特許第6452309号(P6452309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 蛇の目ミシン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6452309-ミシンの水平回転釜 図000002
  • 特許6452309-ミシンの水平回転釜 図000003
  • 特許6452309-ミシンの水平回転釜 図000004
  • 特許6452309-ミシンの水平回転釜 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452309
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】ミシンの水平回転釜
(51)【国際特許分類】
   D05B 57/14 20060101AFI20190107BHJP
   D05B 57/20 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   D05B57/14 B
   D05B57/20
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-90427(P2014-90427)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-208401(P2015-208401A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年4月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002244
【氏名又は名称】蛇の目ミシン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】小池 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】長内 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小宮 靖彦
【審査官】 ▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−094905(JP,A)
【文献】 特開2006−141800(JP,A)
【文献】 特開2010−115376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 1/00−97/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の吸着部材を外側下面部に備えた内釜と、該内釜を吸引する永久磁石と、該永久磁石を収納する径の中心位置に装着のための軸孔を設けた略円板状に形成された外周を構成するマグネット台板と、該マグネット台板を収納する内側底部の径の中心位置に軸孔を有する非金属の外釜と、前記マグネット台板の軸孔に挿入すると共に前記外釜の軸孔に挿入して前記外釜と前記マグネット台板を回転自在に軸支するため上端部にフランジ部を有した釜支持軸とを具備し、前記永久磁石の下側に配置された前記マグネット台板に載置される前記永久磁石の外形寸法より内側の位置に前記マグネット台板に設けた回転止めと、前記外釜に形成された係止部との係止箇所を設け前記外釜の底部に対して係止固定するための部材を具備することなく外釜の底部に対して周方向に固定することができる前記マグネット台板と、前記外釜の底部との間には、突起物或いは窪み等が露出しない構造としたことを特徴とするミシンの水平回転釜。
【請求項2】
前記マグネット台板の回転止めは、前記マグネット台板に載置される前記永久磁石の外形寸法より内側の前記マグネット台板の一部に設けた回転止め部と前記外釜の内側底部に前記回転止め部と対向する位置に係止部を前記永久磁石の外形寸法より内側の位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載のミシンの水平回転釜。
【請求項3】
前記マグネット台板の回転止め部は、前記マグネット台板の外周縁の一部を直線状となる切欠き部としてなることを特徴とする請求項1に記載のミシンの水平回転釜。
【請求項4】
前記マグネット台板の回転止め部は、前記マグネット台板の外周縁の一部を曲線状となる切欠き部としてなることを特徴とする請求項1に記載のミシンの水平回転釜。
【請求項5】
前記マグネット台板の回転止め部は、前記マグネット台板の外周縁の一部を屈曲して形成したことを特徴とする請求項1に記載のミシンの水平回転釜。
【請求項6】
前記回転止め部は、少なくとも1箇所に形成してなることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のミシンの水平回転釜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
底部に金属板を有する内釜を、外釜に内装させるための永久磁石を外釜底部に固定するための構成を備えると共に極めて簡単な構成にできるミシンの水平回転釜に関する。
【背景技術】
【0002】
一般のミシンでは、ボビンを収納するための水平釜装置が備わっている。水平釜装置は、外釜と内釜とからなり、外釜下端面には歯車軸部が一体的に取り付けられており、歯車軸部に係合する下軸に装着固定された歯車により、下軸の回転と共に外釜が回転させられるようになっている。縫い作業が行われているときには、外釜内に収納された内釜がふらついたり、不規則に乱れた動作を行う状態となる場合があり、このように内釜の不規則な動きは、騒音の発生や縫い調子にも影響を及ぼす。そのための対策として、磁石を用いて、縫製中の外釜に収納された内釜の浮きを規制する構成が種々存在し、具体的な内容が開示されたものとして特許文献1が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−94905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、外釜内における内釜を極めて安定した状態にすることができるようになり、内釜の不規則な動作による種々の問題が解決された。ところで外釜は、それ自体が磁性体材料である金属製とした場合には、内釜を磁力による吸引にて固定する構成は容易にできるが、近年では、コストなどの問題等から外釜の材料が非磁性体材料の合成樹脂製が多く使用されるようになった。そのために、磁石を合成樹脂製の外釜の底面に固着するには、接着剤や粘着テープ等が使用されるようになった。
【0005】
しかし、接着剤や粘着テープにより固定する手段では、磁石と内釜との接着を良好にするために、相互の接着面に対して汚れを除去したり、外釜の底面に付着した汚れを取り除き、さらには油分を除去する脱脂処理が必要である。このような処理が念入りに行われなければ、接着剤による接着性は弱くなり、ミシンの稼動時において、外釜の底面から磁石が外れてしまうおそれが十分にある。ところが、前述したような外釜の底面の汚れの除去や、油分の除去(脱脂処理)によって、作業工程が増え、しかもその作業性は悪く、組み付け作業は煩雑となるにいたった。
【0006】
そこで、特許文献1では、外釜の底部に磁性体からなるヨーク部材が装着され、該ヨーク部材にマグネット片を吸着固定させる構成としている。ところで、ヨーク部材は皿形状のものであり、円形状の周壁部を備えたものである。この周壁部は、周方向に連続して形成されたものではなく、周壁部の一部を等間隔となるように切り欠いて、複数の突起部を形成し、該突起部が外釜のリブ片に係合し、ヨーク部材が外釜と空転することなく、安定した状態で固定できるようにしている〔図4(A)参照〕。
【0007】
ところが、前記ヨーク部材の突起部によって形成された周壁部の切欠き部や、突起部とリブ片との係合箇所に、ボビンの糸nが引っ掛かり易くなり〔図4(B)参照〕、ミシンの縫い作業において支障が生じるおそれがある(図4参照)。また、ヨーク部材に、突起部等を形成するために、ヨーク部材の製造工程が増えて、単価が上昇することもある。
【0008】
さらに、ヨーク部材の周壁部に切欠きが形成されることで、ヨーク部材に内装されるマグネット片の磁力も強力にならないという欠点も存在する。本発明が解決しようとする技術的課題(目的)は、複数の突起部による回転止め部によらず極めて簡単な構造にて、外釜に永久磁石を固定するための固定台座を安定した状態で外釜に対して固定し且つボビンから引き出される糸が釜内で引っ掛かることを防止することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、本発明を請求項1の発明を、金属製の吸着部材を外側下面部に備えた内釜と、該内釜を吸引する永久磁石と、該永久磁石を収納する径の中心位置に装着のための軸孔を設けた略円板状に形成された外周を構成するマグネット台板と、該マグネット台板を収納する内側底部の径の中心位置に軸孔を有する非金属の外釜と、前記マグネット台板の軸孔に挿入すると共に前記外釜の軸孔に挿入して前記外釜と前記マグネット台板を回転自在に軸支するため上端部にフランジ部を有した釜支持軸とを具備し、前記永久磁石の下側に配置された前記マグネット台板に載置される前記永久磁石の外形寸法より内側の位置に前記マグネット台板に設けた回転止めと、前記外釜に形成された係止部との係止箇所を設け前記外釜の底部に対して係止固定するための部材を具備することなく外釜の底部に対して周方向に固定することができる前記マグネット台板と、前記外釜の底部との間には、突起物或いは窪み等が露出しない構造としたミシンの水平回転釜としたことにより、上記課題を解決した。
【0010】
請求項2の発明を、前記マグネット台板の回転止めは、前記マグネット台板に載置される前記永久磁石の外形寸法より内側前記マグネット台板の一部に設けた回転止め部と前記外釜の内側底部に前記回転止め部と対向する位置に係止部を前記永久磁石の外形寸法より内側位置に設けた請求項1に記載のミシンの水平回転釜としたことにより、上記課題を解決した。
【0011】
請求項3の発明を、前記マグネット台板の回転止め部は、前記マグネット台板の外周縁の一部を直線状となる切欠き部としてなる請求項1に記載のミシンの水平回転釜としたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明を、前記マグネット台板の回転止め部は、前記マグネット台板の外周縁の一部を曲線状となる切欠き部としてなる請求項1に記載のミシンの水平回転釜としたことにより、上記課題を解決した。
【0012】
請求項5の発明を、前記マグネット台板の回転止め部は、前記マグネット台板の外周縁の一部を屈曲して形成した請求項1に記載のミシンの水平回転釜としたことにより、上記課題を解決した。請求項6の発明を、前記回転止め部は、少なくとも1箇所に形成してなる請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のミシンの水平回転釜としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、磁石の外形寸法より内側にマグネット台板は円形状の外周に回転止め部を設け、外釜の底部に形成された収納凹部の内周側壁面には、前記回転止め部に係止する段差状の係止部が形成されたものである。したがって、マグネット台板は、外釜の底部(又は底部に形成された収納凹部)に対して係止固定するための部材を具備することなく、マグネット台板は、外釜の底部に対して周方向に固定することができる。
【0014】
そして、前記回転止め部及び係止部の係止箇所は、前記マグネット台板に載置される前記永久磁石の外周縁より内側に位置する構成としたものである。これによって、マグネット台板と、外釜の底部との間には、相互に係止,嵌合固定するための突起物或いは窪み等が外釜の底部に露出しない構造にできる。したがって、内釜に内装されたボビンの上糸がミシンの縫い作動中に外釜内部で引っ掛かり縫い作業に支障をきたすことを防止できる。
【0015】
請求項2乃至請求項6の発明では、前記回転止め部及び前記係止部を極めて簡単な形状とすることができ、回転止め部及び係止部を永久磁石の外周縁より内側に位置する構成にし易いものにできる。特に、前記マグネット台板の回転止め部は、前記マグネット台板の外周縁の一部を屈曲して形成したものでは、該屈曲部によって、マグネット台板は、力学的強度が向上し、したがって耐久性も向上するものである。また、前記マグネット台板から屈曲して形成された部分をマグネット台板に対して略直角にすることで、外釜側の係止部との当接状態をより一層良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(A)は第1実施形態の回転止めを有する本発明の縦断側面図、(B)は(A)のX1−X1矢視図、(C)は本発明における水平釜の分解した斜視図である。
図2】(A)は図1(A)の(α)部拡大図、(B)は外釜とマグネット台板との分離した斜視図、(C)は本発明において外釜の底部に上糸が引っ掛からない状態を示す斜視図である。
図3】(A)は第1実施形態の回転止めの変形例を有する本発明の要部平面図、(B)は本発明の第2実施形態の回転止めを有する本発明の要部平面図、(C)は(B)の(β)部において第2実施形態の回転止の変形例の要部平面図、(D)は回転止めの第3実施形態における回転止め部を有するにおけるマグネット台板の斜視図である。
図4】(A)は従来技術において上糸が底部に引っ掛かる状態の斜視図、(B)は(A)の(γ)部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明における水平釜は、主に、図1図2及び図3に示すように、外釜Aと,マグネット台板2と、釜支持軸3と、永久磁石5と、内釜Bと、回転止めとから構成される。前記外釜Aは、主に外釜本体部1、歯車軸部15等から構成されている(図1参照)。
【0018】
回転とめは、前記外釜Aと、前記マグネット台板2に備わっている。前記回転止めは、後述するように、外釜A側に設けられた係止部14と、マグネット台板2側に設けられた回転止め部22とから構成される。
【0019】
前記歯車軸部15は、前記外釜本体部1に一体的に取り付けられており、歯車軸部15に噛合する(図示しない)駆動歯車によって、外釜Aが回転させられるようになっている。前記外釜本体部1は、扁平円筒カップ形状に形成され、材質はプラスチック等の合成樹脂又は非鉄金属製である。外釜本体部1の上部は、開口して、下部は底部11が形成されている。該底部11は、略円形状である〔図1(A)参照〕。
【0020】
底部11には、マグネット台板2を装着する収納凹部13が形成されている〔図1(A),図2(A),(B)参照〕。該収納凹部13は、前記底部11を構成する一部で、底部11の一部に含まれるものである。そして、収納凹部13は、前記底部11の中心箇所を直径中心として形成された、円形のスペースであり、マグネット台板2及び永久磁石が収容される部位である。
【0021】
収納凹部13の円形状の底面13a周囲に連続する内周側壁面13bが形成され、該内周側壁面13bに沿って底部11の上方に突出条13cが形成されている〔図1図2(A)参照〕。収納凹部13の内周側壁面13bには係止部14が形成されている。該係止部14は、マグネット台板2の後述する回転止め部22と当接状態で係止することによって、収納凹部13内に収納されたマグネット台板2の空転を防止する役目をなすものである。
【0022】
底部11の中心、つまり収納凹部13の円形状の底面13aの中心には、軸孔12が形成されている。該軸孔12の形成位置は、前記収納凹部13の直径中心とも一致する。軸孔12は、後述する釜支持軸3が貫通する部位である。底部11の下面側には、歯車軸部15が形成されている。該歯車軸部15には、外周に螺子状等の歯車が形成された軸状の部材であり、前記底部11に対して直角に形成されている。また、前記軸孔12は、歯車軸部15の軸芯に沿って形成されたものである。
【0023】
マグネット台板2が永久磁石5の下側に配置される。このマグネット台板2に設けた回転止め部22、つまり外釜Aと一体的に回転するための回転止め部22が永久磁石5の外径寸法より内側の位置に設けられている。
【0024】
マグネット台板2の回転止め部22には、複数の実施形態が存在し、その第1実施形態は、略円板状に形成された外周を構成する円形外周縁部21の外周の一部に一つの回転止め部22である直線状切欠き部22aを有するものである。
【0025】
該直線状切欠き部22aは、直線状又は略直線状とした端縁であり、平面的に見て略D字形状に形成されたものである。マグネット台板2の直径中心の位置には軸孔23が形成されている。さらに、該軸孔23の周辺では下方に向かって膨出する階段状に形成された段差部24が形成されている〔図1(C),図2(A)参照〕。
【0026】
また、第1実施形態の直線状切欠き部22aは、円形外周縁部21の外周に複数の直線状切欠き部22aを有することもあり、具体的に、直線状切欠き部22aが2個設けられたものであり、直線状切欠き部22aは左右対称に形成されている。直線状切欠き部22aが3個以上設けられることもある。また、切欠きではなく、円形外周縁部21の外周の一部を屈曲させることで直線状切欠き部22aと同じ効果を得る。
【0027】
第1実施形態における直線状切欠き部22aとした回転止め部22に対応する前記係止部14は、収納凹部13の内周側壁面13bの周方向における一部から中心に向かって突出する直線状段差部14aである〔図1(B),(C),図2(B)参照〕。該直線状段差部14aは、マグネット台板2の直線状切欠き部22aと当接する部位となる。直線状段差部14aの高さは、マグネット台板2の板厚と略同じかもしくは僅かに低くなるように設定されている。
【0028】
また、第1実施形態における回転止め部22に対応する係止部14として、前記内周側壁面13bの適宜の2箇所から突出するように突起状段差部14b,14bが形成されたものである〔図3(A)参照〕。そして、2個の突起状段差部14b,14bが前記直線状切欠き部22aに当接係止して、マグネット台板2を収納凹部13に固定しようとするものである。
【0029】
さらに、マグネット台板2の回転止め部22の第2実施形態としては、円形外周縁部21の外周縁の一部に窪み状の凹状切欠き部22bが形成されるものである〔図3(B),(C)参照〕。該凹状切欠き部22bは、種々の形状が存在し、曲線状或いは半円形状としたものである。また、前記凹状切欠き部22bの変形例として長方形又は正方形等の方形状に形成されるものが存在する〔図3(C)参照〕。
【0030】
また、特に図示しないが、凹状切欠き部22bが略三角形状に形成されることもある。前記凹状切欠き部22bに対応する係止部14としては、前記凹状切欠き部22b内に挿入される挿入突起部14cとしたものである。該挿入突起部14cは、前記内周側壁面13bから中心に向かって突出形成されたものであり、前記凹状切欠き部22bの形状と同等形状に形成されている。
【0031】
前記回転止め部22及び挿入突起部14cは、一対となって前記マグネット台板2の外周縁と内周側壁面13bのそれぞれにおいて、少なくとも1箇所に形成されたものである。よって、回転止め部22及び挿入突起部14cの対は、複数形成されてもかまわない。
【0032】
さらに、前記マグネット台板2の回転止め部22の第実施形態として前記マグネット台板2の外周縁の一部を屈曲して屈曲部22cを形成したものである〔図3(D)参照〕。具体的には、屈曲部22cは、マグネット台板2の外周縁の一部に直線状の折曲げ線を設け、該折曲げ線から下方に略直角に折曲することによって、回転止め部22として形成したものである。
【0033】
前記屈曲部22cによって、マグネット台板2は、全体的に力学的強度が向上し、したがって耐久性も向上させることができるものである。また、前記マグネット台板2の屈曲部22cは、マグネット台板2の水平面部分に対して略直角に垂れ下がる形状にすることで、外釜A側の係止部14との当接状態をより一層良好にすることができる。
【0034】
回転止め部22の第3タイプでは、前記直線状段差部14aが対応する。マグネット台板2の軸孔23は、マグネット台板2を収納凹部13に挿入配置した状態で、マグネット台板2の軸孔23の位置が、外釜Aの軸孔12の位置と一致する。
【0035】
釜支持軸3は、支持軸部31とフランジ部32とから構成され、支持軸部31の軸端にフランジ部32が形成される。釜支持軸3の支持軸部31は、マグネット台板2の軸孔23と外釜Aの軸孔12に挿通し、フランジ部32は前記マグネット台板2の軸孔23の周辺の平坦状面部2aに当接する。
【0036】
また、段差部24が形成されている場合には、該段差部24にフランジ部32が当接にて、外釜Aとマグネット台板2を一体的に回動可能に固定する。さらに、前記フランジ部32と、前記マグネット台板2の平坦状面部2aとの間にはワッシャ41及びバネワッシャ42が配置されることもある。
【0037】
永久磁石5は、扁平環板状に形成され、前記マグネット台板2に吸着して外釜Aの収納凹部13に配置される。永久磁石5の中心は貫通孔51が存在する。該貫通孔51の内径は、前記釜支持軸3のフランジ部32の外径よりも大きく形成され、フランジ部32は貫通孔51内に収まる構成となっている。
【0038】
そして、永久磁石5が収納凹部13内に収納された状態で、永久磁石5は、マグネット台板2の回転止め部22の上面に配設される構造となる。つまり、回転止め部22と係止部14で構成される回転止め部は、永久磁石5の外周縁52よりも内側に位置する構造となる。これによって、外釜A内において、上糸nが引っ掛かり易くなる部分が無くなり、該上糸nが外釜Aの内部で引っ掛かることを防止することができる〔図2(C)参照〕。
【0039】
前記内釜Bは、容器形状の容器本体部6と被吸着部材7とから構成されている。その内部はボビン室となっている。内釜Bの容器本体部6の下面部、すなわち底面部61には磁性体の材料からなる被吸着部材7が設けられている。前記容器本体部6は、プラスチック等の合成樹脂によって形成されている。前記被吸着部材7は、具体的には金属薄板材から形成されたものである。該被吸着部材7は、前記内釜Bの下面部側に露出するようにして設けられている。
【0040】
次に、本発明における水平釜を組付けについて説明する。外釜Aでは、前述したように底部11に収納凹部13が形成されており、該収納凹部13にマグネット台板2が配置される。そして、マグネット台板2の円形外周縁部21は前記収納凹部13内に収まり、回転止め部22(直線状切欠き部22a)は、係止部14(直線状段差部14a)と当接又は近接する状態でマグネット台板2が外釜Aの収納凹部13に収まる〔図1(B),図2(A)参照〕。
【0041】
これによって、外釜Aの収納凹部13に挿入配置されたマグネット台板2は回転が規制されて、外釜Aと共に回転することになる〔図1(B)参照〕。したがって、外釜Aが回転するときには、底部11と共にマグネット台板2が回転する。
【符号の説明】
【0042】
A…外釜、B…内釜、12…軸孔、14…係止部、直線状段差部14a、
突起状段差部14b、挿入突起部14c、2…マグネット台板、23…軸孔、22…回転止め部、22a…直線状切欠き部、22b…凹状切欠き部、22c…屈曲部、3…釜支持軸、32…フランジ部、5…永久磁石、7…吸着部材。
図1
図2
図3
図4