(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
腫瘍学においては、がん腫瘍の治療のために薬液を点滴する必要がある。当該薬液は非常に強いものでありうる。調製された薬液における溶質は、非常に強いものであり、中毒やアレルギー作用の原因になりうることにより、その危険性を介護者に示す場合がある。多くの場合、管理されるべき薬品は、真空のバイアル内で粉末の形態をとっている。当該バイアルは、弾性膜を有する栓によって閉塞されている。
【0003】
そのような真空バイアル内に収容された薬品を点滴される液体と混合するために、まず一般に針を備えているシリンジによって当該薬品粉末が当該液体中に希釈される必要がある。点滴される液体は、例えば生理食塩水(蒸留水+塩化ナトリウム)でありうる。
【0004】
次いで弾性膜を有するバイアル栓が、針によって貫通される。これにより真空のバイアル内に空気が急激に進入する。この空気は、粉末の薬品と混ざり、その一部は、調製担当の介護者にとって危険な純薬品成分を運びつつ外に出てくる。シリンジの針が弾性膜付きの栓を貫通して所定の位置に至ると、調製担当の介護者は、シリンジによって点滴用液体をバイアル内に注入する。これにより、初めにバイアル内に閉じ込められていた空気が未希釈の薬品粒子とともに再び外に出てくる。
【0005】
次に当該バイアルが振られ、混合物がシリンジによって弾性膜付き栓を通じて吸い出される。実際には、点滴される液体混合物と希釈された薬品のバイアルに対する注入と吸引がシリンジによって連続して数回繰り返される。これは当該薬品と当該液体を十分に混合するためである。しかしながら、そのような混合操作は、バイアルに対する空気の流入と流出を引き起こし、調製担当の介護者と調製された混合物の双方に対する汚染のリスクを伴う。
【0006】
最後に、針がバイアルから引き抜かれる。その際、得られた混合物が調製担当の看護者に針を通じて直接触れるのを避けるようにシリンジの接続が解除される必要がある。そして、充填されたシリンジは、患者の近くにある点滴袋に接続されるか、患者へ直接に接続される。
【0007】
このような作業中における事故の主要因は、バイアル内の液体および気体のバイアル外の媒体に対する封止の問題に関連する。これにより、危険物が飛散し、調製者や看護者の眼や呼吸器系に接触する場合がある。同様に、バイアル外の媒体のバイアル内への封止の問題により、調製物の汚染リスクが生ずる。さらに、インターフェース装置の垂直安定性の問題も存在する。調製者は、フードやエンクロージャによって密閉された空間で厚手の手袋を着けて作業を行なう必要があることは明らかである。
【0008】
そのようなインターフェース装置は公知である。例えば、特許文献1は、空気流通手段を備えたインターフェース装置を提案している。空気流通手段は、穿孔されるバイアルに対する空気の流入と流出を許容するように構成されており、空気濾過手段が設けられている。空気濾過手段は、バイアルからの空気の流出時において希釈されていない純薬品粒子を保持するとともに、バイアルへの空気の流入時において大気中に含まれる不純物を保持するように構成されている。よって、当該装置は、取り扱い作業と混合物の調整を安全にできる。
【0009】
しかしながら、この装置の使用時にはバイアルに対する空気の流入と流出が数回行なわれるため、別の問題が生ずる。濾過手段は、一般にエスケープフィルタの形態をとっており、液体により損傷しやすい。その濾過能力は、ユーザにとって十分とは言えない。
【0010】
さらに、当該装置は、比較的複雑な組立構造と多くの部品を有している。
【0011】
よって、特許文献2においては、空気流通手段を介して空気タンクが取り付けられたベースを備えているインターフェース装置が提案されている。当該空気タンクは、柔軟な膜と組み合わされて外界と隔離された空間を区画する堅固なセルを備えている。この改善された空気流通システムは、フィルタに代わってバイアル内の空気の流通を許容するとともに、当該バイアルが外界すなわち外部要素による汚染のリスクから隔離された状態を維持する。
【0012】
そのようなインターフェース装置は、良好な機能性を発揮し、汚染のリスクを効率的に抑制可能にする。しかしながら、その構成は非常に高価で複雑である。さらに、この構成は、バイアル内の液体全てをサンプリングすることができない。
【0013】
特許文献3においては、全ての姿勢や取扱い動作時においてより安定なインターフェース装置が提案されている。この装置は、閉じた空気流通システムを備えてはいるが、スナップ方式のプラグではなく銛型の連結手段を介してベースをバイアルに取り付ける別手段を提案している。そのため、特許文献3は、液体注入器と穿孔されるバイアルの間の接続を形成するためのインターフェース装置を提案している。当該インターフェース装置は、当該インターフェース装置を液体注入器と接続するベースと、当該インターフェース装置の先端に配置された当該ベースを穿孔されるバイアルに取り付ける手段と、を備えている。当該取り付け手段は、肩部を形成するように幅が広がる基端部と、当該バイアルへの貫通を容易にする先細りの先端部とを有している。また、当該取り付け手段は、穿孔されるバイアルと外部空間との間で液体の連通を形成する少なくとも一つの切欠き部を有している。当該切欠き部は、当該基端部付近の領域に設けられている。
【0014】
この装置は、エルゴノミック性の改善を明らかに伴なっている。しかしながら、その構成は、依然として高価かつ複雑である。
【0015】
特許文献4においては、注入器および先行されるバイアルと接続されるように構成されたベースを備えているインターフェース装置が提案されている。しかしながら、この文献に記載された装置は、圧力差を補償するために穿孔時においてバイアル内にサチェットを導入することを提案しており、取り扱いが非常に複雑である。しかしながら、バイアル内にサチェットの存在が、バイアル内の収容物と液体とを混合するために繰り返される吸引と再注入時において作業者の邪魔になるだけでなく、液体全てを取り出すことを妨げ、封止の問題を生ずる恐れがある。
【0016】
特許文献5は、二つの成分から再構成される薬液を調製する装置を記載している。しかしながら、この文献においては、粒子フィルタによって圧力差が補償される。前述のように、粒子フィルタは液体により損傷しやすく、ユーザの眼に対しては効果が十分でない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面を参照しつつ、インターフェース装置1について説明する。
【0024】
液体注入器2と穿孔されるバイアル3との間の接続を形成するためのインターフェース装置1は、ベース20と液体流通手段10、40を備えている。ベース20は、バイアル3に取り付けられる第一導管21と、バイアル3内のガスの流通を許容する第二導管22と、液体注入器2に接続される第三導管23と、を備えている。液体流通手段10、40は、インターフェース装置1がバイアル3に取り付けられると、当該バイアル3内に開放されるように構成されている。
【0025】
液体流通手段10、40は、先端孔42と基端孔11を備えている。先端孔42は、第二導管22と連通している。基端孔11は、第三導管23と連通している。基端孔11と先端孔42は、インターフェース装置1が穿孔されるバイアル3に取り付けられると、当該バイアル3内に開口されるように構成されている。
【0026】
インターフェース装置1は、第一導管21の先端21bが穿孔されるバイアル3に装着され、第三導管23の基端23bが液体注入器2(不図示のシリンジなど)に装着されるように構成されている。
【0027】
液体注入器2とベース20の間の接続には適当な手段が使用されうる。得られた薬品が作業者に有害とならないように、液滴の形成リスクを抑制可能であり、清掃が容易である接続手段が選ばれることが好ましい。ベース20に接続されうる液体注入器2は、針なしのシリンジを備えうる。そのような装置は、本出願人名義の仏国特許出願公開第1051136号明細書に記載されている。
【0028】
(ベース)
ベース20は、第一導管21、第二導管22、および第三導管23を備えたY型の本体を有している。
【0029】
第一導管21は、ベース20の第一主軸X1に沿って延びている。第一導管21は、先端21bが穿孔されるバイアル3と封止接続されるように構成されている。
【0030】
第二導管22は、ベース20の基端22aから第二軸X2に沿って延びている。第二導管22は、穿孔されるバイアル3からガスの流通を許容するように構成されている。例えば、タンク31が第二導管22に接続されうる。これにより、穿孔されるバイアル3とタンク31の少なくとも一方に初めから含まれているガスの閉回路を形成する。
【0031】
図面に例示されている実施形態においては、第一軸X1と第二軸X2はほぼ平行である。例えば、第二導管22は、第一導管21と同方向に延びうる。この場合、第一軸X1と第二軸X2は一致する。
【0032】
また、第一導管21と第二導管22は、連通している。
【0033】
第三導管23は、ベース20から第三軸X3に沿って延びている。第三導管23は、液体注入器2を受容するように構成された基端23aを備えている。例えば、基端23aは、ルアーあるいはルアーロック型の螺合手段を備えうる。第三導管23の内径は、第一導管21や第二導管22との接続部23bに向かって小さくされうる。これにより、穿孔されるバイアル3に対する液体の注入と吸引を容易にする。第三導管23の基端23aは、膜(不図示)で塞がれてもよい。この膜により、シリンジのような液体注入器との接続を許容しつつ第三導管23を封止する。
【0034】
第三軸X3は、第一軸X1と第二軸X2に対して傾いていることが好ましい。よって、図面に例示された実施形態においては、第三軸X3は、第二軸X2に対して角度αをなしている。角度αは0°と90°の間であり、好ましくは30°と60°の間である(
図5)。後述するように、第一導管21と第二導管22に対する第三導管23のこの傾きは、穿孔されるバイアル3に対する液体の導入および吸引時におけるインターフェース装置1のエルゴノミック性の向上を可能にする。
【0035】
(液体流通手段)
液体流通手段10、40は、穿孔されるバイアル3に対する液体注入器2による液体の導入および吸引を可能にするとともに、当該バイアル3におけるガスの流通(流入および流出)を可能にするように構成されている。
【0036】
そのため、液体流通手段10、40は、先端孔42と基端孔11を備えている。栓端孔42は、第二導管22と連通しており、穿孔されるバイアル3からのガスの流通を許容するように構成されている。基端孔11は、第三導管23と連通しており、液体注入器2による液体の導入と吸引を許容するように構成されている。
【0037】
ガスの流通を許容する先端孔42と液体(液体)の流通を許容する基端孔11を設けることにより、エルゴノミック性と穿孔されるバイアル3に対する液体の導入と吸引の効率を明らかに向上可能である。
図1に示されるように、使用時においては、穿孔されるバイアル3とインターフェース装置1は倒立され、バイアル3がインターフェース装置1の上方に位置する。液体がガスよりも高密度である場合、当該液体はプラグ3aに向かって下方に流れる。これにより、液体流通手段の先端部40bに配置された先端孔42はバイアル3内のガスを含んでいる領域に配置され、基端孔11は液体内に浸される。
【0038】
一実施形態においては、液体流通手段10、40は、エンドピース10とチューブ40を備えている。エンドピース10は、ベース20の第一導管21の基端21aに装着されている。チューブ40は、ベース20の第一導管21および第二導管22内に収容されている。
【0039】
液体流通手段の基端孔11は、エンドピース10の基端に形成されている。先端孔42は、チューブ40の先端に形成されている。
【0040】
エンドピース10は、ベース20がバイアル3に装着されると基端孔11がバイアル3の内部空間に配置されるように構成されている。また、チューブ40は、バイアル3の容積に応じて先端孔42の位置を調節するために、ベース20の第一導管21と第二導管22に沿って移動可能でありうる。
【0041】
エンドピース10は、第一導管21および第二導管22と同軸であり、スライドするチューブ40を受け入れるように構成されている。そのため、エンドピース10は、第一導管21および第二導管22と同軸の通路を有している。当該通路は、チューブ40が通過可能な先端穴12を通じてエンドピース10の先端10bに開口している。
【0042】
図面に例示されている実施形態においては、エンドピース10は、略円筒形状である。
【0043】
チューブ40は、第一導管21の内壁とエンドピース10の内壁との間に空隙25を形成可能な寸法とされていることが好ましい。これにより、基端孔11と液体注入器2の間で液体の通過を許容している(
図2)。例えば、この通路は、第三導管23に開口するように、基端孔11からエンドピース10と第一導管21の内部をチューブ40に沿って延びうる。
【0044】
空隙は、チューブ40を通じたバイアル3とのガス交換専用である第二導管22と連通していないことが有利である。そのため、第二導管22は、スリーブ24によって封止されている。スリーブ24は、第二導管22の基端22aに収容されており、第一導管21および第二導管22に沿うチューブ40の通過と移動を許容するとともに、液体注入器2またはバイアル3からの液体の通過を防止するように構成されている。例えば、スリーブ24は、第二導管22の内壁と嵌合する形状であり、第一導管21の第一軸X1および第二導管22の第二軸X2と同軸の中央穴が貫通しており、チューブ40を封止受容するように構成されている。そのため、スリーブ40は、エラストマ材料から形成されうる。
【0045】
図面に例示されている実施形態においては、第二導管22は、スリーブ24に当接して動かなくするために、基端部22aにおいて径小とされている。よって、空隙25は、スリーブ24とチューブ40によって第二導管22において封止される。これにより、液体は基端孔11から第三導管23へ流される。
【0046】
なお、本実施形態においては、基端孔11は、エンドピース10の側壁に形成され、空隙25に開口しうる。基端孔11は、プラグ3aに非常に近い領域まで延びていると有利である。これにより、吸収されうる液体の量が増加する。
【0047】
あるいは、基端孔11の機能は、先端孔42がチューブ40の先端40bに位置したまま、チューブ40が通過するエンドピース10の先端穴12によって保たれうる。
【0048】
チューブ40の先端40bは、バイアル3からチューブ40が抜けるのを防ぐために適度に拡開されうる。例えば、チューブ40がエンドピース10の先端穴12内で自身が延びる方向に移動可能である場合、拡開部は、先端穴12を形成する壁に当接するよう構成される。よって、本実施形態においては、バイアル3の底壁付近において先端孔42から吸気がなされうる(チューブ40の長さが、当該底壁に届くほど十分に長いという前提で)。したがって、タンク31が第二導管22に封止接続されている場合、初めからバイアル3内に存在するガスは閉回路内を自由に流通しうる。
【0049】
よって、液体の導入に使用されるエンドピース10の基端孔11は、プラグ3aの近傍に配置される。他方、チューブ40が自身の延びる方向に可動である場合、ガスの導入に使用される先端孔42は、エンドピース10の先端穴12とバイアル3の底の間の任意の点に配置されうる。したがって、空気の導入と液体の導入は、空間的な相関を絶たれる。
【0050】
チューブ40は、ステンレス鋼でありうる。
【0051】
エンドピース10は、バイアル3を穿孔するように構成されうる。そのため、チューブ40が通過するエンドピース10の先端10bは、封止を保ちつつバイアル3のプラグ3aを貫通するように形成されうる。通常、エンドピース10の先端10bは、尖った形状とされうる。
【0052】
あるいは、チューブ40、エンドピース10とは別の適当な穿孔手段によって穿孔がなされうる。
【0053】
さらに、バイアル3内部の位置にエンドピース10を保持するために、エンドピース10は、基端孔11とベース20の第一導管21の間を延びる中間領域に(好ましくは基端孔11に隣接する領域に)保持手段を備えうる。これにより、エンドピース10は、バイアル3内に位置し続ける。
【0054】
例えば、保持手段は、肩部13aを形成する放射状の基端部を有する複数のフィン13を備えうる。肩部13aは、バイアル3のプラグ3aに当接し、インターフェース装置1の抜脱を防止するのに適している。さらに、フィン13は、エンドピース10がバイアル3に進入するのを容易にするための、幅が狭められた先端13bを備えている。プラグ3bの劣化を抑制するために、エンドピース10が備えるフィン13の数は2個から4個の間であることが好ましい。
【0055】
図面に例示された実施形態においては、基端孔11は、二つのフィン13の間に形成されている。よって、肩部13aがプラグ3aに当接しても、バイアル3と基端孔11の間の連通は維持される(
図4a、
図4b)。
【0056】
ガスと液体の吸引を容易にするために、作業者は、バイアル3のプラグ3a内でエンドピース10を回動させる。エンドピース10とバイアル3のプラグ3aの間の接続は、プラグ3aの柔軟性とエンドピース10の形状のため、ボールジョイント方式となる。これにより、作業者は、バイアル3の内部空間全体にアクセス可能となる。
【0057】
エンドピース10の基端は、ディスク15を備えている。ディスク15は、軸X1を横切るようにバイアル3の外方を延びるように構成されている。これにより、特にバイアル3のプラグを通じてエンドピース10を挿入する(S2)際におけるインターフェース装置1の把持が容易になる。
【0058】
エンドピース10は、ベース20の第一導管21と一体のプラスチック単一部品として形成されてもよいし、第一導管21の先端21bに対して接着や溶着などの適宜の手段により付加的に固定されてもよい。
【0059】
不図示の別実施形態においては、基端孔11と先端孔42の双方がエンドピース10に形成される。この場合、エンドピース10は、ベース20がバイアル3に装着されると両孔11、42が当該バイアル3の内部空間に配置されるように構成される。この別実施形態においては、エンドピース10は、先端孔42において開口するガス専用のチャネルと基端孔11において開口する液体専用のチャネルを備える。
【0060】
あるいは、基端孔11と先端孔42は、それぞれがベース20に設けられて対応する導管と連通する二つの独立・離間したチャネルに形成されうる(不図示)。
【0061】
(ガス交換装置)
インターフェース装置1は、ガス交換装置30(タンク31やフィルタなど)を備えうる。ガス交換装置30は、装着ベース32を介して第二導管22の基端22aに接続される。使用時には、ガス交換装置30はチューブ40と連通することにより、バイアル3からガスを流通させる。
【0062】
より具体的には、装着ベース32は、ハウジングを備えうる。当該ハウジングは、チューブ40の基端40aを封止受容しつつ、チューブ40とガス交換装置30の間の連通を確保する。装着ベース32は、プラスチック材料で形成されうる。
【0063】
第二導管22は、その基端22aにスナップオン締結手段を備えうる。当該締結手段は、装着ベース32を定位置に保持する。
【0064】
第一実施形態においては、ガス交換装置30は、弾性バイアルを備えたタンク31である(
図7a)。当該弾性バイアルは、保持リング33を介して装着ベース32に装着されている。この種のタンクについては、本出願人名義の仏国特許出願公開第2982484号明細書に詳しく記載されている。本実施形態においては、タンク31、装着ベース32、および保持リング33は、接着などによりチューブ40に固定されている。タンク31の主軸は、バランス性とエルゴノミック性の観点から、チューブ40が延びる方向(すなわち軸X2、必要に応じて軸X1)に沿うことが好ましい(
図7a)。
【0065】
第二実施形態においては、ガス交換装置30は、容量可変の堅固なタンク31やケースを備えうる。当該ケースも装着ベース32を有している。装着ベース32は、チューブ40の基端40aをタンク31に封止接続する。この種のタンクについても、本出願人名義の仏国特許出願公開第2982484号明細書に詳しく記載されている(
図7b)。タンク31が堅固であるため、貯留時や作業者による取扱い時において予期せず穿孔されるリスクがない。
【0066】
(保護部材)
穿孔されるバイアル3の内容物がこぼれて作業者に接触することを回避するために、インターフェース装置1は、保護部材60を備えうる。保護部材60は、プラグ3aとベース20の間に位置するようにバイアル3に装着されうる。
【0067】
例えば、保護部材60は、ベース20とバイアル3の双方に装着されうる保護袋を備えうる。そのため、当該保護袋は、ベース20の第一導管21などに固着されうる。また、当該保護袋は、プラグ3aと嵌合し、かつプラグ3aの下部と係合する弾性装着手段を備えうる。
【0068】
把持手段61が上記保護袋に(通常は上記弾性装着手段に隣接するように)取り付けられうる。
【0069】
この場合、インターフェース装置1がバイアル3に装着されると、保護袋は、インターフェース装置1におけるプラグ3aとベース20の保護袋が装着されている領域の間に位置する部分全体を覆う。これにより、バイアル3の内容物と作業者の接触が防止される(
図1と
図6)。
【0070】
(使用方法)
本発明に係るインターフェース装置1の使用方法Sについて説明する。
【0071】
ここでは、ベース20の第一導管21と第二導管22がほぼ平行に並んで延びており、自身が延びる方向に移動可能なチューブ40を受容するインターフェース装置1の使用について詳細に説明する。また、このインターフェース装置1はケース型のタンク31を備えており、エンドピース10は穿孔器としての役割を担う。
【0072】
しかしながら、この場合に限定されるものではない。前述のように、インターフェース装置1は、必ずしも第一導管21と第二導管22内にチューブ40を受容することを要せず、必ずしもケース型のタンク31を備えることを要しない(フィルタや弾性バイアルで代えられうる)からである。また、穿孔器としての役割は、エンドピース10以外の部分によって担われうる。
【0073】
穿孔されるバイアル3は、粉末物と不活性ガスを収容している。しかしながら、当業者であれば、初めは真空中に液体や粉末を収容しているバイアルに本方法を容易に適用できる。違いは、タンク31に排気されるガスが穿孔されるバイアル3内に初めから収容されているかだけである。
【0074】
第一ステップS1において、作業者は、必要であればタンク31内に収容されているガスを抜き、液体注入器2をベース20の第三導管23に接続する。これにより、液滴の形成回避を確実にし、汚染のリスクを抑制する。そして、作業者は、液体をバイアル3内に注入する。
【0075】
インターフェース装置1の第三導管23が膜によって封止されるとき、液体注入器2のベース20への接続は、バイアル3に穿孔するステップS2に続いてなされうる。
【0076】
第二ステップS2において、作業者は、エンドピース10の尖った先端10bを押すことによってバイアル3のプラグ3aに穿孔する。穿孔を容易にするために、バイアル3は、支持台の上に首を上方に向けて縦に置かれうる。エンドピース10は、上方から下方へプラグ3aに挿入されうる。この操作においてチューブ40が損傷しないように、チューブ40の先端40bは、エンドピース10の先端穴12に当接するように配置されることが好ましい(
図3)。
【0077】
上記の膜が第三導管23を封止している間、スリーブ24が第二導管22を封止すると有利である。これにより、バイアル3内に初めから収容されている粉末とともにガスが通過することを回避できる。
【0078】
第三ステップS3においては、作業者がバイアル3に液体を注入する。
【0079】
バイアル3への液体の注入により、当該バイアル3内に初めから存在するガスをタンク31へ排出する。タンク31の内側の体積は、受容したガスの体積に応じて増加する。
【0080】
第四ステップS4においては、作業者がアセンブリを転回し、液体注入器2が鉛直方向を向き、バイアル3がインターフェース装置1の上方に位置するようにする。これにより、液体を取り入れるための基端孔11が液体に浸かる(
図1)。
【0081】
さらに、ベース20の構成(第一導管21と第二導管22が同方向に延び、第三導管23が斜めに延びている)が、インターフェース装置1の取扱いをよりエルゴノミックかつ容易にする。第三導管23が鉛直方向に延びるようにインターフェース装置1とバイアル3を配置できるため、液体注入器2によるバイアル3に対する液体の吸引と導入が容易になる。さらに、タンク31とバイアル3の内圧の簡単な調節のみで、タンク31の充填あるいはパージが受動的に(すなわち、作業者の介入を伴うことなく)なされる。
【0082】
第五ステップS5においては、作業者がチューブ40をバイアル3に挿入し、バイアル3内のガスを収容している領域(すなわち、バイアル3の底部)に先端孔42を到達させる。
【0083】
よって、基端孔11が液体に浸っている一方、先端孔42はガスに占められている領域に配置される。これにより、両流体の取り込みを効率よく分離できる。
【0084】
プラグ3aにより得られるボールジョイント効果が先端孔42をバイアル3内の任意の点に配置することを可能にするため、有利である。
【0085】
第六ステップS6においては、作業者が液体とバイアル3の内容物粉末を混合する。混合は、液体注入器2で当該内容物を含む液体の吸引と再注入を数回繰り返すことで、当初は粉末であった当該内容物が液体に溶解して均質化するように行なわれる。必要に応じて、作業者は、肩部13aをプラグ3aに当接させ、基端孔11をプラグ3aの液体入口のより近くに配置させうる。
【0086】
このステップS6においては、
・先端孔42は液体の外側に残り、液体中に泡が発生することの回避や中間チューブ40を介したタンク31内の液体の除去を可能にする。
・基端孔11はバイアル3のプラグ3aの近傍に配置され、ほぼ全ての液体を取り除くことを可能にする。
【0087】
この転回姿勢は、作業者にとってよりエルゴノミックであり、特に液体の粘性が高い場合に煩わしさが少ない。この系の重心は、液体注入器2の軸に非常に近い。この転回姿勢のエルゴノミック性と実用性は、第二導管22の軸X2と第三導管23の軸X3の間の角度αによって実現される。角度αは、30°から60°の間であることが好ましい。この場合、より容易に液体を流出させるために重力が利用される。
【0088】
さらに、液体注入器2は、エンドピース10とベース20を介してバイアル3に対して固定されるため、取り扱いが大幅に簡単とされる。
【0089】
あるいは、作業者は、重力を再度利用して液体をバイアル3に再注入するために、再びインターフェース装置1を転回させうる。そのため、作業者は、チューブ40をエンドピース10の先端10bに当接するように押し戻しうる。作業者は、液体をバイアル3に注入する必要がある度に、インターフェース装置1をバイアル3が下方に配置される通常姿勢とし、液体をバイアル3から吸い出す必要がある度に、バイアル3が最上部に配置されてチューブ40がバイアル3の底に当接する転回姿勢としうる。
【0090】
保護部材60を形成する袋によって、作業者は、プラグ3aの品質が低い場合あるいは劣化した場合に、あるいはインターフェース装置1の扱い方が悪い場合にエンドピース10とプラグ3aの間から漏れうる液滴から保護される。
【0091】
次に、内容物が十分に希釈された後、ステップS7において、作業者は、転回姿勢で所望量の液体を吸い出しうる。そして、系が通常姿勢に戻された後、液体注入器2がインターフェース装置1から取り外される。
【0092】
本発明は、前述され図面に例示された実施形態に限定されるものではなく、当業者が多くの置き換えや変更をなしうることは勿論である。