特許第6452642号(P6452642)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452642
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】接合器および管の接合方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/09 20060101AFI20190107BHJP
【FI】
   F16L1/09
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-88873(P2016-88873)
(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公開番号】特開2017-198275(P2017-198275A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2018年4月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 正吾
(72)【発明者】
【氏名】中屋 英樹
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05640748(US,A)
【文献】 特開平08−112777(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/025041(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/046488(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00490785(EP,A1)
【文献】 特開2015−075170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/09
F16L 1/00
F16L 21/00
B25B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の管の受口に他方の管の挿口を挿入して管同士を接合するための接合器であって、
受口側係合部材を有する操作杆と、
挿口側係合部材および連動フレームを有する連動体と、
操作杆と連動体との間に設けられた連結部材とを備え、
挿口側係合部材は連動フレームの下端部に設けられ、
操作杆と連結部材の一端部と回動自在に連結され、
連動体の連動フレームと連結部材の他端部と回動自在に連結され、
受口側係合部材は、一方の管に外嵌可能で、管軸方向において受口に係合自在であり、
挿口側係合部材は、対をなす挟持部を有し、他方の管の挿口に外嵌可能であり、
受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の挿入方向へ回動した場合、挿口側係合部材が挿入方向へ傾いて所定の傾斜姿勢になり、他方の管の挿口が挿口側係合部材の挟持部間に挟まれ、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ移動し、
挿口側係合部材が所定の傾斜姿勢になった状態で、一方の管の管軸心から操作杆と連結部材の一端部との連結箇所までの高さが他方の管の管軸心から連動フレームと連結部材の他端部との連結箇所までの高さよりも低いことを特徴とする接合器。
【請求項2】
受口側係合部材は一方の管の受口の近傍部分に外嵌可能であることを特徴とする請求項1記載の接合器。
【請求項3】
受口側係合部材は、対をなすアーム部材を有し、一方の管の受口の付け根部分に外嵌可能であり、
受口側係合部材が一方の管の受口の付け根部分に外嵌する方向と、挿口側係合部材が他方の管の挿口に外嵌する方向とが異なっていることを特徴とする請求項2記載の接合器。
【請求項4】
アーム部材は、管軸方向から見て、一方向において相対向しており、
挟持部は、管軸方向から見て、一方向とは異なる他方向において相対向しており、
受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の挿入方向へ回動した場合、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ傾いて、挟持部が他方の管の挿口を他方向から挟持することを特徴とする請求項3記載の接合器。
【請求項5】
挿口が挿口側係合部材の挟持部間に挟まれた際、挟持部と挿口との接触部位が管軸方向において異なった複数の位置にあることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接合器。
【請求項6】
対をなす挟持部のうち、連結部材に近い方の挟持部と挿口との接触部位は、連結部材から遠い方の挟持部と挿口との接触部位よりも、受口側に近いことを特徴とする請求項5に記載の接合器。
【請求項7】
上記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の接合器を用いた管の接合方法であって、
一方の管の受口に他方の管の挿口の先端部を仮挿入し、
接合器の挿口側係合部材を他方の管の挿口に外嵌して、挟持部間に挿口を挿入し、
受口側係合部材を、一方の管に外嵌して、管軸方向において受口に係合し、
受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の挿入方向へ回動させることを特徴とする管の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿口を受口に挿入して管同士を接合するための接合器、および接合器を用いた管の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の接合器としては、例えば図16に示すように、管の外周面に軸芯方向に亘って所定間隔で環状リブ111a,111bが設けられたリブ付き管101a,101b同志を接続する際に使用されるものがある。この接合器103は、一方のリブ付き管101aの外周に形成された溝部112aに挟み込む半円環状脚部132を、ハンドル131の下端に回動自在に軸支し、また、ハンドル131の中間位置にステー133の一端を軸支すると共に、他方のリブ付き管101bの外周に形成された溝部112bに挟み込む半円環状脚部134を、ステー133の他端に取付けている。
【0003】
このような接合器103を用いてリブ付き管101a,101bを接続するには、先ず、一方のリブ付き管101aの拡径受口113aに、他方のリブ付き管101bの端部にシールパッキン102が装着されている先端部を仮挿入する。次に、拡径受口113aの後方の外周の溝部112aに、ハンドル131の下端に設けられた半円環状脚部132を挟み込んで係止する。一方、ステー133の他端に設けられている半円環状脚部134を、リブ付き管101bの外周の溝部112bに挟み込んで係止する。
【0004】
次に、ハンドル131の上端を手で握って矢印のQ方向に揺動させると、リブ付き管101bは引き寄せられてその端部が拡径受口113a内にスムーズに挿入される。これにより、リブ付き管101a,101b同士を接合することができる。
【0005】
尚、上記のような管の接合器103は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−116166
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の従来形式では、管101a,101bを接続する際、接合器103の半円環状脚部132を一方のリブ付き管101aの外周の溝部112aに挟み込み、半円環状脚部134を他方のリブ付き管101bの外周の溝部112bに挟み込む必要があるため、接合器103は環状リブ111a,111bを備えたリブ付き管101a,101bにしか使用できず、環状リブ111a,111bを備えていない管同士を接合することができないといった問題がある。
【0008】
本発明は、外周面にリブを備えていない管同士を接合することができる接合器および管の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明は、一方の管の受口に他方の管の挿口を挿入して管同士を接合するための接合器であって、
受口側係合部材を有する操作杆と、
挿口側係合部材および連動フレームを有する連動体と、
操作杆と連動体との間に設けられた連結部材とを備え、
挿口側係合部材は連動フレームの下端部に設けられ、
操作杆と連結部材の一端部と回動自在に連結され、
連動体の連動フレームと連結部材の他端部と回動自在に連結され、
受口側係合部材は、一方の管に外嵌可能で、管軸方向において受口に係合自在であり、
挿口側係合部材は、対をなす挟持部を有し、他方の管の挿口に外嵌可能であり、
受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の挿入方向へ回動した場合、挿口側係合部材が挿入方向へ傾いて所定の傾斜姿勢になり、他方の管の挿口が挿口側係合部材の挟持部間に挟まれ、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ移動し、
挿口側係合部材が所定の傾斜姿勢になった状態で、一方の管の管軸心から操作杆と連結部材の一端部との連結箇所までの高さが他方の管の管軸心から連動フレームと連結部材の他端部との連結箇所までの高さよりも低いものである。
【0010】
これによると、先ず、一方の管の受口に他方の管の挿口の先端部を仮挿入し、次に、接合器の挿口側係合部材を他方の管の挿口に外嵌して、対をなす挟持部間に挿口を挿入する。さらに、受口側係合部材を、一方の管に外嵌して、管軸方向において受口に係合する。
【0011】
その後、操作杆の上部に外力を作用させて、受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の挿入方向へ回動させる。
操作杆の回動に連動して挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ傾き、対をなす挟持部が他方の管の挿口を挟持し、この状態で、操作杆が回動するのに伴って、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ移動する。これにより、他方の管の挿口が、挿口側係合部材の挟持部間に挟持された状態で、一方の管の受口内に挿入される。
【0012】
このように、受口側係合部材が管軸方向において受口に係合し、挿口側係合部材が他方の管の挿口に外嵌され、操作杆の回動に伴って、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ傾き、対をなす挟持部が他方の管の挿口を挟持するように構成されているため、外周面にリブを備えていない管同士を接合することができる。
【0013】
本第2発明における接合器は、受口側係合部材は一方の管の受口の近傍部分に外嵌可能である。
これによると、受口側係合部材を一方の管の受口の近傍部分に外嵌することにより、受口側係合部材が管軸方向において受口に係合する。
【0014】
本第3発明における接合器は、受口側係合部材は、対をなすアーム部材を有し、一方の管の受口の付け根部分に外嵌可能であり、
受口側係合部材が一方の管の受口の付け根部分に外嵌する方向と、挿口側係合部材が他方の管の挿口に外嵌する方向とが異なっているものである。
【0015】
これによると、接合器の挿口側係合部材を所定の方向から他方の管の挿口に外嵌して、対をなす挟持部間に挿口を挿入し、さらに、受口側係合部材を所定の方向とは異なる方向から一方の管の受口の付け根部分に外嵌して、対をなすアーム部材間に受口の付け根部分を挿入する。これにより、受口側係合部材が管軸方向において受口に係合する。
【0016】
本第4発明における接合器は、アーム部材は、管軸方向から見て、一方向において相対向しており、
挟持部は、管軸方向から見て、一方向とは異なる他方向において相対向しており、
受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の挿入方向へ回動した場合、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ傾いて、挟持部が他方の管の挿口を他方向から挟持するものである。
【0017】
これによると、操作杆の上部に外力を作用させて、受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の挿入方向へ回動させると、操作杆の回動に連動して挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ傾動し、対をなす挟持部が他方の管の挿口を他方向から挟持し、この状態で、操作杆が回動するのに伴って、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ移動する。これにより、他方の管の挿口が、挿口側係合部材の挟持部間に挟持された状態で、一方の管の受口内に挿入される。
【0018】
本第5発明における接合器は、挿口が挿口側係合部材の挟持部間に挟まれた際、挟持部と挿口との接触部位が管軸方向において異なった複数の位置にあるものである。
本第6発明における接合器は、対をなす挟持部のうち、連結部材に近い方の挟持部と挿口との接触部位は、連結部材から遠い方の挟持部と挿口との接触部位よりも、受口側に近いものである。
【0019】
本第7発明における接合器は、上記第1発明から第6発明のいずれか1項に記載の接合器を用いた管の接合方法であって、
一方の管の受口に他方の管の挿口の先端部を仮挿入し、
接合器の挿口側係合部材を他方の管の挿口に外嵌して、挟持部間に挿口を挿入し、
受口側係合部材を、一方の管に外嵌して、管軸方向において受口に係合し、
受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の挿入方向へ回動させるものである。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によると、受口側係合部材が管軸方向において受口に係合し、挿口側係合部材が他方の管の挿口に外嵌され、操作杆の回動に伴って、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ傾動し、対をなす挟持部が他方の管の挿口を挟持するように構成されているため、外周面にリブを備えていない管同士を接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態における接合器の斜視図である。
図2】同、接合器を管にセットしたときの側面図である。
図3】同、接合器によって接続された管の継手部分の断面図である。
図4】同、接合器を用いて管を接合するときの手順を示す側面図であり、挿口を受口に仮挿入した状態を示す。
図5】同、接合器を用いて管を接合するときの手順を示す側面図であり、接合器を管にセットした状態を示す。
図6図5におけるX−X矢視図である。
図7図6におけるX−X矢視図である。
図8図5におけるY−Y矢視図である。
図9】同、接合器を用いて管を接合するときの手順を示す側面図であり、操作杆を回動した状態を示す。
図10図9におけるX−X矢視図である。
図11図10におけるX−X矢視図である。
図12】同、接合器を用いて管を接合するときの手順を示す側面図であり、操作杆をさらに回動した状態を示す。
図13】本発明の第2の実施の形態における接合器を管にセットしたときの側面図である。
図14】同、接合器を用いて管を接合するときの手順を示す側面図であり、操作杆を回動して、挿口が挟持板間に挟まれた状態を示す。
図15】同、接合器を用いて管を接合するときの手順を示す側面図であり、操作杆をさらに回動した状態を示す。
図16】従来の接合器を用いて管を接合したときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、図3に示すように、1はプッシュオンタイプの離脱防止管継手であり、互いに接続される一方の管11の端部に形成された受口12に、他方の管13の端部に形成された挿口14が挿入されている。
【0023】
受口12の内部には、シール溝2とロックリング収容溝3とが形成されている。シール溝2には、受口12の内周面と挿口14の外周面との間をシールするゴム(弾性材の一例)製の円環状のシール部材4が嵌め込まれている。
【0024】
ロックリング収容溝3には、ロックリング5と芯出し用部材6とが嵌め込まれている。ロックリング5は、金属製の周方向一つ割りの部材であり、弾性的な縮径力を有することで、挿口14の外周面に弾性的に抱き付くように構成されている。芯出し用部材6は、ゴム製の円環状の部材であり、挿口14が受口12に挿入されていないときにロックリング5を受口12に対して芯出し状態に保持する。
【0025】
また、挿口14の先端部の外周には突部8が形成されており、突部8は受口奥側からロックリング5に係合可能である。
図1図2に示すように、21は一方の管11の受口12に他方の管13の挿口14を挿入して両管11,13同士を接合するための接合器である。接合器21は、操作杆22と、連動体23と、操作杆22と連動体23との間に設けられた連結部材24とを有している。
【0026】
操作杆22は、上下方向に細長い板状のハンドル26と、ハンドル26の下端部に設けられた受口側係合部材27とを有している。また、連動体23は、上下方向に長い板状の連動フレーム29と、連動フレーム29の下端部に設けられた挿口側係合部材30とを有している。
【0027】
受口側係合部材27は、門形状の部材であって、管軸方向Cから見て左右方向(一方向の一例)において相対向する一対の平板状のアーム部材32と、両アーム部材32の上端部間に設けられた取付板33とを有している。尚、取付板33はハンドル26の下端部に取り付けられている。
【0028】
また、両アーム部材32間の間隔Bは、拡径した受口12の外径D1よりも小さく、受口12よりも縮径したストレート部分15における管11の外径D2よりも僅かに大きく設定されている。これにより、図2図8に示すように、受口側係合部材27は、一方の管11の上方から受口12の付け根部分(受口12の近傍部分の一例)に外嵌可能であり、管軸方向Cにおいて受口12に係合自在である。
【0029】
挿口側係合部材30は、コの字状の部材であって、上下方向(一方向とは異なる他方向の一例)において相対向する一対の挟持板36,37(挟持部の一例)と、両挟持板36,37の左右一側端間に設けられた側部板38とを有している。尚、上位の挟持板36は連動フレーム29の下端部に取り付けられている。
【0030】
また、両挟持板36,37間の間隔Eはストレート部分15における管13の外径D2よりも僅かに大きく設定されている。これにより、挿口側係合部材30は他方の管13の一側方から挿口14に外嵌可能である。
【0031】
このように、受口側係合部材27が一方の管11の受口12の付け根部分に外嵌する方向と、挿口側係合部材30が他方の管13の挿口14に外嵌する方向とが管11,13の周方向において90°の角度で異なっている。
【0032】
操作杆22のハンドル26の下部と連結部材24の一端部とは、ボルト41およびナット42等の締結具により、互いに回動自在に連結されている。また、連動体23の連動フレーム29の上部と連結部材24の他端部とは、ボルト43およびナット44等の締結具により、互いに回動自在に連結されている。尚、連結部材24の他端部には複数のボルト孔45が形成されており、いずれかのボルト孔45にボルト43が挿通されている。
【0033】
上記のような接合器21を用いて管11,13を接合する接合方法を、以下に説明する。
先ず、図4に示すように、受口12の内部のシール溝2にシール部材4を嵌め込み、ロックリング収容溝3にロックリング5と芯出し用部材6とを嵌め込んでおく。その後、床51に管11,13を配置し、受口12に挿口14の先端部を僅かに仮挿入する。
【0034】
次に、図2図5図7に示すように、接合器21の挿口側係合部材30を他方の管13の一側方から挿口14に外嵌して、一対の挟持板36,37間に挿口14を挿入し、さらに、図5図8に示すように、受口側係合部材27を一方の管11の上方から受口12の付け根部分に外嵌して、一対のアーム部材32間に受口12の付け根部分を挿入する。
【0035】
作業者が、ハンドル26の上端部を手で持ち、図9に示すように受口側係合部材27を支点52として操作杆22を挿口14の挿入方向A(例えば反時計回り方向)へ回動させる。この操作杆22の回動に伴って、挿口側係合部材30が上記挿入方向A(例えば反時計回り方向)へ傾いて所定の傾斜姿勢(図9の実線参照)になり、図10図11に示すように、挿口14が上下一対の挟持板36,37間に挟まれて、上下一対の挟持板36,37が挿口14を上下方向(他方向の一例)から挟持する。
【0036】
この際、図9図11に示すように、挟持板36,37と挿口14との接触部位P1,P2が管軸方向Cにおいて異なった位置にあり、連結部材24に近い上方の挟持部36と挿口14との接触部位P1は、連結部材24から遠い下方の挟持部37と挿口14との接触部位P2よりも、受口12の側に近い。
【0037】
このような状態で、図12に示すように、操作杆22を挿口14の挿入方向Aへさらに回動させることにより、挿口側係合部材30が所定の傾斜姿勢を保ったままで上記挿入方向Aへ移動し、他方の管13の挿口14が、上下一対の挟持板36,37間に挟持された状態で、一方の管11の受口12内に挿入される。これにより、図3に示すように、挿口14の突部8がシール部材4の内周とロックリング5の内周とを受口奥側へ通過し、一方の管11と他方の管13とが接続される。
【0038】
上記のようにして管11,13同士を接続した後、操作杆22を反対方向(時計方向)に回動してほぼ鉛直方向に戻し、受口側係合部材27を受口12の付け根部分から一方の管11の上方へ離脱させ、挿口側係合部材30を挿口14から他方の管13の一側方へ離脱させて、接合器21を管11,13から取り外す。
【0039】
尚、図2に示すように、作業者が操作杆22を回動させるためにハンドル26の上端部を持って力を加える点を力点53とし、支点52から力点53までの長さをL1とし、力点53に加えられる外力(操作力)をF1とし、支点52からボルト41,ナット42の締結箇所(作用点に相当)までの長さをL2とし、ボルト41,ナット42の締結箇所に作用する力をF2とすると、梃の原理に基づいて、
F1×L1=F2×L2
となり、
F2=F1×L1/L2
となる。
ここで、長さL1は長さL2よりも長いので、作業者が力点53に加えた力F1よりも大きな力F2がボルト41,ナット42の締結箇所に作用し、この力F2で挿口14が受口12内に挿入され、これにより、作業者の小さな力F1(操作力)で、大きな挿入力が挿口14に作用する。
【0040】
このように、受口側係合部材27が管軸方向Cにおいて一方の管11の受口12に係合し、挿口側係合部材30が受口側係合部材27の外嵌方向(上下方向K)とは別の方向(左右方向M)から他方の管13の挿口14に外嵌され、操作杆22の回動に伴って、挿口側係合部材30が挿口14の挿入方向Aへ傾動し、上下一対の挟持板36,37が挿口14を挟持するように構成されているため、外周面にリブを備えていない管11,13同士を接合することができる。
【0041】
また、上記のように作業者が操作杆22を挿口14の挿入方向Aへ一回だけ回動させて、挿口14を受口12内に挿入した際(図12参照)、挿口14の挿入量が不足していると、操作杆22を反対方向(時計方向)に回動してほぼ鉛直方向に戻し、その後、再び、操作杆22を挿口14の挿入方向Aへ回動させることを繰り返せばよい。
【0042】
また、複数のボルト孔45のうちのいずれかのボルト孔45を選んで、連動体23と連結部材24とをボルト43,ナット44で連結することにより、連動体23の取付位置を管軸方向Cにおいて変更することができる。これにより、受口12の付け根部分から開口端部までの長さGに応じて、受口側係合部材27と挿口側係合部材30との間隔Jを調節することができる。
【0043】
受口側係合部材27は一方の管11の上方から受口12の付け根部分に外嵌可能であるが、上方に限定されるものではなく、例えば、一方の管11の一側方から受口12の付け根部分に外嵌可能であってもよい。また、挿口側係合部材30は他方の管13の一側方から挿口14に外嵌可能であるが、一側方に限定されるものではなく、例えば、他方の管13の上方から挿口14に外嵌可能であってもよい。
【0044】
(第2の実施の形態)
先述した第1の実施の形態では、図2に示すように、連動体23は1個の挿口側係合部材30を有しているが、本第2の実施の形態では、図13図15に示すように、連動体23は管軸方向Cにおいて複数個(図13では二個)の挿口側係合部材30a,30bを有しており、各挿口側係合部材30a,30bはそれぞれ一対の挟持部36,37を有している。すなわち、先述した第1の実施の形態における接合器21は図2に示すように上下一対の挟持部36,37を一組備えているものであるが、本第2の実施の形態における接合器21は上下一対の挟持部36,37を複数組(図13では二組)備えているものである。
【0045】
これら挿口側係合部材30a,30bは複数本(図13では2本)の連動フレーム29a,29bの下端部に設けられている。一方の連動フレーム29aの上部と連結部材24の他端部とは、ボルト43およびナット44等の締結具により、互いに回動自在に連結されている。
【0046】
また、一方の連動フレーム29aと他方の連動フレーム29bとは上下複数本(図13では2本)の連結杆55,56を介して接続されている。両連動フレーム29a,29bと両連結杆55,56とによって四節の平行リンク機構が構成されている。尚、連動フレーム29aと連結杆55の一端部、連動フレーム29aと連結杆56の一端部、連動フレーム29bと連結杆55の他端部、連動フレーム29bと連結杆56の他端部は、それぞれボルト43,48およびナット44,49等の締結具により、互いに回動自在に連結されている。
【0047】
上記両連動フレーム29a,29bと両挿口側係合部材30a,30bと両連結杆55,56とによって連動体23が構成されている。
以下、上記構成における作用を説明する。
【0048】
先ず、受口12の内部のシール溝2にシール部材4を嵌め込み、ロックリング収容溝3にロックリング5と芯出し用部材6とを嵌め込んでおく。その後、床51に管11,13を配置し、受口12に挿口14の先端部を僅かに仮挿入する。
【0049】
次に、図13の実線に示すように、接合器21の両挿口側係合部材30a,30bを他方の管13の一側方から挿口14に外嵌して、各挟持板36,37間に挿口14を挿入し、さらに、受口側係合部材27を一方の管11の上方から受口12の付け根部分に外嵌して、一対のアーム部材32間に受口12の付け根部分を挿入する。
【0050】
作業者が、ハンドル26の上端部を手で持ち、図13の仮想線に示すように、受口側係合部材27を支点52として操作杆22を挿口14の挿入方向A(例えば反時計回り方向)へ回動させる。この操作杆22の回動に伴って、両挿口側係合部材30a,30bが上記挿入方向A(例えば反時計回り方向)へ傾いて所定の傾斜姿勢になり、図14に示すように、挿口14が各挟持板36,37間に挟まれて、各挟持板36,37が挿口14を上下方向(他方向の一例)から挟持する。
【0051】
この際、各挟持板36,37と挿口14との接触部位P1,P2,P3,P4が管軸方向Cにおいて異なった位置にあり、連結部材24に近い上方の挟持部36と挿口14との接触部位P1,P3は、連結部材24から遠い下方の挟持部37と挿口14との接触部位P2,P4よりも、受口12の側に近い。
【0052】
このような状態で、図15に示すように、操作杆22を挿口14の挿入方向Aへさらに回動させることにより、両挿口側係合部材30a,30bが所定の傾斜姿勢を保ったままで上記挿入方向Aへ移動し、他方の管13の挿口14が、各挟持板36,37間に挟持された状態で、一方の管11の受口12内に挿入される。これにより、図3に示すように、挿口14の突部8がシール部材4の内周とロックリング5の内周とを受口奥側へ通過し、一方の管11と他方の管13とが接続される。
【0053】
上記第2の実施の形態では、連動体23は二個の挿口側係合部材30a,30bを備えているが、三個以上の挿口側係合部材を備えていてもよい。
上記各実施の形態では、受口側係合部材27は受口12の付け根部分(受口12の近傍部分の一例)に外嵌可能であるが、受口12に外嵌可能であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
11 一方の管
12 受口
13 他方の管
14 挿口
21 接合器
22 操作杆
23 連動体
24 連結部材
27 受口側係合部材
30,30a,30b 挿口側係合部材
32 アーム部材
36,37 挟持板(挟持部)
52 支点
A 挿入方向
C 管軸方向
P1〜P4 接触部位
図1
図2
図3
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