特許第6452801号(P6452801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6452801自動車を目標位置に移動させる方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452801
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】自動車を目標位置に移動させる方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20190107BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20190107BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20190107BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   B60W30/06
   G01C21/26 A
   G08G1/16 C
   B62D6/00
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-505146(P2017-505146)
(86)(22)【出願日】2015年6月26日
(65)【公表番号】特表2017-524594(P2017-524594A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】EP2015001289
(87)【国際公開番号】WO2016020024
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2017年2月10日
(31)【優先権主張番号】102014011796.0
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ボネ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーアス・ヒラー
(72)【発明者】
【氏名】ゲールハルト・キュンツエル
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・モーザー
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ・シーメンツ
【審査官】 鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−9913(JP,A)
【文献】 特開2008−114776(JP,A)
【文献】 特開2014−65392(JP,A)
【文献】 特開2005−41433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00−10/30
B60W 30/00−50/16
B62D 6/00− 6/10
G01C 21/26
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)を出発位置(S)から目標位置(E)に前記自動車(1)内で決定した設定進路に沿って移動させる方法であって、
前記設定進路に沿った前記自動車(1)の走行が、前記自動車(1)又はモバイル端末(5)によって開始され、及び
前記出発位置(S)は、モバイル端末(5)又は前記自動車(1)によって決定され、前記目標位置(E)は、前記モバイル端末(5)によって決定される、
方法において、
前記設定進路は、前記出発位置(S)から前記目標位置(E)に運ばれる前記モバイル端末(5)で記録される進行中のデータを利用した走行操作計画に基づいて決定されること、及び
前記目標位置における前記自動車(1)の向きは、グローバル座標系(KS)における前記モバイル端末(5)の向きによって決定されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記自動車(1)の前記出発又は目標位置(S、E)の決定は、運転者によって又は運転者に係る事象によって起動され、前記出発又は目標位置(S、E)は、グローバル座標系(KS)における前記モバイル端末(5)の向きによって決定されることを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記グローバル座標系(KS)における前記モバイル端末(5)の向きは、前記自動車(1)に送信される前記モバイル端末(5)によって検知されたセンサデータを用いて決定されることを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1〜の少なくとも一項に記載の方法であって、
前記自動車(1)の走行操作が実行されているとき、前記モバイル端末(5)によって前記自動車(1)の経路が補正され得ることを特徴とする、方法。
【請求項5】
自動車(1)を出発位置(S)から目標位置(E)に移動させる装置であって、前記自動車(1)のステアリング装置(29)及びエンジン制御システム(33)又はブレーキ装置(31)と接続される制御装置(3)を含み、モバイル端末(5)が、無線通信装置(7、9)を介して、前記自動車(1)の前記出発位置(S)又は前記目標位置(E)を決定する前記制御装置(3)と接続され、前記制御装置(3)は、前記モバイル端末(5)によって作成された走行操作計画に基づいて設定進路を決定し、前記ステアリング装置(29)及び前記エンジン制御(33)又は前記ブレーキ装置(31)を制御することによって前記設定進路を出発する装置において、
前記設定進路は、前記出発位置(S)から前記目標位置(E)に運ばれる前記モバイル端末(5)で記録される進行中のデータを利用した走行操作計画に基づいて決定されること、及び
前記目標位置における前記自動車(1)の向きは、グローバル座標系における前記モバイル端末(5)の向きによって決定されることを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項に記載の装置であって、
前記制御装置(3)は、前記モバイル端末(5)によって作成された走行操作計画に基づいて設定進路を決定する進路計画ユニット(25)、および前記進路計画ユニット(25)と接続される、前記ステアリング装置(29)及び前記エンジン制御(33)又は前記ブレーキ装置(31)に制御命令を出力する進路制御ユニット(27)を含むことを特徴とする、装置。
【請求項7】
自動車の走行操作を計画する装置であって、
−計算ユニット(13)と、
−前記自動車(1)の出発位置(S)又は目標位置(E)又は可能な走行進路を決定するために前記計算ユニット(13)と接続される少なくとも1つの位置検知センサ(17、19)と、
−前記出発位置(S)、前記目標位置(E)、又は計画された走行操作を前記自動車(1)に送信する、前記計算ユニット(13)と接続された送信/受信ユニット(9)とを含む装置において、
−前記計算ユニット(13)は、位置算出ユニット(15)を含み、それに前記少なくとも1つの位置検知センサ(17、19)が接続され、それはグローバル座標系(KS)における前記装置の向きを決定し、
−前記計算ユニット(13)は、位置決定ユニット(21)を含み、それは前記位置算出ユニット(15)と接続され、前記自動車(1)の経路を決定し、
−前記計算ユニット(13)は、走行操作計画ユニット(23)を含み、それは前記位置算出ユニット(15)及び前記位置決定ユニット(21)と接続され、前記出発位置(S)から前記目標位置(E)に運ばれる前記装置で記録される進行中のデータを利用した前記走行操作を計画することを特徴とする、装置。
【請求項8】
請求項に記載の装置であって、
前記位置算出ユニット(15)は、ヨー角を算出するために、3つの空間方向すべてを含むセンサデータを出力するジャイロスコープ(1)又は磁気センサ(19)又は加速度センサと接続されることを特徴とする、装置。
【請求項9】
請求項又はに記載の装置であって、
前記位置決定ユニット(21)は、無線追尾システム(11)と接続されることを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の出発位置から開始して自動車を目標位置に移動させる方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実際の(半)自動駐車システムは、アプローチすべき駐車スペースをこのシステムが少なくとも部分的にオンボードセンサを用いて計測できる場合にのみ機能する。その際、自動車は、その位置を自動車固有のセンサを用いて学習した周辺において決定でき、既に走行した進路を再度走行するという状態に置かれる。しかし、自動車によって検知できない目標位置には、アプローチすることができない。
【0003】
特許文献1から、自動車を目標位置に移動させる方法及び装置が公知であり、この方法及び装置では、自動車は、目指す目標位置に近い出発位置に移動され、運転者側での第1の起動後、自動車の周辺は、目標位置を検知するために連続してスキャンされ、実際の自動車の位置は、連続して決定され、決定された周辺情報及び位置情報に基づいて、自動車を目標位置に移動させるための制御情報が決定される。運転者側での第2の起動に応じて、制御情報に依存する制御命令は、自動車のパワートレイン及び/又はブレーキ装置及び/又はステアリングに出力され、これにより、自動車は、運転者によらずに目標位置に走行する。
【0004】
特許文献2は、自動車の運転、特に道路から離れた自動車から見えない駐車区域の駐車場へのアプローチの方法及び装置を開示しており、この方法では、自動車の周辺データが検知される。オンボードセンサを使用せずに、繰り返し目標として向かうべき駐車場に測定なしでアプローチし、いつも使用している見えない駐車区域の駐車場に、以前検知して保存した周辺データ又は走行データに基づいて駐車する。このシステムは、繰り返し駐車を基準としてある範囲及び同一の範囲で自己学習し、アプローチ時に、決定された走行データ又は検知された周辺データなど、ステアリングヨー角、自動車速度、GPSデータ、及び走行軌道などのこの駐車区域に適合する情報は、保存され、既に保存された走行データ又は周辺データは、更新され、その結果、この操縦は、再学習することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP 1 249 379 B1
【特許文献2】DE 10 2013 015 349 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、自律駐車システムの利用可能性を改良するための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、独立請求項の特徴から明らかとなる。有利な発展形態及び実施形態は、従属請求項の主題である。本発明の更なる特徴、利用可能性、及び利点は、以下の説明から、かつ図に示された本発明の実施例の説明から明らかとなる。
【0008】
本課題は、以下による方法を用いて解決され、その方法は、
−出発位置は、モバイル端末又は自動車によって決定されること、
−目標位置は、モバイル端末によって決定されること、
−自動車の走行軌道は、自動車内で計画されること、
−自動車の走行軌道に沿った自動車の走行は、自動車又はモバイル端末によって開始されること、である。
【0009】
これは、運転者のモバイル端末の使用に基づいて自動車によって実行される走行操縦を前もって点検でき、目標位置における自動車の向きを確定できるという利点を有する。本発明の更なる利点は、走行操縦の計画のために追加の自動車センサが必要ではないということである。走行操縦の計画は、運転者にとって非常に容易に実行できる。続いて、運転者は、モバイル端末によって記録された走行操縦を遠隔操作によって発進させることができる。その際、自動車は、運転者の補助なしで自律的に走行する。
【0010】
出発位置はまた、モバイル端末上の操作装置を用いて出発位置を決定する運転者によって決定されることもできる。同様に、出発位置はまた、「運転者が降車のために運転席ドアを開ける」又は「運転者がギアチェンジレバーをPに入れる」という事象によっても決定することができる。運転者による又はある事象による起動時に、その場合、自動車又はモバイル端末は、自動車の実際の位置を決定し、この位置を駐車過程の開始位置として設定する。これには、運転者が多大な労力をかけずに出発位置を決定できるという利点がある。出発位置の決定は、柔軟かつ容易に実現できる。
【0011】
有利には、自動車の出発又は目標位置は、グローバル座標系におけるモバイル端末の向きによって決定される。グローバル座標系を使用することによって、目標位置だけではなく出発位置も自動車に容易に送信でき、自動車で更に処理される。
【0012】
一実施形態では、グローバル座標系におけるモバイル端末の向きは、モバイル端末によって取得され、自動車に送信されるセンサデータを用いて行われる。モバイル端末のこの向きによって、自動車の目標位置は、容易に設定でき、その結果、目標位置は、走行操作の計画のために容易に利用することができる。
【0013】
変形形態では、モバイル端末は、出発位置から目標位置に運ばれるものであり、モバイル端末は、進行中のデータを取得し、それを走行操作の計画に利用する。この進行中のデータに基づいて、自動車の走行操作用の基盤とみなすことができる走行進路は、特徴付けられる。
【0014】
一実施形態では、モバイル端末を介して自動車の走行操作中、自動車の経路補正が行われる。これにより、自律走行する自動車の走行操作の常時監視は、運転者によって確保され、運転者は、起こり得る衝突時に走行操作に介入できる。
【0015】
本発明の発展形態は、自動車を目標位置に移動させるための装置に関し、この装置は、自動車のステアリング装置及びエンジン制御システム及び/又はブレーキ装置に接続された制御装置を含む。センサによって検知できない目標位置に自動車がアプローチできるようにする装置では、
−モバイル端末が、無線通信装置を介して、自動車の出発位置又は目標位置を決定する制御装置と接続され、
−制御装置は、モバイル端末によって作成された走行操作計画に基づいて設定進路を決定し、ステアリング装置及びエンジン制御システム又はブレーキ装置を制御することによって、この設定進路を実行する。
【0016】
モバイル端末によって提案された走行操作に基づいて、装置は、観察できない目標位置で駐車又は占有するために自動車が進むこととなる実際の走行進路を、自動車固有のセンサデータの評価を必要とすることなく計算することもできる。
【0017】
有利には、制御装置は、自動車の出発位置を決定する制御装置の位置決定装置と接続される進路制御装置を含む。モバイル端末によらずに自動車の出発位置を独立に決定することによって、制御装置によって出力された設定進路の精度は、改良される。
【0018】
本発明の更に別の発展形態は、計算ユニットを含む、自動車の走行操作計画のための装置に関する。自動車固有のセンサによって検知できない目標位置の制御のために適したそのような装置では、
−計算ユニットは、自動車の出発位置、又は目標位置、又は可能な走行進路を決定するための少なくとも1つの位置検知センサと接続され、
−この少なくとも1つの位置検知センサは、グローバル座標系における装置の位置を決定する計算ユニットの位置算出ユニットで管理され、
−位置算出ユニット及び位置決定ユニットは、走行操作を計画する走行操作計画ユニットと接続され、
−計算ユニットは、出発位置又は目標位置又は計画された走行操作を自動車に送信する、送信/受信ユニット接続される。
【0019】
そのようなモバイル装置を用いて、自動車によらずに、自動車の可能な走行進路を決定できる。その場合、自動車の制御装置に無線で転送することができ、自動車は、提案された走行操作を固有の位置データを用いて比較でき、それ基づいて自動車の設定走行進路を決定し、実行する。
【0020】
有利には、位置算出ユニットは、ヨー角を算出するために、3つの空間方向すべてを含むセンサデータを出力するジャイロスコープ、又は磁気センサ、又は加速度センサと接続される。モバイル装置内に含まれるそのような位置センサを用いて、モバイル装置の三次元位置決めは、自動車の出発位置においてだけではなく自動車の可能な目標位置においてもまた、非常に正確に提示することができる。特にグローバル座標系におけるモバイル装置の向きによって、目標位置は、三次元的に明確に決定できる。
【0021】
変形形態では、位置決定ユニットは、無線追尾システムと接続される。その際、そのような無線追尾システムとは、モバイル通信ネットワーク若しくはWLANネットワーク、又は、例えば、GPSなどの衛星支援システムであると理解されたい。これらは、特に、モバイル装置において追加のセンサを使用しないこととなっている場合に、有利である。別法として、追尾システムのデータは、モバイル装置のセンサによって決定されたデータの比較のためにも使用することができる。
【0022】
更なる利点、特徴、及び詳細は、以下の説明から、場合により図面を参照して、少なくとも1つの実施例において個々に説明される。記載された又は図示された特徴は、それ自体で又は好ましい有意義な組み合わせで、場合により、特許請求の範囲から独立してもまた、本発明の主題を形成し、特にそれに加えて、1つ又は複数の個別の出願の主題にもなり得る。同一の、類似のかつ/又は機能的に同一の部分には同じ参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による走行支援システムを有する自動車に関する実施例である。
図2】本発明によるモバイル端末に関する実施例である。
図3】自動車を目標位置に自律的に移動させるための本発明による装置に関する実施例である。
図4】トレーラを有する自動車の走行操作計画に関する実施例である。
図5】トレーラがない自動車の走行操作計画に関する例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に、走行支援システムを有する自動車1を示してあり、このシステムを用いて、自動車1は、出発位置Sから、自動車1から見えない目標位置Eに移動することができる。走行支援システムは、モバイル端末5及び自動車1の制御装置3を含む。制御装置3は、送信/受信ユニット7を介してモバイル端末5及び衛星追尾システム11と無線で通信する。とりわけ、制御装置5は、回転数センサ35、ジャイロスコープ37、磁気センサ39、及び少なくとも1つの周辺センサ41、例えば、超音波センサ、レーダセンサ、又はカメラなどの自動車固有のセンサの信号を受信する。同時に、制御装置3は、自動車1のステアリング装置又はブレーキ装置31又はエンジン制御システム33に制御命令を与える。モバイル端末5は、同様にその送信/受信ユニット9を介して衛星追尾サービス11と無線で通信する。
【0025】
図2に、スマートフォンとして形成され、計算ユニット13を含む本発明によるモバイル端末5の実施例を示す。計算ユニット13は、位置算出ユニット15を有し、この位置算出ユニットに、グローバル座標系KSにおけるモバイル端末5の向きを決定するためにモバイル端末5のジャイロスコープ17及び磁気センサ19が接続される。3つの空間方向全てで作動するジャイロスコープ17及び同様に3つの空間方向すべてを考慮し、かつ地磁気におけるコンパスと同等の方位を示す磁気センサ19の他に、モバイル端末5の加速度を同様に3つの空間方向すべてで測定する加速度センサもまた、モバイル端末5内に配置することができる。
【0026】
位置算出ユニット15でそのように算出されたヨー角は、その位置を補足的にGPS位置データ又はモバイル通信若しくはWLANなどの追尾サービス11からの信号と比較する位置決定ユニット21に送られる。モバイル通信ネットワークにおける又は使用可能なWLANネットワークに対する位置決定はまた、位置算出について別法としてヨー角を介しても行うことができる。GPSを用いる衛星支援位置決定もまた、一般的である。
【0027】
位置算出ユニット15によって決定されたヨー角および位置決定ユニット21によって決定された経路が、グローバル座標系KSにおいて走行操作計画ユニット23に出力される。この走行操作計画ユニット23では更に、運転者によって指定された出発位置S及び目標位置Eが入力され、これらの位置から、モバイル端末5は、出発位置Sから目標位置Eへの自動車1の走行操作に関する計画を決定し、その計画は、送信/受信ユニット9を介して自動車1の制御装置3に出力される。
【0028】
その際、計画された走行操作は、走行操作に対して計画された進路がまた実行可能であることをモバイル端末5が確認した場合にのみ、モバイル端末5から制御装置3に出力される。
【0029】
図3に示したように、制御装置3の送信/受信ユニット7は、計画された走行操作をモバイル端末5から受信する。制御装置3は、自動車固有のセンサ35、37、39によって出力された、車輪回転数、ヨー速度、及び磁場などのパラメータを処理する進路計画ユニット25を含む。任意選択的に、超音波センサ、レーダセンサ、レーザセンサ、又はカメラなどの自動車1の周辺センサ41によってデータをまた、検知することができ、そして制御装置3の進路計画ユニット25に送信することができる。進路計画ユニット25では、出発位置Sから目標位置Eへ移動されることとなる自動車1の設定進路が算出される。自動車1のこの設定進路は、進路制御ユニット27に出力され、このユニットは、同様に自動車固有のセンサ31、33、35から、車輪回転数、ヨー角、及び屈曲角などのパラメータを受信する。これらのパラメータ及び設定進路に応じて、進路制御ユニット27は、制御信号を設定ステアリング角の形式で自動車1のステアリング装置29に出力し、かつ、設定走行速度の形式でエンジン制御システム33及び/又はブレーキ装置31に出力する。
【0030】
図4に明示したように、自動車1の出発位置Sは、グローバル座標系KSの原点に位置する。このグローバル座標系KSで、走行操作は、計画され、実行される。グローバル座標系内でのモバイル端末3の位置決定は、モバイル端末5のセンサを介して行われる。グローバル座標系KSにおける自動車15の位置決定は、自動車センサを介して行われる。
【0031】
図4に、トレーラ43を有する、駐車場を目指して移動されることとなる自動車1を示してあり、目標位置E、すなわち駐車場は、自動車固有のセンサによって検知することができない。したがって、自動車1は、トレーラ43の目標位置Eを決定する状況にない。モバイル端末5、例えば、スマートフォンを使用すると、トレーラ43を所望の目標位置Eに移送することは容易である。初めに、運転者は、自動車1内で運転席に座り、モバイル端末5の実際の位置を走行操作に対する出発位置Sとして指定する。別法として、出発位置はまた、自動車1の制御装置3によっても検知することができる。
【0032】
運転者が走行操作の出発位置を自動車1内の運転席で検知する場合、以下のセンサデータが検知される必要がある。
−地磁気における自動車1の向き
−地磁気におけるモバイル端末5の向き
−GPS又は他の追尾サービス11の位置データをまた利用することができる。
【0033】
それに続いて、運転者は、降車し、トレーラ43の所望の目標位置Eに移動する。
この地点でもまた、運転者は、駐車場を走行操作に対する目標位置Eとしてモバイル端末5上で指定する。更に、目標位置Eにおけるモバイル端末1の向きによって、目標位置Eにおけるトレーラ43の向きが決定される。
【0034】
モバイル端末5の位置決定ユニット21が出発位置Sから目標位置Eまで記録する経路から、モバイル端末5の操作計画ユニット23において、トレーラ43を適切に移動させるための自動車1の走行操作が計画され、この走行操作は、制御装置3に送信される。制御装置3では、自動車1の設定進路が進路計画ユニット25で決定され、この設定進路を用いて、トレーラ43は、出発位置Sから目標位置Eに移動されることとなる。設定進路の決定後、運転者は、走行操作をモバイル端末5を介して開始し、進路制御ユニット27は、自動車1の自動走行を制御し、設定進路を前述の自動車固有のセンサ35、37、39、41のパラメータに基づいて補正し、制御命令をステアリング装置29又はエンジン制御システム33又はブレーキ装置31に出力する。自動車1に対するトレーラ43の動きは、屈曲角センサ(別に図示せず)を用いて検知され、この屈曲角センサは、好適には牽引棒の球状ヘッド内に一体化され、信号を制御装置3に送信する。その際、運転者は、自動車1を出発位置Sから目標位置Eまで動かすために、モバイル端末5のタッチスクリーン上で円を描く動きを連続して実行する。トレーラ43がその目標位置Eに到達した場合、到達したことが運転者に対してモバイル端末5上に表示される。
【0035】
モバイル端末5によって設定されるが、制御装置3によって補正された様々な走行進路は、モバイル端末3上だけではなく自動車1内のディスプレイ上にも表示される。その際、運転者は、自身が好む走行操作進路を選択できる。
【0036】
モバイル端末5を使用するこの走行操作計画は、自動車5及びトレーラ43からなるタンデムの制御に制限されず、トレーラがない自動駐車機能に対する拡張としても使用することができる。図5は、トレーラがない自動車1を伴う、記述された走行操作を示す。このとき、この場合もまた、走行操作に対する出発位置Sは、自動車1に位置しており、出発位置は、同様にグローバル座標系KSの原点である。運転者が自動車1における出発位置を検知した後で、運転者は、モバイル端末5を伴って運転操作の目標位置Eに移動し、これをその場で検知する。その際、以下の信号がモバイル端末5において出発位置から目標位置Eまで算出される。
【0037】
モバイル端末5のジャイロスコープ17に基づく3つのヨー速度の積分によって、グローバル座標系KSにおける3つのヨー角は、生成される。このヨー角は、グローバル座標系KSにおけるモバイル端末5の方向転換を記述する。それに加えて、ヨー角算出を支援するために、磁気センサ19を使用することができる。ヨー角は、加速度センサの3成分をグローバル座標系KSに変換するために使用される。グローバル座標系KSにおける3つの加速度成分の2回積分によって、運転者が移動した経路を記録することができる。更に、位置決定ユニット21での経路算出を支援するために、GPS位置データ又は他の追尾サービス11の位置データが使用される。
【0038】
運転者が所望の目標位置Eに到達した場合、運転者は、到達したことを示すモバイル端末5上でこれを確認する。そして、運転者は、図示された自動車1の方向転換によって、目標位置Eにおける自動車2の向きを設定する選択肢を、モバイル端末5上に有する。運転者がその選択肢を承諾すると、モバイル端末5の操作によって、走行操作を開始できる。走行操作中に、運転者は、自動車1による計画された走行操作の発進時に、モバイル端末1を介してわずかな経路補正を行うことができる、すなわち、運転者は、自動車1を計画された進路についてわずかな補正値の分だけ移動させることができる。
【0039】
記載したようにモバイル端末5を用いて、様々な走行操作を計画すること、及び、例えば、通常の自動車の駐車場所への出入り又はトレーラ付きでの駐車場所への出入りを、ユーザが選択するために表示することができる。
【0040】
本発明は、好ましい実施例によって詳細に例示され、かつ説明されたにもかかわらず、本発明は、開示された例によって制限されず、他の変形形態は、本発明の保護範囲から逸脱することなく当業者によって導出可能である。したがって、多数の変形形態の可能性が存在することが明らかである。例示的に言及された実施形態は、ただ単に例を示しており、この例は、いかなる場合も、例えば、本発明の保護範囲、利用可能性、又は構成を制限するものとして解釈すべきではないことも同時に明らかである。より正確に言えば、上記の説明及び図の説明は、例示的な実施形態を完全に変換する立場に当業者を置き、当業者は、開示された本発明の概念の知見において、多様な変更を、例えば、例示的な実施形態で言及された個々の要素の機能又は配置を考慮して、特許請求の範囲及び、例えば、明細書における更なる説明などの特許請求の範囲の適法な同等物によって定義される保護範囲を逸脱することなく行うことができる。


図1
図2
図3
図4
図5