(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[セルスタック装置]
以下、本発明に係るマニホールド及びセルスタック装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1〜
図3に示すように、セルスタック装置100は、複数の燃料電池セル1と、マニホールド2と、第1接合材3(本発明の接合材の一例)と、を備えている。
【0015】
[マニホールド]
マニホールド2は、各燃料電池セル1にガスを分配するように構成されている。マニホールド2は、中空状であり、内部空間を有している。マニホールド2の内部空間には、導入管201を介して燃料ガスなどのガスが導入される。マニホールド2は、この内部空間と外部とを連通する複数の貫通孔27を有している。
【0016】
マニホールド2は、各燃料電池セル1を支持している。マニホールド2は、マニホールド本体21と、上壁22とを備えている。マニホールド本体21と上壁22とは、互いに別部材であって接合されている。なお、マニホールド本体21と上壁22とは、一体的に形成されていてもよい。このマニホールド本体21と上壁22とによって、マニホールド2の内部空間を画定している。
【0017】
マニホールド本体21は、略直方体状であって、上面が開口した内部空間を有する。詳細には、マニホールド本体21は、錐台状である。マニホールド本体21は、底壁23と、一対の第1側壁24と、一対の第2側壁25と、を有している。また、マニホールド本体21は、フランジ部26を有していてもよい。
【0018】
底壁23は、平面視(x軸方向視)において、矩形状である。各第1側壁24及び各第2側壁25は、底壁23の周縁部から上方に延びている。一対の第1側壁24は、マニホールド2の内部空間の奥行き方向(z軸方向)において、互いに対向するように配置されている。また、一対の第2側壁25は、マニホールド2の内部空間の幅方向(y軸方向)において、互いに対向するように配置されている。
【0019】
図4及び
図5に示すように、第1側壁24及び第2側壁25は、上方に向かって外方に広がるように傾斜している。特に限定されるものではないが、例えば、第1側壁24及び第2側壁25と、底壁23とがなす角度αは、90.1〜135°程度とすることができる。このように第1側壁24及び第2側壁25が傾斜しているため、マニホールド2の内部空間を底壁23と平行な面(yz平面)で切断した断面積は、上方にいくにつれて大きくなる。また、マニホールド2の内部空間を、底壁23に垂直で幅方向(y軸方向)に延びる面(xy平面)で切断した断面は、台形状となっている。また、マニホールド2の内部空間を、底壁23に垂直で奥行方向(z軸方向)に延びる面(xz平面)で切断した断面は、台形状となっている。
【0020】
一対の第1側壁24のうち一方の第1側壁24は、ガス導入口241を有している。このガス導入口241が形成された第1側壁24に、導入管201が取り付けられる。例えば、
図5に示すように、導入管201は、第1側壁24の外側面に当接されている。そして、導入管201の流路とガス導入口241とが連通している。なお、導入管201は底壁23に対して平行に取り付けられていなくてもよい。ガス導入口241は、第1側壁24の幅方向(y軸方向)の中央に形成されていることが好ましい。このガス導入口241から、マニホールド2の内部空間にガスが導入される。
【0021】
フランジ部26は、各第1側壁24及び各第2側壁25の上端部から外方に延びている。フランジ部26は、環状である。
【0022】
マニホールド本体21は、1つの部材によって構成されている。すなわち、底壁23と各第1側壁24と各第2側壁25と各フランジ部26とは、1つの部材によって構成されている。例えば、マニホールド本体21は、耐熱性を有するような金属あるいは絶縁性セラミックスによって形成される。より具体的には、マニホールド本体21は、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びNi基合金、MgO(酸化マグネシウム)、Al
2O
3(酸化アルミニウム)、MgAl
2O
4(マグネシアアルミナスピネル)、MgO・SiO
2(ステアタイト)、及び2MgO・SiO
2(フォルステライト)よりなる群から選ばれる少なくとも1種から形成されている。
【0023】
図6に示すように、第1側壁24と、第2側壁25との第1境界部20aの内側面及び外側面は、R形状である。この第1境界部20aの内側面の曲率半径は、3〜30mm程度とすることができる。なお、第1境界部20aの内側面とはマニホールド2の内部空間を臨む面であり、外側面とはマニホールド2の外部を臨む面である。
【0024】
図4及び
図7に示すように、底壁23と、第1側壁24及び第2側壁25との第2境界部20bの内側面及び外側面は、R形状である。この第2境界部20bの内側面の曲率半径は、2〜20mm程度とすることができる。なお、第2境界部20bの内側面とはマニホールド2の内部空間を臨む面であり、外側面とはマニホールド2の外部を臨む面である。
【0025】
第1側壁24及び第2側壁25と、フランジ部26との第3境界部20cの内側面及び外側面は、R形状である。この第3境界部20cの内側面の曲率半径は、1〜10mm程度とすることができる。なお、第3境界部20cの内側面とはマニホールド2の内部空間を臨む面であり、外側面とはマニホールド2の外部を臨む面である。
【0026】
図7に示すように、マニホールド2の内部空間の高さ方向(x軸方向)において、第3境界部20cと上壁22との間に隙間部28が形成されている。すなわち、上壁22の下面とフランジ部26の上面とは接触している一方、上壁22の下面と第3境界部20cの内側面とは接触していない。隙間部28は、全周に亘って形成されている。
【0027】
図4に示すように、上壁22は、マニホールド本体21の上面を塞ぐように、マニホールド本体21上に配置されている。詳細には、上壁22は、フランジ部26に固定されている。マニホールド2の内部空間を密閉するため、上壁22が全周に亘ってマニホールド本体21と接合されている。例えば、上壁22とマニホールド本体21とは、接合材又は溶接によって接合されている。上壁22は、上述したマニホールド本体21の材料の少なくとも一種から形成することができる。
【0028】
図8に示すように、上壁22は、各燃料電池セル1が取り付けられるように構成されている。詳細には、上壁22は、複数の貫通孔27を有している。各貫通孔27は、マニホールド2の幅方向(y軸方向)に延びている。また、各貫通孔27は、マニホールド2の奥行き方向(z軸方向)において、互いに間隔をあけて配置されている。この貫通孔27に燃料電池セル1の下端部が挿入される。なお、各貫通孔27には、燃料電池セル1が1つずつ挿入されている。すなわち、1つの貫通孔27には、燃料電池セル1が1つだけ挿入されている。
【0029】
図9に示すように、貫通孔27を画定する内壁面271は、主面271aと、湾曲面271bとを有している。主面271aは、燃料電池セル1の外周面に沿って延びている。具体的には、主面271aは、垂直に延びている。なお、主面271aは、傾斜していてもよい。例えば、主面271aは、下方に向かって燃料電池セル1に近付くように傾斜していてもよい。
【0030】
湾曲面271bは、上壁22の上面222と、主面271aとを連結している。上面222、湾曲面271b、及び主面271aは、互いに連続している。湾曲面271bは、貫通孔27の全周に亘って延びている。すなわち、湾曲面271bは、環状に形成されている。湾曲面271bは、上方を向くとともに、燃料電池セル1を向いている。湾曲面271bの曲率半径は、例えば、0.1〜3.0mm程度とすることができる。この湾曲面271bは、上方にいくにつれて、燃料電池セル1から離れるように湾曲している。
【0031】
上壁22は、突出部221を有している。突出部221は、貫通孔27の周辺部から下方に突出している。この突出部221の厚さtは、例えば、0.3〜2.0mm程度である。また、突出部221の高さHは、0.05〜2.0mm程度である。なお、突出部221の高さHは、上壁22の下面から突出部221の先端までの寸法である。突出部221は、例えば、バーリング加工によって形成することができる。突出部221は、垂直に延びていてもよいし、下方に向かって燃料電池セル1に近付くように傾斜していてもよい。
【0032】
[燃料電池セル]
図1から
図3に示すように、各燃料電池セル1は、マニホールド2に取り付けられている。各燃料電池セル1は、マニホールド2から上方に延びている。詳細には、各燃料電池セル1は、マニホールド2の上壁22から上方に延びている。燃料電池セル1の下端部101は、貫通孔27内に挿入されている。燃料電池セル1の長手方向(x軸方向)の長さは100〜300mm程度とすることができる。なお、燃料電池セル1の下端部101が貫通孔27内に挿入された状態において、燃料電池セル1の下端部101の外周面と貫通孔27の内壁面271との間には隙間が形成されている。この隙間に第1接合材3が充填されている(
図9参照)。
【0033】
各燃料電池セル1は、マニホールド2の奥行き方向(z軸方向)において、互いに間隔をあけて配置されている。なお、
図1では各燃料電池セル1が1列に配置されているが、各燃料電池セル1は、複数列に配置されていてもよい。燃料電池セル1の枚数は、1列につき1〜50枚程度である。各燃料電池セル1は、各主面が奥行き方向(z軸方向)を向くように配置されている。各燃料電池セル1は、第1集電部材4を介して互いに電気的に接続されている。第1集電部材4は、各燃料電池セル1の間に配置されており、隣り合う各燃料電池セル1を接続している。なお、第1集電部材4は、第2接合材5によって各燃料電池セル1に接合されている。第1集電部材4は、導電性を有する材料から形成されている。例えば、第1集電部材4は、酸化物セラミックスの焼成体又は金属などによって形成されている。
【0034】
図10に示すように、燃料電池セル1は、複数の発電素子部11と、支持基板12とを備えている。各発電素子部11は、支持基板12の両面に支持されている。なお、各発電素子部11は、支持基板12の片面のみに支持されていてもよい。各発電素子部11は、燃料電池セル1の長手方向において、互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、本実施形態に係る燃料電池セル1は、いわゆる横縞型の燃料電池セルである。
【0035】
各発電素子部11は、電気的接続部17(
図11参照)によって互いに電気的に接続されている。また、燃料電池セル1の上端部102側において、支持基板12の一方面に形成された発電素子部11と他方面に形成された発電素子部11とが第2集電部材6(
図2参照)によって電気的に接続されている。なお、各発電素子部11は、直列に接続されている。
【0036】
図3に示すように、支持基板12は、支持基板12の長手方向(x軸方向)に延びる複数のガス流路121を内部に有している。ガス流路121は、マニホールド2の内部空間と連通している。各ガス流路121は、支持基板12の幅方向(y軸方向)において互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、各ガス流路121は、マニホールド2の幅方向(y軸方向)において互いに間隔をあけて配置される。各ガス流路121の面積は、0.1〜30mm
2程度とすることができる。
【0037】
支持基板12の長手方向(x軸方向)は、燃料電池セル1の長手方向と同じ方向である。各ガス流路121は、互いに実質的に平行に延びている。各ガス流路121は、支持基板12の長手方向の両端面において開口している。
【0038】
図11に示すように、支持基板12は、複数の第1凹部123を有している。各第1凹部123は、支持基板12の両面に形成されている。各第1凹部123は支持基板12の長手方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0039】
支持基板12は、電子伝導性を有さない多孔質の材料によって構成される。支持基板12は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、支持基板12は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl
2O
4(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板12の気孔率は、例えば、20〜60%程度である。
【0040】
各発電素子部11は、燃料極13、電解質14、及び空気極15を有している。また、各発電素子部11は、反応防止膜16をさらに有している。燃料極13は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極13は、燃料極集電部131と燃料極活性部132とを有する。
【0041】
燃料極集電部131は、第1凹部123内に配置されている。詳細には、燃料極集電部131は、第1凹部123内に充填されており、第1凹部123と同様の外形を有する。各燃料極集電部131は、第2凹部131a及び第3凹部131bを有している。燃料極活性部132は、第2凹部131a内に配置されている。詳細には、燃料極活性部132は、第2凹部131a内に充填されている。
【0042】
燃料極集電部131は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極集電部131は、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部131の厚さ、並びに第1凹部123の深さは、50〜500μm程度である。
【0043】
燃料極活性部132は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極活性部132は、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部132の厚さは、5〜30μmである。
【0044】
電解質14は、燃料極13上を覆うように配置されている。詳細には、電解質14は、あるインターコネクタ171から次のインターコネクタ171まで長手方向に延びている。すなわち、燃料電池セル1の長手方向において、電解質14とインターコネクタ171とが交互に配置されている。
【0045】
電解質14は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質14は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、電解質14は、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質14の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0046】
反応防止膜16は、緻密な材料から構成される焼成体である。反応防止膜16は、電解質14と空気極15との間に配置されている。反応防止膜16は、電解質14内のYSZと空気極15内のSrとが反応して電解質14と空気極15との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。
【0047】
反応防止膜16は、希土類元素を含むセリアを含んだ材料から構成されている。反応防止膜16は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O
2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜16の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0048】
空気極15は、反応防止膜16上に配置されている。空気極15は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極15は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極15は、LSF=(La,Sr)FeO
3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O
3(ランタンニッケルフェライト)、又は、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。空気極15は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極15の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0049】
電気的接続部17は、隣り合う発電素子部11を電気的に接続するように構成されている。電気的接続部17は、インターコネクタ171及び空気極集電部172を有する。インターコネクタ171は、第3凹部131b内に配置されている。詳細には、インターコネクタ171は、第3凹部131b内に埋設(充填)されている。インターコネクタ171は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ171は、例えば、LaCrO
3(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、インターコネクタ171は、(Sr,La)TiO
3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ171の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0050】
空気極集電部172は、インターコネクタ171と空気極15との間を延びるように配置される。例えば、
図11の左側に配置された発電素子部11の空気極15と、インターコネクタ171とを電気的に接続するように、空気極集電部172が配置されている。空気極集電部172は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。
【0051】
空気極集電部172は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極集電部172は、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、空気極集電部172は、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電部172の厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
【0052】
図12に示すように、燃料電池セル1の下端部101は、緻密膜18によって覆われている。詳細には、緻密膜18は、支持基板12を覆っている。緻密膜18は、空気極集電部172と支持基板12との間から下方に向かって延びている。
【0053】
緻密膜18は、緻密膜18の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密膜18の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。このガスシール機能を発揮するため、この緻密膜18の気孔率は、例えば、10%以下である。また、緻密膜18は、絶縁性セラミックスで構成されている。
【0054】
具体的には、緻密膜18は、上述した電解質14と反応防止膜16とによって構成することができる。緻密膜18を構成する電解質14は、支持基板12を覆っており、インターコネクタ171から支持基板12の下端近傍まで延びている。また、緻密膜18を構成する反応防止膜16は、電解質14と空気極集電部172との間に配置されている。なお、緻密膜18は、電解質14のみで構成されていてもよいし、電解質14及び反応防止膜16以外の材料によって構成されていてもよい。
【0055】
[第1接合材]
図9に示すように、第1接合材3は、第1燃料電池セル1とマニホールド2とを接合している。詳細には、第1接合材3は、第1燃料電池セル1とマニホールド2の上壁22とを接合している。第1接合材3は、上壁22の貫通孔27の外周縁に沿って環状に形成されている。第1接合材3は、第1燃料電池セル1の外周面と貫通孔27の内壁面271との隙間内に充填されており、この隙間を埋めている。すなわち、第1接合材3は、第1燃料電池セル1の外周面と貫通孔27の内壁面271との隙間からガスが漏出することを防止するよう、この隙間をシールしている。なお、第1接合材3は、緻密膜18と接触している。
【0056】
第1接合材3は、例えば、結晶化ガラスである。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO
2−B
2O
3系、SiO
2−CaO系、又はSiO
2−MgO系が採用され得る。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスを指す。なお、第1接合材3の材料として、非晶質ガラス、ろう材、又はセラミックス等が採用されてもよい。具体的には、第1接合材3は、SiO
2−MgO−B
2O
5−Al
2O
3系及びSiO
2−MgO−Al
2O
3−ZnO系よりなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0057】
第1接合材3は、非晶質材料(非晶質ガラス)のペーストを、第1燃料電池セル1の外周面と貫通孔27の内壁面271との隙間を埋めるように塗布し、これに熱処理を加えることによって形成される。この熱処理によって非晶質材料の温度がその結晶化温度まで到達すると、結晶化温度下にて、材料の内部で結晶相が生成されて、結晶化が進行していく。この結果、非晶質材料が固化・セラミックス化されて、結晶化ガラスとなる。これにより、結晶化ガラスで構成される第1接合材3が形成される。なお、貫通孔27の内壁面271の上端部は湾曲面271bによって構成されているため、上述したように塗布された第1接合材3は、湾曲面271bに沿って上記隙間内に流れ込み易い。
【0058】
[発電方法]
以上のように構成されたセルスタック装置100は、次のようにして発電する。マニホールド2を介して各燃料電池セル1のガス流路121内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板12の両面を酸素を含むガス(空気等)に曝すことにより、電解質14の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。このセルスタック装置100を外部の負荷に接続すると、空気極15において下記(1)式に示す電気化学反応が起こり、燃料極13において下記(2)式に示す電気化学反応が起こり、電流が流れる。
(1/2)・O
2+2e
−→O
2− …(1)
H
2+O
2−→H
2O+2e
− …(2)
【0059】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0060】
変形例1
上記実施形態では、燃料電池セル1は、複数の発電素子部11を有している横縞型であったが、燃料電池セル1は、長手方向に延びる一つの発電素子部を有するような縦縞型であってもよい。また、燃料電池セル1は、横縞円筒型であってもよい。
【0061】
変形例2
上記実施形態では、第1側壁24及び第2側壁25は、上方に向かって外方に広がるように傾斜しているが、第1側壁24及び第2側壁25は、傾斜していなくてもよい。
【0062】
変形例3
上記実施形態では、底壁23、一対の第1側壁24、及び一対の第2側壁25がマニホールド本体21を構成しているが、マニホールド2の構成はこれに限定されない。
【0063】
例えば、
図13に示すように、マニホールド2は、上壁22、一対の第1側壁24、及び一対の第2側壁25がマニホールド本体21を構成しており、底壁23がこのマニホールド本体21の下面を封鎖するように構成されていてもよい。また、マニホールド2は、第1フランジ部26の代わりに第2フランジ部29を有していてもよい。第2フランジ部29は、第1側壁24及び第2側壁25の下端部から外方に延びている。
【0064】
上壁22と、第1側壁24及び第2側壁25との第4境界部20dの内側面及び外側面は、R形状である。この第4境界部20dの内側面の曲率半径は、2〜20mm程度とすることができる。なお、第4境界部20dの内側面とはマニホールド2の内部空間を臨む面であり、外側面とはマニホールド2の外部を臨む面である。
【0065】
第1側壁24及び第2側壁25と、第2フランジ部29との第5境界部20eの内側面及び外側面は、R形状である。この第5境界部20eの内側面の曲率半径は、1〜10mm程度とすることができる。なお、第5境界部20eの内側面とは、マニホールド2の内部空間を臨む面であり、外側面とはマニホールド2の外部を臨む面である。
【0066】
図14に示すように、マニホールド2の内部空間の高さ方向(x軸方向)において、第5境界部20eと底壁23との間に第2隙間部30が形成されている。すなわち、底壁23の上面と第2フランジ部29の下面とは接触している一方、底壁23の上面と第5境界部20eの内側面とは接触していない。第2隙間部30は、全周に亘って形成されている。
【0067】
図13に示すように、底壁23は、マニホールド2の下面を塞ぐように、第2フランジ部29に固定されている。マニホールド2の内部空間を密閉するため、底壁23が全周に亘って第2フランジ部29と接合されている。例えば、底壁23と第2フランジ部29とは、溶接又は接合材などによって接合されている。
【0068】
変形例9
上記実施形態では、燃料電池セル1の支持基板12の下端部が挿入孔27内に挿入されているが、燃料電池セル1の構成はこれに限定されない。例えば、燃料電池セル1は、支持基板12の下端部に取り付けられる部材をさらに有しており、その部材が挿入孔27に挿入されていてもよい。
【解決手段】マニホールド2は、燃料電池セル1にガスを供給するように構成されている。このマニホールド2は、底壁、側壁、及び上壁22を備えている。上壁22は、燃料電池セル1の一方の端部が挿入される貫通孔27を有している。貫通孔27を画定する内壁面271は、燃料電池セル1の外周面に沿って延びる主面271aと、主面271aと上壁22の上面222とを連結する湾曲面271bと、を有している。