特許第6452512号(P6452512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452512
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6471 20110101AFI20190107BHJP
   H01R 13/41 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   H01R13/6471
   H01R13/41
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-55377(P2015-55377)
(22)【出願日】2015年3月18日
(65)【公開番号】特開2016-177898(P2016-177898A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸貴
(72)【発明者】
【氏名】河村 主税
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5669285(JP,B1)
【文献】 特開2000−067961(JP,A)
【文献】 特開2012−054215(JP,A)
【文献】 特開2012−022867(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102012005810(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40−13/533
H01R13/56−13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向において対象物上に搭載されると共に相手側コネクタと前記上下方向と直交する前後方向に沿って嵌合可能なコネクタであって、
前記相手側コネクタは、第1相手側コンタクト及び第2相手側コンタクトを備えており、
前記コネクタは、保持部材と、一群の第1コンタクトと、一群の第2コンタクトとを備えており、
前記第1コンタクトの夫々は、前記第1相手側コンタクトと接触する第1接触部と、前記対象物に固定される第1固定部と、前記第1接触部と前記第1固定部とを連結する第1連結部とを有しており、
前記第1接触部には、第1圧入部が形成されており、
前記第1接触部は、前記保持部材に圧入され保持されており、
前記一群の第1コンタクトの前記第1接触部は、前記前後方向及び前記上下方向の双方と直交するピッチ方向において一列に並んでおり、
前記一群の第1コンタクトの前記第1固定部は、前記ピッチ方向において一列に並んでおり、
前記第1固定部の列は、前記前後方向において前記第1接触部の列の後方に位置していると共に前記上下方向において前記第1接触部の列の下方に位置しており、
前記第1固定部の列の位置と前記第1接触部の列の位置とは前記ピッチ方向において互いにズレていると共に部分的に重なっており、
前記第2コンタクトの夫々は、前記第2相手側コンタクトと接触する第2接触部と、前記対象物に固定される第2固定部と、前記第2接触部と前記第2固定部とを連結する第2連結部とを有しており、
前記第2接触部には、第2圧入部が形成されており、
前記第2接触部は、前記保持部材に圧入され保持されており、
前記一群の第2コンタクトの前記第2接触部は、前記ピッチ方向において一列に並んでおり、
前記一群の第2コンタクトの前記第2固定部は、前記ピッチ方向において一列に並んでおり、
前記第2固定部の列は、前記前後方向において前記第2接触部の列の後方に位置していると共に前記上下方向において前記第2接触部の列の下方に位置しており、
前記第2固定部の列の位置と前記第2接触部の列の位置とは前記ピッチ方向において互いにズレていると共に部分的に重なっており、
前記一群の第2コンタクトの前記第2接触部の列は、前記上下方向において前記第1接触部の列の下方に位置しており、
前記第1固定部の列と前記第2固定部の列とは、前記ピッチ方向において並んでいると共に、前記コネクタを前記前後方向に沿って見た場合に互いに重なっておらず、
前記コネクタを前記前後方向に沿って見た場合に前記一群の第1コンタクトの前記第1連結部と前記一群の第2コンタクトの前記第2連結部とは部分的に重なっており、
前記第2連結部は、前記前後方向と前記上下方向の双方と交差しており、
前記ピッチ方向において、第1方位と第2方位とは互いに逆の方位であり、
前記第1接触部には、前記第1方位に向かって突出した第1圧入肩部が形成されており、
前記第1固定部は、前記第1接触部から前記第2方位側にズレており、
前記第2接触部には、前記第2方位に向かって突出した第2圧入肩部が形成されており、
前記第2固定部は、前記第2接触部から前記第1方位側にズレている
コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記第2連結部は、前記前後方向と前記上下方向の双方と斜交する平面内に延びている
コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコネクタであって、
前記第1連結部は、前記前後方向と前記上下方向の双方と交差している
コネクタ。
【請求項4】
請求項3記載のコネクタであって、
前記第1連結部は、前記前後方向と前記上下方向の双方と斜交する平面内に延びている
コネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコネクタであって、
前記第2連結部の夫々は、前記ピッチ方向と直交する方向に延びる第2ストレート部を有しており、
前記第2固定部は、前記第2ストレート部から延びている
コネクタ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のコネクタであって、
前記第1連結部の夫々は、前記ピッチ方向と直交する方向に延びる第1ストレート部を有しており、
前記第1固定部は、前記第1ストレート部から延びている
コネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のコネクタであって、
前記第1接触部の後端及び前記第1連結部の前端は、前記ピッチ方向と直交する方向に延びており、
前記第2接触部の後端及び前記第2連結部の前端は、前記ピッチ方向と直交する方向に延びている
コネクタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のコネクタであって、
前記一群の第1コンタクトは、一枚の第1金属板をプレスして得られるものであり、
前記第1連結部の間の最短距離は、前記第1金属板の板厚以上であり、
前記一群の第2コンタクトは、一枚の第2金属板をプレスして得られるものであり、
前記第2連結部の間の最短距離は、前記第2金属板の板厚以上である
コネクタ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載のコネクタであって、
前記第1接触部の列と前記第2接触部の列とは、前記ピッチ方向において、ズレて位置している
コネクタ。
【請求項10】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載のコネクタであって、
前記一群の第1コンタクトは互いに同一の形状を有しており、
前記一群の第2コンタクトは互いに同一の形状を有している
コネクタ。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のコネクタであって、
前記一群の第1コンタクトには差動対を構成するコンタクトが含まれており、
前記一群の第2コンタクトには差動対を構成するコンタクトが含まれている
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速信号伝送用の差動対を構成するコンタクトを含むようなコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、この種のコネクタを開示している。図11乃至図13を参照すると、特許文献1のコネクタ900は、保持部材910と、複数の第1コンタクト920と、複数の第2コンタクト930とを備えている。第1コンタクト920は互いに同一の形状を有しており、互いに同一の信号経路長を有している。また、第2コンタクト930は互いに同一の形状を有しており、互いに同一の信号経路長を有している。そのため、特許文献1のコネクタ900においては、スキューの発生が抑制されている。図12に最もよく示されるように、第1コンタクト920及び第2コンタクト930は、インサート成型法により保持部材910に組み込まれている。第1コンタクト920及び第2コンタクト930は、保持部材910に圧入されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5669285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、スキューの発生を抑制しつつコンタクトを保持部材に圧入するのに更に適した構造を備えるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1のコネクタとして、
上下方向において対象物上に搭載されると共に相手側コネクタと前記上下方向と直交する前後方向に沿って嵌合可能なコネクタであって、
前記相手側コネクタは、第1相手側コンタクト及び第2相手側コンタクトを備えており、
前記コネクタは、保持部材と、一群の第1コンタクトと、一群の第2コンタクトとを備えており、
前記第1コンタクトの夫々は、前記第1相手側コンタクトと接触する第1接触部と、前記対象物に固定される第1固定部と、前記第1接触部と前記第1固定部とを連結する第1連結部とを有しており、
前記第1接触部には、第1圧入部が形成されており、
前記第1接触部は、前記保持部材に圧入され保持されており、
前記一群の第1コンタクトの前記第1接触部は、前記前後方向及び前記上下方向の双方と直交するピッチ方向において一列に並んでおり、
前記一群の第1コンタクトの前記第1固定部は、前記ピッチ方向において一列に並んでおり、
前記第1固定部の列は、前記前後方向において前記第1接触部の列の後方に位置していると共に前記上下方向において前記第1接触部の列の下方に位置しており、
前記第1固定部の列の位置と前記第1接触部の列の位置とは前記ピッチ方向において互いにズレていると共に部分的に重なっており、
前記第2コンタクトの夫々は、前記第2相手側コンタクトと接触する第2接触部と、前記対象物に固定される第2固定部と、前記第2接触部と前記第2固定部とを連結する第2連結部とを有しており、
前記第2接触部には、第2圧入部が形成されており、
前記第2接触部は、前記保持部材に圧入され保持されており、
前記一群の第2コンタクトの前記第2接触部は、前記ピッチ方向において一列に並んでおり、
前記一群の第2コンタクトの前記第2固定部は、前記ピッチ方向において一列に並んでおり、
前記第2固定部の列は、前記前後方向において前記第2接触部の列の後方に位置していると共に前記上下方向において前記第2接触部の列の下方に位置しており、
前記第2固定部の列の位置と前記第2接触部の列の位置とは前記ピッチ方向において互いにズレていると共に部分的に重なっており、
前記一群の第2コンタクトの前記第2接触部の列は、前記上下方向において前記第1接触部の列の下方に位置しており、
前記第1固定部の列と前記第2固定部の列とは、前記ピッチ方向において並んでいると共に、前記コネクタを前記前後方向に沿って見た場合に互いに重なっておらず、
前記コネクタを前記前後方向に沿って見た場合に前記一群の第1コンタクトの前記第1連結部と前記一群の第2コンタクトの前記第2連結部とは部分的に重なっており、
前記第2連結部は、前記前後方向と前記上下方向の双方と交差している
コネクタを提供する。
【0006】
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記第2連結部は、前記前後方向と前記上下方向の双方と斜交する平面内に延びている
コネクタを提供する。
【0007】
また、本発明は、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記第1連結部は、前記前後方向と前記上下方向の双方と交差している
コネクタを提供する。
【0008】
また、本発明は、第4のコネクタとして、第3のコネクタであって、
前記第1連結部は、前記前後方向と前記上下方向の双方と斜交する平面内に延びている
コネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第5のコネクタとして、第1乃至第4のいずれかのコネクタであって、
前記第2連結部の夫々は、前記ピッチ方向と直交する方向に延びる第2ストレート部を有しており、
前記第2固定部は、前記第2ストレート部から延びている
コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第6のコネクタとして、第1乃至第5のいずれかのコネクタであって、
前記第1連結部の夫々は、前記ピッチ方向と直交する方向に延びる第1ストレート部を有しており、
前記第1固定部は、前記第1ストレート部から延びている
コネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第7のコネクタとして、第1乃至第6のいずれかのコネクタであって、
前記第1接触部の後端及び前記第1連結部の前端は、前記ピッチ方向と直交する方向に延びており、
前記第2接触部の後端及び前記第2連結部の前端は、前記ピッチ方向と直交する方向に延びている
コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第8のコネクタとして、第1乃至第7のいずれかのコネクタであって、
前記一群の第1コンタクトは、一枚の第1金属板をプレスして得られるものであり、
前記第1連結部の間の最短距離は、前記第1金属板の板厚以上であり、
前記一群の第2コンタクトは、一枚の第2金属板をプレスして得られるものであり、
前記第2連結部の間の最短距離は、前記第2金属板の板厚以上である
コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第9のコネクタとして、第1乃至第8のいずれかのコネクタであって、
前記ピッチ方向において、第1方位と第2方位とは互いに逆の方位であり、
前記第1接触部には、前記第1方位に向かって突出した第1圧入肩部が形成されており、
前記第1固定部は、前記第1接触部から前記第2方位側にズレており、
前記第2接触部には、前記第2方位に向かって突出した第2圧入肩部が形成されており、
前記第2固定部は、前記第2接触部から前記第1方位側にズレている
コネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第10のコネクタとして、第1乃至第9のいずれかのコネクタであって、
前記第1接触部の列と前記第2接触部の列とは、前記ピッチ方向において、ズレて位置している
コネクタを提供する。
【0015】
また、本発明は、第11のコネクタとして、第1乃至第10のいずれかのコネクタであって、
前記一群の第1コンタクトは互いに同一の形状を有しており、
前記一群の第2コンタクトは互いに同一の形状を有している
コネクタを提供する。
【0016】
また、本発明は、第12のコネクタとして、第1乃至第11のいずれかのコネクタであって、
前記一群の第1コンタクトには差動対を構成するコンタクトが含まれており、
前記一群の第2コンタクトには差動対を構成するコンタクトが含まれている
コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0017】
第2連結部が前後方向と上下方向の双方と交差していることから、特許文献1のコネクタにおいてコンタクトを保持部材に圧入した場合と比較して、コネクタの前後方向及びピッチ方向のサイズの大型化を抑制しつつ、特許文献1と同様な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態によるコネクタを示す正面斜視図である。
図2図1のコネクタを示す背面斜視図である。
図3図1のコネクタを示す正面図である。
図4図1のコネクタを示す上面図である。
図5図1のコネクタを示す側面図である。
図6図1のコネクタを示す背面図である。
図7図5のコネクタを示す側面図である。但し、シェルは省略されている。
図8図2のコネクタの一部を示す拡大斜視図である。
図9図2のコネクタに含まれる一群の第1コンタクトを示す斜視図である。
図10図2のコネクタに含まれる一群の第2コンタクトを示す斜視図である。
図11】特許文献1のコネクタを示す斜視図である。
図12図11のコネクタを示す正面図である。
図13図12のコネクタをA--A線に沿って示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態によるコネクタ100は、上下方向において対象物としての回路基板(図示せず)上に搭載されると共に、上下方向と直交する前後方向に沿って相手側コネクタ(図示せず)と嵌合可能なものである。本実施の形態において、上下方向は、Z方向である。+Z側は上側であり、−Z側は下側である。また、前後方向は、X方向である。−X側は前側であり、+X側は後側である。図示しない相手側コネクタは、複数の第1相手側コンタクトと複数の第2相手側コンタクトの二群のコンタクトを備えている。
【0020】
本実施の形態のコネクタ100は、絶縁体からなる保持部材200と、金属製の一群の第1コンタクト300と、金属製の一群の第2コンタクト400と、金属製のシェル500とを備えている。概略、保持部材200は、第1コンタクト300及び第2コンタクト400を保持しており、シェル500に囲われている。一群の第1コンタクト300は、一枚の金属板をプレスして得られるものである。同様に、一群の第2コンタクト400は、一枚の金属板をプレスして得られるものである。以下においては、第1コンタクト300の母材である金属板と第2コンタクト400の母材である金属板とを区別するため、前者を第1金属板といい、後者を第2金属板という。本実施の形態の第1金属板と第2金属板とは互いに同じ材質のものである。
【0021】
図3及び図7に示されるように、保持部材200は、ブロック部210と、上側板状部220と、下側板状部230とを有している。上側板状部220及び下側板状部230は、夫々、ブロック部210から前方に延びている。上側板状部220は、上下方向において、下側板状部230から離れて且つ下側板状部230の上方に位置している。
【0022】
図9に示されるように、本実施の形態の第1コンタクト300は、4本あり、互いに同一の形状を有している。第1コンタクト300は、前後方向及び上下方向の双方と直交するピッチ方向において等間隔に並んでいる。本実施の形態の第1コンタクト300は、ピッチ方向において、グランド(G)、信号(S)、信号(S)、グランド(G)の順に並んでいる。即ち、第1コンタクト300には、一対の差動対を構成するコンタクトが含まれており、ピッチ方向において、差動対を挟むようにしてグランドが配置されている。差動対を構成する2本の第1コンタクト300は、互いに同一形状を有していることから、スキューの発生を抑制することができる。
【0023】
本実施の形態において、ピッチ方向は、Y方向である。また、以下においては、Y方向のうち、−Y側を第1方位といい、+Y側を第2方位という。即ち、ピッチ方向において、第1方位と第2方位とは互いに逆の方位である。
【0024】
図9から理解されるように、第1コンタクト300の夫々は、第1相手側コンタクト(図示せず)と接触する第1接触部310と、回路基板(図示せず)に固定される第1固定部330と、第1接触部310と第1固定部330とを連結する第1連結部340とを有している。
【0025】
第1接触部310には、第1接点部312と、第1バネ部314と、第1圧入部316と、第1圧入肩部318とが設けられている。第1バネ部314は、弾性変形可能なものであり、第1接点部312を支持している。そのため、第1接点部312は上下方向に移動することができる。第1圧入部316は、第1バネ部314の後方に位置している。図8及び図9から理解されるように、第1接触部310が保持部材200に圧入され、第1圧入部316が保持部材200内に食い込むことにより、第1接触部310は保持部材200に保持されている。図9に示されるように、第1圧入肩部318は、第1接触部310の後端320と、第1圧入部316との間に位置している。第1圧入肩部318は、第1接触部310を保持部材200に圧入する際に、治具を用いて前方に向けて押し込む部位である。本実施の形態の第1圧入肩部318は、第1方位のみに向かって突出している。即ち、1つの第1コンタクト300には、1つのみの第1圧入肩部318が設けられている。そのため、2つの圧入肩部がピッチ方向の双方に夫々突出する構造と比較して狭いピッチに対応することができる。しかし、本発明はこれに限定されるわけではなく、要求されるピッチによっては、2つの圧入肩部がピッチ方向の双方に夫々突出する構造を採用してもよい。第1接触部310の後端320は、ピッチ方向と直交する方向に延びている。
【0026】
図3図7及び図9から理解されるように、一群の第1コンタクト300の第1接触部310は、ピッチ方向において一列に並んでいる。詳しくは、第1接点部312は、上側板状部220から下方に突出している。即ち、第1接点部312は、下側板状部230に向かって突出している。
【0027】
図9に示されるように、第1固定部330は、第1垂直部332と、第1SMT(Surface mount technology)部334とを有している。第1垂直部332は、前後方向と直交する面内において上下方向に延びている。第1SMT部334は、回路基板(図示せず)に半田付けされ固定される部位であり、第1垂直部332の下端から後方に延びている。このため、本実施の形態の第1固定部330は、ピッチ方向と直交する平面内においてL字状の形状を有している。第1固定部330は、第1SMT部334に代えてスルーホール実装に適した部位を有していてもよい。
【0028】
図6図8及び図9から理解されるように、一群の第1コンタクト300の第1固定部330は、ピッチ方向において一列に並んでいる。図7及び図8から理解されるように、第1固定部330の列は、前後方向において第1接触部310の列の後方に位置していると共に上下方向において第1接触部310の列の下方に位置している。図6から理解されるように、第1固定部330の列の位置と第1接触部310の列の位置とはピッチ方向において互いにズレていると共に部分的に重なっている。より具体的には、本実施の形態の第1固定部330は、第1接触部310から第2方位側にズレている。即ち、第1固定部330は、第1接触部310から見て、第1圧入肩部318の突出している第1方位の反対側である第2方位側にズレている。
【0029】
図7乃至図9から理解されるように、第1連結部340は、前後方向と上下方向の双方と交差している。具体的には、本実施の形態の第1連結部340は、前後方向と上下方向の双方と斜交する平面(第1斜交平面)内に延びている。図9に示されるように、各第1連結部340の前端342は、第1接触部310の後端320からピッチ方向と直交する方向に延びている。即ち、第1接触部310の後端320から第1連結部340の前端342までの部分は、ピッチ方向と直交する方向に延びている。このため、図6に示されるように、第1圧入肩部318を前方に向かって押すための治具を挿入するための十分なスペースを確保することができる。
【0030】
図6図8及び図9から理解されるように、各第1連結部340は、前端342に加えて、第1斜交部344と第1ストレート部346とを有している。第1斜交部344は、第1斜交平面内において、前端342から第2方位側に向かって且つ後斜め下側に向かって延びている。第1ストレート部346は、第1斜交平面内において、ピッチ方向と直交する方向に延びている。上述した第1固定部330の第1垂直部332は、第1ストレート部346から、上下方向に沿って下方に延びている。第1垂直部332と第1ストレート部346との境界部分の曲げ加工は、上述した第1金属板をプレスする工程とは別に行われる。具体的には、第1接触部310を保持部材200に圧入した後に、第1垂直部332と第1ストレート部346との境界部分を曲げる。第1ストレート部346は、この曲げ加工の際に工具で挟むために必要とされる部位である。第1接触部310の保持部材200への圧入後に第1垂直部332と第1ストレート部346との境界部分を曲げることにより、第1固定部330の位置の調整を図ることができる。
【0031】
上述したように、一群の第1コンタクト300は、一枚の第1金属板をプレスして得られるものであり、プレスした状態の第1コンタクト300同士の相対位置関係を保ちつつ保持部材200に保持されることから、第1連結部340の間の最短距離は、第1金属板の板厚以上となっている。即ち、ピッチ方向において、隣接する第1ストレート部346間の距離は、第1金属板の板厚以上であり、また、第1斜交部344の延びる方向と直交する方向において、隣接する第1斜交部344の間の距離は、第1金属板の板厚以上である。
【0032】
図10に示されるように、本実施の形態の第2コンタクト400は、4本あり、互いに同一の形状を有している。第2コンタクト400は、ピッチ方向において等間隔に並んでいる。本実施の形態の第2コンタクト400は、ピッチ方向において、グランド(G)、信号(S)、信号(S)、グランド(G)の順に並んでいる。即ち、第2コンタクト400には、一対の差動対を構成するコンタクトが含まれており、ピッチ方向において、差動対を挟むようにしてグランドが配置されている。差動対を構成する2本の第2コンタクト400は、互いに同一形状を有していることから、スキューの発生を抑制することができる。
【0033】
図10から理解されるように、第2コンタクト400の夫々は、第2相手側コンタクト(図示せず)と接触する第2接触部410と、回路基板(図示せず)に固定される第2固定部430と、第2接触部410と第2固定部430とを連結する第2連結部440とを有している。
【0034】
第2接触部410には、第2接点部412と、第2バネ部414と、第2圧入部416と、第2圧入肩部418とが設けられている。第2バネ部414は、弾性変形可能なものであり、第2接点部412を支持している。そのため、第2接点部412は上下方向に移動することができる。第2圧入部416は、第2バネ部414の後方に位置している。図8及び図10から理解されるように、第2接触部410が保持部材200に圧入され、第2圧入部416が保持部材200内に食い込むことにより、第2接触部410は保持部材200に保持されている。図10に示されるように、第2圧入肩部418は、第2接触部410の後端420と、第2圧入部416との間に位置している。第2圧入肩部418は、第2接触部410を保持部材200に圧入する際に、治具を用いて前方に向けて押し込む部位である。本実施の形態の第2圧入肩部418は、第2方位のみに向かって突出している。即ち、1つの第2コンタクト400には、1つのみの第2圧入肩部418が設けられている。そのため、2つの圧入肩部がピッチ方向の双方に夫々突出する構造と比較して狭いピッチに対応することができる。しかし、本発明はこれに限定されるわけではなく、要求されるピッチによっては、2つの圧入肩部がピッチ方向の双方に夫々突出する構造を採用してもよい。第2接触部410の後端420は、ピッチ方向と直交する方向に延びている。
【0035】
図3図7及び図10から理解されるように、一群の第2コンタクト400の第2接触部410は、ピッチ方向において一列に並んでいる。第2接触部410の列は、上下方向において、第1接触部310の列の下方に位置している。詳しくは、第2接点部412は、下側板状部230から上方に突出している。即ち、第2接点部412は、上側板状部220に向かって突出している。特に、本実施の形態においては、第1接触部310の列と第2接触部410の列とは、ピッチ方向において、ズレて位置している。
【0036】
図10に示されるように、第2固定部430は、第2垂直部432と、第2SMT部434とを有している。第2垂直部432は、前後方向と直交する面内において上下方向に延びている。第2SMT部434は、回路基板(図示せず)に半田付けされ固定される部位であり、第2垂直部432の下端から後方に延びている。このため、本実施の形態の第2固定部430は、ピッチ方向と直交する平面内においてL字状の形状を有している。第2固定部430は、第2SMT部434に代えてスルーホール実装に適した部位を有していてもよい。
【0037】
図6図8及び図10から理解されるように、一群の第2コンタクト400の第2固定部430は、ピッチ方向において一列に並んでいる。図6及び図8に示されるように、第1固定部330の列と第2固定部430の列とは、ピッチ方向において並んでいると共に、コネクタ100を前後方向に沿って見た場合に互いに重なっていない。換言すると、第1固定部330の列と第2固定部430の列とは、一つの列を構成している。図7及び図8から理解されるように、第2固定部430の列は、前後方向において第2接触部410の列の後方に位置していると共に上下方向において第2接触部410の列の下方に位置している。図6から理解されるように、第2固定部430の列の位置と第2接触部410の列の位置とはピッチ方向において互いにズレていると共に部分的に重なっている。より具体的には、本実施の形態の第2固定部430は、第2接触部410から第1方位側にズレている。即ち、第2固定部430は、第2接触部410から見て、第2圧入肩部418の突出している第2方位の反対側である第1方位側にズレている。
【0038】
図7図8及び図10から理解されるように、第2連結部440は、前後方向と上下方向の双方と交差している。具体的には、本実施の形態の第2連結部440は、前後方向と上下方向の双方と斜交する平面(第2斜交平面)内に延びている。図10に示されるように、各第2連結部440の前端442は、第2接触部410の後端420からピッチ方向と直交する方向に延びている。即ち、第2接触部410の後端420から第2連結部440の前端442までの部分は、ピッチ方向と直交する方向に延びている。このため、図6に示されるように、第2圧入肩部418を前方に向かって押すための治具を挿入するための十分なスペースを確保することができる。
【0039】
図6図8及び図10から理解されるように、各第2連結部440は、前端442に加えて、第2斜交部444と第2ストレート部446とを有している。第2斜交部444は、第2斜交平面内において、前端442から第1方位側に向かって且つ後斜め下側に向かって延びている。第2ストレート部446は、第2斜交平面内において、ピッチ方向と直交する方向に延びている。第2ストレート部446が設けられていることから、第1コンタクト300と第2コンタクト400とをショートさせることなく、ピッチ方向において最も内側に位置する第2固定部430及び第1固定部330の間の距離を短くすることができる。上述した第2固定部430の第2垂直部432は、第2ストレート部446から、上下方向に沿って下方に延びている。第2垂直部432と第2ストレート部446との境界部分の曲げ加工は、上述した第2金属板をプレスする工程とは別に行われる。具体的には、第2接触部410を保持部材200に圧入した後に、第2垂直部432と第2ストレート部446との境界部分を曲げる。第2ストレート部446は、この曲げ加工の際に工具で挟むためにも利用される。第2接触部410の保持部材200への圧入後に第2垂直部432と第2ストレート部446との境界部分を曲げることにより、第2固定部430の位置の調整を図ることができる。
【0040】
上述したように、一群の第2コンタクト400は、一枚の第2金属板をプレスして得られるものであり、プレスした状態の第2コンタクト400同士の相対位置関係を保ちつつ保持部材200に保持されることから、第2連結部440の間の最短距離は、第2金属板の板厚以上となっている。即ち、ピッチ方向において、隣接する第2ストレート部446間の距離は、第2金属板の板厚以上であり、また、第2斜交部444の延びる方向と直交する方向において、隣接する第2斜交部444の間の距離は、第2金属板の板厚以上である。
【0041】
本実施の形態のコネクタ100を前後方向に沿って見た場合に、一群の第1コンタクト300の第1連結部340と一群の第2コンタクト400の第2連結部440とは部分的に重なっている。しかし、第2連結部440が前後方向と上下方向の双方と交差していることから、第1固定部330と第2固定部430との間の距離を大きくせずとも、第1コンタクト300と第2コンタクト400とが接触してしまうことを避けることができる。
【0042】
以上、本発明について、実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、様々な変形が可能である。
【0043】
例えば、上述した実施の形態において、第2連結部440は、前後方向と上下方向の双方と交差している限り、第2斜交平面内に延びていなくてもよい。しかしながら、第2コンタクト400を通る信号の伝送経路長をできるだけ短くするため、第2連結部440は、第2斜交平面内に延びていることが望ましい。
【0044】
上述した実施の形態において、第1連結部340は、前後方向と上下方向の双方と交差してたが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、第1連結部340は、前後方向と直交する平面内に延びていてもよい。但し、伝送経路長をできるだけ短くするためには、第1連結部340は、前後方向と上下方向の双方と交差していることが望ましく、第1斜交平面内に延びていることが更に望ましい。
【0045】
上述した実施の形態において、第1接触部310の列と第2接触部410の列とは、ピッチ方向において、ズレて位置していたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば、第1接触部310の列と第2接触部410の列とをピッチ方向においてズレなく重複するように配置してもよい。但し、第1接触部310の列と第2接触部410の列とがピッチ方向においてズレて位置していると、第1斜交部344と第1ストレート部346とのなす角度を緩やかにして第1コンタクト300間の距離を適切に確保することができると共に、第2斜交部444と第2ストレート部446とのなす角度を緩やかにして第2コンタクト400間の距離を適切に確保することができる。
【符号の説明】
【0046】
100 コネクタ
200 保持部材
210 ブロック部
220 上側板状部
230 下側板状部
300 第1コンタクト
310 第1接触部
312 第1接点部
314 第1バネ部
316 第1圧入部
318 第1圧入肩部
320 後端
330 第1固定部
332 第1垂直部
334 第1SMT部
340 第1連結部
342 前端
344 第1斜交部
346 第1ストレート部
400 第2コンタクト
410 第2接触部
412 第2接点部
414 第2バネ部
416 第2圧入部
418 第2圧入肩部
420 後端
430 第2固定部
432 第2垂直部
434 第2SMT部
440 第2連結部
442 前端
444 第2斜交部
446 第2ストレート部
500 シェル
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