特許第6452559号(P6452559)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452559
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】オイルポンプにおけるロータ及び駆動軸
(51)【国際特許分類】
   F04C 11/00 20060101AFI20190107BHJP
   F04C 2/10 20060101ALI20190107BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   F04C11/00 C
   F04C2/10 341H
   F04C2/10 321B
   F04C15/00 K
   F04C15/00 J
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-123918(P2015-123918)
(22)【出願日】2015年6月19日
(65)【公開番号】特開2017-8788(P2017-8788A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】植松 知洋
(72)【発明者】
【氏名】井筒 正人
(72)【発明者】
【氏名】千本木 雄二
(72)【発明者】
【氏名】今井 太一
(72)【発明者】
【氏名】青木 準
(72)【発明者】
【氏名】山根 広介
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−69489(JP,U)
【文献】 特開平4−303190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 11/00
F04C 2/10
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外歯の2倍数の内嵌合溝によって構成された第1内嵌合歯形部を有する第1インナーロータと、該第1インナーロータの外歯及び内嵌合溝と同数の外歯及び内嵌合溝によって構成された第2内嵌合歯形部を有する第2インナーロータと、
前記第1内嵌合歯形部と同数の外嵌合歯が形成され且つ第1インナーロータが装着される第1外嵌合歯形部と、前記第2内嵌合歯形部と同数の外嵌合歯が形成され且つ第2インナーロータが装着される第2外嵌合歯形部とを有する駆動軸とを備え、
前記第1内嵌合歯形部及び前記第2内嵌合歯形部は、細幅溝と太幅溝とが周方向に沿って交互且つ等間隔に配置され、
前記第1外嵌合歯形部及び前記第2外嵌合歯形部は、細歯と太歯とが周方向に交互且つ等間隔に配置され、
前記細幅溝への前記太歯の挿入は不可能とすると共に前記太幅溝に前記太歯が挿入するときのみ前記第1インナーロータが前記第1外嵌合歯形部に装着され且つ前記第2インナーロータが前記第2外嵌合歯形部に装着され、
且つ前記第1インナーロータと前記第2インナーロータとが前記駆動軸に装着された状態でそれぞれの外歯同士は半歯分ずれる構成としてなることを特徴とするオイルポンプにおけるロータ及び駆動軸。
【請求項2】
請求項1に記載のオイルポンプにおけるロータ及び駆動軸において、前記駆動軸の第1外嵌合歯形部と前記第2外嵌合歯形部とを相互に一歯分ずれる構成としてなることを特徴とするオイルポンプにおけるロータ及び駆動軸。
【請求項3】
請求項1に記載のオイルポンプにおけるロータ及び駆動軸において、前記第1インナーロータの第1内嵌合歯形部と、前記第2インナーロータの第2内嵌合歯形部とを相互に一歯分ずれる構成としてなることを特徴とするオイルポンプにおけるロータ及び駆動軸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジン,トランスミッション等にオイルを送るための内接式のロータを軸方向に複数備えた多列式且つポンプ同士を並列接続又は直列接続としたポンプ等に組み込まれるロータ及び駆動軸の組付けを簡単且つ効率的に行うことができ、強度及び剛性に優れたオイルポンプにおけるロータ及び駆動軸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内接式のロータを軸方向に複数備えた多列式且つポンプ同士を並列接続又は直列接続としたオイルポンプが種々開発されている。このオイルポンプでは、一つの駆動軸に2又はそれ以上の列のロータが装着されている。ロータは内接歯車タイプのものであって、一般的にはトロコイドタイプのものである。
【0003】
その一例として特許文献1(特開2006−132342号公報)が存在する。特許文献1には、2連のフィードポンプと4連のスカベンジングポンプとが存在する。特許文献1では、一つの駆動軸のセレーション部に複数の内接歯車式ロータが装着されている。特にセレーション部には、内接歯車式ロータのインナーロータが装着されているが、これらのインナーロータは、全て歯数が同数である。
【0004】
また、一般的に駆動軸の回転により、該駆動軸に軸方向に装着された複数の内接歯車式ロータが回転したときに、ポンプの脈動又は振動を抑えるために、インナーロータの周方向における位相をずらすようにしている。位相のずれの量は、インナーロータの歯数によって決定されるものであるが、具体的にはある一つのインナーロータの歯の形成位置と、別のインナーロータの歯の形成位置とが一致しないようにしてあり、通常では隣接する歯と歯の中間つまり半歯分だけずれる構成とすることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−132342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、駆動軸に装着された複数の内接歯車式ロータにおける位相のずれを設定する場合には可能な限り正確にしなければならない。さらに、駆動軸のセレーション部は、特許文献1に見られるように、多数の歯から構成されている。同様にインナーロータの軸孔にも多数の歯からなるセレーション部に歯合できるように、セレーション部の歯と同数となる多数の歯が前記軸孔に形成されている。
【0007】
上記のように歯数の多いセレーション部(或いはスプライン)と、これと同数の歯数を有するインナーロータのセレーション孔によって、駆動軸と、内接歯車式ロータのインナーロータとの組付作業においては、以下のような問題点が生じる。ある一つのインナーロータの装着状態に対して、適正な位相のズレを有して軸方向隣のインナーロータを装着するのは、目的とする位相のズレに近い水準となるように組み付けることは容易にできる。
【0008】
しかし、その位相のズレにおいて、目的とした量を極めて正確となるようにインナーロータを駆動軸に装着する作業を行う場合に、たとえば、セレーション部が一歯分ずれただけでも、正確な装着はできないものである。前述したように、セレーション部には、極めて多数の歯が存在しているので、正確な装着は極めて大変面倒な作業となり、作業効率を低下させるという問題点が存在している。
【0009】
本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、内接式のロータを軸方向に複数備えた多列式且つポンプ同士を並列接続又は直列接続としたオイルポンプにおいて、駆動軸に装着する複数の内接歯車式ロータの複数のインナーロータを容易に正確に装着し、且つ極めて少ない工程にて装着し、作業効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、外歯の2倍数の内嵌合溝によって構成された第1内嵌合歯形部を有する第1インナーロータと、該第1インナーロータの外歯及び内嵌合溝と同数の外歯及び内嵌合溝によって構成された第2内嵌合歯形部を有する第2インナーロータと、前記第1内嵌合歯形部と同数の外嵌合歯が形成され且つ第1インナーロータが装着される第1外嵌合歯形部と、前記第2内嵌合歯形部と同数の外嵌合歯が形成され且つ第2インナーロータが装着される第2外嵌合歯形部とを有する駆動軸とを備え、前記第1内嵌合歯形部及び前記第2内嵌合歯形部は、細幅溝と太幅溝とが周方向に沿って交互且つ等間隔に配置され、前記第1外嵌合歯形部及び前記第2外嵌合歯形部は、細歯と太歯とが周方向に交互且つ等間隔に配置され、
前記細幅溝への前記太歯の挿入は不可能とすると共に前記太幅溝に前記太歯が挿入するときのみ前記第1インナーロータが前記第1外嵌合歯形部に装着され且つ前記第2インナーロータが前記第2外嵌合歯形部に装着され、且つ前記第1インナーロータと前記第2インナーロータとが前記駆動軸に装着された状態でそれぞれの外歯同士は半歯分ずれる構成としてなるオイルポンプにおけるロータ及び駆動軸としたことにより上記課題を解決した。
【0011】
請求項2の発明を、請求項1に記載のオイルポンプにおけるロータ及び駆動軸において、前記駆動軸の第1外嵌合歯形部と前記第2外嵌合歯形部とを相互に一歯分ずれる構成としてなるオイルポンプにおけるロータ及び駆動軸としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1に記載のオイルポンプにおけるロータ及び駆動軸において、前記第1インナーロータの第1内嵌合歯形部と、前記第2インナーロータの第2内嵌合歯形部とを相互に一歯分ずれる構成としてなるオイルポンプにおけるロータ及び駆動軸としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、軸方向両端に第1外嵌合歯形部と第2外嵌合歯形部とを有する駆動軸に対して、同数の外歯を有する第1インナーロータと、第2インナーロータの前記外歯が半歯分だけ位相がずれるように装着することが、最小限の組付け順序にて組付けを完了することができる。
【0013】
請求項2の発明では、駆動軸側において、第1外嵌合歯形部と前記第2外嵌合歯形部とを相互に一歯分ずれる構成としたことにより、駆動軸の第1外嵌合歯形部に第1インナーロータを適正に装着し、第2外嵌合歯形部に第2インナーロータを適正に装着することで、第1インナーロータの第2インナーロータとの外歯は互いに半歯だけ位相がずれるように設置することができる。
【0014】
さらに、第1インナーロータの外歯と第1内嵌合歯形部との位相と、第2インナーロータの外歯と第1内嵌合歯形部との位相は完全に同一とすることができる。これによって、第1インナーロータと第2インナーロータと、歯先円,歯底円及び厚さ等を同一とすると、全く同一形状とすることができる。
【0015】
請求項3の発明では、第1インナーロータの第1内嵌合歯形部と、前記第2インナーロータの第2内嵌合歯形部とを相互に一歯分ずれる構成としたことにより、駆動軸の第1外嵌合歯形部と第2外嵌合歯形部とを完全に同一にすることができ、駆動軸の製造が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(A)は本発明の第1実施形態における縦断側面図、(B)は本発明における要部における駆動軸の第1外嵌合歯形部と第1インナーロータとを分離した状態の斜視図、(C)は(A)のY1−Y1矢視拡大断面図、(D)は(A)のY2−Y2矢視拡大断面図である。
図2】(A)は駆動軸の第1外嵌合歯形部の軸方向に直交する断面図、(B)は(A)のY3−Y3矢視端面図、(C)は第1インナーロータの第1内嵌合歯形部の軸方向に直交する断面図、(D)は(C)のY4−Y4矢視端面図、(E)は第1外嵌合歯形部と第1内嵌合歯形部とが適正に嵌合装着された状態を示す略示端面図、(F)は第1外嵌合歯形部と第1内嵌合歯形部とが適正に嵌合装着されない状態を示す略示端面図。
図3】(A)は第1インナーロータと第1内嵌合歯形部の嵌合溝との位置関係を示す縦断正面図、(B)は(A)の(α)部拡大図、(C)は(α)部の別の実施形態における拡大図である。
図4】(A)は別の実施形態における第1インナーロータの第1内嵌合歯形部と外歯の位置関係を示す正面図、(B)は別の実施形態における第2インナーロータの第2内嵌合歯形部と外歯の位置関係を示すの正面図である。
図5】(A)は本発明の駆動軸及び第1ロータ及び第2ロータがポンプハウジングに収納された状態のオイルポンプの縦断側面図、(B)はポンプハウジングに収納された第1ロータ(又は第2ロータ)の第1インナーロータ(又は第2インナーロータ)と第1アウターロータ(又は第2アウターロータ)との構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、内接式のロータを軸方向に複数備えた、複数のポンプを直列接続又は並列接続としたオイルポンプにおける駆動軸及び複数のロータである。本発明は、駆動軸A,第1インナーロータB,第2インナーロータC,第1ポンプハウジング6,第2ポンプハウジング7,仕切りブロック8及び補強板9等により構成される〔図5(A)参照〕。第1ポンプハウジング6と第1インナーロータBは、メインポンプを構成し、第2ポンプハウジング7と第2インナーロータCとはサブポンプを構成する。
【0018】
前記駆動軸Aは、前記第1ポンプハウジング6,第2ポンプハウジング7,仕切りブロック8及び補強板9に設けられた軸孔によって支持される〔図5(A)参照〕。駆動軸Aは、第1軸部1a,第2軸部1b及び中間軸部1cとから構成される。前記第1軸部1aと第2軸部1bとは、駆動軸Aの軸方向の両端に位置している。
【0019】
中間軸部1cは、軸径が最大であり、第1軸部1aと第2軸部1bは、前記中間軸部1cよりも小さい外径に形成されている。第1軸部1aと中間軸部1cとの境界部分に第1外嵌合歯形部A1が形成され、第2軸部1bと中間軸部1cとの境界部分に第2外嵌合歯形部A2が形成されている〔図1(A)参照〕。
【0020】
前記第1外嵌合歯形部A1は、略円筒形状の嵌合軸部2の外周に軸方向に沿って延在する嵌合歯として、太歯21と細歯22が前記嵌合軸部2の周方向に沿って交互に形成されている〔図1(B),図2(A),(B)参照〕。前記太歯21と前記細歯22との間は、溝状に形成された部位となっている。該溝状の部位を溝形状部23と称する〔図1(B)参照〕。また、第2外嵌合歯形部A2は、第1外嵌合歯形部A1と同様の構成であり、略円筒形状の嵌合軸部2の外周に軸方向に沿って延在する溝として太歯21と細歯22が前記嵌合軸部2の周方向に沿って交互に形成され、さらに前記溝形状部23も有している〔図2(C),(D)参照〕。
【0021】
前記第1外嵌合歯形部A1と前記第2外嵌合歯形部A2において、嵌合軸部2,太歯21,細歯22について符号は共通となるようにし、以下、第1外嵌合歯形部A1の嵌合軸部2,太歯21,細歯22及び第2外嵌合歯形部A2の嵌合軸部2,太歯21,細歯22と称する。
【0022】
前記第1外嵌合歯形部A1,第2外嵌合歯形部A2のそれぞれの太歯21と細歯22との総本数は偶数であり、後述する第1インナーロータB及び第1インナーロータB及び第2インナーロータCのそれぞれの外歯3,3,…の歯数の2倍の数となる。太歯21は細歯22よりも幅方向の寸法が大きく形成されている。また、太歯21は、細歯22の溝深さは等しい〔図1(B),図2(A),(B)参照〕。
【0023】
第1インナーロータB及び第2インナーロータCは、共に内接歯車式のロータである。第1インナーロータBに対となる第1アウターロータD1と、第2インナーロータCと対になる第2アウターロータD2とがそれぞれ組み合わせられ、前記駆動軸Aと共にポンプハウジングに装着される(図5参照)。
【0024】
第1インナーロータBは、外周に複数の外歯3,3…が形成され、径方向の中心には第1内嵌合歯形部B1が形成されている。第1インナーロータBの外歯3の形状は、具体的には、トロコイド歯車又は略トロコイド形状に近似したタイプのロータである〔図1(B),(C),図5(B)参照〕。
【0025】
前記第1内嵌合歯形部B1は、直径中心位置に形成された嵌合孔4の内周側面に軸孔貫通方向に沿って延在する嵌合溝として太幅溝41と細幅溝42が前記嵌合孔4の内周側面の周方向に沿って交互に形成されている〔図1(B),(C),図2(C),(D)参照〕。前記太幅溝41と細幅溝42との総本数は偶数であり、前記外歯3,3…の歯数の2倍の数である。実施形態では、第1インナーロータBにおいて、前記外歯3の総歯数を7とし、太幅溝41と細幅溝42からなる嵌合溝の総数を14とした。また、第1内嵌合歯形部B1において、前記太幅溝41と細幅溝42との間は、歯形に形成された部位となっている。該歯形の部位を歯形状部43と称する〔図1(B)参照〕。該歯形状部43は、前記第1外嵌合歯形部A1の溝形状部23に挿入嵌合する。
【0026】
また、第2インナーロータCの第2内嵌合歯形部C1は、前記第1インナーロータBの第1内嵌合歯形部B1と同様の構成であり、太幅溝41と細幅溝42と歯形状部43とを有している。前記第1内嵌合歯形部B1と前記第2内嵌合歯形部C1において、嵌合孔4,太幅溝41,細幅溝42について符号は共通となるようにしている。
【0027】
以下、第1内嵌合歯形部B1の嵌合孔4,太幅溝41,細幅溝42及び第2内嵌合歯形部C1の嵌合孔4,太幅溝41,細幅溝42と称する。実施形態では、第2インナーロータCにおいて、前記第1インナーロータBと同様に、前記外歯3の総歯数を7とし、太幅溝41と細幅溝42からなる嵌合溝の総数を14とした。
【0028】
前述したように、駆動軸Aにおける第1外嵌合歯形部A1,第2外嵌合歯形部A2の太歯21と細歯22の総数及び第1インナーロータBの第1内嵌合歯形部B1及び第2インナーロータCの第2内嵌合歯形部B2の太幅溝41と細幅溝42の総数は同等である。
【0029】
そして、前記駆動軸Aの第1外嵌合歯形部A1には、第1インナーロータBの第1内嵌合歯形部B1が嵌合により装着され〔図1(A),(C)参照〕、前記駆動軸Aの第2外嵌合歯形部A2には、第2インナーロータCの第2内嵌合歯形部C1が嵌合により装着される〔図1(A),(D)参照〕。
【0030】
前記駆動軸Aの第1外嵌合歯形部A1と、第1インナーロータBの第1内嵌合歯形部B1同士が嵌合しつつ、第1インナーロータBが第1外嵌合歯形部A1に装着される。このとき第1外嵌合歯形部A1と第1内嵌合歯形部B1において、太歯21が太幅溝41に挿入するようにして嵌合し、細歯22がと細幅溝42に挿入するように嵌合する。このような状態で第1インナーロータBの第1内嵌合歯形部B1が駆動軸Aの第1外嵌合歯形部A1に適正に装着されることになる〔図1(C),(D),図2(E)参照〕。
【0031】
そして、第1外嵌合歯形部A1の太歯21は、第1内嵌合歯形部B1の細幅溝42には挿入することができない。つまり、第1外嵌合歯形部A1の全ての太歯21,21,…と、第1内嵌合歯形部B1の全ての太幅溝41,41,…とが完全に一致するように駆動軸Aと第1インナーロータBの位置を合わせない限り、第1インナーロータBを駆動軸Aの第1外嵌合歯形部A1に装着することができない構造となる〔図2(F)参照〕。
【0032】
駆動軸Aに対して適正に装着された第1インナーロータBの外歯3,3,…と、第2インナーロータCの外歯3,3,…の位相とは半歯分ずれる構成とされる〔図1(A),(C),(D)参照〕。この外歯3における半歯分のずれとは、第1インナーロータBの隣接する外歯3,3の中間の位置に、第2インナーロータCの外歯3が位置することをいう〔図1(C),(D)参照〕。また、隣接する外歯3,3の中間とは、隣接する外歯3,3の中心位置のみではなく、この中心位置の近傍も含まれる。
【0033】
第1インナーロータBの外歯3,3,…と、第2インナーロータCの外歯3,3,…との位相を半歯分ずらすための構成の実施形態を以下に説明する。まず、第1実施形態では、駆動軸Aにおける第1外嵌合歯形部A1の太歯21と細歯22と、第2外嵌合歯形部A2の太歯21と細歯22との位相を一歯分だけずらすことにより、第1インナーロータBの外歯3,3,…と、第2インナーロータCの外歯3,3,…を半歯分だけずらすことができる〔図1(C),(D)参照〕。
【0034】
このようなことができるのは、駆動軸Aの第1外嵌合歯形部A1の太歯21と細歯22の総数が第1インナーロータBの外歯3,3,…の数の2倍であり、同様に第2外嵌合歯形部A2の太歯21と細歯22の総数も第1インナーロータBの外歯3,3,…の数の2倍とした構成のためである。したがって、駆動軸Aの軸方向両端における第1外嵌合歯形部A1における太歯21と細歯22との歯列と、第2外嵌合歯形部A2における太歯21と細歯22との歯列を一歯分だけずらす構成とする〔図1(C),(D)参照〕。
【0035】
具体的には、駆動軸Aの軸方向の両端において、第1外嵌合歯形部A1の全太歯21の位置に対応する位置には第2外嵌合歯形部A2の全細歯22が存在する。換言するならば、第1外嵌合歯形部A1の全細歯22の位置に対応する位置には第2外嵌合歯形部A2の全太歯21が存在する〔図1(C),(D)参照〕。
【0036】
また、第1インナーロータBにおける外歯3,3,…と、第1内嵌合歯形部B1における太幅溝41と細幅溝42との歯列と、第2インナーロータCにおける外歯3,3,…と、太幅溝41と細幅溝42との歯列との位相は等しい。つまり、第1インナーロータBにおける外歯3,3,…の位置と第1内嵌合歯形部B1の太幅溝41と細幅溝42との相対的な位置と、第2インナーロータCにおける外歯3,3,…の位置と第2内嵌合歯形部C1の太幅溝41と細幅溝42との相対的な位置とは等しい。
【0037】
具体的には、第1インナーロータBにおける各外歯3の位置には各太幅溝41が対応し、同様に第2インナーロータCにおける各外歯3の位置には各太幅溝41が対応する構成とする。或いは、第1インナーロータBにおける各外歯3の位置には各細幅溝42が対応し、同様に第2インナーロータCにおける各外歯3の位置には各細幅溝42が対応する構成とする構成としても構わない。
【0038】
これによって、駆動軸Aの第1外嵌合歯形部A1に装着される第1インナーロータBと、第2外嵌合歯形部A2に装着される第2インナーロータCとのそれぞれの外歯3,3,…は、必ず半歯分だけ位相がずれることになる。したがって、第1インナーロータBの外歯3,3,…と、第2インナーロータCの外歯3,3,…との位相が一致するような誤装着は、発生し得ない構造となっている。
【0039】
次に、第2実施形態では、第1インナーロータBの第1内嵌合歯形部B1と、第2インナーロータCの第2内嵌合歯形部B2との位相をずらし、駆動軸Aにおける第1外嵌合歯形部A1と、第2外嵌合歯形部A2との位相は同一とするものである(図4参照)。具体的には、第1インナーロータBは、各外歯3の先端領域31の位置に第1内嵌合歯形部B1の各太幅溝41が対応するように構成し、第2インナーロータCでは各外歯3の先端領域31の位置に第2内嵌合歯形部C1の各細幅溝42が対応するように構成する。つまり、第1インナーロータBの第1内嵌合歯形部B1と、第2インナーロータCの第2内嵌合歯形部C1とでは、一歯分だけ位相がずれている。
【0040】
これによって、駆動軸Aの第1外嵌合歯形部A1に装着される第1インナーロータBと、第2外嵌合歯形部A2に装着される第2インナーロータCとのそれぞれの外歯3,3,…は、必ず半歯分だけ位相がずれることになる。この第2実施形態においても、第1インナーロータBの外歯3,3,…と、第2インナーロータCの外歯3,3,…との位相が一致するような誤装着は、発生し得ない構造となっている。
【0041】
第1インナーロータB及び第2インナーロータCのそれぞれの外歯3における先端領域31とは、外歯3の先端Qを中心として、その回転方向両側の周辺のことをいう(図3参照)。さらに具体的には、外歯3の回転方向両側に位置する歯底32の中央と軸芯Pとを結ぶ線Lq,Lqの角度θqの範囲で且つ前記先端Qを中心として約(3/4)程度の範囲のことである〔図3(C)参照〕。外歯3の先端領域31は、隣接する外歯3,3の間の歯底32の部分は含まれない。
【符号の説明】
【0042】
A…駆動軸、A1…第1外嵌合歯形部、A2…第2外嵌合歯形部、21…太歯、
22…細歯、3…外歯、41…太幅溝、42…細幅溝、B…第1インナーロータ、
B1…第1内嵌合歯形部、C…第2インナーロータ、C1…第2内嵌合歯形部。
図1
図2
図3
図4
図5