(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452556
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】薄型コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/631 20060101AFI20190107BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20190107BHJP
H01R 12/71 20110101ALN20190107BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R13/639 Z
!H01R12/71
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-115744(P2015-115744)
(22)【出願日】2015年6月8日
(65)【公開番号】特開2017-4686(P2017-4686A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】古本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】建部 祐
【審査官】
山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0162475(US,A1)
【文献】
特開2011−243425(JP,A)
【文献】
特開2012−084361(JP,A)
【文献】
特開2013−152841(JP,A)
【文献】
特開2012−099447(JP,A)
【文献】
特開2013−251093(JP,A)
【文献】
特開2013−069460(JP,A)
【文献】
特開2014−191952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
H01R 13/631
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の第1コネクタと平板状の第2コネクタとを互いに嵌合方向にスライドして嵌合させる薄型コネクタであって、
前記第1コネクタは、第1絶縁層の上に互いに中間絶縁層を介して積層されたメッキ層からなる複数の第1導電層を有し、
それぞれの前記第1導電層は、前記嵌合方向に交差する配列方向に配列された複数のバネ接点を含むバネ接点列を有し、
前記複数の第1導電層のうち前記第1絶縁層に近い第1導電層の前記バネ接点列ほど前記嵌合方向の前方に、前記第1絶縁層から遠い第1導電層の前記バネ接点列ほど前記嵌合方向の後方に配置され、
それぞれの前記バネ接点列の前記複数のバネ接点は、前記配列方向に変位可能なバネ性を有すると共に同一の第1接続対象物上に接続される実装部を有し、
前記第2コネクタは、第2絶縁層の上に配置されたメッキ層からなる1つの第2導電層を有し、
前記第2導電層は、それぞれ前記配列方向に配列された複数の突起を含み且つ前記嵌合方向に位置をずらして配置された複数の突起列を有し、
前記複数の突起列のうち前記嵌合方向の前方に位置する突起列の前記複数の突起ほど低く、前記嵌合方向の後方に位置する突起列の前記複数の突起ほど高い高さを有し、
それぞれの前記突起列の前記複数の突起は、同一の第2接続対象物上に接続される実装部を有し、
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層が互いに外方を向くように前記第1コネクタと前記第2コネクタを位置させて嵌合したときに、前記第1コネクタのそれぞれの前記バネ接点列の前記複数のバネ接点が前記第2コネクタの対応する前記突起列の前記複数の突起に接続されることを特徴とする薄型コネクタ。
【請求項2】
前記第1コネクタの前記複数の第1導電層は、前記第1絶縁層の上に配置された第1金属層と、前記第1金属層の上に前記中間絶縁層を介して配置された第2金属層を含み、
前記第1金属層は前記配列方向に配列された複数の第1バネ接点を含む第1バネ接点列を有し、前記第2金属層は前記第1金属層の前記第1バネ接点列よりも前記嵌合方向の後方に配置され且つ前記配列方向に配列された複数の第2バネ接点を含む第2バネ接点列を有し、
前記第2コネクタの前記第2導電層は、前記配列方向に配列された複数の第1突起を含む第1突起列と、前記第1突起列よりも前記嵌合方向の前方に配置され且つ前記第1突起より低い複数の第2突起が前記配列方向に配列された第2突起列を有し、
前記第1コネクタと前記第2コネクタの嵌合時に、前記第1コネクタの前記複数の第1バネ接点が前記第2コネクタの前記複数の第1突起に接続され、前記第1コネクタの前記複数の第2バネ接点が前記第2コネクタの前記複数の第2突起に接続される請求項1に記載の薄型コネクタ。
【請求項3】
前記第1コネクタと前記第2コネクタの嵌合時に、前記第1バネ接点は、対応する前記第1突起を両側から挟み込み、前記第2バネ接点は、対応する前記第2突起を両側から挟み込む請求項2に記載の薄型コネクタ。
【請求項4】
前記第1コネクタは、前記複数の第1バネ接点の間および前記複数の第2バネ接点の間に前記嵌合方向に沿って配置された複数のバネ接点保護部を有する請求項2または3に記載の薄型コネクタ。
【請求項5】
前記第1コネクタおよび前記第2コネクタの一方は、前記配列方向の両端部にそれぞれ形成され且つ前記嵌合方向の前方に向かって開口する一対の位置合わせ用凹部を有し、
前記第1コネクタおよび前記第2コネクタの他方は、前記配列方向の両端部にそれぞれ形成され且つ前記嵌合方向の前方に向かって突出する一対の位置合わせ用凸部を有し、
前記第1コネクタと前記第2コネクタの嵌合時に、前記一対の位置合わせ用凸部が前記一対の位置合わせ用凹部に嵌り込む請求項1〜4のいずれか一項に記載の薄型コネクタ。
【請求項6】
前記一対の位置合わせ用凹部および前記一対の位置合わせ用凸部の一方は、前記第1絶縁層または前記第2絶縁層に平行に張り出す張り出し部を有し、
前記一対の位置合わせ用凹部および前記一対の位置合わせ用凸部の他方は、前記第1コネクタと前記第2コネクタの嵌合時に、前記張り出し部と前記第1絶縁層または前記第2絶縁層の間に入り込む請求項5に記載の薄型コネクタ。
【請求項7】
前記一対の位置合わせ用凹部および前記一対の位置合わせ用凸部の一方は、前記配列方向に変位可能なロック部を有し、
前記一対の位置合わせ用凹部および前記一対の位置合わせ用凸部の他方は、前記第1コネクタと前記第2コネクタの嵌合時に、前記ロック部が嵌り込むロック受け部を有する請求項5または6に記載の薄型コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薄型コネクタに係り、特に、平板状の第1コネクタと平板状の第2コネクタとを互いに嵌合方向にスライドして嵌合させる薄型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタとして、例えば、特許文献1には、
図17に示されるように、多層基板1に平板状ケーブル2の接続部3を接続するコネクタが開示されている。
図18に示されるように、多層基板1は、一列に配列された複数の柱状端子4を有し、平板状ケーブル2の接続部3は、一列に配列された複数の平板状端子5を有している。
平板状ケーブル2の接続部3を多層基板1の挿入口1Aから多層基板1の内部に挿入すると、平板状ケーブル2の接続部3に配置された複数の平板状端子5が、多層基板1の複数の柱状端子4にそれぞれ接触し、多層基板1と平板状ケーブル2とが接続状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−191952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、柱状端子4の配列方向における多層基板1の幅寸法を維持したまま、接点数を増加するためには、
図19に示されるように、層数を増やした多層基板6に複数の平板状ケーブル2を接続しなければならず、操作性が低下するという問題があった。
【0005】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、1つの第1コネクタと1つの第2コネクタの嵌合のみでありながら、第1コネクタおよび第2コネクタの嵌合方向に直交する幅寸法を増大させることなく、接点数の増加を図ることが可能な薄型コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る薄型コネクタは、平板状の第1コネクタと平板状の第2コネクタとを互いに嵌合方向にスライドして嵌合させる薄型コネクタであって、第1コネクタは、第1絶縁層の上に互いに中間絶縁層を介して積層された
メッキ層からなる複数の第1導電層を有し、それぞれの第1導電層は、嵌合方向に交差する配列方向に配列された複数のバネ接点を含むバネ接点列を有し、複数の第1導電層のうち第1絶縁層に近い第1導電層のバネ接点列ほど嵌合方向の前方に、第1絶縁層から遠い第1導電層のバネ接点列ほど嵌合方向の後方に配置され、それぞれのバネ接点列の複数のバネ接点は、配列方向に変位可能なバネ性を有すると共に同一の第1接続対象物上に接続される実装部を有し、第2コネクタは、第2絶縁層の上に配置された
メッキ層からなる1つの第2導電層を有し、第2導電層は、それぞれ配列方向に配列された複数の突起を含み且つ嵌合方向に位置をずらして配置された複数の突起列を有し、複数の突起列のうち嵌合方向の前方に位置する突起列の複数の突起ほど低く、嵌合方向の後方に位置する突起列の複数の突起ほど高い高さを有し、それぞれの突起列の複数の突起は、同一の第2接続対象物上に接続される実装部を有し、第1絶縁層と第2絶縁層が互いに外方を向くように第1コネクタと第2コネクタを位置させて嵌合したときに、第1コネクタのそれぞれのバネ接点列の複数のバネ接点が第2コネクタの対応する突起列の複数の突起に接続されるものである。
【0007】
第1コネクタの複数の第1導電層は、第1絶縁層の上に配置された第1金属層と、第1金属層の上に中間絶縁層を介して配置された第2金属層を含み、第1金属層は配列方向に配列された複数の第1バネ接点を含む第1バネ接点列を有し、第2金属層は第1金属層の第1バネ接点列よりも嵌合方向の後方に配置され且つ配列方向に配列された複数の第2バネ接点を含む第2バネ接点列を有し、第2コネクタの第2導電層は、配列方向に配列された複数の第1突起を含む第1突起列と、第1突起列よりも嵌合方向の前方に配置され且つ第1突起より低い複数の第2突起が配列方向に配列された第2突起列を有し、第1コネクタと第2コネクタの嵌合時に、第1コネクタの複数の第1バネ接点が第2コネクタの複数の第1突起に接続され、第1コネクタの複数の第2バネ接点が第2コネクタの複数の第2突起に接続されるように構成することができる。
【0008】
第1コネクタと第2コネクタの嵌合時に、第1バネ接点は、対応する第1突起を両側から挟み込み、第2バネ接点は、対応する第2突起を両側から挟み込むことが好ましい。
また、第1コネクタは、複数の第1バネ接点の間および複数の第2バネ接点の間に嵌合方向に沿って配置された複数のバネ接点保護部を有することが好ましい。
【0009】
第1コネクタおよび第2コネクタの一方は、配列方向の両端部にそれぞれ形成され且つ嵌合方向の前方に向かって開口する一対の位置合わせ用凹部を有し、第1コネクタおよび第2コネクタの他方は、配列方向の両端部にそれぞれ形成され且つ嵌合方向の前方に向かって突出する一対の位置合わせ用凸部を有し、第1コネクタと第2コネクタの嵌合時に、一対の位置合わせ用凸部が一対の位置合わせ用凹部に嵌り込むように構成することができる。
【0010】
さらに、一対の位置合わせ用凹部および一対の位置合わせ用凸部の一方は、第1絶縁層または第2絶縁層に平行に張り出す張り出し部を有し、一対の位置合わせ用凹部および一対の位置合わせ用凸部の他方は、第1コネクタと第2コネクタの嵌合時に、張り出し部と第1絶縁層または第2絶縁層の間に入り込むようにすることが好ましい。
また、好ましくは、一対の位置合わせ用凹部および一対の位置合わせ用凸部の一方は、配列方向に変位可能なロック部を有し、一対の位置合わせ用凹部および一対の位置合わせ用凸部の他方は、第1コネクタと第2コネクタの嵌合時に、ロック部が嵌り込むロック受け部を有している。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、第1コネクタの複数の第1導電層のうち第1絶縁層に近い第1導電層のバネ接点列ほど嵌合方向の前方に、第1絶縁層から遠い第1導電層のバネ接点列ほど嵌合方向の後方に配置され、第2コネクタの第2導電層に嵌合方向に位置をずらして配置された複数の突起列のうち嵌合方向の前方に位置する突起列の複数の突起ほど低く、嵌合方向の後方に位置する突起列の複数の突起ほど高い高さを有しているので、第1絶縁層と第2絶縁層が互いに外方を向くように第1コネクタと第2コネクタを位置させて嵌合したときに、第1コネクタのそれぞれのバネ接点列の複数のバネ接点が第2コネクタの対応する突起列の複数の突起に接続され、第1コネクタおよび第2コネクタの嵌合方向に直交する幅寸法を増大させることなく、接点数の増加を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の実施の形態に係る薄型コネクタの嵌合前のレセプタクルとプラグを示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に用いられたレセプタクルを示し、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は底面図、(D)は拡大側面図である。
【
図4】レセプタクルの第1バネ接点および第2バネ接点を示し、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は側面図、(D)は底面図である。
【
図6】実施の形態に用いられたプラグを示し、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は底面図、(D)は拡大側面図である。
【
図8】プラグの第1突起および第2突起を示す側面図である。
【
図10】嵌合前のレセプタクルの第1バネ接点および第2バネ接点とプラグの第1突起および第2突起を示す斜視図である。
【
図11】嵌合前のレセプタクルの第1バネ接点および第2バネ接点とプラグの第1突起および第2突起を示す平面図である。
【
図12】嵌合状態のレセプタクルとプラグを示す斜視図である。
【
図14】嵌合時のレセプタクルの第1バネ接点および第2バネ接点とプラグの第1突起および第2突起を示す斜視図である。
【
図15】嵌合時のレセプタクルの第1バネ接点および第2バネ接点とプラグの第1突起および第2突起を示す平面図である。
【
図16】嵌合時のレセプタクルの第1バネ接点および第2バネ接点とプラグの第1突起および第2突起を示す側面断面図である。
【
図17】従来のコネクタが適用された多層基板と平板状ケーブルを示す斜視図である。
【
図18】従来のコネクタに用いられた柱状端子と平板状端子を示す斜視図である。
【
図19】従来のコネクタが適用された多層基板と複数の平板状ケーブルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、この発明の実施の形態に係る薄型コネクタの構成を示す。薄型コネクタは、平板状のレセプタクル(第1コネクタ)11と平板状のプラグ(第2コネクタ)31とを備えており、これらレセプタクル11およびプラグ31を互いに嵌合軸Cに沿った嵌合方向にスライドすることで嵌合が行われる。
図1では、レセプタクル11およびプラグ31が互いに平行で間隔を隔てて配置された嵌合前の状態が示されている。
【0014】
レセプタクル11は、嵌合軸Cに対して直交する方向に延びるレセプタクル本体12と、レセプタクル本体12に保持され且つ嵌合軸Cに対して直交する方向に2列に配列された複数のバネ接点13を有している。一方、プラグ31は、嵌合軸Cに対して直交する方向に延びるプラグ本体32と、プラグ本体32に保持され且つ嵌合軸Cに対して直交する方向に2列に配列された複数の突起33を有している。
レセプタクル本体12の両端部には、嵌合軸Cに沿うと共にプラグ31に向かって開口する一対の位置合わせ用凹部14が形成され、プラグ本体32の両端部には、嵌合軸Cに沿うと共にレセプタクル11に向かって突出する一対の位置合わせ用凸部34が形成されている。
【0015】
図2に示されるように、位置合わせ用凹部14と位置合わせ用凸部34は、互いに対応する形状を有しており、一対の位置合わせ用凹部14に一対の位置合わせ用凸部34が嵌り込むことにより、嵌合時におけるレセプタクル11とプラグ31の位置合わせが行われる。
ここで、便宜上、平板状のレセプタクル11およびプラグ31が延びる平面をXY面、複数のバネ接点13および複数の突起33の配列方向をX方向、嵌合軸Cに沿ってプラグ31からレセプタクル11に向かう方向を+Y方向、XY面に垂直で複数の突起33がそれぞれ突出する方向を+Z方向と呼ぶことにする。
レセプタクル11にとっては、−Y方向がプラグ31と嵌合する嵌合方向の前方にあたり、プラグ31にとっては、+Y方向がレセプタクル11と嵌合する嵌合方向の前方にあたることとなる。
【0016】
レセプタクル11の構成を
図3(A)〜(D)に示す。
図3(A)は、下方が+Z方向となるように、
図1に示されるレセプタクル11を上下逆さにした状態を示している。
レセプタクル11は、
図3(D)に示されるように、−Z方向に向かって、第1絶縁層15と第1導電層(第1金属層)16と中間絶縁層17ともう1つの第1導電層(第2金属層)18が順次積層された、4層構造を有している。
【0017】
第1絶縁層15の−Z方向側の表面上に配置された第1金属層16は、X方向に配列された複数の第1バネ接点19を含む第1バネ接点列R1Aを有し、中間絶縁層17の−Z方向側の表面上に配置された第2金属層18は、X方向に配列された複数の第2バネ接点20を含む第2バネ接点列R1Bを有している。
第1金属層16および第2金属層18のうち、第1絶縁層15に近い第1金属層16の第1バネ接点列R1Aが、第1絶縁層15から遠い第2金属層18の第2バネ接点列R1Bよりも嵌合方向の前方すなわち−Y方向側に配置されている。
【0018】
複数の第1バネ接点19および複数の第2バネ接点20は、それぞれ、Y方向に延びており、第1バネ接点19の+Y方向端部に実装部21が形成されると共に第2バネ接点20の+Y方向端部に実装部22が形成されている。これらの実装部21および22は、レセプタクル11が搭載される基板等の図示しない第1接続対象物の配線パッドに接続されるもので、レセプタクル本体12から+Y方向に突出している。
【0019】
また、レセプタクル本体12には、複数の第1バネ接点19の間および複数の第2バネ接点20の間に嵌合方向に沿って−Y方向に延びる複数のバネ接点保護部23が形成されており、バネ接点保護部23は、第1バネ接点19および第2バネ接点20よりも嵌合方向の前方に突出している。
さらに、レセプタクル本体12には、一対の位置合わせ用凹部14内にそれぞれ配置され且つX方向に変位可能なロック部24が形成されている。
【0020】
図4(A)〜(D)に示されるように、第1金属層16に形成された第1バネ接点19と第2金属層18に形成された第2バネ接点20は、互いにY方向に整列しており、それぞれ、配列方向であるX方向に変位可能なバネ性を有している。また、第2バネ接点20は第1バネ接点19よりも+Y方向側にΔYだけずれると共に−Z方向側にΔZだけずれた位置に配置されている。
なお、第1バネ接点19と第2バネ接点20との間には中間絶縁層17が配置されており、これら第1バネ接点19と第2バネ接点20は、互いに絶縁されている。
【0021】
このようなレセプタクル11は、
図5に示されるように、エッチング加工された中間絶縁層17の表面上にメッキを施すことにより複数の第2バネ接点20および複数の実装部22を有する第2金属層18を形成したものを、エッチング加工された第1絶縁層15の表面上にメッキを施すことにより複数の第1バネ接点19および複数の実装部21を有する第1金属層16を形成したものに貼り付けることで、作製することができる。
なお、メッキの代わりにエッチングを行うことによっても第1金属層16および第2金属層18を形成することができる。
【0022】
プラグ31の構成を
図6(A)〜(D)に示す。プラグ31は、第2絶縁層35と第2導電層36が積層された、2層構造を有している。
第2導電層36は、X方向に延びると共に両端部にそれぞれ位置合わせ用凸部34が形成された導電部36Aと、X方向に配列された複数の第1突起37を含む第1突起列R2Aと、第1突起列R2Aよりも嵌合方向の前方すなわち+Y方向側でX方向に配列された複数の第2突起38を含む第2突起列R2Bとを有している。複数の第1突起37および複数の第2突起38は、第2絶縁層35の+Z方向側の表面上に突出している。
また、
図6(C)に示されるように、複数の第1突起37は、−Z方向側に複数の実装部39を有し、複数の第2突起38は、−Z方向側に複数の実装部40を有している。これらの実装部39および40は、プラグ31が搭載される基板等の図示しない第2接続対象物の配線パッドに接続されるものである。
【0023】
導電部36Aは、第2絶縁層35と共にプラグ本体32を形成するもので、導電部36Aは、−Z方向側に複数の実装部41を有している。
また、導電部36AのX方向両端部に形成されている位置合わせ用凸部34は、嵌合方向の前方すなわち+Y方向に向かって先細りとなるテーパ形状を有すると共に、
図6(D)および
図7に示されるように、複数の第1突起37および複数の第2突起38とは反対側のX方向の端部に凹状のロック受け部42を有している。さらに、位置合わせ用凸部34には、第2絶縁層35に平行にXY面内で張り出す張り出し部34Aが形成されている。
【0024】
図7に示されるように、第2絶縁層35の表面から+Z方向に突出する第1突起37および第2突起38は、互いにY方向に整列しており、
図8に示されるように、第2突起38は第1突起37よりも+Y方向側にΔYだけずれた位置に配置されている。また、第1突起37および第2突起38は、それぞれ、高さH1およびH2を有しており、第2突起38は第1突起37よりもΔZ=H1−H2だけ低く形成されている。
【0025】
このようなプラグ31は、
図9に示されるように、複数の実装部39、40および41に対応する複数の貫通孔43、44および45が予め形成された第2絶縁層35の表面上にメッキを施して第2導電層36を形成することで、作製することができる。
貫通孔43、44および45を通して実装部39、40および41が第2絶縁層35の−Z方向側に露出することとなる。
なお、メッキの代わりにエッチングを行うことによっても第2導電層36を形成することができる。
【0026】
レセプタクル11の第1絶縁層15が+Z方向を向き、プラグ31の第2絶縁層35が−Z方向を向くように、レセプタクル11とプラグ31をY方向に対向させたときの、嵌合前におけるレセプタクル11の第1バネ接点19および第2バネ接点20とプラグ31の第1突起37および第2突起38の位置関係を
図10および11に示す。レセプタクル11の第1バネ接点19および第2バネ接点20とプラグ31の第1突起37および第2突起38がY方向に整列している。また、レセプタクル11の第2バネ接点20が、第1バネ接点19よりも−Z方向側にΔZだけずれた位置に配置され、プラグ31の第2突起38が第1突起37よりもΔZだけ低く形成されていることから、第1バネ接点19の+Z方向側の表面と第1突起37の+Z方向側の表面が互いにほぼ同じZ方向の位置となるように、レセプタクル11とプラグ31を互いに対向させると、レセプタクル11の第2バネ接点20とプラグ31の第2突起38は、互いにほぼ同じZ方向の位置となる。
【0027】
この状態で、
図12に示されるように、レセプタクル11に対してプラグ31を相対的に+Y方向にスライドさせて、レセプタクル11の一対の位置合わせ用凹部14にプラグ31の一対の位置合わせ用凸部34を嵌め込むことにより、レセプタクル11とプラグ31が互いに嵌合される。
このとき、
図13に示されるように、プラグ31の位置合わせ用凸部34は、嵌合方向の前方すなわち+Y方向に向かって先細りとなるテーパ形状を有しているため、レセプタクル11とプラグ31とがXY面上でわずかに位置ずれを生じている状態で、レセプタクル11に対するプラグ31の相対的なスライド動作を行っても、レセプタクル11とプラグ31を正確に嵌合させることができる。
【0028】
レセプタクル11とプラグ31の嵌合により、
図14および15に示されるように、レセプタクル11の第1バネ接点19がX方向に変位してプラグ31の第1突起37を両側から挟み込み、第1バネ接点19と第1突起37とが互いに電気的に接続される。
また、レセプタクル11の第2バネ接点20が第1バネ接点19よりも+Y方向側にΔYだけずれると共にプラグ31の第2突起38も第1突起37よりも+Y方向側にΔYだけずれており、第2バネ接点20と第2突起38は互いにほぼ同じZ方向の位置にあるので、第1バネ接点19と第1突起37とが互いに電気的に接続されたときには、同時に、レセプタクル11の第2バネ接点20がX方向に変位してプラグ31の第2突起38を両側から挟み込み、第2バネ接点20と第2突起38とが互いに電気的に接続される。
【0029】
このようにして、1つのレセプタクル11と1つのプラグ31を互いに嵌合させるだけで、レセプタクル11の第1バネ接点列R1Aの複数の第1バネ接点19がそれぞれプラグ31の第1突起列R2Aの複数の第1突起37に接続されると共に、レセプタクル11の第2バネ接点列R1Bの複数の第2バネ接点20がそれぞれプラグ31の第2突起列R2Bの複数の第2突起38に接続されることとなる。従って、レセプタクル11およびプラグ31の嵌合方向に直交するX方向の幅寸法を増大させることなく、X方向の単位長さあたりの接点数を増加して多数の接点における接続を行うことが可能となる。
【0030】
図16に示されるように、レセプタクル11を第1接続対象物S1に搭載すると共に複数の実装部21および22を第1接続対象物S1の対応する配線パッドに接続し、プラグ31を第2接続対象物S2に搭載すると共に複数の実装部39および40を第2接続対象物S2の対応する配線パッドに接続し、レセプタクル11とプラグ31を互いに嵌合させることで、第1接続対象物S1と第2接続対象物S2の間の電気的接続を行うことができる。
【0031】
なお、プラグ31の位置合わせ用凸部34がレセプタクル11の位置合わせ用凹部14に嵌め込まれたときに、レセプタクル11の一部がプラグ31の位置合わせ用凸部34に形成されている張り出し部34Aと第2絶縁層35の間に入り込むことで、嵌合状態にあるレセプタクル11とプラグ31がZ方向に外れることが防止される。さらに、プラグ31の位置合わせ用凸部34がレセプタクル11の位置合わせ用凹部14に嵌め込まれると、レセプタクル11の位置合わせ用凹部14に形成されているロック部24が、プラグ31の位置合わせ用凸部34のX方向の端部に形成されている凹状のロック受け部42に嵌り込み、嵌合状態にあるレセプタクル11とプラグ31がY方向に外れることが防止される。
【0032】
また、レセプタクル11の複数の第1バネ接点19の間および複数の第2バネ接点20の間に形成されている複数のバネ接点保護部23により、それぞれの第1バネ接点19および第2バネ接点20が保護されている。
このため、レセプタクル11とプラグ31の嵌合状態が維持され、複数の第1バネ接点19と複数の第1突起37の間並びに複数の第2バネ接点20と複数の第2突起38の間に信頼性のある電気導通状態が確立されることとなる。
【0033】
上記の実施の形態では、レセプタクル11が複数の第1バネ接点19および複数の第2バネ接点20を有し、プラグ31が複数の第1突起37および複数の第2突起38を有しているが、逆に、レセプタクル11が複数の第1突起37および複数の第2突起38を有し、プラグ31が複数の第1バネ接点19および複数の第2バネ接点20を有するように構成することもできる。
【0034】
また、レセプタクル11が、第1絶縁層15上に配置された第1金属層16が有する第1バネ接点列R1Aと中間絶縁層17上に配置された第2金属層18が有する第2バネ接点列R1Bの2列に配列された第1バネ接点19および第2バネ接点20を有し、プラグ31が、第1突起列R2Aと第2突起列R2Bの2列に配列された第1突起37および第2突起38を有しているが、これに限るものではない。
【0035】
例えば、3層以上の第1導電層にそれぞれ形成された3列以上のバネ接点列を有するレセプタクルと、3列以上の突起列を有するプラグを嵌合させることもできる。ただし、このとき、レセプタクルの複数の第1導電層のうち第1絶縁層に近い第1導電層のバネ接点列ほど嵌合方向の前方に、第1絶縁層から遠い第1導電層のバネ接点列ほど嵌合方向の後方に配置され、プラグの複数の突起列のうち嵌合方向の前方に位置する突起列の複数の突起ほど低く、嵌合方向の後方に位置する突起列の複数の突起ほど高い高さを有することが必要である。このようにすれば、3列以上の多数の接点を同時に接続することができ、レセプタクルおよびプラグの嵌合方向に直交する幅寸法を増大させることなく、さらに接点数の増加を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1,6 多層基板、2 平板状ケーブル、3 接続部、4 柱状端子、5 平板状端子、11 レセプタクル(第1コネクタ)、12 レセプタクル本体、13 バネ接点、14 位置合わせ用凹部、15 第1絶縁層、16 第1導電層(第1金属層)、17 中間絶縁層、18 第1導電層(第2金属層)、19 第1バネ接点、20 第2バネ接点、21,22,39,40,41 実装部、23 バネ接点保護部、24 ロック部、31 プラグ(第2コネクタ)、32 プラグ本体、33 突起、34 位置合わせ用凸部、34A 張り出し部、35 第2絶縁層、36 第2導電層、36A 導電部、37 第1突起、38 第2突起、43,44,45 貫通孔、R1A 第1バネ接点列、R1B 第2バネ接点列、R2A 第1突起列、R2B 第2突起列、ΔY,ΔZ ずれ、H1,H2 高さ、S1 第1接続対象物、S2 第2接続対象物。