(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記容器本体の上端部に取り付けられた前記キャップの前記外側筒部のX方向両端側の下端部が前記肩部に接触しておらず、前記外側筒部のY方向両端側の下端部が前記肩部に接している、請求項1に記載の容器。
前記容器本体の肩部における前記ヒンジ部側とその反対側には、X方向に沿って外側筒部を内側に押圧したときに前記外側筒部の下端部が前記肩部の表面をせり上がりにくくする段差が形成されている、請求項1に記載の容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、使用者が好みに応じて開封方式を容易に選択でき、内容物を使い切りやすく、予期せずキャップが外れてしまうことが安定して抑制される容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の容器は、以下の態様を有する。
【0009】
[1]内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の上端部に着脱可能に取り付けられているキャップと、を有し、
前記容器本体は、内容物を収容する胴部と、前記胴部の上端に形成され、上方に向かい
漸次窄まるように傾斜した肩部と、前記肩部の上端に突設され、上端が開口した筒状の首部と、を有し、
前記キャップは、天板部と、前記天板部から下方に突出している内側筒部と、前記天板部における前記内側筒部の外側から下方に突出している外側筒部と、を有し、
前記首部の外周面には第一の係止部が形成されており、
前記容器本体に取り付けられた前記キャップの前記内側筒部の内周面には、前記第一の係止部と係合する第二の係止部が形成されており、
前記第一の係止部と前記第二の係止部とで係止構造が形成され、
前記外側筒部は、特定方向から押圧される押圧部位を有し、
前記押圧部位を前記外側筒部の内側に押圧したときに、前記外側筒部の下端部が前記肩部の表面をせり上がって前記第一の係止部と前記第二の係止部の係合状態が解除されるように構成された容器であって、
前記第一の係止部と前記第二の係止部は、前記係合状態を解除して前記容器本体から取り外した前記キャップを、前記第一の係止部と前記第二の係止部とを係合させることで着脱自在に構成されており、
前記キャップには、前記天板部に前記内側筒部の内部と通じる貫通孔が形成され、さらに前記天板部とヒンジ部を介して形成され、前記貫通孔を開閉自在に閉じている閉止部が設けられている、容器。
【0010】
[2]前記外側筒部の前記ヒンジ部側とその反対側を結ぶX方向に沿って、前記外側筒部を内側に押圧したときに、X方向に垂直なY方向に沿って前記外側筒部を内側に押圧したときよりも、前記第一の係止部と前記第二の係止部の係合状態が解除されにくくなっており、
前記押圧部位が前記外側筒部をY方向に押圧できる位置に構成されている、請求項1に記載の容器。
【0011】
[3]前記内側筒部がY方向よりもX方向に撓みにくくなっている、[2]に記載の容器。
【0012】
[4]前記第一の係止部と前記第二の係止部とのX方向両端の係止構造は、Y方向両端側の係止構造より係合強度が強くなっている、[2]に記載の容器。
【0013】
[5]前記第二の係止部が、X方向両端側に形成され、Y方向両端側に形成されていない、[2]に記載の容器。
【0014】
[6]前記外側筒部がY方向よりもX方向に撓みにくくなっている、[2]に記載の容器。
【0015】
[7]前記容器本体の上端部に取り付けられた前記キャップの前記外側筒部のX方向両端側の下端部が前記肩部に接触しておらず、前記外側筒部のY方向両端側の下端部が前記肩部に接している、[2]に記載の容器。
【0016】
[8]前記容器本体の肩部における前記ヒンジ部側とその反対側には、X方向に沿って外側筒部を内側に押圧したときに前記外側筒部の下端部が前記肩部の表面をせり上がりにくくする段差が形成されている、[2]に記載の容器。
【0017】
本願発明は他の態様として以下の態様を有する。
内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の上端部に取り付けられるキャップと、を有し、
前記容器本体は、内容物を収容する胴部と、前記胴部の上端に形成され、上方に向かい
漸次窄まるように傾斜した肩部と、前記肩部の上端に突設され、上端が開口した筒状の首部と、を有し、
前記キャップは、天板部と、前記天板部から下方に突出する内側筒部と、前記天板部における前記内側筒部の外側から下方に突出し、前記キャップを前記容器本体に取り付けたときに下端部が前記肩部に接する外側筒部と、を有し、
前記首部の外周面には第一の係止部が形成され、
前記内側筒部の内周面には、前記キャップを前記容器本体に取り付けたときに前記第一の係止部と係合する第二の係止部が形成され、
前記第一の係止部と前記第二の係止部とで係止構造が形成され、
前記外側筒部を内側に押圧したときに、前記外側筒部の下端部が前記肩部の表面をせり上がって前記第一の係止部と前記第二の係止部の係合状態が解除される容器であって、
前記キャップには、前記天板部に前記内側筒部の内部と通じる貫通孔が形成され、さらに前記天板部とヒンジ部を介して形成され、前記貫通孔を開閉自在に閉じる閉止部が設けられ、
前記外側筒部の前記ヒンジ部側とその反対側を結ぶX方向に沿って、前記外側筒部を内側に押圧したときに、X方向に垂直なY方向に沿って前記外側筒部を内側に押圧したときよりも、前記第一の係止部と前記第二の係止部の係合状態が解除されにくくなっていることを特徴とする。
【0018】
本発明の容器では、内側筒部がY方向よりもX方向に撓みにくくなっていることが好ましい。
また、前記第一の係止部と前記第二の係止部とのX方向両端の係止構造は、Y方向両端の係止構造より係合強度が強くなっていることが好ましい。
また、前記第一の係止部と前記第二の係止部が、X方向両端側に形成され、Y方向両端側に形成されていないことが好ましい。
また、前記外側筒部がY方向よりもX方向に撓みにくくなっていることが好ましい。
また、前記キャップを前記容器本体の上端部に取り付けたときに、前記外側筒部のX方向両端側の下端部が前記肩部に接触せず、前記外側筒部のY方向両端側の下端部が前記肩部に接することが好ましい。
また、前記容器本体の肩部における前記ヒンジ部側とその反対側には、X方向に沿って外側筒部を内側に押圧したときに前記外側筒部の下端部が前記肩部の表面をせり上がりにくくする段差が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の容器は、使用者が好みに応じて開封方式を容易に選択でき、内容物を使い切りやすく、予期せずキャップが外れてしまうことが安定して抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第一実施形態]
以下、本発明の容器の一例について
図1〜4Aに基づいて説明する。
本実施形態例の容器1は、
図1に示すように、内容物を収容する容器本体2と、容器本体2の上端部に着脱可能に取り付けられているキャップ3と、を有する。
【0022】
容器本体2は、
図1及び
図3に示すように、内容物を収容する胴部10と、胴部10の上端に形成され、上方に向かい
漸次窄まるように傾斜した肩部12と、肩部12の上端に突設され、上端が開口した筒状の首部14と、を有する。
【0023】
胴部10の形態としては、特に限定されず、歯磨剤、練りワサビ、練りガラシ等の内容物や化粧クリーム等の内容物等を収容できるものであればよく、例えば、チューブ、ボトル、パウチ、金属缶、瓶等が挙げられる。
胴部10の断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、多角形、楕円形、星形等、任意に選択できる。ここで「断面」とは、胴部の長手方向に対して垂直方向に切断した時の断面を意味する。
【0024】
図3に示すように、首部14には、外周面14aから突き出るように、首部14の周方向に環状に第一の係止部16が形成されている。第一の係止部16は、キャップ3を容器本体2の上端部に取り付けた際に、後述するキャップ3の第二の係止部24と係止構造を形成するようになっている。これにより、キャップ3を容器本体2に安定して固定することができる。「係止構造」とは、第一の係止部16と、第二の係止部24とが互いに係止されることを意味する。係止構造の代表例としては、アンダーカット嵌合が挙げられる。
【0025】
第一の係止部16の縦断面形状は、この例では三角形状であるが、三角形状には限定されず、半円形、矩形等であってもよい。
また、本発明の容器においては、突起状の第一の係止部16に代えて、首部14の外周側に周方向に溝を形成し、前記溝にキャップ3の第二の係止部24が引っ掛かることで係止構造を形成するようにしてもよい。
本発明の容器における容器本体の首部は、胴部の直径方向の中央に位置してもよく、胴部の直径方向の中央に位置していなくてもよい。
【0026】
容器本体2の材質としては、公知の材質を使用でき、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリスチレン(PS)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エラストマー、ポリオキシメチレン(POM)、シリカ、ガラス、金属箔、またはこれらの複合材料等が挙げられる。なかでもPE、PP等のオレフィン系樹脂が好ましい。
【0027】
キャップ3は、
図1〜3に示すように、円板状の天板部18と、天板部18から下方に突出する内側筒部20と、天板部18の周縁、すなわち天板部18における内側筒部20よりも外側から下方に突出する外側筒部22と、を有している。内側筒部20の天板部18の底面から内側筒部の下端部までの長さと、外側筒部22の天板部18の底面から外側筒部の下端部までの長さとの比は1:1〜1:5であることが好ましい。
キャップ3を容器本体2の上部に取り付けた状態では、外側筒部22の下端部22aが容器本体2の肩部12に接していてもよいし、接していなくてもよいが、接していることが好ましい。
【0028】
内側筒部20の先端部の内径は、容器本体2の首部14の外径とほぼ同等になっており、内側筒部20の内部に容器本体2の首部14が嵌まり込むようになっている。
また、内側筒部20の内周面20aの先端側(下端部)には、内周面20aから首部14側へ突き出るように、内側筒部20の周方向に環状に第二の係止部24が形成されている。
【0029】
内側筒部20は可撓性を有しており、容器本体2の首部14をキャップ3の内側筒部20の内部に嵌め込んでキャップ3を容器本体2に取り付けたときに、
図3に示すように、第一の係止部16と第二の係止部24が係止構造を形成する。
また、外側筒部は特定方向から押圧される押圧部位を有し、押圧部位を前記外側筒部の内側に押圧したときには、外側筒部22の下端部22aが肩部12の表面をせり上がり、キャップ3が押し上げられて第一の係止部16と第二の係止部24の係合状態が解除される。
第二の係止部24の縦断面形状は、この例では三角形状であるが、第一の係止部16と係合構造を形成可能であり、かつキャップが押し上げられたときに係合状態が解除される形状であれば三角形状には限定されず、半円形、矩形等であってもよい。第一の係止部16及び第二の係止部24の縦断面形状がいずれも三角形状であることが好ましい。
【0030】
キャップ3の天板部18の中央には、内側筒部20と通じる貫通孔25が形成され、貫通孔25を囲うように上方に突設された筒状の注出口部26が設けられ、また天板部18における内側筒部20よりも内側から下方に突出するスリーブ28が設けられている。
容器1では、容器本体2の胴部10内に収容された内容物は、肩部12、首部14、スリーブ28、貫通孔25を介して、注出口部26から注出される。
【0031】
スリーブ28は、その先端部28aが首部14の先端14bの上面に突き当たるようになっている。これにより、キャップ3を取り付けた状態で内容物が漏れることを容易に抑制できる。また、スリーブ28としては、前記のような首部14に突き当たる形態以外に、インナーリング等の公知の形態を採用することができる。
【0032】
キャップ3には、さらに天板部18とヒンジ部30を介して形成された、貫通孔25を開閉自在に閉じる閉止部32が設けられている。閉止部32におけるヒンジ部30の反対側には、外側に突出する指掛部34が形成されている。ヒンジ部30の反対側とは、内側筒部20を挟んでヒンジ部と対向する側を意味する。指掛部34は、ヒンジ部30を除く閉止部32の全周にわたって形成されていてもよい。
【0033】
外側筒部22の外周面22bにおける指掛部34と対応する部分には、キャップの内側に窪んだ凹部36が形成されていてもよい。これにより、指掛部34に指を掛けて閉止部32を開くことが容易になる。
閉止部32には、下面の中央から下方に突出した突起部38が設けられていてもよい。突起部38は、閉止部32を閉じた際に注出口部26に嵌まり込み、内容物が漏れるのを抑制する。すなわち、キャップ3では、いわゆるインナーボス方式で注出口部26を閉じるようになっている。突起部の形状は台形であってもよいし、半円形やインナーリングであってもよい。
注出口部26の内径と、首部14の内径との比は、1:0.1〜1:5であることが好ましい。
【0034】
ヒンジ部30のヒンジ機構は、特に限定されず、例えば、1点式、2点式、3点式、バタフライ式、スナップヒンジ式、バネ嵌合式等を採用できる。
閉止部32による内容物の漏れ防止機構は、突起部38によるインナーボス方式には限定されず、内容物に応じて適宜選択すればよい。例えば、閉止部の下面から突出させた筒部が注出口部内に嵌まり込むインナーリング方式であってもよく、閉止部の下面から突出させた筒部内に注出口部が嵌まり込み、かつ前記筒部の内周面と注出口部の外周面にそれぞれ形成された係止部を係合させるアンダーカット方式等であってもよい。
【0035】
キャップ3を上から見たときの形状は、特に限定されず、例えば、円形、多角形、楕円形、星形等が挙げられる。
キャップを構成する材質は、キャップに通常用いられる材質であれば特に限定されず、例えば、PP、PE、PA、PET、PS、金属、又はこれらの複合材料等が挙げられる。なかでもPE、PP等のオレフィン系樹脂が好ましい。具体的には、容器本体2の材質がHDPEのとき、キャップ3の材質がPPであることが好ましい。
【0036】
図4Aに示すように、外側筒部22は、特定方向から押圧される押圧部位22’を有する。押圧部位22’の位置はY方向両端側であることが好ましい。内側筒部20におけるヒンジ部30側とその反対側、すなわちX方向両端側が同じ厚さであってもよいし異なっていてもよい。
容器1では、
図4Bに示すように、内側筒部20におけるヒンジ部30側とその反対側、すなわちX方向の両端部が部分的に肉厚化されていてもよい。これにより、内側筒部20がY方向よりもX方向に撓みにくくなっている。そのため、容器1では、外側筒部22をX方向に沿って内側に押圧したときに、外側筒部22をX方向に垂直なY方向に沿って内側に押圧したときよりも、第一の係止部16と第二の係止部24の係合状態が解除されにくくなっている。ここで、外側筒部22をY方向に押圧できる位置となるように、押圧部位が外側筒部22のY方向両端側に構成されている。
図4Bにおいて、内側筒部20のX方向の外径と、Y方向の外径との比は(1:2〜1:0.5であることが好ましい。
図4Bにおいて、内側筒部20におけるX方向の厚さと、Y方向の厚さとの比は、5:1〜1:1であることが好ましい。
【0037】
以下、容器1の作用について説明する。
容器1を使用する際は、その都度、使用者が好みで開封形式を任意に選択できる。具体的には、たとえば、キャップ3の外側筒部22を掴み、指掛部34に指を引っ掛けて閉止部32を開くことで、注出口部26から内容物を注出して使用することができる。
【0038】
このようにして閉止部32を開く際には、キャップ3の外側筒部22におけるヒンジ部30側とその反対側の指掛部34側を掴むことが多く、外側筒部22にX方向に沿って内側に押圧する力が加わりやすい。しかし、容器1では、閉止部32を開く際に外側筒部22がX方向に沿って内側に押圧されても、内側筒部20がY方向よりもX方向に撓みにくくすることができ、第一の係止部16と第二の係止部24の係合状態が解除されにくくすることができる。そのため、閉止部32を開く際に予期せずキャップ3が外れることを抑制することができる。
【0039】
また、外側筒部22におけるY方向の対向する部分を、Y方向に沿って内側に押圧することで、外側筒部22の下端部22aが肩部12の表面をせり上がり、キャップ3が押し上げられて第一の係止部16と第二の係止部24の係合状態が解除される。このように、容器1ではワンタッチで容易にキャップ3を容器本体2から取り外すことができる。特に内容物の残量が少なくなった際には、このようなワンタッチ式でキャップ3を取り外すことができるため、容易に内容物を使い切ることができる。
【0040】
容器1の製造方法は、特に限定されない。肩部12及び首部14は、例えば、コンプレッション成形、射出成形、ブロー成形等で一体的に形成できる。また、キャップ3は、射出成形等で形成できる。
例えば、肩部12と首部14が一体となった成形体の肩部12の下端に、胴部10を形成するラミネート製の筒体を取り付け、その底部から胴部10内に内容物を充填した後に、底部をシールして密封し、キャップ3を取り付けることで容器1とする方法が挙げられる。
【0041】
容器1に収容される内容物としては、特に限定されず、例えば、歯磨剤、食品(練りワサビ、練りガラシ等。)、薬品(軟膏等。)、医薬部外品(スキンクリーム、シャンプーリンス等。)等のペースト状物が挙げられる。内容物の種類によっては、容器1を倒立可能となるように閉止部32を幅広に形成してもよい。倒立可能とするときの閉止部32の外径と胴部10の外径との比は、1:1〜1:5であることが好ましい。これにより、容器1を安定に倒立させることができる。
【0042】
以上説明した容器1においては、使用者が好みに応じて開封方式を容易に選択できるうえ、内容物を使い切りやすい。また、予期せずキャップが外れてしまうことを安定して抑制することができる。
【0043】
(他の実施形態)
なお、本発明の容器において、内側筒部20をY方向よりもX方向に撓みにくくする態様は、前記容器1のような態様には限定されない。
例えば、
図5Aに示すように、内側筒部20におけるヒンジ部30側とその反対側の部分20cを除く側面部20bに、内側筒部20の軸方向にスリット40を形成し、内側筒部20にヒンジ部30側及びその反対側の部分20cと、それらよりも周方向の長さが短い側面側の部分20dとを形成したキャップ3Aを有する容器としてもよい。スリットの数は2〜12が好ましい。1つのスリットの幅と長さとの比は、1:1〜1:10であることが好ましい。
【0044】
キャップ3Aでは、内側筒部20におけるヒンジ部30側及びその反対側の部分20cの周方向の長さが、側面側の部分20dの周方向の長さよりも長いことで、内側筒部20がY方向よりもX方向に撓みにくい。つまり、押圧部位はY方向両端側に位置するように構成されている。そのため、外側筒部22をX方向に沿って内側に押圧したときに、外側筒部22の押圧部位をY方向に沿って内側に押圧したときよりも第一の係止部16と第二の係止部24の係合状態が解除されにくくなる。ヒンジ部30側及びその反対側の部分20cの周方向の長さと、側面側の部分20dの周方向の長さとの比は、1:1〜1:0.1であることが好ましい。
【0045】
内側筒部20にスリットを形成する場合、内側筒部20におけるヒンジ部30側及びその反対側、すなわちX方向両端側に形成したスリットの高さを、Y方向両端側の側面部20bに形成したスリットの高さよりも低くして、内側筒部20がY方向よりもX方向に撓みにくくなるようにしてもよい。X方向両端側とY方向両端側とは、
図5Bに示すように、キャップ3をX方向に45°、135°となる線で4分割した時に、Y方向に直交する領域(斜線あり)をY方向両端側、X方向に直交する領域(斜線なし)をX方向両端側とする。
スリットの幅は同一であってもよく異なっていてもよいが、X方向両端側の側面部20bに形成したスリットの幅を、Y方向両端側に形成したスリットの幅よりも狭くして、内側筒部20がY方向よりもX方向に撓みにくくなるようにしてもよい。
また、スリットを形成する場合、スリットは内側筒部20の下端部に達していてもよく、達していなくてもよい。
【0046】
また、
図6に示すように、内側筒部20におけるX方向両端の外側に、内側筒部20の形状を保持するための柱状の補強部42を軸方向に設けたキャップ3Bを有する容器としてもよい。
キャップ3Bでは、内側筒部20のX方向両端側に部分的に補強部42が設けられ、Y方向両端側に補強部が設けられていないため、内側筒部20がY方向よりもX方向に撓みにくい。そのため、外側筒部22をX方向に沿って内側に押圧したときに、外側筒部22の押圧部位をY方向に沿って内側に押圧したときよりも、第一の係止部16と第二の係止部24の係合状態が解除されにくくなる。
補強部42の高さは内側筒部20と同じであってもよく、異なっていてもよい。補強部42は、ヒンジ部30側及びその反対側から内側筒部20の外周面に設けられることが好ましく、具体的には、内側筒部20の外周面の表面積を100面積%としたときに、5〜100面積%を覆うように設けることが好ましい。
図6において、補強部42の厚さと、内側筒部20の厚さとの比は1:0.1〜1:10であることが好ましい。
【0047】
内側筒部の外側に部分的に補強部を設ける場合、補強部の態様はキャップ3Bの態様には限定されない。例えば、
図7に示すように、内側筒部20のX方向両端側の部分を囲うような断面円弧状の板状の補強部42Aを設けたキャップ3Cとしてもよい。補強部42Aの高さは内側筒部20と同じであってもよく、異なっていてもよい。補強部42Aは、ヒンジ部30側及びその反対側から内側筒部20の外周面を囲うように設けられることが好ましく、具体的には、内側筒部20の外周面を100面積%としたときに、5〜100面積%を覆うように設けることが好ましい。
図7において、補強部42Aの厚さと、内側筒部20の厚さとの比は1:0.1〜1:10であることが好ましい。また、
図8に示すように、内側筒部20のX方向の両端から、内側筒部20の直径方向に外側に突出するように複数のリブ状の補強部43Bが設けられたキャップ3Dとしてもよい。リブ状の補強部43Bの高さは内側筒部20と同じであってもよく、異なっていてもよい。リブ状の補強部43Bはヒンジ部30側及びその反対側へ向けて内側筒部20から外側へ突出するように設けられることが好ましい。リブ状の補強部43Bの数は1〜6個であることが好ましい。
【0048】
また、
図9に例示した、容器本体2と、容器本体2の上端部に取り付けられるキャップ3Eと、を有する容器1Aであってもよい。容器1Aにおける容器1と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
キャップ3Eでは、天板部18の中央の貫通孔25の周りに注出口部26が形成されておらず、容器本体2の首部14が貫通孔25を通過して天板部18の上側に突き出るようになっている。また、天板部18とヒンジ部30を介して形成された閉止部32によって、天板部18の上側に突き出た首部14の開口が閉止されるようになっている。
【0049】
キャップ3Eの天板部18の上面におけるヒンジ部30と反対側には、上側に突出する突起部33が形成され、突起部33におけるキャップ3Eの直径方向の外側には、凹部33aが形成されている。また、閉止部32におけるヒンジ部と反対側の内側面32aには、直径方向の内側に向かって突出する突起部35が形成されている。閉止部32を閉じた際には、閉止部32の突起部35が、天板部18上に形成された突起部33の凹部33aに嵌まり込み、閉止部32が固定される。
また、キャップ3Eでは、閉止部32の中央から下方に突出する筒部37が形成されており、閉止部32を閉じた際に筒部37の内部に首部14の先端部が嵌まり込むようになっている。すなわち、アウターリング方式によって、首部14の開口からの内容物の漏れを防ぐようになっている。
【0050】
キャップ3Eは、前記した構成以外は、キャップ3と同様の態様である。そのため、キャップ3Eを有する容器1Aでは、容器1と同様に、使用者が好みに応じて開封方式を容易に選択できるうえ、内容物を使い切りやすくすることができる。また、予期せずキャップが外れてしまうことが安定して抑制される。キャップ3Eは、キャップの高さを低くしやすく、コスト面で有利な点では、キャップ3のような、天板部の上側に突出する注出口部が設けられる態様のキャップよりも好ましい。
【0051】
また、本発明の容器では、キャップ3Eにおいて、内側筒部20におけるX方向の両端部が部分的に肉厚化されている態様とせずに、キャップ3Aのようなスリットの形成、キャップ3B、キャップ3Cのような補強部の形成によって、内側筒部20をY方向よりもX方向に撓みにくくする態様としてもよい。
【0052】
胴部10の断面における内径と、首部14における内径の比は、10:1〜1:1であることが好ましい。
前記外側筒部の前記ヒンジ部側とその反対側を結ぶX方向に沿って、前記外側筒部を内側に押圧して、前記第一の係止部と前記第二の係止部の係合状態が解除される場合の圧力が、X方向に垂直なY方向に沿って前記外側筒部を内側に押圧して前記第一の係止部と前記第二の係止部の係合状態が解除される場合の圧力の1〜10倍であることが好ましく、1.5〜3倍であることがより好ましい。なお、圧力はプッシュプルゲージを用いて外側筒部を内側へ押込む方法で測定することができる。
【0053】
[第二実施形態]
本発明の容器においては、第一の係止部と第二の係止部のX方向両端の係止構造の係合強度を、Y方向両端側の係止構造の係合強度よりも強くする態様とすることも好ましい。前記態様によっても、外側筒部をX方向に沿って内側に押圧したときに、Y方向に沿って内側に押圧したときよりも第一の係止部と第二の係止部の係合状態が解除されにくくなる。
以下、前記態様の容器の一例を示して説明する。
【0054】
本実施形態例の容器は、
図10A及びBに示すように、第二の係止部24AにおけるX方向両端側の係止部分24a(強係合部)の内側筒部20の内周面20aから突端までの長さd1が、Y方向両端側の係止部分24b(弱係合部)の内側筒部20の内周面20aから突端までの長さd2よりも長いキャップを備えた容器である。
d1とd2との比は1:1〜5:1であることが好ましい。
前記容器における容器1と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
【0055】
第二の係止部24A以外のキャップの態様は、例えば、前記したキャップ3、3’、3A〜3Dと同様の態様を採用でき、また内側筒部20が部分的に肉厚化されずに厚さが均一になっている以外はキャップ3と同様の態様のキャップを採用してもよい。
【0056】
本実施形態例の容器では、第二の係止部24AのX方向両端側の係止部分24aの長さd1がY方向両端側の係止部分24bの長さd2よりも長いため、第一の係止部16と第二の係止部24AとのX方向両端の係止構造の係合強度が、Y方向両端側の係止構造の係合強度よりも強い。これにより、容器1と同様に、外側筒部22をX方向に沿って内側に押圧したときに、外側筒部22をY方向に沿って内側に押圧したときよりも第一の係止部16と第二の係止部24Aの係合状態が解除されにくくなる。そのため、容器1と同様に、使用者が好みに応じて開封方式を容易に選択できるうえ、内容物を使い切りやすく、予期せずキャップが外れてしまうことが安定して抑制される。
【0057】
(他の実施形態)
なお、第一の係止部と第二の係止部のX方向両端の係止構造の係合強度を、Y方向両端側の係止構造の係合強度よりも強くする態様は、前記した態様には限定されない。例えば、第二の係止部のX方向両端側の係止部分の形状と、Y方向両端側の係止部分の形状とを異なるものにすることで、第一の係止部と第二の係止部のX方向両端の係止構造の係合強度を、Y方向両端側の係止構造の係合強度よりも強くしてもよい。
具体的には、例えば、
図11A及び11Bに示すように、X方向両端側の係止部分24cの断面形状を三角形状とし、Y方向両端側の係止部分24dの断面形状を半円形状として、Y方向よりもX方向の係合強度を強くした第二の係止部24Bのような態様等が挙げられる。三角形状のX方向両端側の係止部分24cの周方向の長さと、半円形状のY方向両端側の係止部分24dの周方向の長さとの比は、1:1〜1:5であることが好ましい。
また、第一の係止部と第二の係止部のX方向両端の係止構造の係合強度を、Y方向両端側の係止構造の係合強度よりも強くする態様の場合も、キャップ3Eのように、容器本体の首部の先端部がキャップの天板部の上側に突き出て閉止部によって閉じられる態様を採用してもよい。
なお、係合強度とは、横方向からの圧縮強度のことであり、圧縮試験機を使用する方法で測定することができる。具体的には、キャップのX方向及びY方向から100mm/分のスピードで圧縮し、キャップが外れる強度を測定する。
【0058】
[第三実施形態]
本発明の容器においては、外側筒部がY方向よりもX方向に撓みにくい態様とすることも好ましい。これにより、外側筒部がX方向に沿って内側に押圧されたときでも、外側筒部の下端部が容器本体の肩部の表面をせり上がりにくくなり、外側筒部がY方向に内側に押圧されたときよりも第一の係止部と第二の係止部の係合状態が解除されにくくなる。
以下、前記態様の容器の一例を示して説明する。
【0059】
本実施形態例の容器は、
図12に示すように、外側筒部22AのX方向の両端部が部分的に肉厚化され、Y方向よりもX方向に撓みにくい外側筒部22Aを有するキャップ4を備える容器である。外側筒部22Aにおいては、その内周面22cの形状がY方向に長い楕円状になっていることで、外側筒部22AのX方向両端側が部分的に肉厚化されている。
外側筒部のX方向の最も厚い部分と、外側筒部の最も薄い部分との厚さの比は、1:1〜1:5であることが好ましい。
【0060】
キャップ4としては、内側筒部20のX方向の両端部が部分的に肉厚化される代わりに、外側筒部22AのX方向の両端部が部分的に肉厚化されている以外は、キャップ3と同様の態様を採用できる。また、前記容器としては、キャップ3の代わりにキャップ4を備える以外は容器1と同じ態様を採用できる。本実施形態の容器における容器1と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
【0061】
本実施形態の容器では、外側筒部22AがY方向よりもX方向に撓みにくいため、外側筒部22AをX方向に沿って内側に押圧したときに、外側筒部22Aの下端部22aが容器本体2の肩部12の表面をせり上がりにくい。一方、外側筒部22AをY方向に沿って内側に押圧した際には、外側筒部22Aの下端部22aが容器本体2の肩部12の表面をせり上がる。これにより、外側筒部22AをX方向に沿って内側に押圧したときに、外側筒部22AをY方向に沿って内側に押圧したときよりも第一の係止部16と第二の係止部24の係合状態が解除されにくくなる。そのため、容器1と同様に、使用者が好みに応じて開封方式を容易に選択できるうえ、内容物を使い切りやすく、予期せずキャップが外れてしまうことが安定して抑制される。
【0062】
(他の実施形態)
なお、本発明の容器において、外側筒部をY方向よりもX方向に撓みにくくする態様は、前記キャップ4のような態様には限定されない。
例えば、
図13に示すように、外側筒部22BのY方向両端側の外周を直線的に切り欠いた切欠部44を形成することで、外側筒部22BのX方向の両端部が部分的に肉厚化され、外側筒部22BがY方向よりもX方向に撓みにくくされたキャップ4Aでもよい。
【0063】
また、
図14に示すように、外側筒部22におけるY方向両端側の側面部22dにスリット46を形成し、外側筒部22のX方向両端側にはスリットを形成しないことで、外側筒部22がY方向よりもX方向に撓みにくくされたキャップ4Bでもよい。キャップ4Bにおいては、スリット46は外側筒部22の下端部22aに達している。
また、外側筒部22の側面部22dにスリット46を形成する場合、
図15に示すように、スリット46が外側筒部22の下端部22aに達しないようにしてもよい。キャップ4B及び4B’において、スリットの数は1〜5が好ましい。
1つのスリットの幅と長さとの比は、1:1〜1:10であることが好ましい。
【0064】
また、外側筒部22にスリットを形成する場合、外側筒部22のX方向両端側に形成したスリットの高さを、Y方向両端側の側面部22dに形成したスリットの高さよりも低くして、外側筒部22がY方向よりもX方向に撓みにくくなるようにしてもよい。外側筒部22のX方向両端側のスリットの高さと外側筒部22のY方向両端側のスリットの高さとの比が1:1〜1:10であることが好ましい。
【0065】
また、
図16に示すように、外側筒部22のX方向の両端部の内側に、外側筒部22の形状を保持するための断面円弧状の板状の補強部48を設け、外側筒部22のY方向両端側には補強部を設けないキャップ4Cを有する容器としてもよい。具体的には、補強部48は、外側筒部22のX方向の両端部の内側に、外側筒部22の内側面の面積を100面積%としたときに、5〜80面積%となるように形成されることが好ましい。補強部48の高さは、内側筒部20の高さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。補強部の厚さと内側筒部の厚さとの比は、1:1〜1:5であることが好ましい。
キャップ4Cでは、外側筒部22のX方向両端側に部分的に補強部48が設けられていることで、外側筒部22がY方向よりもX方向に撓みにくい。そのため、外側筒部22をX方向に沿って内側に押圧したときに、外側筒部22の下端部22aが容器本体の肩部をせり上がりにくく、外側筒部22をY方向に沿って内側に押圧したときよりも第一の係止部16と第二の係止部24の係合状態が解除されにくくなる。
【0066】
外側筒部のX方向の両端部の内側に部分的に補強部を設ける場合、補強部の態様はキャップ4Cの態様には限定されない。例えば、
図17に示すように、外側筒部22のX方向の両端部の内周面から、内側筒部20の直径方向に内側に突出するように複数のリブ状の補強部48Aが設けられたキャップ4Dとしてもよい。リブ状の補強部48Aは内側筒部20に向けて外側筒部22から内側へ突出するように設けられることが好ましい。リブ状の補強部48Aは1〜5個が好ましい。リブ状の補強部48Aの高さは、内側筒部20の高さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0067】
また、外側筒部をY方向よりもX方向に撓みにくくする態様の場合も、キャップ3Eのように、容器本体の首部の先端部がキャップの天板部の上側に突き出て閉止部によって閉じられる態様を採用してもよい。
【0068】
[第四実施形態]
本発明の容器においては、第一の係止部と第二の係止部が、X方向両端側に形成され、Y方向両端側に形成されていない態様とすることも好ましい。前記態様では、第一の係止部と第二の係止部がX方向両端側に形成されているため、外側筒部がX方向に沿って内側に押圧された場合には、第一の係止部と第二の係止部の係合によってキャップを容器本体に保持しようとする力が働く。一方、外側筒部がY方向に沿って内側に押圧された場合には、Y方向両端側に第一の係止部と第二の係止部が形成されていないために、容易にキャップが外れる。このように、前記態様を採用することで、外側筒部がX方向に沿って内側に押圧されたときに、外側筒部がY方向に内側に押圧されたときよりも第一の係止部と第二の係止部の係合状態が解除されにくくなる。
以下、前記態様の容器の一例を示して説明する。
【0069】
本実施形態例の容器は、
図18に示すように、内側筒部20の内周面20aにおけるX方向両端側に第二の係止部24Cが形成され、Y方向両端側には第二の係止部が形成されていないキャップ5を備えた容器である。具体的には、内側筒部20の下端部の内周と、第二の係止部24Cの周方向の長さ(即ち、2つの第二の係止部24Cの周方向の長さの合計)の比が1:1〜1:5となるように形成されていることが好ましい。また、前記容器は、図示しないが、首部の外周面におけるX方向両端側に、第二の係止部24Cに対応する第一の係止部が部分的に形成され、Y方向両端側に第一の係止部が形成されていない容器本体を有していてもよいし、X方向両端側及びY方向両端側に第一の係止部が形成されていてもよい。
前記容器としては、第一の係止部と第二の係止部24Cが内側筒部のX方向両端側に形成されている以外は、他の形態の容器と同じ態様を採用できる。本実施形態の容器における容器1と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
【0070】
第一の係止部と第二の係止部24Cの縦断面形状は、特に限定されず、例えば、三角形状、矩形状、半円形状等が挙げられる。
【0071】
本実施形態の容器では、第一の係止部と第二の係止部24Cが内側筒部のX方向両端側に形成されているため、外側筒部22をX方向に沿って内側に押圧したときに、外側筒部22をY方向に沿って内側に押圧したときよりも第一の係止部と第二の係止部24Cの係合状態が解除されにくい。そのため、容器1と同様に、使用者が好みに応じて開封方式を容易に選択できるうえ、内容物を使い切りやすく、予期せずキャップが外れてしまうことが安定して抑制される。
なお、本実施形態例の場合に、キャップ3Eのように、容器本体の首部の先端部がキャップの天板部の上側に突き出て閉止部によって閉じられる態様を採用してもよい。
【0072】
[第五実施形態]
本発明の容器においては、キャップを容器本体の上端部に取り付けたときに、外側筒部のX方向両端側の下端部が肩部に接触せず、外側筒部のY方向両端側の下端部が肩部に接する態様とすることも好ましい。これにより、外側筒部がX方向に沿って内側に押圧されたときでも、外側筒部の下端部が容器本体の肩部の表面をせり上がらないため、外側筒部がY方向に内側に押圧されたときよりも第一の係止部と第二の係止部の係合状態が解除されにくくなる。
以下、前記態様の容器の一例を示して説明する。
【0073】
本実施形態例の容器は、
図19に示すように、X方向両端側の上下方向の長さがY方向両端側の上下方向の長さよりも短い外側筒部22Cを有するキャップ6を備える容器である。本実施形態の容器において、容器1と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
前記容器では、外側筒部22CのY方向両端側の下端部22eが容器本体2の肩部12に接するようになっている。一方、外側筒部22CのX方向両端側の下端部22fは、容器本体2の肩部12には接触しない。
【0074】
本実施形態の容器では、外側筒部22CをY方向に沿って内側に押圧した場合は、外側筒部22Cの下端部22eが容器本体2の肩部12の表面をせり上がり、第一の係止部16と第二の係止部24の係合状態が解除される。一方、外側筒部22CをX方向に沿って内側に押圧した場合には、外側筒部22Cの下端部22fが容器本体2の肩部12に接触していないため、外側筒部22Cの下端部22fがせり上がらず、第一の係止部16と第二の係止部24の係合状態が維持される。
このように、本実施形態の容器では、外側筒部22CをX方向に沿って内側に押圧したときに、Y方向に沿って内側に押圧したときよりも第一の係止部と第二の係止部の係合状態が解除されにくくなっている。そのため、容器1と同様に、使用者が好みに応じて開封方式を容易に選択できるうえ、内容物を使い切りやすく、予期せずキャップが外れてしまうことが安定して抑制される。
なお、本実施形態例の場合に、キャップ3Eのように、容器本体の首部の先端部がキャップの天板部の上側に突き出て閉止部によって閉じられる態様を採用してもよい。
【0075】
[第六実施形態]
また、本発明の容器においては、容器本体の肩部におけるヒンジ部側とその反対側に、外側筒部の下端部が肩部の表面をせり上がりにくくする段差を形成する態様とすることも好ましい。これにより、外側筒部をX方向に沿って内側に押圧したときに、外側筒部をY方向に沿って内側に押圧したときよりも第一の係止部と第二の係止部の係合状態が解除されにくくなる。
以下、前記態様の容器の一例を示して説明する。
【0076】
本実施形態の容器7は、
図20に示すように、内容物を収容する容器本体2Aと、容器本体2Aの上端部に取り付けられるキャップ8と、を有する。容器7において容器1と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
容器本体2Aは、肩部12におけるヒンジ部30側とその反対側に部分的に突起部50が形成されている以外は、容器本体2と同じである。容器本体2Aでは、突起部50によって肩部12におけるX方向両端側に段差が形成され、肩部12のY方向両端側には段差が形成されていない。具体的には、X方向両端側の段差が形成されている領域と、Y方向両端側の段差が形成されていない領域との面積比は1:1〜1:10であることが好ましい。
【0077】
突起部50の形状は、外側筒部22をX方向に内側に押圧したときに外側筒部22の下端部22aが肩部12の表面をせり上がることを防止できる形状であれば特に限定されない。
【0078】
キャップ8としては、外側筒部22をX方向に沿って内側に押圧したときに、外側筒部22のX方向の両端部が突起部50に接触する範囲であれば、前述の他の実施形態のどのキャップを採用してもよい。例えば、キャップ8として、前記したキャップ3、3’、3A〜3Dと同様の態様のキャップを採用してもよく、内側筒部20が部分的に肉厚化されずに厚さが均一になっている以外はキャップ3と同様の態様のキャップを採用してもよい。
【0079】
容器7では、外側筒部22をX方向に沿って内側に押圧したときに、突起部50による段差によって、外側筒部22の下端部22aが容器本体2Aの肩部12の表面をせり上がりにくくなる。一方、肩部12のY方向両端側には段差がないため、外側筒部22をY方向に沿って内側に押圧した際には、外側筒部22の下端部22aが容器本体2Aの肩部12の表面をせり上がって第一の係止部16と第二の係止部24の係合状態が解除される。
このように、容器7では、外側筒部22をX方向に沿って内側に押圧したときに、外側筒部22をY方向に沿って内側に押圧したときよりも第一の係止部16と第二の係止部24の係合状態が解除されにくい。そのため、容器1と同様に、使用者が好みに応じて開封方式を容易に選択できるうえ、内容物を使い切りやすく、予期せずキャップが外れてしまうことが安定して抑制される。
なお、本実施形態例の場合に、キャップ3Eのように、容器本体の首部の先端部がキャップの天板部の上側に突き出て閉止部によって閉じられる態様を採用してもよい。
【0080】
以上説明した本発明の容器においては、使用者が好みに応じて開封方式を容易に選択でき、内容物を使い切りやすく、予期せずキャップが外れてしまうことが安定して抑制される。
本発明の容器は、内容物を押し出しやすく内容物を使い切りやすい点から、容器本体がチューブ容器であるときに最も有効である。
【0081】
なお、本発明の容器としては、前記した各実施形態の2種以上を適宜組み合わせた容器としてもよい。