特許第6452600号(P6452600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452600
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】過熱水蒸気生成装置
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/26 20060101AFI20190107BHJP
   F22G 1/16 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   F22B37/26 A
   F22G1/16
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-252257(P2015-252257)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-116183(P2017-116183A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110158
【氏名又は名称】トクデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】外村 徹
(72)【発明者】
【氏名】北野 孝次
(72)【発明者】
【氏名】藤本 泰広
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−135231(JP,A)
【文献】 特開昭63−295997(JP,A)
【文献】 特開2003−021303(JP,A)
【文献】 特開2014−137188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 37/26
F22G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水から水蒸気を生成する水蒸気生成部と、
水蒸気から過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成部と、
前記水蒸気生成部からの水蒸気を前記過熱水蒸気生成部に導入する接続管と、
前記接続管において前記水蒸気が液化した水を貯留する貯留部とを備え、
前記水蒸気生成部及び前記過熱水蒸気生成部が、円筒形状をなす導体加熱要素と、前記導体加熱要素の内側又は外側に設けられた誘導コイルと、前記誘導コイルの中心部に設けられた磁路用鉄心とを有し、
前記水蒸気生成部の磁路用鉄心及び前記過熱水蒸気生成部の磁路用鉄心が、それら2つの磁路用鉄心に生じる磁束の共通の通路となる共通鉄心とともに三脚鉄心を構成しており、
前記2つの磁路用鉄心及び前記共通鉄心が、平面視において三角形の頂点に位置するように配置されており、
前記貯留部の一部又は全部が、前記水蒸気生成部の外面、前記過熱水蒸気生成部の外面及び前記共通鉄心の外面に取り囲まれる空間に配置されている過熱水蒸気生成装置。
【請求項2】
前記接続管の一部又は全部が、前記水蒸気生成部の外面、前記過熱水蒸気生成部の外面及び前記共通鉄心の外面に取り囲まれる空間に配置されている請求項1記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項3】
前記接続管が、上向きに延びる上向き流路部を有し、
前記貯留部が、前記上向き流路及び当該上向き流路の上流側の流路部を用いて構成されている請求項1又は2記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項4】
前記接続管が、下向きに延びる下向き流路部及び当該下向き流路に連通する上向き流路部を有し、
前記貯留部が、前記下向き流路部及び前記上向き流路部を用いて構成されている請求項1又は2記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項5】
前記貯留部に前記水蒸気が液化した水を排出する排出機構が設けられている請求項1乃至4の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項6】
前記水蒸気生成部の誘導コイル及び前記過熱水蒸気生成部の誘導コイルが、三相交流電源からの三相交流を2つの単相交流に変換するスコット結線接続されている請求項1乃至5の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項7】
前記水蒸気生成部の導体加熱要素が、一端部に水を導入する水導入ポートが形成されて他端部に前記水蒸気を導出する水蒸気導出ポートが形成された螺旋状をなす中空導体管であり、
前記過熱水蒸気生成部の導体加熱要素が、一端部に前記水蒸気を導入する水蒸気導入ポートが形成されて他端部に前記過熱水蒸気を導出する過熱水蒸気導出ポートが形成された螺旋状をなす中空導体管である請求項1乃至6の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項8】
前記過熱水蒸気生成部の過熱水蒸気導出ポートが形成された導出管部又は、前記過熱水蒸気導出ポートに接続された外部接続管に、前記水蒸気が液化した水を貯留する第2貯留部が設けられている請求項1乃至7の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項9】
前記第2貯留部に前記水蒸気が液化した水を排出する第2排出機構が設けられている請求項8記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項10】
前記過熱水蒸気導出ポートから出る過熱水蒸気の温度を検出する温度検出部が配置される空間と、前記第2貯留部の内部空間とが兼用されている請求項8又は9記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項11】
水から水蒸気を生成する水蒸気生成部と、
水蒸気から過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成部と、
前記水蒸気生成部からの水蒸気を前記過熱水蒸気生成部に導入する接続管と、
前記接続管に接続されて、前記水蒸気が液化した水を排出する排出機構とを備え、
前記水蒸気生成部及び前記過熱水蒸気生成部が、円筒形状をなす導体加熱要素と、前記導体加熱要素の内側又は外側に設けられた誘導コイルと、前記誘導コイルの中心部に設けられた磁路用鉄心とを有し、
前記水蒸気生成部の磁路用鉄心及び前記過熱水蒸気生成部の磁路用鉄心が、それら2つの磁路用鉄心に生じる磁束の共通の通路となる共通鉄心とともに三脚鉄心を構成しており、
前記2つの磁路用鉄心及び前記共通鉄心が、平面視において三角形の頂点に位置するように配置されており、
前記排出機構の一部又は全部が、前記水蒸気生成部の外面、前記過熱水蒸気生成部の外面及び前記共通鉄心の外面に取り囲まれる空間に配置されている過熱水蒸気生成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水から過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、過熱水蒸気を用いて、被処理物の洗浄、乾燥又は殺菌を行う過熱水蒸気処理装置が考えられている(例えば特許文献1)。
【0003】
この過熱水蒸気処理装置としては、特許文献2に示すように、水から飽和水蒸気を生成する飽和水蒸気生成部と、当該飽和水蒸気生成部により生成された飽和水蒸気から過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成部と、飽和水蒸気生成部の水蒸気を過熱水蒸気生成部に導入する接続管とを備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−137354号公報
【特許文献2】特開2015−135231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、飽和水蒸気生成部及び過熱水蒸気生成部を接続管で接続する構成では、当該接続管は誘導加熱されない部分となってしまう。そうすると、飽和水蒸気生成部から導出された水蒸気が接続管で液化してしまう恐れがある。この水が過熱水蒸気生成部の飽和水蒸気導入ポートに流入すると、過熱水蒸気導出ポートから出てしまう可能性がある。この水が被処理物に付着又は接触すると、被処理物の劣化等の不具合が生じてしまう場合がある。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、水蒸気が液化した水が過熱水蒸気生成部に流入すること防ぐことをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る過熱水蒸気生成装置は、水から水蒸気を生成する水蒸気生成部と、水蒸気から過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成部と、前記水蒸気生成部からの水蒸気を前記過熱水蒸気生成部に導入する接続管と、前記接続管において前記水蒸気が液化した水を貯留する貯留部とを備え、前記水蒸気生成部及び前記過熱水蒸気生成部が、円筒形状をなす導体加熱要素と、前記導体加熱要素の内側又は外側に設けられた誘導コイルと、前記誘導コイルの中心部に設けられた磁路用鉄心とを有し、前記水蒸気生成部の磁路用鉄心及び前記過熱水蒸気生成部の磁路用鉄心が、それら2つの磁路用鉄心に生じる磁束の共通の通路となる共通鉄心とともに三脚鉄心を構成しており、前記2つの磁路用鉄心及び前記共通鉄心が、平面視において三角形の頂点に位置するように配置されており、前記貯留部の一部又は全部が、前記水蒸気生成部の外面、前記過熱水蒸気生成部の外面及び前記共通鉄心の外面に取り囲まれる空間に配置されていることを特徴とする。
【0008】
このような過熱水蒸気生成装置であれば、水蒸気生成部及び過熱水蒸気生成部を接続する接続管に貯留部を設けているので、接続管において液化した水が過熱水蒸気生成部に流入することを防ぐことができる。
ここで、水蒸気生成部及び過熱水蒸気生成部を三脚鉄心を用いて構成することにより、過熱水蒸気生成装置をコンパクトにすることができる。また、三脚鉄心において2つの磁路用鉄心及び共通鉄心平面視において三角形の頂点に位置するように配置されているので、鉄心全体の幅方向の寸法を小さくすることができ、装置全体のコンパクト化及び省スペース化を図ることができる。
この鉄心構成では、水蒸気生成部及び過熱水蒸気生成部の間にデットスペースが形成されてしまうが、本発明では、貯留部の一部又は全部が水蒸気生成部の外面、過熱水蒸気生成部の外面及び共通鉄心の外面に取り囲まれる空間に配置されているので、このデットスペースを利用することができる。これにより、装置全体のコンパクト化及び省スペース化を図ることができる。
【0009】
前記接続管の一部又は全部が、前記水蒸気生成部の外面、前記過熱水蒸気生成部の外面及び前記共通鉄心の外面に取り囲まれる空間に配置されていることが望ましい。
この構成であれば、水蒸気生成部及び過熱水蒸気生成部の間に形成されるデットスペースを利用して両者を接続することができ、装置全体のコンパクト化及び省スペース化を図ることができる。
【0010】
前記接続管が、上向きに延びる上向き流路部を有し、前記貯留部が、前記上向き流路及び当該上向き流路の上流側の流路部を用いて構成されていることが望ましい。また、前記接続管が、下向きに延びる下向き流路部及び当該下向き流路に連通する上向き流路部を有し、前記貯留部が、前記下向き流路部及び前記上向き流路部を用いて構成されていることが望ましい。
この構成であれば、配管接続部の形状によって貯留部を形成することができ、装置構成を簡略化することができる。また、貯留部の内部空間を小さくして熱容量を小さくできるため、水蒸気を液化し難くすることができる。
【0011】
貯留部に溜まった水を簡単に排出できるようにするためには、前記貯留部に前記水蒸気が液化した水を排出する排出機構が設けられていることが望ましい。
【0012】
このように三脚鉄心を用いて水蒸気生成部及び過熱水蒸気生成部を構成する場合には、前記水蒸気生成部の誘導コイル及び前記過熱水蒸気生成部の誘導コイルが、三相交流電源からの三相交流を2つの単相交流に変換するスコット結線接続されていることが望ましい。
【0013】
前記水蒸気生成部の導体加熱要素が、一端部に水を導入する水導入ポートが形成されて他端部に前記水蒸気を導出する水蒸気導出ポートが形成された螺旋状をなす中空導体管であり、前記過熱水蒸気生成部の導体加熱要素が、一端部に前記水蒸気を導入する水蒸気導入ポートが形成されて他端部に前記過熱水蒸気を導出する過熱水蒸気導出ポートが形成された螺旋状をなす中空導体管であることが望ましい。
このように螺旋状をなす中空導体管を用いることにより、各生成部をコンパクトにしながらも流体(水又は水蒸気)と中空導体管との熱交換面積を大きくすることができる。
【0014】
前記過熱水蒸気生成部の過熱水蒸気導出ポートが形成された導出管部又は、前記過熱水蒸気導出ポートに接続された外部接続管に、前記水蒸気が液化した水を貯留する第2貯留部が設けられていることが望ましい。ここで、前記第2貯留部に前記水蒸気が液化した水を排出する第2排出機構が設けられていることが望ましい。
前記導出管部及びそれに接続される外部接続管は、誘導加熱されない部分であり、この部分での液化も問題となる。この部分に第2貯留部が設けられているので、過熱水蒸気生成部の過熱水蒸気導出ポートから、液化した水が出ることを防ぐことができる。
【0015】
水蒸気導出ポートから出る水蒸気の温度を検出する温度検出部が配置される空間と、前記貯留部の内部空間とが兼用されることが望ましい。また、前記過熱水蒸気導出ポートから出る過熱水蒸気の温度を検出する温度検出部が配置される空間と、前記第2貯留部の内部空間とが兼用されていることが望ましい。
このように温度検出部の配置空間と貯留部の内部空間とを兼用することによって、温度検出部用の専用空間を設ける必要が無く、温度検出部の配置空間を最小にすることができる。
【0016】
また、本発明に係る過熱水蒸気生成装置は、水から水蒸気を生成する水蒸気生成部と、水蒸気から過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成部と、前記水蒸気生成部からの水蒸気を前記過熱水蒸気生成部に導入する接続管と、前記接続管に接続されて、前記水蒸気が液化した水を排出する排出機構とを備え、前記水蒸気生成部及び前記過熱水蒸気生成部が、円筒形状をなす導体加熱要素と、前記導体加熱要素の内側又は外側に設けられた誘導コイルと、前記誘導コイルの中心部に設けられた磁路用鉄心とを有し、前記水蒸気生成部の磁路用鉄心及び前記過熱水蒸気生成部の磁路用鉄心が、それら2つの磁路用鉄心に生じる磁束の共通の通路となる共通鉄心とともに三脚鉄心を構成しており、前記2つの磁路用鉄心及び前記共通鉄心が、平面視において三角形の頂点に位置するように配置されており、前記排出機構の一部又は全部が、前記水蒸気生成部の外面、前記過熱水蒸気生成部の外面及び前記共通鉄心の外面に取り囲まれる空間に配置されているものであっても良い。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、水蒸気生成部及び過熱水蒸気生成部を接続する接続管に貯留部を設けているので、接続管において液化した水が過熱水蒸気生成部に流入することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態の過熱水蒸気生成装置の構成を模式的に示す図である。
図2】同実施形態の中空導体管の一例を示す図である。
図3】同実施形態の各水蒸気生成部の鉄心構成を主として示す平面図及び正面図である。
図4】同実施形態の各水蒸気生成部の鉄心構成の変形例を示す平面図である。
図5】同実施形態の各水蒸気生成部に誘導コイルの結線を示す図である。
図6】同実施形態の制御装置の構成を模式的に示す図である。
図7】同実施形態の処理方法を示す模式的に示す図である。
図8】変形実施形態の過熱水蒸気生成装置の構成を模式的に示す図である。
図9】変形実施形態の過熱水蒸気生成装置の構成を模式的に示す図である。
図10】各水蒸気生成部の加熱要素の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に係る過熱水蒸気生成装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態に係る過熱水蒸気生成装置100は、水を加熱することにより過熱水蒸気を生成するものであり、図1に示すように、水を加熱して飽和水蒸気を生成する水蒸気生成部2(以下、飽和水蒸気生成部2という。)と、飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成部3と、飽和水蒸気生成部2により生成された飽和水蒸気を過熱水蒸気生成部3に供給する水蒸気供給流路L2(以下、飽和水蒸気供給流路L2という。)とを備えている。
【0021】
飽和水蒸気生成部2は、誘導加熱方式のものであり、水が導入される水導入ポート21及び飽和水蒸気を導出する飽和水蒸気導出ポート22を有する。なお、水導入ポートには、図示しないタンク等から飽和水蒸気生成部2に水を供給する水供給流路L1が接続されている。
【0022】
この飽和水蒸気生成部2は、水導入ポート21及び飽和水蒸気導出ポート22を有する例えば螺旋状に形成された第1中空導体管2T(図2参照)と、当該第1中空導体管2Tの内側又は外側に配置されて第1中空導体管2Tを誘導加熱する第1誘導コイル(不図示)と、当該第1誘導コイルに交流電圧を印加する交流電源(不図示)とを備えたものであり、当該第1誘導コイルに交流電圧を印加することによって、第1中空導体管2Tに誘導電流を流すことによりジュール発熱させて、第1中空導体管2Tに導入された水を飽和水蒸気に状態変化させるものとすることが考えられる。
【0023】
ここで、水導入ポート21は、第1中空導体管2Tの一端部に形成されており、飽和水蒸気導出ポート22は、第1中空導体管2Tの他端部に形成されている。つまり、第1中空導体管2Tの内部流路は、一端部の水導入ポート21から他端部の飽和水蒸気導出ポート22に至るまで1本の螺旋状の流路となる。そして、この第1中空導体管2Tは、その水導入ポート21が下部に位置し、飽和水蒸気導出ポート22が上部に位置するように配置される。より詳細には、第1中空導体管2Tは、その螺旋中心が鉛直方向に沿って配置されている。
【0024】
また、本実施形態では、第1中空導体管2Tの飽和水蒸気導出ポート22から導出される飽和水蒸気の温度を検出して、第1誘導コイルに印加する電圧をフォードバック制御することによって、第1中空導体管2Tの飽和水蒸気導出ポート22から導出される飽和水蒸気の温度を制御する。なお、飽和水蒸気の温度検出は、飽和水蒸気の温度を直接検出する方式と、第1中空導体管2Tの温度を検出することによって飽和水蒸気の温度を間接検出する方式とが考えられる。
【0025】
過熱水蒸気生成部3は、前記飽和水蒸気生成部2と同様、誘導加熱方式のものであり、飽和水蒸気が導入される飽和水蒸気導入ポート31及び過熱水蒸気を導出する過熱水蒸気導出ポート32を有する。
【0026】
この過熱水蒸気生成部3は、飽和水蒸気導入ポート31及び過熱水蒸気導出ポート32を有する例えば螺旋状の第2中空導体管3T(図2参照)と、当該第2中空導体管3Tの内側又は外側に配置されて第2中空導体管3Tを誘導加熱する第2誘導コイル(不図示)と、当該第2誘導コイルに交流電圧を印加する交流電源(不図示)とを備えたものであり、当該第2誘導コイルに交流電圧を印加することによって、第2中空導体管3Tに誘導電流を流すことによりジュール発熱させて、第2中空導体管3Tに導入された飽和水蒸気を過熱水蒸気に状態変化させるものとすることが考えられる。
【0027】
ここで、飽和水蒸気導入ポート31は、第2中空導体管3Tの一端部に形成されており、過熱水蒸気導出ポート32は、第2中空導体管3Tの他端部に形成されている。つまり、第2中空導体管3Tの内部流路は、一端部の飽和水蒸気導入ポート31から他端部の過熱水蒸気導出ポート32に至るまで1本の螺旋状の流路となる。そして、この第2中空導体管3Tは、その飽和水蒸気導入ポート31が上部に位置し、過熱水蒸気導出ポート32が下部に位置するように配置される。これにより、飽和水蒸気生成部2の第1中空導体管2Tとの配管構成を簡単化し、その接続を容易にすることができる。
【0028】
また、本実施形態では、第2中空導体管3Tの過熱水蒸気導出ポート32から導出される過熱水蒸気の温度を検出して、第2誘導コイルに印加する電圧をフォードバック制御することによって、第2中空導体管3Tの過熱水蒸気導出ポート32から導出される過熱水蒸気の温度を制御する。なお、過熱水蒸気の温度検出は、過熱水蒸気の温度を直接検出する方式と、第2中空導体管3Tの温度を検出することによって過熱水蒸気の温度を間接検出する方式とが考えられる。
【0029】
また、誘導加熱方式の飽和水蒸気生成部2及び過熱水蒸気生成部3では、印加する交流電圧の周波数を50Hz又は60Hzの商用周波数とすると、誘導電流の電流浸透度が深くなる。このため、第1、第2中空導体管2T、3Tの外面温度検出で内面温度検出と同等の値を得ることができ、間接検出であっても精度の高い蒸気温度検出が可能となる。
【0030】
本実施形態では、図3及び図4に示すように、飽和水蒸気生成部2の第1誘導コイル2Cの中心部に第1磁路用鉄心101が設けられており、過熱水蒸気生成部3の第2誘導コイル3Cの中心部に第2磁路用鉄心102が設けられている。これにより、これにより第1、第2誘導コイル2C、3Cにより発生した磁束を効率良く循環させ、各中空導体管2T、3Tに磁束を効率良く導入させている。なお、図3及び図4には、各ポートは図示していない。
【0031】
さらに、飽和水蒸気生成部2の第1磁路用鉄心101及び過熱水蒸気生成部3の第2磁路用鉄心102の他に、それら2つの磁路用鉄心101、102に生じる磁束の共通の通路になる共通鉄心103が設けられている。そして、この共通鉄心103及び前記2つの磁路用鉄心101、102の上下それぞれを継鉄心104、105により連結して、単一の三脚鉄心を構成している。この構成により、鉄心全体の寸法を小さくすることができ、ひいては、装置全体のコンパクト化を図ることができる。つまり、本実施形態の過熱水蒸気生成装置100は、単一の三脚鉄心を用いて飽和水蒸気生成部2及び過熱水蒸気生成部3を構成している。
【0032】
なお、図3及び図4では、平面視においてそれぞれの鉄心101〜103が三角形の頂点に位置するように配置され、継鉄心104、105が、平面視において共通鉄心103を屈折点として折れ曲がっている。これにより、2つの磁路用鉄心101、102間の距離を小さくして、鉄心全体の幅方向の寸法を小さくし、省スペース化を図ることができる。
【0033】
さらに、本実施形態では、飽和水蒸気生成部2の第1誘導コイル2C及び過熱水蒸気生成部3の第2誘導コイル3Cは、三相交流電源からの三相交流を2つの単相交流に変換するスコット結線接続されている(図5参照)。つまり、本実施形態の過熱水蒸気生成装置100は、単一の三脚鉄心を有するスコット結線変圧器を有する構成となる。スコット結線変圧器は、主座変圧器とT座変圧器とからなるところ、飽和水蒸気生成部2に対応する部分が主座変圧器となり、過熱水蒸気生成部3に対応する部分がT座変圧器となる。
【0034】
また、図5に示すように、主座変圧器の入力側の2相のうち一方に、電圧又は電流を制御する第1制御機器10が設けられている。なお、図5では、主座変圧器の入力側のV相に第1制御機器10であるサイリスタ等の半導体制御素子を設けている。また、T座変圧器の入力側である1次コイル(第2誘導コイル3C)の一端側(T座1次コイルのU相側又は中点O側)に、電圧又は電流を制御する第2制御機器11が設けられている。この第2制御機器11も、前記第1制御機器10と同様、サイリスタ等の半導体制御素子を用いたものである。そして、制御装置6が、前記第1制御機器10及び前記第2制御機器11を制御することによって、主座変圧器の一次コイル(第1誘導コイル2C)に印加する電圧とT座変圧器の一次コイル(第2誘導コイル3C)に印加する電圧とを個別に制御するように構成されている。
【0035】
飽和水蒸気供給流路L2は、一端部が飽和水蒸気生成部2の飽和水蒸気導出ポート22に接続され、他端部が過熱水蒸気生成部3の過熱水蒸気導入ポート31に接続されたものであり、例えば接続管9により構成されている。具体的に飽和水蒸気供給流路L2は、飽和水蒸気生成部2の上部に位置する飽和水蒸気導出ポート22と、過熱水蒸気生成部3の上部に位置する飽和水蒸気導入ポート31とを接続する。
【0036】
この接続管9は、その一部又は全部が、飽和水蒸気生成部2の外面(具体的には外側周面)、過熱水蒸気生成部3の外面(具体的には外側周面)及び共通鉄心103の外面(具体的には外側周面)に取り囲まれる空間Sに配置されている。具体的に接続管9は、第1磁路用鉄心101に巻回された第1誘導コイル2C及び第1中空導体管2Tと第2磁路用鉄心102に巻回された第2誘導コイル3C及び第2中空導体管3Tとの間に形成される空間Sに配置されて、飽和水蒸気導出ポート22と飽和水蒸気導入ポート31とを接続している。ここで空間Sは、平面視において飽和水蒸気生成部2の外側周面と過熱水蒸気生成部3の外側周面との共通接線L1よりも共通鉄心103側に形成される空間である。なお、共通接線L1は、第1誘導コイル2C及び第1中空導体管2Tの外側周面と、第2誘導コイル3C及び第2中空導体管3Tの外側周面とに接する直線である。また、空間Sは、正面視において上継鉄心104の上面及び下継鉄心105の下面の間に形成される空間である。これならば、飽和水蒸気生成部2及び過熱水蒸気生成部3の間に形成されるデットスペースを利用して両者を接続することができ、小型化を妨げることが無い。
【0037】
また、接続管9には、水蒸気が液化した水を貯留する貯留部8及び当該貯留部8に溜まった水を外部に排出する排出機構7が設けられている。
【0038】
貯留部8は、水を貯留する貯留空間を形成するものであり、本実施形態では接続管9の配管形状によって形成されている。具体的に接続管9は、下向きに延びる下向き流路部9aと、上向きに延びる上向き流路部9bとそれら流路部9a、9bを連通させる底流路部9cとを有している。そして、貯留部8は、この下向き流路9a、上向き流路9b及び底流路部9cを用いて構成されている。なお、底流路部9cを有することなく、下向き流路部9a及び上向き流路部9bが直接接続される配管形状によって貯留部8が構成されるものであっても良い。このように貯留部8を配管形状によって形成することで装置構成を簡略化している。また、貯留部8の内部空間を小さくして熱容量を小さくできるため、水蒸気を液化し難くすることができる。この貯留部8は、接側管9において、飽和水蒸気導出ポート22よりも飽和水蒸気導入ポート31側に設けることが望ましい。
【0039】
ここで、貯留部8は、接続管9により構成されているので接続管9と同様に、その一部又は全部が、飽和水蒸気生成部2の外面、過熱水蒸気生成部3の外面及び共通鉄心103の外面に取り囲まれる空間Sに配置される。これならば、飽和水蒸気生成部2及び過熱水蒸気生成部3の間に形成されるデットスペースを利用して貯留部8を配置することができ、小型化を妨げることが無い。
【0040】
排出機構7は、貯留部8の底部に接続された排出流路71と、当該排出流路71に設けられた開閉弁72とを有する。排出流路71は、貯留部8を構成する底流路部92に接続されている。本実施形態では、貯留部8の底部に設けられた排出機構7も、接続管9及び貯留部8と同様に、その一部又は全部が、飽和水蒸気生成部2の外面、過熱水蒸気生成部3の外面及び共通鉄心103の外面に取り囲まれる空間Sに配置される。これならば、飽和水蒸気生成部2及び過熱水蒸気生成部3の間に形成されるデットスペースを利用して排出機構7を配置することができ、小型化を妨げることが無い。
【0041】
さらに、飽和水蒸気供給流路L2には、過熱水蒸気生成部3に供給される飽和水蒸気の流量を調整する水蒸気流量調整部4(以下、飽和水蒸気流量調整部4という。)が設けられている。本実施形態の飽和水蒸気流量調整部4は、流量調整弁であり、接続管9において貯留部8よりも上流側に設けられている。なお、流量調整弁4は、後述する制御装置6により制御信号が入力されて、その弁開度が制御される。その他、飽和水蒸気供給流路L2に流量計を設けても良い。
【0042】
そして、本実施形態では、過熱水蒸気生成部3により生成された過熱水蒸気は、被処理物Wを処理する処理部5に供給される。
【0043】
処理部5は、過熱水蒸気又は他の気体によって被処理物Wを熱処理(例えば洗浄、乾燥、焼成又は殺菌)するものであり、被処理物Wを収容するとともに、密閉空間又は略密閉空間を形成する被処理物収容部51と、当該被処理物収容部51に設けられ、過熱水蒸気が導入される過熱水蒸気導入ポート52と、被処理物収容部51で生じたドレン水を排出するドレン排出ポート53と、被処理物収容部51を通過した利用済み蒸気又は他の気体を排出する排出ポート54とを有している。処理部5の過熱水蒸気導入ポート52は、過熱水蒸気供給流路L3により過熱水蒸気生成部3の過熱水蒸気導出ポート32に接続されている。この過熱水蒸気供給流路L3は、例えば外部接続管10により構成されている。なお、ドレン排出ポート53及び排出ポート54に接続された流路には開閉弁が設けられている。
【0044】
この制御装置6は、物理的にはCPU、メモリ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ等を備えたものであり、機能的には、図6に示すように、飽和水蒸気生成部2の加熱温度(以下、第1加熱温度という。)を制御する第1加熱温度制御部61と、過熱水蒸気生成部3の加熱温度(以下、第2加熱温度という。)を制御する第2加熱温度制御部62と、流量調整弁4を制御する流量調整弁制御部63とを有するものである。なお、制御装置6と、飽和水蒸気生成部2及び過熱水蒸気生成部3等の各部との間は接続されているが、図1では、その接続についての記載は省略してある。
【0045】
以下、各部の説明を兼ねて、本実施形態の過熱水蒸気生成装置100の動作について図7を参照して説明する。
まず、ユーザが過熱水蒸気生成装置100を動作させると、例えば図示しないタンク内の水が給水ポンプ等により飽和水蒸気生成部2に供給される。
【0046】
このとき、第1加熱温度制御部61は、飽和水蒸気生成部2で生成される飽和水蒸気が所定温度となるように、第1加熱温度を制御しており、本実施形態では、飽和水蒸気生成部2の中空導体管2Tの温度を前記第1加熱温度としている。
【0047】
具体的にこの第1加熱温度制御部61は、飽和水蒸気生成部2の中空導体管2T又は飽和水蒸気供給流路L2に設けられた第1温度センサT1からの測定値を取得し、この測定値に基づいて、飽和水蒸気生成部2の第1誘導コイル2Cに印加される交流電圧の大きさを制御し、第1加熱温度を例えば100〜140℃に制御している。
【0048】
なお、前記第1温度センサT1は、その測定値をより飽和水蒸気の温度に近づけるべく、飽和水蒸気生成部2の中空導体管2Tの下流側や飽和水蒸気導出ポート22又はその近傍に設けられていることが好ましい。ここで、第1温度センサT1が設置される空間と、貯留部8の内部空間とを兼用することが望ましい。
【0049】
そして、飽和水蒸気生成部2が飽和水蒸気を生成している状態において、第1流量調整弁制御部63は、第1流量調整弁4をその弁開度がゼロの状態、つまり閉状態に制御している。これにより、過熱水蒸気生成装置100は、飽和水蒸気生成部2が飽和水蒸気を生成している状態であり、かつ、その飽和水蒸気の供給が停止されている状態である待機状態となる。
【0050】
この待機状態において、第2加熱温度制御部62は、第2加熱温度を第1加熱温度より高い温度に制御しており、本実施形態では、第2中空導体管3Tの温度を前記第2加熱温度としている。
【0051】
具体的にこの第2加熱温度制御部62は、待機状態において、第2中空導体管3Tに設けられた第2温度センサT2からの測定値を取得し、この測定値に基づき、第2誘導コイル3Cに印加される交流電圧の大きさを制御している。これにより、第2加熱温度は、過熱水蒸気生成部3で生成する過熱水蒸気の設定温度又はその前後の温度に制御されており、ここでは、例えば200〜1200℃に制御されている。つまり、この待機状態において、過熱水蒸気生成部3は100℃以上に制御されている。
【0052】
上述した待機状態において、ユーザが例えば入力手段等を用いて切替信号を入力すると、この切替信号を流量調整弁制御部63が取得し、流量調整弁4を閉状態から開状態に切り替える。これにより、過熱水蒸気生成装置100は、待機状態から供給状態に切り替わり、飽和水蒸気が過熱水蒸気生成部3へ供給され始める。なお、第2温度センサT2からの測定値が100℃以上になった場合に、第2加熱温度制御部62から切替信号を流量調整弁制御部63に送信するようにしても良い。このように、流量調整弁4及び流量調整弁制御部63により、過熱水蒸気生成部3を100℃以上に加熱した後に飽和水蒸気を過熱水蒸気生成部3に導入させる制御機構が構成される。
【0053】
このとき、流量調整弁制御部63は、図7に示すように、流量調整弁4を徐々に開いて、その弁開度がゼロから所定開度まで徐々に大きくなるように制御する。これにより、待機状態から供給状態に切り替わった切替時点から流量調整弁4の弁開度が所定開度に到るまでは、飽和水蒸気の供給量が徐々に増加する初期運転となり、弁開度が所定開度に到った時点からは、飽和水蒸気の供給量が一定となる定常運転となる。
【0054】
なお、本実施形態では、前記第2加熱温度制御部62は、前記切替時点から所定時間は、上述したように第2導体管の入り口側に設けられた第2温度センサT2の測定値に基づき第2加熱温度を制御している。一方、この第2加熱温度制御部62は、前記所定時間が経過した時点からは、過熱水蒸気の温度に基づき第2加熱温度を制御するように構成されている。
【0055】
この制御のための具体的な実施態様を説明すると、例えば過熱水蒸気導出ポート32やその近傍に、当該過熱水蒸気導出ポート32から導出される過熱水蒸気の温度を測定する第3温度センサT3が設けられている。そして、前記第2加熱温度制御部62は、前記所定時間が経過した時点からは、前記第3温度センサT3の測定値を取得し、この測定値に基づいて、第2加熱温度を制御するように構成されている。
【0056】
ここで、本実施形態では、前記所定時間は、待機状態から供給状態に切り替わった切替時点から、第2中空導体管3Tの過熱水蒸気導出ポート32から過熱水蒸気が導出されるまでの時間に設定されている。
【0057】
次に、供給状態から待機状態に切り替える動作について説明する。
本実施形態の過熱水蒸気生成装置100は、供給状態から待機状態に切り替えるための操作が行われた時点から、所定時間経過後に、過熱水蒸気生成部3への飽和水蒸気の供給が停止されるように構成されている。
ここで、供給状態から待機状態に切り替えるための操作とは、例えばユーザが、外部から入力手段等を用いて切替信号を入力することや、供給状態が所定時間経過したことを示す所定時間経過信号をタイマー等が出力することなどである。
【0058】
より詳細に本実施形態では、供給状態から待機状態に切り替えるための操作が行われると、上述した流量調整弁制御部63が、例えば前記切替信号や前記所定時間経過信号などを取得し、取得した時点から所定時間は、流量調整弁4を開状態のままにする。これにより、前記所定時間において、飽和水蒸気生成部2から過熱水蒸気生成部20へ飽和水蒸気が供給される。前記所定時間において、飽和水蒸気生成部2から過熱水蒸気生成部3へ飽和水蒸気が供給され、高温となっている過熱水蒸気生成部3は飽和水蒸気により冷却される。これにより、過熱水蒸気生成部3を待機状態における設定温度まで冷却して、過熱水蒸気生成装置100の損傷などを防ぐことができる。
【0059】
このように構成した過熱水蒸気生成装置100によれば、飽和水蒸気生成部2及び過熱水蒸気生成部3を接続する接続管9に貯留部8を設けているので、接続管9において液化した水が過熱水蒸気生成部3に流入することを防ぐことができる。
ここで、飽和水蒸気生成部2及び過熱水蒸気生成部3を三脚鉄心を用いて構成することにより、過熱水蒸気生成装置100をコンパクトにすることができる。また、三脚鉄心において2つの磁路用鉄心101、102及び共通鉄心103が平面視において三角形の頂点に位置するように配置されているので、鉄心全体の幅方向の寸法を小さくすることができ、装置全体のコンパクト化及び省スペース化を図ることができる。
この鉄心構成では、飽和水蒸気生成部2及び過熱水蒸気生成部3の間にデットスペースが形成されてしまうが、貯留部8の一部又は全部が飽和水蒸気生成部2の外面、過熱水蒸気生成部3の外面及び共通鉄心103の外面に取り囲まれる空間Sに配置されているので、このデットスペースを利用することができる。これにより、装置全体のコンパクト化及び省スペース化を図ることができる。
【0060】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では、過熱水蒸気生成部3は、前段に設けられた飽和水蒸気生成部2により生成された飽和水蒸気を受け取る構成としているが、飽和水蒸気生成部2が飽和水蒸気をそれ以上に加熱して過熱水蒸気を生成するものの場合には、過熱水蒸気を受け取り、受け取った過熱水蒸気をさらに加熱して、処理部5に供給する所望温度の過熱水蒸気を生成する構成としても良い。
【0061】
また、前記何れかの中空導体管2T、3Tに前記接続管9としての機能を一体的に設けることにより、飽和水蒸気生成部2の飽和水蒸気導出ポート22と過熱水蒸気生成部3の過熱水蒸気導入ポート31とを例えば絶縁性を有する継手を介して接続するようにしても良い。
【0062】
前記実施形態の貯留部8を接続管9の配管形状によって構成する場合、接続管9が飽和水蒸気導入ポート31よりも低い流路部を有するものであれば、当該低い流路部が貯留部8として機能することになる。
【0063】
また、貯留部8は、接続管9とは別の貯留容器を用いて構成し、当該貯留容器を接続管9に接続又は組み込むようにしても良い。
【0064】
前記実施形態では、貯留部8に排出機構7を接続する構成であったが、貯留部8を設けることなく、接続管9に直接排出機構7を接続する構成であっても良い。この場合、当該排出機構7の排出流路71において、開閉弁72の上流側の空間が貯留部8として機能することになる。また、貯留部8のみを設けたものであっても良い。
【0065】
また、図8及び図9に示すように、過熱水蒸気生成部3の過熱水蒸気導出ポート32が形成された導出管部又は、過熱水蒸気導出ポート32に接続された外部接続管10に、排出機構7又は貯留部8を設けても良い。なお、図8及び図9では、外部接続管10に、排出機構7及び貯留部8を設けた場合を示している。また、図8及び図9では、飽和水蒸気導入ポート31が下部に位置し、過熱水蒸気導出ポート32が上部に位置する過熱水蒸気生成部を示している。
ここで、図8では、過熱水蒸気導出ポート32から出る過熱水蒸気の温度を検出する第3温度センサT3を貯留部8の内部空間に設けることにより、第3温度センサT3が配置される空間と、貯留部8の内部空間とを兼用している。これにより、第3温度センサT3用の専用空間を設ける必要が無く、第3温度センサT3の配置空間を最小にすることができる。
また、図8では、飽和水蒸気供給流路L2(接続管9)に流量調整弁4を設けているので、前記実施形態の制御を行うためには、第1温度センサT1を流量調整弁4の上流側に設ける必要がある。一方、図9では、飽和水蒸気供給流路L2(接続管9)に流量調整弁4を設けない構成であり、第1温度センサT1を飽和水蒸気供給流路L2(接続管9)に設けた貯留部8の内部空間に設けることにより、第1温度センサT1が配置される空間と、貯留部8の内部空間とを兼用することができる。これにより、第1温度センサT1用の専用空間を設ける必要が無く、第1温度センサT1の配置空間を最小にすることができる。
【0066】
前記実施形態の各生成部は、円筒状の導体加熱要素として螺旋状の中空導体管を用いたものであったが、例えば、図10に示すように、内部に螺旋状の内部流路が形成された円筒形状をなす導体加熱要素であっても良いし、内部に円筒状の内部空間が形成された円筒状をなす導体加熱要素であっても良い。
【0067】
前記実施形態では、過熱水蒸気生成部3が100℃になる前から、飽和水蒸気生成部2により飽和水蒸気を生成し、流量調整弁4の開閉を切り替えることによって、100℃以上となった過熱水蒸気生成部に飽和水蒸気を導入させているが、この制御方式に限られない。例えば、まず過熱水蒸気生成部3のみに電力供給を開始して、過熱水蒸気生成部3を100℃以上にし、その後、飽和水蒸気生成部への電力供給を開始して飽和水蒸気を生成するようにしても良い。
【0068】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
100・・・過熱水蒸気生成装置
2 ・・・飽和水蒸気生成部(水蒸気生成部)
21 ・・・水導入ポート
22 ・・・飽和水蒸気導出ポート
3 ・・・過熱水蒸気生成部
31 ・・・飽和水蒸気導入ポート
32 ・・・過熱水蒸気導出ポート
2T ・・・第1中空導体管
3T ・・・第2中空導体管
2C ・・・第1誘導コイル
101・・・第1磁路用鉄心
3C ・・・第2誘導コイル
102・・・第2磁路用鉄心
103・・・共通鉄心
4 ・・・流量調整弁(切替部)
6 ・・・制御装置
63 ・・・流量調整弁制御部
7 ・・・排出機構
8 ・・・貯留部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10