(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452544
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】直結式油圧エレベータの改修方法および非油圧エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20190107BHJP
B66B 9/02 20060101ALI20190107BHJP
B66B 11/04 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
B66B7/00 K
B66B9/02 B
B66B11/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-101776(P2015-101776)
(22)【出願日】2015年5月19日
(65)【公開番号】特開2016-216176(P2016-216176A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100090011
【弁理士】
【氏名又は名称】茂泉 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(72)【発明者】
【氏名】田村 健四郎
【審査官】
八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−129042(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/168992(WO,A1)
【文献】
特開平09−077481(JP,A)
【文献】
特開平09−202594(JP,A)
【文献】
特開平07−285790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00− 7/12
B66B 9/00− 9/193
B66B 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直結式油圧エレベータを非油圧エレベータに改修する直結式油圧エレベータの改修方法であって、
昇降路よりも下方に設けられた地中管からシリンダを取り外すシリンダ取外工程と、
前記シリンダ取外工程の後、ねじ棒の上端部をかごに連結し、前記ねじ棒の下端部を前記地中管に挿入するねじ棒取付工程と、
前記シリンダ取外工程の後、前記ねじ棒を上下方向に案内する案内装置を前記地中管に設置する案内装置設置工程と、
前記ねじ棒を前記地中管に対して上下方向に移動させる駆動装置を前記昇降路に設置する駆動装置設置工程と
を備えたことを特徴とする直結式油圧エレベータの改修方法。
【請求項2】
前記ねじ棒取付工程では、前記ねじ棒を構成する複数のねじ棒片が分割された状態で前記昇降路に搬入し、分割された前記ねじ棒片を長手方向に連結しながら、前記ねじ棒片を前記地中管に挿入することを特徴とする請求項1に記載の直結式油圧エレベータの改修方法。
【請求項3】
前記駆動装置は、前記ねじ棒に設けられ、回転することによって前記ねじ棒を上下方向に移動させる雌ねじスプロケットと、前記雌ねじスプロケットを上方から覆い、前記雌ねじスプロケットが上方に移動することを規制する覆い部とを有している請求項1または請求項2に記載の直結式油圧エレベータの改修方法。
【請求項4】
昇降路よりも下方に設けられ上下方向に延びた地中管に下端部が挿入され、上端部にかごが連結され、前記地中管に対して上下方向に移動可能なねじ棒と、
前記ねじ棒を前記地中管に対して上下方向に移動させる駆動装置と、
前記地中管に設けられ、前記ねじ棒を上下方向に案内する案内装置と
を備えたことを特徴とする非油圧エレベータ。
【請求項5】
前記駆動装置は、前記ねじ棒に設けられ、回転することによって前記ねじ棒を上下方向に移動させる雌ねじスプロケットと、前記雌ねじスプロケットを上方から覆い、前記雌ねじスプロケットが上方へ移動することを規制する覆い部とを有している請求項4に記載の非油圧エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直結式油圧エレベータを非油圧エレベータに改修する直結式油圧エレベータの改修方法および直結式油圧エレベータから改修される非油圧エレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直結式油圧エレベータをロープ式エレベータに改修する直結式油圧エレベータの改修方法であって、昇降路よりも下方に設けられた地中管からシリンダを取り除くシリンダ取外工程と、シリンダ取外工程の後、地中管につり合い重りを挿入するつり合い重り配置工程と、ロープの一端部をかごの上部に接続し、ロープの中間部をかごの側方を通して、ロープの下端部をつり合い重りに接続するロープ接続工程とを備えた直結式油圧エレベータの改修方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−105805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロープがかごの側方を通るので、かごと昇降路との間の隙間の寸法を大きくしなければならず、かごのサイズを小さくしなければならないという問題点があった。
【0005】
この発明は、かごのサイズを小さくすることなく直結式油圧エレベータを非油圧エレベータに改修することができる直結式油圧エレベータの改修方法および非油圧エレベータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る直結式油圧エレベータの改修方法は、直結式油圧エレベータを非油圧エレベータに改修する直結式油圧エレベータの改修方法であって、昇降路よりも下方に設けられた地中管からシリンダを取り外すシリンダ取外工程と、シリンダ取外工程の後、ねじ棒の上端部をかごに連結し、ねじ棒の下端部を地中管に挿入するねじ棒取付工程と、
シリンダ取外工程の後、ねじ棒を上下方向に案内する案内装置を地中管に設置する案内装置設置工程と、ねじ棒を地中管に対して上下方向に移動させる駆動装置を昇降路に設置する駆動装置設置工程とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る直結式油圧エレベータの改修方法によれば、上端部がかごに連結され下端部が地中管に挿入されたねじ棒を地中管に対して上下方向に移動させることによってかごを昇降させることができるので、かごのサイズを小さくすることなく直結式油圧エレベータを非油圧エレベータに改修することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るねじ式エレベータを示す側面図である。
【
図2】
図1の地中管およびねじ棒を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るねじ式エレベータを示す側面図である。非油圧エレベータであるねじ式エレベータは、昇降路100よりも下方に設けられ上下方向に延びた地中管1と、地中管1に下端部が挿入され地中管1に対して上下方向に移動可能なねじ棒2と、ねじ棒2の上端部に連結されたかご3と、昇降路100のピット101に設けられ、ねじ棒2を地中管1に対して上下方向に移動させる駆動装置4と、ピット101に設けられた緩衝器5とを備えている。
【0010】
地中管1は、昇降路100に対して固定されている。地中管1は、有底円筒形状に形成されている。地中管1の底面には、径方向外側から径方向内側に向かうにつれて下方に向かう凹部11が形成されている。
【0011】
ねじ棒2は、円柱形状に形成されている。ねじ棒2の外周面には、ねじ溝が形成されている。ねじ棒2の上端部は、かご3に接続されている。ねじ棒2は、複数のねじ棒片に分割可能となっている。ねじ棒2が昇降路100に搬入される場合には、ねじ棒2は、複数のねじ棒片に分割される。
【0012】
かご3は、昇降路100に立てられた一対のかごガイドレール(図示せず)に案内されて昇降する。かご3は、かごガイドレールに案内されて昇降路100を昇降する。
【0013】
図2は
図1の地中管1およびねじ棒2を示す断面図である。ねじ式エレベータは、地中管1に設けられねじ棒2を上下方向に案内する複数の案内装置6をさらに備えている。それぞれの案内装置6は、O形状に形成されている。案内装置6は、地中管1の内周面に固定される。案内装置6は、案内装置6の軸線がねじ棒2の軸線に重なるように、地中管1に配置される。
【0014】
ねじ棒2は、ねじ棒2の下端部が凹部11に当たることによって、ねじ棒2の軸線が地中管1の軸線に重なるように配置される。
【0015】
図1に示すように、駆動装置4は、円板形状に形成された雌ねじスプロケット41と、雌ねじスプロケット41を回転させるための動力を発生させる薄型巻上機42と、雌ねじスプロケット41と薄型巻上機42とに渡って設けられ、薄型巻上機42の動力を雌ねじスプロケット41に伝達するチェーン43と、薄型巻上機42を支持する機械台44とを有している。雌ねじスプロケット41、薄型巻上機42およびチェーン43は、安全カバー(図示せず)によって上方から覆われている。薄型巻上機42の駆動を制御する制御盤は、昇降路100または機械室(図示せず)に設置されている。
【0016】
雌ねじスプロケット41の中心部には、ねじ棒2が挿入される貫通孔が形成されている。ねじ棒2の貫通孔の内周面には、ねじ棒2のねじ溝と係合する雌ねじが形成されている。したがって、雌ねじスプロケット41が回転することによって、ねじ棒2が雌ねじスプロケット41に対して上下方向に移動する。ねじ棒2が雌ねじスプロケット41に対して上下方向に移動することによって、ねじ棒2は、地中管1に対して上下方向に移動する。雌ねじスプロケット41が回転する場合に、ねじ棒2はかご3に対して固定されているので、ねじ棒2は回転しない。
【0017】
薄型巻上機42は、チェーン43と係合するスプロケットを有している。チェーン43は、雌ねじスプロケット41の外周面と薄型巻上機42のスプロケットの外周面に渡って掛けられている。したがって、薄型巻上機42が駆動することによって、薄型巻上機42のスプロケットが回転して、雌ねじスプロケット41が回転する。
【0018】
図3は
図1の駆動装置4を示す正面図である。駆動装置4は、薄型巻上機42を支持する支持部45と、雌ねじスプロケット41を上方から覆う覆い部46とをさらに有している。支持部45は、雌ねじスプロケット41が回転可能となるように雌ねじスプロケット41を支持する。雌ねじスプロケット41は、覆い部46によって、上方への移動が規制される。
【0019】
図4は直結式油圧エレベータを示す側面図である。直結式油圧エレベータは、昇降路100よりも下方に設けられ上下方向に延びた地中管1と、地中管1に挿入されたシリンダ(図示せず)と、シリンダに下端部が挿入され、上下方向に移動可能なピストン7と、ピストン7の上端部に連結されたかご3とを備えている。油タンク(図示せず)からシリンダに油が送られることによって、ピストン7がシリンダに対して上昇し、シリンダから油タンクに油が送られることによって、ピストン7がシリンダに対して下降する。シリンダがピストン7に対して昇降することに連動して、かご3が昇降路100を昇降する。
【0020】
次に、直結式油圧エレベータをねじ式エレベータに改修する方法(直結式油圧エレベータの改修方法)について説明する。この例では、既設のかご3および既設のかごガイドレールを流用する場合について説明する。まず、地中管1からシリンダを取り外す(シリンダ取外工程)。シリンダ取外工程では、シリンダに挿入されているピストン7も取り外す。
【0021】
シリンダ取外工程の後、ねじ棒2の上端部をかご3に連結し、ねじ棒2の下端部を地中管1に挿入する(ねじ棒取付工程)。ねじ棒取付工程では、ねじ棒2を構成する複数のねじ棒片が分割された状態で昇降路100に搬入し、分割されたねじ棒片を長手方向に連結しながら、ねじ棒片を地中管1に挿入する。
【0022】
シリンダ取外工程の後、案内装置6を地中管1に設置する(案内装置設置工程)。その後、駆動装置4を昇降路100に設置する(駆動装置設置工程)。以上により、直結式油圧エレベータの改修方法が終了する。
【0023】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る直結式油圧エレベータの改修方法によれば、昇降路100よりも下方に設けられた地中管1からシリンダを取り外すシリンダ取外工程と、シリンダ取外工程の後、ねじ棒2の上端部をかご3に連結し、ねじ棒2の下端部を地中管1に挿入するねじ棒取付工程と、ねじ棒2を地中管1に対して上下方向に移動させる駆動装置4を昇降路100に設置する駆動装置設置工程とを備えているので、上端部がかご3に連結され下端部が地中管1に挿入されたねじ棒2を昇降させることによってかご3を昇降させることができる。これにより、かご3のサイズを小さくすることなく直結式油圧エレベータを非油圧エレベータに改修することができる。
【0024】
また、この直結式油圧エレベータの改修方法は、シリンダ取外工程の後、ねじ棒2を上下方向に案内する案内装置6を地中管1に設置する案内装置設置工程を備えているので、ねじ棒2が上下方向に移動する場合に、ねじ棒2の軸ブレの発生を抑制することができる。
【0025】
また、ねじ棒取付工程では、ねじ棒2を構成する複数のねじ棒片が分割された状態で昇降路に搬入し、分割されたねじ棒片を長手方向に連結しながら、ねじ棒片を地中管1に挿入するので、ねじ棒2を容易に昇降路100に搬入することができる。その結果、直結式油圧エレベータの改修において作業効率を向上させることができる。
【0026】
また、この発明の実施の形態1に係る非油圧エレベータによれば、昇降路100よりも下方に設けられ上下方向に延びた地中管1に下端部が挿入され、上端部にかご3が連結され、地中管1に対して上下方向に移動可能なねじ棒2と、ねじ棒2を地中管1に対して上下方向に移動させる駆動装置4とを備えているので、かご3のサイズを小さくすることなく、直結式油圧エレベータを非油圧エレベータに改修することができる。
【0027】
なお、上記実施の形態1では、駆動装置4をピット101に配置する直結式油圧エレベータの改修方法について説明したが、駆動装置4をかご3に配置してもよい。
【0028】
また、上記実施の形態1では、薄型巻上機42を有する駆動装置4の構成について説明したが、薄型ではない巻上機を有する駆動装置4であってもよい。
【0029】
また、上記実施の形態1では、チェーン43を有する駆動装置4の構成について説明したが、薄型巻上機42の動力を雌ねじスプロケット41に伝達するベルトであってもよい。
【0030】
また、上記実施の形態1では、既設のかご3および既設のかごガイドレールを流用する直結式油圧エレベータの改修方法について説明したが、既設のかご3および既設のかごガイドレールを昇降路100から搬出し、新規のかご3および新規のかごガイドレールを昇降路100に搬入してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 地中管、2 ねじ棒、3 かご、4 駆動装置、5 緩衝器、6 案内装置、7 ピストン、11 凹部、41 雌ねじスプロケット、42 薄型巻上機、43 チェーン、44 機械台、45 支持部、46 覆い部、100 昇降路、101 ピット。