特許第6452783号(P6452783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6452783
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】跨座式モノレールの桁下作業装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 15/00 20060101AFI20190107BHJP
   B61B 13/06 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   B61D15/00 B
   B61B13/06 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-214350(P2017-214350)
(22)【出願日】2017年11月7日
【審査請求日】2017年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉元 啓朗
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−250105(JP,A)
【文献】 実開昭58−045704(JP,U)
【文献】 特開2016−013731(JP,A)
【文献】 実開昭61−106501(JP,U)
【文献】 実開平01−116768(JP,U)
【文献】 米国特許第04996928(US,A)
【文献】 特開2008−137443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 15/00
B61B 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
桁に沿って走行する跨座式のモノレール車両に設けられた桁下作業装置であって、
前記モノレール車両の一対の脚部のそれぞれに設けられた昇降機を備え、
前記昇降機は、矩形状の床板と、前記床板の前記桁寄りの1辺である開放辺を除く3辺のそれぞれに立設された壁板とを含み、前記脚部に収容された収容位置と、前記床板が前記脚部の下端よりも下方にある作業位置とをとり、
前記昇降機は、矩形状の第1展開可能床板と、前記第1展開可能床板よりも小さな矩形状の第2展開可能床板とをさらに含み、
前記第1展開可能床板は、前記開放辺に平行な第1回動基準辺および前記第1回動基準辺に対向する第1自由辺を有し、前記第1回動基準辺が前記開放辺の近傍に回動可能に取り付けられ、前記床板から立ち上がった起立位置と、前記床板とひと続きになる展開位置とをとり、
前記第2展開可能床板は、前記開放辺に平行な第2回動基準辺および前記第2回動基準辺に対向する第2自由辺を有し、前記第2回動基準辺が前記第1自由辺の近傍に回動可能に取り付けられ、前記第1展開可能床板に折り重なった収容位置と、前記第1展開可能床板とひと続きになる展開位置とをとり、
一方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板の前記第1自由辺の長さが、他方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板の前記第1自由辺の長さに等しく、
一方の前記昇降機に含まれる前記第2展開可能床板の前記第2自由辺の長さと他方の前記昇降機に含まれる前記第2展開可能床板の前記第2自由辺の長さとの和が前記第1展開可能床板の前記第1自由辺の長さに等しく、
前記作業位置をとる一方および他方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板および前記第2展開可能床板が前記展開位置をとると、一方の前記昇降機に含まれる前記第2展開可能床板の前記第2自由辺が他方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板の前記第1自由辺に近接するとともに、他方の前記昇降機に含まれる前記第2展開可能床板の前記第2自由辺が一方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板の前記第1自由辺に近接する
ことを特徴とする桁下作業装置。
【請求項2】
前記第2展開可能床板は、その前記第2自由辺に設けられた弾性材料からなる矩形状の舌片を有し、
一方および他方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板および前記第2展開可能床板が前記展開位置をとると、一方の前記昇降機に含まれる前記第2展開可能床板の前記舌片が他方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板の一部を覆うとともに、他方の前記昇降機に含まれる前記第2展開可能床板の前記舌片が一方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板の一部を覆う
ことを特徴とする請求項1に記載の桁下作業装置。
【請求項3】
前記昇降機は、弾性材料からなる矩形状の蓋板をさらに含み、
前記蓋板は、前記開放辺に平行な第3回動基準辺を有し、前記第3回動基準辺が前記床板の前記開放辺の近傍に回動可能に取り付けられ、
前記蓋板は、前記第1展開可能床板が前記起立位置をとると、前記第1展開可能床板に支えられて前記床板から立ち上がった起立位置をとり、前記第1展開可能床板が前記展開位置をとると、ひと続きになった前記床板および前記第1展開可能床板の境界を覆う
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の桁下作業装置。
【請求項4】
前記第1展開可能床板は、その前記第1自由辺に直交する2辺のそれぞれに立設された転落防止壁または転落防止柵をさらに有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の桁下作業装置。
【請求項5】
前記床板の前記開放辺に直交する2辺のそれぞれに立設された前記壁板の一部が、前記桁に取り付けられたダクトとの衝突を回避するために切り欠かれている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の桁下作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、跨座式モノレールの桁下で点検、保守等の各種作業を行うための桁下作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、跨座式モノレールに関する各種作業を行うために、バッテリ式の工作車(作業用モノレール車両)が使用されている。工作車は、営業が終了してから翌日の営業が始まるまでの間に、作業者を乗せて桁に沿ってゆっくりと走行する。そして、作業者は、工作車が走行している間に、または工作車が特に作業を要する位置で停止している間に、目視や打音検査により桁の点検を行なったり、桁に取り付けられたダクト、トロリー等の各種部品を交換したりする。
【0003】
なお、上記のような工作車は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−137443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の工作車では、桁下での作業を十分かつ安全に行えないという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、跨座式モノレールの桁下での十分かつ安全な作業を可能にする桁下作業装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る桁下作業装置は、桁に沿って走行する跨座式のモノレール車両に設けられた桁下作業装置であって、
前記モノレール車両の一対の脚部のそれぞれに設けられた昇降機を備え、
前記昇降機は、矩形状の床板と、前記床板の前記桁寄りの1辺である開放辺を除く3辺のそれぞれに立設された壁板とを含み、前記脚部に収容された収容位置と、前記床板が前記脚部の下端よりも下方にある作業位置とをとり、
前記昇降機は、矩形状の第1展開可能床板と、前記第1展開可能床板よりも小さな矩形状の第2展開可能床板とをさらに含み、
前記第1展開可能床板は、前記開放辺に平行な第1回動基準辺および前記第1回動基準辺に対向する第1自由辺を有し、前記第1回動基準辺が前記開放辺の近傍に回動可能に取り付けられ、前記床板から立ち上がった起立位置と、前記床板とひと続きになる展開位置とをとり、
前記第2展開可能床板は、前記開放辺に平行な第2回動基準辺および前記第2回動基準辺に対向する第2自由辺を有し、前記第2回動基準辺が前記第1自由辺の近傍に回動可能に取り付けられ、前記第1展開可能床板に折り重なった収容位置と、前記第1展開可能床板とひと続きになる展開位置とをとり、
一方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板の前記第1自由辺の長さが、他方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板の前記第1自由辺の長さに等しく、
一方の前記昇降機に含まれる前記第2展開可能床板の前記第2自由辺の長さと他方の前記昇降機に含まれる前記第2展開可能床板の前記第2自由辺の長さとの和が前記第1展開可能床板の前記第1自由辺の長さに等しく、
前記作業位置をとる一方および他方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板および前記第2展開可能床板が前記展開位置をとると、一方の前記昇降機に含まれる前記第2展開可能床板の前記第2自由辺が他方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板の前記第1自由辺に近接するとともに、他方の前記昇降機に含まれる前記第2展開可能床板の前記第2自由辺が一方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板の前記第1自由辺に近接するよう構成されている。
【0008】
上記桁下作業装置は、前記第2展開可能床板が、その前記第2自由辺に設けられた弾性材料からなる矩形状の舌片を有し、一方および他方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板および前記第2展開可能床板が前記展開位置をとると、一方の前記昇降機に含まれる前記第2展開可能床板の前記舌片が他方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板の一部を覆うとともに、他方の前記昇降機に含まれる前記第2展開可能床板の前記舌片が一方の前記昇降機に含まれる前記第1展開可能床板の一部を覆うよう構成されていてもよい。
【0009】
また、上記桁下作業装置は、前記昇降機が、弾性材料からなる矩形状の蓋板をさらに含み、前記蓋板が、前記開放辺に平行な第3回動基準辺を有し、前記第3回動基準辺が前記床板の前記開放辺の近傍に回動可能に取り付けられ、前記蓋板が、前記第1展開可能床板が前記起立位置をとると、前記第1展開可能床板に支えられて前記床板から立ち上がった起立位置をとり、前記第1展開可能床板が前記展開位置をとると、ひと続きになった前記床板および前記第1展開可能床板の境界を覆うよう構成されていてもよい。
【0010】
また、上記桁下作業装置は、前記第1展開可能床板が、その前記第1自由辺に直交する2辺のそれぞれに立設された転落防止壁または転落防止柵をさらに有していてもよい。
【0011】
さらに、上記桁下作業装置は、前記床板の前記開放辺に直交する2辺のそれぞれに立設された前記壁板の一部が、前記桁に取り付けられたダクトとの衝突を回避するために切り欠かれていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、跨座式モノレールの桁下での十分かつ安全な作業を可能にする桁下作業装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る桁下作業装置を備えた作業用モノレール車両の図であって、(A)は昇降機が収容位置をとっているときの正面図、(B)は昇降機が収容位置をとっているときの右側面図である。
図2】本発明に係る桁下作業装置を備えた作業用モノレール車両の図であって、(A)は昇降機が作業位置をとっているときの正面図、(B)は昇降機が作業位置をとっているときの右側面図である。
図3】本発明に係る桁下作業装置に備えられた昇降機の模式図であって、(A)は第1展開可能床板が起立位置をとっているときの正面図、(B)は第1展開可能床板が展開位置をとっているときの正面図、(C)は(B)中の線C−Cにおける端面図である。
図4】跨座式モノレールの桁、ダクトおよび桁柱の図であって、(A)は上面図、(B)は(A)中の線B−Bにおける端面図、(C)は(A)中の線C−Cにおける端面図である。
図5】本発明に係る桁下作業装置に備えられた昇降機の部分拡大図であって、(A)は第1展開可能床板が起立位置をとっているときの蓋板の姿勢を示す拡大正面図、(B)は第1展開可能床板が展開位置をとっているときの蓋板の姿勢を示す拡大正面図である。
図6】本発明に係る桁下作業装置に備えられた昇降機の部分拡大図であって、(A)は第2展開可能床板が収容位置をとっているときの拡大正面図、(B)は第2展開可能床板が展開位置をとっているときの拡大正面図である。
図7】第1展開可能床板および第2展開可能床板が展開位置をとっているときの、本発明に係る桁下作業装置の模式的な上面図である。
図8】本発明に係る桁下作業装置に備えられた昇降機の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る桁下作業装置の実施例について説明する。
【0015】
図1に、本発明に係る桁下作業装置を備えた跨座式の作業用モノレール車両1(以下、単に「モノレール車両」という)を示す。同図に示すように、モノレール車両1は、本体部2と、本体部2から下方に向かって延びた左右一対の脚部3a,3bと、バッテリに蓄えられた電力で駆動される前側走行輪4a,4bと、従動するだけの後側走行輪5a,5bと、桁100の上部を左右から挟み込む前側案内輪6a,6bおよび後側案内輪7a,7bと、桁100の下部を左右から挟み込む前側安定輪8a,8bおよび後側安定輪9a,9bとを備えている。走行輪4a,4b,5a,5bは、脚部3a,3bの間に配置されている。案内輪6a,7aおよび安定輪8a,9aは、脚部3aに配置されている。また、案内輪6b,7bおよび安定輪8b,9bは、脚部3bに配置されている。なお、図1には、幾つかの車輪(5b,7b,9b)が図示されていない。
【0016】
モノレール車両1は、互いに同一の構成を有する昇降機10a,10bをさらに備えている。同図に示すように、昇降機10aは脚部3aに設けられ、昇降機10bは脚部3bに設けられている。本発明に係る桁下作業装置は、これら2つの昇降機10a,10bからなっている。
【0017】
昇降機10aは、脚部3aに収容された収容位置(図1参照)と、脚部3aから下降した作業位置(図2参照)とをとることができる。昇降機10bも、脚部3bに収容された収容位置(図1参照)と、脚部3bから下降した作業位置(図2参照)とをとることができる。昇降機10a,10bを作業位置に移動させた後に、昇降機10a,10bのそれぞれに含まれる第1展開可能床板20および第2展開可能床板30を展開させると、図2(A)に示すように、昇降機10aと昇降機10bとの間の自由な行き来を可能にする床(作業台)が桁100の下方に形成される。作業者は、脚部3a,3bの中を通って本体部2から作業台に移動し、桁下での作業(桁100および桁100の下面に設けられたダクト101の点検等)を十分に、かつ安全に行うことができる。第1展開可能床板20および第2展開可能床板30については、後で詳細に説明する。
【0018】
図3に示すように、昇降機10bは、平面視矩形状の床板11と、床板11の桁100寄りの1辺である開放辺11aを除く3辺のそれぞれに立設された壁板12a,12b,12cとを備えている。昇降機10bが収容位置をとっているとき、床板11は、脚部3bの下端とほぼ同じ高さとなる(図1参照)。一方、昇降機10bが作業位置をとるとき、床板11は、脚部3bの下端よりも下方にある(図2参照)。
【0019】
同図から明らかなように、壁板12a(12c)は、その一部が切り欠かれている。これは、桁100の下面に設けられたダクト101との接触を避けるためである。この接触の問題について、図4を参照しながら説明する。
【0020】
モノレールでは、通常、反対方向に走行するモノレール車両を同時に走行させるために、2本の桁100が使用される。そして、ダクト101は、ほとんどの走行区間において、それぞれの桁100の下面に設けられている(同図(B)参照)。ただし、桁柱102が存在する区間においては、ダクト101は、桁100の真下からずれた位置に配置される(同図(C)参照)。したがって、壁板12a(12c)に切り欠きを設けておかないと、モノレール車両1は、桁下作業装置(昇降機10a,10b)を作業位置に移動させたまま桁柱102に接近することができない。逆に言うと、本発明に係るモノレール車両1は、壁板12a(12c)に切り欠きを設けたことにより、桁下作業装置(昇降機10a,10b)を作業位置に移動させたまま桁柱102に接近することができる。そして、桁柱102を間近で点検等することができる。
【0021】
再び図3を参照する。昇降機10bは、平面視矩形状の第1展開可能床板20と、一対の取付部材21a,21bと、一対の転落防止壁23a,23bとをさらに備えている。
【0022】
第1展開可能床板20は、床板11の開放辺11aに平行な第1回動基準辺20aおよびこれに対向する第1自由辺20bを有し、第1回動基準辺20aが取付部材21a,21bを介して開放辺11aの近傍にある回動軸22に回動可能に取り付けられている。この回動により、第1展開可能床板20は、床板11から立ち上がった起立位置(図3(A)参照)と、床板11とひと続きになる展開位置(図3(B)参照)とをとることができる。第1展開可能床板20が展開位置をとっているとき、第1展開可能床板20の第1回動基準辺20aは、床板11の開放辺11aに当接する。
【0023】
転落防止壁23a,23bは、第1展開可能床板20の第1自由辺20bに直交する2辺に立設されている。第1展開可能床板20および転落防止壁23a,23bは、第1展開可能床板20が起立位置をとっているときに壁板12a(12c)の切り欠き部分にはみ出さないような寸法とされている。切り欠きを設けた意味がなくなるからである。
【0024】
図3には示していないが、昇降機10bは、手動ウインチ機構をさらに備えている。手動ウインチ機構の本体部は、壁板12a,12b,12cに囲まれた空間に設けられ、本体部から延びるワイヤの先端は、展開可能床板20に接続されている。作業者が、ワイヤが引き出されるように手動ウインチ機構を操作すると、第1展開可能床板20は展開位置をとる。一方、作業者が、ワイヤが巻き取られるように手動ウインチ機構を操作すると、第1展開可能床板20は起立位置をとる。
【0025】
図5に示すように、昇降機10bは、ゴム等の弾性材料からなる平面視矩形状の蓋板13と、蝶番14とをさらに備えている。蝶番14は、開放辺11aに平行な回動軸15を有している。また、蝶番14は、一方側が床板11に固定されるとともに、蓋板13が取り付けられた他方側が自由端となっている。蓋板13は、開放辺11aに平行な第3回動基準辺を有し、第3回動基準辺が開放辺11aの近傍に回動可能に取り付けられているとも言える。
【0026】
第1展開可能床板20が起立位置をとっているとき、蓋板13は、第1展開可能床板20に支えられて床板11から立ち上がった起立位置をとる(図5(A)参照)。また、第1展開可能床板20が展開位置をとっているとき、蓋板13は、ひと続きになった床板11および第1展開可能床板20の境界を覆う(同図(B)参照)。これにより、床板11および第1展開可能床板20の隙間からの工具等の落下を確実に防ぐことができる。なお、同図(A)中の矢印t20は、回動軸22を中心とした第1展開可能床板20の回動軌跡を示し、矢印t13は、回動軸15を中心とした蓋体13の回動軌跡を示す。
【0027】
図6に示すように、昇降機10bは、第1展開可能床板20よりも小さな平面視矩形状の第2展開可能床板30と、蝶番32とをさらに備えている。蝶番32は、開放辺11aに平行な回動軸33を有している。また、蝶番32は、一方側が第1展開可能床板20に固定されるとともに、第2展開可能床板30が取り付けられた他方側が自由端となっている。第2展開可能床板30は、開放辺11aに平行な第2回動基準辺30aとこれに対向する第2自由辺30bとを有し、第2回動基準辺30aが第1自由辺20bの近傍に回動可能に取り付けられているとも言える。
【0028】
図6に示すように、第2展開可能床板30は、その第2自由辺30bに設けられたゴム等の弾性材料からなる平面視矩形状の舌片31をさらに備えている。
【0029】
第2展開可能床板30は、第1展開可能床板20に折り重なった収容位置と、第1展開可能床板20とひと続きになる展開位置とをとることができる。昇降機10a,10bの第1展開可能床板20および第2展開可能床板30が展開状態をとると、図7に示すように、昇降機10b側の第2展開可能床板30の第2自由辺30bが昇降機10a側の第1展開可能床板20の第1自由辺20bに近接するとともに、昇降機10a側の第2展開可能床板30の第2自由辺30bが昇降機10b側の第1展開可能床板20の第1自由辺20bに近接する。また、このとき、昇降機10b側の舌片31が昇降機10a側の第1展開可能床板20の一部を覆うとともに、昇降機10a側の舌片31が昇降機10b側の第1展開可能床板20の一部を覆う。これにより、第1展開可能床板20および第2展開可能床板30の隙間からの工具等の落下を確実に防ぐことができる。
【0030】
作業者は、第2展開可能床板30の位置を手動で収容位置から展開位置に、または展開位置から収容位置に変化させることができる。
【0031】
図7から明らかなように、昇降機10b側の第1展開可能床板20の第1自由辺20bの長さL20bは、昇降機10a側の第1展開可能床板20の第1自由辺20bの長さL20aに等しい。また、昇降機10b側の第2展開可能床板30の第2自由辺30bの長さL30bと昇降機10a側の第2展開可能床板30の第2自由辺30bの長さL30aとの和が、第1展開可能床板20の第1自由辺20bの長さL20b(=L20a)に実質的に等しい。さらに、本実施例では、長さL30aおよび長さL30bも等しい。
【0032】
図8に示すように、昇降機10aの転落防止壁23bの内面には、蝶番41を介して回動可能に取り付けられた扉40が設けられている。また、昇降機10bの転落防止壁23aの内面には、扉40と該転落防止壁23aとを緩やかに連結するための連結具42が設けられている。昇降機10aの転落防止壁23aの内面、および昇降機10bの転落防止壁23bの内面についても同様である。転落防止壁23a,23bの隙間を扉40で埋めることにより、作業者が転落するのを防ぐことができる。
【0033】
図1に示す状態(すなわち、昇降機10a,10bが収容位置をとり、各昇降機10a,10bの第1展開可能床板20が起立位置をとり、かつ各昇降機10a,10bの第2展開可能床板30が収容位置をとっている状態)から、図2に示す状態(すなわち、昇降機10a,10bが作業位置をとり、各昇降機10a,10bの第1展開可能床板20および第2展開可能床板30が展開位置をとっている状態)への移行手順をまとめると、以下の通りとなる。
【0034】
[手順1]
本体部2の床に設けられたハッチをくぐり抜けて、作業者Aが昇降機10aに移るとともに、作業者Bが昇降機10bに移る。
[手順2]
本体部2に残った作業者、または昇降機10a,10bに移った作業者A,Bがボタン操作等を行って、昇降機10a,10bを展開位置に移動させる。昇降機10a,10bの移動は、連動していてもよいし、独立していてもよい。
[手順3a]
作業者Aが昇降機10a側の手動ウインチ機構を操作して、昇降機10a側の第1展開可能床板20に展開位置をとらせる。
[手順3b]
作業者Bが昇降機10b側の手動ウインチ機構を操作して、昇降機10b側の第1展開可能床板20に展開位置をとらせる。手順3bは、手順3aと同時に実行してもよいし、手順3aの前後に実行してもよい。
[手順4a]
作業者Aが昇降機10a側の展開された第1展開可能床板20上に移り、手動で第2展開可能床板30に展開位置をとらせる。
[手順4b]
作業者Bが昇降機10b側の展開された第1展開可能床板20上に移り、手動で第2展開可能床板30に展開位置をとらせる。手順4bは、手順4aと同時に実行してもよいし、手順4aの前後に実行してもよい。
[手順5]
作業者Aまたは作業者Bが、扉40を閉じる。
【0035】
このように、本実施例では、手順3a,3bおよび手順4a,4bの実行順序に制約がない。すなわち、作業者は、他方の作業者の動きを気にすることなく、第1展開可能床板20および第2展開可能床板30を展開させることができる。
【0036】
以上、本発明に係る桁下作業装置の実施例について説明してきたが、本発明の構成は上記の構成に限定されるものではない。
【0037】
例えば、床板11と第1展開可能床板20との間の隙間や段差が問題とならない場合は、蓋板13を省略することができる。同様に、一方の昇降機(10a)側の第2展開可能床板30と他方の昇降機(10b)側の第1展開可能床板20との間の隙間や段差が問題とならない場合は、舌片31を省略することができる。
【0038】
また、転落防止壁23a,23b、壁板12a,12cの切り欠き、および扉40も、状況に応じて省略することができる。
【0039】
また、転落防止壁23a,23bは、複数本の棒状の部材を組み合わせてなる転落防止柵であってもよい。
【0040】
また、手動ウインチ機構の代わりに、油圧シリンダを使用してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 作業用モノレール車両
2 本体部
3a,3b 脚部
4a,4b 前側走行輪
5a,5b 後側走行輪
6a,6b 前側案内輪
7a,7b 後側案内輪
8a,8b 前側安定輪
9a,9b 後側安定輪
10a,10b 昇降機
11 床板
11a (床板の)開放辺
12a,12b,12c 壁板
13 蓋板
14 蝶番
15 (蓋板の)回動軸
20 第1展開可能床板
20a (第1展開可能床板の)第1回動基準辺
20b (第1展開可能床板の)第1自由辺
21a,21b 取付部材
22 (第1展開可能床板の)回動軸
23a,23b 転落防止壁
30 第2展開可能床板
30a (第2展開可能床板の)第2回動基準辺
30b (第2展開可能床板の)第2自由辺
31 舌片
32 蝶番
33 (第2展開可能床板の)回動軸
40 扉
41 蝶番
42 連結具
100 桁
101 ダクト
102 桁柱
【要約】
【課題】跨座式モノレールの桁下での十分かつ安全な作業を可能にする桁下作業装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る桁下作業装置は、脚部3a,3bに収容可能な昇降機10a,10bを備える。各昇降機10a,10bは、該昇降機10a,10bの床板に対して回動可能な第1展開可能床板20と、第1展開可能床板20に対して回動可能な第2展開可能床板30とを含む。第1展開可能床板20は、床板から立ち上がった起立状態と、床板とひと続きになる展開状態とをとり得る。また、第2展開可能床板30は、第1展開可能床板20に折り重なった収容位置と、第1展開可能床板20とひと続きになる展開位置とをとり得る。第1展開可能床板20および第2展開可能床板30が展開位置をとると、桁100の下方に床(作業台)が形成される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8