支持脚と座部材との衝撃を吸収するため、強度の優れた椅子とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明に係る座部材及び椅子によれば、良好な座り心地とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る椅子について説明する。
図1は、本実施形態に係る椅子の正面図である。
図2は、本実施形態に係る椅子の右側面図である。
図1、
図2に示すように、椅子1は、床面上に載置される脚部10と、脚部10に支持された座部(座部材)20と、座部20の後方に設けられた背凭れ部30と、を備えている。
以下の説明において、便宜上、椅子1の座部20上に背凭れ部30に着座した椅子利用者(着座者)が前を向く方向を「前方」、その反対方向を「後方」、つまり
図1に示す紙面に直交する方向を前後方向と称する。さらに、椅子1を設置する床側とその反対側を結ぶ方向を上下方向、椅子1の幅方向、つまり
図1の紙面に沿った横方向を左右方向と称する。
【0027】
(脚部)
脚部10は、左右一対で構成された脚フレーム11,11と、これら左右の脚フレーム11,11どうしを連結する前フレーム12と、を一体に備えている。脚部10は、金属材料からなる管状の材料により形成されている。
【0028】
それぞれの脚フレーム11は、前方に配設された前脚13と、後方に配設された後脚14と、前脚13の上部と後脚14の上部とを互いに連結する上部連結杆15と、を有している。
【0029】
前脚13は、その下端から鉛直上方に延びる鉛直部13aと、鉛直部13aの上端で湾曲して後方に向けて斜め上方に延びる斜行部13bと、を有している。この前脚13の鉛直部13aの下端には、キャスター16が装着されている。
【0030】
後脚14は、その下端から鉛直上方に延びる鉛直部14aと、鉛直部14aの上方で湾曲して前方に向けて斜め上方に延びる斜行部14bと、を有している。この後脚14の鉛直部14aの下端には、キャスター17が装着されている。
また、後脚14は、斜行部14bに連続し、さらに斜め上方に延びる上方延出部18を一体に備えている。
【0031】
上部連結杆15は、前脚13の斜行部13bの上端に連続して形成され、斜行部13bの上端で湾曲して後方に向かうにしたがって次第に上方に向かって延びるよう形成されている。上部連結杆15の後端15bは、後脚14の斜行部14bの上部に溶接、ロウ付け等により接合されている。
【0032】
前フレーム12は、左右の前脚13,13の斜行部13b,13bの上端部から前方に向けて斜め上方に延びる斜行部12a,12aと、斜行部12aの上方で湾曲して左右方向(水平方向)に延び、斜行部12a,12aどうしを連結する水平フレーム部(支持脚)12bと、を一体に備えている。前フレーム12の各斜行部12aの下端は、前脚13の斜行部13bの上端部に溶接またはロウ付け等により接合されている。
この前フレーム12により、左右の脚フレーム11,11は、その前部において互いに連結されている。この前フレーム12は、座部20に着座する利用者の体重が左右の前脚13,13に作用する際に、これら前脚13,13が左右方向外側に拡開することを防ぐ役割を担っている。
【0033】
このような脚部10において、左右の脚フレーム11、11の前脚13及び後脚14は、上方から下方に向かうにしたがって左右方向外側に向かうように形成されている。
また、左右の脚フレーム11,11において、左右の上部連結杆15,15は、その間隔が、それぞれの後端15bから前端15aに向けて漸次小さくなるよう設けられている。これにより、左右の前脚13,13は、左右の後脚14,14に対し、床面から同じ高さにおける左右方向の間隔が小さい。
【0034】
(背凭れ部)
背凭れ部30は、樹脂材料により形成されている。背凭れ部30は、板状で座部20に着座する利用者の背中を受ける背本体31と、背本体31の左右方向両端の下部にそれぞれ設けられ、脚部10に支持される被支持部32と、を備えている。
【0035】
背本体31は、利用者の背中から作用する荷重に応じて撓むよう、複数の貫通孔33が形成されている。これらの貫通孔33はいかなる形状、レイアウトとしてもよい。例えば、貫通孔33は、上下方向に延びる一定長のスリット状とすることができる。複数の貫通孔33を上下方向に沿って間隔をあけて配列する。そして、このような複数の貫通孔33の列を、左右方向に間隔をあけて複数配置する。ここで、互いに隣接する列の貫通孔33どうしは、その高さが互いに異なるよう、いわゆる千鳥状に配置してもよい。
【0036】
被支持部32は、後脚14の上方延出部18が下方から嵌入される凹部(図示無し)を備えている。背凭れ部30の左右方向両端部に設けられた被支持部32の凹部(図示無し)に、左右方向両側の上方延出部18が嵌入されることによって、脚部10の左右の脚フレーム11,11の後脚14,14は、背本体31を介して互いに連結されている。
【0037】
この背凭れ部30は、上部が上方に向かうにしたがって後方に傾斜するように形成されている。これにより、座部20に着座する利用者の背中をより安定的に支持することが可能とされている。
【0038】
また、背凭れ部30の被支持部32には、下方に向かうにしたがって次第に前方に向かって延び、後述する座部20を支持する座部支持部35が設けられている。
【0039】
(座部)
図3は、椅子1において座部20を上方に跳ね上げた状態を示す側面図である。
図4は、座部20の下面図である。
図5は、座部20の左右方向中心に沿った側断面図である。
図6は、座部20を構成する座部フレームおよび下部カバーを示す図であり、(a)は下部カバー22に座部フレーム21を装着する状態を示す斜視図、(b)は下部カバー22に座部フレーム21を装着した状態を示す斜視図である。
座部20は、板状をなし、脚部10の左右の上部連結杆15,15および前フレーム12の上方を覆うように配設されている。また、座部20は、後端部20r側が座部支持部35に回動自在に連結されている。これにより、
図3に示すように、座部20は、前端部20fを上方に跳ね上げることができるようになっている。
【0040】
図4、
図5に示すように、座部20は、座部フレーム21と、座部フレーム21の下方を覆う下部カバー22と、座部フレーム21の上方を覆う座面部材23と、を備えている。
【0041】
図6に示すように、座部フレーム21は、座面部材23を下方から支持する。座部フレーム21は、前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム21a,21aと、サイドフレーム21a,21aの後端部どうしを左右方向に連結する後部連結杆21bと、サイドフレーム21a,21aどうしを後部連結杆21bよりも前方で左右方向に連結する前部連結
杆24と、を備えている。座部フレーム21は、金属材料からなる管状の部材により形成されている。
左右両側のサイドフレーム21aは、後端で湾曲し、後部連結杆21bに連続している。
【0042】
前部連結杆24は、所定長にわたって左右方向に延在する中間部24aと、中間部24aの両端部から斜め上方に向けて延出し、先端部がサイドフレーム21aに溶接、ロウ付け等によって接合された斜行部24bと、を備えている。
前部連結杆24は、両側のサイドフレーム21aの前端部21fよりも所定寸法後方の位置に設けられている。これにより、それぞれのサイドフレーム21aは、その前端部21fが前部連結杆24よりも前方に突出している。ここで、前部連結杆24は、サイドフレーム21aの前後方向の長さに対し、後方から2/3程度の位置に配置するのが好ましい。
【0043】
座部フレーム21は、各サイドフレーム21aの後端部から上方に向けて延出する支持アーム25をさらに備えている。支持アーム25は、金属材料からなる板状の材料により形成され、上方に向かうにしたがって次第に後方に向かうよう延びている。
図6(a)に示すように、支持アーム25の下端部25aは、サイドフレーム21aの外周面に沿うよう湾曲して形成され、サイドフレーム21aに溶接、ロウ付け等により接合されている。支持アーム25の上端部には、貫通孔25hが支持アーム25の厚さ方向(左右方向)に貫通して形成されている。
【0044】
下部カバー22は、樹脂系材料を、後述するような所定形状に成形することによって構成されている。下部カバー22は、座部フレーム21の下方を覆うプレート部22aと、プレート部22aの外周部から上方に立ち上がる縁部22bと、を備えている。
【0045】
プレート部22aの上面側には、サイドフレーム21a,21aの先端部21f,21fが挿入される挿入部26,26と、前部連結杆24が配置される前部凹部27と、後部連結杆21bが配置される後部凹部28と、プレート部22aの前端部において、縁部22bに沿って左右方向に延びる補強リブ22Lと、が一体に形成されている。
【0046】
挿入部26は、プレート部22aの前端部において左右方向両側にそれぞれ形成されている。挿入部26は、例えば直方体状で、後方に向けて開口した有底状の挿入穴26sを有している。挿入部26の挿入穴26sには、サイドフレーム21aの前端部21fが後方から挿入されるようになっている。
サイドフレーム21aの前端部21fは、前方に向かうにしたがってその上下方向の外形寸法が次第に小さくなるように形成してもよい。これにより挿入穴26sへのサイドフレーム21aの前端部21fの挿入を容易に行うことができる。
また、プレート部22a上には、挿入部26から前方に向けて延びる補強リブ26Lを備えている。
【0047】
図5、
図6(b)に示すように、前部凹部27は、座部フレーム21の左右のサイドフレーム21aの前端部21fをそれぞれ挿入部26の挿入穴26sに挿入した状態で、前部連結杆24と対向する位置に形成されている。この前部凹部27は、左右方向に連続し、下方に向けて凹んでいる。前部凹部27の底部には、上方に向けて突出する凸部27tが、左右方向に間隔を空けて複数形成されている。この前部凹部27内には、前部連結杆24の中間部24aが挿入される。そして、中間部24aが複数の凸部27tに突き当たることで、前部連結杆24の下方への移動が規制される。
また、
図5に示すように、下部カバー22のプレート部22aの下面22u側には、前部凹部27を形成することによって下方に向けて突出し、左右方向に連続する突条50が形成されている。突条50の下端部には、上方に向けて凹となる凹溝51が、左右方向に連続して形成されている。これにより、凹溝51の両側には、下方に向けて突出する凸部50t,50tが左右方向に連続して形成されている。
【0048】
図6(b)に示すように、後部凹部28は、座部フレーム21の左右のサイドフレーム21aの前端部21fをそれぞれ挿入部26の挿入穴26sに挿入した状態で、後部連結杆21bおよびその両側に連続するサイドフレーム21a,21aの後端部と対向する位置に、下方に向けて凹んで形成されている。
【0049】
下部カバー22の後端部の左右方向両側には、縁部22bから連続して上方に向けて立ち上がるアームカバー部29が形成されている。アームカバー部29は、下部カバー22の後端部から上方に向かうにしたがって次第に後方に向かうように形成されている。アームカバー部29は、座部フレーム21の左右のサイドフレーム21aの前端部21fをそれぞれ挿入部26の挿入穴26sに挿入し、前部連結杆24の中間部24aを前部凹部27内に挿入した状態で、座部フレーム21の支持アーム25に沿う位置に形成されている。
図6(a)に示すように、アームカバー部29は、支持アーム25に対し、左右方向外方側に沿うプレート部29pと、プレート部29pの外周側に沿って左右方向内方に向けて立ち上がる周壁部29wと、を一体に備えている。また、アームカバー部29のプレート部29pには、貫通孔29hがプレート部29pの厚さ方向(左右方向)に貫通して形成されている。
【0050】
図6(b)に示すように、このような下部カバー22に対し、座部フレーム21は、座部フレーム21の左右のサイドフレーム21aの前端部21fをそれぞれ挿入部26の挿入穴26sに挿入するとともに、左右の支持アーム25をアームカバー部29の周壁部29wの内方でプレート部29pに沿わせて装着される。これにより下部カバー22と座部フレーム21とが一体化される。この状態で、前部凹部27内に、前部連結杆24の中間部24aが配置され、後部凹部28内に後部連結杆21bおよびその両側に連続するサイドフレーム21a,21aの後端部が配置される。
【0051】
この状態で、左右両側のサイドフレーム21aの前端部21fが挿入部26の有底状の挿入穴26sに後方から挿入されることで、座部フレーム21は、下部カバー22に対し、上下方向、左右方向、および前方への移動が規制される。
また、左右両側の支持アーム25がアームカバー部29のプレート部29pに沿うことで、座部フレーム21は、左右方向への移動が規制される。さらに、左右両側の支持アーム25は、アームカバー部29の周壁部29wの内方に位置することで、支持アーム25の上下方向および前後方向への移動範囲が周壁部29wによって規制される。これによって、座部フレーム21の後端部の上下方向および前後方向への移動範囲が規制される。
さらに、この状態で、前部連結杆24は、前部凹部27内に収容され、複数の凸部27tに突き当たる。前部連結杆24と複数の凸部27tとの間に生じる摩擦によって、座部フレーム21の前後方向の移動は抑制される。さらに、前部連結杆24の前後方向への移動量は、前部凹部27の前後方向の幅の範囲内に規制される。このようにして、座部フレーム21の前後方向への移動が制限される。
【0052】
図7は、座部20を構成する座部フレーム21、下部カバー22、座面部材23のベース板41を示す図であり、
図4におけるA−A矢視断面図である。
図7に示すように、下部カバー22のアームカバー部29には、内側カバー40が装着可能とされている。内側カバー40は、支持アーム25に対し、アームカバー部29とは反対側に配置される。内側カバー40は、アームカバー部29の周壁部29wの内側の、支持アーム25を収容した空間を閉塞するよう装着される。内側カバー40とアームカバー部29とは、図示しない係止爪等により互いに係合可能とされている。
内側カバー40には、アームカバー部29の貫通孔29hに対向する位置に、貫通孔40h(
図5参照)が形成されている。
【0053】
図5に示すように、座面部材23は、利用者の荷重を受ける。座面部材23は、ベース板41と、クッション材42と、表皮材43と、を備えている。
【0054】
図8は、ベース板41の下面図である。
図8に示すように、ベース板41は、樹脂材料を所定形状に成形することによって構成されている。ベース板41の下面41uには、左右方向両側に設けられた側部保持部44と、ベース板41の前端部41fよりも後方に設けられた前部保持部45と、ベース板41の後端部に沿って設けられた後部保持部46と、が形成されている。
【0055】
側部保持部44は、座部フレーム21のサイドフレーム21aを挟んで左右方向に対向する保持壁44a,44bを備えている。ベース板41において左右方向外方に位置する保持壁44aは、ベース板41の下面41uから下方に突出し、前後方向に沿って連続して形成されている。ベース板41において、保持壁44aに対して左右方向内方に位置する保持壁44bは、ベース板41の下面41uから下方に突出して形成されている。
【0056】
また、側部保持部44は、保持壁44a,44bの前方と後方に、それぞれ左右一対のクランプ爪47,47を備えている。クランプ爪47,47は、ベース板41の下面41uから下方に向けて突出して形成されている。クランプ爪47,47は、座部フレーム21のサイドフレーム21aの外径と同等の幅を隔てて左右方向に沿って対向している。そして、クランプ爪47,47の先端部には、クランプ爪47,47どうしが対向する方向に突出する係止爪(図示無し)がそれぞれ形成されている。これにより、
図7に示すように、クランプ爪47、47の間に、座部フレーム21のサイドフレーム21aが嵌め込まれて保持されるようになっている。
【0057】
図8に示すように、前部保持部45は、座部フレーム21の前部連結杆24が入り込むよう、前後方向に間隔を空けて対向した保持壁
(第1保持壁)45a、保持壁(
第2保持壁)45bを備えている。保持壁45a,45bは、ベース板41の下面41uから下方に突出し、左右方向に沿って連続して形成されている。
図5に示すように、保持壁45bは、前部連結杆24を挟んで保持壁45aと反対側に配置されている。そして、前部保持部45の保持壁45a,45bの内方に座部フレーム21の前部連結杆24が入り込んだ状態で、前部連結杆24とベース板41の下面41uとの間には、上下方向に空隙C1が形成されている。また、この状態で、前部連結杆24と保持壁45aとの間には、空隙CAが形成されるとともに、前部連結杆24と保持壁45bとの間には空隙CBが形成されている。なお、これら空隙CA,CBは形成されずに、前部連結杆24と保持壁45a,45bとが当接する構成であってもよい。
【0058】
図8に示すように、後部保持部46は、座部フレーム21の後部連結杆21bが入り込むよう、前後方向に間隔を空けて対向した保持壁46a,46bを備えている。保持壁46a,46bは、ベース板41の下面41uから下方に突出し、左右方向に沿って形成されている。
図5に示すように、保持壁46bの保持壁46a,46bの内方に座部フレーム21の後部連結杆21bが入り込んだ状態で、後部連結杆21bとベース板41の下面41uとの間には、上下方向に空隙C2が形成されるようになっている。
【0059】
図8に示すように、ベース板41において、左右の側部保持部44,44、前部保持部45、後部保持部46に囲まれた領域であるとともに、座部フレーム21のサイドフレーム21aに支持された領域である荷重支持領域Srには、同領域Srが利用者の臀部から作用する荷重に弾性変形し、下方に向けて撓むことを助長するよう、ベース板41の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔41hが形成されている。この荷重支持領域Srは、ベース板41の平面視中央側に配置されている。これらの貫通孔41hはいかなる形状、レイアウトとしてもよい。例えば、多数の貫通孔41hを、放射状に配置してもよい。また、座面部材23をより変形しやすい素材からなるものとしたり、薄い部材からなるものとすることによって、貫通孔41hを形成しないこともある。
【0060】
また、ベース板41において、荷重支持領域Srの前側の前側領域Sfには、前部保持部45の前方側の保持壁45aと、ベース板41の前端部41fとの間に、前後方向に連続するリブ41Lが、左右方向に間隔を空けて複数設けられている。さらに、ベース板41の前端部41fには、左右方向に連続し、複数のリブ41Lどうしを連結する連結壁41wが一体に形成されている。また、各リブ41Lの後端部は、前部保持部45の保持壁45aに一体に接合されている。
【0061】
このようにして、ベース板41において、荷重支持領域Srと、荷重支持領域Srの前側に配置された前側領域Sfとで上方からの荷重による弾性変形の発生のし易さが異なるように設定されている。すなわち、ベース板41において前部保持部45の荷重支持領域Srは、利用者が着座したときに利用者の臀部から作用する荷重に応じて下方に向けて撓みやすくなっている。また、ベース板41において、前部保持部45の前側領域Sfは、複数のリブ41Lによって、着座者の大腿部を安定的な状態で支持することができる。
【0062】
つまり、前側領域Sfは、荷重支持領域Srよりも相対的に弾性変形しにくい構成とされている。これら前側領域Sfと荷重支持領域Srとの境界である境界部Kfに、保持壁45a,45bが設けられている。
【0063】
このような座面部材23は、内方に座部フレーム21をセットした下部カバー22の縁部22bに対し、上方から装着される。そして、側部保持部44の前後のクランプ爪47,47に座部フレーム21のサイドフレーム21aが挿入・保持されることで、座面部材23が座部フレーム21に一体に連結される。
このようにして、座部20は、下部カバー22と座面部材23とが、座部フレーム21を介して一体に連結されている。
【0064】
また、座面部材23は、前部連結杆24よりも前方において、一対のサイドフレーム21a,21aの前端部21f,21f間を覆うよう設けられているため、座面部材23の前端部は遊端部となる。これにより、上記のように座面部材23と座部フレーム21とが一体に連結された状態において、座面部材23の前側領域Sfは、着座する利用者からの荷重を受けると、前端部に向かうにしたがって下方に弾性変形しやすくなる。よって、前側領域Sfは、着座者の大腿部を柔軟に支持することができる。
【0065】
その一方で、前側領域Sfは、ベース板41自体の構造により、荷重支持領域Srよりも相対的に下方に弾性変形しにくい構成とされている。よって、前側領域Sfでは、過度の弾性変形や、それによる破損及び経年劣化を防止できるようになっている。
【0066】
座部20は、座面部材23を座部フレーム21および下部カバー22に装着した状態で、支持アーム25、支持アーム25を覆う下部カバー22のアームカバー部29および内側カバー40が、座面部材23の後部の左右両側から、それぞれ上方に向けて突出している。
【0067】
このような座部20は、左右の座部支持部35に回動自在に連結されている。これには、内側カバー40、支持アーム25および下部カバー22のアームカバー部29の貫通孔40h、25h、29hにボルト(図示無し)を貫通させ、その先端部を座部支持部35に形成されたネジ穴(図示無し)に締結させている。このようにして、座部20は、後端部20r側が脚部10に回動可能に連結されて、前端部20fが上方に跳ね上げ可能とされている。
【0068】
図2に示すように、座部20の前端部20fを降ろした状態では、下部カバー22のプレート部22aの下面側に形成された突条50の凹溝51が、脚部10の前フレーム12の水平フレーム部12b上に載置される。このとき、
図5に示すように、下部カバー22の上面側に形成された前部凹部27内に、座部フレーム21の前部連結杆24の中間部24aが挿入されている。つまり、脚部10の前フレーム12の鉛直上方に、下部カバー22を介して、座部フレーム21の前部連結杆24が位置するようになっている。
【0069】
また、
図3に示すように、座部20を上方に跳ね上げた状態では、複数の椅子1を、前後方向に重畳することができるようになっている。ここで、脚部10は、前方に向けて左右方向の幅が漸次小さくなっているので、前方の椅子1の脚部10の内側に、後方の椅子1の脚部10を挿入することで、複数の椅子1を前後方向に重畳することが可能となっている。
もちろん、複数の椅子1は、上下方向に積み重ねることもできる。この場合には、下方に配設された下位の椅子1の前脚13及び後脚14の上方且つ前方に、上方に配設された上位の椅子1の前脚13及び後脚14が位置するように、複数の椅子1を順次上方に積み重ねることができる。なお、積み重ね可能な構造としては周知の構造が採用可能である。
【0070】
このような椅子1に利用者が着座すると、利用者の荷重によって、座部20は、表皮材43およびクッション材42が下方に向けて弾性変形し、ベース板41も下方に向けて弾性変形し撓む。このとき、ベース板41の荷重支持領域Srにおいては、ベース板41全体が下方に撓み、ベース板41の荷重支持領域Srの前後の端部に位置する前部保持部45、後部保持部46内で前部連結杆24、後部連結杆21bにベース板41が突き当たって当接すると、それ以上のベース板41の下方への変位が規制される。また、ベース板41の左右両端部では、側部保持部44内で座部フレーム21のサイドフレーム21aにベース板41が突き当たることで、ベース板41の下方への変位が規制される。
【0071】
また、座部20に後向きの力が作用した場合には、ベース板41が後方に変位しようとするが、後方へ変位した前部保持部45の保持壁45aと前部連結杆24とが当接する(
図5の二点鎖線参照)ことにより、ベース板41の後方へのそれ以上の変位が規制される。
また、座部20に前向きの力が作用した場合には、ベース板41が前方に変位しようとするが、前方へ変位した前部保持部45の保持壁45bと前部連結杆24とが当接する(
図5の二点鎖線参照)ことにより、ベース板41の前方へのそれ以上の変位が規制される。
これにより、荷重支持領域Srにおいては、その外周部では、一定以上の座面の下方への移動が規制されて剛性感が得られる一方、その内周部では、弾力感が得られる。
【0072】
その一方で、前側領域Sfでは、後方への変位が規制された状態で、前部が下方へ傾斜するように変形するとともに、複数のリブ41Lによって、着座者の大腿部を安定的な状態で支持することができる。
このようにして、利用者が良好で安定した着座感を得られるようになっている。
【0073】
また、利用者の荷重によるベース板41の上記したような下方への撓みが生じるとき、ベース板41の内周部で下方に向けて撓みが生じることによって、ベース板41の外周部が内周側に引き込まれるような変位が生じる。このような変位に対し、前部保持部45は、保持壁45aの前方に複数のリブ41Lが設けられているため、保持壁45aの剛性を高め、変位に対して大きな抵抗力を発揮できる。
【0074】
(椅子の組立方法)
次に、上記したような椅子1の組立方法について説明する。
図6(a)に示すように、座部20を組み立てるには、下部カバー22に対し、座部フレーム21を後方から斜め下方に向けて差し込み、座部フレーム21の左右のサイドフレーム21aの前端部21fをそれぞれ挿入部26の挿入穴26sに挿入する。このサイドフレーム21aの前端部21fの挿入動作と並行して、座部フレーム21の後端部21rを下方に向けて降ろす。これには、下部カバー22の両側のアームカバー部29を左右方向外方に向けて広げるように弾性変形させ、座部フレーム21の両側の支持アーム25を、アームカバー部29の内側に落とし込む。この後、アームカバー部29から手を離すと、アームカバー部29が左右方向内方に向けて復元する。すると、
図6(b)に示すように、左右の支持アーム25がアームカバー部29の周壁部29wの内方に入り込み、プレート部29pに沿う。これにより下部カバー22と座部フレーム21とが一体化される。
【0075】
次いで、座面部材23を、内方に座部フレーム21がセットされた下部カバー22の縁部22bに対し、上方から装着する。そして、側部保持部44の前後のクランプ爪47,47に座部フレーム21のサイドフレーム21aを挿入・保持させることで、座面部材23が座部フレーム21に一体に連結される。
【0076】
このようにして組み立てられた座部20は、左右の座部支持部35に連結する。これには、内側カバー40、支持アーム25および下部カバー22のアームカバー部29の貫通孔40h、25h、29hにボルト(図示無し)を貫通させ、その先端部を座部支持部35に形成されたネジ穴(図示無し)に締結させる。
【0077】
背凭れ部30は、背凭れ部30の左右方向両端部に設けられた被支持部32の凹部(図示無し)に、脚部10の後部で斜め後方に向けて延出する上方延出部18を嵌入させる。
このようにして、椅子1を組み立てることができる。
【0078】
上述した椅子1によれば、着座者の臀部を支持する荷重支持領域Srは、大きく弾性変形して撓み、下方に大きく変位する。これにより、荷重支持領域Srよりも前側に配置された境界部Kfにおいて、ベース板41の下面41uは荷重支持領域Srの前側に配置された前部連結杆24と当接する。つまり、座面部材23において、前部連結杆24と当接する部分は、着座者の臀部を支持する荷重支持領域Srよりも前側に配置されている。よって、着座者の臀部を支持する荷重支持領域Srには前部連結杆24とベース板41との当接する感触が伝達されにくいため、良好な座り心地とすることができる。
【0079】
また、前部連結杆24とベース板41とが当接し、ベース板41の下方への変位が規制された状態において、荷重支持領域Srでは、着座者の臀部を支持し、座部20が下方に撓んで着座者の臀部を下方から包み込むように変形する。その一方で、前側領域Sfでは、着座者の大腿部を支持し、座部20の前部が下方へ傾斜するように変形する。よって、座部20は着座者の体の部位に沿って変形することができるため、良好な座り心地とすることができる。
【0080】
また、座部20に後向きの力が作用した場合には、ベース板41が後方に変位しようとするが、後方へ変位した前部保持部45の保持壁45aと前部連結杆24とが当接することにより、ベース板41の後方へのそれ以上の変位が規制される。これにより、荷重支持領域Srでは、最も下方へ変位し、着座者の臀部を支持し、座部20が下方に撓んで着座者の臀部を下方から包み込むように変形する。その一方で、前側領域Sfでは、後方への変位が規制された状態で、前部が下方へ傾斜するように変形して、着座者の大腿部を前後位置のずれが生じにくい安定的な状態で支持することができる。
また、前部連結杆24と保持壁45aとの当接位置を、前側領域Sfの前部が下方へ傾斜するように変形するときの明確な支点とすることができる。よって、前側領域という限定的な範囲においてのみ、着座者の大腿部に合わせて前部が下方へ傾斜するように変位させることができ、座部20をより着座者の身体の部位に沿って変形させることができる。
このように、作用する力に応じて、荷重支持領域Srと前側領域Sfとは、それぞれ独立した変形、変位が可能とされている。
【0081】
また、座部に加わる荷重の向きや大きさによって、ベース板41において、鉛直下方に変位せずに、後部が下方へ傾斜するように変位して、前部連結杆24がベース板41の下面41uよりも先に保持壁45aへ当接する場合であっても、変位の方向を鉛直下方へ引き戻すことが可能になる。
【0082】
また、保持壁45aが左右方向に延びているため、ベース板41の左右方向にわたってベース板41の後方への変位が規制される。よって、荷重支持領域Srと前側領域Sfとを左右方向にわたって明確に区別することができる。したがって、前側領域Sfという限定的な範囲においてのみ、着座者の大腿部に合わせて前部が下方へ傾斜するように変位させることができる。
【0083】
また、ベース板41の保持壁45aの前側に前後方向に延びるリブ41Lが設けられているため、前側領域Sfでは、剛性が高められ、着座者の荷重による変形が抑制される。よって、前側領域Sfは、荷重支持領域Srの変位の影響を受けることなく、着座者の大腿部に沿って変形することができる。
【0084】
また、座部20に作用する荷重が取り除かれると、座部20は、前部連結杆24から保持壁45aを離間させるように変位して、荷重が作用する前の初期位置に戻ろうとする。このとき、前部連結杆24は保持壁45aと保持壁45bとの間に配置されるため、前部連結杆24のベース板41に対する位置決めがされる。よって、座部20が初期位置に戻ろうとする際の座部20の変位量が抑制されるため、座部20の劣化を抑制することができる。
【0085】
また、座部に加わる荷重の向きや大きさによって、ベース板41において、鉛直下方に変位せずに、前部が下方へ傾斜するように変位して、前部連結杆24がベース板41の下面41uよりも先に保持壁45bへ当接する場合であっても、変位の方向を鉛直下方へ引き戻すことが可能になる。これにより、荷重支持領域Srでは、前方への変位が規制された状態で、着座者の臀部を支持し、座部20が下方に撓んで着座者の臀部を下方から包み込むように変形する。その一方で、前側領域Sfでは、前方への変位が規制された状態で、前部が下方へ傾斜するように変形して、着座者の大腿部を安定的な状態で支持することができる。
【0086】
また、座部20の前端部20fが前方に向け着座可能とされた位置まで座部20を回動した際に、脚部10の水平フレーム部12bの鉛直上方には、下部カバー22の下面から下方に向かって突出する突条50が配置される。また、この突条50の鉛直上方には座面部材23を支持する前部連結杆24が配置されている。よって、これら突条50及び前部連結杆24が座部20を回動した際の水平フレーム部12bと座部20との衝撃を吸収するため、強度の優れた椅子1とすることができる。
【0087】
(変形例)
なお、本発明の椅子は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記に示す実施形態においては、リブ41Lは、ベース板41の前側領域Sfに設けられているが、本発明はこれに限られず、リブ41Lが設けられていなくてもよい。
【0088】
また、利用者が座部20に着座していない状態において、後部連結杆21b又は前部連結杆24の左右両端部がベース板41に当接又は近接している構成であってもよい。
【0089】
加えて、座部フレーム21や下部カバー22の構成をはじめとして、椅子1の各部の構成は、設計事項により適宜他の構成に代えてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。