(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、この種の接合器としては、例えば
図23に示すように、管の外周面に軸芯方向に亘って所定間隔で環状リブ111a,111bが設けられたリブ付き管101a,101b同士を接続する際に使用されるものがある。この接合器103は、一方のリブ付き管101aの外周に形成された溝部112aに挟み込む半円環状脚部132を、ハンドル131の下端に回動自在に軸支し、また、ハンドル131の中間位置にステー133の一端を軸支すると共に、他方のリブ付き管101bの外周に形成された溝部112bに挟み込む半円環状脚部134を、ステー133の他端に取付けている。
【0003】
このような接合器103を用いてリブ付き管101a,101bを接続するには、先ず、一方のリブ付き管101aの拡径受口113aに、他方のリブ付き管101bの端部にシールパッキン102が装着されている先端部を仮挿入する。次に、拡径受口113aの後方の外周の溝部112aに、ハンドル131の下端に設けられた半円環状脚部132を挟み込んで係止する。一方、ステー133の他端に設けられている半円環状脚部134を、リブ付き管101bの外周の溝部112bに挟み込んで係止する。
【0004】
次に、ハンドル131の上端を手で握って、ハンドル131を鉛直位置Pから一方向Q1に回動させると、リブ付き管101bは引き寄せられてその端部が拡径受口113a内にスムーズに挿入される。これにより、リブ付き管101a,101b同士を接合することができる。
【0005】
尚、上記のような管の接合器103は例えば下記特許文献1に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の従来形式では、ハンドル131を鉛直位置Pから一方向Q1に回動させて、リブ付き管101bの端部を拡径受口113a内に挿入した後、ハンドル131を他方向Q2に回動させて鉛直位置Pに戻した場合、リブ付き管101bの端部が拡径受口113a内から離脱方向Fへ移動してしまうため、リブ付き管101bの拡径受口113aへの挿入量が減少したり或いは0になってしまう虞がある。
【0008】
従って、ハンドル131を鉛直位置Pから一方向Q1に回動させて、リブ付き管101bの端部を拡径受口113a内に挿入した際、挿入量が不足していると、一旦、接合器103をリブ付き管101a,101bから取り外し、ハンドル131を鉛直位置Pにして接合器103をリブ付き管101a,101bに再度セットして、ハンドル131を鉛直位置Pから一方向Q1に回動させる必要があり、管の接合作業に多大な手間を要するといった問題がある。
【0009】
また、管101a,101bを接続する際、接合器103の半円環状脚部132を一方のリブ付き管101aの外周の溝部112aに挟み込み、半円環状脚部134を他方のリブ付き管101bの外周の溝部112bに挟み込む必要があるため、接合器103は環状リブ111a,111bを備えたリブ付き管101a,101bにしか使用できず、環状リブ111a,111bを備えていない管同士を接合することができないといった問題がある。
【0010】
本発明は、管の接合作業の手間を軽減することができ、外周面にリブを備えていない管同士を接合することができる接合器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、一方の管の受口に他方の管の挿口を挿入して管同士を接合するための接合器であって、
受口側係合部材を有する操作杆と、
挿口側係合部材を有する連動体と、
操作杆と連動体との間に設けられた連結部材とを備え、
操作杆と連結部材の一部とは回動自在に連結され、
連動体と連結部材の他部とは回動自在に連結され、
受口側係合部材は、一方の管の受口の近傍部分に外嵌可能で、管軸方向において受口に係合自在であり、
挿口側係合部材は、対をなす挟持部を有し、他方の管の挿口に外嵌可能であり、
受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の挿入方向へ回動した場合、操作杆に連動して連動体が挿口の挿入方向へ回動し、挿口側係合部材の挟持部が他方の管の挿口を挟んで、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ移動し、
受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の離脱方向へ回動して戻した場合、操作杆に連動して連動体の挿口側係合部材の挟持部が他方の管の挿口を挟むことを解除するとともに挿口に対して離脱方向へスライド
し、
受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の離脱方向へ回動して戻す際、連動体が挿口の離脱方向へ回動するときの回動範囲を規制する規制手段が備えられているものである。
【0012】
これによると、先ず、一方の管の受口に他方の管の挿口の先端部を仮挿入し、次に、挿口側係合部材を挿口に外嵌し、受口側係合部材を受口の近傍部分に外嵌して、接合器を管にセットし、受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の挿入方向へ回動する。これにより、操作杆に連動して連動体が挿口の挿入方向へ回動し、挿口側係合部材の挟持部が他方の管の挿口を挟んで(挟持して)、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ移動するため、挿口が受口に挿入される。
【0013】
その後、受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の離脱方向へ回動して戻した場合、操作杆に連動して連動体が挿口の離脱方向へ回動し、挿口側係合部材の挟持部が、挿口を挟むことを解除するとともに、挿口に対して当初の挟持位置よりも離脱方向へスライドする。これにより、挿口が受口内から離脱方向へ移動することなく、挿口側係合部材の挟持部が離脱方向へスライドする。
【0014】
その後、受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の挿入方向へ回動することにより、挿口側係合部材の挟持部が挿口を挟んで、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ移動するため、挿口が受口に挿入される。
【0015】
このように、接合器を管にセットしたままで、操作杆を挿口の挿入方向と離脱方向との両方向へ複数回往復回動することにより、挿口が複数回にわたって受口に挿入されるため、挿口を受口に一回挿入する度に接合器を管から取り外してセットし直す必要は無く、管の接合作業の手間を軽減することができる。
【0017】
尚、操作杆を挿口の離脱方向へ回動して戻す際、連動体が挿口の離脱方向へ回動するときの回動範囲は規制手段によって規制されるため、挿口側係合部材の挟持部が、挿口を挟むことを解除するとともに、挿口に対して当初の挟持位置よりも離脱方向へ確実にスライドする。
【0018】
本第
2発明における接合器は、規制手段は連結部材に設けられた突部であり、
連動体が突部に当接することにより、連動体の挿口の離脱方向への回動が規制されるものである。
【0019】
本第
3発明における接合器は、受口側係合部材が一方の管の受口の付け根部分に外嵌する方向と、挿口側係合部材が他方の管の挿口に外嵌する方向とが異なっているものである。
【0020】
本第
4発明における接合器は、
受口側係合部材を一方の管から取り外すとともに、挿口側係合部材を他方の管から取り外した状態で、操作杆と連動体と連結部材とが上下方向において一直線状に延びるものである。
【0021】
これによると、先ず、一方の管の受口に他方の管の挿口の先端部を仮挿入し、次に、接合器の挿口側係合部材を挿口に外嵌して、対をなす挟持部間に挿口を挿入する。その後、受口側係合部材を、受口の近傍部分に外嵌して、管軸方向において受口に係合する。これにより、接合器が管にセットされる。
【0022】
その後、操作杆を操作して、受口側係合部材を支点として操作杆を挿口の挿入方向へ回動する。
【0023】
操作杆の回動に連動して挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ傾き、対をなす挟持部が挿口を挟持し、この状態で、操作杆が回動するのに伴って、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ移動する。これにより、挿口が、挿口側係合部材の挟持部間に挟持された状態で、受口内に挿入される。
【0024】
このように、受口側係合部材が管軸方向において受口に係合し、挿口側係合部材が挿口に外嵌され、操作杆の挿入方向への回動に伴って、挿口側係合部材が挿入方向へ傾き、対をなす挟持部が挿口を挟持するように構成されているため、外周面にリブを備えていない管同士を接合することができる。
【0025】
本第
5発明における接合器は、受口側係合部材は上方から受口の付け根部分に外嵌可能であり、
挿口側係合部材は側方から挿口に外嵌可能であるものである。
【0026】
これによると、接合器を管にセットする際、操作杆を鉛直方向に持ち上げることにより、接合器は操作杆と連動体と連結部材とが上下方向において一直線状に延びた状態になる。この状態で、挿口側係合部材を挿口の一側方に位置させ、その後、操作杆を中心に接合器を回動して、挿口側係合部材を挿口の一側方から挿口に外嵌する。
【0027】
この際、接合器は一直線状に延びた状態であるため、操作杆を中心とした径方向における操作杆から連動体までの距離が短縮され、これにより、挿口の一側方のスペースが狭くても、挿口側係合部材を挿口に外嵌することができる。
【0028】
その後、操作杆を下して、受口側係合部材を上方から受口の付け根部分に外嵌することにより、接合器が管にセットされる。
【0029】
これにより、地中に埋設される管においては、地面を掘削して形成した溝内に管を配置し、上記のようにして接合器をセットして管を接合する際、挿口の一側方に形成されるスペースを狭くすることが可能であるため、溝の幅を狭くすることができ、地面の掘削工事が容易に行える。
【発明の効果】
【0030】
以上のように本発明によると、接合器を管にセットしたままで、操作杆を挿口の挿入方向と離脱方向との両方向へ複数回往復回動することにより、挿口が複数回にわたって受口に挿入されるため、挿口を受口に一回挿入する度に接合器を管から取り外してセットし直す必要は無く、管の接合作業の手間を軽減することができる。
【0031】
また、受口側係合部材が管軸方向において受口に係合し、挿口側係合部材が挿口に外嵌され、操作杆の操作に伴って、挿口側係合部材が挿口の挿入方向へ傾き、対をなす挟持部が挿口を挟持するように構成されているため、外周面にリブを備えていない管同士を接合することができる。
【0032】
さらに、地中に埋設される管においては、地面を掘削して形成した溝内に管を配置し、接合器を管にセットして管を接合する際、挿口の一側方に形成されるスペースを狭くすることが可能であるため、溝の幅を狭くすることができ、地面の掘削工事が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における接合器を用いて接合された管の継手部分の一部拡大断面図である。
【
図3】同、接合器を用いて管同士を接合するときの手順を示す側面図であり、接合器を管にセットした様子を示す。
【
図4】同、接合器を用いて管同士を接合するときの手順を示す側面図であり、操作杆を鉛直位置から挿入方向に回動した様子を示す。
【
図5】同、接合器を用いて管同士を接合するときの手順を示す側面図であり、操作杆を挿入方向に目一杯回動した様子を示す。
【
図6】同、接合器を用いて管同士を接合するときの手順を示す側面図であり、操作杆を離脱方向に回動した様子を示す。
【
図7】同、接合器を用いて管同士を接合するときの手順を示す側面図であり、操作杆を離脱方向に回動して鉛直位置に戻した様子を示す。
【
図13】同、接合器を管にセットするときの手順を示す図であり、接合器を一直線に延ばした状態で管の一側方へ下した様子を示す。
【
図16】同、接合器を管にセットするときの手順を示す図であり、接合器を一直線に延ばした状態で約90°回転して、接合器の向きを変えた様子を示す。
【
図20】本発明の参考例を示す接合器の図であり、操作杆を挿入方向に回動した様子を示す。
【
図21】本発明の参考例を示す接合器の図であり、操作杆を離脱方向に回動した様子を示す。
【
図22】本発明の第2の実施の形態における接合器の一部拡大側面図である。
【
図23】従来の接合器を用いて管を接合したときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0035】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、
図1に示すように、1はプッシュオンタイプの離脱防止管継手であり、互いに接続される一方の管2の端部に形成された受口3に、他方の管4の端部に形成された挿口5が挿入されている。これら管2,4は接合された状態で地中に埋設される。
【0036】
受口3の内部には、シール溝7とロックリング収容溝8とが形成されている。シール溝7には、受口3の内周面と挿口5の外周面との間をシールするゴム(弾性材の一例)製の円環状のシール部材9が嵌め込まれている。
【0037】
ロックリング収容溝8には、ロックリング11と芯出し用部材12とが嵌め込まれている。ロックリング11は、金属製の周方向一つ割りの部材であり、弾性的な縮径力を有することで、挿口5の外周面に弾性的に抱き付くように構成されている。芯出し用部材12は、ゴム製の円環状の部材であり、挿口5が受口3に挿入されていないときにロックリング11を受口3に対して芯出し状態に保持する。
【0038】
また、挿口5の先端部の外周には突部14が形成されており、突部14は受口奥側からロックリング11に係合可能である。
【0039】
図2に示すように、21は一方の管2の受口3に他方の管4の挿口5を挿入して両管2,4同士を接合するための接合器である。接合器21は、操作杆22と、連動体23と、操作杆22と連動体23との間に設けられた連結部材24とを有している。
【0040】
操作杆22は、上下方向に細長い棒状のハンドル26と、ハンドル26の下端部に設けられた受口側係合部材27とを有している。また、連動体23は、上下方向に長い板状の連動フレーム29と、連動フレーム29の下端部に設けられた挿口側係合部材30とを有している。
【0041】
受口側係合部材27は、下方が開放された逆U形状(二股形状)の部材であって、管軸方向Aから見て左右方向において相対向する一対のアーム部32と、両アーム部32の上端部間に設けられた取付部33とを有している。尚、取付部33はハンドル26の下端部に取り付けられている。
【0042】
また、両アーム部32間の間隔Bは、拡径した受口3の外径D1(
図8参照)よりも小さく、受口3よりも縮径したストレート部分15における管2の外径D2(
図8参照)よりも僅かに大きく設定されている。これにより、
図3,
図8に示すように、受口側係合部材27は、一方の管2の上方から受口3の付け根部分(受口3の近傍部分の一例)に外嵌可能であり、管軸方向Aにおいて受口3に係合自在である。
【0043】
尚、
図3,
図8に示すように、受口側係合部材27は、鉛直方向にしたハンドル26に対して、挿口5の挿入方向Cへ傾斜している。
【0044】
図2に示すように、挿口側係合部材30は、左右一側方が開放された横U形状(二股形状)の部材であって、上下方向において相対向する一対の挟持部36,37と、両挟持部36,37の左右他側端間に設けられた側板部38とを有している。尚、上位の挟持部36は連動フレーム29の下端部に取り付けられている。
【0045】
また、両挟持部36,37間の間隔Eはストレート部分15における管13の外径D2(
図8参照)よりも僅かに大きく設定されている。これにより、挿口側係合部材30は他方の管4の左右一側方から挿口5に外嵌可能である。
【0046】
このように、受口側係合部材27が一方の管2の受口3の付け根部分に外嵌する方向と、挿口側係合部材30が他方の管4の挿口5に外嵌する方向とが管2,4の周方向において90°の角度で異なっている。
【0047】
図2,
図8に示すように、操作杆22は、ハンドル26の下部に、連動体23の方向へ突出した突片40を有している。突片40と連結部材24の一端部とは、ボルトおよびナット等の締結具41により、互いに回動自在に連結されている。また、連動体23の連動フレーム29の上部と連結部材24の他端部とは、ボルトおよびナット等の締結具43により、互いに回動自在に連結されている。尚、連結部材24の一端部とは、一端のみではなく、その近傍も含んでいる。同様に、連結部材24の他端部とは、他端のみではなく、その近傍も含んでいる。
【0048】
また、
図2,
図19に示すように、連結部材24の他端部には、ピン等からなる突部47(規制手段の一例)が設けられている。
図11,
図12に示すように、連動体23の連動フレーム29が突部47に当接することにより、連動体23と連結部材24との角度が所定角度αよりも小さくなることは無く、これにより、連動体23の挿口5の離脱方向Fへの回動範囲が規制される。
【0049】
図13に示すように、接合器21を管2,4から取り外した状態で、ハンドル26を鉛直方向にして持ち上げた場合、連結部材24が締結具41を中心に回動して操作杆22の下方に垂れ下がるとともに、連動体23が締結具43を中心に回動して連結部材24の下方に垂れ下がり、操作杆22と連動体23と連結部材24とが上下方向において一直線状に延びる。
【0050】
上記のような接合器21を用いて管2,4を接合する接合方法を、以下に説明する。
【0051】
管2,4を接合する際、先ず、
図13〜
図15に示すように、地面60を掘削して形成した溝61内に管2,4を配置し、一方の管2の受口3に他方の管4の挿口5の先端部を仮挿入する。
【0052】
その後、接合器21を管2,4にセットする。この際、作業者が接合器21のハンドル26を鉛直方向に持ち上げることにより、操作杆22と連動体23と連結部材24とが上下方向において一直線状に延びた状態になる。この状態で接合器21を溝61内に下し、挟持部36,37を他方の管4の管軸方向Aに向けた状態で、挿口側係合部材30を他方の管4と溝61の一方の側壁面62との間に位置させる。
【0053】
その後、ハンドル26を中心に接合器21を一方向64へ約90°ほど回動して、
図16〜
図18に示すように、挟持部36,37を他方の管4に直交する向きに変え、その後、ハンドル26を管軸方向Aに直交する横方向65へ動かして、挿口側係合部材30を他方の管4の一側方から挿口5に十分に外嵌し、一対の挟持部36,37間に挿口5を挿入する。
【0054】
この際、接合器21は
図13に示すように一直線状に延びた状態であるため、操作杆22を中心とした径方向における操作杆22から連動体23までの距離Gが短縮される。これにより、挿口5と溝61の一方の側壁面62との間のスペース63が狭くても、挿口側係合部材30を挿口5に外嵌することができるため、溝61の幅Wを狭くすることができ、地面60の掘削工事が迅速かつ容易に行える。
【0055】
その後、引き続いて操作杆22を下し、
図3,
図8に示すように、受口側係合部材27を、上方から受口3の付け根部分に外嵌し、管軸方向Aにおいて受口3に係合する。これにより、接合器21が管2,4にセットされる。
【0056】
その後、作業者は、ハンドル26を操作し、
図3,
図4に示すように、受口側係合部材27を支点として、操作杆22を鉛直位置Pから挿口5の挿入方向Cへ回動する。この操作杆22の回動に連動して連動体23が挿口5の挿入方向Cへ回動し、
図8,
図9に示すように、挿口側係合部材30が挿口5の挿入方向Cへ傾き、一対の挟持部36,37が上下から挿口5を挟み、この状態で、
図5に示すように、操作杆22が挿口5の挿入方向Cへさらに回動するのに伴って、
図10に示すように、挿口側係合部材30が挿口5の挿入方向Cへ移動する。これにより、挿口5が、一対の挟持部36,37間に挟持された状態で、受口3内に挿入される。
【0057】
この際、上位の挟持部36(連結部材24に近い方の挟持部)と挿口5との接触部位が、下位の挟持部37(連結部材24から遠い方の挟持部)と挿口5との接触部位よりも、受口3側に近くなる。尚、この時の挟持部36,37による挿口5の挟持位置を当初の挟持位置Jとする。
【0058】
図3〜
図5および
図8〜
図10に示すように、受口側係合部材27が管軸方向Aにおいて受口3に係合し、挿口側係合部材30が挿口5に外嵌され、操作杆22の挿入方向Cへの回動に伴って、挿口側係合部材30が挿入方向Cへ傾き、一対の挟持部36,37が挿口5を挟持するように構成されているため、外周面にリブを備えていない管2,4同士を接合することができる。
【0059】
その後、
図5〜
図7に示すように、受口側係合部材27を支点として、操作杆22を挿口5の離脱方向Fへ回動して鉛直位置Pに戻した場合、
図10〜
図12に示すように、操作杆22に連動して連動体23が挿口5の離脱方向Fへ回動し、一対の挟持部36,37が、挿口5を挟むことを解除するとともに、挿口5に対して当初の挟持位置Jよりも離脱方向Fへスライド(変位)する。これにより、挿口5が受口3内から離脱方向Fへ移動することなく、一対の挟持部36,37が当初の挟持位置Jよりも離脱方向Fへスライドする。
【0060】
この際、
図11,
図12に示すように、連動体23の連動フレーム29が突部47に当接することにより、連動体23と連結部材24との角度が所定角度αよりも小さくなることは無く、連動体23の挿口5の離脱方向Fへの回動範囲が規制される。これにより、連動体23がほぼ鉛直方向になり、一対の挟持部36,37による挿口5の挟み付けが確実に解除され、このような解除状態を保ったままで、挟持部36,37が挿口5に対して当初の挟持位置Jよりも離脱方向Fへ確実にスライドする。
【0061】
尚、上記所定角度αとは、連動体23が鉛直方向よりもさらに離脱方向Fへ回動して傾くことで、挿口側係合部材30の両挟持部36,37が挿口5を挟み込んでしまうのを阻止することが可能な角度である。これにより、挿口側係合部材30の上位の挟持部36と挿口5との接触部位が、下位の挟持部37と挿口5との接触部位よりも、受口3側から遠ざかってしまうような逆姿勢(すなわち
図10で示した連動体23とは逆向きの姿勢であり、下記参考例において
図21の実線で示す連動体23の姿勢)に連動体23がなるのを防止することができる。このため、一対の挟持部36,37が確実に離脱方向Fへスライドする。
【0062】
その後、受口側係合部材27を支点として、再度、
図3〜
図5に示すように、操作杆22を鉛直位置Pから挿口5の挿入方向Cへ回動する。これにより、
図8〜
図10に示すように、操作杆22の回動に連動して連動体23が挿口5の挿入方向Cへ回動し、挿口側係合部材30が挿口5の挿入方向Cへ傾き、一対の挟持部36,37が上下から挿口5を挟み、この状態で、操作杆22が挿口5の挿入方向Cへさらに回動するのに伴って、挿口側係合部材30が挿口5の挿入方向Cへ移動する。これにより、挿口5が、一対の挟持部36,37間に挟持された状態で、受口3内に挿入される。
【0063】
このように、接合器21を管2,4にセットしたままで、操作杆22を鉛直位置Pから挿口5の挿入方向Cと離脱方向Fとの両方向へ複数回往復回動することにより、挿口5が複数回にわたって受口3に挿入される。これにより、操作杆22を一回だけ回動して挿口5を受口3に一回だけ挿入したときの挿入量が不足していた場合、挿口5を受口3に一回挿入する度に接合器21を管2,4から取り外してセットし直す必要は無く、管2,4の接合作業の手間を軽減することができる。
【0064】
尚、参考例として、
図20に示すように、仮に、突部47を連結部材24の他端部に設けなかった場合、受口側係合部材27を支点として、操作杆22を鉛直位置Pから挿口5の挿入方向Cへ回動することにより、挿口5が、一対の挟持部36,37間に挟持された状態で、受口3内に挿入される。
【0065】
その後、
図21の実線に示すように、受口側係合部材27を支点として、操作杆22を挿口5の離脱方向Fへ回動して鉛直位置Pに戻す際、操作杆22に連動して連動体23が挿口5の離脱方向Fへ回動するが、この際、連動体23の離脱方向Fへの回動範囲が規制されないため、連動体23は、
図20に示した傾斜方向から鉛直方向(
図21の仮想線参照)を通り過ぎて、さらに離脱方向Fへ回動して傾斜してしまう(
図21の実線参照)。これにより、挟持部36,37は、当初の挟持位置Jに留まったままで矢印66の方向へ回動するのみとなり、挿口5に対して当初の挟持位置Jよりも離脱方向Fへスライドしない。
【0066】
これにより、参考例のものでは、接合器21を管2,4にセットしたままで、操作杆22を鉛直位置Pから挿口5の挿入方向Cと離脱方向Fとの両方向へ複数回往復回動しても、挿口5を複数回にわたって受口3に挿入することはできない。
【0067】
また、上記第1の実施の形態では、
図3,
図8に示すように、受口側係合部材27は鉛直方向にしたハンドル26に対して挿口5の挿入方向Cへ傾斜しているため、
図5,
図10に示すように、操作杆22を鉛直位置Pから挿口5の挿入方向Cへ回動して、挿口5を受口3内に挿入した際、受口側係合部材27が受口3と競り合って両アーム部32の間隔Bが無理に拡がってしまうのを抑制することができる。
【0068】
上記第1の実施の形態では、
図19に示すように、突部47を、連結部材24に設けたが、連動体23の連動フレーム29に設けてもよい。この場合、連結部材24の他端部が突部47に当接することにより、連動体23と連結部材24との角度が所定角度αよりも小さくなることは無く、連動体23の挿口5の離脱方向Fへの回動範囲が規制される。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、
図22に示すように、規制手段の他の例として、規制板70が連結部材24の他端部に設けられている。連動体23の連動フレーム29が規制板70に当接することにより、連動体23と連結部材24との角度が所定角度αよりも小さくなることは無く、連動体23の離脱方向Fへの回動範囲が規制される。
【0069】
これにより、第1の実施の形態と同様の作用および効果が得られる。
【0070】
上記第2の実施の形態では、
図22に示すように、規制板70を、連結部材24に設けたが、連動体23の連動フレーム29に設けてもよい。この場合、連結部材24の他端部が規制板70に当接することにより、連動体23と連結部材24との角度が所定角度αよりも小さくなることは無く、連動体23の挿口5の離脱方向Fへの回動範囲が規制される。
【0071】
上記各実施の形態では、接合器21を用いて、
図1で示したプッシュオンタイプの離脱防止管継手1を接合しているが、これに限定されるものではなく、一方の管2の受口3に他方の管4の挿口5を挿入するタイプの管継手であればよく、例えば、離脱防止機能の無いプッシュオンタイプの管継手や、プッシュオンタイプ以外の管継手であってもよい。