(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452613
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】航空機洗面所酸素源
(51)【国際特許分類】
A62B 7/14 20060101AFI20190107BHJP
B64D 11/00 20060101ALI20190107BHJP
F17C 7/00 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
A62B7/14
B64D11/00
F17C7/00 A
【請求項の数】21
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-541902(P2015-541902)
(86)(22)【出願日】2013年11月7日
(65)【公表番号】特表2016-506252(P2016-506252A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】US2013069001
(87)【国際公開番号】WO2014074746
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2015年6月24日
【審判番号】不服2017-11490(P2017-11490/J1)
【審判請求日】2017年8月2日
(31)【優先権主張番号】61/724,772
(32)【優先日】2012年11月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/073,590
(32)【優先日】2013年11月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500413696
【氏名又は名称】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】B/E Aerospace, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】シュレイダー、アダム リー
(72)【発明者】
【氏名】マータ、ケニス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ、ブライアン ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】マクルランド、マーク ウェスリー
【合議体】
【審判長】
水野 治彦
【審判官】
金澤 俊郎
【審判官】
粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/009079(WO,A1)
【文献】
特表2009−538771(JP,A)
【文献】
特開2003−227480(JP,A)
【文献】
特開平4−296294(JP,A)
【文献】
特開2011−241971(JP,A)
【文献】
特表2002−543936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 7/14
B64D 11/00
F17C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる呼吸に適した補給用酸素を少量分配するために航空機の洗面所で用いる航空機洗面所酸素源において、
第1の酸素圧の気体酸素を蓄えるように構成される酸素貯留容器であって、前記酸素貯留容器は、前記酸素貯留容器内の高圧酸素を第1の酸素圧に保つように構成される圧力シールによって密封される開口を有し、前記圧力シールは、前記圧力シールが破られるまで、前記酸素貯留容器からの流れに抗して前記酸素貯留容器を密封するように構成される、酸素貯留容器と、
アクチュエータと、
前記酸素貯留容器の前記開口の前記圧力シールと流体連通状態で接続されるとともに、前記圧力シールが破られるときに前記酸素貯留容器の前記開口から酸素の流れを受けるように構成されるマニホールドであって、前記マニホールドは、前記酸素貯留容器の前記圧力シールと流体連通状態で接続される酸素流路を含む出口を含み、前記マニホールドの前記出口は、前記酸素流路内で前記アクチュエータに含まれる中空のポート付きニードルの下流に順次に配置される複数の流量制御オリフィスを含み、各流量制御オリフィスはその流量制御オリフィスより半径の大きい区画室に通じており、前記複数の流量制御オリフィスのうち第1の流量制御オリフィスは第1の区画室の下流に隣接し、前記複数の流量制御オリフィスのうち第2の流量制御オリフィスは第2の区画室の下流に隣接し、前記第2の区画室は前記第1の区画室の下流であって前記第1の区画室の第1の半径より小さい第2の半径を有し、前記流量制御オリフィスは、前記出口を通じた酸素流量を制御することで、所定の航空機高度、時間間隔、および、航空機降下プロファイルで、または、徐放特性で、人の生理的な生命維持要件を支えられる酸素圧であって前記第1の酸素圧よりも低い酸素圧である第2の酸素圧で所定量の酸素を供給するように構成される、マニホールドと、を備え、
前記アクチュエータは、前記圧力シールを破るように構成され、前記圧力シールが、前記酸素貯留容器の前記開口を通じた酸素の流れを開始するためにアクチュエータの作動時に前記アクチュエータによって破られる、破壊される、または、破断されるように構成される航空機洗面所酸素源。
【請求項2】
前記酸素貯留容器が金属から形成される請求項1に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項3】
前記酸素貯留容器が耐食ステンレス鋼円筒体を備える請求項1に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項4】
前記圧力シールは、高圧酸素を保持するように構成されるとともに、前記酸素貯留容器を開放して前記酸素貯留容器からの酸素の流れを開始するために破壊され、または破断され得る脆弱材料から形成される脆弱ディスクを備える請求項1に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項5】
前記脆弱ディスクは、前記マニホールドと前記酸素貯留容器の前記開口との間で圧縮される請求項4に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項6】
前記脆弱ディスクは、前記酸素貯留容器のためのシール面および破断点を与える請求項4に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項7】
前記マニホールドの前記出口は、航空機の洗面所で使用されるように構成される少なくとも1つの呼吸マスクのための少なくとも1つの出口ホースに接続されるように構成されるスイベルコネクタ取付具を備える請求項1に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項8】
前記スイベルコネクタ取付具が360度回転するように構成される請求項7に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項9】
前記マニホールドの前記出口は、前記出口に対して取り外し可能に取り付けられる少なくとも1つの酸素分配チューブを更に備える請求項1に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項10】
前記少なくとも1つの酸素分配チューブが少なくとも1つの取り外し可能に取り付けできるコネクタを備える請求項9に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項11】
前記少なくとも1つの取り外し可能に取り付けできるコネクタは、前記出口に取り外し可能に接続される請求項10に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項12】
前記少なくとも1つの取り外し可能に取り付けできるコネクタは、前記少なくとも1つの酸素分配チューブの一部分間で取り外し可能に接続される請求項10に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項13】
前記少なくとも1つの取り外し可能に取り付けできるコネクタは、呼吸マスクに対して取り外し可能に接続される請求項10に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項14】
第2の酸素圧の酸素の流れを前記マニホールドの前記出口から受けるように接続される、航空機洗面所内の少なくとも1つの呼吸マスクを更に備える請求項1に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項15】
前記マニホールドは、前記酸素流路と流体連通状態で接続される圧力解放ポートを備える請求項1に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項16】
前記アクチュエータは、ニードルと、前記ニードルに前記圧力シールを穿刺させるべく構成されるバネ荷重機構とを備え、前記バネ荷重機構は、酸素が前記流路を通じて流れることができるようにするべく前記ニードルを前記圧力シールに押し通すのに十分なバネ力を与える請求項1に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項17】
前記バネ荷重機構は、作動力をもたらすように構成される波形バネを備える請求項16に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項18】
前記アクチュエータは、前記圧力シールを穿刺することによって高圧酸素の流れを開始するためのニードルおよび火薬式機構を備え、前記火薬式機構は、酸素が流れることができるように前記ニードルを前記脆弱ディスクに押し通すのに十分な力を与える請求項4に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項19】
前記アクチュエータは、ニードルと、前記ニードルに前記圧力シールを穿刺させるように構成される電動ソレノイドとを備え、前記電動ソレノイドは、酸素が流れることができるように前記ニードルを前記脆弱ディスクに押し通すのに十分な力を与える請求項4に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項20】
前記アクチュエータは、ニードルと、前記ニードルに前記圧力シールを穿刺させるように構成される空気圧起動装置とを備え、前記空気圧起動装置は、酸素が流れることができるように前記ニードルを前記脆弱ディスクに押し通すのに十分な力を与える請求項4に記載の航空機洗面所酸素源。
【請求項21】
前記アクチュエータは、前記脆弱ディスクを機械的に破るように構成される金属楔形状ニードルを備え、前記酸素貯留容器の前記開口が金属から形成され、前記アクチュエータは、前記金属楔形状ニードルを前記酸素貯留容器の前記金属開口内へ押し込むように構成され、それにより、前記金属楔形状ニードルおよび前記酸素貯留容器の前記開口は、前記アクチュエータの作動時に、前記出口を通じた前記酸素貯留容器からの酸素の流れを案内するように構成されるメタルオンメタル楔シールを形成する請求項4に記載の航空機洗面所酸素源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、参照することにより本願に組み入れられる2012年11月9日に出願された仮出願61/724,772号および2013年11月6日に出願された非仮出願14/073,590号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、客室圧力の低下時に配備できるように規定どおりに民間航空機に搭載される非常用酸素供給システムに関する。特に、本発明は、低酸素症として知られる結果を防止するために、減圧の際に使用されるべき航空機洗面所酸素源に関連する。
【背景技術】
【0003】
非常用酸素供給システムは、一般に、約10,000フィートよりも上の高度での客室圧力の低下時に搭乗者に酸素を供給する目的で航空機に設置される。そのようなシステムは、一般に、必要時に頭上収納区画室から解放されて口および鼻を覆って取り付くようになっているフェイスマスクを含む。マスクによって供給される補給用酸素は、広く行き渡る客室気圧高度の状態で周囲空気を吸い込むときに経験するであろうレベルを超えて、マスクユーザにおける血中酸素飽和レベルを高める。これにより与えられる酸素の流量は、客室圧力が回復されるまで、またはより低い更に安全な高度に達することができるまで搭乗者全員を維持するのに十分となるように計算される。
【0004】
一般に、旅客機には、高い高度での航空機の減圧の際に搭乗者に対して酸素を供給するために落下する非常用酸素マスクを伴う酸素供給源が客室領域および搭乗者洗面所に備えられてきた。酸素を航空機の客室に供給するための1つの従来のシステムが知られており、このシステムは、点火装置と点火装置を順に起動させるためのシーケンサとを伴う複数の化学酸素発生器、および、酸素マスクを含み、化学発生器は、発生された酸素を酸素マスクに対して分配する。分配システムの一部を成す圧力センサは、圧力が閾値を下回って降下するときにはいつでも、次の化学発生器の点火装置を順次に起動させるようにシーケンサを制御する。航空機内の搭乗者に非常用酸素を供給するための他の従来のシステムが知られており、このシステムは、少なくとも1つの呼吸マスク、および該呼吸マスクに接続される発熱化学酸素発生器を収容する装着容器を含む。
【0005】
しかしながら、搭乗者定員が20人以上の特定の旅客輸送カテゴリーの航空機に関して、連邦航空局(FAA)は、最近、航空機洗面所内の化学酸素発生器の配置による想定し得る危険を排除するために、洗面所内の全ての化学酸素発生器を該発生器の酸素供給源が使い果たされるまで作動させること、または、酸素発生器を除去するとともに発生器が使い果たされた後または除去された後に酸素マスクを除去または再格納して洗面所内のマスク分配ドアを閉じることを要求した。客室乗務員は、現在、非常用酸素を素早く得ることに関する支援を洗面所内のいかなる搭乗者に対しても行おうと試みるために、客室減圧が生じるときに洗面所が塞がっているかどうかをチェックするように指示されている。しかしながら、そのような客室減圧事態中における洗面所搭乗者による洗面所ドアのロックおよび洗面所搭乗者の倒れ込みは、場合により、非常用酸素を得ることに関する洗面所搭乗者に対する支援を客室乗務員が行うことを少なくとも妨げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、つい最近、更なる見直しにより、FAAは、代わりの酸素補給システムを各洗面所内に設置することを要求した。したがって、現在のFAA要件に準拠するため、較正流量ポートを介して気体酸素を供給するために、そのような酸素補給システムに航空機洗面所酸素源を設けるべく洗面所酸素システムを提供することが望ましい。本発明は、これらのニーズおよび他のニーズを満たす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡単に大まかに言えば、本発明は、酸素貯留容器、酸素貯留容器と接続されるマニホールド、および、酸素の流れを開始するために酸素貯留容器の圧力シールを破るように構成されるアクチュエータを含む、航空機の洗面所で用いる航空機洗面所酸素源を提供する。
【0008】
本発明は、ユーザによる呼吸に適した補給用酸素を少量分配するために航空機の洗面所で用いる航空機洗面所酸素源を提供し、該航空機洗面所酸素源は、呼吸に適した純度を有する第1の酸素圧の気体酸素を蓄えるように構成される酸素貯留容器と、酸素貯留容器の開口と流体連通状態で接続されるマニホールドと、酸素貯留容器の開口を通じた酸素の流れを開始するように構成されるアクチュエータとを含む。
【0009】
1つの現在好ましい態様において、酸素貯留容器は、呼吸に適した純度を有する第1の酸素圧の気体酸素を蓄えるように構成され、酸素貯留容器は、酸素貯留容器内の高圧酸素を第1の酸素圧に保つように構成される圧力シールによって密封される開口を有し、圧力シールは、圧力シールが破られるまで、酸素貯留容器からの流れに抗して酸素貯留容器を密封するように構成される。他の現在好ましい態様において、酸素貯留容器は、耐食ステンレス鋼円筒体など、金属から形成される。
【0010】
マニホールドは、好ましくは、酸素貯留容器の開口の圧力シールと流体連通状態で接続されるとともに、圧力シールが破られるときに酸素貯留容器の開口から酸素の流れを受けるように構成される。マニホールドは、酸素貯留容器の圧力シールと流体連通状態で接続される出口を含む酸素流路を含む。他の現在好ましい態様において、マニホールドの出口は、所定の航空機高度、時間間隔、および、航空機降下プロファイルで、または、徐放特性で、人の生理的な生命維持要件をサポートするために、出口を通じた酸素流量を制御して、第1の酸素圧よりも低い第2の酸素圧で所定量の酸素を供給するように構成される1つ以上の酸素流量制御オリフィスを含む。他の現在好ましい態様において、マニホールドは、酸素流路と流体連通状態で接続される圧力解放ポートも含む。
【0011】
アクチュエータは圧力シールを破るように構成され、また、圧力シールは、酸素貯留容器の開口を通じた酸素の流れを開始するためにアクチュエータの作動時にアクチュエータによって破られる、破壊される、または、破断されるように構成される。現在好ましい態様において、圧力シールは、高圧酸素を保持するように構成されるとともに酸素貯留容器を開放して酸素貯留容器からの酸素の流れを開始するために破壊されまたは破断され得る脆弱材料から形成される脆弱ディスクを備える。他の現在好ましい態様において、脆弱ディスクは、マニホールドと酸素貯留容器の開口との間で圧縮され、それにより、脆弱ディスクは、酸素貯留容器のためのシール面および破断点を与える。
【0012】
1つの現在好ましい態様では、1つ以上の酸素流量制御オリフィスが単一の流量制御オリフィスを含む。他の現在好ましい態様では、1つ以上の酸素流量制御オリフィスが複数の流量制御オリフィスを備え、これらの流量制御オリフィスは流路内に順次に配置されることが好ましい。他の現在好ましい態様において、1つ以上の酸素流量制御オリフィスは、例えば、所定の航空機高度、時間間隔、および、航空機降下プロファイルで、または、徐放特性で、人の生理的な生命維持要件をサポートするために出口を通じた酸素の流量および圧力を制御して所定量の酸素を供給するように構成される減圧器などの可変オリフィスを含む。
【0013】
他の現在好ましい態様において、マニホールドの出口は、航空機の洗面所で使用されるように構成される1つ以上の呼吸マスクのための1つ以上の出口ホースに接続されるように構成されるスイベルコネクタ取付具を含む。現在好ましい態様では、スイベルコネクタ取付具が360度回転するように構成される。他の現在好ましい態様において、マニホールドの出口は、出口に対して取り外し可能に取り付けられる1つ以上の酸素分配チューブを更に含む。他の現在好ましい態様では、1つ以上の酸素分配チューブが少なくとも1つの取り外し可能に取り付けできるコネクタを含み、該コネクタは、出口に取り外し可能に接続され得る、1つ以上の酸素分配チューブの一部分間で取り外し可能に接続され得る、および、呼吸マスクに対して取り外し可能に接続され得る。他の現在好ましい態様において、航空機洗面所酸素源は、第2の酸素圧の酸素の流れをマニホールドの出口から受けるように接続される、航空機洗面所内の1つ以上の呼吸マスクを含む。
【0014】
1つの現在好ましい態様において、アクチュエータは、脆弱ディスクを機械的に破るように構成される金属楔形状ニードルを含み、また、酸素貯留容器の開口が金属から形成され、この場合、アクチュエータは、金属楔形状ニードルを酸素貯留容器の金属開口内へ押し込むように構成され、それにより、金属楔形状ニードルおよび酸素貯留容器の開口は、アクチュエータの作動時に、出口を通じた酸素貯留容器からの酸素の流れを案内するように構成されるメタルオンメタル楔シールを形成する。他の現在好ましい態様において、アクチュエータは、ニードルに圧力シールを穿刺させるべく構成されるバネ荷重機構を含み、バネ荷重機構は、酸素が流路を通じて流れることができるようにするべくニードルを圧力シールに押し通すのに十分なバネ力を与える。他の現在好ましい態様において、バネ荷重機構は、作動力をもたらすように構成される波形バネを含む。他の現在好ましい態様において、アクチュエータは、圧力シールを穿刺することによって高圧酸素の流れを開始するための火薬式機構を含み、火薬式装置は、酸素が流れることができるようにニードルを脆弱ディスクに押し通すのに十分な力を与えて、ニードルを脆弱ディスクに押し通して酸素が流れることができるようにする。他の現在好ましい態様において、アクチュエータは、ニードルに圧力シールを穿刺させるように構成される電動ソレノイドを含み、電動ソレノイドは、酸素が流れることができるようにニードルを脆弱ディスクに押し通すのに十分な力を与える。他の現在好ましい態様において、アクチュエータは、ニードルに圧力シールを穿刺させるように構成される空気圧起動装置を含み、空気圧起動装置は、酸素が流れることができるようにニードルを脆弱ディスクに押し通すのに十分な力を与える。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、一例として本発明の動作を示す添付図面と関連する好ましい実施形態の以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】酸素モジュール容器内の酸素マスクを伴う従来技術の化学的な酸素源の斜視図である。
【
図2】本発明に係る、酸素モジュール容器内の酸素マスクを伴う高圧気体酸素源の斜視図である。
【
図3】本発明に係る、酸素モジュールの出口ホースのための回転可能なスイベル取付具を伴う、
図2の高圧気体酸素源のための酸素貯留容器の斜視図である。
【
図4】本発明に係る、酸素の流れを開始するために
図3の酸素貯留容器の圧力シールを破るためのバネ荷重アクチュエータを示す断面図である。
【
図5A】本発明に係る、酸素の流れを開始するために
図3の酸素貯留容器の圧力シールを破るための火薬式アクチュエータ機構を示す断面図である。
【
図5B】本発明に係る、酸素の流れを開始するために
図3の酸素貯留容器の圧力シールを破るための電動ソレノイドアクチュエータ機構を示す断面図である。
【
図5C】本発明に係る、酸素の流れを開始するために
図3の酸素貯留容器の圧力シールを破るための空気圧起動アクチュエータ機構を示す断面図である。
【
図6】本発明に係る、高圧酸素を保持するための圧力シールであって、酸素の流れを開始するべく
図3の酸素貯留容器を開放して酸素貯留容器からの酸素の流れを開始するために破壊または破断させることができる圧力シールとして利用される脆弱材料から成る脆弱ディスクを示す断面図である。
【
図8】本発明に係る、出口を通じた酸素貯留容器からの酸素の流れを案内するためにアクチュエータの作動時にメタルオンメタル“楔”シールを形成する金属楔形状ニードルおよび酸素貯留容器の開口を示す断面図である。
【
図9】本発明に係る、
図3の酸素貯留容器の開口と接続される酸素流路内に単一の流量制御オリフィスを含むマニホールドを示す断面図である。
【
図10】本発明に係る、
図3の酸素貯留容器の開口と接続される酸素流路内に複数の流量制御オリフィスを含むマニホールド内の酸素流路を示す断面図である。
【
図11】本発明に係る、
図3の酸素貯留容器の開口と接続される酸素流路内の酸素流起動の1つ以上の流量制御オリフィスのためのマニホールド内の酸素流路を示す断面図である。
【
図12】本発明に係る、取り外し可能に取り付けできるコネクタによって酸素分配チューブが酸素源の出口に取り外し可能に取り付けられる、酸素モジュールから落下するように解放され得る呼吸マスクを伴う酸素モジュールを示す斜視図である。
【
図13】本発明に係る、
図3の酸素貯留容器の開口と接続される酸素流路内に減圧可変オリフィスを含むマニホールドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
限定としてではなく一例として与えられる図面を参照すると、本発明は、ユーザによる呼吸に適した補給用酸素を少量分配するために航空機の洗面所で用いる航空機洗面所酸素源20を提供する。航空機洗面所は、一般に、以下で更に説明されるように、
図2に示される1つ以上の呼吸マスク24を伴って、該航空機洗面所内に酸素モジュール容器22を含み、または、そのような酸素モジュールを含むパーソナルサービスユニット(PSU)を含む。
図2〜
図4を参照すると、本発明の航空機洗面所酸素源は、呼吸に適した純度を有する第1の酸素圧の気体酸素を蓄えるように構成される酸素貯留容器26と、酸素貯留容器の開口30と流体連通状態で接続されるマニホールド28と、酸素貯留容器の開口を通じた酸素の流れを開始するように構成されるアクチュエータ32とを含む。酸素貯留容器の開口は圧力シール34によって密閉され、圧力シール34は、該圧力シールが破られるまで、酸素貯留容器内の酸素を密封して第1の高い圧力に保つ。アクチュエータは、好ましくは、該アクチュエータが作動されるときに酸素貯留容器の圧力シールを破るように移動できる、圧力シールを貫通するように構成される部分、例えば中空のポート付きニードル35などを含み、また、圧力シールは、それに対応して、酸素貯留容器の開口を通じた酸素の流れを開始するためにアクチュエータの作動時にアクチュエータ機構によって破られる、破壊される、破断されるように構成される。1つ以上の呼吸マスクを航空機の洗面所に設けることができ、呼吸マスクは、第2の酸素圧の酸素の流れをマニホールドの出口から受けるように接続されるとともに、例えば高い高度での航空機の減圧の際に酸素モジュールから落下するように解放され得る。
【0018】
また、マニホールドは、好ましくは、酸素貯留容器の開口の圧力シールと流体連通状態で接続されるとともに、圧力シールが破られるときに酸素貯留容器の開口から酸素の流れを受けるように構成される。マニホールドは、
図11に示される酸素流路36と、酸素貯留容器の圧力シールと流体連通状態で接続される出口38とを含む。また、マニホールドは、酸素流路と流体連通状態で接続される圧力解放ポート40を含んでもよい。また、マニホールドの出口は、好ましくは、1つ以上の酸素流量制御オリフィス42を含み、該酸素流量制御オリフィスは、出口を通じた酸素流量を制御して、第1の高い酸素圧よりも低い第2の圧力で所定量の酸素を供給し、それにより、所定の航空機高度、時間間隔、および、航空機降下プロファイルで、または、徐放特性で、人の生理的な生命維持要件をサポートするように構成される。
図6および
図7を参照すると、現在好ましい態様では、圧力シールが脆弱材料から形成される脆弱ディスク44であり、該脆弱ディスクは、高圧酸素を保持するように構成されるとともに、酸素貯留容器を開放して酸素貯留容器からの酸素の流れを開始するためにアクチュエータのニードルによって破壊され、または破断され得る。脆弱ディスクは、マニホールドと酸素貯留容器の開口との間で圧縮され、それにより、脆弱ディスクは、酸素貯留容器のためのシール面および破断点を与える。
【0019】
図8〜
図10を参照すると、現在好ましい態様では、1つ以上の酸素流量制御オリフィスが単一の流量制御オリフィスを含む。他の現在好ましい態様において、1つ以上の酸素流量制御オリフィスは、好ましくは流路内に順次に配置される複数の流量制御オリフィス48a,48bを含む。
図13に示される他の現在好ましい態様において、1つ以上の酸素流量制御オリフィスは、例えば、出口を通じた酸素の流量および圧力を制御して所定量の酸素を供給し、それにより、所定の航空機高度、時間間隔、および、航空機降下プロファイルで、または、徐放特性で、人の生理的な生命維持要件をサポートするように構成される減圧弁などの可変オリフィス52を含むことができる。
図3に示される他の現在好ましい態様において、マニホールドの出口は、航空機の洗面所で使用されるように構成される1つ以上の呼吸マスクのための1つ以上の出口ホースまたは酸素分配チューブ56に接続されるように構成されるスイベルコネクタ取付具54を含む。スイベルコネクタ取付具は、360度回転するように構成されることが好ましい。他の現在好ましい態様において、1つ以上の酸素分配チューブは、例えば1つ以上の取り外し可能に取り付けできるコネクタ58などによって、出口に対して取り外し可能に取り付けられ、コネクタ58は、1つ以上の酸素分配チューブの一部分間で出口に対して直接に取り外し可能に接続され得るとともに、呼吸マスクの酸素リザーババッグ59に対して取り外し可能に接続され得る、または、呼吸マスクに対して直接に取り外し可能に接続され得る。このようにすると、第2の酸素圧の酸素の流れをマニホールドの出口から受けるように1つ以上の呼吸マスクを接続できるとともに、例えば高い高度での航空機の減圧の際に1つ以上の呼吸マスクを酸素モジュールから落下するように解放することができる。
【0020】
図8を参照すると、現在好ましい態様では、酸素貯留容器が耐食ステンレス鋼円筒体などの金属から形成されるとともに、アクチュエータが金属楔形状ニードル60を含み、金属楔形状ニードル60は、一般に中空であるとともに、典型的には、マニホールドのフローチャネルに接続されるように構成される1つ以上のポートを含む。金属楔形状ニードルは脆弱ディスクを機械的に破るように構成され、また、酸素貯留容器の開口は金属から形成され、その場合、アクチュエータは、金属楔形状ニードルを酸素貯留容器の金属開口内へ押し込むように構成され、それにより、金属楔形状ニードルおよび酸素貯留容器の開口は、アクチュエータの作動時に、出口を通じた酸素貯留容器からの酸素の流れを案内するように構成されるメタルオンメタル楔シール61を形成する。
【0021】
図4を参照すると、1つの現在好ましい態様において、アクチュエータは、ニードルに圧力シールを穿刺させるべく構成されるバネ荷重機構62を含むことができ、この場合、バネ荷重機構は、酸素が流路を通じて流れることができるようにするべく、ニードルを圧力シールに押し通すのに十分なバネ力を与える。他の現在好ましい態様において、バネ荷重機構は、作動力をもたらすように構成される波形バネ64を備える。
【0022】
図5Aに示されるように、他の現在好ましい態様では、アクチュエータが火薬式機構66であってもよく、この火薬式機構66は、作動制御信号67を受けるように接続されるとともに、酸素が流れることができるようにニードルを脆弱ディスクに押し通すのに十分な力を与えてニードルを脆弱ディスクに押し通して酸素が流れることができるようにすることによって、ニードルに圧力シールを穿刺させる高圧酸素の流れを開始するように構成される。
図5Bに示されるように、他の現在好ましい態様において、アクチュエータは、電気制御信号を受けるように接続されるとともに、ニードルに圧力シールを穿刺させるように構成される電気的接続部69を有する電動ソレノイド68であってもよく、この場合、電動ソレノイドは、酸素が流れることができるようにニードルを脆弱ディスクに押し通すのに十分な力を与える。
図5Cに示されるように、他の現在好ましい態様において、アクチュエータは、空気圧源から空気圧作動信号71を受けるように接続されるとともに、ニードルに圧力シールを穿刺させるように構成される空気圧起動装置70であってもよく、この場合、空気圧起動装置は、酸素が流れることができるようにニードルを脆弱ディスクに押し通すのに十分な力を与える。
【0023】
以上から明らかなように、本発明の特定の形態を図示して説明してきたが、本発明の思想および範囲から逸脱することなく様々な改変を成すことができる。