(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明に好適な実施形態について詳細に説明する。
【0025】
まず、
図1〜
図4を参照して、第1の実施形態に係るコネクタユニット200(電気コネクタユニット)の概略について説明する。
【0026】
ここでは、コネクタユニット200として、電気自動車の充電器用のコネクタユニットが例示されている。
【0027】
なお、以下の説明では部材の向きを、直交座標系を用いて表すものとし、
図1に示すように、X方向、X方向に直交するY方向、X方向およびY方向に直交するZ方向を直交座標系における3つの方向として定義する。
【0028】
また、X方向、Y方向、Z方向において、
図1の矢印が示す向きを「正の向き」とし、矢印が示す向きと逆向きを「負の向き」とする。
【0029】
図1〜
図4に示すように、コネクタユニット200は、電気コネクタとしてのコネクタ1と、コネクタ1と嵌合する相手側コネクタとしてのインレット2を有している。
【0030】
ここでは、コネクタ1は充電器側に設けられたコネクタであり、インレット2は電気自動車側に設けられたコネクタである。
【0031】
図1〜
図4に示すように、コネクタ1はインレット2との嵌合状態をロックする回転可能なロックレバー104と、第1の向きとしてのZ方向負の向き、および第1の向きと平行で逆向きの第2の向きとしてのZ方向正の向きに移動可能に設けられ、Z方向負の向きに移動することによりロックレバー104を回転させてロックの解除を行う解除部としてのリリースボタン105Aを有するリリースレバー105を有する。コネクタ1はまた、Z方向正の向きおよびZ方向正の向きと交差(ここでは直交)する第3の向きとしてのX方向負の向き、およびX方向負の向きと平行で逆向きの第4の向きとしてのX方向正の向きに移動可能に、かつ、移動可能な範囲において、Z方向負の向きに移動するリリースボタン105Aと突き当たる位置である突き当たり位置P
L(
図12参照)に移動可能に設けられ、突き当たり位置P
Lでリリースボタン105AのZ方向負の向きへの移動を規制してロックの解除を規制する解除規制部135とを有する。コネクタ1はまた、解除規制部135をX方向負の向きに移動させる移動部としてのソレノイド131と、解除規制部135をソレノイド131に近づく向きであるX方向正の向きに向けて押圧する押圧部としてのコイルばね137を有する。
【0032】
また、ソレノイド131は、X方向正の向き、およびX方向負の向きに移動するプランジャ131Aを有する。解除規制部135は、X方向正の向き、およびX方向負の向きに移動可能なスライド部181と、スライド部181に設けられ、リリースボタン105Aと突き当たることによりリリースボタン105Aの動作を規制するとともにプランジャ131Aが突き当たる接触部としての突出部185(
図5参照)を有する。
【0033】
次に、
図2、
図6〜
図9を参照してコネクタ1およびインレット2の構造の詳細について説明する。
【0034】
図2に示すように、コネクタ1は、外殻シェル101、外殻シェル101の一端に設けられ、充電の際に作業者がコネクタ1を保持するためのグリップ102、X方向正の向きの端部が露出するように外殻シェル101の内部に設けられ、コンタクト108が収納された内部ハウジング103、外殻シェル101内に設けられ、コンタクト108に接続されたケーブル109、外殻シェル101の内部に設けられ、嵌合時(充電時)にコネクタ1とインレット2の嵌合状態をロックするロックレバー104を有している。
【0035】
一方、
図2に示すように、インレット2は、コネクタ1が挿入される筒状のハウジング201、ハウジング201の内周に設けられ、ロック時にロックレバー104のロック部104Aと接触し合う凹部状のインレット側ロック部202、端部が露出するようにハウジング201に設けられ、コネクタ1のコンタクト108と電気的に接続されるコンタクト203、およびコンタクト203に接続されたケーブル204を有している。
【0036】
外殻シェル101はコネクタ1の外側のカバーであり、
図2に示すように、筒状の大径部101Cと、大径部101CのX方向正の向きの先端に設けられ、大径部101Cよりも径が小さく、かつ、大径部101Cと中心軸が一致するような筒状の小径部101Bを有している。
なお、小径部101Bの先端101Aは面取されている。
【0037】
内部ハウジング103は小径部101Bの内周形状に対応した円柱形状の絶縁部材であり、小径部101B内に設けられている。
【0038】
また、内部ハウジング103の端部は外部に露出しており、端部には複数の凹部103Aが設けられている(
図1参照)。各凹部103Aにはコンタクト108が固定されている。
【0039】
ロックレバー104は、インレット2と嵌合する方向(X方向)を向くように大径部101Cに設けられた棒状の部材であり、回転軸104Dによって
図2のA1、A2の向き、即ち外殻シェル101の外側および内側の向きに回転可能に保持されている。
【0040】
図3および
図4に示すように、回転軸104Dは、外殻シェル101の軸方向と交差する方向(ここではY方向)を向くようにして、外殻シェル101の大径部101Cの内壁に固定されている。
【0041】
また、ロックレバー104はX方向正の向きの端部に設けられた爪状のロック部104Aを有している。
【0042】
図2では、ロック部104Aはロックレバー104の上側、すなわちコネクタ1の外殻シェル101からZ方向正の向きに突出して設けられており、インレット2のインレット側ロック部202と接触し合う爪状の形状を有している。
【0043】
また、ロックレバー104は、外殻シェル101の大径部101Cの内部に設けられているが、少なくともロック部104Aが外部に露出している。
【0044】
より具体的には、ロック部104Aは、大径部101Cと小径部101Bの連結部分に設けられた開口部101Dから外部に露出している。
【0045】
なお、ロックレバー104の、回転軸104Dを挟んでロック部104Aと反対側の部分は、リリースレバー105と接触する操作部104Cを形成しており、操作部104Cは大径部101Cの内部に設けられている。
【0046】
さらに、大径部101Cと操作部104Cの間で、操作部104CのZ方向正の向き側にはV字状の板ばね104Bが設けられている。板ばね104Bは、ロックレバー104に対しロック部104Aがコネクタ1の外側に回転する向き(
図2のA1の向き)に回転力を与えている。
【0047】
一方で、ロックレバー104のロック部104A近傍のZ方向正の向きの面(
図2では上面)は開口部101Dに接触するとそれ以上A1の向きに回転するのを阻止される。
【0048】
図2に示すように、リリースレバー105は、ロックレバー104と(Z方向の投影面が)一部重なるように、ロックレバー104のX方向正の向きに沿って配置された、棒状の部材が「く」の字状に折れ曲がった形状を有する。リリースレバー105は折れ曲がった部分に位置する回転軸105Cによってロックレバー104と同じ向き、即ち
図2のA1、A2の向きに回転可能に設けられている。
【0049】
回転軸105Cは、外殻シェル101のY方向を向くように外殻シェル101の大径部101Cの内壁に固定されている。
【0050】
リリースレバー105は、外殻シェル101の大径部101C内に設けられており、ロックレバー104に近い側の端部がロックレバー104の操作部104Cと接触するロックレバー側端部105Bを形成している。
【0051】
ロックレバー側端部105Bは操作部104Cの下面(Z方向負の向き側の面)と接触可能に設けられている。
【0052】
さらに、リリースレバー105は、ロックレバー104から遠い側の端部が大径部101Cの外部に露出しており、この端部にはZ方向負の向き、即ち、外殻シェル101の内側に押圧可能なボタン状のリリースボタン105Aを形成している。
【0053】
具体的には、リリースボタン105Aは大径部101CのX方向負の向きの端部に設けられた開口部102Aから外部に露出している。
【0054】
さらに、リリースボタン105AのZ方向負の向きの端部には解除規制部135に突き当たる突起105Eが設けられている。
図3及び
図4に示すように、突起105EはY方向に延びる棒状の部材である。
【0055】
なお、回転軸105Cにはトーションばね105Dが設けられている。トーションばね105Dはリリースレバー105に、ロックレバー側端部105Bが操作部104Cから離れる向き(
図2のA2の向き)に回転力を与えている。
【0056】
ただし、リリースボタン105Aは開口部102AにZ方向の正の向きに接触すると、それ以上のZ方向の正の向きへの移動を阻止されるので、リリースレバー105が
図2よりもA2の向きに回転することはない。
【0057】
解除規制部135はここではY方向から見た形状がL字形の板状部材であり、
図5および
図6に示すように、L字の底面183DがX方向正負の向きに平行なスライド部181を有する。ここではスライド部181は法線方向がZ方向正の向きおよびZ方向負の向きに平行な板状部材である。
【0058】
スライド部181のY方向の両側面にはスライド側部183A、183Bが設けられている。スライド部181(特にスライド側部183A、183B)は大径部101Cの内壁に設けられたスライド溝101Eに保持されている。
【0059】
一方でスライド部181のZ方向正の向き側の面はスライド部181の位置がリリースボタン105Aによるロック解除(ロックレバー104の操作)を規制した状態(突き当たり位置P
Lに解除規制部135がある状態)で外殻シェル1919(の大径部101C)の外部から視認可能な位置に少なくとも一部(ここでは視認部183C)が配置されるように設けられている。
【0060】
ただし、大径部101Cは、視認部183Cを覆うように設けられた透明なカバー121を有しているため、視認部183Cが大径部101Cの外部から視認可能な位置に配置された場合でも視認部183Cはカバー121内に位置する(
図4参照)。
【0061】
解除規制部135はスライド部181からリリースボタン105Aに向けて突出するように設けられた突出部185を有している。
【0062】
突出部185は法線方向がX方向に平行でプランジャ131Aと突き当たる突き当たり面163を有する。
【0063】
さらに、突出部185のリリースボタン105A側の先端は、Z方向正の向きの先端がリリースボタン105Aの突起105Eと接触することにより、リリースボタン105Aによるロックレバー104のロック解除を規制する規制部165として作用する。
【0064】
また、突出部185のY方向両側面からはX方向負の向きに突出した側部188を有しており、規制部165はZ方向負の向きに見ると「コ」の字状の形状を有する(平面形状がコの字である)。このように、規制部165の平面形状をコの字とすることにより、突起105Eと突き当たる面積をより大きくすることができる。
【0065】
図7〜
図9に示すように、ソレノイド131は本体171と本体171に収納され、X方向負の向きに突出し、X方向正の向きおよびX方向負の向きに移動するプランジャ131Aと、プランジャ131Aを駆動するソレノイドコイル177と、プランジャ131Aと本体171を連結するように設けられたソレノイドばね175と、本体171にZ方向負の向きに突出するように設けられ、本体171を固定プレート141(
図2参照)に固定するための固定部173と、プランジャ131Aと一体になって設けられ、プランジャ131Aとは逆向き(X方向正の向き)に突出するように設けられ、X方向正の向きおよびX方向負の向きにプランジャ131Aと一体となって移動するガイドバー131Bを有している。
【0066】
さらに、
図2に示すように、コネクタ1は、ガイドバー131Bで押圧可能(操作可能に)に設けられ、ガイドバー131Bに押圧されると、押圧された状態でのソレノイド131のプランジャ131Aの位置を示す情報を生成するスイッチ106を有する。
【0067】
スイッチ106はここではばね片106A(
図4参照)を有しており、ばね片106Aが押されていない状態(操作されていない状態)では内部の図示しない接点が閉じており、ばね片106Aが押されると図示しない接点が開く。
【0068】
また、コネクタ1の大径部101CのY方向正の向き側から負の向き側に見た内側面にはソレノイド131およびスイッチ106を保持する保持部としての固定プレート141が設けられている。
【0069】
コイルばね137は一端が解除規制部135の突出部185の突き当たり面163とは反対側の面に設けられたボス状のばね保持部167(
図5参照)に保持され、他端が大径部101CのX方向負の向きの端部に設けられた凹部101F(
図10参照)に設けられ、常に解除規制部135をソレノイド131に向けて(即ちX方向正の向きに向けて)押圧している。
【0070】
以上がコネクタ1およびインレット2の構造の詳細についての説明である。
【0071】
ここで、解除規制部135によるリリースボタン105Aの動作の規制について、
図10〜
図12を参照して簡単に説明する。
【0072】
まず、
図10に示すように、解除規制部135の規制部165がリリースボタン105Aの突起105EとZ方向において対向している状態では、リリースレバー105のリリースボタン105AをZ方向負の向きに押しても突起105Eが規制部165に突き当たるため、リリースボタン105AはZ方向負の向きに移動することができず、リリースレバー105が回転することもできない。よってこの状態では解除規制部135がリリースボタン105Aの動作を規制する。ここではこの状態での解除規制部135のX方向における位置を突き当たり位置P
Lと呼ぶ。
【0073】
一方で、
図11(および
図12の点線)に示すように、解除規制部135の規制部165がリリースボタン105Aの突起105EとZ方向において対向していない状態では、リリースレバー105のリリースボタン105AをZ方向負の向きに押しても突起105Eが規制部165に突き当たらないため、リリースボタン105AはZ方向負の向きに移動することができ、リリースレバー105が回転することもできる。よってこの状態では解除規制部135がリリースボタン105Aの動作を規制しない。ここではこの状態での解除規制部135のX方向における位置を解除位置P
Uと呼ぶ。
【0074】
このように、コネクタ1は解除規制部135のX方向の位置によって解除規制部135がリリースボタン105Aの動作を規制するか否かが決まる。
【0075】
また、解除規制部135はソレノイド131のプランジャ131Aに押圧されることによりX方向負の向きへ移動できる。一方で解除規制部135はプランジャ131Aに固定されていないため、プランジャ131AがX方向正の向きに移動してもプランジャ131Aに追従して移動することはできない。
【0076】
ただし、解除規制部135はコイルばね137によってX方向正の向きに押圧されているため、プランジャ131AがX方向正の向きに移動すると、コイルばね137によってX方向正の向きに押圧されて移動する。
【0077】
このように、コネクタ1では解除規制部135がプランジャ131Aに接触している(突き当たっている)が固定されていない。そのため、突き当たり位置P
Lにおいて、リリースボタン105Aの突起105Eが規制部165に突き当たった場合でも、リリースボタン105Aが解除規制部135に対してZ方向負の向きに加える力は突出部185とスライド部181には直接伝わるが、プランジャ131Aにほとんど伝わらない。
【0078】
そのため、コネクタ1は解除規制部135が突き当たり位置P
Lにある場合に、リリースボタン105Aが無理にZ方向負の向きに押された場合であってもソレノイド131が故障し難い。
【0079】
以上が解除規制部135によるリリースボタン105Aの動作の規制の説明である。
【0080】
次に、コネクタユニット200の嵌合時(充電時)のロックレバー104、リリースボタン105A(リリースレバー105)、解除規制部135、ソレノイド131、コイルばね137、およびスイッチ106の動作について、
図2および
図13〜
図17を参照して説明する。
【0081】
まず、嵌合開始前の状態、即ち、コネクタ1とインレット2が全く接触していない状態では、ロックレバー104、リリースレバー105、解除規制部135、ソレノイド131、コイルばね137、およびスイッチ106は
図2に示す状態にある。
【0082】
具体的には、リリースレバー105のロックレバー側端部105Bはロックレバー104の操作部104Cを押圧していない。
【0083】
また、ロックレバー104およびリリースレバー105はそれぞれ板ばね104Bおよびトーションばね105Dによって
図2の位置に保持されている。
【0084】
より具体的には、ロックレバー104は、板ばね104BによってA1の向きに回転力を与えられているが、
図2の状態では、開口部101Dに突き当たっているため、回転軸104Dと開口部101Dの二箇所で支持され、この状態に保持されている。
【0085】
一方、リリースレバー105は、トーションばね105DによってA2の向きに回転力を与えられているが、リリースボタン105Aが開口部102Aに突き当たっているため、回転軸105Cと開口部102Aの二箇所で支持され、この状態に保持されている。
【0086】
さらに、解除規制部135は解除位置P
Uに位置する(
図12参照)。そのため、解除規制部135はリリースボタン105Aの動作を規制しない。
【0087】
また、スイッチ106のばね片106A(
図4参照)はガイドバー131Bによって押圧されているため、スイッチ106は開放される。これによりケーブル109を介してスイッチに接続された図示しない充電器の検出回路は、回路が開放されるため、解除規制部135が解除位置P
Uに位置することを認識できる。ここではスイッチ106は開放されたことによりスイッチ106が生成する情報(スイッチ106が開放されたことを示す情報、より詳細にはスイッチ106を開放する位置にプランジャ131Aが位置することを意味する情報)を第1の情報とも呼ぶ。
【0088】
次に、
図2に示す状態から、コネクタ1の外殻シェル101の小径部101Bがインレット2のハウジング201内に挿入される。
【0089】
具体的には、作業者はコネクタ1のグリップ102を握って、先端101Aをガイドにして外殻シェル101の小径部101Bをインレット2のハウジング201内に挿入する。
【0090】
すると、
図13に示すように、ロックレバー104のロック部104Aはハウジング201の内壁と接触し、板ばね104Bの弾性力に逆らって回転軸104Dを中心にA2の向きに回転してZ方向の負の向きに押し下げられる。
この状態が中途嵌合状態である。
【0091】
この状態ではコネクタ1の内部ハウジング103(小径部101B)は、大部分がインレット2のハウジング201内にあるが、コネクタ1のコンタクト108は、インレット2のコンタクト203に接触しているのみで、ロックされておらず完全に嵌合していない。
【0092】
次に、
図13の状態からさらにコネクタ1の挿入を進め、ロック部104Aがハウジング201の内壁を乗り越えてインレット側ロック部202に達すると、
図14に示すように、ロックレバー104は板ばね104Bの弾性力によってA1の向きに回転して、ロック部104Aがインレット側ロック部202と接触し合う。
【0093】
この状態では、コネクタ1がインレット2と嵌合しており、かつコンタクト108とコンタクト203電気的に接続されているため、充電が可能である。
【0094】
一方で、この状態ではリリースボタン105Aの操作が可能であるため、この状態で充電を開始すると、誤ってリリースボタン105Aを操作した場合、ロックレバー104によるロックが解除されて充電中にコネクタ1がインレット2から離脱してしまう恐れがある。
【0095】
そこで、コネクタ1がインレット2と嵌合した状態で、かつ充電開始前にソレノイド131がコイルばね137の弾性力に打ち勝ってプランジャ131AをX方向負の向きに駆動して解除規制部135を突き当たり位置P
L(
図12参照)に移動させる。
【0096】
これにより、
図15に示すようにリリースボタン105Aの操作が解除規制部135によって規制されるため、
図15の状態からロックレバー104は動かなくなり、充電中にコネクタ1がインレット2から離脱してしまう恐れはない。
【0097】
なお、この状態ではガイドバー131Bはスイッチ106のばね片106Aを押圧しなくなる。そのため、スイッチ106は閉じた状態となる。これによりケーブル109を介してスイッチに接続された図示しない充電器の検出回路は、回路が閉じるため解除規制部135が突き当たり位置P
Lに位置することを認識できる。ここではスイッチ106が閉じられたことによりスイッチ106が生成する情報(スイッチ106が閉じられたことを示す情報、より詳細にはスイッチ106を閉じる位置にプランジャ131Aが位置することを意味する情報)を第2の情報とも呼ぶ。
【0098】
このように、コネクタ1においてはソレノイド131のプランジャ131Aの位置に連動してスイッチ106がプランジャ131Aの位置を示す情報を生成する。
【0099】
そのため、プランジャ131Aの位置を示す情報を用いた充電の制御が可能である。例えば、解除規制部135が突き当たり位置P
Lにある場合のみ充電が可能であるように充電器を制御すれば、充電中のコネクタ1の脱落による漏電を確実に防止できる。
【0100】
また、スイッチ106はプランジャ131Aが設けられた側とは逆側に設けられているため、解除規制部135の構造に影響されずに設置できる。
【0101】
さらに、
図15に示す状態では解除規制部135の視認部183C(
図5参照)は大径部101Cの外部から視認可能な位置に配置されるため、作業者は透明なカバー121の視認用窓121A(
図4参照)を介して解除規制部135が突き当たり位置P
Lに位置することを視認できる。
【0102】
そのため、コネクタ1を作業者が落とす等してコネクタ1に衝撃が加えられて、リリースボタン105Aが動かなくなった場合でも、その原因がリリースボタン105A(あるいはリリースレバー105)自体の故障なのか、衝撃により解除規制部135が突き当たり位置P
Lに移動したことによるものなのかを作業者は容易に知ることができる。
【0103】
また、視認部183Cは、大径部101Cの外部から視認可能な位置に配置された状態でもカバー121に覆われているため、外部からゴミ等が大径部101Cの内部に侵入する恐れはない。なお、視認部183Cは作業者が視認しやすくするためカラー塗装を施してもよい。
【0104】
また、スイッチ106とソレノイド131は同じ部材(固定プレート141)に固定されているため、コネクタ1を作業者が落とす等してコネクタ1に衝撃が加えられた場合でも互いの相対位置がずれ難い点で有利である。
【0105】
充電が終了すると、ソレノイド131がプランジャ131AをX方向正の向きに駆動する。
【0106】
すると、解除規制部135はコイルばね137に押圧されて突き当たり位置P
Lから解除位置P
Uに移動する(
図12参照)。
【0107】
これにより、ロックレバー104の操作が解除規制部135に規制されなくなる。
【0108】
また、スイッチ106のばね片106Aはガイドバー131Bに押圧されるため、スイッチ106は開放される。これによりケーブル109を介してスイッチ106に接続された図示しない充電器の検出回路は、回路が開放されるため、解除規制部135が解除位置P
Uに位置することを認識できる。
【0109】
次に、作業者はリリースレバー105のリリースボタン105AをZ方向負の向きに押圧する。
【0110】
すると、
図16に示すように、リリースレバー105はトーションばね105Dの弾性力に逆らって回転軸105Cを中心にA1の向きに回転し、ロックレバー側端部105Bが操作部104Cと接触して操作部104CをZ方向の正の向きに押圧する。
【0111】
操作部104CがZ方向の正の向きに押圧されると、ロックレバー104は板ばね104Bの弾性力に逆らって回転軸104Dを中心にA2の向きに回転し、ロック部104AがZ方向の負の向きに押し下げられる。
【0112】
さらに、Z方向の負の向きに押し下げられたロック部104Aはインレット側ロック部202から離れ、ロック部104Aとインレット側ロック部202が接触しなくなる。
【0113】
この状態では、コネクタ1とインレット2は嵌合状態をロックされていないため、
図17に示すようにコネクタ1をインレット2から引き抜くことができる。
【0114】
なお、コネクタ1をインレット2から引き抜き、リリースレバー105への押圧を解除すると、ロックレバー104およびリリースレバー105はそれぞれ板ばね104Bおよびトーションばね105Dの弾性力によってA1、A2の向きに回転し、
図2に示す嵌合前の状態に戻る。
【0115】
以上が、コネクタユニット200の嵌合時(充電時)のロックレバー104、リリースボタン105A(リリースレバー105)、解除規制部135、ソレノイド131、コイルばね137、およびスイッチ106の動作の説明である。
【0116】
このように、第1の実施形態によれば、コネクタ1はインレット2との嵌合状態をロックする回転可能なロックレバー104と、第1の向きとしてのZ方向負の向き、および第1の向きと平行で逆向きの第2の向きとしてのZ方向正の向きに移動可能に設けられ、Z方向負の向きに移動することによりロックレバー104を回転させてロックの解除を行う解除部としてのリリースボタン105Aを有するリリースレバー105を有する。また、コネクタ1はZ方向正負の向きと交差する第3の向きとしてのX方向負の向き、およびX方向負の向きと平行で逆向きの第4の向きとしてのX方向正の向きに移動可能に、かつ、移動可能な範囲において、Z方向負の向きに移動するリリースボタン105Aと突き当たる位置である突き当たり位置P
Lに移動可能に設けられ、突き当たり位置P
Lでリリースボタン105AのZ方向負の向きへの移動を規制してロックの解除を規制する解除規制部135を有する。コネクタ1はさらに、解除規制部135をX方向負の向きに移動させる移動部としてのソレノイド131と、解除規制部135をソレノイド131に近づく向きであるX方向正の向きに向けて押圧する押圧部としてのコイルばね137を有する。また、ソレノイド131は、X方向正の向き、およびX方向負の向きに移動するプランジャ131Aを有し、解除規制部135は、X方向正の向き、およびX方向負の向きに移動可能なスライド部181と、スライド部181に設けられ、リリースボタン105Aと突き当たることによりリリースボタン105A動作を規制するとともにプランジャ131Aが突き当たる突出部185を有する。
【0117】
そのため、コネクタ1はソレノイド131を用いて解除部(リリースボタン105A)の動作を規制する構造を有していても、従来よりもソレノイド131が故障し難い。
【0118】
次に、第1の実施形態の変形例1について、
図18および
図19を参照して説明する。
【0119】
変形例1は第1の実施形態において、解除規制部135にガイド部301を設けたものである。
【0120】
図18に示すように、変形例1の解除規制部135は、突出部185の側部188からX方向負の向きに突出したガイド部301を有している。
【0121】
また、
図19に示すように、コネクタ1の大径部101Cはガイド部301と対向し、ガイド部301が挿入されるガイド部凹部303を有する。
【0122】
この構造では、
図19に示すように、解除規制部135が突き当たり位置P
Lに位置する場合はガイド部301がガイド部凹部303に挿入される。
【0123】
そのため、この状態でリリースボタン105Aが無理に操作される等して解除規制部135にZ方向負の向きに力が加えられた場合、その力は突出部185やスライド部181だけでなく、ガイド部301にも分散する。
【0124】
そのため、解除規制部135の強度をより高めることができる。
【0125】
なお、変形例1においてはガイド部301とガイド部凹部303以外のコネクタ1の構造は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0126】
次に、第1の実施形態の変形例2について、
図20および
図21を参照して説明する。
【0127】
変形例2は第1の実施形態において、解除規制部135の規制部165の形状を法線方向が第1の向きおよび第2の向き(Z方向負の向きおよびZ方向正の向き)に平行な板状として、かつプランジャ131A側に突出させたものである。なお、その他の構造は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0128】
図20および
図21に示すように、変形例2の解除規制部135の規制部165の形状は法線方向がZ方向負の向きおよびZ方向正の向きに平行な板状であり、かつプランジャ131A側(X方向正の向き側)に突出した形状を有する。
【0129】
規制部165をこのような形状とすることにより、突起105Eと突き当たる規制部165の面積を第1の実施形態と比べて大きくすることができる。
【0130】
次に、第1の実施形態の変形例3について、
図22および
図23を参照して説明する。
【0131】
変形例3は第1の実施形態において、解除規制部135の規制部165の形状を法線方向が第1の向きおよび第2の向き(Z方向負の向きおよびZ方向正の向き)に平行な板状として、かつプランジャ131Aと反対側に突出させたものである。なお、その他の構造は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0132】
図22及び
図23に示すように、変形例3の解除規制部135の規制部165の形状は法線方向がZ方向負の向きおよびZ方向正の向きに平行な板状であり、かつプランジャ131A側とは反対側(X方向負の向き側)に突出した形状を有する。
【0133】
このように、規制部165の突出する向きはプランジャ131Aと反対側でもよく、この場合でも変形例2と同様の効果を奏する。
【0134】
次に、第1の実施形態の変形例4について、
図24および
図25を参照して説明する。
【0135】
変形例4は第1の実施形態において、解除規制部135のスライド部181に、突出部185よりもプランジャ131A側に突出した支持部305を設けたものである。なお、その他の構造は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0136】
図24および
図25に示すように、変形例4の解除規制部135は、スライド部181が、突出部185よりもプランジャ131A側(X方向正の向き側)に突出した支持部305を有する。
【0137】
これにより、解除規制部135は
図25に示すように、Y方向から見た側面図が逆T字形を有する。
【0138】
ここで、支持部305をスライド部181に設ける理由について説明する。
【0139】
解除規制部135が突き当たり位置P
L(
図12参照)にある場合に、リリースボタン105Aが無理にZ方向負の向きに押された場合、規制部165と突起105Eの突き当たり方によっては、解除規制部135にZ方向負の向きだけでなく、
図25のA1、A2の向きに回転力が加えられる可能性もある。
【0140】
この場合、A1の向きに加えられた回転力はスライド部181が受け止めるため、解除規制部135がA1の向きに回転することはない。
【0141】
一方で、A2の向きに加えられた回転力は、第1の実施形態の解除規制部135(
図5参照)の場合、X方向正の向き側に力を受け止める部材がないので、解除規制部135がA2の向きに回転する可能性がある。
【0142】
そこで、突出部185よりもプランジャ131A側(X方向正の向き側)に突出した支持部305をスライド部181に設けることにより、A2の向きに加えられた回転力を支持部305が受け止めるので、解除規制部135がA2の向きに回転するのを阻止できる。