【実施例1】
【0014】
図1及び
図2を参照して実施例1を説明する。
図1に示されているように、この実施例のイメージセンサは、シリコンなどの半導体基板に形成され、例えば、第1の画素ブロック10a及び第2の画素ブロック10bを含む画素群10を有して構成されており、同様の画素ブロックが複数アレイ状に配列されている。そして、各々の画素ブロックは同様の回路素子から構成されており、
図1に示すように、例えば、第1の画素ブロック10aの画素は、フォトダイオードPDなどの光電変換素子1aを用いて受光量に応じた電荷を生成し、電圧レベルとして出力する画素部及び前記電圧レベルを増幅する増幅回路1b(インバータアンプ)を有する画素構成部1と、前記増幅回路1bの出力部の各々に設けられて前記画素部から前記増幅回路1bまでのオフセットばらつきをキャンセルするオフセットキャンセル回路(オフセット補正)2と、前記オフセットキャンセル回路2の出力電圧をサンプリングするサンプルホールド回路3と、前記オフセットキャンセル回路2の出力電圧を比較電位AEC(所定の基準電圧の値)と比較する比較器4aとを有している。サンプルホールド回路3は、並列接続されて相補的に動作する第1の回路3a及び第2の回路3bからなり、制御回路6によって生成されるタイミング信号によって動作制御される。前記画素部が受光量に応じた電荷を生成するときに前記サンプルホールド回路3の一方(第1の回路3aまたは第2の回路3b)はサンプリング動作を開始し、前記サンプリング動作開始から所定時間が経過したとき又は前記所定時間が経過する前に、共通接続された前記比較器4aの出力の少なくとも1つが前記比較電位AECより前記オフセットキャンセル回路2の出力電圧が大きくなったことを示したときに前記サンプリング動作は終了する。(サンプリング動作からホールド動作に移行する。)制御回路6は、画素群10に含まれる各スイッチをオンオフするタイミング信号も生成する。
【0015】
比較器4aは、その出力をゲートに入力するNMOSトランジスタ4bと共に飽和検出回路4を構成する。そして、サンプリング動作開始から所定時間が経過する前に、飽和検出回路4の出力により、前記比較電位AECよりオフセットキャンセル回路2の出力電圧が大きくなった画素ブロックを検出した場合には、サンプリング動作していたサンプルホールド回路3の一方(第1の回路3a又は第2の回路3b)は、そのタイミングでサンプリング動作からホールド動作に移行する。
画素構成部1は、フォトダイオード(PD)1a及びインバータアンプ1bから構成され、両者の間には従来のようなスイッチ(
図3に示すスイッチ101c)は設けられていない。インバータアンプ1bは、一端がフォトダイオード1aに接続され、他端が電流源に接続された容量CF1と、容量CF1に並列接続されたリセットスイッチSW1と、ゲートにフォトダイオード1a及び容量CF1の一端が接続され、ソースが接地され、他方が電流源に接続されたNMOSトランジスタT1とから構成されている。インバータアンプ1bの出力は、フォトダイオード1aからインバータアンプ1bまでのオフセットばらつきの補正を行うオフセットキャンセル回路2に入力する。
【0016】
オフセットキャンセル回路2は、一端がインバータアンプ1bの出力に接続され、他端がサンプルホールド回路3の入力に接続される容量CF2と、一端が前記容量CF2の他端に接続され、他端が基準電位に接続されたスイッチSW2とから構成されている。オフセットキャンセル回路2の出力は、サンプルホールド回路3に入力する。
サンプルホールド回路3は、第1の回路3a及び第2の回路3bから構成されている。第1の回路3aは、容量CH1と5個のスイッチから構成されている。容量CH1は、一端がスイッチSW3に接続され、他端がスイッチSW7に接続され、スイッチSW4が並列接続され、前記一端と基準間にスイッチSW5が接続され、前記他端と基準間にスイッチSW6が接続されている。スイッチSW3は、オフセットキャンセル回路2の出力にも接続され、オフセットキャンセル回路2の出力と容量CH1の入力間の導通・非導通を制御する。スイッチSW7は、他端が画素ブロック10aの出力端に接続され、出力信号は、出力アンプ5を介して出力端子(OUT)から出力される。
【0017】
第2の回路3bは、容量CH2と5個のスイッチから構成されている。容量CH2は、一端がスイッチSW8に接続され、他端がスイッチSW12に接続され、スイッチSW9が並列接続され、前記一端と基準電位間にスイッチSW10が接続され、前記他端と基準電位間にスイッチSW11が接続されている。スイッチSW8は、オフセットキャンセル回路2の出力にも接続され、オフセットキャンセル回路2の出力と容量CH2の入力間の導通・非導通を制御する。スイッチSW12は、他端が画素ブロック10bの出力端に接続され、出力信号は、出力アンプ5を介して出力端子(OUT)から出力される。
出力アンプ5は、画素ブロック10a、10bを含む複数の画素ブロック(画素群10)の出力信号が入力する。オフセットキャンセル回路2の出力は、飽和検出回路4にも入力する。
飽和検出回路4は、比較器4a及び比較器4aの出力にゲートが接続されたNMOSトランジスタ4bとから構成される。比較器4aは、第1の入力端子である比較電圧入力端子と、第2の入力端子である比較電位AECが入力される基準電圧入力端子と、出力端子とを有する。飽和検出回路4の出力は制御回路6に入力されて、サンプリング動作開始から所定時間が経過する前に、共通接続された比較器4aの出力の少なくとも1つが比較電位AECよりオフセットキャンセル回路2の出力電圧が大きくなったことを検出したときに、サンプルホールド回路3のサンプリング動作は停止する(サンプリング動作からホールド動作に移行する。)前記比較電位AECは、画素部を構成する光電変換素子への露光による画素ブロックの飽和状態を検出するために任意に設定した基準電圧の値である。従って、その値をどの程度にするかは当該システムの使用者によるが、画素ブロックのダイナミックレンジぎりぎりの値、即ち飽和電圧に合わせて設定することが望ましい。
【0018】
サンプルホールド回路3は、オフセットキャンセル回路2の出力信号の蓄積・出力を相補的に行い、出力アンプ5を介してイメージセンサの出力端子(OUT)から出力される。
イメージセンサは、インバータアンプ1bのリセットスイッチSW1及びSW2を開放(オフ)にしてフォトダイオード(PD)1aを露光状態にすると共に、スイッチSW3及びSW6、又は、スイッチSW8及びSW11を短絡(オン)して、サンプルホールド回路3(第1の回路3a又は第2の回路3b)をサンプリング動作状態にする。露光終了後にサンプルホールド回路3のホールド状態から出力信号を外部に出力する(VIDEO出力)には、第1の回路3aから出力するときにはスイッチSW5及びSW7を短絡(オン)させ、第2の回路3bから出力するときには、スイッチSW10及びSW12を短絡(オン)する。 リセットスイッチSW1の短絡(オン)によって、増幅回路1bはリセットされる。また、スイッチSW2、SW4,SW6の短絡(オン)によってオフセットキャンセル回路2及び第1の回路3aはリセットされ、スイッチSW2、SW9,SW11の短絡(オン)によってオフセットキャンセル回路2及び第2の回路3bはリセットされる。
【0019】
この実施例では、フォトダイオード1aが受光量に応じた電荷を生成している時(即ち、露光時間)に各画素のサンプルホールド回路3(第1の回路3a又は第2の回路3b)は、サンプリング動作を開始する。そして、このサンプリング動作開始時から所定時間が経過した時又は所定時間が経過する前にイメージセンサに組み込まれた比較器4aの出力の少なくとも1つが比較電位AEC(基準電圧の値)よりオフセットキャンセル回路2の出力電圧が大きくなったことを示したときにサンプリング動作を終了させるように構成されている。
サンプルホールド回路3は、第1の回路3a及び第2の回路3bからなり、オフセットキャンセル回路2からの出力信号は、これら第1の回路3a及び第2の回路3bに相補的に出力される。
【0020】
次に
図2を参照して詳細な動作タイミングを説明する。
図2は、
図1に係るイメージセンサの動作を説明する内部タイミング図である。
信号AJCからSTX2の各波形は、入力信号STに基づき制御回路(タイミング信号発生器)6によって生成されるタイミング信号を示しており、各信号がHレベルの時にその信号が与えられるスイッチはオンし、Lレベルの時にはオフする構成である。そして、信号AJCはスイッチSW2に、信号PDCはスイッチSW1に、信号CHC1はスイッチSW4に、信号HLD1はスイッチSW6に、信号SMP1はスイッチSW3に、信号STX1はスイッチSW5及びSW7に、信号CHC2はスイッチSW9に、信号HLD2はスイッチSW11に、信号SMP2はスイッチSW8に、信号STX2はスイッチSW10及びSW12に、各々与えられオンオフが制御される。尚、記号AECは基準電圧レベル(比較器4aの基準値)、記号vajc、po1は
図1に示した回路の各節点における電圧レベルを示しており、それらは同一縦軸で電圧レベルの大小比較ができるよう記載している。
【0021】
図2において、最初のリセット(1)−露光時間(サンプリング動作)(1)のサイクルは、第1の回路3aにおいて行われ、2回目のリセット(2)−露光時間(サンプリング動作)(2)のサイクルは、第2の回路3bにおいて行われ、3回目のリセット(1)−露光時間(サンプリング動作)(1)のサイクルは、第1の回路3aに戻る。
【0022】
前記1回目のサイクルは、フォトダイオード1aが受光量に応じた電荷を生成する時(露光時間)に節点vajcの電位が比較電位AECに達していない場合(画素ブロックが飽和していない場合)である。飽和検出回路4を構成する比較器4aが検出信号を出力することは無い。この場合、スイッチSW2を短絡(オン)する(信号AJCがHレベル)と共にリセットスイッチSW1を短絡(オン)して(信号PDCがHレベル)インバータアンプ1bをリセット後、スイッチSW4を短絡(オン)し(信号CHC1がHレベル)、スイッチSW6を短絡(オン)して(信号HLD1がHレベル)からスイッチSW3を短絡(オン)して(信号SMP1がHレベル)サンプリング動作と所期の値に設定した時間までの露光とを同時に行う。この1回目のサイクルでは、露光時間が終了後サンプリング動作も終了し、露光によって生成された出力電圧は、スイッチSW3を介して第1の回路3aに送られてここで蓄えられ、その後、スイッチSW3及びSW6のオフでホールド動作に移行し、スイッチSW5及びSW7を短絡(オン)する(信号STX1がHレベル)ことによって、これを出力アンプ5を介して外部に出力端子(OUT)から出力する(VIDEO出力(1))。
【0023】
リセットスイッチSW1及びスイッチSW2が短絡(オン)すると容量CF2のインバータアンプ側の節点po1の電位は所定のバイアス電位になり、スイッチSW3側の節点vajcの電位は基準電位になり、インバータアンプ側の節点po1の電位は、リセットスイッチSW1が開放(オフ)してから時間と共に増えてくる。スイッチSW3側の節点vajcの電位は、スイッチSW2が開放(オフ)してから時間と共に増えてくる。
【0024】
次に、2回目のリセット(2)−露光時間(サンプリング動作)(2)のサイクルは、第2の回路3bにおいて行われる。
このサイクルは、フォトダイオード(光電変換素子)1aが受光量に応じた電荷を生成する時(露光時間)に節点vajcの電位が比較電位AECに達している(画素ブロックが飽和している場合)である。
【0025】
この場合、スイッチSW2を短絡(オン)する(信号AJCがHレベル)と共にリセットスイッチSW1を短絡(オン)して(信号PDCがHレベル)インバータアンプ1bをリセット後、スイッチSW9を短絡(オン)し(信号CHC2がHレベル)、スイッチSW11を短絡(オン)して(信号HLD2がHレベル)からスイッチSW8を短絡(オン)して(信号SMP2がHレベル)サンプリング動作と露光とを同時に行う。露光によって生成された出力電圧は、スイッチSW8を介して第2の回路3bに送られてここで蓄えられ、その後、スイッチSW8及びSW11のオフでホールド動作に移行し、スイッチSW10及びSW12を短絡(オン)する(信号STX2がHレベル))ことによって、これを出力アンプ5を介して外部に出力端子OUTから出力する(VIDEO出力(2))。
【0026】
リセットスイッチSW1及びスイッチSW2が短絡(オン)すると容量CF2のインバータアンプ側の節点po1の電位は所定のバイアス電位になり、スイッチSW8側の節点vajcの電位は基準電位になり、インバータアンプ側の節点po1の電位は、リセットスイッチSW1が開放(オフ)してから時間と共に増えてくる。スイッチSW8側の節点vajcの電位は、スイッチSW2が開放(オフ)してから時間と共に増えてくる。
このサイクルではフォトダイオード1aが飽和し、スイッチSW8側の節点vajcの電圧は、比較器4aの比較電位AEC(基準電圧の値)に達している。比較電位AECは、フォトダイオード1aの飽和電圧に設定してあるので、飽和検出回路4は飽和を検出した信号を制御回路6に入力し、これにより、制御回路6は信号HLD2、信号SMP2がLレベルの信号を生成し、その時点でサンプリング動作を終了させる。このときの露光時間は1回目のサイクル時の所期の値より短くなっている。その後、リセットスイッチSW1及びSW2が一時短絡(オン)状態となり、3回目のサイクルに入る。
【0027】
3回目のリセット(1)−露光時間(サンプリング動作)(1)のサイクルは、第1の回路3aにおいて行われる。このサイクルは、2回目のサイクルと同様、節点vajcの電位が比較電位AECに達しているので、飽和検出回路4は飽和を検出した信号を制御回路6に出力し、これにより、制御回路6は信号HLD1及び信号SMP1がLレベルの信号を生成し、その時点でサンプリング動作を終了する。
【0028】
以上、この実施例のイメージセンサは、フォトダイオードの一端にスイッチを設けないことにより、スイッチに起因するフォトダイオード部での誤差(スイッチオフ時の電荷再配分による出力誤差)の発生をなくすことが出来る。また、オフセットキャンセル回路により画素間の飽和出力ばらつきを軽減させるとともに、オフセットキャンセル回路の出力電圧をモニタ信号としたときの該モニタ信号の減衰に起因する露光終了タイミングの誤判定を防止することができる。
また、サンプルホールド回路は、2つのサンプルホールド手段(第1の回路及び第2の回路)から構成されているので、一方の外部出力中に他方を使うことにより次の露光が可能である。また、1対のサンプルホールド回路を1つのサンプルホールド回路として用い、サンプリングとホールドを相補的に動作させることにより、リセット〜出力のサイクルを短縮することができる。