特許第6452284号(P6452284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452284
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】モーター
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20190107BHJP
【FI】
   H02K5/20
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-230471(P2013-230471)
(22)【出願日】2013年11月6日
(65)【公開番号】特開2014-96979(P2014-96979A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2016年11月2日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0125806
(32)【優先日】2012年11月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513276101
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ヒュンス
【審査官】 津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−536887(JP,A)
【文献】 特開平10−210702(JP,A)
【文献】 特開2010−041835(JP,A)
【文献】 特開2004−312886(JP,A)
【文献】 特開2008−187754(JP,A)
【文献】 実開平01−101152(JP,U)
【文献】 特開平06−269143(JP,A)
【文献】 実開平05−088185(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第101951069(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステーター及びローターが備えられるモーターにおいて、
ステーター及びローターが内部に設けられる第1ハウジングと、
前記第1ハウジングの下側に結合する第2ハウジングと、
前記第1ハウジングの外面と前記第2ハウジングの内面との間に所定間隔で離隔されて形成された冷媒流路と、
前記第1ハウジングに備えられて、前記冷媒流路と連通されて、前記冷媒流路に冷媒を流入させる第1パイプ、及び前記冷媒流路から冷媒を排出させる第2パイプと、
前記冷媒をジグザグに流動させるために前記冷媒流路に備えられる複数の流路形成突起と、
を含むことを特徴とする、モーター。
【請求項2】
前記第1ハウジングは、ステーター及びローターが設けられる内筒部と、前記内筒部と一定距離離隔される外筒部と、前記内筒部と外筒部を連結する複数のリーブ部材で区切られて形成される複数の空間部と、を含み、
前記第2ハウジングは、その円周面に前記複数の流路形成突起が形成され、前記空間部に位置するようになったことを特徴とする、請求項1に記載のモーター。
【請求項3】
前記第1ハウジングに備えられた前記複数の空間部は、互いに同じ間隔で形成されることを特徴とする、請求項2に記載のモーター。
【請求項4】
前記第1ハウジングに備えられた前記複数の空間部は、前記第1ハウジングの周りに沿って全体的に形成されることを特徴とする、請求項2に記載のモーター。
【請求項5】
前記流路形成突起は、多角形状で用意されることを特徴とする、請求項1に記載のモーター。
【請求項6】
前記流路形成突起は、二等辺三角形形状で用意されることを特徴とする、請求項1に記載のモーター。
【請求項7】
前記第1ハウジングは、放熱性が優れた金属材質で形成されることを特徴とする、請求項1に記載のモーター。
【請求項8】
前記冷媒流路を形成する前記内筒部と外筒部との間の離隔距離の厚さが、前記内筒部と第2ハウジングが対向する面の厚さより大きく形成されることを特徴とする、請求項2に記載のモーター。
【請求項9】
前記第1ハウジングは、前記冷媒流路の内側面を形成する円筒形状の挿入筒部を含み、前記第2ハウジングは、前記冷媒流路の外側面を形成する内側筒部を含み、
前記流路形成突起は、前記第2ハウジングの前記内側筒部の内周面に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のモーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却水による冷却を行うモーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モーターは、電気エネルギーを回転力に変換させる装置であり、種々の動力源として広く用いられている。
【0003】
モーターが、電気エネルギーを消耗して回転力を発生する際に、多量の熱が発生され、モーターから発生された熱によってモーターの効率は大きく減少される。最近、車両用高出力モーターの場合には水冷式ウォータージャケットを利用して、モーターから発生した熱を速かに除去する。
【0004】
一般的な水冷式モーターは、多量の熱を発生させるステーター、またはハウジング内部に貫いて冷媒を通過させるパイプを含むパイプ挿入方式(pipe inserting type)が広く用いられている。
【0005】
しかし、このような従来のパイプ挿入方式冷却方法は、構造が非常に複雑で、パイプによってモーター内部空間制約が大きくて、冷却効率が低い問題を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態は、ハウジングを二重に形成し、このような二重に形成されたハウジングの内部を通過する冷媒の流動構造を改善して、冷却効率を向上できる冷媒流路構造が改善された水冷式モーターを提供することがその目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るモーターは、ステーター及びローターが設けられる第1ハウジングと、前記第1ハウジンと締結する際に前記第1ハウジングと所定間隔離隔されて冷媒流路を形成する第2ハウジングと、前記冷媒流路と連通されて、前記冷媒流路に冷媒を流入させる第1パイプ及び流入した冷媒を排出させる第2パイプと、前記冷媒流路に位置し、冷媒をジグザグに流動させるために備えられる複数の流路形成突起を含んでもよい。
【0008】
ここで、本発明の一実施形態に係る前記第1ハウジングは、ステーター及びローターが設けられる内筒部と、前記内筒部と一定距離離隔される外筒部、及び前記内筒部と外筒部を連結する複数のリーブ部材で区切られて形成される複数の空間部を含み、前記第1ハウジングの下側に結合して、前記第1ハウジンと結合時前記空間部に位置する流路形成突起を含む第2ハウジングと、を含んでもよい。
【0009】
前記複数の空間部は、互いに同じ間隔で形成されてもよい。
【0010】
前記複数の空間部は、前記第1ハウジングの周りに沿って全体的に形成されてもよい。
【0011】
前記冷媒流路は、前記第1ハウジングの空間部に挿入される端部の厚さが前記内筒部と外筒部との間の距離と対応する厚さ(t1)を有してもよい。
【0012】
一方、本発明の他の実施形態に係る前記冷媒流路は、第1ハウジングに備えられて前記冷媒流路の内側面を形成する円筒形状の挿入筒部と、前記第2ハウジングに備えられて前記冷媒流路の外側面を形成する内側筒部で形成され、前記流路形成突起は、前記挿入筒部の外周面、または内側筒部の内周面のうち少なくともいずれか一面に形成されてもよい。
【0013】
前記流路形成突起は、前記挿入筒部の外週面に一定間隔を持って形成される第1流路形成突起と、前記内側筒部の内周面に一定間隔を持って形成される第2流路形成突起を含んでもよい。
【0014】
前記第1及び第2流路形成突起は、互いに対応する形状で形成されてもよい。
【0015】
前記流路形成突起は、多角形状で用意されるが、一実施形態として、二等辺三角形状で用意されてもよい。
【0016】
前記第1ハウジングは、放熱性が優れる金属材質で形成されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の様々な実施形態によれば、以下に述べる効果が得られる。
【0018】
冷媒が、モーターハウジングでできるだけ留まるように、移動経路がジグザグで形成されるため、モーターの冷却がより効率的に行われる。
【0019】
また、別途の流路形成部材を設置するのではなく、モーターを構成するハウジングの形状の一部を変更して構成するため、モーターの組立公差が短縮されて、組立作業時に追加費用が発生しない。
【0020】
また、既存に比べて冷却性能が向上するため、ステーターを構成するコイルの等級は、低くして使用でき、コイル巻線数を増加させてモーターの効率をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係るモーターの結合斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る第1ハウジングの背面斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る第1及び第2ハウジングによって形成される冷媒流路の形状を立体的に表示した図面である。
図4】本発明の第1実施形態に係る第2ハウジングの斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るモーターの結合斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る第1ハウジングの背面斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る第1及び第2ハウジングによって形成される冷媒流路の形状を立体的に表示した図面である。
図8】本発明の第2実施形態に係る第2ハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るモーターについて添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
特別な定義がない限り、本明細書のすべての用語は、当業者が理解できる用語の一般的な意味と同じであり、仮に本明細書で用いられた用語が、該当用語の一般的な意味と衝突する場合には、本明細書に用いられた定義に従う。
【0024】
但し、以下に記述される発明は、本発明の実施形態を説明するためのものだけであって、本発明の権利範囲を限定するためのものではなく、明細書全般にわたって同じに用いられた参照番号は同じ構成要素を示す。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態に係るモーターの結合斜視図、図3は、本発明の第1実施形態に係る第1及び第2ハウジングによって形成される冷媒流路の形状を立体的に表示した図面、図2は、本発明の第1実施形態に係る第1ハウジングの背面斜視図、図4は、本発明の第1実施形態に係る第2ハウジングの斜視図である。
【0026】
図1乃至図3に示したように、本発明の一実施形態に係るモーターは、第1及び第2ハウジング10、20が上下に結合して、その間に形成された空間部10cに冷媒を供給してモーターを冷却する。
【0027】
具体的に、前記第1ハウジング10は、モーターの最外側を形成し、未図示されたステーター及びローターなどのモーター構成部品が設けられる内筒部10aと、前記内筒部10aと一定の距離離隔される外筒部10bを含み、前記内筒部10aと外筒部10bとの間には複数のリーブ部材36で区切られる複数の空間部10cが形成されてもよい。前記空間部10cは、均一で一定の冷媒流路形成のために複数が互いに同じ大きさを持つように形成されてもよい。また、前記第1ハウジング10は、優れた放熱効果のために金属材質で実現してもよい。
【0028】
本発明の一実施形態によると、前記複数個の空間部10cは、前記内筒部10aと外筒部10bとの間で周りに沿って一部または全体的に形成され、前記空間部10cの大きさ及び体積は、モーターの温度及び冷却のための冷媒量に応じて可変されてもよい。
【0029】
図1を参照すると、前記第1ハウジング10には、冷媒が流入する第1パイプ11と、前記第1パイプ11を介して流入した冷媒が流出する第2パイプ12が設けられてもよい。前記第1及び第2パイプ11、12を介して流出入される冷媒は水で用意され、冷媒の流出入を円滑に形成することができるように、別途の冷媒循環ポンプユニット(図示せず)が連結されてもよい。
【0030】
前記第1及び第2パイプ11、12は、前記第1ハウジング10に結合して、冷媒流路15と連結されてもよい。
【0031】
図3を参照すると、前記冷媒流路15は、前記第1及び第2ハウジング10、20の結合によって形成される空間部10cで形成される。具体的に、前記冷媒流路15の上側は、前記内筒部10aと外筒部10bとの間の離隔距離の厚さ(t1)を有し、下側は、前記内筒部10aと前記第2ハウジング20が対向する面の厚さ(t2)は、前記冷媒流路15を形成する面の厚さ(t1)より小さく形成されてもよい。このように厚さ(t1)が厚さ(t2)より大きく形成されると、流路が広いかつ薄く形成されるため、冷媒の接触面が広くかつモーター径を最小化することができる。
【0032】
一方、図4を参照すると、前記第2ハウジング20は、前記第1ハウジング10の下側に結合するもので、第1ハウジング10との結合を介して本発明の一実施形態に係る冷媒流路15を形成することができる。具体的に、前記第2ハウジング20の円周面の上側には、複数の流路形成突起27が形成され、前記複数の流路形成突起27は、前記第1ハウジング10に第2ハウジング20が結合する時、前記空間部10cに位置して冷媒の循環流路を形成する。
【0033】
前記流路形成突起27は、半円または多角形で形成されてもよいが、冷媒の流入及び流出の円滑化及び冷媒流動を円滑化するために、二等弁三角形の形状を持つように用意されてもよい。
【0034】
一方、前記第1及び第2ハウジング10、20の結合部には、シーリングのためのリング部材(図示せず)が挿入されるが、前記リング部材によって前記冷媒が前記空間部10cから漏れ出るのを防止することができる。前記リング部材は、O−ringで用意され、図示されてはないが、このようなO−ringの挿入面は段差を置いてO−ring挿入時発生できる組み立て圧力を最小化することができる。
【0035】
図5は、本発明の第2実施形態に係るモーターの結合斜視図、図7は、本発明の第2実施形態に係る第1及び第2ハウジングによって形成される冷媒流路の形状を立体的に表示した図面、図6は、本発明の第2実施形態に係る第1ハウジングの背面斜視図、図8は本発明の第2実施形態に係る第2ハウジングの斜視図である。
【0036】
本発明の第2実施形態に係るモーターは、前記第1実施形態のように第1及び第2ハウジング110、120で構成されるが、前記第1実施形態とは異なって、前記第2ハウジング120の側壁に第1及び第2パイプ111、112が連結されて冷媒が流入及び流出することができる。
【0037】
前記第1ハウジング110は、前記第2ハウジング120との連結部に複数の第1流路形成突起115を一定間隔で用意することができる。具体的に、前記第1流路形成突起115は、図示されたように、円筒形状の挿入筒部113の外周面に一定間隔で突出形成されてもよい。また、前記第1ハウジング110は、優れた放熱効果のために、金属材質で実現してもよい。
【0038】
図7を参照すると、前記冷媒流路150は、前記第1及び第2ハウジング110、120の結合によって形成された空間部として用意されたもので、前記第1ハウジング110の挿入筒部113が前記冷媒流路150の内側面になり、前記第2ハウジング120の内側筒部122が、前記冷媒流路10の外側面として用意されてもよい。この時、前記第2ハウジング120の内側には、前記第1流路形成突起115と干渉されない位置に、第2流路形成突起125が用意されてもよい。
【0039】
この時、前記第1及び第2流路形成突起115、125は、互いに対応する形状で用意されるのがよいが、本発明の一実施形態によると、互いに異なる幅を持つ二等弁三角形の形状で用意されてもよい。
【0040】
このように、第2実施形態に係る冷媒流路としては、図7に示したように、前記冷媒流路150が一定の幅を持つように用意されうるため、ジグザグ形状で冷媒流路が構成されて、冷媒の流れ方向が変更されても、冷媒流量の増減を最小化できて、冷媒が冷媒流路150に停滞すること9なく流れるようになる。また、このような第2実施形態に係る冷媒流路構造は、前述した第1実施形態に係る前記リーブ部材36や流路形成突起27を含む構造に比べて、冷媒流路の長さが長くなる効果があって、モーターの冷却効率を向上させることができる。
【0041】
以下、本発明の第1及び第2実施形態に係るモーターのクーリング動作について図面を参照して説明する。
【0042】
図1乃至図4を参照すると、本発明の第1実施形態によるモーターは、作動時発生する熱を冷却させるために、液体冷媒をモーターの周りに循環させることができる構造を含んでいる。従って、モーターが作動すると、第1パイプ11を介して冷媒が流入して、流入した冷媒は、第1ハウジング10の内筒部10aと外筒部10bとの間に用意された冷媒流路15を冷媒で満たして、ジグザグ方向に流動しながら第2パイプ12から排出されてもよい。
【0043】
また、図5乃至図8を参照すると、本発明の第2実施形態に係るモーターは、第1及び第2ハウジング110、120の結合によって形成される冷媒流路150が、幅が一定のジグザグ形状で用意され、前記冷媒流路150を介して流れる冷媒が停滞されることなく第2パイプ112から排出されてもよい。
【0044】
また、既存に比べて冷却性能が向上するため、ステーターを構成するコイルの等級は低くして使用できて、コイル巻線数を増加させてモーター効率をより向上させることができる。
【0045】
以上、前記説明によって、当業者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で多様な変更及び修正が可能であることが分かり、本発明の技術的範囲は、実施形態に記載された内容に限定されることなく、特許請求の範囲及びそれと均等な範囲によって定まらなければならない。
【符号の説明】
【0046】
10、110 第1ハウジング
10a 内筒部
10b 外筒部
10c 空間部
11、111 第1パイプ
12、112 第2パイプ
15、150 冷媒流路
20、120 第2ハウジング
27 流路形成突起
28 段差
115 第1流路形成突起
125 第2流路形成突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8