特許第6452382号(P6452382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧 ▶ 京三電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6452382-流体加熱ヒータ 図000002
  • 特許6452382-流体加熱ヒータ 図000003
  • 特許6452382-流体加熱ヒータ 図000004
  • 特許6452382-流体加熱ヒータ 図000005
  • 特許6452382-流体加熱ヒータ 図000006
  • 特許6452382-流体加熱ヒータ 図000007
  • 特許6452382-流体加熱ヒータ 図000008
  • 特許6452382-流体加熱ヒータ 図000009
  • 特許6452382-流体加熱ヒータ 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452382
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】流体加熱ヒータ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/14 20060101AFI20190107BHJP
   F02M 31/125 20060101ALI20190107BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20190107BHJP
   H05B 3/40 20060101ALI20190107BHJP
   H01C 7/02 20060101ALN20190107BHJP
【FI】
   H05B3/14 A
   F02M31/125 G
   F02M37/00 P
   H05B3/40 A
   !H01C7/02
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-217532(P2014-217532)
(22)【出願日】2014年10月24日
(65)【公開番号】特開2016-85854(P2016-85854A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000161840
【氏名又は名称】京三電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大矢 康裕
(72)【発明者】
【氏名】古賀 康紘
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−164278(JP,A)
【文献】 特開昭62−026368(JP,A)
【文献】 実開昭59−041667(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02−3/86
H01C 7/02−7/22
F24H 1/06−1/16
F24H 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のPTC素子(2)と、
該複数のPTC素子(2)を両側から挟み込み、該複数のPTC素子(2)に通電するための一対の電極板(3A,3B)と、
該一対の電極板(3A,3B)の両側から該一対の電極板(3A,3B)を上記複数のPTC素子(2)に押圧する一対の押圧部材(4,5A)と、
上記複数のPTC素子(2)、上記一対の電極板(3A,3B)及び上記一対の押圧部材(4,5A)を収容するケース(6)と、を備える流体加熱ヒータ(1)において、
上記一対の電極板(3A,3B)同士の間、該一対の電極板(3A,3B)の一方である第1電極板(3A)と上記一対の押圧部材(4,5A)の一方である第1押圧部材(4)との間、及び上記一対の電極板(3A,3B)の他方である第2電極板(3B)と上記一対の押圧部材(4,5A)の他方である第2押圧部材(5A)との間には、上記流体加熱ヒータ(1)の中心部(11)の回りに流体(R)通過させための流体流路(7A,7B,7C)がそれぞれ形成されており、
上記複数のPTC素子(2)から発生する熱を、上記第1電極板(3A)の両面及び上記第2電極板(3B)の両面から、上記流体流路(7A,7B,7C)を通過する流体(R)に伝達するよう構成されていることを特徴とする流体加熱ヒータ(1)。
【請求項2】
上記第2押圧部材(5A)には、該第2押圧部材(5A)を補強するための剛性プレート(5B)が積層されていることを特徴とする請求項1に記載の流体加熱ヒータ(1)。
【請求項3】
上記流体流路(7A,7B,7C)は、上記第1電極板(3A)と上記第1押圧部材(4)との間、上記第1電極板(3A)と上記第2電極板(3B)との間、及び上記第2電極板(3B)と上記第2押圧部材(5A)との間の順に流体(R)を通過させる構造に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体加熱ヒータ(1)。
【請求項4】
複数のPTC素子(2)と、
該複数のPTC素子(2)を両側から挟み込み、該複数のPTC素子(2)に通電するための一対の電極板(3A,3B)と、
該一対の電極板(3A,3B)の両側から該一対の電極板(3A,3B)を上記複数のPTC素子(2)に押圧する一対の押圧部材(4,5A)と、
上記複数のPTC素子(2)、上記一対の電極板(3A,3B)及び上記一対の押圧部材(4,5A)を収容するケース(6)と、を備え、
上記一対の電極板(3A,3B)同士の間、該一対の電極板(3A,3B)の一方である第1電極板(3A)と上記一対の押圧部材(4,5A)の一方である第1押圧部材(4)との間、及び上記一対の電極板(3A,3B)の他方である第2電極板(3B)と上記一対の押圧部材(4,5A)の他方である第2押圧部材(5A)との間に、上記複数のPTC素子(2)によって加熱される流体(R)が通過する流体流路(7A,7B,7C)が形成されており、
上記第1押圧部材(4)は、上記PTC素子(2)に対面する、上記第1電極板(3A)の部分に対向して突出する複数の対向突起(41)が設けられた樹脂プレート(4)からなり、
上記第2押圧部材(5A)は、上記PTC素子(2)に対面する、上記第2電極板(3B)の部分に弾性力を付与する複数の弾性変形爪(51)が設けられた板バネ(5A)からなることを特徴とする流体加熱ヒータ(1)。
【請求項5】
上記樹脂プレート(4)には、上記複数のPTC素子(2)のそれぞれの側面の複数個所をガイドするための複数のガイド突起(42)が、上記複数のPTC素子(2)の配置位置に合わせて設けられており、
該複数のガイド突起(42)は、上記第1電極板(3A)及び上記第2電極板(3B)に形成された複数のガイド穴(31)に挿通されていることを特徴とする請求項4に記載の流体加熱ヒータ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTC素子によって、流路を通過する流体を加熱する流体加熱ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
流体加熱ヒータは、PTC素子を用いて、例えば、エンジンに供給される燃料を、所定の温度になるように加熱している。この流体加熱ヒータとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1においては、一対の電極板によってPTC素子を加熱し、一対の電極板の間に形成された加熱経路を流れる流体をPTC素子によって加熱する流体加熱ヒータについて記載されている。この流体加熱ヒータにおいては、一対の電極板の少なくともいずれか一方には、他方の電極板に向かって一又は二以上の整流板が立設されている。そして、整流板によって、加熱流路を流れる流体がPTC素子へ向かうようにして、PTC素子による加熱を促進している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−164278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等に記載された従来の流体加熱ヒータにおいては、PTC素子によって流体を加熱する加熱流路は、一対の電極板の間にしか形成されていない。そのため、流体は、一対の電極板の間を通過する時間しか加熱されず、流体が一対の電極板の表面を滞留する時間を長くすることが困難である。従って、PTC素子による加熱効率を更に高めるためには、更なる工夫が必要とされる。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、各PTC素子による流体の加熱効率を更に高めることができる流体加熱ヒータを提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、複数のPTC素子と、
該複数のPTC素子を両側から挟み込み、該複数のPTC素子に通電するための一対の電極板と、
該一対の電極板の両側から該一対の電極板を上記複数のPTC素子に押圧する一対の押圧部材と、
上記複数のPTC素子、上記一対の電極板及び上記一対の押圧部材を収容するケースと、を備える流体加熱ヒータにおいて
上記一対の電極板同士の間、該一対の電極板の一方である第1電極板と上記一対の押圧部材の一方である第1押圧部材との間、及び上記一対の電極板の他方である第2電極板と上記一対の押圧部材の他方である第2押圧部材との間には、上記流体加熱ヒータの中心部の回りに流体通過させための流体流路がそれぞれ形成されており、
上記複数のPTC素子から発生する熱を、上記第1電極板の両面及び上記第2電極板の両面から、上記流体流路を通過する流体に伝達するよう構成されている流体加熱ヒータにある。
本発明の他の態様は、複数のPTC素子と、
該複数のPTC素子を両側から挟み込み、該複数のPTC素子に通電するための一対の電極板と、
該一対の電極板の両側から該一対の電極板を上記複数のPTC素子に押圧する一対の押圧部材と、
上記複数のPTC素子、上記一対の電極板及び上記一対の押圧部材を収容するケースと、を備え、
上記一対の電極板同士の間、該一対の電極板の一方である第1電極板と上記一対の押圧部材の一方である第1押圧部材との間、及び上記一対の電極板の他方である第2電極板と上記一対の押圧部材の他方である第2押圧部材との間に、上記複数のPTC素子によって加熱される流体が通過する流体流路が形成されており、
上記第1押圧部材は、上記PTC素子に対面する、上記第1電極板の部分に対向して突出する複数の対向突起が設けられた樹脂プレートからなり、
上記第2押圧部材は、上記PTC素子に対面する、上記第2電極板の部分に弾性力を付与する複数の弾性変形爪が設けられた板バネからなることを特徴とする流体加熱ヒータにある。
【発明の効果】
【0007】
上記流体加熱ヒータは、一対の電極板同士の間、第1電極板と第1押圧部材との間、及び第2電極板と第2押圧部材との間の3つの空間に、流体流路を有している。また、一対の電極板は各PTC素子から発生する熱を流体に伝達する。これにより、流体は、一対の電極板の間を通過する時間だけでなく、各電極板の外側を通過する時間も加熱される。そして、各PTC素子から発生する熱を、第1電極板の両面及び第2電極板の両面から、3つの空間における流体流路を通過する流体に伝達することができる。そのため、各PTC素子から発生する熱を流体に伝達するための各電極板の面積を、効果的に増やすことができる。
【0008】
それ故、上記流体加熱ヒータによれば、各PTC素子による流体の加熱効率を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例にかかる、流体加熱ヒータを示す断面説明図。
図2】実施例にかかる、流体加熱ヒータを分解した状態を示す斜視説明図。
図3】実施例にかかる、ケースを示す図で、図2におけるIII−III線を矢視した場合の説明図。
図4】実施例にかかる、樹脂プレートを示す図で、図2におけるIV−IV線を矢視した場合の説明図。
図5】実施例にかかる、第1電極板及びPTC素子を示す図で、図2におけるV−V線を矢視した場合の説明図。
図6】実施例にかかる、第2電極板を示す図で、図2におけるVI−VI線を矢視した場合の説明図。
図7】実施例にかかる、板バネを示す図で、図2におけるVII−VII線を矢視した場合の説明図。
図8】実施例にかかる、流体加熱ヒータにおける主要部の周方向に沿った断面を、直線状に展開して模式的に示す断面説明図。
図9】実施例にかかる、3つの空間における流体流路の4つの構造(a),(b),(c),(d)を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述した流体加熱ヒータにおける好ましい実施の形態について説明する。
上記流体加熱ヒータにおいては、3つの空間における流体流路の構造は、3つの空間における流体流路の一方から他方へ、流体が同時に並行して通過する構造とすることができる(図9(b)参照)。また、3つの空間における流体流路の構造は、流体が、2つの空間における流体流路を一方から他方へ同時に並行して通過した後、残りの1つの空間における流体流路を他方から一方へ通過する構造とすることもできる(図9(c)参照)。また、3つの空間における流体流路の構造は、流体が、1つの空間における流体流路を一方から他方へ通過した後、残りの2つの空間における流体流路を他方から一方へ同時に並行して通過する構造とすることもできる(図9(d)参照)。
さらに、3つの空間における流体流路の構造は、流体が、1つの空間における流体流路を一方から他方へ通過した後、他の1つの空間における流体流路を他方から一方へ通過し、その後、残りの1つの空間における流体流路を一方から他方へ通過する構造とすることもできる(図9(a)参照)。
【0011】
上記流体加熱ヒータにおいては、上記流体流路は、上記第1電極板と上記第1押圧部材との間、上記第1電極板と上記第2電極板との間、及び上記第2電極板と上記第2押圧部材との間の順に流体を通過させる構造に形成されていてもよい。
これにより、PTC素子によって加熱する流体を、3つの空間における流体流路を蛇行させて通過させることができる。そのため、PTC素子による流体の加熱効率をより一層高めることができる。
【実施例】
【0012】
以下に、流体加熱ヒータにかかる実施例について、図面を参照して説明する。
本例の流体加熱ヒータ1は、図1に示すように、複数のPTC素子2、一対の電極板3A,3B、一対の押圧部材としての樹脂プレート4及び板バネ5A、並びにケース6を備えている。複数のPTC(Positive temperature coefficient)素子2は、通電によって発熱し、かつ温度によって抵抗値が変化する性質を有している。一対の電極板3A,3Bは、複数のPTC素子2を両側から挟み込み、複数のPTC素子2に通電を行うよう構成されている。樹脂プレート4及び板バネ5Aは、一対の電極板3A,3Bの両側から一対の電極板3A,3Bを複数のPTC素子2に押圧するよう構成されている。ケース6は、複数のPTC素子2、一対の電極板3A,3B、樹脂プレート4及び板バネ5Aを収容するよう構成されている。
一対の電極板3A,3B同士の間、第1電極板3Aと樹脂プレート4との間、及び第2電極板3Bと板バネ5Aとの間には、複数のPTC素子2によって加熱される流体Rが通過する流体流路7A,7B,7Cが形成されている。
【0013】
以下に、本例の流体加熱ヒータ1について、図1図8を参照して詳説する。
図1に示すように、本例の流体加熱ヒータ1は、流体Rとしての燃料を加熱するために用いられる。燃料は、燃料タンクからポンプによって流体加熱ヒータ1に供給され、流体加熱ヒータ1によって一定の温度に加熱された後、インジェクタから噴射される。また、流体加熱ヒータ1は、フィルタ13と一体化されており、流体加熱ヒータ1によって加熱された燃料は、フィルタ13を通過してインジェクタに供給される。
【0014】
図8は、流体加熱ヒータ1における主要部の周方向Cに沿った断面を、直線状に展開して模式的に示す。同図に示すように、本例の流体流路7A,7B,7Cは、流体加熱ヒータ1の中心部11の回りを回る流路として形成されている。複数のPTC素子2は、中心部11の回りの周方向Cに並んで配置されている。流体流路7A,7B,7Cは、第1電極板3Aと樹脂プレート4との間、第1電極板3Aと第2電極板3Bとの間、及び第2電極板3Bと板バネ5Aとの間の順に流体Rを通過させる構造に形成されている。
【0015】
第1押圧部材としての樹脂プレート4は、PTC素子2に対面する、第1電極板3Aの部分に対向して突出する複数の対向突起41を有している。第2押圧部材としての板バネ5Aは、PTC素子2に対面する、第2電極板3Bの部分に弾性力を付与する複数の弾性変形爪51を有している。弾性変形爪51は、第1板バネ5Aの一部を切り開くようにして形成されている。板バネ5Aの外側面には、板バネ5Aを補強するための剛性プレート5Bが積層されている。剛性プレート5Bには、必要な剛性が確保されれば、金属、樹脂、セラミック等のいずれの部材を使用してもよい。また、剛性プレート5Bは、板バネ5Aの剛性を高めるものであり、板バネ5Aの剛性が確保できれば廃止することができる。
各PTC素子2は、板バネ5Aから各PTC素子2に付与される弾性力が各対向突起41によって受け止められることによって、樹脂プレート4と板バネ5Aとの間に挟持される。
【0016】
図3に示すように、ケース6には、流体Rの入口70が形成されている。図4に示すように、樹脂プレート4には、第1電極板3Aと樹脂プレート4との間に流体Rを流入させるための第1流入口71が形成されている。また、樹脂プレート4の内周側部分と外周側部分とには、流体流路7A,7B,7Cを形成するための立壁43が形成されている。
図4図5に示すように、第1電極板3Aには、第1流入口71から周方向Cの一方側C1に回った位置において、第1電極板3Aと樹脂プレート4との間から第1電極板3Aと第2電極板3Bとの間へ流体Rを流入させるための第2流入口72が形成されている。図5図6に示すように、第2電極板3Bには、第2流入口72から周方向Cの他方側C2に回った位置において、第1電極板3Aと第2電極板3Bとの間から第2電極板3Bと板バネ5Aとの間へ流体Rを流入させるための第3流入口73が形成されている。図6図7に示すように、板バネ5A及び剛性プレート5Bには、第3流入口73から周方向Cの一方側C1に回った位置において、第2電極板3Bと板バネ5A及び剛性プレート5Bとの間からフィルタ13へ流体Rを流出させるための流出口74が形成されている。
【0017】
図2は、流体加熱ヒータ1を、ケース6、樹脂プレート4、第1電極板3A、第2電極板3B、板バネ5A及び剛性プレート5Bに分解した状態を、下側(フィルタ13側)から見た状態で示す。図2図4に示すように、樹脂プレート4には、複数のPTC素子2の位置決めをするための複数のガイド突起42が設けられている。複数のガイド突起42は、円盤形状を有する各PTC素子2の側面の外周の複数個所(本例では3か所)に対向して、各PTC素子2を規定の位置にガイドする。図2図5図6に示すように、第1電極板3A及び第2電極板3Bには、複数のガイド突起42が挿通される複数のガイド穴31が形成されている。各ガイド突起42が、第1電極板3A及び第2電極板3Bの各ガイド穴31に挿入されることにより、各PTC素子2を第1電極板3Aと第2電極板3Bとの間に安定して維持することができる。
【0018】
図1に示すように、第1電極板3A及び第2電極板3Bは、PTC素子2に対面していることにより、PTC素子2から発生される熱を放熱する放熱板としても機能する。ケース6は、PTC素子2及び一対の電極板3A,3Bに対して樹脂プレート4が配置された側から、PTC素子2、一対の電極板3A,3B、樹脂プレート4及び板バネ5Aを覆っている。ケース6は、アルミニウム材料から構成されている。ケース6、樹脂プレート4、一対の電極板3A,3B、板バネ5A及び剛性プレート5Bの各中心部11には、フィルタ13を通過した後の流体Rが通過する出口流路12が形成されている。
【0019】
次に、流体加熱ヒータ1の動作及び作用効果について説明する。
流体加熱ヒータ1を動作させるに当たっては、図2図3に示すように、一対の電極板3A,3Bを介して各PTC素子2に通電がされ、また、ケース6の入口70を経由して第1流入口71へ流体Rが流入する。このとき、各PTC素子2が加熱されてその温度が上昇するとその抵抗値も上昇する。そして、この各PTC素子2の抵抗値の変化を測定しつつ、一対の電極板3A,3Bへの通電量を決定する。
図2図4に示すように、第1流入口71から第1電極板3Aと樹脂プレート4との間の第1流体流路7Aに流入する流体Rは、この第1流体流路7Aを周方向Cの一方側C1へ回るようにして流れる。このとき、各PTC素子2によって発生する熱は、第1電極板3Aから放熱されて第1流体流路7Aを流れる流体Rに伝熱される。そして、第1流体流路7Aを流れる流体Rは、図5に示すように、第2流入口72へ流入する。
【0020】
次いで、同図に示すように、第2流入口72から第1電極板3Aと第2電極板3Bとの間の第2流体流路7Bに流入する流体Rは、この第2流体流路7Bを周方向Cの他方側C2へ回るようにして流れる。このとき、各PTC素子2によって発生する熱は、第1電極板3A、第2電極板3B及び各PTC素子2の側面から放熱されて第2流体流路7Bを流れる流体Rに伝熱される。そして、第2流体流路7Bを流れる流体Rは、図6に示すように、第3流入口73へ流入する。
【0021】
次いで、同図に示すように、第3流入口73から第2電極板3Bと板バネ5Aとの間の第3流体流路7Cに流入する流体Rは、この第3流体流路7Cを周方向Cの一方側C1へ回るようにして流れる。このとき、各PTC素子2によって発生する熱は、第2電極板3Bから放熱されて第3流体流路7Cを流れる流体Rに伝熱される。そして、第3流体流路7Cを流れる流体Rは、図7に示すように、流出口74へ流出する。
その後、流体Rは、フィルタ13を通ってろ過され、流体加熱ヒータ1の中心部11に形成された出口流路12を通って外部へ流出する。
【0022】
このように、本例の流体加熱ヒータ1においては、流体Rが3つの流体流路7A,7B,7Cを通過する際に、各PTC素子2から一対の電極板3A,3Bを介して流体Rが加熱される。これにより、流体Rは、一対の電極板3A,3Bの間を通過する時間だけでなく、各電極板3A,3Bの外側を通過する時間も加熱される。そして、各PTC素子2から発生する熱を、第1電極板3Aの両面及び第2電極板3Bの両面から、3つの流体流路7A,7B,7Cを通過する流体Rに伝達することができる。そのため、各PTC素子2から発生する熱を流体Rに伝達するための各電極板3A,3Bの面積を、効果的に増やすことができる。
【0023】
それ故、本例の流体加熱ヒータ1によれば、各PTC素子2による流体Rの加熱効率を更に高めることができる。
【0024】
本例において示した流体加熱ヒータ1の3つの空間における流体流路7A,7B,7Cの構造は、図9(a)に模式的に示すように、流体Rが、1つの空間における流体流路7Aを一方から他方へ通過した後、他の1つの空間における流体流路7Bを他方から一方へ通過し、その後、残りの1つの空間における流体流路7Cを一方から他方へ通過する構造とした。
これ以外にも、3つの空間における流体流路7A,7B,7Cの構造は、次のようにすることができる。具体的には、3つの空間における流体流路7A,7B,7Cの構造は、図9(b)に模式的に示すように、3つの空間における流体流路7A,7B,7Cの一方から他方へ、流体Rが同時に並行して通過する構造とすることができる。
【0025】
また、3つの空間における流体流路7A,7B,7Cの構造は、図9(c)に模式的に示すように、流体Rが、2つの空間における流体流路7A,7Bを一方から他方へ同時に並行して通過した後、残りの1つの空間における流体流路7Cを他方から一方へ通過する構造とすることもできる。
また、3つの空間における流体流路7A,7B,7Cの構造は、図9(d)に模式的に示すように、流体Rが、1つの空間における流体流路7Aを一方から他方へ通過した後、残りの2つの空間における流体流路7B,7Cを他方から一方へ同時に並行して通過する構造とすることもできる。
【符号の説明】
【0026】
1 流体加熱ヒータ
2 PTC素子
3A,3B 電極板
4 樹脂プレート(第1押圧部材)
41 対向突起
42 ガイド突起
5A 板バネ(第2押圧部材)
51 弾性変形爪
5B 剛性プレート
6 ケース
7A,7B,7C 流体流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9