(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452724
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】エネルギ伝送装置及び搭載電源系統
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20190107BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20190107BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
B60R16/02 645C
H02J7/34 B
H02J1/00 304E
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-565206(P2016-565206)
(86)(22)【出願日】2015年3月5日
(65)【公表番号】特表2017-517430(P2017-517430A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】EP2015054679
(87)【国際公開番号】WO2015165626
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2016年10月28日
(31)【優先権主張番号】102014207993.4
(32)【優先日】2014年4月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ホアン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ボーネ
【審査官】
青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−312937(JP,A)
【文献】
特開2007−196825(JP,A)
【文献】
特開平05−058231(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0006491(US,A1)
【文献】
米国特許第3949289(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02J 1/00
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ伝送装置(12)であって、
前記エネルギ伝送装置(12)は少なくとも、当該エネルギ伝送装置(12)へ少なくとも2チャネルで電気エネルギを供給するための第1の入力端子(48a)と第2の入力端子(48b)とを有しており、
前記エネルギ伝送装置(12)はさらに、前記電気エネルギを負荷(34a,34b,34c,34d,34e)に転送するための少なくとも一つの出力端子(50a,50b,50c,50c’,50d,50e)を有しており、
前記エネルギ伝送装置(12)は入力切換手段(S7)を有しており、当該入力切換手段(S7)は、前記第1の入力端子(48a)又は前記第2の入力端子(48b)と前記少なくとも一つの出力端子(50a,50b,50c,50c’,50d,50e)とを導電性接続するように構成されており、
前記エネルギ伝送装置(12)はさらに、前記第1の入力端子(48a)又は前記第2の入力端子(48b)と前記少なくとも一つの出力端子(50a,50b,50c,50c’,50d,50e)との前記導電性接続を中断するために前記少なくとも一つの出力端子(50a,50b,50c,50c’,50d,50e)に割り当てられている出力スイッチ(S1,S2,S3,S4,S5,S6)を有しており、
前記エネルギ伝送装置(12)はさらに、測定装置(46)を有しており、
当該測定装置(46)は、前記少なくとも一つの出力端子(50a,50b,50c,50c’,50d,50e)と電圧供給電位及び/又は少なくとも一つの別の出力端子との間の短絡を検出する、及び/又は、前記少なくとも一つの出力端子(50a,50b,50c,50c’,50d,50e)に接続されている電気的な線路の中断を検出するように構成されており、
前記エネルギ伝送装置(12)は、前記短絡及び/又は前記中断の前記検出に応じて、該当する前記出力端子(50a,50b,50c,50c’,50d,50e)に割り当てられている前記各出力スイッチ(S1,S2,S3,S4,S5,S6)を開放するように構成されている、
ことを特徴とするエネルギ伝送装置(12)。
【請求項2】
前記入力切換手段(S7)は、切換スイッチとして形成されている、請求項1に記載のエネルギ伝送装置(12)。
【請求項3】
前記第1の入力端子(48a)及び前記第2の入力端子(48b)での電圧の高さ及び/又は電流の強さの限界値の下回りの検出に応じて、前記第1の入力端子(48a)から前記第2の入力端子(48b)への切換、又は、前記第2の入力端子(48b)から前記第1の入力端子(48a)への切換が行われるように前記入力切換手段(S7)を駆動制御するように構成されている、請求項1又は2に記載のエネルギ伝送装置(12)。
【請求項4】
前記少なくとも一つの出力端子(50a,50b,50c,50c’,50d,50e)に整流素子が割り当てられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエネルギ伝送装置(12)。
【請求項5】
複数の前記負荷(34a,34b,34c,34d,34e)に電気エネルギを供給するための電気的な線路が、前記エネルギ伝送装置(12)から複数の前記負荷(34a,34b,34c,34d,34e)へ放射状に接続されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエネルギ伝送装置(12)。
【請求項6】
前記エネルギ伝送装置(12)の動作を制御する制御装置(42)を有している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエネルギ伝送装置(12)。
【請求項7】
前記制御装置(42)と接続されているデータインタフェース(40)を有している、請求項6に記載のエネルギ伝送装置(12)。
【請求項8】
前記エネルギ伝送装置(12)は、少なくとも前記エネルギ伝送装置(12)に電気エネルギを少なくとも一時的に供給する一時蓄積装置(44)を有している、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエネルギ伝送装置(12)。
【請求項9】
一つの負荷(34c)に、2チャネルで、二つの出力端子(50c,50c’)を介して電気エネルギを供給するように構成されている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のエネルギ伝送装置(12)。
【請求項10】
少なくとも二つの出力スイッチ(S1,S2,S3,S4,S5,S6)を有しており、当該少なくとも二つの出力スイッチ(S1,S2,S3,S4,S5,S6)は、一つの負荷(34c)に電気エネルギを2チャネルで供給する切換スイッチ(52)として構築可能であるように構成されている、請求項9に記載のエネルギ伝送装置(12)。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のエネルギ伝送装置(12)を有している、
ことを特徴とする搭載電源系統(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の搭載電源系統において使用されるエネルギ伝送装置と、この種のエネルギ伝送装置を有する搭載電源系統とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
集積部の電化が進んでいることによって、及び、新たな走行機能の導入によって、車両又は自動車内の電気エネルギ供給への信頼性の要求が高まっている。
【0003】
将来の高度自動走行では、走行に適していない行動は制限される。運転者による、感覚的な、調整技術的な、機械的な及びエネルギ的な逆戻り段階は、このよう場合には条件付きでしか許容されない。今日、通常である14V搭載電源系統は、給電の信頼性へのこの高い要求をもはや十分に満たすことはできない。
【0004】
この種の搭載電源系統におけるエネルギ分配は、受動的に、ヒューズボックスを介して、制御部の介入無しに行われる。搭載電源系統の欠陥又はコンポーネントの欠陥の診断は設定されていない。従って、欠陥がある場合の欠陥補償のための、安全に関連するコンポーネントのエネルギ供給を保証する措置は取られないだろう。
【0005】
欧州特許第1054789号明細書(EP1054789B1)から、負荷をオンオフする方法が公知である。ここでは、制御機器に、負荷のその時の動作状態を識別するために必要な情報が供給される。
【0006】
室内照明のための負荷は、「Body Computer Module(BCM)」に接続される。ここで、この負荷は、出力段を介して駆動制御される。例えば、負荷の白熱電球が故障すると、出力段によってこのことが検出され、運転者に伝達される。
【0007】
従って、さらに、安全に関連するコンポーネントの電気エネルギ供給の信頼性を高めることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1054789号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の開示
従って、本発明は、請求項1の特徴部分に記載された構成を有するエネルギ伝送装置を提案する。
【0010】
発明の利点
本発明の重要な態様は、負荷への電気エネルギの供給を、選択的に、エネルギ伝送装置の第1のチャネル及び/又は第2のチャネルを介して行うことを可能にするエネルギ伝送装置を提供することである。ここでこの第1のチャネルは、エネルギ伝送装置の第1の入力端子と導電性接続されており、この第2のチャネルは、第2の入力端子と導電性接続されている。これによって、安全に関連するコンポーネントの電気エネルギ供給の信頼性が向上し、ひいては全体的に動作安全性が向上する。入力端子のこの選択は、入力切換手段によって行われる。エネルギ伝送装置は、少なくとも一つの、有利には少なくとも二つの出力端子を有している。この出力端子には、出力線路によって、一つ又は複数の負荷が接続可能である。
【0011】
ある実施形態では、この入力切換手段は、切換スイッチとして形成されている。この切換スイッチは、第1の入力端子と、又は、第2の入力端子と、導電性の接続を形成する。一方の入力端子での導電性接続の解除には、他方の入力端子の導電性接続が伴う。従って、負荷への電気エネルギ供給は、第1のチャネルを介して、又は、第2のチャネルを介して行われる。しかし、負荷への電気エネルギ供給が、二つのチャネルを介して同時に行われることはない。
【0012】
別の実施形態では、エネルギ伝送装置は、第1の入力端子及び/又は第2の入力端子で電圧の高さ及び/又は電流の強さが限界値を下回ったことの検出に応じて、第1の入力端子から第2の入力端子への切換、又は、第2の入力端子から第1の入力端子への切換が行われるように、入力切換手段を駆動制御するように構成されている。このために、例えば、エネルギ伝送装置の測定装置は、第1のチャネル及び/又は第2のチャネル上の電圧及び/又は電流を検出する。また、例えば制御装置は、電圧及び/又は電流に対する、この検出された値を限界値と比較し、この比較の結果に応じて、例えば第1のチャネルから第2のチャネルへの切換を生じさせる。従って、第1のチャネルから第2のチャネルへの切換、又は、第2のチャネルから第1のチャネルへの切換を行うさらなる構成部材は不要である。
【0013】
別の実施形態では、少なくとも一つの出力端子に、この接続ひいては各負荷の電気エネルギ供給を中断する出力スイッチが割り当てられている。従って、欠陥を有する場合に、負荷を給電するための出力線路がこの出力スイッチによって中断され、残りの負荷のエネルギ供給はこの欠陥を有する場合に影響されずにすむ。従って、エネルギ供給の信頼性が向上する。この出力スイッチは、有利には、機械的なスイッチ又は電子的な半導体スイッチである。
【0014】
別の実施形態では、エネルギ伝送装置は、複数の負荷に放射状(sternfoermigen)に電気エネルギを供給するように構成されている。これによって、特に容易に、バスシステムを用いずに、負荷に電気エネルギを供給することが可能になる。
【0015】
別の実施形態では、エネルギ伝送装置は測定装置を有しており、この測定装置は、少なくとも一つの出力端子と電圧供給電位(通常はV+、V−及び/又はGND若しくはアースと称される)との間の短絡を検出するように、及び/又は、少なくとも一つの出力端子に接続されている電気線路の中断(開放されている出力側)及び/又は複数の出力端子間の中断(これは、エネルギ伝送装置が少なくとも二つの出力端子を有している場合に限る)を検出するように構成されている。ここでエネルギ伝送装置は、制御装置を有しており、この制御装置は、上記短絡及び/又は上記中断の検出に応じて、該当する出力端子に割り当てられている出力スイッチを開放するように構成されている。さらに測定装置は、例えば、この出力端子での電圧の高さ及び/又は電流の強さを検出し、制御装置は、電圧及び/又は電流に対するこの検出された値を一つ又は複数の限界値と比較し、この比較の結果に応じて、短絡及び/又は中断を確定する。従って、短絡及び/又は中断を検出するための、さらなる構成部材は不要である。
【0016】
別の実施形態では、エネルギ伝送装置は一時蓄積装置を有しており、この一時蓄積装置は、少なくとも一時的に、少なくともエネルギ伝送装置に電気エネルギを供給する。この一時蓄積装置は、バッテリ、コンデンサ又は再充電可能な蓄電池であってよい。この一時蓄積装置によって、例えば、第1のチャネルから第2のチャネルへの切換中に、又は、第2のチャネルから第1のチャネルへの切換中にエネルギ伝送装置の動作のために外部の電気エネルギが使用可能でない場合にも、例えばエネルギ伝送装置の制御装置及び/又は測定装置に電気エネルギが供給される。
【0017】
別の実施形態では、2チャネルで、エネルギ伝送装置の二つの出力端子を介して、負荷に電気エネルギを供給するようにエネルギ伝送装置が構成されている。ここで、2チャネルでの給電は、次のことを意味している。即ち、選択的に、第1のチャネルを介して、又は、第2のチャネルを介して、又は、同時に二つのチャネルを介して負荷に電気エネルギが供給されることを意味している。これによって、動作安全性が再び高められる。なぜなら、冗長的に、2チャネルで、負荷に電気エネルギが供給されるからである。
【0018】
別の実施形態では、エネルギ伝送装置は少なくとも二つの出力スイッチを有している。これらの出力スイッチは負荷に2チャネルで電気エネルギを供給する切換スイッチとして構築可能であるように構成されている。従って、必要な場合には、エネルギ伝送装置を、2チャネルで負荷に給電するように構築することができる。この場合には切換スイッチに構築された二つの出力スイッチによって、第1の出力スイッチを介して又は第2の出力スイッチを介して、負荷に電気エネルギが供給される。従って、このエネルギ伝送装置は特に柔軟に使用可能である。切換スイッチは、有利には、機械的なスイッチ又は電子的な半導体スイッチであり得る。
【0019】
別の実施形態では、少なくとも一つの出力端子に、整流素子、特にダイオードが割り当てられている。これは、(例えば負荷内での過電圧による)逆給電(Rueckspeisen)を阻止することを可能にし、ひいては残りの負荷をこの過電圧から保護する。
【0020】
有利には、エネルギ伝送装置は、特にバス通信システム、例えばCAN用のデータインタフェースも有し、これを介して、エネルギ伝送装置の制御装置は他の制御機器と通信することができ、これによって特に命令、状況通知等を出力する、又は、受け取る。
【0021】
本発明の他の利点及び構成は、明細書及び添付図面から明らかである。
【0022】
上述した特徴及び後述する特徴は、挙げられた各組合せでだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、別の組合せ又は単独でも使用可能である、ということを理解されたい。例えば、本発明を合理的に、内燃機関を有しておらず、バッテリによって動作する車両にも使用することができる。
【0023】
本発明を、実施例に基づいて図面に概略的に示し、以降で、この図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る搭載電源系統の実施例の概略図。
【
図2】
図1に示された搭載電源系統の負荷に給電する本発明に係るエネルギ伝送装置の実施例の概略図。
【0025】
図面では、同等の又は対応する部材に、同様の参照符号が付与されている。繰り返しの説明は省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、本発明に係る搭載電源系統2の実施例が示されている。この搭載電源系統2は特に、自動車の一部であり得る。搭載電源系統2は、例えば、搭載電源系統基礎部4を含んでいる。この実施例では、搭載電源系統基礎部4は、電気機械18を有している。この電気機械18はこの実施例では、駆動部として使用されるためにモータ式に動作する、及び/又は、電気エネルギを生成するために発電機式に動作する。このために、相応に構成されたパワーエレクトロニクス(図示されていない)が設けられている。発電機モードでは、電気機械18は、車両の内燃機関によって駆動される。モータモードでは、電気機械18は車両を駆動することができる。
【0027】
この実施例では搭載電源系統基礎部4内で、電気機械18に対して、スタータ20と、再充電可能なバッテリ22と、搭載電源系統基礎部負荷群26とが、接続線路14を介して電気的に並列に接続されている。スタータ20は、この実施例では、自動車の内燃機関を始動させるように構成されている。再充電可能なバッテリ22には、発電機モードの電気機械18によって生成された電気エネルギが蓄積されている。従って、搭載電源系統基礎部4の搭載電源系統基礎部負荷群26には、発電機モードにある電気機械18によっても、再充電可能なバッテリ22によっても電気エネルギが供給される。従って、この実施例では、発電機モードにある電気機械18も再充電可能なバッテリも、エネルギ源を形成する。搭載電源系統基礎部負荷群26は、一つ又は複数の電気的な負荷を含み得る。
【0028】
接続線路14を介して、第1のチャネル8及び第2のチャネル10(これらはエネルギ供給チャネルである)は導電性に搭載電源系統基礎部4と、ひいてはエネルギ源と接続されている。
【0029】
この実施例では、第1のチャネル8にも第2のチャネル10にも、電圧変換のタスクと搭載電源系統基礎部4からのチャネル8、10の切り離しのタスクとを有するDC/DC変換器24が一つずつ割り当てられている。選択的に、又は、付加的に、第1のチャネル8にも第2のチャネル10にも切換手段(図示されていない)をそれぞれ一つ割り当てることができる。これは、例えば半導体スイッチ又はリレーである。この切換手段によって、第1のチャネル8及び/又は第2のチャネル10は、電気的に、搭載電源系統基礎部4から、又は、それぞれ他方のチャネル8若しくはチャネル10から切り離される。
【0030】
この実施例では、それぞれ一つのエネルギ蓄積器36が、第1のチャネル8及び第2のチャネル10と、1チャネルで接続されている。即ち、各エネルギ蓄積器36は第1のチャネル8としか、又は、第2のチャネル10としか導電性に接続されていない。エネルギ蓄積器36は、再充電可能なバッテリ又はコンデンサ、例えば二重層コンデンサを有し得る。第1のチャネル8と接続されている第1の接続線路38a及び第2のチャネル10と接続されている第2の接続線路38bには、エネルギ伝送装置12が接続されている。従って、エネルギ伝送装置12は、二つのチャネル8、10を介して、入力側で、2チャネルで搭載電源系統2と接続されている。出力側では、エネルギ供給装置12に、一つ又は複数の、安全に関連する負荷34を有する負荷群6が接続されている。安全に関連する負荷34とは、例えば、安全に関連する電気的なセンサ及び/又はアクチュエータを駆動制御する制御機器、又は、単に存在する、安全に関連するセンサ及び/又はアクチュエータである。安全に関連する負荷34は、例えば、自動走行機能を提供するように構成されている。従って、安全に関連する負荷34に、特に確実に電気エネルギを供給することが保証される。
【0031】
搭載電源系統基礎部4が故障した場合には、エネルギ蓄積器36によって、安全に関連する負荷34を有する負荷群6の給電が保証される。この場合には、チャネル8若しくは10が、搭載電源系統基礎部4から、切換手段若しくはDC/DC変換器24を介して切り離される。
【0032】
さらに、この実施例では、冗長的な負荷ユニット30のそれぞれ一つの冗長的な(即ち、数倍の数で存在し、ここでは二倍の数で存在する)負荷32が、1チャネルで第1のチャネル8及び第2のチャネル10と接続されている。即ち、冗長的な負荷ユニット30が、第1のチャネル8を介して、及び、第2のチャネル10を介して、導電性に、搭載電源系統基礎部と接続されている。しかし、各冗長的な負荷32は、厳密に一つのチャネル8、10を介して接続されている。冗長的な負荷32は、特に、例えば、自動車の二重回路式の、電気的に駆動可能なブレーキの安全に関連する電気的なセンサ又はアクチュエータであり、その機能は、一つのチャネルが中断された場合にも、及び、一つの負荷32が故障した場合にも継続されるべきである。
【0033】
さらに、この実施例では、搭載電源系統2に、欠陥検出装置16が割り当てられている。この欠陥検出装置16には、搭載電源系統基礎部、チャネル8及び10又は負荷32における欠陥を検出する一つ又は複数の装置が設けられており、これによって、欠陥、例えば過電圧、低電圧、短絡又は線路中断を識別することができる。欠陥検出装置16は、さらに、制御線路(図示されていない)を介して、DC/DC変換器24と導電性に接続されており、これによって、欠陥がある場合に負荷ユニット30の給電が保証されるように、DC/DC変換器24を、欠陥がある場合に駆動制御することができる。これは例えば、説明されたように、搭載電源系統基礎部からのチャネル8及び/又は10の切り離しによって行われる。
【0034】
図2は、負荷群6がこの実施例において、五つの、安全に関連する負荷34a,34b,34c,34d,34eを有していることを示している。これらの負荷34a,34b,34c,34d,34eはこの実施例では、自動走行機能を提供するように構成されており、従って、特に確実に電気エネルギが供給されなければならないコンポーネントである。これらは例えば、安全に関連する電気的なセンサを駆動制御する制御機器及び/又はアクチュエータ、又は、安全に関連するセンサ及び/又はアクチュエータである。
【0035】
エネルギ伝送装置12は、この実施例では、二つの入力端子48a,48bを有している。これらの入力端子は、導電性にそれぞれ、二つのチャネル8,10(これらはここでは電圧供給電位V+にある)と接続されている。さらに、エネルギ伝送装置12は、この実施例では、六つの出力端子50a,50b,50c,50c’,50d,50eを有している。
【0036】
従って、エネルギ伝送装置12は、入力側では、2チャネルで電気エネルギを伝送する第1のチャネル8及び第2のチャネル10と接続されている。さらに、
図2は、エネルギ伝送装置12と負荷34a,34b,34d,34eとが、1チャネルでの電気エネルギの伝送のために接続されており、また、負荷34cが、二つの出力端子50c,50c’を介して、2チャネルでの電気エネルギの伝送のために接続されていることを示している。さらに、この実施例では、エネルギ伝送装置12は、アース端子28と車両バス、例えばCANバスに対するインタフェース40とを有している。選択的に、インタフェース40を、LINと又はイーサネットとコンパチブルに構成することもできる。
【0037】
エネルギ伝送装置12は、制御装置42を有している。この制御装置はこの実施例では、μコントローラを有している。供給電圧の崩落時に、制御装置42に電気エネルギを供給するために、エネルギ伝送装置12はさらに、一時蓄積装置44を有している。
【0038】
さらに、エネルギ伝送装置12はこの実施例では、六つの出力スイッチS1,S2,S3,S4,S5,S6を有している。これらの出力スイッチによって、出力端子50a,50b,50c,50c’,50d,50eが、電気エネルギの供給から切り離される。出力端子50a,50b,50c,50c’,50d,50eに接続されている電気的な線路は、放射状に、エネルギ伝送装置12を、負荷34a,34b,34c,34d,34eと接続する。出力スイッチS1,S2,S3,S4,S5,S6は、機械的なスイッチであっても、半導体スイッチであってもよい。さらに、この実施例では、各出力線路には、エネルギ伝送装置12を保護するための保護用ダイオードが割り当てられている。これによって、(例えば、負荷34a,34b,34c,34d,34eのうちの一つの負荷における過電圧による)逆給電を阻止することができ、ひいては残りの負荷をこの過電圧から保護する。
【0039】
制御装置42は、図示されていない制御線路を介して、出力スイッチS1,S2,S3,S4,S5,S6と、制御装置42が各出力スイッチS1,S2,S3,S4,S5,S6を任意選択的に開放又は閉成することができるような作用関係にある。
【0040】
最後に、エネルギ伝送装置12は、測定装置46を有している。この測定装置46は、この実施例では、電圧を測定するように、及び/又は、電流を測定するように構成されている。この測定装置46によって、V+及び/又はアース相互の、若しくは、V+及び/又はアースへの短絡、及び/又は、出力線路の線路中断が検出される。
【0041】
制御装置42は、動作時に、図示されていない信号線路を介して、測定値を測定装置46から読み出し、出力端子50a,50b,50c,50c’,50d,50eとアースとの間の短絡、及び/又は、少なくとも二つの出力端子50a,50b,50c,50c’,50d,50eのうちの一つに接続されている電気的な線路の中断が存在するか否かに関して評価をするように構成されている。短絡及び/又は線路の中断が存在する場合には、動作時に、制御装置42は、各出力スイッチS1,S2,S3,S4,S5,S6を駆動制御し、該当する出力端子(50a,50b,50c,50c’,50d,50e)に接続されている線路を中断する。しかし、他の出力スイッチS1,S2,S3,S4,S5,S6は、変更されないままである。従って、残りの負荷34a,34b,34c,34d,34eのエネルギ供給は、欠陥を有する場合に影響されない。
【0042】
これに対して、負荷34cのケースのように、2チャネルでの給電が設定されている場合には、制御装置42は通常、出力スイッチS3及びS4を次のように駆動制御する。即ち、二つの出力スイッチS3及びS4のうちの一つのみが閉成され、出力スイッチS3及びS4のうちの他方の出力スイッチが開放されているように、駆動制御する。従って、この実施例では、出力端子50c,50c’に割り当てられている二つの出力スイッチS3及びS4が切換スイッチ52として構築されている。欠陥がある場合には、それぞれの他方の出力端子50c,50c’に切り換えられる。
【0043】
エネルギ伝送装置12はさらに、入力切換手段S7を有している。この入力切換手段S7によって、電気エネルギ供給が第1のチャネル8を介して行われるか、又は、第2のチャネル10を介して行われるかが選択される。このために、この実施例では、入力切換手段S7は切換スイッチとして形成されている。従って、第1のチャネル8と第2のチャネル10とを介した同時の給電が行われないことが保証される。これによって、欠陥を有する場合に、給電の切換が可能になる。この切換スイッチは、機械的なスイッチ又は半導体スイッチであってよい。
【0044】
動作時には、エネルギ供給が第1のチャネル8を介して行われるか、又は、第2のチャネル10を介して行われるかの選択が行われる。第1のチャネル8又は第2のチャネル10の選択のために、測定装置46によって、第1のチャネル8及び第2のチャネルを介して供給可能な電圧の高さ及び/又は電流の強さが検出される。このために、測定装置46は、第1のチャネル8を介して及び第2のチャネル10を介して供給可能な電圧及び/又は電流を測定するように構成されている。制御装置42は、電圧に対する下方限界値及び/又は電流に対する下方限界値と測定結果とを比較するように構成されている。測定電圧が下方限界値を下回ると、供給電圧の異常が想定され、現在のチャネルから他方のチャネルへの切換が行われる。選択的に、一方のチャネルから他方のチャネルへの切換のための信号が、車両バスを介して、車両の上位のエネルギ管理部からエネルギ伝送装置12へ伝送されてもよい。
【0045】
同様に、第1のチャネル8と第2のチャネル10とを介した2チャネルのエネルギ供給が同時に行われてもよい。この場合には、欠陥がある場合にのみ、欠陥を有するチャネルが切り離される。
【0046】
別の実施形態では、エネルギ伝送装置12は、
図2に示されているように、別個の構成部材として形成されているのではなく、例えば、負荷34c内に集積されている。出力線路は、この場合には、放射状に、ある負荷34cから他の負荷34a,34b,34d,34eへと延在する。この実施形態は特に車両用の特別装備として適しており、高い集積密度を有する。搭載電源系統基礎部負荷群26の一つ又は複数の搭載電源系統基礎部負荷、特にいわゆるボディ制御機器(又は他の制御機器)に集積することも有利である。